ウェアラブルケミカルディスペンサ
防臭剤、香料、および/あるいは他の化学物質を人の衣服の外側に沿って供給するためのウェアラブルデバイスが開示される。これらはベルト等にクリップにて取り付けられ、活性物質を供給するために電動ファンを使用するタイプである。これらは電力消費を最小に抑えながら、しかも許容可能な空気流の速度を達成するファン・ロータ配置を有するように構成される。これら修正は、より小さな蓄電池の使用、および蓄電池を収納するためのよりコンパクトな配置を可能にする。このことは、今度は、よりコンパクト、かつ、より軽量な構造にて、要求される結果を達成することを可能にする。このデバイスには、回転可能なクリップ構造も提供され、これはユーザが座っている際に、このデバイスをより快適に使用できるようにすると共に、供給の方向に関してより大きな制御を提供する。さらに、これらには活性物質の詰替品の交換を容易にする、修正された蓋が提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は防虫剤および/または香料などの化学物質を供給するウェアラブルディスペンサに関する。
【背景技術】
【0002】
人に虫刺されからの保護を提供するために様々な技術が開発されている。建物内での昆虫の制御に対しては、昆虫が建物内に入ることを完全に避けようとすること(例えば、窓にスクリーンをかけること)に主に重点が置かれる。これはしばしば部屋の空気の化学的処理および/あるいはトラップの使用によって補強される。例えば、米国特許第6,582,714号および7,175,815号、並びに米国特許出願公報第2005/0079113号、2006/0039835号、2006/0132741号および2007/0036688号を参照されたい。
【0003】
効果的に虫除けスクリーンを利用できないエリアである屋外に個人がいるときや、個人が主に特定のエリアにとどまるときは(例えば、ピクニックに出かけているときや、建物の付近の中庭にいるときは)、主にトラップやエリア防虫剤に焦点が当てられる。
【0004】
代わりに、個人が、彼らが管理する単一の地域外に移動するときは、個人は、しばしば、衣服に、あるいは直接に彼らの皮膚に個人用の防虫剤を施す。しかしながら、幾らかの消費者は彼らの皮膚あるいはデリケートな衣服に防虫剤を直接的に施すことに抵抗を示している。
【0005】
そのため、ファンおよび殺虫剤源を有する携帯用の電気デバイスが開発されている。これらデバイスは、これらをベルト、小物入れ、さらにはポケット上に容易に取り付け、こうして彼らが野外に移動するとき消費者によって「着用(worn)」できるようにクリップを有していることがある。このデバイスは、防虫剤あるいは他の空気処理化学物質が含浸された担体を通した空気を吸い込み、あるいはここを通過させる空気を吹き付け、こうすることで、活性物質を空気中に、好ましくは(防虫剤の場合は)人の衣服の外側に沿って下方に供給してもよい。例えば、米国特許第6,926,902号、7,007,861号、7,152,809号、および7,168,630号、並びに米国特許公報第2003/0044326号、2003/0175171号、2007/0183940号、および2009/0060799号(およびES106355号も)参照されたい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、幾つかのこれらデバイスは、活性物質を身体からあまりにも遠く離して吹き付け、このための活性物質が主要な関心の位置(例えば、足首の付近)に殆ど届かないこともある。他のこのようなデバイスは、例えば、使用の間に送風機の動作が一時的に停止されている際に、活性物質の浪費を最小に抑えるための方法を提供しない。さらに他のこのようなデバイスは、コストが高すぎたり、重すぎたり、あるいは他の欠陥を有する。
【0007】
上述のデバイスの欠陥を解決するための試みが、米国特許出願広報第2008/0141928号および2009/0008411号に説明されているウェアラブルケミカルディスペンサによってなされている。しかしながら、このタイプの製品をさらに、とりわけ、このデバイスをさらにコンパクトおよび軽量にすること、このデバイスを消費者が座っているときにより使い易くすること、および空気処理化学物質に対する補給ユニットを消耗されたときにより容易に交換できるようにすることで、改善することが望ましい。
【0008】
従って、このタイプのデバイスをこれら領域において改善する必要性が今もなお存在する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一態様によると、本発明は空気処理化学物質を供給するためのウェアラブルデバイスを提供し、ここでこのデバイスは、
【0010】
(a)空気がハウジングの内部空間内に入ることを許容するための吸気口と、空気処理化学物質と混合された空気が前記内部空間から出ることを許容する排気口とを含むハウジングと、
【0011】
(b)前記ハウジング内に配置された担体であって、空気処理化学物質を帯びる担体と、
【0012】
(c)前記ハウジングに搭載された電源と、
【0013】
(d)前記ハウジング内に搭載されたモータであって、前記電源によって動かされるモータと、
【0014】
(e)前記ハウジング内に搭載されたファンであって、空気に空気処理化学物質を混合させ、その後、空気と空気処理化学物質との混合物を前記排気口から前記ハウジングの外側に供給するために前記担体に隣接する前記吸気口から前記空気を移動させることができ、前記モータに接続されたロータ、および前記ロータに接続され、前記ロータから離れる方向に延在するそれぞれ分離された複数のブレードを含むファンと、を含む。
