説明

インターホンシステム

【課題】 人物を検出する機能を設けることなく、表示映像における人物の視認性を高める。
【解決手段】 集合玄関機1に、カメラ2の撮像映像を表示する子機モニタ14と、露光の最適化処理に使用する測光領域と測光量の重み付けのパラメータを記憶するパラメータ記憶部16と、パラメータを変更或いは設定操作する操作部17と、パラメータの変更或いは設定を制御する子機CPU24と、現在の日時を記憶するためのリアルタイムクロック23と、設定されたパラメータを用いてカメラ2の撮像映像を処理して子機モニタ14に表示させ、またパラメータ記憶部16に記憶されたデータを使用して映像処理して居室親機3へ伝送する映像処理部11とを設け、パラメータ登録操作されたらパラメータにリアルタイムクロックの日時情報が添付されてパラメータ記憶部16に登録される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、来訪者を撮像するカメラを備え、居住者が来訪者映像を見ながら通話できるテレビ機能を備えたインターホンシステムに関し、詳しくはカメラの撮像映像が周囲の環境や日時によって見づらくならないよう表示映像を自動調整するインターホンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、玄関に設置されるインターホン子機の設置環境として、太陽(太陽光)が直接撮像される状況が存在する。このような状況ではカメラにて撮像される来訪者の映像、特に顔部が真っ暗になるため、それを改善するために逆光補正ボタンを設けたり、逆光を自動補正する技術があった。例えば特許文献1では、撮像画像を複数に分割して領域毎の明るさを解析して測光領域設定値を求め、カメラの撮像映像から人物の存在を検知したら、周囲環境の相違を問わずして解析した測光領域設定値を基に重み付け演算を行って輝度調整し、顔画像の視認性を高めた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−200256号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1では、分割された複数の測光領域毎の明暗差を算出して明るさを解析することで、顔画像を視認し易い明るさにすることが可能であった。しかしながら、複数の測光領域の分割数や分割方法によって明るさの解析結果が大きく変わったし、被写体が小さい場合には人物を判別することが難しかった。そのため、一つのパラメータでカメラを設置した環境のすべてに対応させることは現実困難であった。
【0005】
また上記特許文献1は、解析部の算出結果をもとに測光領域毎の測光量の重み付け演算を行い、測光領域設定値を作成するための作成部においても同様で、測光領域毎の測光量の重み付けを一つのパラメータで周囲環境にすべて対応させることは現実困難であった。これはカメラのダイナミックマージンが有限であり、ダイナミックマージンを越える太陽光が非常に強い測光領域があった場合、その測光領域の信号を飽和させないように制御が働く為で、全ての設置環境に対して顔部が暗くならないようにカメラの露光設定の最適化することはできなかった。
【0006】
この場合の処理としては、人物以外の背景を完全に白飛びさせて人物の顔だけを明るくする方法がとられることがあるが、この設定を施した場合には、時間や季節(夏、冬)等で太陽の入射光の影響により、周囲状況が大きく変わり、入射光が少ない場合は画面全体が暗くなる傾向になってしまうので、時間、季節の変化に対してスポット的な対応ができなかった。
【0007】
これらの問題を解決するために、複数の測光領域の分割数や分割方法、および測光領域毎の測光量の重み付けを少しずつ変えながら演算を行おうとすれば、演算処理量と時間が膨大となり処理部の消費電力の増加やコストアップになる。また、カメラ設置の周囲環境にすべて対応させるためには、最適なパラメータを季節や日時に応じて人間の目で確認しながらパラメータを決定し、設定しなければならない。この最適化作業は、従来の構成では確認するモニタは部屋内にあるため、玄関において撮像される人物と住戸内において設定する人物との少なくとも2人必要であり、工数と時間と膨大な手間がかかってしまう。
【0008】
