説明

インクジェット用インクおよびインクから得られた硬化膜

【課題】金属との密着性が高く、電子回路基板に形成された場合には、加熱されても基板界面での膨れや剥離を防ぐことができる硬化膜を形成することができ、電子回路基板の製造における保護膜の形成にかかる手間や時間を短縮し、消耗品も削減することができるインクジェット用インクを提供する。
【解決手段】リン酸エステルを有する化合物(A)と、熱架橋性官能基を有するラジカル重合性モノマー(B)と、光重合開始剤(C)と、ラジカル重合性モノマー(B)以外の多官能(メタ)アクリレート(D)とを含むインクジェット用インク。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット用インク、インクジェット用インクから得られた硬化膜(パターン化された硬化膜を含む)およびその形成方法に関する。さらに本発明は、電子回路上にインクジェット用インクから得られた硬化膜が形成された電子回路基板、電子回路基板を有する電子部品、表示素子等に関する。
【背景技術】
【0002】
フォトリソグラフィ法に比べて、インクジェット法によるパターン形成は工程が簡単になるうえに、材料使用量の削減も期待できるので、電子機器に使用されるプリント配線板等の製造に用いることが提案されている(たとえば、特開2003−302642号公報(特許文献1)、特開2005−68280号公報(特許文献2)を参照)。また、リン酸基を含む重合性化合物と重合性化合物を含むインク組成物を画像形成や画像記録に用いることが提案されている(たとえば、特開2006−328227号公報(特許文献3)を参照)
【0003】
近年、電子機器の小型化が進み、軽量かつフレキシブルなプリント配線板を用いた電子回路基板が多く用いられている。このような電子回路基板は、たとえば、銅等の金属の層にエッチング等を施して所定の回路パターンをなす配線部を形成し、その金属製の配線を保護する保護膜であるカバーレイをコーティングすることで製造されている。
しかしながら、カバーレイはシート状のものが一般的で、電子回路基板への貼り付けの作業工程で歩留まりが悪いという現状があった。
【0004】
また、金属を主成分とする回路を保護する保護膜には電子回路基板との良好な密着性が要求される。
しかしながら、従来の保護膜は金属との密着性が不十分であった。そのため、電子回路基板の実装を想定した耐熱テスト等において、保護膜の膨れや剥離が生じることがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−302642号公報
【特許文献2】特開2005−68280号公報
【特許文献3】特開2006−328227号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の状況の下、たとえば、金属との密着性が高い硬化膜が求められている。また、たとえば、電子回路基板に形成された硬化膜であって、加熱されても、基板界面での膨れや剥離を防ぐことができる硬化膜が求められている。たとえば、電子回路基板の製造における保護膜の形成にかかる手間や時間を短縮し、消耗品も削減することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、インクジェット用インクに、所定の構造を有する化合物(A)を用いることを見出し、この知見に基づいて、化合物(A)と、熱架橋性官能基を有するラジカル重合性モノマー(B)と、光重合開始剤(C)と、ラジカル重合性モノマー(B)以外の多官能(メタ)アクリレート(D)とを含むインクジェット用インクに関する本発明を完成した。
本発明は以下のようなインクジェット用インク、インクジェット用インクから得られた硬化膜およびその形成方法等を提供する。
【0008】
[1] 一般式(1−1)〜(1−3)のいずれかで表される化合物(A)と、熱架橋性官能基を有するラジカル重合性モノマー(B)と、光重合開始剤(C)と、ラジカル重合性モノマー(B)以外の多官能(メタ)アクリレート(D)とを含むインクジェット用インク。
【化1】

(式(1−1)〜(1−3)中、R1はそれぞれ独立して炭素数1〜3のアルキルまたは水素であり、R2はそれぞれ独立して環状構造を有してよい炭素数2〜12のアルキレンである。)
[2] R1はそれぞれ独立して水素またはメチルであり、R2はエチレンである、[1]に記載のインクジェット用インク。
【0009】
[3] 熱架橋性官能基を有するラジカル重合性モノマー(B)の熱架橋性官能基がヒドロキシ、カルボキシ、オキシランおよびオキセタンからなる群から選ばれる1以上である、[1]または[2]に記載のインクジェット用インク。
[4] 熱架橋性官能基を有するラジカル重合性モノマー(B)の熱架橋性官能基がヒドロキシである、[1]または[2]に記載のインクジェット用インク。
[5]熱架橋性官能基を有するラジカル重合性モノマー(B)の熱架橋性官能基の数が1である、[1]〜[4]のいずれかに記載のインクジェット用インク。
[6]熱架橋性官能基を有するラジカル重合性モノマー(B)が、一般式(4)で表される化合物である、[1]または[2]に記載のインクジェット用インク。
【化2】

(式(4)中、R18は水素または炭素数1〜3のアルキルであり、R19はそれぞれ独立して環状構造を有していてもよい炭素数2〜12のアルキレンであり、nは1〜30の整数である。)
[7] 熱架橋性官能基を有するラジカル重合性モノマー(B)が2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートおよび1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる1以上である、[1]または[2]に記載のインクジェット用インク。
【0010】
[8] 光重合開始剤(C)が、一般式(2)または一般式(3)で表される化合物である、[1]〜[7]のいずれかに記載のインクジェット用インク。
【化3】

