説明

インターフェロン療法の効果予測用マーカー

【課題】I型インターフェロン(IFN)療法における患者の治療効果を予測するためのIFN応答性関連遺伝子を同定し、患者の当該遺伝子を解析することによるI型IFN療法の治療効果の予測方法を提供すること。
【解決手段】ヒトインターフェロンλ2(IFNλ2)又はインターフェロンλ3(IFNλ3)遺伝子領域に存在する特定の遺伝子多型、および該多型と連鎖不平衡の関係にある遺伝子多型を検出し得るポリヌクレオチドを含有する、I型IFNによる治療に対する感受性予測用試薬。被験者における当該遺伝子多型を指標とする、I型IFNによる治療に対する感受性予測方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、I型インターフェロン療法における患者の治療効果を予測するためのマーカーとその使用等に関する。
【背景技術】
【0002】
慢性C型肝炎は、C型肝炎ウイルス (HCV) の感染を原因とするウイルス性疾患であり、その治療には最も治療効果が高いインターフェロン (IFN) 療法が用いられている。IFN療法には、I型IFN、すなわちIFN-αおよびIFN-βが、具体的には天然型IFN-αやPEG化されたIFN-α (ペグIFN)等が用いられており、もっとも治療効果が高いとされている。
しかしながら、IFN-α単独療法や、IFN-αおよび抗ウイルス剤 (例えばリバビリン) の併用療法で十分な治療効果が認められない患者も多く、HCVの遺伝子型1bに感染した患者の約50%、遺伝子型1b以外のHCVに感染した患者の約20%ではHCVが排除されないことが報告されている (非特許文献1、2および3を参照)。
【0003】
慢性C型肝炎に対するIFN療法の治療効果が患者によって異なる原因の研究は世界中で精力的に行われ、治療効果に影響を及ぼす因子としてウイルス側因子と宿主 (ヒト) 側因子が報告されている。ウイルス側因子としてはHCV遺伝子型1bかつ治療前血中ウイルス量が高値の場合、治療抵抗性であることが報告されている (非特許文献3および4を参照)。
【0004】
一方、IFN治療効果に影響を及ぼす宿主側の因子としては、年齢、性別、人種などが報告されている (非特許文献5を参照)。また、サイトカインなどの遺伝的多型がIFN療法の治療効果と関連することが、個別の遺伝子領域においては報告されている (非特許文献5および6を参照)。
【0005】
一方、インターフェロンλ2(IFNλ2)及びλ3(IFNλ3)は生理活性が不明なサイトカインとして同定され、それぞれIL28A及びIL28Bと命名されていた。その後これらが新しいIII型 (Type III) のインターフェロンであり、λ1、λ2、λ3の3つのサブタイプが存在することがわかった。また、インターフェロンλは抗ウイルス作用があることが報告されている(非特許文献7,8を参照)。また、IFNλ2およびλ3は、IL28Ra及びIL10Rβのヘテロ受容体に結合することが知られている (非特許文献9を参照)。更に、IFNλ2又はIFNλ3の発現はウイルスやIFN-αによって誘導されることも報告されている(非特許文献10を参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】N. Engl. J. Med. 2002; 347: 975-982
【非特許文献2】NIH Consens Statement 1997; 15: 1-41
【非特許文献3】Ann. Intern. Med. 2000; 132: 296-305
【非特許文献4】J. Viral. Hepat. 2000; 7: 250-257
【非特許文献5】Hepatology 2004; 39: 880-890
【非特許文献6】J. Hepatol. 2002; 36: 271-277
【非特許文献7】Nature immunology 2003; 4 1:69-77
【非特許文献8】J. Viral 2005; 79 6:3851-3854
【非特許文献9】Nature immunology 2003; 4 1:63-68
【非特許文献10】J. Viral 2006; 80 9:4501-4509
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、IFN療法における患者の治療効果を予測するためのIFN応答性関連遺伝子を同定し、患者の当該遺伝子を解析することによるIFN療法の治療効果の予測方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、IFN療法の治療効果と関連する遺伝子を見出すべく、遺伝的多型、特に一塩基多型 (SNP, single nucleotide polymorphism) に着目して鋭意検討を行った。SNPとは無作為に抽出された集団において頻度が1%以上の点突然変異として定義され、遺伝子上には約1000塩基対ごとに一つ存在するため、遺伝的多型の良いマーカーとなり得る。隣接するSNP間では相同染色体間の組み換えがおこらないことから(連鎖不平衡)、連鎖不平衡となる複数のSNPの遺伝的多様性は選択された一つのSNPにより代表でき、当該SNPは「タグSNP」と定義される (Nat. Rev. Cancer 2004, 4, 850-860; Nat. Genet. 2001, 29, 233-237)。具体例で説明すると、SNP1がA対立遺伝子またはT対立遺伝子であり、隣接するSNP2がC対立遺伝子またはG対立遺伝子の場合に、SNP1のA対立遺伝子とSNP2のC対立遺伝子が同じ染色体上にあり、他方の相同染色体上にSNP1のT対立遺伝子とSNP2のG対立遺伝子がある場合を設定する。SNP1とSNP2の間で減数分裂時に組み換えが起こらない場合、次世代でも同じ染色体上にSNP1のA対立遺伝子とSNP2のC対立遺伝子があり、同じ染色体上にSNP1のT対立遺伝子とSNP2のG対立遺伝子があり、対立遺伝子間に関連性が生じる(これを連鎖不平衡という)。その場合、SNP1がA対立遺伝子であれば、SNP2はC対立遺伝子であるため、この2ヶ所のSNPはSNP1で代表可能となる。多くの場合では、隣接する複数のSNP間で強い関連性があり連鎖不平衡となることが実証されており、連鎖不平衡となる領域の多型性はタグSNPで代表することが可能となる。
【0009】
近年、SNP解析技術とその理論は飛躍的に発達しており、症例群 (疾患罹患者群または薬剤応答性がある群) と対照群 (健常者 (もしくは他疾患罹患者) 群または薬剤応答性が無い群) の2群間において、タグSNPの対立遺伝子の頻度を比較することにより、2群間で有意な差のあるSNPを探索して、疾患や薬剤応答性に関連する遺伝子 (疾患感受性遺伝子または薬剤応答性関連遺伝子) を同定する、症例-対照相関解析が行われている。
【0010】
そこで、本発明者らは、IFN-αによる治療を受けている慢性C型肝炎に罹患した日本人の患者(HCV感染患者)、詳しくは、ペグIFNとリバピリンの併用療法を受けている患者について、ゲノムワイドのSNPジェノタイピングを行い、IFN療法効果の有無と相関する(P<10-7)2つのSNPsを抽出した。これらのSNPsはいずれもIFNλ3遺伝子の上流に位置し、強い連鎖不平衡(r2=0.96)を示したので、最小のP値を与えたSNPをタグSNPとして選択した。
【0011】
選択されたタグSNPについて、(1) IFN-α単独療法を受けている患者、(2) ペグIFNとリバピリンの併用療法を受けている患者、及び (3) IFN-αとリバピリンの併用療法を受けている患者のそれぞれにつき、症例-対照(IFN療法著効群vs非著効群)相関解析を行った結果、IFN療法の態様やHCVの遺伝子型に関係なく、このタグSNPが慢性C型肝炎に対するIFN療法の治療効果と相関することが確認された。さらに、本発明者らは、該SNPと連鎖不平衡の関係にある他の遺伝子多型を同定するべく、相当数の個体について、該SNPの近傍約42kb(IFNλ2およびIFNλ3の遺伝子領域を包含する)のゲノム配列を決定し、該領域内に存在する遺伝子多型を検出した。その結果、上記タグSNPと強い連鎖不平衡を示す26個の遺伝子多型が同定された。同定されたいずれかの遺伝子多型の遺伝子型を検定することにより、患者のIFN治療効果の予測が可能になった。また、同定されたSNPはI型のIFN治療効果に影響を与える遺伝子のコード領域またはその近傍に存在する可能性が高いが、本発明者らは当該遺伝子としてIFNλ2及びIFNλ3遺伝子を同定した。
本発明は上記の知見により、完成するに至ったものである。
【0012】
すなわち本発明は、
〔1〕ヒト第19番染色体短腕19q13.13に位置するインターフェロンλ2(IFNλ2)およびインターフェロンλ3(IFNλ3)遺伝子領域に存在する遺伝子多型であって、以下の群:
A)配列番号1で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(C>T);
B)配列番号2で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(T>A);
C)配列番号3で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(A>T);
D)配列番号4で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(A>G);
E)配列番号5で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(G>A);
F)配列番号6で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(T>C);
G)配列番号7で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(T>C);
H)配列番号8で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(C>T);
I)配列番号9で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(C>A);
J)配列番号10で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(A>G);
K)配列番号11で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(C>G);
L)配列番号12で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(C>T);
M)配列番号13で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(A>G);
N)配列番号14で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(C>T);
O)配列番号15で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(A>G);
P)配列番号16で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(C>G);
Q)配列番号17で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(TT>G);
R)配列番号18で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(G>C);
S)配列番号19で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(C>A);
T)配列番号20で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(C>T);
U)配列番号21で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(->CT);
V)配列番号22で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(C>T);
W)配列番号23で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(A>T);
X)配列番号24で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(G>A);
Y)配列番号25で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(->GA);および
Z)配列番号26で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(AC>-);
(但し、括弧内はメジャー対立遺伝子>マイナー対立遺伝子を示し、「-」は塩基の欠失を示す。)
から選択される少なくとも1つの遺伝子多型において、各マイナー対立遺伝子を検出し得るポリヌクレオチドを含んでなる、I型インターフェロンによる治療に対する感受性予測用試薬、
〔2〕各メジャー対立遺伝子を検出し得るポリヌクレオチドをさらに含む、上記〔1〕に記載の試薬、
〔3〕各対立遺伝子を検出し得るポリヌクレオチドが、各配列番号で表わされる塩基配列において該対立遺伝子を含む10〜200の連続した塩基配列もしくはその相補鎖配列からなるIFNλ2又はIFNλ3の遺伝子断片と、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズし得るプローブ、および/または該遺伝子断片を増幅し得るプライマーである、上記〔1〕または〔2〕に記載の試薬、
〔4〕IFNλ2又はIFNλ3の遺伝子断片が10〜50の連続した塩基配列からなる、上記〔3〕に記載の試薬、
〔5〕IFNλ2又はIFNλ3の遺伝子断片が15〜30の連続した塩基配列からなる、上記〔3〕に記載の試薬、
〔6〕I型インターフェロンによる治療が適用され得る疾患の患者に対して、インターフェロン療法が有効であるかどうかを予測するために用いられる、上記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の試薬、
〔7〕I型インターフェロンによる治療が適用され得る疾患の患者がHCV感染患者である、上記〔6〕に記載の試薬、
〔8〕HCV感染患者がHCV遺伝子型1b感染患者、HCV遺伝子型1a感染患者又はHCV遺伝子型2a感染患者である、上記〔7〕に記載の試薬、
