説明

インドールキノキサリン類化合物、その製造方法およびそれを用いた医薬組成物

【課題】VEGF阻害作用を有し、糖尿病性腎症をはじめとする様々なVEGFが関与する疾患の治療薬となり得る化合物、その製造方法およびそれを用いた医薬組成物を提供する。
【解決手段】下記一般式(I)、


で表わされるインドールキノキサリン類化合物またはその医薬上許容される塩、それらの製造方法、およびそれらを有効成分として含有する医薬組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インドールキノキサリン類化合物、その製造方法およびそれを用いた医薬組成物に関し、詳しくはVEGF(Vascular endothelial growth factor)阻害作用を有するインドールキノキサリン類化合物、その製造方法およびそれを用いた医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
VEGFは、分子量約45,000の糖タンパク質で、内皮細胞特異的な細胞増殖活性や血管新生促進作用、また血管透過性亢進作用などを示す物資である。VEGFは、糖尿病性腎症、固形腫瘍、リウマチ様関節炎、糖尿病性網膜症あるいはcrow-fukase症候群などの病態への関与が示唆されている。
【0003】
糖尿病性腎症は、糖尿病に基づき発症する腎疾患であり、微量アルブミン尿や尿蛋白の発現を特徴とし、糸球体硬化に進展する病態である。近年、糖尿病動物モデルにおける腎構成細胞のポドサイト、遠位尿細管や集合管で、さらに臨床的にも糖尿病患者の腎糸球体においてVEGFの発現が増強していることが報告された(非特許文献1および2参照)。また、動物実験においてVEGFの中和抗体が、糖尿病性腎症に特徴的所見である尿中アルブミン量の増加を抑制することが報告された(非特許文献3および4参照)。これらのことから、糖尿病性腎症へのVEGFの関与が示唆されると共に、VEGF阻害剤が糖尿病性腎症の治療薬となる可能性が考えられる。
【0004】
VEGF阻害剤としては、例えば、VEGF受容体拮抗剤が特許文献1〜3等に開示されている。
【特許文献1】特開2002−193923号公報
【特許文献2】特開2002−193922号公報
【特許文献3】特開2001−72587号公報
【非特許文献1】Increased renal expression of vascular endothelial growth factor (VEGF) and its receptor VEGFR-2 in experimental diabetes. :「Diabetes」:1999, 48:p2229-2239
【非特許文献2】Quantitative and qualitative changes in vascular endothelial growth factor gene expression in glomeruli of patients with type 2 diabetes. :「European Journal of Endocrinology」:2004, 150:p799-807
【非特許文献3】Antibodies against vascular endothelial growth factor improve early renal dysfunction in experimental diabetes. :「Journal of the American Society of Nephrology」:2001, 12:p.993-1000
【非特許文献4】Amelioration of long-term renal changes in obese type 2 diabetic mice by a neutralizing vascular endothelial growth factor antibody. 「Diabetes」: 2002, 51:p3090-3094
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現在までに、上記特許文献1〜3記載の化合物をはじめとして、VEGF阻害剤は世界各国で抗がん剤として開発されていることは周知の事実である。しかし、例えば、糖尿病性腎症においては、近年、上記のごとく、糖尿病性腎症にVEGFが深く関与されていることを示す情報が散見されているが、未だ、糖尿病性腎症動物モデルに有効性を示す低分子化合物の報告はなく、治療薬の開発には至っていない。そのような現状において、更なるVEGF阻害剤が望まれている。
【0006】
そこで、本発明の目的は、VEGF阻害作用を有し、糖尿病性腎症をはじめとする様々なVEGFが関与する疾患の治療薬となり得る化合物、その製造方法およびそれを用いた医薬組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、特定の構造を有するインドールキノキサリン類化合物が、VEGF阻害作用を有し、更に尿中のアルブミン排泄抑制作用を持つことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明のインドールキノキサリン類化合物は、下記一般式(I)、

[式中、R1、R2、R3およびR4は、それぞれ独立に水素原子;―C(O)OR10(R10は、水素原子またはアルキル基である);−C(O)NR1112(R11およびR12は、それぞれ独立に水素原子;ピリジル基が置換されていてもよいアルキル基;−X1−NR1314(X1はアルキレン、R13およびR14はアルキル基であるか、または隣接する窒素原子とともに下記一般式、

(式中、X2およびX3はアルキレンである)で表わされる環を形成してもよい);または下記一般式、

(式中、X4およびX5はアルキレン、R15はアリール基が置換されていてもよいアルキル基である)で表わされる基であり、R11およびR12は隣接する窒素原子とともに下記一般式、

(式中、X6およびX7はアルキレン、W1は、−CH2−または−NH−である)で表わされる環を形成してもよく、該環は、−X8−NR1617(X8は単結合またはアルキレン、R16およびR17は、それぞれ独立に水素原子またはアルキル基であるか、または隣接する窒素原子とともに環を形成してもよい);または、アリール基(ハロゲン原子もしくはアルコキシ基が置換されていてもよく、あるいは複数の置換基で環を形成してもよい)もしくはピリジル基が置換されていてもよいアルキル基が置換されていてもよい);−O−X9−NR1819(X9はアルキレン、R18およびR19はアルキル基であるか、または隣接する窒素原子とともに下記一般式、

(式中、X10およびX11はアルキレン、W2は、−CH2−または−O−である)で表わされる環を形成してもよい);−O−X12−C(O)OR20(X12はアルキレン、R20は、水素原子またはアルキル基である);−O−C(O)−X13−NR2122(X13は、単結合またはアルキレン、R21およびR22は、それぞれ独立に水素原子またはアルキル基であるか、または隣接する窒素原子とともに環を形成してもよい);水酸基;またはアリール基が置換されていてもよいアルコキシ基であり、
5はアルキル基;−X14−OR23(X14はアルキレン、R23は、水素原子またはアルキル基である);−X15−NR2425(X15はアルキレン、R24およびR25は、それぞれ独立に水素原子または−C(O)NR2627(R26およびR27は、それぞれ独立に水素原子またはアルキル基である)である);−X16−C(O)OR28(X16はアルキレン、R28は、水素原子またはアルキル基である);または−X17−C(O)NR2930(X17はアルキレン、R29およびR30は、それぞれ独立に水素原子またはアルキル基である)であり、
6、R7、R8およびR9は、それぞれ独立に水素原子;ハロゲン原子;アルキル基;アルコキシ基;−C(O)OR31(R31は、水素原子またはアルキル基である);−NR3233(R32およびR33は、それぞれ独立に水素原子または−C(O)−W3−X18−W4−R34(X18はアルキレン、W3は単結合または酸素原子、W4は酸素原子または硫黄原子、R34はアルキル基である)である);または−C(O)NR3536(R35およびR36は、それぞれ独立にアルコキシ基が置換されていてもよいアルキル基または水素原子であるか、または隣接する窒素原子とともに下記一般式、

(式中、X19およびX20はアルキレン、R37はアルキル基である)で表わされる環を形成してもよい)である]で表わされることを特徴とするもの、またはその医薬上許容される塩である。
【0009】
本発明の製造方法は、上記本発明のインドールキノキサリン類化合物またはその医薬上許容される塩の製造方法であって、下記一般式(II)、

(式中、R1、R2、R3、R4およびR5は上記のものと同じである)で表わされるインドール誘導体またはその前駆体と、下記一般式(III)、

(式中、R6、R7、R8およびR9は上記のものと同じである)で表わされるキノキサリン誘導体またはその前駆体と、を反応させる工程を含むことを特徴とするものである。
【0010】
本発明の医薬組成物は、上記本発明のインドールキノキサリン類化合物またはその医薬上許容される塩を有効成分として含有することを特徴とするものである。
【0011】
なお、本明細書において使用する各置換基等の定義は次の通りである。「アルキル基」は、直鎖でも分枝してもよく、環状であってもよい。炭素数は特に制限されるものではないが、好ましくは1〜12、より好ましくは1〜6である。「アルコキシ基」のアルキル基部分は、上記アルキル基と同様に、直鎖でも分枝してもよく、環状であってもよく、炭素数は特に制限されるものではないが、好ましくは1〜12、より好ましくは1〜6である。「アルキレン」は、直鎖でも分枝してもよく、炭素数は特に制限されるものではないが、好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは1〜6である。「アリール基」とは、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基等であり、好ましくはフェニル基である。
【発明の効果】
【0012】
本発明のインドールキノキサリン類化合物またはその医薬上許容される塩は、VEGF阻害作用を有する化合物である。それらを有効成分とする本発明の医薬組成物は、VEGF阻害作用を有する治療薬として、糖尿病性腎症、固形腫瘍、リウマチ様関節炎、糖尿病性網膜症あるいはcrow-fukase症候群等の種々の疾患への応用が期待できる。また、本発明のインドールキノキサリン類化合物またはその医薬上許容される塩の製造方法として、本発明の製造方法を用いることにより、副生成物の生成を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の好適実施形態について、詳細に説明する。
本発明のインドールキノキサリン類化合物は、下記一般式(I)、

で表わされることを特徴とするものである。式中、R1、R2、R3およびR4は、それぞれ独立に水素原子;―C(O)OR10(R10は、水素原子またはアルキル基である。);−C(O)NR1112(R11およびR12は、それぞれ独立に水素原子;ピリジル基が置換されていてもよいアルキル基;−X1−NR1314(X1はアルキレンである。R13およびR14はアルキル基であるか、または隣接する窒素原子とともに下記一般式、

(式中、X2およびX3はアルキレンである。)で表わされる環を形成してもよい。);または下記一般式、

(式中、X4およびX5はアルキレンである。R15はアリール基が置換されていてもよいアルキル基である。)で表わされる基である。R11およびR12は隣接する窒素原子とともに下記一般式、