(式(2)および式(3)中、R3〜R17はそれぞれ独立して、水素、炭素数1〜5のアルキルまたは置換基を有してもよいフェニルである。)
[9] 光重合開始剤(C)が、一般式(2)において、R3、R5、R7、R8、R10およびR12がメチルであり、R4、R6、R9、R11およびR13〜R17が水素である化合物、および、一般式(3)において、R8、R10およびR12.がメチルであり、R3〜R7、R9、R11およびR13〜R17が水素である化合物からなる群から選ばれる1以上である、[8]に記載のインクジェット用インク。
【0011】
[10] 多官能(メタ)アクリレート(D)がヒドロキシを有しない多官能(メタ)アクリレートである、[1]〜[9]のいずれかに記載のインクジェット用インク。
[11] 多官能(メタ)アクリレート(D)が、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFエチレンオキシド変性ジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリス[(メタ)アクリロキシエチル]イソシアヌレート、及びカプロラクトン変性トリス[(メタ)アクリロキシエチル]イソシアヌレートからなる群から選ばれる1以上である、[1]〜[9]のいずれかに記載のインクジェット用インク。
【0012】
[12] 化合物(A)が0.1〜20重量%、熱架橋性官能基を有するラジカル重合性モノマー(B)が1〜60重量%、光重合開始剤(C)が0.2〜20重量%、および、多官能(メタ)アクリレート(D)が1〜80重量%含まれる、[1]〜[11]のいずれかに記載のインクジェット用インク。
[13] さらに、熱架橋性樹脂(E)を含む、[1]〜[12]のいずれかに記載のインクジェット用インク。
[14] 熱架橋性樹脂(E)がメラミン樹脂である、[13]に記載のインクジェット用インク。
[15] さらに、難燃剤(F)を含む、[1]〜[14]のいずれかに記載のインクジェット用インク。
【0013】
[16] インクジェット法によって[1]〜[14]のいずれかに記載のインクジェット用インクを塗布し、塗布されたインクに光を照射することによって硬化膜を形成する、硬化膜形成方法。
[17] インクに光を照射して得られた硬化膜を、さらに加熱する、[16]に記載の硬化膜形成方法。
[18] [16]または[17]に記載された方法で得られた硬化膜。
[19] 所定のパターンで形成されている、[18]に記載の硬化膜。
[20] 金属を主成分とする回路を有する電子回路基板であって、その回路上に[18]または[19]に記載された硬化膜が被覆された電子回路基板。
[21] 前記金属が、金、銀、銅、アルミまたはITOである、[20]に記載の電子回路基板。
[22] [20]または[21]に記載された電子回路基板を有する電子部品。
[23] [18]または[19]に記載された硬化膜を有する、表示素子。
【0014】
なお、本明細書中、アクリレートとメタクリレートの両者を示すために「(メタ)アクリレート」のように表記することがある。
【発明の効果】
【0015】
本発明の好ましい態様に係るインクジェット用インクから得られる硬化膜は、たとえば、金属との密着性が高い硬化膜を提供できる。本発明の好ましい態様に係るインクジェット用インクから得られる硬化膜は電子回路基板の表面に形成された場合、加熱されても、基板界面での膨れや剥離を防ぐことができる。
また、本発明の好ましい態様に係るインクジェット用インクは、高い保存安定性と透明性を有する。
さらに、本発明の好ましい態様に係るインクジェット用インクを用いることにより、電子回路基板の製造における保護膜の形成にかかる手間や時間を短縮でき、消耗品も削減できる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
1.本発明のインクジェット用インク
本発明のインクジェット用インクは、一般式(1−1)〜(1−3)のいずれかで表される化合物(A)と、熱架橋性官能基を有するラジカル重合性モノマー(B)と、光重合開始剤(C)と、ラジカル重合性モノマー(B)以外の多官能(メタ)アクリレート(D)とを含むインクである。本発明のインクジェット用インクは、有色であっても、無色であってもよい。
【0017】
本発明のインクジェット用インクは、化合物(A)と、熱架橋性官能基を有するラジカル重合性モノマー(B)と、光重合開始剤(C)と、ラジカル重合性モノマー(B)以外の多官能(メタ)アクリレート(D)との他に、任意に、熱架橋性樹脂(E)、難燃剤(F)等を含むことができる。また、所望により、熱硬化性化合物、溶媒、添加剤、重合禁止剤、着色剤等をさらに含むことができる。
【0018】
本発明のインクジェット用インクは、E型粘度計で測定した25℃における粘度が2〜500mPa・sであるとインクジェットのヘッドからの塗布特性が良好となるので好ましい。