そこで、本発明はこれらの難点を解消するためになされたもので、人物を検出する機能を設けることなく、そして周囲環境の相違や日時により撮像環境が変化しても、表示映像における人物の視認性を高めることができ、また最適なパラメータを容易に設定できるインターホンシステムを提供すること目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する為に、請求項1の発明は、来訪者を撮像するためのカメラ、及び来訪者が居住者を呼び出して通話する機能を備えた玄関機と、カメラの撮像映像を表示するモニタ、及び玄関機からの呼び出しに応答して通話する機能を備えた居室機とを有するインターホンシステムであって、玄関機は、カメラの撮像映像を表示する子機モニタと、カメラを起動させて子機モニタに映像を表示させる子機操作部と、モニタが表示する映像の視認性を上げるための露光の最適化処理に使用する季節及び時間帯毎のカメラ撮像映像の測光領域と測光量の重み付けのパラメータを記憶するパラメータ記憶部と、パラメータを変更或いは設定操作するパラメータ設定部と、パラメータの変更或いは設定を制御するパラメータ制御部と、現在の日時を記憶するためのリアルタイムクロックと、パラメータ設定部の操作により設定されたパラメータを用いてカメラの撮像映像を映像処理して子機モニタに表示させると共に、パラメータ記憶部に記憶されたパラメータからカメラの撮像日時に応じたデータを取り出して映像処理し、居室機へ伝送する映像処理部とを有する一方、パラメータ制御部は、パラメータ設定部による変更或いは設定操作を受けたら、変更されたパラメータにリアルタイムクロックの日時情報を添付してパラメータ記憶部に登録することを特徴とする。
この構成によれば、季節及び時間帯毎のカメラ撮像映像の測光領域と測光量の重み付けのパラメータにより露光の最適化処理してモニタに表示させることができる。よって、カメラの撮像環境が日時により変化しても、人物検出機能を設けること無くモニタ表示映像の人物の視認性を高めることができる。
そして、子機モニタにカメラの撮像映像を表示させて確認しながらパラメータ設定部を操作して、測光領域や測光量の重み付けのパラメータの設定や変更を行うことができるので、1人で容易にパラメータを変更して来訪者を視認し易い映像に設定でき、季節や時刻に合わせて設置環境に最適に設定できる。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1に記載の構成において、玄関機が、集合住宅のエントランス等の集合玄関に設置され、住戸を選択して呼び出す機能を備えた集合玄関機であり、居室機が集合住宅の各住戸に設置された住戸親機であって、集合玄関機と住戸親機とは双方の間の映像及び音声の伝送路を制御する制御機を介して接続されて成ることを特徴とする。
この構成によれば、映像を制御しパラメータを変更する機能を集合玄関機に設けるため、1箇所の調整で複数の住戸親機のモニタの視認性を上げることができるし、必要な回路も集合玄関機の数だけ設ければ良く、コストアップを最小限に抑えることができる。
【0011】
請求項3の発明は、来訪者を撮像するためのカメラ、及び来訪者が居住者を呼び出して通話する機能を備えた玄関機と、カメラの撮像映像を表示するモニタ、及び玄関機からの呼び出しに応答して通話する機能を備えた居室機とを有するインターホンシステムであって、玄関機は、モニタが表示する映像の視認性を上げるための露光の最適化処理に使用する季節及び時間帯毎のカメラ撮像映像の測光領域と測光量の重み付けのパラメータを記憶するパラメータ記憶部と、パラメータの変更或いは設定を制御するパラメータ制御部と、現在の日時を記憶するためのリアルタイムクロックと、パラメータ記憶部に記憶されたパラメータからカメラの撮像日時に応じたデータを取り出して映像処理し、居室機へ伝送する映像処理部と、カメラが撮像した来訪者映像を撮像日時と共に記憶する映像記憶部と、を有する一方、玄関機は、インターネットを介してパラメータ記憶部のパラメータを変更するためのパラメータ変更操作部及び映像表示部を備えたパラメータ変更手段と通信を実施し、映像処理部は、パラメータ変更手段の映像表示操作を受けて、映像記憶部の録画映像を録画日時のパラメータにより処理して映像変更手段に送信する一方、パラメータ制御部は、パラメータ変更手段のパラメータ変更或いは設定操作を受けて、取り出した録画映像の撮像日時のパラメータの変更或いは設定を実施することを特徴とする。