(式中、X6およびX7はアルキレンである。W1は、−CH2−または−NH−である。)で表わされる環を形成してもよく、該環は、−X8−NR1617(X8は単結合またはアルキレンである。R16およびR17は、それぞれ独立に水素原子またはアルキル基であるか、または隣接する窒素原子とともに環を形成してもよい。);または、アリール基(ハロゲン原子もしくはアルコキシ基が置換されていてもよく、あるいは複数の置換基で環を形成してもよい。)もしくはピリジル基が置換されていてもよいアルキル基が置換されていてもよい。);−O−X9−NR1819(X9はアルキレンである。R18およびR19はアルキル基であるか、または隣接する窒素原子とともに下記一般式、

(式中、X10およびX11はアルキレンである。W2は、−CH2−または−O−である。)で表わされる環を形成してもよい。);−O−X12−C(O)OR20(X12はアルキレンである。R20は、水素原子またはアルキル基である。);−O−C(O)−X13−NR2122(X13は、単結合またはアルキレンである。R21およびR22は、それぞれ独立に水素原子またはアルキル基であるか、または隣接する窒素原子とともに環を形成してもよい。);水酸基;またはアリール基が置換されていてもよいアルコキシ基である。
【0014】
1およびR4が水素原子であるものが好ましい。また、R2が、水素原子であるものが好ましい。その他、R2が、アルコキシ基であるものも好ましく、前記アルコキシ基がメトキシ基であるものがより好ましい。
【0015】
3が、−C(O)NR1112(R11およびR12は、上記のものと同じである。)であるものが好ましく、R11およびR12が、隣接する窒素原子とともに下記一般式、

(式中、R38は、水素原子;−X8−NR1617(X8は単結合である。R16およびR17はアルキル基であるか、または隣接する窒素原子とともに環を形成してもよい。);またはフェニル基もしくはピリジル基が置換されていてもよいアルキル基である。)で表される環を形成しているものがより好ましい。R38が、ベンジル基、1−ピペリジノ基、ジメチルアミノ基、水素原子、メチル基またはピリジルメチル基であるものが好適である。
【0016】
また、R3が、−O−X9−NR1819(X9、R18およびR19は、上記のものと同じである。)であるものも好ましい。更に、X9が炭素数1〜6のアルキレンであり、R18およびR19が炭素数1〜6のアルキル基であるか、または隣接する窒素原子とともに下記一般式、

(式中、W2は、−CH2−または−O−である。)で表わされる環を形成してもよいものが、より好ましい。
【0017】
5はアルキル基;−X14−OR23(X14はアルキレンである。R23は、水素原子またはアルキル基である。);−X15−NR2425(X15はアルキレンである。R24およびR25は、それぞれ独立に水素原子または−C(O)NR2627(R26およびR27は、それぞれ独立に水素原子またはアルキル基である。)である。);−X16−C(O)OR28(X16はアルキレンである。R28は、水素原子またはアルキル基である。);または−X17−C(O)NR2930(X17はアルキレンである。R29およびR30は、それぞれ独立に水素原子またはアルキル基である。)である。
【0018】
5が、アルキル基;−X14−OR23(X14およびR23は、上記のものと同じである。);または−X16−C(O)OR28(X16およびR28は、上記のものと同じである。)であるものが好ましい。
【0019】
5がアルキル基である場合、炭素数1〜6であるものが好ましい。また、R5が−X14−OR23である場合、X14が炭素数1〜6のアルキレンであり、R23が、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基であるものが好ましい。R5が−X16−C(O)OR28である場合、X16が炭素数1〜6のアルキレンであり、R28が炭素数1〜6のアルキル基であるものが好ましい。
【0020】
6、R7、R8およびR9は、それぞれ独立に水素原子;ハロゲン原子;アルキル基;アルコキシ基;−C(O)OR31(R31は、水素原子またはアルキル基である。);−NR3233(R32およびR33は、それぞれ独立に水素原子または−C(O)−W3−X18−W4−R34(X18はアルキレンである。W3は単結合または酸素原子である。W4は酸素原子または硫黄原子である。R34はアルキル基である。)である。);または−C(O)NR3536(R35およびR36は、それぞれ独立にアルコキシ基が置換されていてもよいアルキル基または水素原子であるか、または隣接する窒素原子とともに下記一般式、

(式中、X19およびX20はアルキレンである。R37はアルキル基である。)で表わされる環を形成してもよい。)である。
【0021】
6、R7、R8およびR9が水素原子であるもの、R6、R8およびR9が水素原子であり、R7がフッ素原子であるもの、R7、R8およびR9が水素原子であり、R6が炭素数1〜6のアルキル基であるものが好ましい。
【0022】
本発明のインドールキノキサリン類化合物において、その医薬上許容される塩とは、特に制限されるものではなく、例えば、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、グリコール酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、シュウ酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマール酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩およびアスコルビン酸塩等を挙げることができる。なお、水和物、溶媒和物等であってもよい。
【0023】
本発明のインドールキノキサリン類化合物またはその医薬上許容される塩の合成方法は特に制限されるものではなく、既知の反応を組み合わせることにより、合成することができるが、好ましくは、本発明の製造方法により合成することが反応条件および収率等の点で有利である。本発明の製造方法は、上記本発明のインドールキノキサリン類化合物またはその医薬上許容される塩の製造方法するにあたり、下記一般式(II)、

(式中、R1、R2、R3、R4およびR5は上記のものと同じである。)で表わされるインドール誘導体またはその前駆体と、下記一般式(III)、

(式中、R6、R7、R8およびR9は上記のものと同じである。)で表わされるキノキサリン誘導体またはその前駆体と、を反応させる工程を含む。
【0024】
かかる反応をブレンステッド酸存在下にて行うことが好ましく、ブレンステッド酸として、酢酸またはトリフルオロ酢酸を好適に用いることができる。
【0025】
本発明の製造方法を具体的に説明すると、例えば、インドール誘導体(II)とキノキサリン誘導体(III)をトリフルオロ酢酸存在下、ジクロロエタン溶媒で加熱還流することで容易に本発明のインドールキノキサリン類化合物を得ることができる。また、トリフルオロ酢酸のほかにも酢酸中で還流を行っても目的物を得ることができる。反応溶媒としては、ジクロロメタン、トルエン、ジメチルホルムアミド等も用いることができる(Synlett 2003, No.8, 1160-1164参照)。
【0026】
また、本発明のインドールキノキサリン類化合物は、下記反応スキームに従い合成することも可能である。しかし、下記反応スキームでは、置換基RaおよびRbが異なる置換基である場合、位置異性体の混合物として得られ分離が困難となる。

【0027】
本発明の医薬組成物は上記本発明のインドールキノキサリン類化合物またはその医薬上許容される塩を有効成分として含有することを特徴とするものである。本発明の医薬組成物はVEGF阻害剤として好適であり、糖尿病性腎症治療薬、抗がん剤または血管新生阻害剤等として有用である。
【0028】
本発明の医薬組成物の形態は、特に限定されず、必要に応じて適宜選択することができる。例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、散剤または液剤のような経口剤、または、注射剤、外用剤または坐剤のような非経口剤が挙げられ、定法に従い、製剤とすることができる。
【0029】
本発明の医薬組成物を糖尿病性腎症治療薬、抗がん剤、血管新生阻害剤等として用いる場合に、患者の年齢、性別、体重または疾患の程度により異なるが、通常、成人に対して、1日あたり1mg〜1gの範囲で、1日1回〜複数回投与する。
【実施例】
【0030】
本発明のインドールキノキサリン類化合物を下記に示す手順に従い合成した。
本発明のインドールキノキサリン類化合物は、各種置換基を有する2(1H)−キノキサリノンと、各種置換基を有するインドール化合物とを縮合させることにより合成した。各種置換基を有するキノキサリン−2(1H)−オンは、下記合成方法またはその変法により合成した。
【0031】
合成例
各種置換基を有するキノキサリン−2(1H)−オンの合成
文献「HETEROCYCLES,Vol.23,No.1,143-151,1985」を参照し、以下の反応式に従い、目的の化合物を合成した。

【0032】
同様の方法により下記化合物も合成した。

【0033】
また、文献「Journal of Medicinal Chemistry,1981,Vol.24,No.1,93-101」を参照し、以下の反応式に従い合成した。

【0034】
その他、下記反応式に従い各種置換基を有するキノキサリン−2(1H)−オンを合成した。

【0035】
上記方法により、または上記方法に準じて得られた各種置換基を有する各種置換基を有するキノキサリン−2(1H)−オンを用いて、本発明のインドールキノキサリン類化合物を合成した。
【0036】
合成例(I)−1
3−(3−(2−ヒドロキシエチル)−1H−インドール−2−イル)キノキサリン−2(1H)−オン(化合物1−1)の合成
下記反応式に従い、目的の化合物を合成した。

【0037】
2−(3−インドール)エタノール(322mg、2.00mmol)とキノキサリン−2(1H)−オン(229mg、2.00mmol)のジクロロメタン懸濁液5mLに無水トリフルオロ酢酸(0.80mL)を加え、室温で4時間攪拌した。反応液にN−ブロモスクシンイミド(356mg、2.00mmol)を加え室温で0.5時間攪拌した。反応液に飽和炭酸ナトリウム水溶液を加えた後、酢酸エチルで抽出した。有機層を濃縮し、析出した結晶濾取した後、少量の含水メタノールで洗浄し、目的の化合物を401mg得た。
【0038】
合成例(I)−2
2−(1H)−インドール−3−イル)アセトアミドの合成
下記反応式に従い、目的の化合物を合成した。

【0039】
3−インドール酢酸1.00g(5.70mmol)、N,N−カルボジイミダゾール1.38g(8.55mmol)の無水ジメチルホルムアミド溶液10mLに塩化アンモニウム481.5mg(9.00mmol)、トリエチルアミン1.30mL(9.00mmol)を加え、室温で2時間攪拌した。反応液に水を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮した。得られた粗結晶をジエチルエーテルで洗浄し、目的の化合物を419mg(収率42.2%)得た。
【0040】
合成例(I)−3
2−(2−(1,2−ジヒドロ−2−キノキサリン−3−イル)−1H−インドール−3−イル)アセトアミド(化合物1−2)の合成
下記反応式に従い、化合物1−1と同様の方法により、目的の化合物を67.6mg(収率60.7%)得た。