【0019】
1.1 化合物(A)
化合物(A)は、一般式(1−1)〜(1−3)のいずれかで表される化合物である。
式(1−1)〜(1−3)中のR1は炭素数1〜3のアルキルまたは水素であり、R2は環状構造を有してよい炭素数2〜12のアルキルであるが、これらの中でも、R1は炭素数1または水素であり、R2はエチレンであることが好ましい。
【0020】
化合物(A)は、式(1−1)〜(1−3)で表される化合物から選ばれる1種の化合物であっても、これらの混合物であってもよい。
化合物(A)が式(1−1)〜(1−3)で表される化合物から選ばれる2種以上の混合物の場合、主成分が(1−1)または(1−2)で表される化合物であることが好ましい。
【0021】
これらの中でも、R1が水素であり、R2がエチレンである式(1−1)で表される化合物が主成分であり、R1が水素であり、R2がエチレンである式(1−2)または式(1−3)で表される化合物が副成分である混合物[(共栄社化学(株)製)ライトエステル(商品名)P−1M。以下、「P−1M」という。]、および、R1が水素であり、R2がエチレンである式(1−2)で表される化合物が主成分であり、R1が水素であり、R2がエチレンである式(1−1)または式(1−3)で表される化合物が副成分である混合物[(共栄社化学(株)製)ライトエステル(商品名)P−2M。以下、「P−2M」という。]が好ましい。
【0022】
インクジェット用インク中に化合物(A)が0.1〜20重量%含まれると、インクを硬化して得られる硬化膜の金属に対する密着性が高まるので好ましく、インクジェット用インク中に化合物(A)が0.5〜10重量%含まれるとさらに好ましい。
【0023】
1.2 熱架橋性官能基を有するラジカル重合性モノマー(B)
熱架橋性官能基を有するラジカル重合性モノマー(B)は、熱架橋性官能基を有するラジカル重合性の化合物であれば特に限定されない。
【0024】
熱架橋性官能基を有するラジカル重合性モノマー(B)は、重合性官能基(炭素間二重結合、炭素間三重結合を含む)を少なくとも1つ有することが好ましい。
また、熱架橋性官能基を有するラジカル重合性モノマー(B)に含まれる熱架橋性官能基はヒドロキシ、カルボキシ、オキシランおよびオキセタンからなる群から選ばれる1以上であることが好ましく、これらの中でもヒドロキシが特に好ましい。
【0025】
なお、本発明の好ましい態様のインクジェット用インクにおける熱架橋性官能基を有するラジカル重合性モノマー(B)の熱架橋性官能基は、インクジェット用インク中に含まれる他の成分との相溶性を高める効果を有する。
【0026】
熱架橋性官能基を有するラジカル重合性モノマー(B)の好ましい例としては、ヒドロキシと1つの炭素間二重結合を有する重合性モノマー、ヒドロキシと2つの炭素間二重結合を有する重合性モノマー、ヒドロキシと3つ以上の炭素間二重結合を有する重合性モノマーを挙げることができる。
【0027】
熱架橋性官能基を有するラジカル重合性モノマー(B)において、ヒドロキシと1つの炭素間二重結合を有する重合性モノマーの具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
熱架橋性官能基を有するラジカル重合性モノマー(B)において、ヒドロキシと2つの炭素間二重結合を有する重合性モノマーの具体例としては、イソシアヌル酸エチレンオキシド変性ジ(メタ)アクリレート、グリセロールジアクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートモノステアレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
熱架橋性官能基を有するラジカル重合性モノマー(B)において、ヒドロキシと3つ以上の炭素間二重結合を有する重合性モノマーの具体例としては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0028】
これらの中でも、光硬化性インクジェット用インクに応用した場合の塗布安定性の観点から、熱架橋性官能基を有するラジカル重合性モノマー(B)は、ヒドロキシと1つの炭素間二重結合を有する重合性モノマーが好ましく、特に、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリレートが好ましい。
【0029】
また、熱架橋性官能基を有するラジカル重合性モノマー(B)は、一般式(4)で表される化合物であることが好ましい。一般式(4)中、R19はそれぞれ独立して環状構造を有していてもよい炭素数2〜12のアルキレンであるが、これらの中でも、エチレン、プロピレン、ブチレンまたは下記式(40)の構造で表される基が好ましい。
【化4】