〔9〕HCV感染患者が東アジア人である、上記〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載の試薬、
〔10〕(1)被験者由来の遺伝子サンプルを使用し、ヒト第19番染色体短腕19q13.13に位置するインターフェロンλ2(IFNλ2)およびインターフェロンλ3(IFNλ3)遺伝子領域に存在する遺伝子多型であって、以下の群:
A)配列番号1で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(C>T);
B)配列番号2で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(T>A);
C)配列番号3で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(A>T);
D)配列番号4で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(A>G);
E)配列番号5で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(G>A);
F)配列番号6で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(T>C);
G)配列番号7で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(T>C);
H)配列番号8で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(C>T);
I)配列番号9で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(C>A);
J)配列番号10で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(A>G);
K)配列番号11で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(C>G);
L)配列番号12で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(C>T);
M)配列番号13で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(A>G);
N)配列番号14で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(C>T);
O)配列番号15で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(A>G);
P)配列番号16で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(C>G);
Q)配列番号17で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(TT>G);
R)配列番号18で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(G>C);
S)配列番号19で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(C>A);
T)配列番号20で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(C>T);
U)配列番号21で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(->CT);
V)配列番号22で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(C>T);
W)配列番号23で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(A>T);
X)配列番号24で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(G>A);
Y)配列番号25で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(->GA);
Z)配列番号26で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(AC>-);および
AA)配列番号27で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(T>G);
(但し、括弧内はメジャー対立遺伝子>マイナー対立遺伝子を示し、「-」は塩基の欠失を示す。)
から選択される少なくとも1つの遺伝子多型を試験する工程、および
(2)(1)の試験の結果、マイナー対立遺伝子の存在が認められた場合、被験者のI型インターフェロンによる治療に対する感受性が低いと判断する工程
を含む、被験者のI型インターフェロンによる治療に対する感受性の予測方法、
〔11〕遺伝子サンプルが、ゲノムDNAまたはRNAを含む、上記〔10〕に記載の予測方法、
〔12〕被験者が、I型インターフェロンによる治療が適用され得る疾患の患者である、上記〔10〕又は〔11〕に記載の予測方法、
〔13〕I型インターフェロンによる治療が適用され得る疾患の患者がHCV感染患者である、上記〔12〕に記載の予測方法、
〔14〕HCV感染患者がHCV遺伝子型1b感染患者、HCV遺伝子型1a感染患者、又はHCV遺伝子型2a感染患者である、上記〔13〕に記載の予測方法、
〔15〕被験者が、東アジア人である、上記〔10〕〜〔14〕のいずれかに記載の予測方法、
〔16〕(1)被験者由来の遺伝子サンプルを使用し、ヒト第19番染色体短腕19q13.13に位置するインターフェロンλ2(IFNλ2)およびインターフェロンλ3(IFNλ3)遺伝子領域に存在する遺伝子多型であって、配列番号27で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型を試験する工程、および
(2)(1)の試験の結果、メジャー対立遺伝子のホモ接合型遺伝子多型(TT)の存在が認められた場合、被験者のI型インターフェロンによる治療に対する感受性が高いと判断する工程
を含む、被験者のI型インターフェロンによる治療に対する感受性の予測方法、および
〔17〕被験者が、東アジア人である、上記〔16〕に記載の予測方法
に関する。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、IFN療法、詳しくはI型IFN療法における患者の治療効果を予測するためのマーカーを提供することが可能になった。すなわち本発明により、慢性C型肝炎におけるIFN療法の治療効果を判断するためのマーカーである、IFNλ2又はIFNλ3の遺伝子領域上の遺伝子多型が提供される。また、当該多型を有するか否かに基づいて被験者の遺伝子型を予測することにより、当該被験者がIFN療法を受けた場合の治療効果を予測することが可能となる。
IFN療法は投与期間が半年以上の長期間に及び、かつ副作用が報告されていることから (Adv. Intern. Med. 1994, 39, 241-275)、予め治療効果の予測が可能になれば、最適な治療法の選択、適切な投与量、投与期間の判断が可能になると考えられ、患者にとって有益である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】IFN療法(ペグインターフェロン・リバビリン併用療法)の治療効果と関連するSNPsのゲノムワイド関連解析の結果を示す図である。各SNPのP値(コクラン・アーミテージ検定)の対数を染色体上の位置に対してプロットした。横軸の数字は染色体番号を示す。最小のP値を示すSNPのピークは、ヒト第19番染色体19q13.13に位置するインターフェロンλ2(IFNλ2)及びインターフェロンλ3(IFNλ3)遺伝子のマップされている領域に位置していた。
【図2】ゲノムワイドSNP関連解析のP値の分布をquantile-quantile plot(Q-Qplot)で示した図である。帰無仮説下に予想されるP値をx軸、実際のP値をy軸にプロットしている。y=xの直線は帰無仮説下におけるP値の分布様態を示している。
【図3】IFN療法(ペグインターフェロン・リバビリン併用療法)開始後2週間後の血中HCV-RNAの減少率を、rs8099917 (T/G) の遺伝子型に分けて示す図である。縦軸は「IFN療法(ペグインターフェロン・リバビリン併用療法)開始後2週間後の血中HCV-RNA量(2W)」を「IFN療法(ペグインターフェロン・リバビリン併用療法)前の血中HCV-RNA量(0W)」で割った値の10を底とした対数変換値であり、IFN療法(ペグインターフェロン・リバビリン併用療法)開始2週間後の血中HCV-RNA減少率を表している。ドットは各症例の数値を、バーは平均値を示している。 横軸は、遺伝子型を示している。
【図4】IFN療法(ペグインターフェロン・リバビリン併用療法)開始後4週間後の血中HCV-RNAの減少率を、rs8099917 (T/G) の遺伝子型に分けて示す図である。縦軸は「IFN療法(ペグインターフェロン・リバビリン併用療法)開始後4週間後の血中HCV-RNA量(4W)」 を「IFN療法(ペグインターフェロン・リバビリン併用療法)前の血中HCV-RNA量(0W)」で割った値の10を底とした対数変換値であり、IFN療法(ペグインターフェロン・リバビリン併用療法)開始4週間後の血中HCV-RNA減少率を表している。ドットは各症例の数値を、バーは平均値を示している。 横軸は、遺伝子型を示している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明を詳細に説明する。
本明細書において、IFNλ2とは、
(a)配列番号29(Genbank Accession No.:NP_742150)で表わされるアミノ酸配列を含むタンパク質、
(b)配列番号28(Genbank Accession No.:NM_172138)で表わされる塩基配列を含むポリヌクレオチドでコードされるタンパク質、
(c)(c-1) 配列番号29で表わされるアミノ酸配列において、1もしくは複数のアミノ酸が欠失、付加、挿入もしくは置換されたアミノ酸配列、(c-2)配列番号29で示されるアミノ酸配列と70%以上の配列相同性を有するアミノ酸配列、または(c-3)配列番号28で表わされる塩基配列の第53番目〜第655番目の塩基配列を有するDNAに対し相補性を有するDNAと、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAによりコードされるアミノ酸配列からなり、かつIL28Ra及びIL10Rβのヘテロ受容体への結合活性を有する蛋白質である。
また、本明細書において、IFNλ3とは、
(d)配列番号31(Genbank Accession No.:NP_742151)で表わされるアミノ酸配列を含むタンパク質、
(e)配列番号30(Genbank Accession No.:NM_172139)で表わされる塩基配列を含むポリヌクレオチドでコードされるタンパク質、
(f)(f-1) 配列番号31で表わされるアミノ酸配列において、1もしくは複数のアミノ酸が欠失、付加、挿入もしくは置換されたアミノ酸配列、(f-2)配列番号31で示されるアミノ酸配列と70%以上の配列相同性を有するアミノ酸配列、または(f-3)配列番号30で表わされる塩基配列の第5番目〜第595番目の塩基配列を有するDNAに対し相補性を有するDNAと、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAによりコードされるアミノ酸配列からなり、かつIL28Ra及びIL10Rβのヘテロ受容体への結合活性を有する蛋白質である。
ここで、前記(c-1)及び(f-1)における「アミノ酸の欠失、付加、挿入もしくは置換」や前記(c-2)及び(f-2)における「70%以上の配列相同性」には、例えば、配列番号29又は配列番号31で示されるアミノ酸配列を有する蛋白質が細胞内で受けるプロセシング、該蛋白質が由来する生物の種差、個体差、組織間の差異等により天然に生じる変異や、人為的なアミノ酸の変異等が含まれる。
前記(c-1)及び(f-1)における「アミノ酸の欠失、付加もしくは置換」(以下、総じてアミノ酸の改変と記すこともある。)を人為的に行う場合の手法としては、例えば、配列番号28又は配列番号30で示されるアミノ酸配列をコードするDNAに対して慣用の部位特異的変異導入を施し、その後このDNAを常法により発現させる手法が挙げられる。ここで部位特異的変異導入法としては、例えば、アンバー変異を利用する方法(ギャップド・デュプレックス法、Nucleic Acids Res., 12, 9441-9456 (1984))、変異導入用プライマーを用いたPCRによる方法等が挙げられる。
前記で改変されるアミノ酸の数については、少なくとも1残基、具体的には1若しくは数個、またはそれ以上である。かかる改変の数は、当該蛋白質のIL28Ra及びIL10Rβのヘテロ受容体への結合活性などIFNλ2又はIFNλ3の活性を見出すことのできる範囲であれば良い。
また前記欠失、付加または置換のうち、特にアミノ酸の置換に係る改変が好ましい。当該置換は、疎水性、電荷、pK、立体構造上における特徴等の類似した性質を有するアミノ酸への置換がより好ましい。このような置換としては、例えば、i)グリシン、アラニン;ii)バリン、イソロイシン、ロイシン;iii)アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン;iv)セリン、スレオニン;v)リジン、アルギニン;vi)フェニルアラニン、チロシンのグループ内での置換が挙げられる。
【0016】
「配列相同性」とは、2つのDNAまたは2つの蛋白質間の配列の同一性および類似性をいう。前記「配列相同性」は、比較対象の配列の領域にわたって、最適な状態にアラインメントされた2つの配列を比較することにより決定される。ここで、比較対象のDNAまたは蛋白質は、2つの配列の最適なアラインメントにおいて、付加または欠失(例えばギャップ等)を有していてもよい。このような配列相同性に関しては、例えば、Vector NTIを用いて、ClustalWアルゴリズム (Nucleic Acid Res., 22(22): 4673-4680 (1994)) を利用してアラインメントを作成することにより算出することができる。尚、配列相同性は、配列解析ソフト、具体的にはVector NTI、GENETYX-MACや公共のデータベースで提供される解析ツールを用いて測定される。前記公共データベースは、例えば、ホームページアドレスhttp://www.ddbj.nig.ac.jpにおいて、一般的に利用可能である。