【0041】
合成例(I)−4
3−(3−(2−アミノエチル)−1H−インドール−2−イル)キノキサリン−2(1H)−オン(化合物1−3)の合成
下記反応式に従い化合物1−1と同様の方法により、目的の化合物を101mg(収率33.3%)得た。

【0042】
合成例(I)−5
1−(2−(2−(1、2−ジヒドロ−2−キノキサリン−3−イル)−1H−インドール−3−イル)エチル)−3−プロピルウレア(化合物1−4)の合成
下記反応式に従い、目的の化合物を合成した。

【0043】
3−(3−(2−アミノエチル)−1H−インドール−2−イル)キノキサリン−2(1H)−オン152mg(0.50mmol)の無水テトラヒドロフラン懸濁液10mLにトリホスゲン163mg(0.55mmol)、トリエチルアミン0.1mL(0.91mmol)を加え、60℃で4時間攪拌した。反応液にn−プロピルアミン0.15mL(1.50mmol)を加え、同温度で2時間攪拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濃縮後、粗精製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:1→クロロホルム:メタノール=10:1)にて精製し、目的の化合物を36.7mg(収率18.9%)得た。
【0044】
合成例(I)−6
7−アミノ−3−(3−メチル−1H−インドール−2−イル)キノキサリン−2(1H)−オン(化合物1−5)の合成
下記反応式に従い、目的の化合物を合成した。

【0045】
3−メチルインドール(0.23g、1.8mmol)と7−アミノキノキサリン−2(1H)−オン(0.18g,1.2mmol)のジクロロメタン(5mL)懸濁液にトリフルオロ酢酸(0.4mL)を加え室温で1時間攪拌した。反応混合液を氷冷下でN−ブロモスクシンイミド(0.2g)を加え更に30分間攪拌した。反応混合物を水とメタノールで希釈し飽和炭酸水素ナトリウムでアルカリ性とした後、析出した赤褐色の固体を濾別し、目的の化合物を100mg得た。
【0046】
合成例(I)−7
N−(1,2−ジヒドロ−3(3−メチル−1H−インドール−2−イル)−2−オキソキノキサリン−7−イル)−3−(メチルチオ)プロパンアミド(化合物1−6)の合成
下記反応式に従い、目的の化合物を合成した。

【0047】
7−アミノ−3−(3−メチル−1H−インドール−2−イル)キノキサリン−2(1H)−オン0.25g(0.86mmol)のピリジン5mL溶液に氷冷下で3−メチルチオプロピオニルクロライド0.15mL(1.3mmol)を加え、室温にもどし24時間撹拌した。反応混合物を濃縮したのちに少量のメタノールと水を加え析出した固体をろ別し減圧加熱乾燥し、目的の化合物を0.25g得た。
【0048】
合成例(I)−8
2−メトキシエチル1,2−ジヒドロ−3−(3−メチル−1H−インドール−2−イル)−2−オキソキノキサリン−7−イルカルバメート(化合物1−7)の合成
7−アミノ−3−(3−メチル−1H−インドール−2−イル)キノキサリン−2(1H)−オン200mg(0.7mmol)の無水テトラヒドロフラン懸濁液15mLにトリホスゲン140mg(0.48mmol)を加え、50℃で4時間攪拌した。反応液に2−メトキシエタノール0.5mLを加え、同温度で15時間攪拌した。反応液に水を加え、クロロホルムで抽出し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濃縮後、粗精製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム−メタノール=50:1)にて精製し、目的の化合物を45mg得た。
【0049】
合成例(I)−9
メチル1,2−ジヒドロ−3−(3−メチル−1H−インドール−2−イル)−2−オキシキノキサリン−6−カルボキシレート(化合物1−8)および1,2−ジヒドロ−3−(3−メチル−1H−インドール−2−イル)−2−オキシキノキサリン−6−カルボン酸(化合物1−9)の合成
下記反応式に従い、目的の化合物を合成した。

【0050】
3−メチルインドールとメチル1,2−ジヒドロ−2−オキソキノキサリン−6−カルボキシレートから化合物1−1と同様は方法でメチル1,2−ジヒドロ−3−(3−メチル−1H−インドール−2−イル)−2−オキシキノキサリン−6−カルボキシレートを得た。更に得られた化合物200mgのエタノール15mL液に水酸化ナトリウム70mgの水溶液を加え、60℃にて2時間撹拌した後、希塩酸で酸性としたのち析出した固体をろ別し、1,2−ジヒドロ−3−(3−メチル−1H−インドール−2−イル)−2−オキシキノキサリン−6−カルボン酸180mgを得た。
【0051】
合成例(I)−10
1,2−ジヒドロ−N−(2−メトキシエチル)−3−(3−メチル−1H−インドール−2−イル)2−オキソキノキサリン6−カルボキシアミド(化合物1−10)の合成
下記反応式に従い、目的の化合物を合成した。

【0052】
2−ジヒドロ−3−(3−メチル−1H−インドール−2−イル)−2−オキシキノキサリン−6−カルボン酸210mg(0.67mmol)のジメチルホルムアミド5mL溶液にシアノリン酸ジエチル0.16g(1.0mmol)とジイソプロピルエチルアミン0.22mLを加え室温で30分間撹拌したのちメトキシエチルアミン0.1mLを加え更に20時間撹拌した。反応液に水を加えたのち固体をろ別し、目的の化合物を10mg得た。
【0053】
合成例(I)−11
3−(3−メチル−1H−インドール2−イル)−6−(4−メチルピペラジン−1−カルボニル)−1H−キノキサリン−2−オン(化合物1−11)の合成
化合物1−10と同様の手順で、アミンに1−メチルピペラジンを用いて、目的の化合物を得た。
【0054】
上記合成例(I)−1〜(I)−11にて合成した化合物、または同様の方法にて合成した化合物の構造式、化合物名、NMRデータを下記表1〜3に示す。
【0055】
【表1】

【0056】
【表2】

【0057】
【表3】

【0058】
合成例(II)
3−(5−(2−(ピペリジン−1−イル)エトキシ)−3−メチル−1H−インドール−2−イル)キノキサリン−2(1H)オン(化合物2−1)の合成
下記反応式に従い、目的の化合物を合成した。

【0059】
合成例(II)−1
5−(ベンジルオキシ)−1H−インドール−3−カルボアルデヒドの合成
イミダゾール1.52g(22.4mmol)と無水酢酸9.00mLを130℃で0.5時間攪拌した。反応液に5−ベンジルオキシインドール5.00g(22.4mmol)の無水酢酸溶液(4.50mL)を同温度で加え、0.5時間攪拌した。反応液を濃縮し、エタノール80mLを加えた後、水酸化ナトリウム4.20g(105mmol)の水溶液40mLを加え、1時間加熱還流した。反応液を室温に冷却後、1mol/L塩酸を加え、析出した結晶を濾取した。少量のジエチルエーテルで結晶を洗浄し、目的の化合物を4.51g(収率80.2%)得た。
1H-NMR(CDCl3)δ:5.14 (s, 2H), 7.00 (dd, J=2.5, 8.9Hz, 1H), 7.31-7.51 (m, 6H), 7.79 (d, J=3.2Hz, 1H), 7.88 (d, J=2.5Hz, 1H), 9.98 (s, 1H), 11.04 (brs, 1H)
【0060】
合成例(II)−2
5−(ベンジルオキシ)−3−メチル−1H−インドールの合成
5−(ベンジルオキシ)−1H−インドール−3−カルボアルデヒド1.00g(3.98mmol)のイソプロパノール溶液300mLに10%パラジウム炭素3.50gおよびテトラヒドロホウ素化ナトリウム3.00gを加え5.5時間加熱還流した。残渣を濾過後、濃縮し、水を加えジエチルエーテルで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮した。得られた粗結晶を含水エタノールから再結晶し、目的の化合物を778mg(収率82.5%)得た。
【0061】
合成例(II)−3
t−ブチル 5−(ベンジルオキシ)−3−メチル−1H−インドール−1−カルボキシレートの合成
5−(ベンジルオキシ)−3−メチル−1H−インドール4.87g、ジ−tert−ブチルジカーボネート5.04g、ジメチルアミノピリジン1.1g、トリエチルアミン3.00mLの無水アセトニトリル溶液5mLを室温で1時間攪拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥した。濃縮後、粗精製物をクロロホルム−ヘキサンから再結晶し、目的の化合物を4.33g得た。
【0062】
合成例(II)−4
t−ブチル 5−ヒドロキシ−3−メチル−1H−インドール−1−カルボキシレートの合成
t−ブチル 5−(ベンジルオキシ)−3−メチル−1H−インドール−1−カルボキシレート320mg(0.96mmol)の酢酸エチル溶液10mLに10%パラジウム炭素100mgを加え、水素雰囲気下、室温で24時間攪拌した。残渣を濾過後、濃縮し、粗精製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=3:1→2:1)にて精製し、目的の化合物を188mg得た。
【0063】
合成例(II)−5
t−ブチル 5−(2−(ピペリジン−1−イル)エトキシ)−3−メチル−1H−インドール−1−カルボキシレートの合成
t−ブチル 5−ヒドロキシ−3−メチル−1H−インドール−1−カルボキシレート247mg(1.00mmol)の無水ジメチルホルムアミド溶液5mLに炭酸セシウム978mg(3.00mmol)、1−(2−クロロエチル)ピペリジン塩酸塩276mg(1.5mmol)を加え、50℃で5時間攪拌した。残渣を濾過後、濃縮し、粗精製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=20:1)にて精製し、目的の化合物を439mg得た。
【0064】
合成例(II)−6
3−(5−(2−(ピペリジン−1−イル)エトキシ)−3−メチル−1H−インドール−2−イル)キノキサリン−2(1H)オンの合成
化合物1−1と同様の方法により、目的の化合物を得た。
【0065】
上記合成例(II)−1〜(II)−6にて合成した化合物、または同様の方法にて、1−(2−クロロエチル)ピペリジン塩酸塩の代わりに1−(2−クロロエチル)モルホリン、2−クロロエチルトリエチルアミン塩酸塩およびブロモ酢酸エチル等を、また、キノキサリン−2(1H)−オンの代わりに6−フルオロキノキサリン−2(1H)−オンを用い、合成した化合物の構造式、化合物名、NMRデータを下記表4に示す。
【0066】
【表4】