この構成によれば、季節及び時間帯毎のカメラ撮像映像の測光領域と測光量の重み付けのパラメータにより露光の最適化処理してモニタに表示させることができる。よって、カメラの撮像環境が日時により変化しても、人物検出機能を設けること無くモニタ表示映像の人物の視認性を高めることができる。
そして、録画された映像を見ながら撮像時の測光領域や測光量の重み付けのパラメータの設定や変更を行うことができるので、パラメータ設定時に玄関機前に人物がいなくても録画された来訪者映像を見ながらパラメータを変更して来訪者を視認し易い映像を表示するよう設定できる。よって、季節や時刻に合わせて設置環境に最適に設定できる。
また、外部機関等において一括して調整することが可能となり、居住者や利用者がいちいち設定する必要がなく使い勝手が良い。
【0012】
請求項4の発明は、請求項3に記載の構成において、玄関機が、集合住宅のエントランス等の集合玄関に設置され、住戸を選択して呼び出す機能を備えた集合玄関機であり、居室機が各住戸に設置された住戸親機であって、集合玄関機と住戸親機とは双方の間の映像及び音声の伝送路を制御する制御機を介して接続されると共に、制御機はインターネットに接続するインターフェースを備え、集合玄関機は、制御機を介してパラメータ変更手段と通信を実施することを特徴とする。
この構成によれば、映像を制御しパラメータを変更する機能を集合玄関機に設けるため、1箇所の調整で各住戸親機のモニタの視認性を上げることができるし、必要な回路も集合玄関機の数だけ設ければ良く、コストアップを最小限に抑えることができる。また、制御機を介してインターネットに接続することで、住戸親機毎にインターネットに接続するインターフェースを設ける必要がない。
【0013】
請求項5の発明は、請求項1乃至4の何れかに記載の構成において、玄関機は、カメラがバーコード等の2次元情報を撮像したらそれを読み取るパターン認識部と、読み取った2次元情報とパラメータの関連付けを記憶するパターン情報記憶部とを具備し、パラメータ制御部は、パターン認識部が読み取った2次元情報を基に、対応するパラメータをパターン情報記憶部から読み取って、パラメータ記憶部に登録することを特徴とする。
この構成によれば、カメラに所定の2次元画像を翳すだけでパラメータを変更できるので、設定したいパラメータが決まっている場合は簡易な操作で容易に変更でき、便利である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、季節及び時間帯毎のカメラ撮像映像の測光領域と測光量の重み付けのパラメータにより露光の最適化処理してモニタに表示するので、カメラの撮像環境が季節や日時により変化しても、人物検出機能を設けること無く表示映像の人物の視認性を高めることができる。また、人物の視認性が最適であるか玄関機或いは外部機器によりパラメータを変更して確認できるので、パラメータ設定を1人で容易に行うことができるし、パラメータを設置環境に最適に設定できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係るインターホンシステムの一例を示す概略構成図である。
【図2】図1の各機器をブロック図で示した構成図である。
【図3】集合玄関機によりパラメータを設定する説明図である。
【図4】日時に応じて測光領域が変更される様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明に係るインターホンシステムの一例を示す概略構成図であり、集合住宅に適用した構成を示している。図1において、1はエントランス等の集合玄関に設置され、カメラ2を備えて来訪者が訪問先の住戸を選択して居住者を呼び出すための集合玄関機(玄関機)、3は個々の住戸に設置され、カメラ2の撮像映像を表示する親機モニタ4を備えて集合玄関機1からの呼び出しに居住者が応答するための住戸親機(居室機)、5は集合玄関機1と住戸親機3の間の通信を制御する制御機、6は親機モニタ4に表示される映像を調整するためのパーソナルコンピュータ(以下、PCと称する)である。
集合玄関機1は伝送線L1を介して制御機5に接続され、住戸親機3は親機幹線L2を介して制御機5に接続されている。また、PC6はインターネットNを介して制御機5に接続されている。
【0017】