本発明における配列相同性は、70%以上であればよいが、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、更に好ましくは95%以上である。
【0017】
前記(c-3)及び(f-3)における「ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする」に関して、ここで使用されるハイブリダイゼーションは、例えば、Sambrook J., Frisch E. F., Maniatis T.著、モレキュラークローニング第2版(Molecular Cloning 2nd edition)、コールド スプリング ハーバー ラボラトリー発行(Cold Spring Harbor Laboratory press)等に記載される通常の方法に準じて行うことができる。また「ストリンジェントな条件下」とは、例えば、6×SSC(1.5M NaCl、0.15M クエン酸三ナトリウムを含む溶液を10×SSCとする)、50%フォルムアミドを含む溶液中で45℃にてハイブリッドを形成させた後、2×SSCで50℃にて洗浄するような条件(Molecular Biology, John Wiley & Sons, N. Y. (1989), 6.3.1-6.3.6)等を挙げることができる。洗浄ステップにおける塩濃度は、例えば、2×SSCで50℃の条件(低ストリンジェンシーな条件)から0.2×SSCで50℃の条件(高ストリンジェンシーな条件)までから選択することができる。洗浄ステップにおける温度は、例えば、室温(低ストリンジェンシーな条件)から65℃(高ストリンジェンシーな条件)から選択することができる。また、塩濃度と温度の両方を変えることもできる。
本明細書において、IFNλ2とは、上記(a)〜(c)に該当し、IFNλ2としての生理活性を維持するものであれば特に限定はない。ここでIFNλ2の生理活性としては、IL28Ra及びIL10Rβのヘテロ受容体への結合活性、及び抗ウイルス活性が挙げられる。IL28Ra及びIL10Rβのヘテロ受容体への結合活性は、非特許文献9に記載されている方法で測定することができる。又、抗ウイルス活性は、非特許文献8に記載されている方法等、当業者に周知の方法で測定することができる。
【0018】
上述のIFNλ2(タンパク質)の具体例として、配列番号29で示されるアミノ酸配列からなるヒトIFNλ2の他、マウス(Genbank Acc. No.: NP_001019844)、ラット(Genbank Acc. No.:XP_001065467)等の、他の動物種のオルソログを挙げることができる。
本明細書において、IFNλ2遺伝子とは、上記IFNλ2をコードする塩基配列を有する遺伝子を表わす。具体的には、配列番号28で示される塩基配列からなるヒトIFNλ2 cDNAの他、マウス(Genbank Acc. No.: NM_001024673)、ラット(Genbank Acc. No.:XM_001065467)等の、他の動物種のオルソログを挙げることができる。
【0019】
上述のIFNλ3(タンパク質)の具体例として、配列番号31で示されるアミノ酸配列からなるヒトIFNλ3の他、チンパンジー(Genbank Acc. No.: XP_001135462)、マウス(Genbank Acc. No.: NP_796370)、ニワトリ(Genbank Acc. No.: NP_001121968)、イヌ(Genbank Acc. No.:XP_855366.)等、の、他の動物種のオルソログを挙げることができる。
本明細書において、IFNλ3遺伝子とは、上記IFNλ3をコードする塩基配列を有する遺伝子を表わす。具体的には、配列番号30で示される塩基配列からなるヒトIFNλ3 cDNAの他、チンパンジー(Genbank Acc. No.: XM_001135462)、マウス(Genbank Acc. No.:NM_177396)、ニワトリ(Genbank Acc. No.: NM_001128496)、イヌ(Genbank Acc. No.:XM_850273)等の、他の動物種のオルソログを挙げることができる。
【0020】
I.本発明のマーカー多型およびその検出用試薬
本発明の第一の態様は、上述の〔1〕〜〔9〕に記載のI型IFNによる治療に対する感受性予測用試薬に関する。すなわち、上記〔1〕のA)〜Z)に示される遺伝子多型(SNPもしくはDIP (欠失/挿入多型))は、いずれも互いに連鎖不平衡となる多型であり、本発明のマーカー多型として有用である。ここで「連鎖不平衡」とは、連鎖不平衡係数r2が0.64以上、好ましくは0.8以上の連鎖不平衡状態にある多型である。「連鎖不平衡係数r2」は、2つの遺伝子多型について第一の多型の各対立遺伝子を(A, a)、第二の多型の各対立遺伝子を(B, b)とし、4つのハプロタイプ(AB, Ab, aB, ab)の各頻度をPAB, PAb, PaB, Pabとすると、下記式により得られる。
r2=(PABPab−PAbPaB)2/(PAB+PaB)(PaB+Pab)(PAB+PAb)(PAb+Pab)
また上記遺伝子多型と連鎖不平衡となるその他の既知多型についても、例えば、HapMapデータベース (http://www.hapmap.org/index.html.ja) 等を用いて同定することができる。本明細書において「(遺伝子)多型」とは、ゲノムDNA上の1または複数の塩基の変化(置換、欠失、挿入、転位、逆位等)であって、その変化が集団内に1%以上の頻度で存在するものをいい、例えば、1個の塩基が他の塩基に置換されたもの(SNP)、1〜数十塩基が欠失もしくは挿入されたもの(DIP)、2〜数十塩基を1単位とする配列が繰り返し存在する部位においてその繰り返し回数が異なるもの(繰り返し単位が2〜4塩基のものをマイクロサテライト多型、数〜数十塩基のものをvariable number of tandem repeat (VNTR)という)等が挙げられるが、好ましくはSNPもしくはDIPである。
【0021】
ここで、「ヒト第19番染色体短腕19q13.13に位置するインターフェロンλ2(IFNλ2)およびインターフェロンλ3(IFNλ3)遺伝子領域」とは、配列番号28で示されるヒトIFNλ2をコードする遺伝子、及び配列番号30で示されるヒトIFNλ3をコードする遺伝子を含むゲノム領域であり、NCBI genome sequence ID番号:NT_011109.15において、contig番号11987420〜12029980で示される領域並びにその上流および下流約5kbpの領域を挙げることができる。当該遺伝子領域の遺伝子配列は、個体差、組織間の差異等により天然に生じる変異を含む。
「ポリヌクレオチド」とは、RNAおよびDNAを共に含む概念である。ここで「DNA」とは、2本鎖DNAのみならず、それを構成するセンス鎖(正鎖とも言う)およびアンチセンス鎖(相補鎖または逆鎖とも言う)といった各1本鎖DNAを包含する趣旨で用いられる。
ここでアンチセンス鎖(相補鎖、逆鎖)とは、正鎖に対して、A:TおよびG:Cといった塩基対関係に基づいて、塩基的に相補的な関係にあるポリヌクレオチドを意味するものである。
なお、遺伝子またはDNAは、機能領域の別を問うものではなく、例えば発現制御領域、コード領域、エキソン、またはイントロンを含むことができる。
また、「RNA」とは、1本鎖RNAのみならず、それに相補的な配列を有する1本鎖RNA、さらにはそれらから構成される2本鎖RNAを包含する趣旨で用いられる。
さらに、DNAとRNAとのキメラ分子やDNA:RNAハイブリッドもまた、本明細書におけるポリヌクレオチドに包含される。
【0022】
「対立遺伝子」とは、染色体上の同一の遺伝子座(座位)を占めることができる遺伝構成要素が複数存在する場合、その一つの型と定義される。
機能単位としての遺伝子を必ず含む概念ではなく、SNPなどの遺伝子多型についても同一遺伝子座に複数の塩基(配列)が存在する場合もある。すなわち、両親由来の1対の相同な染色体において相同な遺伝子座に位置する複数種の遺伝子や塩基を示し、本明細書の場合は相同な遺伝子座に位置するSNPなどの遺伝子多型を示す。例を挙げて説明すると、ある遺伝子座について父親由来の染色体ではA、母親由来の染色体ではGの場合、それぞれA対立遺伝子、G対立遺伝子という概念をしめす。英語表記はA allele、G alleleとなる。
本明細書において、「メジャー対立遺伝子(major allele)」とは、該当する遺伝子座で、遺伝子多型が存在する場合に高頻度で出現する方の塩基(配列)を表す。例えば、父親由来の染色体ではA、母親由来の染色体ではGのSNPを想定した場合、A対立遺伝子の頻度が80%、G対立遺伝子の頻度が20%の場合、50%を超える頻度を示すAのSNPをメジャー対立遺伝子と言う。一方、該当する遺伝子座で、遺伝子多型が存在する場合に低頻度で出現する方の塩基(配列)(上記の例においては、GのSNP)をマイナー対立遺伝子と言う。
【0023】
本発明において、〔1〕のA)に記載のマーカー多型は、配列番号1で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型であり、NCBI [http://www.ncbi.nlm.nih.gov/] が提供するSNPデータベースdbSNP [http://www.ncbi.nlm.nih.gov/SNP/] でのID番号:rs955155で示されるSNPである。当該多型は、ヒトIFNλ2及びヒトIFNλ3の遺伝子の領域を含むゲノム配列NT_011109.15においてcontig番号11997697に相当する塩基がC又はT(C>T;メジャー対立遺伝子>マイナー対立遺伝子で示す。以下同じ)である遺伝子多型である。
本発明において、〔1〕のB)に記載のマーカー多型は、配列番号2で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型であり、NCBI [http://www.ncbi.nlm.nih.gov/] が提供するSNPデータベースdbSNP [http://www.ncbi.nlm.nih.gov/SNP/] でのID番号:rs958039で示されるSNPである。当該多型は、ヒトIFNλ2及びヒトIFNλ3の遺伝子の領域を含むゲノム配列NT_011109.15においてcontig番号11998519に相当する塩基がT又はA(T>A)である遺伝子多型である。
本発明において、〔1〕のC)に記載のマーカー多型は、配列番号3で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型であり、NCBI [http://www.ncbi.nlm.nih.gov/] が提供するSNPデータベースdbSNP [http://www.ncbi.nlm.nih.gov/SNP/] でのID番号:rs35790907で示されるSNPである。当該多型は、ヒトIFNλ2及びヒトIFNλ3の遺伝子の領域を含むゲノム配列NT_011109.15においてcontig番号11998973に相当する塩基がA又はT(A>T)である遺伝子多型である。
本発明において、〔1〕のD)に記載のマーカー多型は、配列番号4で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型である。当該多型は、ヒトIFNλ2及びヒトIFNλ3の遺伝子の領域を含むゲノム配列NT_011109.15においてcontig番号12000930に相当する塩基がA又はG(A>G)である遺伝子多型である。
本発明において、〔1〕のE)に記載のマーカー多型は、配列番号5で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型である。当該多型は、ヒトIFNλ2及びヒトIFNλ3の遺伝子の領域を含むゲノム配列NT_011109.15においてcontig番号12000970に相当する塩基がG又はA(G>A)である遺伝子多型である。
本発明において、〔1〕のF)に記載のマーカー多型は、配列番号6で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型である。当該多型は、ヒトIFNλ2及びヒトIFNλ3の遺伝子の領域を含むゲノム配列NT_011109.15においてcontig番号12000122に相当する塩基がT又はC(T>C)である遺伝子多型である。
本発明において、〔1〕のG)に記載のマーカー多型は、配列番号7で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型であり、NCBI [http://www.ncbi.nlm.nih.gov/] が提供するSNPデータベースdbSNP [http://www.ncbi.nlm.nih.gov/SNP/] でのID番号:rs8105790で示されるSNPである。当該多型は、ヒトIFNλ2及びヒトIFNλ3の遺伝子の領域を含むゲノム配列NT_011109.15においてcontig番号12000719に相当する塩基がT又はC(T>C)である遺伝子多型である。
本発明において、〔1〕のH)に記載のマーカー多型は、配列番号8で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型である。当該多型は、ヒトIFNλ2及びヒトIFNλ3の遺伝子の領域を含むゲノム配列NT_011109.15においてcontig番号12001341に相当する塩基がC又はT(C>T)である遺伝子多型である。
本発明において、〔1〕のI)に記載のマーカー多型は、配列番号9で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型であり、NCBI [http://www.ncbi.nlm.nih.gov/] が提供するSNPデータベースdbSNP [http://www.ncbi.nlm.nih.gov/SNP/] でのID番号:rs4803217で示されるSNPである。当該多型は、ヒトIFNλ2及びヒトIFNλ3の遺伝子の領域を含むゲノム配列NT_011109.15においてcontig番号12002438に相当する塩基がC又はA(C>A)である遺伝子多型である。