【0067】
合成例(III)
2−(1,2−ジヒドロ−2−オキソキノキサリン−3−イル)−3−メチル−1H−インドール−5−イル イソプロピルカルバメート(化合物3−1)の合成
下記反応式に従い、目的の化合物を合成した。

【0068】
合成例(III)−1
3−(5−ヒドロキシ−3−メチル−1H−インドール−2−イル)キノキサリン−2(1H)−オンの合成
t−ブチル 5−ヒドロキシ−3−メチル−1H−インドール−1−カルボキシレート800mg(3.3mmol)とキノキサリン−2(1H)−オン600mg(4.2mmol)との酢酸30mL液を80℃にて20時間撹拌した。混合液を室温に戻し水を加えたのち析出した固体をろ別し減圧下で乾燥し、目的の化合物を370mg得た。
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 2.7(s,3H),6.7(dd,1H,J=2.3,8.8Hz),6.9(d,1H,J=2.1Hz)7.3-7.6(m,4H),7.8(m,1H),8.8(s,1H),11.4(s,1H),12.7(brs,1H)
【0069】
合成例(III)−2
2−(1,2−ジヒドロ−2−オキソキノキサリン−3−イル)−3−メチル−1H−インドール−5−イル イソプロピルカルバメートの合成
3−(5−ヒドロキシ−3−メチル−1H−インドール−2−イル)キノキサリン−2(1H)−オン100mg(0.34mmol)のテトラヒドロフラン5mL液にトリエチルアミン0.15mLを加え0℃に冷却した。反応混合液にイソシアニックアシッド イソプロピルエステル0.1mL(1mmol)を加え、室温に徐々に戻し更に50度にて12時間撹拌した。反応混合液を室温に戻し水を加えたのち析出した固体をろ別し減圧下で乾燥し、目的の化合物を110mg得た。
【0070】
上記合成例(III)と同様の方法にて、イソシアニックアシッド イソプロピルエステルの代わりにイソシアニックアシッド n-ブチルエステルあるいはイソシアニックアシッド シクロヘキシルエステルを用いて以下の化合物を得た。

【0071】
合成例(IV)
3−(5−ヒドロキシ−6−メトキシ−3−メチル−1H−インドール−2−イル)キノキサリン−2(1H)−オン(化合物4−1)の合成
下記反応式に従い、目的の化合物を合成した。

【0072】
合成例(IV)−1
5−(ベンジルオキシ)−6−メトキシ−1H−インドール−3−カルボアルデヒドの合成
アルゴン雰囲気下、5−ベンジルオキシ−6−メトキシインドール1.0g(3.95mmol)のジメチルホルムアミド(8mL)溶液をオキシ塩化リン(1.5mL)に滴下し、室温で1時間攪拌した。反応後水酸化ナトリウム(5g)の水(15mL)溶液を加え、0.5時間還流した。濃塩酸でpHを2〜3にし、沈殿物を濾取し、乾燥することにより、目的の化合物(1.07g, 97%)を得た。
1H-NMR(DMSO-d6, 200MHz)δ:3.82(s, 3H), 5.09 (s, 2H), 7.05(s, 1H), 7.29〜7.52(m, 5H), 7.66(s, 1H) , 8.08(s, 1H) , 9.84(s, 1H) , 11.8(bro, 1H).
【0073】
合成例(IV)−2
5−(ベンジルオキシ)−6−メトキシ−3−メチル−1H−インドールの合成
アルゴン雰囲気下、5−(ベンジルオキシ)−6−メトキシ−1H−インドール−3−カルボアルデヒド (1.07mg, 3.80mmol)および10%パラジウム−炭素(0.42mg)を2−プロパノール(230mL)に溶解させ、水素化ホウ素ナトリウム(1.7g)を加え、110℃で1時間攪拌還流した。反応後酢酸エチル−水を加えて抽出し、抽出液を飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムで精製(酢酸エチル−へキサン=1:2)することにより、目的の化合物(700mg, 76%)を得た。
1H-NMR(CDCl3, 200MHz)δ:2.24(d, 3H, J=1.0Hz), 3.90(s, 3H), 5.17 (s, 2H), 6.83(s, 1H), 6.88(s, 1H), 7.06(s, 1H), 7.27〜7.53(m, 5H), 7.71(s, 1H).
【0074】
合成例(IV)−3
3−(5−(ベンジルオキシ)−6−メトキシ3−メチル−1H−インドール−2−イル)キノキサリン−2(1H)−オン(化合物4−2)の合成
5−(ベンジルオキシ)−6−メトキシ−3−メチル−1H−インドール(70mg, 0.25mmol)およびキノキサリン−2(1H)−オン(44mg, 1.2eq)をジクロロエタン(2mL)に溶解させ、トリフルオロ酢酸 (0.5mL)を加え、60℃で1時間攪拌した。反応後減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムで精製(ジクロロメタン−メタノール=50:1)することにより、目的の化合物(47.6mg, 46%)を得た。
1H-NMR(DMSO-d6, 200MHz)δ:2.73 (s, 3H), 3.82 (s, 3H), 5.12 (s, 2H), 7.20 (s, 1H), 7.26 (s, 1H), 7.28〜7.54 (m, 8H), 7.86 (d, 3H, J=7.5Hz), 11.5(s, 1H), 12.7(s, 1H).
【0075】
合成例(IV)−4
3−(5−ヒドロキシ−6−メトキシ−3−メチル−1H−インドール−2−イル)キノキサリン−2(1H)−オンの合成
3−(5−(ベンジルオキシ)−6−メトキシ−3−メチル−1H−インドール−2−イル)キノキサリン−2(1H)−オン100mgと10%パラジウム−炭素20mgのエタノール20mL溶液に水素気流下で5時間撹拌した。反応混合物をセライトを用い濾過した後、ろ液を濃縮した。得られた固体をろ別し減圧下で乾燥し、目的の化合物を40mg得た。
【0076】
上記合成例(IV)と同様の方法にて、キノキサリン−2(1H)−オンの代わりに6−フルオロキノキサリン−2(1H)−オンを用い、以下の化合物を得た。

【0077】
合成例(V)
3−(5−(2−(ピペリジン−1−イル)エトキシ)−6−メトキシ−3−メチル−1H−インドール−2−イル)キノキサリン−2(1H)−オン(化合物5−1)の合成
下記反応式に従い、目的の化合物を合成した。

【0078】
合成例(V)−1
t−ブチル 5−(ベンジルオキシ)−6−メトキシ−3−メチル−1H−インドール−1−カルボキシレートの合成
アルゴン雰囲気下、 5−(ベンジルオキシ)−6−メトキシ−3−メチル−1H−インドール(614mg, 2.18mmol)およびジメチルアミノピリジン(cat.)をアセトニトリル(20mL)に溶解させ、ジ−t−ブチルジカーボナート(572mg, 1.2eq)とトリエチルアミン(0.46mL, 1.5eq)を加え、室温で終夜攪拌反応した。反応後、酢酸エチル−水を加えて抽出し、抽出液を飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムで精製(酢酸エチル−ヘキサン= 1:9)することにより、目的の化合物 (765mg, 95%)を得た。
1H-NMR(CDCl3, 200MHz)δ:1.65(s, 9H), 2.17 (d, 3H, J=1.3Hz), 4.03(s, 3H), 5.18(s, 2H), 6.96(s, 1H), 7.20 (s, 1H), 7.27〜7.51(m, 5H), 7.77(s, 1H).
【0079】
合成例(V)−2
t−ブチル 5−ヒドロキシ−6−メトキシ−3−メチル−1H−インドール−1−カルボキシレートの合成
t−ブチル 5−(ベンジルオキシ)−6−メトキシ−3−メチル−1H−インドール−1−カルボキシレート(760mg, 2.07mmol)および5%パラジウム−炭素(160mg)を酢酸エチル(30mL)に溶解させ、水素で置換した後室温で1時間攪拌反応した。反応後、ろ過によりパラジウム−炭素を除去し、減圧濃縮した後、残渣をシリカゲルカラムで精製(酢酸エチル−ヘキサン=1:9)することにより、目的の化合物(517mg, 93%)を得た。
1H‐NMR(CDCl3, 200MHz)δ:1.64(s, 9H), 2.19 (d, 3H, J=1.3Hz), 3.97(s, 3H), 5.57(s, 1H), 6.99(s, 1H), 7.20 (s, 1H), 7.74(s, 1H).
【0080】
合成例(V)−3
t−ブチル 5−(2−(ピペリジン−1−イル)エトキシ−6−メトキシ−3−メチル−1H−インドール−1−カルボキシレートの合成
t−ブチル 5−ヒドロキシ−6−メトキシ−3−メチル−1H−インドール−1−カルボキシレート(245mg, 0.88mmol)および1−(2−クロロエチル)ピペリジン塩酸塩(245mg, 1.5eq)をジメチルホルムアミド(4mL)に溶解させ、炭酸セシウム(575mg, 1.5eq)およびヨウ化カリ(10mg)を加え、60℃で終夜攪拌した。反応後室温に戻し、酢酸エチル−水を加えて抽出し、抽出液を飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムで精製(ジクロロメタン−メタノール=10:1)することにより、目的の化合物(303mg, 88%)を得た。
1H‐NMR(DMSO-d6, 200MHz)δ:1.46〜1.70 (m, 6H), 1.97 (bro, 2H), 2.21 (d, 3H, J=1.2Hz), 2.55〜2.60 (m, 4H), 2.84〜2.91 (m, 2H), 3.93 (s, 3H), 4.21(t, 2H, J=6.4Hz), 6.97(s, 1H), 7.21(s, 1H), 7.74(s, 1H).
【0081】
合成例(V)−4
3−(5−(2−(ピペリジン−1−イル)エトキシ)−6−メトキシ−3−メチル−1H−インドール−2−イル)キノキサリン−2(1H)−オンの合成
合成例(IV)−3と同様な方法で目的の化合物を得た。
【0082】
上記合成例(V)と同様の方法にて、1−(2−クロロエチル)ピペリジン塩酸塩の代わりに、1−(2−クロロエチル)モルホリンを、または、キノキサリン−2(1H)−オンの代わりに6−フルオロキノキサリン−2(1H)−オンを用い以下の化合物を得た。