図2は個々の機器をブロック図で示した構成図であり、この図2を基に各機器の構成を具体的に説明する。集合玄関機1は、カメラ2の撮像映像を見易くするために所定のパラメータで映像処理する子機映像処理部11、映像を録画するRAMから成る子機映像記憶部12、バーコード等の2次元情報を認識するパターン認識部13、カメラ2の撮像映像を表示する子機モニタ14、子機モニタ14を駆動制御するモニタ駆動部15、測光領域やパラメータを記憶するROMから成るパラメータ記憶部16、呼出操作やパラメータを変更・設定するための操作部17、2次元情報とパラメータの関連付けを記憶するパターン情報記憶部18、マイク20及びスピーカ21が接続される子機音声処理部22、リアルタイムの時計信号を出力するリアルタイムクロック23、子機映像処理部11をはじめ集合玄関機1の各回路を制御する子機CPU24、制御機5と通信する集合玄関機IF25等を備えている。
【0018】
ここで、カメラ2は、被写体である来訪者を中心とした住戸玄関の周囲近傍の映像を撮像して映像信号を出力するものであり、例えば、CCD、CMOS等の各種の撮像媒体で構成される。子機映像記憶部12は、カメラ2にて撮像され映像信号を時系列で保存するためのものであり、RAM以外にEEPROM等の各種の記憶媒体が使用される。また、子機映像処理部11は、予め設定された日付と時刻になるとリアルタイムクロック23から子機CPU24へ割込み信号を発生させ、日付時刻に適応した測光領域と測光量の重み付けのパラメータをパラメータ記憶部16から子機CPU24が参照し、測光領域設定値をもとに集合玄関機1の設置環境による複数の測光領域の露光の最適化を行うように映像信号を信号処理する。この信号処理された映像信号は、例えばFM変調や増幅を行って集合玄関機IF25から出力される。
【0019】
住戸親機3は、親機モニタ4を駆動するモニタ駆動部32、親機モニタ4に表示させる映像を生成する親機映像処理部33、映像を保存するRAMから成る親機映像記憶部34、各種設定を記憶するROMから成る親機記憶部35、各種操作をする操作部36、通話するためのマイク37及びスピーカ38が接続される親機音声処理部39、住戸親機3全体を制御する親機CPU40、制御機5と通信する親機IF41等を備えている。
【0020】
制御機5は、集合玄関機1から伝送された映像を住戸親機3へ伝送するために中継する映像処理部51、同様に音声信号を中継するための音声処理部52、同様にデータを中継するためのデータ処理部53、住戸番号と住戸親機の関係等を記憶するRAMから成る記憶部54、制御機5全体を制御する制御機CPU55、集合玄関機1と通信するための制御機第1IF56、住戸親機3と通信するための制御機第2IF57、インターネットNへ接続して外部のPC6と通信するための制御機第3IF58等を備えている。尚、7は信号を中継するHUBである。
【0021】
このように構成されたインターホンシステムについて、以下動作を説明する。但し来訪者が居住者を呼び出すために集合玄関機1を操作して住戸親機3を呼出動作させ、カメラ2が撮像した来訪者映像を表示する親機モニタ4を見ながら居住者が来訪者と通話する動作については、従来と同様であるため説明を省略し、ここでは親機モニタ4に表示される来訪者映像が視認し易く表示されるよう自動調整するためのパラメータ等の設定の流れ及び動作について説明する。
【0022】
この設定は、集合玄関機1を操作して実施できるし、集合玄関機1の子機カメラ2にバーコードやQRコード等の2次元情報を撮像させることで実施できる。更に、インターネットNを介してPC6により実施することができる。
最初に集合玄関機1の操作により、パラメータを設定する操作を説明する。図3は、映像処理の際に使用するパラメータを集合玄関機1により設定する説明図であり、(a)は操作前、(b)は操作中の集合玄関機1の状態を示している。この図3に示すように、操作部17は、テンキーを備えた操作ボタン列17a、各種設定を行うためのボタン列17b、子機モニタ14に組み込まれてタッチ操作するタッチボタン17c等を備えている。尚、Mは操作者、Maは子機モニタ14に表示された操作者を示している。
【0023】
ある特定の時間における最適な測光領域と測光量の重み付けのパラメータを決定してパラメータ記憶部16に記憶させる手段として、操作部17が操作される。操作部17の所定の操作により、図3(a)に示すようにパラメータを変更するためのタッチボタン17cが子機モニタ14に表示される。この操作により、カメラ2が起動して撮像した映像信号は子機映像処理部11で予め設定されている測光領域と測光量の重み付けのパラメータで輝度が補正され、露光の最適化処理された映像がモニタ駆動部15により子機モニタ14に表示される。