本発明において、〔1〕のJ)に記載のマーカー多型は、配列番号10で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型であり、NCBI [http://www.ncbi.nlm.nih.gov/] が提供するSNPデータベースdbSNP [http://www.ncbi.nlm.nih.gov/SNP/] でのID番号:rs11881222で示されるSNPである。当該多型は、ヒトIFNλ2及びヒトIFNλ3の遺伝子の領域を含むゲノム配列NT_011109.15においてcontig番号12003141に相当する塩基がA又はG(A>G)である遺伝子多型である。
本発明において、〔1〕のK)に記載のマーカー多型は、配列番号11で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型であり、NCBI [http://www.ncbi.nlm.nih.gov/] が提供するSNPデータベースdbSNP [http://www.ncbi.nlm.nih.gov/SNP/] でのID番号:rs28416813で示されるSNPである。当該多型は、ヒトIFNλ2及びヒトIFNλ3の遺伝子の領域を含むゲノム配列NT_011109.15においてcontig番号12003862に相当する塩基がC又はG(C>G)である遺伝子多型である。
本発明において、〔1〕のL)に記載のマーカー多型は、配列番号12で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型である。当該多型は、ヒトIFNλ2及びヒトIFNλ3の遺伝子の領域を含むゲノム配列NT_011109.15においてcontig番号12004137に相当する塩基がC又はT(C>T)である遺伝子多型である。
本発明において、〔1〕のM)に記載のマーカー多型は、配列番号13で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型であり、NCBI [http://www.ncbi.nlm.nih.gov/] が提供するSNPデータベースdbSNP [http://www.ncbi.nlm.nih.gov/SNP/] でのID番号:rs8107030で示されるSNPである。当該多型は、ヒトIFNλ2及びヒトIFNλ3の遺伝子の領域を含むゲノム配列NT_011109.15においてcontig番号12004937に相当する塩基がA又はG(A>G)である遺伝子多型である。
本発明において、〔1〕のN)に記載のマーカー多型は、配列番号14で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型であり、NCBI [http://www.ncbi.nlm.nih.gov/] が提供するSNPデータベースdbSNP [http://www.ncbi.nlm.nih.gov/SNP/] でのID番号:rs73930703で示されるSNPである。当該多型は、ヒトIFNλ2及びヒトIFNλ3の遺伝子の領域を含むゲノム配列NT_011109.15においてcontig番号12005731に相当する塩基がC又はT(C>T)である遺伝子多型である。
本発明において、〔1〕のO)に記載のマーカー多型は、配列番号15で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型であり、NCBI [http://www.ncbi.nlm.nih.gov/] が提供するSNPデータベースdbSNP [http://www.ncbi.nlm.nih.gov/SNP/] でのID番号:rs11882871で示されるSNPである。当該多型は、ヒトIFNλ2及びヒトIFNλ3の遺伝子の領域を含むゲノム配列NT_011109.15においてcontig番号12005828に相当する塩基がA又はG(A>G)である遺伝子多型である。
本発明において、〔1〕のP)に記載のマーカー多型は、配列番号16で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型であり、NCBI [http://www.ncbi.nlm.nih.gov/] が提供するSNPデータベースdbSNP [http://www.ncbi.nlm.nih.gov/SNP/] でのID番号:rs12971396で示されるSNPである。当該多型は、ヒトIFNλ2及びヒトIFNλ3の遺伝子の領域を含むゲノム配列NT_011109.15においてcontig番号12006084に相当する塩基がC又はG(C>G)である遺伝子多型である。
本発明において、〔1〕のQ)に記載のマーカー多型は、配列番号17で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型である。当該多型は、ヒトIFNλ2及びヒトIFNλ3の遺伝子の領域を含むゲノム配列NT_011109.15においてcontig番号12007372と12007373に相当する塩基がTTであるか、又はG(1塩基欠失)(TT>G)である遺伝子多型である。
本発明において、〔1〕のR)に記載のマーカー多型は、配列番号18で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型であり、NCBI [http://www.ncbi.nlm.nih.gov/] が提供するSNPデータベースdbSNP [http://www.ncbi.nlm.nih.gov/SNP/] でのID番号:rs4803222で示されるSNPである。当該多型は、ヒトIFNλ2及びヒトIFNλ3の遺伝子の領域を含むゲノム配列NT_011109.15においてcontig番号12007571に相当する塩基がG又はC(G>C)である遺伝子多型である。
本発明において、〔1〕のS)に記載のマーカー多型は、配列番号19で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型である。当該多型は、ヒトIFNλ2及びヒトIFNλ3の遺伝子の領域を含むゲノム配列NT_011109.15においてcontig番号12008893に相当する塩基がC又はA(C>A)である遺伝子多型である。
本発明において、〔1〕のT)に記載のマーカー多型は、配列番号20で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型である。当該多型は、ヒトIFNλ2及びヒトIFNλ3の遺伝子の領域を含むゲノム配列NT_011109.15においてcontig番号12009683に相当する塩基がC又はT(C>T)である遺伝子多型である。
本発明において、〔1〕のU)に記載のマーカー多型は、配列番号21で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型であり、NCBI [http://www.ncbi.nlm.nih.gov/] が提供するSNPデータベースdbSNP [http://www.ncbi.nlm.nih.gov/SNP/] でのID番号:rs10642535で示されるSNPである。当該多型は、ヒトIFNλ2及びヒトIFNλ3の遺伝子の領域を含むゲノム配列NT_011109.15においてcontig番号12010902と12010903に相当する塩基の間に-:(塩基なし)又は、CTが挿入される遺伝子多型(->CT)である。
本発明において、〔1〕のV)に記載のマーカー多型は、配列番号22で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型であり、NCBI [http://www.ncbi.nlm.nih.gov/] が提供するSNPデータベースdbSNP [http://www.ncbi.nlm.nih.gov/SNP/] でのID番号:rs8109889で示されるSNPである。当該多型は、ヒトIFNλ2及びヒトIFNλ3の遺伝子の領域を含むゲノム配列NT_011109.15においてcontig番号12010988に相当する塩基がC又はT(C>T)である遺伝子多型である。
本発明において、〔1〕のW)に記載のマーカー多型は、配列番号23で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型であり、NCBI [http://www.ncbi.nlm.nih.gov/] が提供するSNPデータベースdbSNP [http://www.ncbi.nlm.nih.gov/SNP/] でのID番号:rs8113007で示されるSNPである。当該多型は、ヒトIFNλ2及びヒトIFNλ3の遺伝子の領域を含むゲノム配列NT_011109.15においてcontig番号12011321に相当する塩基がA又はT(A>T)である遺伝子多型である。
本発明において、〔1〕のX)に記載のマーカー多型は、配列番号24で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型であり、NCBI [http://www.ncbi.nlm.nih.gov/] が提供するSNPデータベースdbSNP [http://www.ncbi.nlm.nih.gov/SNP/] でのID番号:rs7248668で示されるSNPである。当該多型は、ヒトIFNλ2及びヒトIFNλ3の遺伝子の領域を含むゲノム配列NT_011109.15においてcontig番号12012039に相当する塩基がG又はA(G>A)である遺伝子多型である。
本発明において、〔1〕のY)に記載のマーカー多型は、配列番号25で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型である。当該多型は、ヒトIFNλ2及びヒトIFNλ3の遺伝子の領域を含むゲノム配列NT_011109.15においてcontig番号12012320と12012321に相当する塩基の間に-:(塩基なし)又は、GAが挿入される遺伝子多型(->GA)である。
本発明において、〔1〕のZ)に記載のマーカー多型は、配列番号26で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型であり、NCBI [http://www.ncbi.nlm.nih.gov/] が提供するSNPデータベースdbSNP [http://www.ncbi.nlm.nih.gov/SNP/] でのID番号:rs10612351で示されるSNPである。当該多型は、ヒトIFNλ2及びヒトIFNλ3の遺伝子の領域を含むゲノム配列NT_011109.15においてcontig番号12013025と12013026に相当する塩基がACであるか、又は-:(塩基なし)である遺伝子多型(AC>-)である。
本発明において〔10〕のAA)に記載のマーカー多型は、配列番号27で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型であり、NCBI [http://www.ncbi.nlm.nih.gov/] が提供するSNPデータベースdbSNP [http://www.ncbi.nlm.nih.gov/SNP/] でのID番号:rs8099917で示されるSNPである。当該多型は、ヒトIFNλ2及びヒトIFNλ3の遺伝子の領域を含むゲノム配列NT_011109.15においてcontig番号12011383に相当する塩基がT又はG(T>G)である遺伝子多型である。
【0024】
本発明のマーカー多型を検出し得るポリヌクレオチドは、被験者がI型IFNによる治療に対して感受性を示すか否かを予測するために有用である。疾患対照相関解析の結果、本発明のマーカー多型におけるマイナー対立遺伝子の頻度は、I型IFNによる治療の著効群におけるそれよりも非著効群において有意に高いことが示された。従って、被験者が、本発明のマーカー多型においてマイナー対立遺伝子を有するか否かを試験することにより、該被験者がI型IFNによる治療に対して感受性を示すか否かを予測することができる。したがって、本発明のI型IFNによる治療に対する感受性予測用試薬は、本発明のマーカー多型において、少なくともマイナー対立遺伝子を検出し得るポリヌクレオチドを含有するものである。例えば、上記〔1〕のA)のマーカー多型にあっては、配列番号1で表わされる塩基配列中第301番目の塩基を含む、連続した10〜200の塩基配列またはその相補鎖配列であって、当該塩基がT(相補鎖配列にあってはA)である配列の存在を検出し得るものである。
具体的には、本発明のマーカー多型を検出し得るポリヌクレオチドは、Taqmanプローブ法、Invaderプローブ法(Third Wave社)、GENECHIP SNP ARRAY (AFFYMETRIX社)やBeadchip(ILLUMINA社)など遺伝子チップを用いたSNPタイピング法、ダイレクトシークエンス法、SSCP法 (single-stranded comformational polymorphism analysis) 、ASP-PCR法 (allele-specific primer PCR analysis) などといった公知の遺伝子解析方法におけるプライマーまたはプローブとして用いられる。すなわち、プライマーであれば、本発明のマーカー多型部位を含むヒトIFNλ2またはIFNλ3遺伝子断片を増幅し得る1対のポリヌクレオチドであり、プローブであれば、当該多型部位を含むヒトIFNλ2またはIFNλ3遺伝子領域とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし得るポリヌクレオチドである。ここで「ストリンジェントな条件」とは上記と同義である。
本発明のマーカー多型を検出し得るポリヌクレオチドの長さは、当該多型部位を含む10〜200の連続した塩基配列を有するヒトIFNλ2またはIFNλ3遺伝子断片を検出し得るものであれば特に制限はなく、具体的には該ポリヌクレオチドの用途に応じて、長さを適宜選択し設定することができる。
本発明のポリヌクレオチドをプライマーとして用いる場合には、10bp〜200bp、好ましくは15bp〜50bp、より好ましくは15bp〜35bpの塩基長を有するものが例示できる。また検出プローブとして用いる場合には、10bp〜200bpの塩基数、好ましくは10bp〜50bp、より好ましくは15bp〜30bpの塩基長を有するものが例示できる。