【0030】
また、上記一般式(4)のnは1〜30の整数であり、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜3、さらに好ましくは1である。
【0031】
成分(B)として用いる化合物は、25℃における粘度が100mPa・s以下であると、たとえば得られるインクの粘度を低下させることができるので好ましい。
【0032】
熱架橋性官能基を有するラジカル重合性モノマー(B)は、1種の化合物であっても、2種以上の化合物の混合物であってもよい。
【0033】
インクジェット用インク中に熱架橋性官能基を有するラジカル重合性モノマー(B)が1〜60重量%含まれると、光硬化性インクジェット用インクとした場合のインクジェットヘッドからの吐出(塗布)が安定するので好ましく、インクジェット用インク中に熱架橋性官能基を有するラジカル重合性モノマー(B)が5〜50重量%含まれるとさらに好ましい。
【0034】
1.3 光重合開始剤(C)
光重合開始剤(C)は、少なくとも上記一般式(2)または(3)で表される化合物であり、両者の化合物を含んでもよい。
【0035】
上記一般式(2)または(3)のR3〜R17はそれぞれ独立して炭素数1〜5のアルキルまたは置換されていてもよいフェニルであるが、「炭素数1〜5のアルキル」の中では、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチルであることが好ましい。
【0036】
また、R3〜R17における「置換されていてもよいフェニル」とは、フェニルの任意の水素が独立に、置換基で置き換えられていてもよいものをいい、水素が置換基で置き換えられている場合における、好ましい置換基数は1〜4であり、より好ましい置換基数は2〜3である。また、置換されていてもよいフェニルにおいて置換基数が2以上である場合、各置換基は同一であっても異なっていてもよい。
「置換されていてもよいフェニル」における置換基の例としては、制限するわけではないが、炭素数1〜10の炭化水素(たとえば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニル、ナフチル、インデニル、トリル、キシリル、ベンジル等)、炭素数1〜10のアルコキシ(たとえば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等)、炭素数6〜10のアリールオキシ(たとえば、フェニルオキシ、ナフチルオキシ、ビフェニルオキシ等)、アミノ、ヒドロキシ、ハロゲン(たとえば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)又はシリルなどを挙げることができる。
【0037】
これらの中でも、光重合開始剤(C)は、一般式(2)において、R3、R5、R7、R8、R10およびR12がメチルであり、R4、R6、R9、R11およびR13〜R17が水素である化合物でありビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド[(チバスペシャルティーケミカルズ(株)製)IRGACURE(商品名)819。以下、「I−819」という。]、および、一般式(3)において、R8、R10およびR12.がメチルであり、R3〜R7、R9、R11およびR13〜R17が水素である2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド[(チバスペシャルティーケミカルズ(株)製)DAROCUR(商品名)TPO。以下、「TPO」という。]であると、得られるインクジェット用インクが少ない紫外線の照射量で硬化するから好ましい。
【0038】
光重合開始剤(C)は1種の化合物であっても、2種以上の異なる化合物の混合物であってもよい。したがって、本発明で用いられる光重合開始剤は、上記一般式(2)で表される2種以上の化合物の混合物であってもよいし、上記一般式(3)で表される2種以上の化合物の混合物であってもよい。
【0039】
また、光重合開始剤(C)は、上記一般式(2)または(3)で表される化合物以外の化合物を光重合開始剤として含んでもよい。
【0040】
上記一般式(2)または(3)で表される化合物と併用することができる光重合開始剤の具体例としては、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、キサントン、チオキサントン、イソプロピルキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−エチルアントラキノン、アセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−4’−イソプロピルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、イソプロピルベンゾインエーテル、イソブチルベンゾインエーテル、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、カンファーキノン、ベンズアントロン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、ビス(2,6−メトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4,4’−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,4,4’−トリ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2−(4’−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3’,4’−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2’,4’−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2’−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4’−ペンチルオキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−[p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)]−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(2’−クロロフェニル)−s−トリアジン、1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(4’−メトキシフェニル)−s−トリアジン、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、2−(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、3−(2−メチル−2−ジメチルアミノプロピオニル)カルバゾール、3,6−ビス(2−メチル−2−モルホリノプロピオニル)−9−n−ドデシルカルバゾール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム等を挙げることができる。
【0041】
光重合開始剤(C)は、インクジェット用インク中に0.2〜20重量%含まれると、インクジェット用インクとした場合に高感度となるので好ましく、0.5〜15重量%であるとより好ましい。
【0042】
また、光重合開始剤(C)において、上記一般式(2)および上記一般式(3)で表される化合物の割合が20重量%以上であると波長が395nm〜420nmの紫外線に対して高感度となるので好ましく、上記割合が50重量%以上であると、さらに好ましい。
【0043】
1.4 ラジカル重合性モノマー(B)以外の多官能(メタ)アクリレート(D)
本発明のインクジェット用インクは、ラジカル重合性モノマー(B)以外の多官能(メタ)アクリレート(D)を含む。
ラジカル重合性モノマー(B)以外の多官能(メタ)アクリレート(D)は、光感度を高める観点から有用である。本発明のラジカル重合性モノマー(B)以外の多官能(メタ)アクリレート(D)は、耐めっき液性や耐薬品性の観点から、ヒドロキシを有しない多官能(メタ)アクリレートであることが好ましい
【0044】
ヒドロキシを有しない多官能(メタ)アクリレート(D)の具体例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエチレンオキシド変性ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFエチレンオキシド変性ジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、メトキシ化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、トリス[(メタ)アクリロキシエチル]イソシアヌレート、カプロラクトン変性トリス[(メタ)アクリロキシエチル]イソシアヌレート等である。
これらの中でも、ヒドロキシを有しない多官能(メタ)アクリレート(D)として、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFエチレンオキシド変性ジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリス[(メタ)アクリロキシエチル]イソシアヌレート、カプロラクトン変性トリス[(メタ)アクリロキシエチル]イソシアヌレートから選ばれる1つ以上を含有していると、本発明のインクジェット用インクから得られる硬化膜の耐薬品性が高くなるので好ましい。
【0045】
多官能(メタ)アクリレート(D)として用いる化合物は、25℃における粘度が3000mPa・s以下であると、たとえば得られるインクの粘度が低下させることができるので好ましい。
【0046】
多官能(メタ)アクリレート(D)は、1種の化合物であっても、2種以上の化合物の混合物であってもよい。
【0047】
多官能(メタ)アクリレート(D)が、インクジェット用インク中に5〜80重量%含まれると、インクジェット用インクが光に対して高感度となるため好ましく、10〜70重量%含まれると、インクジェット用インクから得られる硬化膜の耐薬品性が高くなるので、より一層好ましい。
【0048】
1.5 熱架橋性樹脂(E)
本発明のインクジェット用インクは、熱架橋性樹脂(E)を含んでもよい。本発明のインクジェット用インクに含まれる熱架橋性樹脂としては、たとえば、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、熱架橋性官能基を有するラジカル重合性モノマーの重合体、熱架橋性官能基を有するラジカル重合性モノマーと他のラジカル重合性モノマーとの共重合体等が挙げられ、これらの中でも、メラミン樹脂を用いることが好ましい。
【0049】
メラミン樹脂の具体例としては、メラミン、メチロールメラミン、エーテル化メチロールメラミン、ベンゾグアナミン、メチロールベンゾグアナミン、エーテル化メチロールベンゾグアナミン、それらの縮合物等を挙げることができる。これらの中でも、耐薬品性が良好であることから、エーテル化メチロールメラミン、および、下記式(50)で表される化合物とその縮合物との混合物(三和ケミカル(株)製のニカラック(商品名)MW−30。以下、「MW−30」という。)が好ましい。
【化5】