このとき、子機モニタ14には図3(b)に示すように操作者Mの自画像Maが表示される。同時に、パラメータを変更するための情報が表示され、図3(b)に示すように測光領域E、及び測光領域内にパラメータ入力値(図示せず)が表示される。
こうして自分自身が表示された映像に合わせて、この表示を見ながら操作部17cを操作して測光領域E及びパラメータの変更が可能となる。
【0024】
タッチボタン17cを操作してパラメータが変更されると、子機CPU24の制御で子機映像処理部11が変更されたパラメータにより映像処理を行い、子機モニタ14に表示される。こうして操作者は、表示される自身の映像を見ながら最適な測光領域及びパラメータの変更或いは設定を行うことができる。
子機CPU24は、設定操作を受けてパラメータ記憶部16に設定されたパラメータの書込みを行う。具体的に、設定した日付および時刻をリアルタイムクロック23から読出し、時刻情報を決定したパラメータに添付してパラメータ記憶部16へ書き込む。このように、パラメータを変更した映像を集合玄関機1の子機モニタ14で確認でき、最適値に設定できる。また、住戸親機3を操作すること無く一人の設定者により露光設定を行うことができる。
【0025】
図4は、日時に応じて測光領域が変更される様子を示している。図4において、(a)は9月23日、(b)は12月22日、(c)は3月21日、(d)は6月23日の場合を示し、夫々午前7時、正午、午後4時の時の測光領域の一例を示している。尚、Sは太陽を示している。
最適なパラメータを設定する場合には、この図4に示すように、少なくとも太陽の入射光(角度)、明るさが大きく変動すると予想される季節(秋分・冬至・春分・夏至)及び、その日の1日で大きく変動する時間(例えば、図4に示す午前7時、正午、午後4時)毎に、測光領域、測光量の重み付けを変更して設定することが有効であり、この季節及び時刻を基準にパラメータを設定することで親機モニタ4に表示される来訪者の輝度を確認し易い良好な明るさとすることが可能となる。尚、これは一例であって、測光領域の場所や形状、重み付けの設定値数に限定はない。
【0026】
このように、季節及び時間帯毎のカメラ2撮像映像の測光領域と測光量の重み付けのパラメータにより露光の最適化処理して親機モニタ4に表示させることができ、カメラ2の撮像環境が日時により変化しても、人物検出機能を設けること無く親機モニタ4に表示された映像の人物の視認性を高めることができる。また、子機モニタ14にカメラ2の撮像映像を表示させて確認しながら操作部17を操作して、測光領域や測光量の重み付けのパラメータの設定や変更を行うことができるため、1人で容易にパラメータを設置環境に最適なデータに設定できる。
また、映像を制御しパラメータを変更する機能を集合玄関機1に設けたので、1箇所の調整で複数の住戸親機3の親機モニタ4の視認性を上げることができるし、必要な回路も集合玄関機1の数だけ設ければ良く、コストアップを最小限に抑えることができる。
【0027】
次に、カメラ2にバーコードやQRコードといった2次元情報を翳してパラメータを設定する場合を説明する。この設定操作は、現在時刻のパラメータではなく、特定に日時のパラメータの設定変更を行う場合に好適である。カメラ2にバーコードやQRコードといった2次元情報を翳すことで、パターン認識部13がそれを認識し、子機CPU24が予めパターン情報記憶部18に記憶している複数の日時情報、測光領域情報、重み付け情報から対応するデータを読み取る。この読み取ったパラメータ情報は、子機CPU24によりパラメータ記憶部16へ書き込まれる。こうして、任意の日時のパラメータ情報を設定・変更できる。
【0028】
このように、カメラ2に所定の2次元画像を翳すだけでパラメータを変更できるので、設定したい日時やパラメータが決まっている場合は、簡易な操作で容易に変更でき便利である。特に、システム施工時等において、図4に示す様な1年を通してのパラメータを入力する場合、一気に入力することができ便利である。
【0029】