【0025】
本発明のマーカー多型において、マイナー対立遺伝子はI型IFNによる治療に対する非感受性対立遺伝子であるのに対し、メジャー対立遺伝子は感受性対立遺伝子である。すなわち、被験者がメジャー対立遺伝子のホモ接合型である遺伝子型を有する場合、ヘテロ接合型やマイナー対立遺伝子のホモ接合型と比較して、I型IFNによる治療に対して感受性である頻度が顕著に高い。したがって、本発明のI型IFNによる治療に対する感受性予測用試薬は、本発明のマーカー多型において、メジャー対立遺伝子を検出し得るポリヌクレオチドをさらに含有していることが望ましい。
【0026】
本発明のマーカー多型を検出し得るポリヌクレオチドがプローブとして用いられる場合、該プローブは多型性の検出に適した付加的配列(ゲノムDNAと相補的でない配列)を含んでいてもよい。例えば、Invaderプローブ法に用いられるアレルプローブは、多型部位の塩基の5’末端にフラップと呼ばれる付加的配列を有する。
また、該プローブは、適当な標識剤、例えば、例えば、放射性同位元素(例:125I、131I、3H、14C等)、酵素(例:β−ガラクトシダーゼ、β−グルコシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、パーオキシダーゼ、リンゴ酸脱水素酵素等)、蛍光物質(例:フルオレスカミン、フルオレッセンイソチオシアネート等)、発光物質(例:ルミノール、ルミノール誘導体、ルシフェリン、ルシゲニン等)などで標識されていてもよい。あるいは、蛍光物質(例:FAM、VIC等)の近傍に該蛍光物質の発する蛍光エネルギーを吸収するクエンチャー(消光物質)がさらに結合されていてもよい。かかる実施態様においては、検出反応の際に蛍光物質とクエンチャーとが分離して蛍光が検出される。
【0027】
本発明のマーカー多型を検出し得るポリヌクレオチドがプライマーとして用いられる場合、該プライマーは、多型性の検出に適した付加的配列(ゲノムDNAと相補的でない配列)、例えばリンカー配列を含んでいてもよい。
また、該プライマーは、適当な標識剤、例えば、例えば、放射性同位元素(例:125I、131I、3H、14C等)、酵素(例:β−ガラクトシダーゼ、β−グルコシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、パーオキシダーゼ、リンゴ酸脱水素酵素等)、蛍光物質(例:フルオレスカミン、フルオレッセンイソチオシアネート等)、発光物質(例:ルミノール、ルミノール誘導体、ルシフェリン、ルシゲニン等)などで標識されていてもよい。
【0028】
上記核酸プローブおよび/またはプライマーは、各々別個に(あるいは可能であれば混合した状態で)水もしくは適当な緩衝液(例:TEバッファーなど)中に適当な濃度(例:2×〜20×の濃度で1〜50μMなど)となるように溶解し、約-20℃で保存することができる。
本発明のI型IFNによる治療に対する感受性予測用試薬は、多型検出法に応じて、当該方法の実施に必要な他の成分を構成としてさらに含んでいてもよい。例えば、該試薬がTaqMan PCR法による多型検出用である場合には、該試薬は、10×PCR反応緩衝液、10×MgCl2水溶液、10×dNTPs水溶液、Taq DNAポリメラーゼ(5U/μL)等をさらに含むことができる。
【0029】
II.I型IFNによる治療に対する感受性の予測方法
本発明はまた、被験者がI型IFNによる治療に対する感受性を有するか否かを、当該被験者の遺伝子型を調べることによって予測する、上記〔10〕〜〔17〕に記載の予測方法を包含する。
【0030】
ここで測定対象試料となる被験者由来の遺伝子サンプルは、被験者(患者等)の遺伝子、すなわちゲノムDNAおよびRNAを含む生体試料であれば特に限定はなく、使用する検出方法の種類に応じて適宜選択することができる(但し、RNAもしくはそれに由来するポリヌクレオチド(例、cDNA)を遺伝子サンプルとする場合、検出すべきマーカー多型としては、ヒトIFNλ2又はIFNλ3遺伝子のエキソン部分に存在するものが選択される)。該試料は、例えば、被験者の生体組織、具体的には、血液、肝生検、頬粘膜などを採取し、そこから常法に従って調製したゲノムDNAまたはtotal RNAを用いてもよいし、さらに該RNAをもとにして調製される各種のポリヌクレオチドを用いてもよい。被験者由来サンプルからのゲノムDNAおよびRNAの調製は、当業者に周知の任意の方法を用いればよい。
また、被験者の人種は特に限定されないが、好ましくは東アジア人、更に好ましくは日本人である。
【0031】
具体的には、上述の本発明のマーカー多型を検出し得るポリヌクレオチドを、常法に従ってプライマーまたはプローブとして利用し、Taqmanプローブ法、Invaderプローブ法(Third Wave Technologies社)、GENECHIP SNP ARRAY (AFFYMETRIX社)やBeadchip (ILLUMINA社)など遺伝子チップを用いたSNPタイピング法、ダイレクトシークエンス法、SSCP法 (single-stranded comformational polymorphism analysis)、ASP-PCR法 (allele-specific primer PCR analysis)、などといった、特定遺伝子を特異的に検出する公知の方法で試験すればよい。
例えば、Taqmanプローブ法およびInvaderプローブ法を用い、以下の群:
A)配列番号1で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(C>T);
B)配列番号2で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(T>A);
C)配列番号3で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(A>T);
D)配列番号4で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(A>G);
E)配列番号5で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(G>A);
F)配列番号6で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(T>C);
G)配列番号7で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(T>C);
H)配列番号8で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(C>T);
I)配列番号9で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(C>A);
J)配列番号10で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(A>G);
K)配列番号11で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(C>G);
L)配列番号12で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(C>T);
M)配列番号13で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(A>G);
N)配列番号14で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(C>T);
O)配列番号15で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(A>G);
P)配列番号16で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(C>G);
Q)配列番号17で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(TT>G);
R)配列番号18で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(G>C);
S)配列番号19で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(C>A);
T)配列番号20で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(C>T);
U)配列番号21で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(->CT);
V)配列番号22で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(C>T);
W)配列番号23で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(A>T);
X)配列番号24で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(G>A);
Y)配列番号25で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(->GA);
Z)配列番号26で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(AC>-);および
AA)配列番号27で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(T>G);
(但し、括弧内はメジャー対立遺伝子>マイナー対立遺伝子を示し、「-」は塩基の欠失を示す。)
から選択される遺伝子多型の当該多型部位を含むヒトIFNλ2又はIFNλ3遺伝子断片が特異的に生成されることを確認することができる。Taqmanプローブ法を利用してSNP遺伝子型を予測する方法は当業者に周知であり、例えばApplied Biosystems社が市販するTaqMan(登録商標)SNP Genotyping Assays試薬を用い、SNP領域を検出するPCRプライマーおよびSNP対立遺伝子を識別する蛍光標識されたTaqManプローブおよび被験者の遺伝子サンプル由来のゲノムDNAを混合して、キットの添付文書に従って反応させ、蛍光シグナルを解析することにより、サンプル中に含まれるSNP対立遺伝子の遺伝子型を検出する方法を例示することができる(Nat Genet 2003; 34: 395-402)。
また、Invaderプローブを用いてSNP遺伝子型を同定する方法も当業者に周知であり、Third Wave Technologies社が市販するSNP対立遺伝子を識別するInvaderプローブおよび反応試薬を混合し、被験者の遺伝子サンプル由来のゲノムDNAを鋳型としてkit推奨の方法に従い反応させ、汎用の蛍光プレートリーダーで蛍光シグナルを検出することにより、サンプル中に含まれるSNP対立遺伝子の遺伝子型を検出する方法を例示することができる(J Hum Genet 2001; 46: 471-477)。
【0032】
ノーザンブロット法を利用する場合、上述の〔1〕に記載のマーカー多型を検出し得るポリヌクレオチドをプローブとして用いればよい。具体的には、前記プローブを放射性同位元素(32P、33Pなど:RI)や蛍光物質などで標識し、それを、常法に従ってナイロンメンブレン等にトランスファーした細胞由来のRNAとハイブリダイズさせた後、形成された前記プローブ(DNAまたはRNA)とRNAとの二重鎖を、前記プローブの標識物(RI若しくは蛍光物質)に由来するシグナルとして放射線検出器(BAS-1800II、富士フィルム社製)または蛍光検出器で検出、測定する方法を例示することができる。また、AlkPhos Direct Labelling and Detection System (Amersham PharamciaBiotech社製)を用いて、該プロトコールに従って前記プローブを標識し、細胞由来のRNAとハイブリダイズさせた後、前記プローブの標識物に由来するシグナルをマルチバイオイメージャーSTORM860(Amersham Pharmacia Biotech社製)で検出、測定する方法を使用することもできる。
【0033】
また、被験者の遺伝子型は、GENECHIP SNP ARRAY (AFFYMETRIX社)やBeadchip (ILLUMINA社)など遺伝子チップを利用して検出することもでき、本発明のマーカー多型を検出し得るポリヌクレオチドの配列を含む10-100bpまでの任意の長さのポリヌクレオチドをプローブとして用いることが可能である。GENECHIP SNP ARRAY (AFFYMETRIX社)やBeadchip (ILLUMINA社)を用いた方法は当業者に周知であり、AFFYMETRIX社およびILLUMINA社からのkit
推奨の方法に従い、本発明のポリヌクレオチドをプローブに含むDNAチップを、被験者由来の遺伝子サンプルとハイブリダイズさせることにより、サンプル中に含まれるSNP対立遺伝子の遺伝子型を検出する方法を例示することができる。
【0034】
「I型IFN」にはIFN-αおよびIFN-βが含まれる。ここでIFN-αはさらにわずかに特異性の異なる小さなアイソフォーム(isoform)に分類されているが、本明細書におけるIFN-αは、これらのアイソフォームの混合物である天然型IFN-αも、これらのアイソフォームが単離された組換えタンパク質等もすべて包含する概念である。アイソフォームとしては、IFN-α2a、IFN-α2b等が挙げられる。
「I型IFNによる治療に対する感受性が高い」とは、I型IFNを投与された場合に期待される薬理作用を示す状態を意味する。具体的には、ウイルス感染症に罹患した患者であれば、血中ウイルスRNA量の低下、完全な消滅、肝機能改善の指標である血中ALT (alanine transaminase、アラニンアミノ基転移酵素)値の正常化などが挙げられる。
I型IFNによる治療に対する感受性が高い患者は、I型IFNによる治療効果が期待され得る。
I型IFNによる治療が有効な疾患、すなわちI型IFNにおる治療が適用され得る疾患としては、HCV、HBV (hepatitis B virus) 等のウイルス感染症、ウイルス感染が原因と考えられる亜急性硬化性全脳炎、HTLV-I (human adult T cell leukemia virus-I) 脊髄症等、肝硬変からの発癌等があげられる。また、腎癌、多発性骨髄腫、白血病なども挙げられる。