【0050】
熱架橋性樹脂(E)は、1種の化合物であっても、2種以上の化合物の混合物であってもよい。
【0051】
本発明のインクジェット用インクにおいて、熱架橋性樹脂(E)がインクジェット用インク中に0.1〜20重量%含まれると、インクジェット用インクから得られる硬化膜の耐薬品性、耐熱性、柔軟性等が高くなるために好ましく、インク全体の1〜10重量%含まれるとさらに好ましい。
【0052】
1.6 難燃剤(F)
本発明のインクジェット用インクに難燃性を付与するために難燃剤(F)を含んでもよい。難燃剤(F)としてはリン系化合物が環境へ与える影響が少ないので好ましい。
【0053】
本発明のインクジェット用インクに含まれる好ましいリン系化合物の難燃剤(F)の具体例としては、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルフェニルホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10オキシド、10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド、縮合9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10オキシド等があげられる。
【0054】
これらの難燃剤の中でも、下記式(60)で表される縮合9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10オキシド[(昭和高分子(株)製)HFA−3003(商品名)。以下、「HFA−3003」という。]を用いると、本発明のインクジェット用インクから得られる硬化膜を高温状態にさらした場合でも難燃剤のブリードアウトがないので好ましい。
【化6】

【0055】
難燃剤(F)は、1種の化合物であっても、2種以上の化合物の混合物であってもよい。
【0056】
難燃剤(F)は、インクジェット用インク中に10〜50重量%含まれると、インクジェット用インクから得られる硬化膜が高い難燃性(UL燃焼試験法V−0規格相当)、耐薬品性、耐熱性、柔軟性を示すので好ましい。
【0057】
1.7 その他の成分
インクジェット用インクは、保存安定性や、形成される膜の耐久性、難燃性、インクの塗布特性等を向上させるために溶媒、重合禁止剤、着色剤等をさらに含んでもよい。
インクジェット用インクに、これらの成分が1種含まれても、2種以上含まれてもよい。
【0058】
1.7.1 溶媒(G)
インクジェット用インクはインクの吐出(塗布)特性を向上させるために溶媒(G)を含んでもよい。この溶媒(G)としては沸点が100℃以上の溶媒が好ましい。
室温でのインクジェット用インクの粘度が50mPa・s以上である場合には、ジェッティング温度を高くしてジェッティング時のインクジェット用インクの粘度を低下させることが好ましいが、この場合にインクに含まれる溶媒(G)の沸点は200℃以上であることが好ましい。
【0059】
沸点が100℃以上である溶媒(G)の具体例としては、水、酢酸ブチル、プロピオン酸ブチル、乳酸エチル、オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3−オキシプロピオン酸メチル、3−オキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸プロピル、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、トルエン、キシレン、アニソール、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルイミダゾリジノン等が挙げられる。
【0060】
これらの溶媒(G)の中でも、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル等を用いると、インクの吐出(塗布)が安定するので好ましい。
【0061】
溶媒(G)は、1種の化合物であっても、2種以上の化合物の混合物であってもよい。
【0062】
インクジェット用インク中に、溶媒(G)が0〜50重量%含まれると、光硬化性インクジェット用インクとした場合の吐出(塗布)が安定するので好ましく、より好ましくは0〜20重量%である。ジェッティング温度を高くする場合は、インクジェット用インク中に、溶媒(G)を含まないことが、特に好ましい。
【0063】
1.7.2 重合禁止剤(H)
インクジェット用インクは、保存安定性を向上させるために重合禁止剤(H)を含んでもよい。
重合禁止剤(H)の具体例としては、4−メトキシフェノール、ヒドロキノン、フェノチアジン等を挙げることができる。これらの中でも、ジェッティング時にインクジェットヘッドを加熱した場合のインクの粘度変化を最小にする観点から、重合禁止剤(H)としてフェノチアジンを用いることが好ましい。
【0064】
重合禁止剤(H)は、1種の化合物であっても、2種以上の化合物の混合物であってもよい。
【0065】
重合禁止剤(H)は、インクジェット用インクの保存安定性と光に対する高感度性とを両立させるという観点から、インクジェット用インク中に0.01〜1重量%含まれることが好ましい。
【0066】
1.7.3 着色剤(I)
インクジェット用インクは、着色剤(I)を含んでいてもよく、この場合、たとえば、得られる硬化膜の状態を検査する際に基板との識別を容易にすることができる。
【0067】
着色剤(I)は、1種の化合物であっても、2種以上の化合物の混合物であってもよい。
【0068】
着色剤(I)は、インクジェット用インク中に0.1〜10重量%程度、好ましくは0.2〜5重量%程度含まれてもよい。インク原料の相溶性の観点から、着色剤は染料であることが好ましい。
【0069】
2 インクジェット用インクの製法
本発明のインクジェット用インクは、インクを構成する各成分を混合することによって製造される。具体的には、本発明のインクジェット用インクは、所定の構造を有する化合物(A)、熱架橋性官能基を有するラジカル重合性モノマー(B)、光重合開始剤(C)、(B)の熱架橋性官能基とは異なる官能基を有する多官能(メタ)アクリレート(D)および、任意に含まれる成分(熱架橋性樹脂(E)、難燃剤(F)等)を混合して製造される。
なお、混合する順番は特に限定されない。
【0070】
特に本発明のインクジェットインク組成においては、インクジェット用インク中に化合物(A)を0.1〜20重量%と、重合性モノマー(B)を1〜60重量%と、光重合開始剤(C)を0.2〜20重量%と、多官能(メタ)アクリレート(D)を1〜80重量%を含む。さらに、化合物(A)を1〜5重量%と、重合性モノマー(B)を5〜50重量%と、光重合開始剤(C)を0.5〜15重量%と、多官能(メタ)アクリレート(D)を1〜70重量%となるように構成することが好ましい。
【0071】
本発明のインクジェット用インクにおいて、多官能(メタ)アクリレート(D)としてビスフェノールFエチレンオキシド変性ジアクリレート等の2官能の化合物を用いる場合、成分(A)として式(1−2)を主成分とする化合物を用い、重合性モノマー(B)として2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートおよび4−ヒドロキシブチルアクリレートからなる群から選ばれる少なくとも1つを、光重合開始剤(C)として2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドおよび2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1からなる群から選ばれる少なくとも1つを用いることが好ましい。当該組成のインクジェット用インクでは、インクの粘度や硬化膜としたときの架橋密度の点から、各成分の含有量は、インクジェット用インク中に化合物(A)が1〜5重量%であり、重合性モノマー(B)が5〜50重量%であり、光重合開始剤(C)が1〜10重量%であり、多官能(メタ)アクリレート(D)が1〜50重量%であると好ましい。
【0072】
