説明

インバータ装置、その周辺機器並びに梱包体

【課題】梱包の開梱や電源への接続を要することなく、インバータ装置に係る情報を設定したり確認することができる利便性に優れたインバータ装置、その周辺機器並びに梱包体を提供する。
【解決手段】本実施形態のインバータ装置は、負荷を駆動するインバータ主回路を備えたものであり、電波を授受するアンテナと、前記アンテナと電気的に接続された記憶回路部とを具備する。記憶回路部は、情報を記憶する不揮発性の記憶手段であって、前記アンテナで受信した電波をエネルギー源として動作する。前記アンテナは、前記インバータ装置において前記記憶回路部が実装される基板の面と同一面上でない位置に設けられたアンテナ配置部に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、インバータ装置、その周辺機器並びに梱包体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、インバータ装置は、例えば誘導電動機を可変速駆動するためのインバータ回路(主回路)や、そのインバータ回路を制御する制御部等を備えており、その加速時間や減速時間、上限周波数、下限周波数等の各種のパラメータ値を設定できるようになっている。
【0003】
この点、インバータ装置の制御用電源は、当該インバータ装置内の電圧変更手段によって、商用電源から生成されるもので、例えば、商用電源電圧を整流した直流電圧でコンデンサを充電し、このコンデンサに充電された電圧をトランジスタにてオンオフ制御し、このオンオフ制御による電圧を電源トランスを介して降圧することで得られる(例えば、特許文献1参照)。こうして、制御用電源が各制御部に供給されることで、制御部は予め記憶された制御プログラムに従って動作し、メモリに記憶されたパラメータの読出しや書込み等が可能となる。
【0004】
制御用電源は、上記のようにインバータ装置内にて商用電源から生成されるため、パラメータの設定等を行う場合には、インバータ回路を駆動させる必要がなくても、インバータ本体への商用電源の接続が必要になる。従って、インバータ装置に商用電源を接続できない場合、パラメータの設定等を行うには、外部から制御用電源を別途供給することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4335208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、インバータ装置に対して商用電源のみならず外部からの制御用電源も供給できない状況にあっては、インバータ制御に係るパラメータ等の情報の閲覧や設定を行うことはできない。また、インバータ装置が梱包されている場合には、当該梱包を開梱したうえで、前記の商用電源或は制御用電源への接続作業を行う必要がある。
【0007】
そこで、梱包の開梱や電源への接続を要することなく、インバータ装置に係る情報を設定したり確認することができる利便性に優れたインバータ装置、その周辺機器並びに梱包体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本実施形態のインバータ装置は、負荷を駆動するインバータ主回路を備えたものであり、電波を授受するアンテナと、前記アンテナと電気的に接続された記憶回路部とを具備する。記憶回路部は、情報を記憶する不揮発性の記憶手段であって、前記アンテナで受信した電波をエネルギー源として動作する。前記アンテナは、前記インバータ装置において前記記憶回路部が実装される基板の面と同一面上でない位置に設けられたアンテナ配置部に配置される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1実施形態を示すインバータ装置の内部構造を説明するための模式図
【図2】周辺機器の内部構造を説明するための模式図
【図3】インバータ制御システムの全体構成を示す図
【図4】インバータ装置を梱包した状態で示す梱包体の模式図
【図5】第2実施形態を示す図1相当図
【図6】第3実施形態を示す図1相当図
【図7】第4実施形態を示す図1相当図
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1実施形態>
以下、本実施形態について図1から図4を参照して説明する。図3に示すように、インバータ装置1は、例えば、交流電源装置2から電源が与えられ、その電源(商用電源)に基づいて誘導電動機3を駆動するようになっている。パラメータライタ4はインバータ装置1の周辺機器であって、その通信部5bは、インバータ装置1の通信部5aにシリアル通信ライン5を介して接続されている。詳しくは後述するように、パラメータライタ4は、これら通信手段たるシリアル通信ライン5及び通信部5a,5bを介して通信を行うことで、インバータ装置1に係る情報の読込みや書込み等を行うようになっている。