I型IFNにおる治療が適用され得る疾患の患者としては前記疾患に罹患している患者等が挙げられる。該患者がHCV感染症患者である場合、HCV遺伝子型1bである患者はI型IFNによる治療に対する感受性において、本発明のマーカー多型との相関がより顕著であるので、本発明の予測方法を実施するのが好ましい。
一方、I型IFNによる治療に対する感受性が低い患者は、I型IFNを投与しても血中ウイルスRNA量が低下しない、低下しても完全に消滅しない、血中ALT値が正常化しない、一度消滅しても治療後にウイルスRNAが再増殖する等の所見を呈する。
【0035】
被験者由来の遺伝子サンプルにおいて、上述のA)〜Z)及びAA)のうちの少なくとも1つの遺伝子多型について試験した結果、被験者がマイナー対立遺伝子を有する場合、該被験者はI型IFNによる治療に対する感受性が低いと予測することができる。より好ましくは、上述のA)〜Z)及びAA)のうちの少なくとも1つの遺伝子多型について試験した結果、メジャー対立遺伝子をホモにもつ場合、I型IFNによる治療に対する感受性が高く、ヘテロ接合型の場合、メジャー対立遺伝子をホモにもつ場合に比べてI型IFNによる治療に対する感受性が低く、マイナー対立遺伝子をホモにもつ場合、I型IFNによる治療に対する感受性がさらに低いと予測することができる。
【0036】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0037】
〔慢性肝炎C型肝炎患者におけるSNPの遺伝子型の判定〕(症例対照群1(スクリーニングスタディ))
IFN療法(ペグインターフェロン・リバビリン併用療法)の治療効果とSNPsの関連性を解析するために、症例対照相関解析(症例対照群1(スクリーニングスタディ))を実施した。
広島大学病院、広島大学医学部関連病院、および虎ノ門病院において慢性C型肝炎に対するIFN療法(ペグインターフェロン・リバビリン併用療法)を完了し、かつ本研究への参加の同意を得たHCV遺伝子型1bに感染した患者594名の末梢血からゲノムDNAを調製して、Human610-QuadBeadChip (Illumina社) を用いてSNPの遺伝子型の判定を行った。Human610-Quad BeadChip (Illumina社)とは、高密度にゲノムをカバーしたHapMapデータ由来の550,000以上のタグSNPが均等に配置されている遺伝子チップである。HCV遺伝子型1bに感染した患者594名は全て日本人である。9例が近い血縁関係と判断され、2例は高エラーレートのため解析から除外し、583名を解析対象とした(表1:症例対照群1(スクリーニングスタディ)を参照)。非血縁者の確認はPLINK softwareで行った。集団階層化の有無をEIGENSTRATにて解析した。
症例対照群1(スクリーニングスタディ)について、さらに症例対照群1(スクリーニングスタディ)の関連解析の結果得られたP値からGenomic control法を用いてinflation factorを算出した。コールレート98%未満の症例、コールレート99%未満のSNP、常染色体以外のSNP、MAF<0.01%のSNP、Hardy-Weinberg平衡にないSNP(p<1×10-6)は解析から除外した。
【0038】
【表1】

【0039】
Human610-QuadBeadChip (Illumina社) を用いた約50万のSNPの遺伝子型の判定結果からIFN療法(ペグインターフェロン・リバビリン併用療法)の治療効果とSNPsとの関連を解析した。
IFN療法(ペグインターフェロン・リバビリン併用療法)の治療効果との関連解析はコクラン・アーミテージ検定で行い、アレルモデル、対立遺伝子優性遺伝モデル、対立遺伝子劣性遺伝モデルでのカイ2乗検定も参考に用いた。得られたP値を対数変換した値を染色体上にプロットした。最小のP値を示すSNPsのピークは、ヒト第19番染色体19q13.13に位置するインターフェロンλ2(IFNλ2)又は/及びインターフェロンλ3(IFNλ3)遺伝子のマップされている領域に位置していた(図1を参照)。
また、最小のP値を示すSNPは、NCBI [http://www.ncbi.nlm.nih.gov/] が提供するSNPデータベースdbSNP [http://www.ncbi.nlm.nih.gov/SNP/] でのID番号:rs8099917で示されるSNPであった。
rs8099917のコクラン・アーミテージ検定におけるP値は、6.5 X 10-8であった。結果を下記の表2に示した。
当該多型は、ヒトIFNλ2及びヒトIFNλ3の遺伝子の領域を含むゲノム配列NT_011109.15においてcontig番号12011383で示される塩基における遺伝子多型であった。ゲノム配列NT_011109.15においてcontig番号12011383は、インターフェロンλ3(IFNλ3)遺伝子の領域の上流に位置していた。
ヒト第19番染色体19q13.13に位置するインターフェロンλ2(IFNλ2)及びインターフェロンλ3(IFNλ3)遺伝子のマップされている領域における連鎖不平衡マッピングを、HapMapデータベース(http://www.hapmap.org/cgi-perl/gbrowse/hapmap27_B36/)における「データソース:HapMap Data Rel 27 Phase II+III, Feb09, on NCBI B36 assembly, db SNP b126」におけるJPTのデータを使用してHaploview 4.1ソフトウェアを用いて施行したところ、連鎖不平衡ブロックは、NCBI genome sequence ID番号 NT_011109.15において、contig番号11987642 〜12029972で示される領域であることが判明した。
【実施例2】
【0040】
〔IFN治療効果と関連するrs8099917の同定〕
実施例1において、同定したrs8099917について、対立遺伝子頻度および遺伝子型頻度を解析した。同定したrs8099917は、NCBIでの登録alleleと一致しており、以後、rs8099917(T/G) (メジャー対立遺伝子/マイナー対立遺伝子)と記載する。
表2では、同定したrs8099917(T/G)のアレルモデル、すなわち対立遺伝子頻度について解析した結果を示す。
HCV遺伝子型1b感染患者である症例対照群1(スクリーニングスタディ)(表1)において、治療効果 (著効/非著効) とSNP対立遺伝子 (T/G) の2×2分割表を作成して、P値 (カイ2乗検定による両側P値)、オッズ比および95%信頼区間を計算した。
その結果、HCV遺伝子型1b感染患者において、T対立遺伝子の頻度は著効群90.0%に対し非著効群78.5 %、G対立遺伝子の頻度は著効群10.0%に対し非著効群21.5%であり、2群間で有意な差が認められた(P値6.5 X 10-8 、オッズ比2.46、95%信頼区間(1.76- 3.43))。
同定したrs8099917(T/G)の対立遺伝子頻度について解析した結果から、
(a) T対立遺伝子をもつ場合は、G対立遺伝子をもつ場合と比較して、IFN療法(ペグインターフェロン・リバビリン併用療法)による治療に対する感受性が高い、又は
(b) G対立遺伝子をもつ場合は、T対立遺伝子をもつ場合と比較して、IFN療法(ペグインターフェロン・リバビリン併用療法)による治療に対する感受性が低い、
等と予測できることがわかった。
表2では、同様にrs8099917(T/G)の遺伝子型頻度について、著効群および非著効群間での関連を解析した結果を示す。
HCV遺伝子型1b感染患者において、GGホモ接合型の頻度は著効群1.3%に対して非著効群3.6%であり、TG接合型の頻度は著効群17.4%に対して非著効群35.8%であった。また、TTホモ接合型の頻度は、著効群81.3%に対して非著効群60.6%であった。
G対立遺伝子優性遺伝モデルでは、G対立遺伝子の形質がT対立遺伝子の形質より優性と仮定して、TGヘテロ接合型患者の表現型はG対立遺伝子の形質と分類した。治療効果 (著効/非著効) と遺伝子型 (TT/TG+GG) の2×2分割表を作成して、P値 (カイ2乗検定による両側P値)、オッズ比および95%信頼区間を計算した。その結果、P値3.5 X 10-8であり、2群間で有意な差が認められた。
G対立遺伝子劣性遺伝モデルでは、T対立遺伝子の形質がG対立遺伝子の形質より優性と仮定して、T/Gヘテロ接合型患者の表現型はT対立遺伝子の形質と分類した。治療効果 (著効/非著効) と遺伝子型 (TT+TG/GG) の2×2分割表を作成して、P値 (カイ2乗検定による両側P値)、オッズ比および95%信頼区間を計算した。その結果、P値0.10であった、
以上の結果から、
(a) T対立遺伝子をホモ接合型にもつ場合は、G対立遺伝子をホモ接合型またはヘテロ接合型にもつ場合と比較して、IFN療法(ペグインターフェロン・リバビリン併用療法)による治療に対する感受性が高い、又は
(b) G対立遺伝子をホモ接合型またはヘテロ接合型にもつ場合は、T対立遺伝子をホモ接合型にもつ場合と比較して、IFN療法(ペグインターフェロン・リバビリン併用療法)による治療に対する感受性が低い、
等と予測できることがわかった。
【0041】
【表2】

【実施例3】
【0042】
〔慢性肝炎C型肝炎患者におけるSNPの遺伝子型の判定〕(症例対照群2(レプリケーションスタディ1))
HCV遺伝子型1bに感染した患者に対するIFN療法(ペグインターフェロン・リバビリン併用療法)の治療効果とrs8099917(T/G)の対立遺伝子頻度および遺伝子型頻度の関連解析の結果を検証するために、表1に示した症例対照群2(レプリケーションスタディ1)について、rs8099917(T/G)の遺伝子型の判定を実施した。
広島大学病院、広島大学医学部関連病院、および虎ノ門病院において慢性C型肝炎に対するIFN療法(ペグインターフェロン・リバビリン併用療法)を完了し、かつ本研究への参加の同意を得たHCV遺伝子型1bに感染した患者185名(症例対照群2(レプリケーションスタディ1)の末梢血からゲノムDNAを調製して、rs8099917の遺伝子型の判定を行った。判定はTaqman法 (Nat Genet 2003;34:395-402) を用い、方法は各引用文献の方法に従った。
HCV遺伝子型1b感染患者(症例対照群2(レプリケーションスタディ1))について、rs8099917(T/G)の対立遺伝子頻度および遺伝子型頻度を解析した。
表1に示したHCV遺伝子型1b感染患者(症例対照群2(レプリケーションスタディ1))において、治療効果 (著効/非著効) とSNP対立遺伝子 (T/G) 頻度の2×2分割表を作成して、P値 (カイ2乗検定による両側P値)、オッズ比および95%信頼区間を計算した。結果を下記の表3に示した。
その結果、HCV遺伝子型1b感染患者(症例対照群2(レプリケーションスタディ1))において、T対立遺伝子の頻度は著効群94.1%に対し非著効群82.7 %、G対立遺伝子の頻度は著効群5.9%に対し非著効群17.3%であり2群間で有意な差が認められた。(P値1.9 X 10-3 、オッズ比3.31、95%信頼区間(1.50- 7.30))
この結果から、HCV遺伝子型1bに感染した患者のrs8099917(T/G)の対立遺伝子頻度の判定により、
(a) T対立遺伝子をもつ場合は、G対立遺伝子をもつ場合と比較して、IFN療法(ペグインターフェロン・リバビリン併用療法)による治療に対する感受性が高い、又は
(b) G対立遺伝子をもつ場合は、T対立遺伝子をもつ場合と比較して、IFN療法(ペグインターフェロン・リバビリン併用療法)による治療に対する感受性が低い、
等と予測できることがわかった。
表3では、同様にrs8099917(T/G)の遺伝子型頻度について、治療効果との関連を解析した結果を示す。
HCV遺伝子型1b感染患者(症例対照群2(レプリケーションスタディ1))において、GGホモ接合型の頻度は著効群0%(0名)に対して非著効群3.4%であり、TG接合型の頻度は著効群11.9%に対して非著効群28.0%であった。また、TTホモ接合型の頻度は、著効群88.1%に対して非著効群68.6%であった。
G対立遺伝子優性遺伝モデルでは、G対立遺伝子の形質がT対立遺伝子の形質より優性と仮定して、TGヘテロ接合型患者の表現型はG対立遺伝子の形質と分類した。治療効果 (著効/非著効) と遺伝子型 (TT/TG+GG) の2×2分割表を作成して、P値 (カイ2乗検定による両側P値)、オッズ比および95%信頼区間を計算した。その結果、P値3.1 X 10-3であり、2群間で有意な差が認められた。
G対立遺伝子劣性遺伝モデルでは、T対立遺伝子の形質がG対立遺伝子の形質より優性と仮定して、T/Gヘテロ接合型患者の表現型はT対立遺伝子の形質と分類した。治療効果 (著効/非著効) と遺伝子型 (TT+TG/GG) の2×2分割表を作成して、P値 (カイ2乗検定による両側P値)、オッズ比および95%信頼区間を計算した。その結果、P値0.3でこのモデルでは有意な関連性は認めなかった。
以上の結果から、HCV遺伝子型1bに感染した患者のrs8099917(T/G)の遺伝子型頻度の判定により、
(a) T対立遺伝子をホモ接合型にもつ場合は、G対立遺伝子をホモ接合型またはヘテロ接合型にもつ場合と比較して、IFN療法(ペグインターフェロン・リバビリン併用療法)による治療に対する感受性が高い、又は
(b) G対立遺伝子をホモ接合型またはヘテロ接合型にもつ場合は、T対立遺伝子をホモ接合型にもつ場合と比較して、IFN療法(ペグインターフェロン・リバビリン併用療法)による治療に対する感受性が低い
等と予測できることがわかった。
【0043】
【表3】

【実施例4】
【0044】
〔慢性肝炎C型肝炎患者におけるSNPの遺伝子型の判定〕(症例対照群3(レプリケーションスタディ2))
HCV遺伝子型1bに感染した患者に対するIFN療法(IFN-α単独療法)の治療効果とrs8099917(T/G)の対立遺伝子頻度および遺伝子型頻度の関連解析の結果をさらに検証するため、表1に示した症例対照群3(レプリケーションスタディ2)について、rs8099917(T/G)の遺伝子型の判定を実施した。
広島大学病院、広島大学医学部関連病院、および虎ノ門病院において慢性C型肝炎に対するIFN療法(IFN-α単独療法)を完了し、かつ本研究への参加の同意を得たHCV遺伝子型1bに感染した患者750名からゲノムDNAを調製して、rs8099917(T/G)の遺伝子型の判定を行った。判定はTaqman法 (Nat Genet 2003;34:395-402) を用い、方法は各引用文献の方法に従った。