【0083】
上記合成例(III)、(IV)、(V)にて合成した化合物、または同様の方法にて合成した化合物の構造式、化合物名、NMRデータを下記表5および6に示す。
【0084】
【表5】

【0085】
【表6】

【0086】
合成例(VI)
3−(5−(2−(ピペリジン−1−イル)エトキシ)−2−(1,2−ジヒドロ−2−キノキサリン−3−イル)−1H−インドール−3−イル)プロピオン酸(化合物6−1)の合成
下記反応式に従い、目的の化合物を合成した。

【0087】
合成例(VI)−1
t−ブチル 5−(ベンジルオキシ)−3−ホルミル−1H−インドール−1−カルボキシレートの合成
5−(ベンジルオキシ)−1H−インドール−3−カルボアルデヒド4.87g(19.4mmol)、ジ-tert-ブチルジカーボネート5.04g(23.3mmol)、ジメチルアミノピリジン 1.1g(19.4mmol)、トリエチルアミン3.00mL(19.4mmol)の無水アセトニトリル溶液5mLを室温で1時間攪拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥した。濃縮後、粗精製物をクロロホルム−ヘキサンから再結晶し、目的の化合物を4.33g(収率63.6%)得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.69 (s, 9H), 5.15 (s, 2H), 7.09 (dd, J=2.6, 9.1Hz, 1H), 7.32-7.51 (m, 5H), 7.89 (d, J=2.5Hz, 1H), 8.00 (d, J=9.1Hz, 1H), 8.19 (s, 1H), 10.06 (s, 1H)
【0088】
合成例(VI)−2
t−ブチル 3−((E)−2−(エトキシカルボニル)ビニル)−5−(ベンジルオキシ)−1H−インドール−1−カルボキシレートの合成
ジエチルフォスフォノ酢酸エチルエステル3.26mL(16.4mmol)、水素化ナトリウム680mg(16.4mmol)の無水テトラヒドロフラン溶液40mLを室温で0.5時間攪拌した。氷冷下、反応液にt−ブチル 5−(ベンジルオキシ)−3−ホルミル−1H−インドール−1−カルボキシレート3.85g(10.9mmol)の無水テトラヒドロフラン溶液40mLを加え、室温で1時間攪拌した。反応液に水を加え酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥した。濃縮後、粗精製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)にて精製し、目的の化合物を4.68g(定量的収率)得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.36 (t, J=7.2Hz, 3H), 1.67 (s, 9H), 4.28 (q, J=7.2Hz, 2H), 5.15 (s, 2H), 6.40-8.09 (m, 11H)
【0089】
合成例(VI)−3
t−ブチル 3−(2−(エトキシカルボニル)エチル)− 5−ヒドロキシ−1H−インドール−1−カルボキシレートの合成
(V)−2と同様の方法により、目的の化合物を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.26 (t, J=7.2Hz, 3H), 1.64 (s, 9H), 2.67 (t, J=6.6Hz, 2H), 2.96 (t, J=6.6Hz, 2H), 4.15 (q, J=7.2Hz, 2H), 4.76 (s, 1H), 6.83 (dd, J=2.5, 8.7Hz, 1H), 6.93 (d, J=2.5Hz, 1H), 7.35 (s, 1H), 7.95 (d, J=8.7Hz, 1H)
【0090】
合成例(VI)−4
エチル 3−(5−(2−(ピペリジン−1−イル)エトキシ)−2−(1,2−ジヒドロ−2−キノキサリン−3−イル)−1H−インドール−3−イル)プロピオネート(化合物6−2)の合成
t−ブチル 3−(2−(エトキシカルボニル)エチル)−5−ヒドロキシ−1H−インドール−1−カルボキシレート330mg(1.00mmol)の無水ジメチルホルムアミド溶液5mLに炭酸セシウム978mg(3.00mmol)、1−(2−クロロエチル)ピペリジン塩酸塩276mg(1.5mmol)を加え、50℃で8時間攪拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄した後、濃縮した。引き続き、得られた粗精製物の1,2−ジクロロエタン懸濁液にキノキサリン−2(1H)−オン180mg(1.23mmol)、無水トリフルオロ酢酸0.8mLを加え0.5時間加熱還流した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄した。濃縮後、粗精製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=30:1→10:1)にて精製し、さらに、ジクロロメタン−ヘキサンから再結晶して目的の化合物を192mg得た。
【0091】
合成例(VI)−5
3−(5−(2−(ピペリジン−1−イル)エトキシ)−2−(1,2−ジヒドロ−2−キノキサリン−3−イル)−1H−インドール−3−イル)プロピオン酸の合成
エチル 3−(5−(2−(ピペリジン−1−イル)エトキシ)−2−(1,2−ジヒドロ−2−キノキサリン−3−イル)−1H−インドール−3−イル)プロピオネート250mgのメタノール懸濁液5mLに水酸化ナトリウム200mg水溶液5mLを加え、室温で2時間攪拌した。反応液を酢酸で中和し、析出した結晶を濾取し、少量の含水エタノールで洗浄して、目的の化合物を152mg得た。
【0092】
他の中間体の合成
(VI)−2で用いたジエチルフォスフォノ酢酸エチルエステルの代わりにウイッテッヒ試薬を用い、以下の反応式に従い、以下の中間体を得た。

【0093】
アルゴン雰囲気下、エチルトリフェニルホスホニウムブロミド(817mg, 2.2mmol)を無水テトラヒドロフラン(10mL)に溶解させ、-3℃でn−ブチルリチウム(1.6M in Hexane, 2.2eq)を滴下し、0.5時間攪拌反応した。t−ブチル 5−(ベンジルオキシ)―3−ホルミル−1H−インドール−1−カルボキシレート(351mg, 1mmol)を無水テトラヒドロフラン(5mL)に溶解させ、溶液を滴下し、更に1時間攪拌反応した。反応後、酢酸エチルと水を加えて抽出し、有機層を飽和食塩水にて洗浄、無水硫酸マグネシウムにて乾燥後、溶媒を減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムで精製(酢酸エチル−ヘキサン=1:9)することにより、t−ブチル 5−(ベンジルオキシ)−3−((E,Z)−プロプ−1−エニル)−1H−インドール−1−カルボキシレート(211mg, 収率58%) をEとZの立体異性体の混合物として得た。
【0094】
得られた化合物(70.4mg, 0.19mmol)を酢酸エチル (3mL)に溶解させ、塩化パラジウム(13mg)を加え水素で置換し、室温で0.5時間攪拌反応した。反応後濾過し、濾液を減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムで精製(酢酸エチル:へキサン=1:5)することにより、t−ブチル 5−ヒドロキシ―3−プロピル−1H−インドール−1−カルボキシレート (55.5mg, 定量的) を得た。
1H‐NMR(DMSO-d6, 200MHz)δ:0.99(t, 3H, J=7.3Hz), 1.65(s, 9H), 1.58〜1.76(m, 2H), 2.58(t, 2H, J=8.0Hz), 4.77 (s, 1H), 6.85(dd, 1H, J=2.5, 8.7Hz), 6.93(d, 1H, J=2.5Hz), 7.31 (s, 1H), 7.95(d, 1H, J=8.7Hz).
【0095】
同様に以下の下記の中間体を得た。

【0096】
これら得られた中間体を用い、(VI)−4に記載の条件で、1−(2−クロロエチル)ピペリジン塩酸塩の代わりに、1−(2−クロロエチル)モルホリン、2−クロロエチルジエチルアミン塩酸塩を、また、キノキサリン−2(1H)−オンの代わりに6−フルオロキノキサリン−2(1H)−オン、5−メチルキノキサリン−2(1H)−オン、8−メチルキノキサリン−2(1H)−オンおよびメチル1,2−ジヒドロ−2−オキソキノキサリン−6−カルボキシレートを用い同様な方法で、本発明のインドールキノキサリン類化合物を合成した。
【0097】
3−(5−(2−(ピペリジン−1−イル)エトキシ)−2−(6−フルオロ−1,2−ジヒドロ−2−オキソキノキサリン−3−イル)−1H−インドール−3−イル)−N−メチルプロパンアミド(化合物6−3)の合成
また、得られた化合物6−5を用い、上記化合物も合成した。化合物6−5 212mg(0.44mmol)、N,N-カルボジイミダゾール 121mg(0.74mmol)、トリエチルアミン 0.2mLの無水ジメチルホルムアミド溶液 5mLを60℃で10分間、室温で50分間攪拌した後にメチルアミンメタノール溶液を加え室温で0.5時間攪拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を濃縮し、得られた粗結晶を濾取し、少量の水、エタノール、ジエチルエーテルで洗浄し、目的の化合物を得た(収率86.4%)。
【0098】
合成例(VII)
3−(5−(2−(ピペリジン−1−イル)エトキシ)−3−(ヒドロキシメチル)−1H−インドール−2−イル)キノキサリン−2(1H)−オン(化合物7−1)の合成
下記反応式に従い、目的の化合物を合成した。