【0011】
図1に模式的に示すように、インバータ装置1は、例えばMOSFETやIGBT等のスイッチング素子を3相ブリッジ接続して構成されるインバータ回路10と、インバータ回路10を制御する制御部11と、不揮発性の記憶手段としての記憶回路部12、アンテナ18等を備えている。これらの回路やアンテナ18は、インバータ装置1の筐体13に収容された複数の基板(例えば3つのプリント配線板14a,14b,14c。以下、単に基板と称す)に配設されている。
【0012】
詳細には、図1中、筐体13内の下部側(最も奥側)に配置された基板14cには、インバータ回路10を構成する電子部品や、前記IGBT等のスイッチング素子が実装されている。インバータ回路10は、誘導電動機3等の負荷を駆動するインバータ主回路である。このインバータ回路10は、基板14b,14c間に設けられた制御線16により制御部11に電気的に接続されている。
【0013】
基板14cとは別体の基板として中間部に配された基板14bには、制御部11、記憶回路部12、前記通信部5a(図1では図示を省略)が設けられる他、ユーザインターフェイスのための電子部品等が配設されている。制御部11は、マイクロコンピュータで構成されており、CPU,フラッシュメモリ,RAMなど(何れも図示せず)を備えている。制御部11のフラッシュメモリには、CPUによって実行され、インバータ回路10を制御するための制御プログラム等が記憶されている。前記RAMは、CPUが処理を実行する場合のワークエリアとして使用される。
【0014】
制御部11は、前記通信部5aを介して、通信プロトコルによりパラメータライタ4側と通信を行うようになっている。また、このインバータ装置1では、例えば、制御部11等に対して、図示しない電圧変更手段により5Vに降圧した制御電源が供給されるようになっている。この電圧変更手段により供給される制御電源は、インバータ装置1において前記商用電源に基づき生成されるものである。
【0015】
基板14bにおいて、記憶回路部12は制御部11に対して配線17(回路パターン)により接続されている。記憶回路部12は、例えば不揮発性の記憶手段としてのEEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)12a、図示しない制御回路、無線通信部等を備え、前記アンテナ18で受けた電波をエネルギー源として動作するように構成されている。即ち、記憶回路部12では、図示しない外部処理装置(リーダ/ライタ装置)から送信された電波をアンテナ18で受信することで、前記制御電源によらずに、当該電波から電力と各種情報を得るようになっている。前記無線通信部は、アンテナ18で受信した電波に含まれるデータ信号が配線18aを介して伝達されると、そのデータ信号を元のデータに復調する処理を行う。記憶回路部12の制御回路は、そのデータ(外部処理装置からの指示データ)の内容に従って、EEPROM12aの記憶内容の書換え或は書込み等を行う。また、前記制御回路は、外部処理装置からの指示データに基づいて、EEPROM12aに保存しているデータを送信するための制御を前記無線通信部に対して行い、EEPROM12aから取出されたデータは、前記無線通信部において所定の周波数帯に変調され、配線18aを介してアンテナ18から外部処理装置側に送信される。
【0016】
このEEPROM12aには、例えば、製造業者により設定される製造業者設定情報、ユーザにより設定されるユーザ設定情報、製造履歴、運転履歴等の各種のパラメータが記憶される。つまり、EEPROM12aに記憶される情報としては、例えば、誘導電動機3の可変速駆動に係る加速時間や減速時間、上限周波数、下限周波数等の制御パラメータデータ、インバータ装置1のシリーズ形式、前記制御プログラムのバージョン情報等が含まれる。
【0017】
そして、図1中、筐体13内の上部側(最も手前側)に配置された基板14a上には、アンテナ18が設けられている。アンテナ18は、電波を送受信するコイル状(ループ状)をなすもので、配線18aを介して記憶回路部12の無線通信部に接続されている。図示は省略するが、インバータ装置1における筐体13の前面部13aには、スイッチ部と表示部とを有する操作・表示部が設けられており、基板14aは、その前面部13a寄りの位置に配置される。これにより、基板14a(厳密には基板14a上の一部)は、筐体13内においてアンテナ18が配置され、記憶回路部12が実装される基板14bの面Sと同一面上でない位置に存するアンテナ配置部14apを構成する。
【0018】
一方、図2に示すように、前記パラメータライタ4は、インバータ回路10及び基板14cが無い点でインバータ装置1と相違するが、その余の構成はインバータ装置1と共通する。以下、インバータ装置1に対する周辺機器としてのパラメータライタ4について簡単に説明する。
【0019】