HCV遺伝子型1b感染患者(症例対照群3(レプリケーションスタディ2))について、rs8099917(T/G)の対立遺伝子頻度および遺伝子型頻度を解析した。
表1に示した、HCV遺伝子型1b感染患者(症例対照群3(レプリケーションスタディ2))において、治療効果 (著効/非著効) とSNP対立遺伝子 (T/G) の2×2分割表を作成して、P値 (カイ2乗検定による両側P値)、オッズ比および95%信頼区間を計算した。結果を表4に示した。
その結果、HCV遺伝子型1b感染患者(症例対照群3(レプリケーションスタディ2))において、T対立遺伝子の頻度は著効群95.9 %に対し非著効群86.1 %、G対立遺伝子の頻度は著効群4.1%に対し非著効群13.9%であり2群間で有意な差が認められた。(P値4.1 X 10-8、オッズ比3.76、95%信頼区間(2.27- 6.21))
この結果から、HCV遺伝子型1bに感染した患者の rs8099917(T/G)の対立遺伝子頻度の判定により、
(a) T対立遺伝子をもつ場合は、G対立遺伝子をもつ場合と比較して、IFN療法(IFN-α単独療法)による治療に対する感受性が高い、又は
(b) G対立遺伝子をもつ場合は、T対立遺伝子をもつ場合と比較して、IFN療法(IFN-α単独療法)による治療に対する感受性が低い、
等と予測できることがわかった。
表4では、同様にrs8099917(T/G)の遺伝子型頻度について、著効群および非著効群間での関連を解析した結果を示す。
HCV遺伝子型1b感染患者(症例対照群3(レプリケーションスタディ2))において、GGホモ接合型の頻度は著効群0.5%に対して非著効群1.9%であり、TG接合型の頻度は著効群7.4%に対して非著効群24.2%であった。また、TTホモ接合型の頻度は、著効群92.2%に対して非著効群73.9%であった。
G対立遺伝子優性遺伝モデルでは、G対立遺伝子の形質がT対立遺伝子の形質より優性と仮定して、TGヘテロ接合型患者の表現型はG対立遺伝子の形質と分類した。治療効果 (著効/非著効) と遺伝子型 (TT/TG+GG) の2×2分割表を作成して、P値 (カイ2乗検定による両側P値)、オッズ比および95%信頼区間を計算した。その結果、P値2.4 X 10-8であり、2群間で有意な差が認められた。
G対立遺伝子劣性遺伝モデルでは、T対立遺伝子の形質がG対立遺伝子の形質より優性と仮定して、T/Gヘテロ接合型患者の表現型はT対立遺伝子の形質と分類した。治療効果 (著効/非著効) と遺伝子型 (TT+TG/GG) の2×2分割表を作成して、P値 (カイ2乗検定による両側P値)、オッズ比および95%信頼区間を計算した。その結果、P値0.19でこのモデルでは有意な関連性は認めなかった。
以上の結果から、HCV遺伝子型1bに感染した患者のrs8099917(T/G)の遺伝子型頻度の判定により、
(a) T対立遺伝子をホモ接合型にもつ場合は、G対立遺伝子をホモ接合型またはヘテロ接合型にもつ場合と比較して、IFN療法(ペグインターフェロン・リバビリン併用療法)による治療に対する感受性が高い、又は
(b) G対立遺伝子をホモ接合型またはヘテロ接合型にもつ場合は、T対立遺伝子をホモ接合型にもつ場合と比較して、IFN療法(ペグインターフェロン・リバビリン併用療法)による治療に対する感受性が低い、
等と予測できることがわかった。
【0045】
【表4】

【実施例5】
【0046】
〔慢性肝炎C型肝炎患者におけるSNPの遺伝子型の判定〕(症例対照群4(レプリケーションスタディ3))
HCV遺伝子型2aに感染した患者に対するIFN療法(IFN-α単独療法)の治療効果とrs8099917(T/G)の対立遺伝子頻度および遺伝子型頻度の関連の結果を検証するため、表1に示した症例対照群4(レプリケーションスタディ3)について、rs8099917(T/G)の遺伝子型の判定を実施した。
IFN療法(IFN-α単独療法)の治療効果とrs8099917(T/G)のIFN治療効果との関連性を表4に示した症例対照群4(レプリケーションスタディ3)について、rs8099917(T/G)の遺伝子型の判定し解析した。広島大学病院、広島大学医学部関連病院、および虎ノ門病院において慢性C型肝炎に対するIFN療法(IFN-α単独療法)を完了し、かつ本研究への参加の同意を得たHCV遺伝子型2aに感染した患者513名からゲノムDNAを調製して、rs8099917(T/G)の遺伝子型の判定を行った。判定はTaqman法 (Nat Genet 2003;34:395-402) を用い、方法は各引用文献の方法に従った。
HCV遺伝子型2a感染患者(症例対照群4(レプリケーションスタディ3))について、rs8099917(T/G)の対立遺伝子頻度および遺伝子型頻度を解析した。
表1に示した、HCV遺伝子型2a感染患者(症例対照群4(レプリケーションスタディ3))において、治療効果 (著効/非著効) とSNP対立遺伝子 (T/G) の2×2分割表を作成して、P値 (カイ2乗検定による両側P値)、オッズ比および95%信頼区間を計算した。結果を表5に示した。
その結果、HCV遺伝子型2a感染患者(症例対照群4(レプリケーションスタディ3))において、T対立遺伝子の頻度は著効群91.9 %に対し非著効群85.4 %、G対立遺伝子の頻度は著効群8.1%に対し非著効群14.6%であり2群間で有意な差が認められた。(P値1.4 X 10-3、オッズ比1.92、95%信頼区間(1.28 - 2.88))
この結果から、HCV遺伝子型2aに感染した患者のrs8099917(T/G)の対立遺伝子頻度の判定により、
(a) T対立遺伝子をもつ場合は、G対立遺伝子をもつ場合と比較して、IFN療法(ペグインターフェロン・リバビリン併用療法)による治療に対する感受性が高い、又は
(b) G対立遺伝子をもつ場合は、T対立遺伝子をもつ場合と比較して、IFN療法(ペグインターフェロン・リバビリン併用療法)による治療に対する感受性が高い、
等と予測できることがわかった。
表5では、同様にrs8099917(T/G)の遺伝子型頻度について、著効群および非著効群間での関連を解析した結果を示す。尚、G対立遺伝子優性遺伝モデルでは、G対立遺伝子の形質がT対立遺伝子の形質より優性と仮定して、TGヘテロ接合型患者の表現型はG対立遺伝子の形質と分類した。治療効果 (著効/非著効) と遺伝子型 (TT/TG+GG) の2×2分割表を作成して、P値 (カイ2乗検定による両側P値)、オッズ比および95%信頼区間を計算した。
G対立遺伝子劣性遺伝モデルでは、T対立遺伝子の形質がG対立遺伝子の形質より優性と仮定して、T/Gヘテロ接合型患者の表現型はT対立遺伝子の形質と分類した。治療効果 (著効/非著効) と遺伝子型 (TT+TG/GG) の2×2分割表を作成して同様に解析した。
HCV遺伝子型2a感染患者において、GGホモ接合型の頻度は著効群0.9%に対して非著効群2.9%であり、TG接合型の頻度は著効群14.6%に対して非著効群23.4%であった。また、TTホモ接合型の頻度は、著効群84.5%に対して非著効群73.7%であった。
G対立遺伝子優性遺伝モデルでは、G対立遺伝子の形質がT対立遺伝子の形質より優性と仮定して、TGヘテロ接合型患者の表現型はG対立遺伝子の形質と分類した。治療効果 (著効/非著効) と遺伝子型 (TT/TG+GG) の2×2分割表を作成して、P値 (カイ2乗検定による両側P値)、オッズ比および95%信頼区間を計算した。その結果、P値1.4 X 10-3であり有意と判定された。
G対立遺伝子劣性遺伝モデルでは、T対立遺伝子の形質がG対立遺伝子の形質より優性と仮定して、T/Gヘテロ接合型患者の表現型はT対立遺伝子の形質と分類した。治療効果 (著効/非著効) と遺伝子型 (TT+TG/GG) の2×2分割表を作成して、P値 (カイ2乗検定による両側P値)、オッズ比および95%信頼区間を計算した。その結果、P値0.12であった。
以上の結果から、HCV遺伝子型2aに感染した患者の rs8099917(T/G)の遺伝子型頻度の判定により、
(a) T対立遺伝子をホモ接合型にもつ場合は、G対立遺伝子をホモ接合型またはヘテロ接合型にもつ場合と比較して、IFN療法(ペグインターフェロン・リバビリン併用療法)による治療に対する感受性が高い、又は
(b) G対立遺伝子をホモ接合型またはヘテロ接合型にもつ場合は、T対立遺伝子をホモ接合型にもつ場合と比較して、IFN療法(ペグインターフェロン・リバビリン併用療法)による治療に対する感受性が低い
等と予測できることがわかった。
【0047】
【表5】

【実施例6】
【0048】
〔慢性肝炎C型肝炎患者におけるSNPの遺伝子型の判定〕(メタアナリシスによる統合)
4つのコホート(症例対照群1、2、3及び4(表1))の解析結果を統合評価するためにMantel-Haenzel検定を行った。表6に結果を示した。
アレルモデル(T vs G)では、統合P値1.73 X 10-18、統合オッズ比2.63及び95%信頼区間(2.11- 3.27)であった。
この結果から、HCV遺伝子型1b及び2a感染患者において、IFN療法(IFN-α単独療法又はペグインターフェロン・リバビリン併用療法)では、rs8099917(T/G)の対立遺伝子頻度の判定により、
(a) T対立遺伝子をもつ場合は、G対立遺伝子をもつ場合と比較して、IFN療法(IFN-α単独療法又はペグインターフェロン・リバビリン併用療法)による治療において著効となる可能性が2.63倍高い、又は
(b) G対立遺伝子をもつ場合は、T対立遺伝子をもつ場合と比較して、IFN療法(IFN-α単独療法又はペグインターフェロン・リバビリン併用療法)による治療において非著効となる可能性が2.63倍高い
等と予測できることがわかった。
【0049】
【表6】

【実施例7】
【0050】
〔IFN療法(ペグインターフェロン・リバビリン併用療法)の早期ウイルス減少率の予測〕
rs8099917(T/G)の遺伝子型とIFN療法(ペグインターフェロン・リバビリン併用療法)の早期の応答性に関連があるかを検討した。広島大学病院、広島大学医学部関連病院、および虎ノ門病院において慢性C型肝炎に対するIFN療法(ペグインターフェロン・リバビリン併用療法)を完了し、かつ本研究への参加の同意を得たHCV遺伝子型1bに感染した患者からゲノムDNAを調製して、rs8099917(T/G)の遺伝子型の判定を行った。
判定はTaqman法 (Nat Genet 2003;34:395-402) を用い、方法は各引用文献の方法に従った。血中HCV-RNA量は、下記の(1)〜(3)について定量した。HCV-RNA量の定量は、オリジナル法、ハイレンジ法、TaqMan法により実施した。
これらの手法のHCV-RNA量の定量可能範囲は、それぞれ0.5-850 KIU/ml、5-5000 KIU/ml及び1.2 -7.8 logIUである。
以下の(1)〜(3):
(1)IFN療法(ペグインターフェロン・リバビリン併用療法)前の血中HCV-RNA量
(2)IFN療法(ペグインターフェロン・リバビリン併用療法)開始2週間後の血中HCV-RNA量
(3)IFN療法(ペグインターフェロン・リバビリン併用療法)開始4週間後の血中HCV-RNA量
について、結果を図3〜図4に示した。
【0051】
図3には、IFN療法(ペグインターフェロン・リバビリン併用療法)開始後2週間後の血中HCV-RNAの減少率を、rs8099917 (T/G)の遺伝子型に分けて示した。解析した患者数は513名である。
横軸は「IFN療法(ペグインターフェロン・リバビリン併用療法)開始後2週間後の血中HCV-RNA量」を「IFN療法(ペグインターフェロン・リバビリン併用療法)前の血中HCV-RNA量」で割った値の10を底とした対数変換値であり、IFN療法(ペグインターフェロン・リバビリン併用療法)開始2週間後の血中HCV-RNA減少率を表している。縦軸は、rs8099917(T/G)の遺伝子型が上から順に、(a)GGホモ接合型 (GG)、(b)GTヘテロ接合型 (GT)、及び(c)TTホモ接合型 (TT) であることを示している。 rs8099917(T/G)の遺伝子型とウイルスの減少率の相関係数の検定を行ったところ、P=7.2 X 10-17と有意な相関が見られた。(linear regressionモデル)
この結果から
(a) rs8099917(T/G)の遺伝子型が、GG >GT > TTの順番に、IFN療法(ペグインターフェロン・リバビリン併用療法)の治療開始後2週間後の早期のスタディで、I型IFNによる治療に対する感受性が低い、又は
(b) rs8099917(T/G)の遺伝子型が、TT >GT > GGの順番に、IFN療法(ペグインターフェロン・リバビリン併用療法)の治療開始後2週間後の早期のスタディで、I型IFNによる治療に対する感受性が高い
と予測できることがわかった。
【0052】
図4は、IFN療法(ペグインターフェロン・リバビリン併用療法)開始後4週間後の血中HCV-RNAの減少率を、rs8099917 (T/G)の遺伝子型に分けて示した。解析した患者数は595名である。
横軸は「IFN療法(ペグインターフェロン・リバビリン併用療法)開始後4週間後の血中HCV-RNA量」を「IFN療法(ペグインターフェロン・リバビリン併用療法)前の血中HCV-RNA量」で割った値の10を底とした対数変換値であり、IFN療法(ペグインターフェロン・リバビリン併用療法)開始4週間後の血中HCV-RNA減少率を表している。縦軸は、rs8099917(T/G)の遺伝子型が上から順に、(a)GGホモ接合型 (GG)、(b)GTヘテロ接合型 (GT)、及び(c)TTホモ接合型 (TT) であることを示している。
rs8099917(T/G)の遺伝子型とウイルスの減少率の相関係数の検定を行ったところ、P=3.1 X 10 -27と有意な相関が見られた(linear regressionモデル)。
この結果から
(a) rs8099917(T/G)の遺伝子型が、GG >GT > TTの順番に、IFN療法(ペグインターフェロン・リバビリン併用療法)の治療開始後4週間後の早期のスタディで、I型IFNによる治療に対する感受性が低い、又は
(b) rs8099917(T/G)の遺伝子型が、TT >GT > GGの順番に、IFN療法(ペグインターフェロン・リバビリン併用療法)の治療開始後4週間後の早期のスタディで、I型IFNによる治療に対する感受性が高い
と予想できることがわかった。