本発明のインクジェット用インクにおいて、多官能(メタ)アクリレート(D)としてカプロラクトン変性トリス[アクリロキシエチル]イソシアヌレート等の3官能の化合物を用いる場合、成分(A)として式(1−2)を主成分とする化合物を用い、重合性モノマー(B)として2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリレートおよび2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレートからなる群から選ばれる少なくとも1つを、光重合開始剤(C)としてビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンおよびビス(2,6−メトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイドからなる群から選ばれる少なくとも1つを用いることが好ましい。当該組成のインクジェット用インクでは、インクの粘度や硬化膜としたときの架橋密度の点から、各成分の含有量は、インクジェット用インク中に化合物(A)が1〜5重量%であり、重合性モノマー(B)が5〜50重量%であり、光重合開始剤(C)が0.5〜10重量%であり、多官能(メタ)アクリレート(D)が20〜70重量%であると好ましい。
【0073】
本発明のインクジェット用インクにおいて、多官能(メタ)アクリレート(D)として、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ビスフェノールFエチレンオキシド変性ジアクリレート等の2官能の化合物、および、カプロラクトン変性トリス[アクリロキシエチル]イソシアヌレート等の3官能の化合物を混合して用いる場合、成分(A)として式(1−2)を主成分とする化合物を用い、重合性モノマー(B)として2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、および1,4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレートからなる群から選ばれる少なくとも1つを、光重合開始剤(C)としてビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ビス(2,6−メトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイドおよび2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1からなる群から選ばれる少なくとも1つを用いることが好ましい。当該組成のインクジェット用インクでは、インクの粘度や硬化膜としたときの架橋密度の点から、各成分の含有量は、インクジェット用インク中に化合物(A)が1〜5重量%であり、重合性モノマー(B)が5〜30重量%であり、光重合開始剤(C)が1〜10重量%であり、多官能(メタ)アクリレート(D)が20〜70重量%であると好ましい。
【0074】
3 インクジェット方法によるインクジェット用インクの塗布
本発明のインクジェット用インクは、公知のインクジェット方法で塗布する工程を有するインクジェット塗布方法に用いることができる。インクジェット塗布方法としては、たとえば、インクに力学的エネルギーを作用させてインクをヘッドから吐出(塗布)させる方法(いわゆるピエゾ方式)、および、インクに熱エネルギーを作用させてインクをヘッドから吐出(塗布)させる方法(いわゆるバブルジェット(登録商標)方式)等がある。
インクジェット塗布方法を用いることにより、インクジェット用インクを予め定められたパターン状に塗布することができる。これによって、必要な箇所だけにインクを塗布でき、フォトリソグラフィ法に比べて、コストの削減となる。
【0075】
本発明のインクジェット用インクを用いて塗布を行うのに好ましい塗布ユニットは、たとえば、これらのインクを収容するインク収容部と、塗布ヘッドとを備えた塗布ユニットが挙げられる。塗布ユニットとしては、たとえば、塗布信号に対応した熱エネルギーをインクに作用させ、前記エネルギーによりインク液滴を発生させる塗布ユニットが挙げられる。
塗布ヘッドとしては、たとえば、金属および/または金属酸化物を含有する発熱部接液面を有するものである。前記金属および/または金属酸化物の具体例は、たとえば、Ta、Zr、Ti、Ni、Al等の金属、および、これらの金属の酸化物等が挙げられる。
【0076】
本発明の光硬化性インクジェット用インクを用いて塗布を行うのに好ましい塗布装置としては、たとえば、インクが収容されるインク収容部を有する塗布ヘッドの室内のインクに、塗布信号に対応したエネルギーを与え、前記エネルギーによりインク液滴を発生させる装置が挙げられる。
【0077】
インクジェット塗布装置は、塗布ヘッドとインク収容部とが分離されているものに限らず、それらが分離不能に一体になったものを用いるものでもよい。また、インク収容部は塗布ヘッドに対し分離可能または分離不能に一体化されてキャリッジに搭載されるもののほか、装置の固定部位に設けられて、インク供給部材、たとえばチューブを介して塗布ヘッドにインクを供給する形態のものでもよい。
【0078】
また、インクジェットの吐出(塗布)温度は10〜120℃が好ましく、塗布温度におけるインクジェット用インクの粘度は、2〜200mPa・sであることが好ましく、2〜40mPa・sであればさらに好ましく、3〜20mPa・sが特に好ましい。
【0079】
4 硬化膜の形成
本発明の硬化膜は、公知のインクジェット塗布方法を用いて上記インクジェット用インクを基板の表面に塗布された後に、インクに紫外線や可視光線等の光を照射して得られる。光が照射された部分のインクはアクリルモノマーの重合により三次元化架橋体となって硬化し、インクの広がりを効果的に抑えられる。したがって、上記インクジェット用インクを用いると、高精細なパターンの描画が可能になる。インクジェット用インクの組成に依存するが、照射する光として紫外線を用いた場合には、照射する紫外線の量は、ウシオ電機(株)製の受光器UVD−405PDを取り付けた積算光量計UIT−201で測定して、10〜1,000mJ/cm2程度が好ましい。
また、必要に応じて、光の照射により硬化した上記硬化膜をさらに加熱・焼成してもよく、120〜250℃で10〜60分間加熱することが好ましい。
【0080】
基板は、上記インクジェット用インクが塗布される対象となり得るものであれば特に限定されず、その形状は平板状に限られず、曲面状であってもよい。
【0081】
また、基板の材質は特に限定されないが、たとえばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル、フッ素樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリイミド等のプラスチックフィルム、セロハン、アセテート、金属箔、ポリイミドと金属箔の積層フィルム、目止め効果があるグラシン紙、パーチメント紙、あるいはポリエチレン、クレーバインダー、ポリビニルアルコール、でんぷん、カルボキシメチルセルロース(CMC)などで目止め処理した紙、ガラスなどを挙げることができる。
【0082】
これらの基板を構成する物質には、本発明の効果に悪影響を及ぼさない範囲において、さらに、顔料、染料、酸化防止剤、劣化防止剤、充填剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤および/または電磁波防止剤等の添加剤を含んでもよい。また、基板の表面の一部には、基板とは異なる材質が形成されていてもよい。
【0083】
基板の用途も特に限定されないが、本発明のインクジェット用インクから得られる硬化膜は金属との密着性が高いため、基板表面に金属製の回路を有する電子回路基板等に用いられることが好ましい。
回路を形成する金属は、特に限定されるものではないが、金、銀、銅、アルミまたはITOが好ましい。
【0084】
基板の厚さは、特に限定されないが、通常、10μm〜2mm程度であり、使用する目的により適宜調整されるが、15〜500μmが好ましく、20〜200μmがさらに好ましい。
【0085】
基板における硬化膜を形成する面には、必要により撥水処理、コロナ処理、プラズマ処理、ブラスト処理等の易接着処理を施したり、表面に易接着層やカラーフィルター用保護膜を設けてもよい。
【0086】
また、インクジェット用インクを、特定の場所にだけ塗布することによって、所定のパターンの硬化膜を形成することができ、硬化膜の形成のためのコストの削減を図ることができる。特に電子回路基板では、基板表面に、基板自体と金属を主成分とする回路との2種類以上の材質が露出しており、金属との密着性の高い本発明のインクジェット用インクを、回路の部分にだけ塗布することによって、効率的に密着性の高い硬化膜を形成できる。
【実施例】
【0087】
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、以下において特に断りのない限り、「部」は重量部を意味するものとする。
【0088】
表1に記載された割合で配合し、混合溶解してフッ素樹脂製メンブレンフィルター(0.2μm)で濾過し、各インクジェット用インクを調製した。
【表1】