パラメータライタ4は、制御部21、不揮発性の記憶手段としての記憶回路部22、アンテナ28等を備えている。このパラメータライタ4において、制御部21は、通信部5bを介してインバータ装置1からの各種情報(データ)の読込みと書込みとを行う。係る情報は、当該制御部21が有するフラッシュメモリ等の記憶手段に記憶されるようになっており、パラメータライタ4は、インバータ装置1に対するデータ複写ユニットとして構成されている。
【0020】
パラメータライタ4の筐体23には、その前面部23aに操作・表示部が設けられており、内部には複数の基板(例えば2つの基板24a,24b)が収容されている。筐体23内の奥側の基板24bには、制御部21や記憶回路部22、前記通信部5b等が設けられている。制御部21は、マイクロコンピュータで構成されており、CPU,フラッシュメモリ,RAM等(何れも図示せず)を備えている。制御部21のフラッシュメモリには、前記CPUによって実行され、前面部23aの操作・表示部における操作入力や表示制御を行うための制御プログラム等が記憶されている。このパラメータライタ4では、例えばインバータ装置1側と同様に前記商用電源から電圧変更手段を介して5Vに降圧した制御電源が制御部21等に供給される。
【0021】
基板24bにおいて、記憶回路部22は制御部21に対して配線27(回路パターン)により接続されている。記憶回路部22は、例えば記憶回路部12と同様に、不揮発性の記憶手段としてのEEPROM22a、図示しない制御回路、無線通信部等を備え、アンテナ28で受けた電波をエネルギー源として動作することで、前記制御電源によらずに、当該電波から電力と各種情報を得るようになっている。
【0022】
パラメータライタ4における筐体23内の手前側に配置された基板24a(の一部)は、ループ状のアンテナ28が設けられるアンテナ配置部24apとされている。アンテナ28は、配線28aを介して記憶回路部22の無線通信部に接続されている。
【0023】
ここで、図4は、上記インバータ装置1を梱包した状態の一例を模式的に示している。梱包体30は、例えば、段ボール等の板状をなす紙製のもので、同図に示すように矩形箱状をなす梱包箱である。この梱包体30には、インバータ装置1が所定の向き、例えばアンテナ18側が手前側(図4中、上方)となるように収容されるようになっている。この場合、梱包体30の上面側には、アンテナ18寄りの位置に表示部30aが印刷されている。表示部30aは、例えば、梱包体30内のアンテナ18に沿ったループ状を描いており、アンテナ18の位置と指向性(方向や形)を外部から認識できるようになっている。
【0024】
尚、図示は省略するが、パラメータライタ4も梱包体30と同様の梱包体により梱包されるようになっている。即ち、パラメータライタ4の梱包体は矩形箱状をなして、当該パラメータライタ4を、例えばアンテナ28側が上方となるように収容する。また、パラメータライタ4の梱包体にも、当該梱包体内のアンテナ28に沿った表示部が印刷され、アンテナ28の位置と指向性を外部から認識できるようになっている。
【0025】
次に、本実施例の作用について説明する。
インバータ装置1及びパラメータライタ4は、何れも電源が投入されて起動する。この起動によって、インバータ装置1は誘導電動機3を駆動し、或は、インバータ装置1とパラメータライタ4との間でシリアル通信ライン5等を介して情報のやりとりが行われる。
【0026】
この点、例えば出荷前にインバータ装置1やパラメータライタ4が梱包された状態、或は商用電源への接続ができない状態では、インバータ装置1における誘導電動機3の駆動や、インバータ装置1とパラメータライタ4との間での情報のやりとりを行うことはできない。
【0027】
もっとも、本実施形態のインバータ装置1及びパラメータライタ4にあっては、前記の記憶回路部12及び22、並びにアンテナ18及び28を備えて構成されていることから、電源の投入が無くてもパラメータの設定等を行うことができる。従って例えば、倉庫内において、インバータ装置1が梱包体30により梱包されている状態で、例えば上限周波数の書換えを行うべく、前記外部処理装置を用いてそのパラメータデータを電波で送信することができる。この場合、梱包体30における表示部30aを指標として、アンテナ18の位置と指向性を把握することができ、外部処理装置からアンテナ18に対して電波を確実に送ることができる。
【0028】
これにより、インバータ装置1側では、アンテナ18で受けた電波から電力を得て記憶回路部12が起動し、当該電波に含まれる指示に基づき、EEPROM12aに記憶されている上限周波数を上書きして更新する。また、記憶回路部12は、アンテナ18で受けた電波に含まれる指示に基づき、EEPROM12aに記憶されているパラメータ等の各種情報をアンテナ18から外部処理装置側に送信することができる。
【0029】