【0099】
合成例(VII)−1
(5−(ベンジルオキシ)−1H−インドール−3−イル)メタノールの合成
アルゴン雰囲気下、5−(ベンジルオキシ)−1H−インドール−3−カルボアルデヒド(5.3g, 21mmol)をメタノール(100mL)とジメチルホルムアルデヒド (50mL)の混合溶媒に溶解させ、水素化ホウ素ナトリウム(4.0g, 105mmol)を加え、室温で0.5時間攪拌反応した。反応後、水を加え沈殿させ、沈殿物を濾取し、減圧乾燥することにより、目的の化合物(3.9g, 収率77%)を得た。
1H‐NMR(CDCl3, 200MHz)δ:4.85(s, 2H), 5.11(s, 2H), 6.94〜7.50(m, 9H), 8.26 (bro, 1H).
【0100】
合成例(VII)−2
(1−(t−ブトキシカルボニル)−5−(ベンジルオキシ)−1H−インドール−3−イル)メチル t−ブチルカルボネートの合成
(VI)−1と同様の方法により、目的の化合物を合成した。
1H‐NMR(CDCl3, 200MHz)δ:1.49(s, 9H), 1.65(s, 9H), 5.12(s, 2H), 5.22(s, 2H), 6.99〜7.50(m, 7H), 7.64(s, 1H), 8.02(d, 6H, J=9.0Hz).
【0101】
合成例(VII)−3
3−(5−(2−(ピペリジン−1−イル)エトキシ)−3−(ヒドロキシメチル)−1H−インドール−2−イル)キノキサリン−2(1H)−オンの合成
(VI)−3と同様な方法で脱ベンジル化の後に、(VI)−4と同様の方法でキノキサリンを縮合し、目的の化合物を得た。
【0102】
上記合成例(VII)と同様の方法にて、1−(2−クロロエチル)ピペリジン塩酸塩の代わりに、1−(2−クロロエチル)モルホリンを、また、キノキサリン−2(1H)−オンの代わりに6−フルオロキノキサリン−2(1H)−オン、5−メチルロキノキサリン−2(1H)−オン、8−メチルノキサリン−2(1H)−オンを用い、本発明のインドールキノキサリン類化合物を合成した。上記合成例(VI)、(VII)にて合成した化合物、またはそれらと同様の方法にて、合成した化合物の構造式、化合物名、NMRデータを下記表7〜11に示す。
【0103】
【表7】

【0104】
【表8】

【0105】
【表9】

【0106】
【表10】

【0107】
【表11】

【0108】
合成例(VIII)
3−[5−(4−ベンジル−ピペラジン−1−カルボニル)−3−メチル−1H−インドール−2−イル]−1H−キノキサリン−2−オン(化合物8−1)の合成
下記反応式に従い、目的の化合物を合成した。

【0109】
合成例(VIII)−1
3−ホルミル−1H−インドール−5−カルボン酸の合成
(IV)−1の方法と同様に、1H−インドール−5−カルボキシリックアシッドにオキシ塩化リンを作用させることで、目的の化合物を得た。
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 7.58 (d, J=8.6Hz, 1H), 7.88 (d, J=1.6, 8.6Hz, 1H), 8.42 (s, 1H), 8.66 (d, J=1.6Hz, 1H), 9.98 (s, 1H), 12.49 (s, 1H), 12.78 (s, 1H)
【0110】
合成例(VIII)−2
5−[(4−ベンジルピペラジン−1−イル)カルボニル]−1H−インドール−3−カルバアルデヒドの合成
3−ホルミル−1H−インドール−5−カルボン酸500mg(2.64mmol)、N,N−カルボジイミダゾール513mg(3.16mmol)の無水ジメチルホルムアミド溶液5mLを室温で0.5時間攪拌した後、1−ベンジルピペラジン0.54mL(3.16mmol)を加え、さらに1時間攪拌した。反応液に飽和炭酸ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濃縮後、粗精製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=20:1)にて精製し、目的の化合物を849mg(収率92.6%)得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 2.48 (m, 4H), 3.33-3.99 (m, 6H), 7.15-7.33 (m, 7H), 7.74 (d, 1H), 8.33 (s, 1H), 9.95 (s, 1H), 10.37 (s, 1H)
【0111】
合成例(VIII)−3
5−[(4−ベンジルピペラジン−1−イル)カルボニル]−3−メチル−1H−インドールの合成
(II)−2と同様に、5−[(4−ベンジルピペラジン−1−イル)カルボニル]−1H−インドール−3−カルバアルデヒドに対し10%パラジウム−炭素と水素化ホウ素ナトリウムを用いて、目的の化合物を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 2.3 (s, 3H), 2.5 (m, 4H), 3.5 (s, 2H), 3.7 (m, 4H), 7.0 (s, 1H), 7.2-7.3 (m, 7H), 7. 8 (s, 1H), 8.0 (brs, 1H)
【0112】
合成例(VIII)−4
3−[5−(4−ベンジル−ピペラジン−1−カルボニル)−3−メチル−1H−インドール−2−イル]−1H−キノキサリン−2−オンの合成
合成例(IV)−3と同様に5−[(4−ベンジルピペラジン−1−イル)カルボニル]−3−メチル−1H−インドールとキノキサリン−2(1H)−オンから目的の化合物(収率58.0%)を得た。
【0113】
3−{3−メチル−5−(ピペラジン−1−カルボニル)−1H−インドール−2−イル}−1H−キノキサリン−2−オン(化合物8−2)の合成
下記反応式に従い、目的の化合物を合成した。

【0114】
3−[5−(4−ベンジル−ピペラジン−1−カルボニル)−3−メチル−1H−インドール−2−イル]−1H−キノキサリン−2−オン72.7mg(0.15mmol)の無水メタノール懸濁液5mLに塩化パラジウム20mgを加え、水素雰囲気下、室温で2時間攪拌した。残渣を濾過後、濃縮し、含水エタノールから再結晶し、目的の化合物の塩酸塩を20mg(収率31.0%)得た。
MS +ESI 388 (M-HCl+1)、-ESI 386 (M-HCl-1)
【0115】
合成例(IX)
3−{5−[4−(4−クロロ−ベンジル)ピペラジン−1−カルボニル]−3−メチル−1H−インドール−2−イル}−6−フルオロ−1H−キノキサリン−2−オン(化合物9−1)の合成
下記反応式に従い、目的の化合物を合成した。

【0116】
合成例(IX)−1
3−メチル−1H−インドール−5−カルボン酸の合成
(II)−2と同様に、3−ホルミル−1H−インドール−5−カルボキシリックアシッドに対し10%パラジウム−炭素と水素化ホウ素ナトリウムを用いて、目的の化合物を得た。
1H-NMR(CDCl3, 200MHz)δ:2.29(s, 3H), 7.21(s, 1H), 7.37 (d, 1H, J=8.6Hz), 7.67〜7.72 (m, 1H), 8.16 (d, 1H, J=0.7Hz), 11.1(s, 1H), 12.3(s, 1H).
【0117】
合成例(IX)−2
(4−(4−クロロベンジル)ピペラジン−1−イル)(3−メチル−1H−インドール−5−イル)メタノンの合成
3−メチル−1H−インドール−5−カルボン酸250g(1.4mmol)とN,N−カルボジイミダゾール250mg(1.5mmol)の無水ジメチルホルムアミド溶液5mLを室温で2時間攪拌した後、1−(4−クロロベンジル)ピペラジン 0.28g(1.4mmol)を加え、さらに20時間攪拌した。反応液に飽和炭酸ナトリウム水溶液を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濃縮後、粗精製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=50:1)にて精製し、目的の化合物を230mg(収率45%)得た。
1H‐NMR(CDCl3, 200MHz)δ:2.3(s, 3H), 2.4(brs,4H),3.4(s,2H),3.6(brs,4H),7.2-7.4 (m, 6H), 7.7(s,1H),8.3(brs,1H)
【0118】
合成例(IX)−3
3−{5−[4−(4−クロロベンジル)ピペラジン−1−カルボニル]−3−メチル−1H−インドール−2−イル}−6−フルオロ−1H−キノキサリン−2−オンの合成
(4−(4−クロロベンジル)ピペラジン−1−イル)(3−メチル−1H−インドール−5−イル)メタノン0.23g(0.6mmol)と6−フルオロ−キノキサリン−2(1H)−オン0.15g(0.9mmol)のジクロロエタン10mLの混合液にトリフルオロ酢酸0.5mLを加え75℃で20時間撹拌した。室温に戻した混合液に少量のメタノールと水を加え飽和炭酸水素ナトリウムを用いアルカリ性とした後、析出した固体をろ別した。得られた固体を熱エタノールで洗浄し減圧下で乾燥し、目的の化合物を130mg(42%)得た。
【0119】
(IX)−2と同様な方法で、1−(4−クロロベンジル)ピペラジンを変換した以下の中間体を合成した。
4-Benzo[1,3]dioxol-5-ylmethyl-piperazin-1-yl)-(3-methyl-1H-indol-5-yl)(methanone、[4-(4-Methoxy-benzyl)-piperazin-1-yl]-(3-methyl-1H-indol-5-yl)-(methanone、(3-Methyl-1H-indol-5-yl)-(4-pyridin-4-ylmethyl-piperazin-1-yl)-methanone、[4-(2-Chloro-4-fluoro-benzyl)-piperazin-1-yl]-(3-methyl-1H-indol-5-yl)methanone、(3-Methyl-1H-indol-5-yl)-(4-pyridin-2-ylmethyl-piperazin-1-yl)-methanone、(3-Methyl-1H-indol-5-yl)-(4-pyridin-3-ylmethyl-piperazin-1-yl)-methanone、[4-(4-Fluoro-benzyl)-piperazin-1-yl]-(3-methyl-1H-indol-5-yl)-methanone、(3-Methyl-1H-indol-5-yl)-(4-methylpiperazin-1-yl)-methanone
【0120】
(IX)−3と同様な方法で、キノキサリン−2(1H)−オン、または6−フルオロ−キノキサリン−2(1H)−オンと、上記合成した中間体とから本発明のインドールキノキサリン類化合物を合成した。上記合成例(VIII)、(IX)にて合成した化合物、またはそれらと同様の方法にて、合成した化合物の構造式、化合物名、NMRデータを下記表12および13に示す。
【0121】
【表12】

【0122】
【表13】

【0123】
合成例(X)
3−[5−(3−ジメチルアミノピロリジン−1−カルボニル)−3−メチル−1H−インドール−2−イル]−1H−キノキサリン−2−オン(化合物10−1)の合成
下記反応式に従い、目的の化合物を合成した。