インターネットNを介して、外部からPC6により設定する操作は以下のようである。PC6は入力操作のためのキーボード及び情報や映像を表示するモニタ(何れも図示せず)を備えており、集合玄関機1の子機CPU24を操作してパラメータの設定等を行うための所定のプログラムがインストールされている。このPC6の所定の操作によりパラメータ制御信号が出力され、インターネットNを介して制御機5へ送信される。制御機第3IF58を介してパラメータ制御信号を受信した制御機CPU55は、カメラ2の撮像映像の輝度調整のためのパラメータ制御信号であることを認識して、制御機第1IF56から集合玄関機1へパラメータ制御信号を送信する。
パラメータ制御信号を受信した集合玄関機1は、子機CPU24がパラメータを設定するパラメータ設定モードに移行制御し、このモード変更により上述した集合玄関機1の操作によるパラメータ設定と同様に、PC6によるパラメータ設定が可能となる。
【0030】
また、このPC6による設定の場合は、子機映像記憶部24から録画された映像を取り出して録画映像の撮像時刻のパラメータの設定変更を行うことができる。具体的に、PC6の所定の操作を受けて、子機CPU24が子機映像記憶部12に保存された映像をその撮像時刻情報と共に取り出してPC6に送信する。集合玄関機1から出力された映像は、制御機5、インターネットNを介してPC6に送信され、PC6の図示しないモニタに表示される。こうしてPC6に映像が表示され、表示される映像を見ながら表示映像の撮像日時におけるパラメータの最適値を設定することができる。そして、設定されたパラメータは、パラメータ記憶部16へ書き込まれる。
尚、子機映像記憶部12が録画する映像は、カメラ2の撮像動作に合わせて自動で録画させても良いし、住戸親機3の所定の操作で録画させても良い。
【0031】
このように、PC6を使用して外部からパラメータの変更を行うことができる。ただし、この場合は集合玄関機1の前に操作者がいないため、リアルタイムの輝度設定を最適に調整することは難しいが、予め子機映像記憶部12に録画されている来訪者映像をPC6に表示させてパラメータの変更或いは設定ができる。よって、外部からPC6を使用してカメラ2撮像映像を録画した日時の測光領域や測光量の重み付けのパラメータの設定や変更を行うことで、上述した集合玄関機1を操作してパラメータを設定するのと同様に、季節や時刻に応じて設置環境に最適に設定できる。
また、外部のPC6によりパラメータの設定や変更を行うことができるため、警備会社等映像を管理する外部機関等において一括して調整することが可能となり、居住者や利用者がいちいち設定する必要がなく使い勝手が良い。
【0032】
尚、上記実施形態では集合住宅インターホンシステムを例に説明したが、戸建住宅のインターホンシステムに対しても本発明は適用できる。但し、戸建住宅に設置するインターホンシステムの場合は制御機は必要ないため、PC6により設定可能とする場合、住戸親機3にインターネットNを接続するインターフェースを設けると良い。
また、3通りの設定形態が可能な構成を示したが、少なくとも集合玄関機1によりパラメータの設定を可能とするだけでも、パラメータを最適に設定することができる。
更に、PC6を使って外部からパラメータ設定できる構成の場合、集合玄関機を操作する必要がないため、子機モニタ14を設けなくとも良く、集合玄関機1を簡易な構成にできる。
また、PC6により外部からインターネットNを介して集合玄関機1を制御する構成を例示したが、PC6ではなくパラメータ設定専用の機器を用いても良い。
【符号の説明】
【0033】
1・・集合玄関機(玄関機)、2・・カメラ、3・・住戸親機(居室機)、4・・親機モニタ、5・・制御機、6・・PC(パラメータ変更手段)、11・・映像処理部、12・・子機映像記憶部、13・・パターン認識部、14・・子機モニタ(玄関機モニタ)、16・・パラメータ記憶部、17・・操作部(パラメータ設定部)、18・・パターン情報記憶部、23・・リアルタイムクロック、24・・子機CPU(パラメータ制御部)、58・・制御機第3IF(インターフェース)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
来訪者を撮像するためのカメラ、及び来訪者が居住者を呼び出して通話する機能を備えた玄関機と、前記カメラの撮像映像を表示するモニタ、及び前記玄関機からの呼び出しに応答して通話する機能を備えた居室機とを有するインターホンシステムであって、