パラメータライタ4においても、前記梱包体に梱包されている状態で、商用電源に接続することなく、前記外部処理装置を用いて情報のやりとりを行うことができる。簡単に説明すると、前記外部処理装置から制御パラメータの書換えを行うべく、そのパラメータデータを無線で送信する。この場合、インバータ装置1と同様、前記梱包体における表示部により、アンテナ28の位置と指向性を把握することができ、外部処理装置からアンテナ28に対して電波を確実に送ることができる。また、パラメータライタ4側では、アンテナ28で受けた電波から電力を得て記憶回路部22が起動し、当該電波に含まれる指示に基づき、EEPROM22aに記憶されているパラメータ等の各種情報を上書きして更新し、或はEEPROM12aに記憶されている情報をアンテナ18から外部処理装置側に送信することができる。
【0030】
以上説明したインバータ装置1は、電波を授受するアンテナ18と、情報を記憶する不揮発性の記憶手段であって当該アンテナ18で受信した電波をエネルギー源として動作する記憶回路部12とを備える。従って、外部処理装置からアンテナ18に対し電波を送ることで記憶回路部12が起動するため、梱包体30を開梱することなく且つ商用電源に接続することなく、インバータ制御に係る情報等を設定し或は閲覧することができる。つまり、インバータ制御に係る情報の設定或は閲覧を、場所を問わず、又、梱包の有無に係わらず、極めて簡単に行うことができる。
【0031】
また、インバータ装置1において記憶回路部12が実装される基板14bの面Sと同一面上でない位置に、アンテナ18が配置されるアンテナ配置部14apを設けた。これによれば、記憶回路部12が実装される基板14bの大型化を招くことなく、筐体13内の剰余空間を利用してアンテナ18を配置することができ、インバータ装置1の大型化を抑制することができる。
【0032】
前記インバータ装置1と通信手段5,5a,5bを介して情報をやりとりする周辺機器たるパラメータライタ4においても、アンテナ28と記憶回路部22と、アンテナ配置部24apとを備えることから、上記したインバータ装置1と同様の効果を奏する。
【0033】
前記梱包体30は、その表面(ひょうめん)に、当該梱包体30内におけるインバータ装置1のアンテナ18の指向性と位置を表示する表示部30aを有する。従って、外部処理装置を用いて前記情報の設定や閲覧を行う場合、その表示部30aを指標として外部処理装置を適切な操作位置で使用することができ、データの授受を確実に行うことができる。また、パラメータライタ4の梱包体も表示部を有することから、梱包体30と同様の効果を奏する。
【0034】
<第2実施形態>
図5は、第2実施形態を示すものであり、既述の部分と同一部分には同一符号を付す等して説明を省略し、以下異なる点につき説明する。
【0035】
インバータ装置1における筐体13の前面部13aには、図5に示すような操作・表示部33が設けられている。詳しい図示は省略するが、操作・表示部33は、例えばそのスイッチ群を構成するスイッチ手段としてメンブレンスイッチを備えている。即ち、当該メンブレンスイッチは、対向するシート34a,34b(乃至フィルム)に、押圧操作により導通する接点部(図示せず)を有して構成され、当該メンブレンスイッチから導出される引出し線34cは、前記基板14b側に接続されている。本実施形態のアンテナ18は、例えば前記メンブレンスイッチの裏面側のシート34bに配置され、引出し線34cを利用して(引出し線34cを介して)記憶回路部12に接続されている。このように、操作・表示部33の裏面側においてメンブレンスイッチの一部を利用してアンテナ配置部33pを構成することで、アンテナ18用の基板等を省略することができる。
【0036】
図示は省略するが、パラメータライタ4における筐体23の前面部23aにも、操作・表示部33と同様に、操作・表示部とメンブレンスイッチとを備える。そして、パラメータライタ4のアンテナ28は、例えば前記メンブレンスイッチのシートに配置され、その引出し線を利用して記憶回路部22に接続される。
従って、本第2実施形態のインバータ装置1及びパラメータライタ4によれば、よりコンパクトで簡単な構成にすることができると共に、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0037】
<第3実施形態>
図6は、第3実施形態を示すものであり、既述の部分と同一部分には同一符号を付す等して説明を省略し、異なる点につき説明する。
【0038】