【0124】
合成例(X)−1
2−(1,2−ジヒドロ−2−オキソキノキサリン−3−イル)−3−メチル−1H−インドール−5−カルボン酸(化合物10−2)の合成
3−メチル−1H−インドール−5−カルボキシリックアシッド4.6g(26.6mmol)およびキノキサリン−2(1H)−オン4.6g(1.2eq)をジクロロエタン(93mL)に溶解させ、トリフルオロ酢酸(47mL)を加え、60℃で24時間攪拌した。反応後室温に戻し、水を加え、析出した沈殿物を濾取した。沈殿物をアセトンの水溶液で洗浄し、減圧乾燥することにより、目的の化合物(7.9g, 93%)を得た。
【0125】
合成例(X)−2
3−[5−(3−ジメチルアミノピロリジン−1−カルボニル)−3−メチル−1H−インドール−2−イル]−1H−キノキサリン−2−オンの合成
アルゴン雰囲気下、 2−(1,2−ジヒドロ−2−オキソキノキサリン−3−イル)−3−メチル−1H−インドール−5−カルボン酸320mg(1mmol)および1,1’−カルボニルビス−1H−イミダゾール(200mg)をジメチルホルムアミド(10mL)に溶解させ、室温で2時間攪拌反応した。3−(ジメチルアミノ)ピロリジン(0.3mL)を加え、更に60℃で17時間反応させた。反応後、室温に戻し、酢酸エチルおよび飽和炭酸水素ナトリウムを加えて抽出し、抽出液を飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムで精製(ジクロロメタン−メタノール=15:1→10:1)することにより、目的の化合物(240mg, 58%)を得た。
【0126】
メチル 2−(1,2−ジヒドロ−2−オキソキノキサリン−3−イル)−2−メチル−1H−インドール−5−カルボン酸(化合物10−14)の合成
アルゴン雰囲気下、化合物10−2(320mg)を塩化チオニル(1mL)に溶解させ、室温で2時間攪拌した後、メタノール(5mL)を加え、更に1時間攪拌した。反応後水を加え酢酸エチルで抽出し、抽出液を飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムで精製(ジクロロメタン:メタノール=30:1)することにより、目的物(43.4mg、13%)を得た。
上記合成例(X)にて合成した化合物、または同様の方法にて、3−(ジメチルアミノ)ピロリジンの代わりに相当するアミンを用いて合成した化合物の構造式、化合物名、NMRデータを下記表14および15に示す。
【0127】
【表14】

【0128】
【表15】

【0129】
合成例(XI)
3−[3−メチル−6−(4−メチル−ピペラジン−1−カルボニル)−1H−インドール−2−イル]−1H−キノキサリン−2−オン(化合物11−1)の合成
下記反応式に従い、目的の化合物を合成した。

【0130】
合成例(XI)−1
6−[(4−メチルピペラジン−1−イル)カルボニル]−1H−インドール−3−カルバアルデヒドの合成
3−ホルミル−1−H―インドール−6−カルボキシリックアシッド(0.19g)と1,1´―カルボニルビス−1H−イミダゾール0.25gのジメチルホルムアミド(5mL)の溶液を室温で2時間撹拌したのち、1−メチルピペラジンを加え更に20時間撹拌した。反応混合溶液に水を加え、クロロホルムで抽出し水洗、乾燥した。溶媒を留去した後にカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=5:1)で精製し油状物として目的の化合物を230mg得た。
1H‐NMR (CDCl3)δ:2.0(s,3H),2.4(br s,4H),3.5(br s,2H),3.8(br s,2H),7.22(s,1H),7.26(dd,1H,J=2.2,8.7Hz),7.74(d,1H,J=2.2Hz),8.25(d,1H,J=8.7Hz),9.91(s,1H),11.65(s,1H)
【0131】
合成例(XI)−2
(3−メチル−1H−インドール−6−イル)(4−メチルピペラジン−1−イル)メタノンの合成
6−[(4−メチルピペラジン−1−イル)カルボニル]−1H−インドール−3−カルバアルデヒド(0.23g)、10%パラジウム−炭素(40mg)および水素化ホウ素ナトリウム(0.5g)の2−プロパノール(10mL)混合液を6時間加熱還流した。反応混合液を室温に戻し約半分量まで減圧下で濃縮しセライトを用いろ過した。ろ液を減圧下で濃縮した後に水を加えクロロホルムで抽出し水洗、乾燥した。溶媒を留去した後にカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=20:1)で精製し白色固体として、目的の化合物を110mg得た。
1H‐NMR (CDCl3)δ:2.3(s,6H),2.(br s,,4H),3.7(br s,4H),7.0(m,1H),7.1(d,1H),7.5(s,1H),7.6(d,1H),8.6(br s,1H)
【0132】
合成例(XI)−3
3−[3−メチル−6−(4−メチル−ピペラジン−1−カルボニル)−1H−インドール−2−イル]−1H−キノキサリン−2オンの合成
(3−メチル−1H−インドール−6−イル)(4−メチルピペラジン−1−イル)メタノン(100mg)と、キノキサリン−2(1H)−オン(70mg)のジクロロエタン(5mL)の混合液にトリフルオロ酢酸(0.25mL)を加え80度で3時間撹拌した。反応混合物に飽和炭酸水素ナトリウムを加え弱アルカリ性とした後、クロロホルムで抽出し、水洗、乾燥後に減圧下で溶媒を留去した。濃縮物をカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=30:1)で精製し黄色の固体として目的の化合物を30mg得た。
【0133】
上記合成例(XI)にて合成した化合物、または同様の方法にて、1−メチルピペラジンの代わりに相当するアミンを、または、キノキサリン−2(1H)−オンの代わりに、6−フルオロ−キノキサリン−2(1H)−オンを用い合成した化合物の構造式、化合物名、NMRデータを下記表16に示す。
【0134】
【表16】

【0135】
上記合成した化合物を用い、以下の薬理試験を行った。
(1)VEGF誘導腎糸球体内皮細胞増殖阻害試験
ヒト腎糸球体内皮細胞をD-MEM/F-12培地(10%牛胎児血清、100U/mLペニシリン、100μg/mLストレプトマイシン)に懸濁した後、タイプI コラーゲンコート96ウェルカルチャープレートに、4×103個/ウェルの濃度で播種し、一晩放置した。試験直前に各ウェルの培地を除去し、ハンクス液で洗浄した後、新たに培地を添加した。次に、無刺激および刺激コントロールウェルには溶媒であるDMSO(終濃度0.1%)を、それ以外のウェルには被験物質(終濃度0.001〜10μmol/L)を添加し、1時間培養した。次いでrecombinant human VEGF(終濃度10ng/mL)を添加し、48時間培養した。培地を除去し、各ウェルをハンクス液にて洗浄した後、新鮮な培地を添加した。生細胞数測定試薬(WST-8)を添加して4〜5時間さらに培養した。その後、マイクロプレートリーダーにて吸光度(450-630nm)を測定した。増殖阻害率は、各ウェルの吸光度から以下の計算式にて算出した。
増殖阻害率(%)= { 1−(A−C )/(B−C)}×100
上記式中、Aはサンプル添加ウェルの吸光度、Bはコントロールウェルの吸光度、Cは無刺激ウェルの吸光度である。コントロールに対して、増殖阻害率が50%になる被験物質濃度をIC50とし、活性指標とした。
(2)細胞毒性試験
上述の方法において、VEGF無刺激下での被験物質の生細胞に与える影響を検討し細胞毒性とした。コントロールに対して、生細胞数が50%減少した被験物質濃度をCC50とし毒性指標とした。
下記表に得られた結果を示す。
【0136】
【表17】