【0089】
表1における各成分は以下のとおりである。
化合物(A)
A1:ライトエステルP−2M
熱架橋性官能基を有するラジカル重合性モノマー(B)
B1:4−ヒドロキシブチルアクリレート
B2:1,4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート
光重合開始剤(C)
C1:TPO
C2:イルガキュア1870(チバスペシャルティーケミカルズ(株)製)
ラジカル重合性モノマー(B)以外の多官能(メタ)アクリレート(D)
D1:1,6−ヘキサンジオールジアクリレート
D2:ビスフェノールFエチレンオキシド変性ジアクリレート
D3:カプロラクトン変性トリス[アクリロキシエチル]イソシアヌレート
熱架橋性樹脂(E)
E1:MW−30
難燃剤(F)
F1:HFA−3003
その他の成分(J)
J1:ACMO((株)興人製、下記式(70)で表される化合物)
【化7】

【0090】
また、実施例1〜4および比較例1〜7のインクジェット用インクには、重合禁止剤(H)を除くインクジェット用インクの合計量を100重量部としたときに、0.05重量部のフェノチアジン(重合禁止剤(H))を添加した。
【0091】
(1) インクの粘度・保管による粘度の変化
このようにして得られた各インクジェット用インクの25℃での粘度をE型粘度計で測定した。結果を表2に示す。
【0092】
また、得られた各インクジェット用インクの一部(10g)を30mLのサンプル瓶に入れ、密栓して、100℃で5時間保管した。そして、保管前のインクに対する保管後のインクの粘度の変化率を調べた。
結果を表2に示す。ここで、インクの粘度の変化率が10%未満であった場合を「○」、インクの粘度の変化率が10%以上であった場合を「×」とした。実施例1〜実施例4のインクジェット用インクはいずれも保存安定性に優れていることがわかる。
【0093】
(2)試験基板の作製
得られた各インクジェット用インクをインクジェットカートリッジに注入し、インクジェット装置DMP−2811[(商品名)Dimatix社製]に装着し、以下の基板作製条件で、基板上にインクジェットプリンタにより各インクジェット用インクを塗布(描画)し、次いでUV硬化させ、さらに熱硬化させて硬化膜が形成された試験基板の作製を行った。
【0094】
基板作製条件
基板:銅箔(厚さ35μm)をポリイミド上に積層した基板[(東洋紡績(株)製)バイロフレックス(商品名)]の銅表面
硬化膜の膜厚:30μm
ヘッド温度:実施例1〜実施例4および比較例1〜比較例3、比較例6〜比較例7におけるヘッド温度は70℃、比較例4と比較例5におけるヘッド温度は30℃。
UV露光量:40mJ/cm2
熱硬化条件:190℃×30分
【0095】
(3)硬化膜の銅との密着性、および、半田耐熱性の評価
このようにして作製された試験基板において、硬化膜と銅との密着性、および、硬化膜の半田耐熱性を調べた。
【0096】
まず、硬化膜の銅との密着性を評価するために、碁盤目法(JIS K 5400(1990))を用いて、剥離が生じたか否かを調べた。当該試験は、温度25℃、湿度65%の条件下で行った。剥離が生じなかった場合を「○」、剥離が生じた場合を「×」としたところ、結果は、表2のとおりであった。
【0097】
また、硬化膜の半田耐熱性を評価するために、試験基板の硬化膜表面にロジン系フラックスを塗布して、260℃の半田浴中に30秒間浸漬させ、剥離や膨れが生じたか否かを調べた。剥離と膨れが全く生じなかった場合を「○」、剥離または膨れが僅かでも生じた場合を「×」とした。結果は、表2のとおりであった。
【0098】
【表2】