インバータ装置1の筐体13内には、図6に示すように、基板14bと基板14cとの間に位置してシールド体35が配置されている。シールド体35としては、金属板や金属箔を用いることができる他、金属網製のものを採用することができる。この場合、シールド体35は、本第3実施形態のアンテナ18´とインバータ回路10との間に位置し、インバータ回路10のスイッチング動作に起因するノイズやサージを低減すべく、少なくともアンテナ18´側への電波を遮る寸法形状(基板14b全体を覆う寸法形状)に形成されている。このシールド体35の遮蔽作用により、インバータ回路10のスイッチング動作に基づきアンテナ18で受けた電波からサージ電力が発生することを防止することができ、記憶回路部22の誤作動や破損をも防止することができる。第1実施形態で説明した図1のインバータ装置1や他の実施形態のインバータ装置1にも、シールド体35を適用することができ、その配置位置は、基板14aと基板14bとの間でもよい。
【0039】
また、図6に示すように、本第3実施形態の基板14aには第1コネクタ37aが実装されると共に、基板14bには第2コネクタ37bが実装されている。この一対のコネクタ37a,37bは、基板14aを基板14bに電気的に接続するための基板対基板コネクタ37に相当する。これにより、手前側に位置する基板14aは、第1コネクタ37aにて第2コネクタ37b(基板14b)に対し着脱可能に装着され、その装着によって両基板14a,14bは所謂2枚重ねの状態となる。
【0040】
アンテナ18´は、基板14a上の補助ループ部38aと、基板対基板コネクタ37における電気的接続部分(図6中、符号38b,38bで模式的に示す当該コネクタ37のピンを含む部分)と、基板14bの配線38c,38c(回路パターン)とからループ状をなすように構成されている。即ち、基板対基板コネクタ37及び基板14bの回路パターンを利用して、基板14aにおける実際上のアンテナ配置部14ap´(補助ループ部38a)の大きさを極力小さく抑えている。この構成によれば、基板対基板コネクタ37にて補助ループ部38aを基板14aごと簡単に取外すことができる。従って、前記外部処理装置を用いた情報のやりとりを行わない場合或は誘導電動機3の駆動制御を行う場合に、基板14aを取外しておくことで前述したスイッチング動作に基づく記憶回路部22の誤作動や破損を確実に防止することができると共に、外部の電波による記憶回路部22の誤作動等を確実に無くすことができる。また、基板14aを取外していない場合でも、シールド体35によって、記憶回路部22の誤作動や破損を防止することができる。
【0041】
尚、図示は省略するが、パラメータライタ4のアンテナについても、アンテナ18´と同様に基板24a上に補助ループを設け、基板24aと基板24bを電気的に接続する基板対基板コネクタ37と基板24bの回路パターンとを利用して構成することができる。これによれば、アンテナ配置部としての基板24aを、パラメータライタ4(基板24b)に対して着脱することができ、インバータ装置1と同様の効果を得ることができる。
【0042】
<第4実施形態>
図7は、第4実施形態を示すものであり、既述の部分と同一部分には同一符号を付す等して説明を省略し、異なる点につき説明する。
【0043】
インバータ装置1の筐体13内には、基板14aの手前側に位置してアンテナ18を覆うシールド体39が移動可能に設けられている。シールド体39は、シールド体35と同じ材料から構成されており、その移動操作に供される操作ツマミ(シールド操作部39a)を有する。一方、筐体13の前面部13aには、シールド操作部39aを露出させる長孔40が形成されている。こうして、シールド体39は、シールド操作部39aにて図7の矢印方向に長孔40に沿って移動操作されることで、アンテナ18が外部の電波を受けるための使用位置と、外部と通信を行わないようにするための不使用位置との間で移動する。上記シールド操作部39a及び長孔40等は移動操作手段41に相当する。上記構成によれば、シールド操作部39aを摘んでシールド体39を使用位置に移動させることで、アンテナ18における電波の授受が可能で、前記外部処理装置と記憶回路部12との間で情報のやりとりを行うことができる。また、不使用位置では、外部の電波をアンテナ18で受けないようにシールド体39で遮ることができ、記憶回路部12の誤作動等を防止することができる。更に、上記構成によれば、移動操作手段41をシールド操作部39aと長孔40との簡単な構成で、アンテナ18における電波の授受の可否を決定することができる。
【0044】
尚、図示は省略するが、パラメータライタ4についても、インバータ装置1と同様に、筐体23内にシールド体39設けると共に筐体23に長孔40を設けた構成とすることで、上記と同様の効果を得ることができる。
【0045】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0046】
例えば、記憶回路部12,22は、EEPROMを備えたものに限定されるものではなく、フラッシュメモリ等、各種の不揮発性の記憶手段を用いることができる。また、周辺機器は、パラメータライタ4に限ることはなく、移動操作手段41の構成も適宜変更することができる。
【0047】