前記玄関機は、前記カメラの撮像映像を表示する子機モニタと、前記カメラを起動させて前記子機モニタに映像を表示させる子機操作部と、前記モニタが表示する映像の視認性を上げるために露光の最適化処理に使用する季節及び時間帯毎のカメラ撮像映像の測光領域と測光量の重み付けのパラメータを記憶するパラメータ記憶部と、前記パラメータを変更或いは設定操作するパラメータ設定部と、パラメータの変更或いは設定を制御するパラメータ制御部と、現在の日時を記憶するためのリアルタイムクロックと、前記パラメータ設定部の操作により設定されたパラメータを用いて前記カメラの撮像映像を映像処理して前記子機モニタに表示させると共に、前記パラメータ記憶部に記憶されたパラメータから前記カメラの撮像日時に応じたデータを取り出して映像処理し、前記居室機へ伝送する映像処理部とを有する一方、
前記パラメータ制御部は、前記パラメータ設定部による変更或いは設定操作を受けたら、変更されたパラメータに前記リアルタイムクロックの日時情報を添付して前記パラメータ記憶部に登録することを特徴とするインターホンシステム。
【請求項2】
前記玄関機が、集合住宅のエントランス等の集合玄関に設置され、住戸を選択して呼び出す機能を備えた集合玄関機であり、前記居室機が集合住宅の各住戸に設置された住戸親機であって、前記集合玄関機と前記住戸親機とは双方の間の映像及び音声の伝送路を制御する制御機を介して接続されて成ることを特徴とする請求項1記載のインターホンシステム。
【請求項3】
来訪者を撮像するためのカメラ、及び来訪者が居住者を呼び出して通話する機能を備えた玄関機と、前記カメラの撮像映像を表示するモニタ、及び前記玄関機からの呼び出しに応答して通話する機能を備えた居室機とを有するインターホンシステムであって、
前記玄関機は、前記モニタが表示する映像の視認性を上げるための露光の最適化処理に使用する季節及び時間帯毎のカメラ撮像映像の測光領域と測光量の重み付けのパラメータを記憶するパラメータ記憶部と、前記パラメータの変更或いは設定を制御するパラメータ制御部と、現在の日時を記憶するためのリアルタイムクロックと、前記パラメータ記憶部に記憶されたパラメータから前記カメラの撮像日時に応じたデータを取り出して映像処理し、前記居室機へ伝送する映像処理部と、前記カメラが撮像した来訪者映像を撮像日時と共に記憶する映像記憶部と、を有する一方、
前記玄関機は、インターネットを介して前記パラメータ記憶部のパラメータを変更するためのパラメータ変更操作部及び映像表示部を備えたパラメータ変更手段と通信を実施し、
前記映像処理部は、前記パラメータ変更手段の映像表示操作を受けて、映像記憶部の録画映像を録画日時のパラメータにより処理して前記映像変更手段に送信する一方、
前記パラメータ制御部は、前記パラメータ変更手段のパラメータ変更或いは設定操作を受けて、取り出した前記録画映像の撮像日時のパラメータの変更或いは設定を実施することを特徴とするインターホンシステム。
【請求項4】
前記玄関機が、集合住宅のエントランス等の集合玄関に設置され、住戸を選択して呼び出す機能を備えた集合玄関機であり、前記居室機が各住戸に設置された住戸親機であって、前記集合玄関機と前記住戸親機とは双方の間の映像及び音声の伝送路を制御する制御機を介して接続されると共に、前記制御機はインターネットに接続するインターフェースを備え、
前記集合玄関機は、前記制御機を介して前記パラメータ変更手段と通信を実施することを特徴とする請求項3記載のインターホンシステム。
【請求項5】
前記玄関機は、前記カメラがバーコード等の2次元情報を撮像したらそれを読み取るパターン認識部と、読み取った2次元情報と前記パラメータの関連付けを記憶するパターン情報記憶部とを具備し、
前記パラメータ制御部は、前記パターン認識部が読み取った2次元情報を基に、対応するパラメータを前記パターン情報記憶部から読み取って、前記パラメータ記憶部に登録することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のインターホンシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−160831(P2012−160831A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−17914(P2011−17914)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000100908)アイホン株式会社 (777)
【Fターム(参考)】