【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明は、たとえば、電子回路基板に使用される保護膜あるいは絶縁膜に使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1−1)〜(1−3)のいずれかで表される化合物(A)と、熱架橋性官能基を有するラジカル重合性モノマー(B)と、光重合開始剤(C)と、ラジカル重合性モノマー(B)以外の多官能(メタ)アクリレート(D)とを含むインクジェット用インク。
【化8】

(式(1−1)〜(1−3)中、R1はそれぞれ独立して炭素数1〜3のアルキルまたは水素であり、R2はそれぞれ独立して環状構造を有してよい炭素数2〜12のアルキレンである。)
【請求項2】
1はそれぞれ独立して水素またはメチルであり、R2はエチレンである、請求項1に記載のインクジェット用インク。
【請求項3】
熱架橋性官能基を有するラジカル重合性モノマー(B)の熱架橋性官能基がヒドロキシ、カルボキシ、オキシランおよびオキセタンからなる群から選ばれる1以上である、請求項1または2に記載のインクジェット用インク。
【請求項4】
熱架橋性官能基を有するラジカル重合性モノマー(B)の熱架橋性官能基がヒドロキシである、請求項1または2に記載のインクジェット用インク。
【請求項5】
熱架橋性官能基を有するラジカル重合性モノマー(B)の熱架橋性官能基の数が1である、請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェット用インク。
【請求項6】
熱架橋性官能基を有するラジカル重合性モノマー(B)が、一般式(4)で表される化合物である、請求項1または2に記載のインクジェット用インク。
【化9】

(式(4)中、R18は水素または炭素数1〜3のアルキルであり、R19はそれぞれ独立して環状構造を有していてもよい炭素数2〜12のアルキレンであり、nは1〜30の整数である。)
【請求項7】
熱架橋性官能基を有するラジカル重合性モノマー(B)が2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートおよび1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる1以上である、請求項1または2に記載のインクジェット用インク。
【請求項8】
光重合開始剤(C)が、一般式(2)または一般式(3)で表される化合物である、請求項1〜7のいずれかに記載のインクジェット用インク。
【化10】

(式(2)および式(3)中、R3〜R17はそれぞれ独立して、水素、炭素数1〜5のアルキルまたは置換基を有してもよいフェニルである。)
【請求項9】
光重合開始剤(C)が、一般式(2)において、R3、R5、R7、R8、R10およびR12がメチルであり、R4、R6、R9、R11およびR13〜R17が水素である化合物、および、一般式(3)において、R8、R10およびR12.がメチルであり、R3〜R7、R9、R11およびR13〜R17が水素である化合物からなる群から選ばれる1以上である、請求項8に記載のインクジェット用インク。
【請求項10】
多官能(メタ)アクリレート(D)がヒドロキシを有しない多官能(メタ)アクリレートである、請求項1〜9のいずれかに記載のインクジェット用インク。
【請求項11】
多官能(メタ)アクリレート(D)が、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFエチレンオキシド変性ジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリス[(メタ)アクリロキシエチル]イソシアヌレート、及びカプロラクトン変性トリス[(メタ)アクリロキシエチル]イソシアヌレートからなる群から選ばれる1以上である、請求項1〜9のいずれかに記載のインクジェット用インク。
【請求項12】
化合物(A)が0.1〜20重量%、熱架橋性官能基を有するラジカル重合性モノマー(B)が1〜60重量%、光重合開始剤(C)が0.2〜20重量%、および、多官能(メタ)アクリレート(D)が1〜80重量%含まれる、請求項1〜11のいずれかに記載のインクジェット用インク。
【請求項13】
さらに、熱架橋性樹脂(E)を含む、請求項1〜12のいずれかに記載のインクジェット用インク。
【請求項14】
熱架橋性樹脂(E)がメラミン樹脂である、請求項13に記載のインクジェット用インク。
【請求項15】
さらに、難燃剤(F)を含む、請求項1〜14のいずれかに記載のインクジェット用インク。
【請求項16】
インクジェット法によって請求項1〜14のいずれかに記載のインクジェット用インクを塗布し、塗布されたインクに光を照射することによって硬化膜を形成する、硬化膜形成方法。
【請求項17】
インクに光を照射して得られた硬化膜を、さらに加熱する、請求項16に記載の硬化膜形成方法。
【請求項18】
請求項16または17に記載された方法で得られた硬化膜。
【請求項19】
所定のパターンで形成されている、請求項18に記載の硬化膜。
【請求項20】
金属を主成分とする回路を有する電子回路基板であって、その回路上に請求項18または19に記載された硬化膜が被覆された電子回路基板。
【請求項21】
前記金属が、金、銀、銅、アルミまたはITOである、請求項20に記載の電子回路基板。
【請求項22】
請求項20または21に記載された電子回路基板を有する電子部品。
【請求項23】
請求項18または19に記載された硬化膜を有する、表示素子。

【公開番号】特開2010−229378(P2010−229378A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−84423(P2009−84423)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000002071)チッソ株式会社 (658)
【Fターム(参考)】