インバータ装置1の駆動対象は誘導電動機3に限らず、ブラシレス直流電動機やIPM(Interior Permanent Magnet)電動機等の永久磁石型電動機であっても良い。また、配線16,17,18a,27,28a等は、信号伝達手段或は電気的接続手段として構成されていればよく、例えば、アンテナ18用の配線18aの一部を構成するものとして第1実施形態の基板14a,14b間に基板対基板コネクタ37を設けるようにしてもよい。
【0048】
基板としては、プリント配線板に代えて、フレキシブル配線基板等、各種の基板を用いてもよい。例えば、プリント配線板14a,14bを1つのフレキシブル配線基板で構成した場合、当該フレキシブル配線基板を、筐体13内にて例えば横向き「U」字状の如く変形させた状態で配置することができる。従って、当該フレキシブル配線基板に記憶回路部12とアンテナ配置部を設けても、これら記憶回路部12及びアンテナ配置部を、筐体13内にて互いに同一面に位置しないように配設することができる。このように、インバータ装置1とパラメータライタ4との双方において、複数の基板のうちの1つを省略して、他の基板に、省略した基板の電子部品等をまとめて配置してもよい。
【符号の説明】
【0049】
図面中、1はインバータ装置、4は周辺機器、5,5a,5bは通信手段、10はインバータ主回路、12,22は記憶回路部、14ap,14ap´,24ap,33pはアンテナ配置部、18,18´,28はアンテナ、30は梱包体、30a表示部、35,39はシールド体、41は移動操作手段を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷を駆動するインバータ主回路を備えたインバータ装置において、
電波を授受するアンテナと、
情報を記憶する不揮発性の記憶手段であって、前記アンテナと電気的に接続され、当該アンテナで受信した電波をエネルギー源として動作する記憶回路部と、
前記インバータ装置において前記記憶回路部が実装される基板の面と同一面上でない位置に設けられ、前記アンテナが配置されるアンテナ配置部とを備えたことを特徴とするインバータ装置。
【請求項2】
前記アンテナ配置部は、前記インバータ装置に対する着脱が可能に構成されていることを特徴とする請求項1記載のインバータ装置。
【請求項3】
電波を遮るシールド体を備えたことを特徴とする請求項1または2記載のインバータ装置。
【請求項4】
前記シールド体は、前記アンテナと前記インバータ主回路との間に配置されていることを特徴とする請求項3記載のインバータ装置。
【請求項5】
前記インバータ装置に対して前記シールド体を移動可能に配設すると共に、前記シールド体の外部からの移動操作が可能な移動操作手段を備えたことを特徴とする請求項3記載のインバータ装置。
【請求項6】
請求項1から5までの何れかに記載のインバータ装置を梱包するためのインバータ装置用梱包体において、
前記梱包体表面に、当該梱包体内における前記インバータ装置の前記アンテナの指向性または前記アンテナの位置を表示する表示部を有することを特徴とする梱包体。
【請求項7】
インバータ装置と通信手段を介して情報をやりとりする周辺機器において、
電波を授受するアンテナと、
情報を記憶する不揮発性の記憶手段であって、前記アンテナと電気的に接続され、当該アンテナで受信した電波をエネルギー源として動作する記憶回路部と、
前記周辺機器において前記記憶回路部が実装される基板の面と同一面上でない位置に設けられ、前記アンテナが配置されるアンテナ配置部とを備えたことを特徴とする周辺機器。
【請求項8】
前記アンテナ配置部は、前記周辺機器に対する着脱が可能に構成されていることを特徴とする請求項7記載の周辺機器。
【請求項9】
電波を遮るシールド体を備えたことを特徴とする請求項7または8記載の周辺機器。
【請求項10】
前記インバータ装置に対して前記シールド体を移動可能に配設すると共に、前記シールド体の外部からの移動操作が可能な移動操作手段を備えたことを特徴とする請求項9記載の周辺機器。
【請求項11】
請求項7から10までの何れかに記載の周辺機器を梱包するための周辺機器用梱包体において、
前記梱包体表面に、当該梱包体内における前記周辺機器の前記アンテナの指向性または前記アンテナの位置を表示する表示部を有することを特徴とする梱包体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−39712(P2012−39712A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−176189(P2010−176189)
【出願日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(302038844)東芝シュネデール・インバータ株式会社 (78)
【Fターム(参考)】