【0137】
合成した化合物を用い、更に以下の薬理試験を行った。
(3)ラット背部皮膚VEGF誘導血管透過性阻害試験
試験には、6週齢の雄性wistarラットを用いた。試験数時間前にラットの背部の毛を刈った後、溶媒 (0.5%カルボキシメチルセルロースナトリウム溶液) と被験物質(25mg/kg)をラット用ゾンデにて経口投与した。2時間後、エーテル麻酔下にて背部の2ヶ所に生食ならびに4ヵ所にrecombinant rat VEGF(終濃度:200ng/mL)を0.1mL/siteの用量で皮内投与した。その後、直ちに0.5mLの0.5%エバンスブルー溶液を尾静脈内投与した。30分後に、エーテル麻酔下にてラットを放血致死させ、色素漏出部位が全て含まれる範囲の背部皮膚を切除した。切り取った皮膚の数ヶ所にハサミで切れ目を入れた後、皮膚片一個当たり2mLのホルムアミドに浸し、55℃で約48時間放置することでエバンスブルーを抽出した。抽出操作終了後、3000rpm、15分間の条件で遠心し皮膚片および浮遊物を沈殿させ、上清部をサンプルとして620nmの波長で吸光度を測定した。色素漏出量 (μg/site) は、既知濃度のエバンスブルーの吸光度から検量線を作製し、抽出液中のエバンスブルー量を測定し算出した。被験物質非投与群に対するエバンスブルー量の抑制率を算出し、薬効の指標とした。下記表18に得られた結果を示す。
【0138】
(4)自然発症II型糖尿病モデルdb/dbマウスにおける尿中アルブミン量に対する効果を指標とした薬効評価
試験には7週齢の雄性db/dbマウスを用いた。群分けは、ELISA法にて測定した尿中アルブミン量を指標に実施した。被験物資は、25mg/kgの用量で0.5%カルボキシメチルセルロースナトリウム溶液にて懸濁し、1日2回マウス用ゾンデを用いて4週間強制経口投与した。4週目に尿中アルブミン量を測定し、被験物質非投与群に対する尿中アルブミン量の抑制率を算出し、薬効の指標とした。下記表18に得られた結果を併せて示す。
【0139】
(5)復帰突然変異試験(Ames試験)
化合物2−1、2−3および8−1の試験方法
プレート法により、代謝活性化系(S9mix)の非存在下および存在下について実施した。試験菌株はSalmonella typhimurium TA100、TA1535、TA98、TA1537およびEscherichia coli WP2uvrAの5菌株を用いた。被験物質の用量は、代謝活性化系の非存在下および存在下ともに、556、1667および5000μg/plateとした。被験物質調製液0.1mL、0.1mol/L リン酸ナトリウム緩衝液(代謝活性化系の存在下においてはS9mix)0.5mLおよび前培養した試験菌液 0.1 mLを入れた。直ちに、トップアガー(ヒスチジン、ビオチンおよびトリプトファンをそれぞれ0.05mmol/Lの濃度で含有する軟寒天)2mLを入れてよく混合し、アガープレート上に重層して固化した。同時に被験物質調製液の代わりに陰性対照物質あるいは陽性対照物質溶液で対照試験を行った。プレートは37℃で48時間培養した。培養終了後、プレート上に生育した復帰突然変異コロニーをコロニーアナライザーCA-11システム(システムサイエンス(株)製)あるいは肉眼により計数した。プレートの枚数は、それぞれの試験菌株および各試験物質で1枚ずつとした。
【0140】
化合物5−4の試験方法
プレインキュベーションにより、代謝活性化系(S9mix)の存在下について実施した。試験菌株はSalmonella typhimurium TA100およびTA98の2菌株を用いた。被験物質の用量は、61.7、185.2、555.6、1667および5000μg/plateとした。被験物質調製液0.1mL、S9mix 0.5mLおよび前培養した試験菌液0.1mLを入れ、37 ℃、65回/分で20分間振盪(プレインキュベーション)を行った。その後、トップアガー(ヒスチジンおよびビオチンをそれぞれ0.05 mmol/Lの濃度で含有する軟寒天)2mLを入れてよく混合し、アガープレート上に重層して固化した。同時に、被験物質調製液の代わりに陰性対照物質あるいは陽性対照物質溶液で対照試験を行った。プレートは37℃で48時間培養した。培養終了後、プレート上に生育した復帰突然変異コロニーをコロニーカウンター(東洋測器(株)製、PC-10NII)あるいは肉眼により計数した。プレートの枚数は、それぞれの試験菌株および各試験物質で1枚ずつとした。
【0141】
結果の判定基準は、被験物質で処理したプレートにおいて、復帰突然変異コロニー数が陰性対照群と比べて2倍以上に増加した場合に被験物質は復帰突然変異誘発性を示す(陽性)と判定した。得られた結果を下記表18に示す。
【0142】
【表18】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I)、

[式中、R1、R2、R3およびR4は、それぞれ独立に水素原子;−C(O)OR10(R10は、水素原子またはアルキル基である);−C(O)NR1112(R11およびR12は、それぞれ独立に水素原子;ピリジル基が置換されていてもよいアルキル基;−X1−NR1314(X1はアルキレン、R13およびR14はアルキル基であるか、または隣接する窒素原子とともに下記一般式、

(式中、X2およびX3はアルキレンである)で表わされる環を形成してもよい);または下記一般式、

(式中、X4およびX5はアルキレン、R15はアリール基が置換されていてもよいアルキル基である)で表わされる基であり、R11およびR12は隣接する窒素原子とともに下記一般式、

(式中、X6およびX7はアルキレン、W1は、−CH2−または−NH−である)で表わされる環を形成してもよく、該環は、−X8−NR1617(X8は単結合またはアルキレン、R16およびR17は、それぞれ独立に水素原子またはアルキル基であるか、または隣接する窒素原子とともに環を形成してもよい);または、アリール基(ハロゲン原子もしくはアルコキシ基が置換されていてもよく、あるいは複数の置換基で環を形成してもよい)もしくはピリジル基が置換されていてもよいアルキル基が置換されていてもよい);−O−X9−NR1819(X9はアルキレン、R18およびR19はアルキル基であるか、または隣接する窒素原子とともに下記一般式、

(式中、X10およびX11はアルキレン、W2は、−CH2−または−O−である)で表わされる環を形成してもよい);−O−X12−C(O)OR20(X12はアルキレン、R20は、水素原子またはアルキル基である);−O−C(O)−X13−NR2122(X13は、単結合またはアルキレン、R21およびR22は、それぞれ独立に水素原子またはアルキル基であるか、または隣接する窒素原子とともに環を形成してもよい);水酸基;またはアリール基が置換されていてもよいアルコキシ基であり、
5はアルキル基;−X14−OR23(X14はアルキレン、R23は、水素原子またはアルキル基である);−X15−NR2425(X15はアルキレン、R24およびR25は、それぞれ独立に水素原子または−C(O)NR2627(R26およびR27は、それぞれ独立に水素原子またはアルキル基である)である);−X16−C(O)OR28(X16はアルキレン、R28は、水素原子またはアルキル基である);または−X17−C(O)NR2930(X17はアルキレン、R29およびR30は、それぞれ独立に水素原子またはアルキル基である)であり、
6、R7、R8およびR9は、それぞれ独立に水素原子;ハロゲン原子;アルキル基;アルコキシ基;−C(O)OR31(R31は、水素原子またはアルキル基である);−NR3233(R32およびR33は、それぞれ独立に水素原子または−C(O)−W3−X18−W4−R34(X18はアルキレン、W3は単結合または酸素原子、W4は酸素原子または硫黄原子、R34はアルキル基である)である);または−C(O)NR3536(R35およびR36は、それぞれ独立にアルコキシ基が置換されていてもよいアルキル基または水素原子であるか、または隣接する窒素原子とともに下記一般式、

(式中、X19およびX20はアルキレン、R37はアルキル基である)で表わされる環を形成してもよい)である]で表わされることを特徴とするインドールキノキサリン類化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項2】
前記R1およびR4が水素原子である請求項1記載のインドールキノキサリン類化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項3】
前記R2が、水素原子である請求項1または2記載のインドールキノキサリン類化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項4】
前記R2が、アルコキシ基である請求項1または2記載のインドールキノキサリン類化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項5】
前記アルコキシ基がメトキシ基である請求項4記載のインドールキノキサリン類化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項6】
前記R3が、−C(O)NR1112(R11およびR12は、上記のものと同じである)である請求項1〜5のうちいずれか一項記載のインドールキノキサリン類化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項7】
前記R11およびR12が、隣接する窒素原子とともに下記一般式、

(式中、R38は、水素原子;−X8−NR1617(X8は単結合、R16およびR17はアルキル基であるか、または隣接する窒素原子とともに環を形成してもよい);またはフェニル基もしくはピリジル基が置換されていてもよいアルキル基である)で表される環を形成している請求項6記載のインドールキノキサリン類化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項8】
前記R38が、ベンジル基、1−ピペリジノ基、ジメチルアミノ基、水素原子、メチル基またはピリジルメチル基である請求項7記載のインドールキノキサリン類化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項9】
前記R3が、−O−X9−NR1819(X9、R18およびR19は、上記のものと同じである)である請求項1〜5のうちいずれか一項記載のインドールキノキサリン類化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項10】
前記R3が、−O−X9−NR1819(X9は炭素数1〜6のアルキレン、R18およびR19は炭素数1〜6のアルキル基であるか、または隣接する窒素原子とともに下記一般式、

(式中、W2は、−CH2−または−O−である)で表わされる環を形成してもよい)である請求項9記載のインドールキノキサリン類化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項11】
前記R5が、アルキル基;−X14−OR23(X14およびR23は、上記のものと同じである);または−X16−C(O)OR28(X16およびR28は、上記のものと同じである)である請求項1〜10記載のインドールキノキサリン類化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項12】
前記R5が炭素数1〜6のアルキル基である請求項11記載のインドールキノキサリン類化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項13】
前記R5が−X14−OR23(X14は炭素数1〜6のアルキレン、R23は、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基である)である請求項11記載のインドールキノキサリン類化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項14】
前記R5が−X16−C(O)OR28(X16は炭素数1〜6のアルキレン、R28は炭素数1〜6のアルキル基である)である請求項11記載のインドールキノキサリン類化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項15】
前記R6、R7、R8およびR9が水素原子である請求項1〜14のうちいずれか一項記載のインドールキノキサリン類化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項16】
前記R6、R8およびR9が水素原子であり、R7がフッ素原子である請求項1〜14のうちいずれか一項記載のインドールキノキサリン類化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項17】
前記R7、R8およびR9が水素原子であり、R6が炭素数1〜6のアルキル基である請求項1〜14のうちいずれか一項記載のインドールキノキサリン類化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項18】
請求項1〜17のうちいずれか一項記載のインドールキノキサリン類化合物またはその医薬上許容される塩の製造方法であって、下記一般式(II)、

(式中、R1、R2、R3、R4およびR5は上記のものと同じである)で表わされるインドール誘導体またはその前駆体と、下記一般式(III)、

(式中、R6、R7、R8およびR9は上記のものと同じである)で表わされるキノキサリン誘導体またはその前駆体と、を反応させる工程を含むことを特徴とするインドールキノキサリン類化合物またはその医薬上許容される塩の製造方法。
【請求項19】
前記反応をブレンステッド酸存在下にて行う請求項18記載のまたはインドールキノキサリン類化合物またはその医薬上許容される塩の製造方法。
【請求項20】
前記ブレンステッド酸が酢酸またはトリフルオロ酢酸である請求項19記載のインドールキノキサリン類化合物またはその医薬上許容される塩の製造方法。
【請求項21】
請求項1〜17のうちいずれか一項記載のインドールキノキサリン類化合物またはその医薬上許容される塩を有効成分として含有することを特徴とする医薬組成物。
【請求項22】
VEGF阻害剤である請求項21記載の医薬組成物。
【請求項23】
糖尿病性腎症治療薬である請求項22記載の医薬組成物。
【請求項24】
抗がん剤である請求項22記載の医薬組成物。
【請求項25】
血管新生阻害剤である請求項22記載の医薬組成物。

【公開番号】特開2007−99641(P2007−99641A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−288662(P2005−288662)
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【出願人】(000003665)株式会社ツムラ (43)
【Fターム(参考)】