【実施例8】
【0053】
〔rs8099917と連鎖不平衡の関係にある遺伝子多型〕
rs8099917(T/G)と連鎖不平衡の関係にある遺伝子多型を探索するため、rs8099917の位置する連鎖不平衡ブロックの領域について、日本人の健常人48名のゲノムDNAを使用してリシーケンシングを実施した。
同定された遺伝子多型の中で、rs8099917(T/G)と連鎖不平衡の関係にある遺伝子多型について、連鎖不平衡の尺度を示すr2と共に表7に示した。これらの結果は、表7に示す遺伝子多型が、本発明のマーカーとして有用であり、IFN療法の治療効果の予測に使用できることを示す。
【0054】
【表7】

【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明により、IFN療法、詳しくはI型IFN療法における患者の治療効果を予測するためのマーカー等を提供することが可能になった。
【配列表フリーテキスト】
【0056】
[配列番号17]
NはTTまたはGを表わす。
[配列番号21]
NはヌクレオチドなしまたはCTを表わす。
[配列番号25]
NはヌクレオチドなしまたはGAを表わす。
[配列番号26]
NはACまたはヌクレオチドなしを表わす。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト第19番染色体短腕19q13.13に位置するインターフェロンλ2(IFNλ2)およびインターフェロンλ3(IFNλ3)遺伝子領域に存在する遺伝子多型であって、以下の群:
A)配列番号1で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(C>T);
B)配列番号2で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(T>A);
C)配列番号3で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(A>T);
D)配列番号4で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(A>G);
E)配列番号5で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(G>A);
F)配列番号6で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(T>C);
G)配列番号7で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(T>C);
H)配列番号8で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(C>T);
I)配列番号9で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(C>A);
J)配列番号10で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(A>G);
K)配列番号11で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(C>G);
L)配列番号12で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(C>T);
M)配列番号13で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(A>G);
N)配列番号14で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(C>T);
O)配列番号15で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(A>G);
P)配列番号16で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(C>G);
Q)配列番号17で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(TT>G);
R)配列番号18で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(G>C);
S)配列番号19で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(C>A);
T)配列番号20で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(C>T);
U)配列番号21で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(->CT);
V)配列番号22で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(C>T);
W)配列番号23で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(A>T);
X)配列番号24で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(G>A);
Y)配列番号25で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(->GA);および
Z)配列番号26で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(AC>-);
(但し、括弧内はメジャー対立遺伝子>マイナー対立遺伝子を示し、「-」は塩基の欠失を示す。)
から選択される少なくとも1つの遺伝子多型において、各マイナー対立遺伝子を検出し得るポリヌクレオチドを含んでなる、I型インターフェロンによる治療に対する感受性予測用試薬。
【請求項2】
各メジャー対立遺伝子を検出し得るポリヌクレオチドをさらに含む、請求項1に記載の試薬。
【請求項3】
各対立遺伝子を検出し得るポリヌクレオチドが、各配列番号で表わされる塩基配列において該対立遺伝子を含む10〜200の連続した塩基配列もしくはその相補鎖配列からなるIFNλ2又はIFNλ3の遺伝子断片と、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズし得るプローブ、および/または該遺伝子断片を増幅し得るプライマーである、請求項1または2に記載の試薬。
【請求項4】
IFNλ2又はIFNλ3の遺伝子断片が10〜50の連続した塩基配列からなる、請求項3に記載の試薬。
【請求項5】
IFNλ2又はIFNλ3の遺伝子断片が15〜30の連続した塩基配列からなる、請求項3に記載の試薬。
【請求項6】
I型インターフェロンによる治療が適用され得る疾患の患者に対して、インターフェロン療法が有効であるかどうかを予測するために用いられる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の試薬。
【請求項7】
I型インターフェロンによる治療が適用され得る疾患の患者がHCV感染患者である、請求項6に記載の試薬。
【請求項8】
HCV感染患者がHCV遺伝子型1b感染患者、HCV遺伝子型1a感染患者又はHCV遺伝子型2a感染患者である、請求項7に記載の試薬。
【請求項9】
HCV感染患者が東アジア人である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の試薬。
【請求項10】
(1)被験者由来の遺伝子サンプルを使用し、ヒト第19番染色体短腕19q13.13に位置するインターフェロンλ2(IFNλ2)およびインターフェロンλ3(IFNλ3)遺伝子領域に存在する遺伝子多型であって、以下の群:
A)配列番号1で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(C>T);
B)配列番号2で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(T>A);
C)配列番号3で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(A>T);
D)配列番号4で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(A>G);
E)配列番号5で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(G>A);
F)配列番号6で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(T>C);
G)配列番号7で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(T>C);
H)配列番号8で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(C>T);
I)配列番号9で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(C>A);
J)配列番号10で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(A>G);
K)配列番号11で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(C>G);
L)配列番号12で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(C>T);
M)配列番号13で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(A>G);
N)配列番号14で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(C>T);
O)配列番号15で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(A>G);
P)配列番号16で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(C>G);
Q)配列番号17で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(TT>G);
R)配列番号18で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(G>C);
S)配列番号19で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(C>A);
T)配列番号20で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(C>T);
U)配列番号21で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(->CT);
V)配列番号22で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(C>T);
W)配列番号23で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(A>T);
X)配列番号24で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(G>A);
Y)配列番号25で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(->GA);
Z)配列番号26で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(AC>-);および
AA)配列番号27で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型(T>G);
(但し、括弧内はメジャー対立遺伝子>マイナー対立遺伝子を示し、「-」は塩基の欠失を示す。)
から選択される少なくとも1つの遺伝子多型を試験する工程、および
(2)(1)の試験の結果、マイナー対立遺伝子の存在が認められた場合、被験者のI型インターフェロンによる治療に対する感受性が低いと判断する工程
を含む、被験者のI型インターフェロンによる治療に対する感受性の予測方法。
【請求項11】
遺伝子サンプルが、ゲノムDNAまたはRNAを含む、請求項10に記載の予測方法。
【請求項12】
被験者が、I型インターフェロンによる治療が適用され得る疾患の患者である、請求項10又は11に記載の予測方法。
【請求項13】
I型インターフェロンによる治療が適用され得る疾患の患者がHCV感染患者である、請求項12に記載の予測方法。
【請求項14】
HCV感染患者がHCV遺伝子型1b感染患者、HCV遺伝子型1a感染患者、又はHCV遺伝子型2a感染患者である、請求項13に記載の予測方法。
【請求項15】
被験者が、東アジア人である、請求項10〜14のいずれか1項に記載の予測方法。
【請求項16】
(1)被験者由来の遺伝子サンプルを使用し、ヒト第19番染色体短腕19q13.13に位置するインターフェロンλ2(IFNλ2)およびインターフェロンλ3(IFNλ3)遺伝子領域に存在する遺伝子多型であって、配列番号27で表わされる塩基配列中第301番目の塩基における遺伝子多型を試験する工程、および
(2)(1)の試験の結果、メジャー対立遺伝子のホモ接合型遺伝子多型(TT)の存在が認められた場合、被験者のI型インターフェロンによる治療に対する感受性が高いと判断する工程
を含む、被験者のI型インターフェロンによる治療に対する感受性の予測方法。
【請求項17】
被験者が、東アジア人である、請求項16に記載の予測方法。

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2011−41553(P2011−41553A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−193726(P2009−193726)
【出願日】平成21年8月24日(2009.8.24)
【出願人】(503359821)独立行政法人理化学研究所 (1,056)
【出願人】(504136568)国立大学法人広島大学 (924)
【出願人】(000002912)大日本住友製薬株式会社 (332)
【Fターム(参考)】