【0015】
一実施形態においては、前記デバイスは、少なくとも毎分0.042立方メートル(m3/min)(毎分1.5立方フィート(cfm))の空気の平均容積流速を12時間の期間に渡って維持することができ、前記デバイスは前記12時間の期間に前記電源から0.35ワットまたはそれ以下の電力を消費する。
【0016】
本発明のこの一態様の特に好ましい実施形態においては、前記ファンは12から18個のブレード(例えば、13個から15個のブレード、例えば、14個のブレード)を含み、各ブレードは内側エッジから外側エッジへと延在するボディーを含み、各ブレードの前記内側エッジは前記ロータの中心点からの径方向の線に沿って、前記ロータの中心点からある距離だけ離され、
複数の前記ブレードの前記ボディーは、
【0017】
(a)それと関連する径方向の線との間に100°から150°の範囲の内角を形成し、および/あるいは
【0018】
(b)前記ロータの中心点から前記ブレードの前記内側エッジまでの距離の80%から130%に相当する長さを有し、および/あるいは
【0019】
(c)前記ロータの中心点から前記ブレードの前記外側エッジまでの距離の45%から75%に相当する長さを有し、および/あるいは
【0020】
(d)前記ロータの中心点から前記ロータの外側エッジまでの10ミリから50ミリメートルの長さを有する。
【0021】
前記ロータは前記ロータの周囲から内側に離された中央壁を含むことができ、前記壁は前記ロータ内に凹部を規定する。前記モータの少なくとも一部は前記凹部内に配置され、前記ブレードは前記壁から径方向に外側に前記ロータの前記周囲に向かって延在する。
【0022】
他の好ましい実施形態においては、前記ハウジングはそれぞれ分離された複数の開口を含み、前記開口は前記ハウジングの側面構造の少なくとも180°(より好ましくは少なくとも235°)にわたって分離して配置され、前記複数のブレードは前記ハウジングのフロント壁と実質的に垂直であり、前記ハウジングのフロント壁は配列された吸気口の開口を有する。このデバイスは12時間(好ましくはさらに長い期間)に渡って少なくとも、毎分0.042立方メートル(毎分1.5立方フィート)の空気の平均容積流速を生成することができ、それにもかかわらずエネルギーの使用および電力要件が効率的であるために、このデバイスを動作させるためによりコンパクトな蓄電池(例えば、AAではなくAAA)を用いることができる。これはこのデバイスをこの要因のためによりコンパクトにするのみでなく、これは蓄電池をこれでなければ不可能な位置に配置することを可能にし、こうしてこのデバイスのサイズと重量をさらに低減させる。
【0023】
別の態様によると、本発明は、空気処理化学物質を供給するためのウェアラブルデバイスを提供し、ここでこのデバイスは、
【0024】
(a)ハウジングの内側空間内に空気が入ることを許容するための吸気口と、空気処理化学物質と混合された空気が前記内側空間から出ることを許容する排気口とを含むハウジングと、
【0025】
(b)前記ハウジング内に配置された担体であって、空気処理化学物質を帯びる担体と、
【0026】
(c)前記ハウジングに搭載された電源と、
【0027】
(d)前記ハウジング内に搭載されたモータであって、前記電源によって動かされるモータと、
【0028】
(e)前記モータに搭載されたファンであって、空気に空気処理化学物質を混合させ、その後、空気と空気処理化学物質の混合物を前記排気口から前記ハウジングの外側に供給するために前記担体に隣接する前記吸気口から前記空気を移動させることができるファンと、
【0029】
(f)前記ハウジングの外側壁に回転可能に接続されたクリップと、を含む。
【0030】
クリップあるいはハウジングの外側壁の一方が突起を含むこのデバイスの好ましい実施形態においては、クリップあるいはハウジングの外側壁の他方は、弓状のウエルを含み、この突起はクリップを回転させたとき、このウエル内を移動する。例えば、ウエルはクリップが少なくとも90°回転できるような寸法にすることもでき、ハウジングとクリップとの互いの関係におけるインデックス付きの回転位置決めのための手段が存在することもできる。この後者の特徴は、移動止めシステムであってもよく、ここではクリップあるいはハウジングの一方の上にはフレキシブルなタブが存在し、クリップあるいはハウジングのもう一方の上にはこのタブに対する一連の異なった静止位置が存在する。例えば、各々のこのような静止位置は凹部の形態であってもよく、タブはその上に突起を有してもよい。
【0031】
本発明のさらに別の態様においては、空気処理化学物質を供給するためのウェアラブルデバイスが提供されるが、ここでこのデバイスは、
【0032】
(a)第一の主部ハウジングセクションと第二の蓋部ハウジングセクションとを含むハウジングであって、前記第一の主部ハウジングセクションと前記第二の蓋部ハウジングセクションは前記第一の主部ハウジングセクションと前記第二の蓋部ハウジングセクションが閉じた位置にあるとき前記ハウジングの内部空間を規定し、前記ハウジングは空気が前記ハウジングの内部空間内に入ることを許容するための吸気口と、空気処理化学物質と混合された空気が前記内部空間から出ることを許容する排気口とを含む、ハウジングと、
【0033】
(b)前記ハウジングの前記内部空間内に配置された担体であって、空気処理化学物質を帯びる担体と、
【0034】
(c)前記ハウジングに搭載された電源と、
【0035】
(d)前記ハウジングの前記内部空間内に搭載されたモータであって、前記電源によって動かされるモータと、
【0036】
(e)前記モータに接続されたファンであって、空気に空気処理化学物質を混合させ、その後、空気と空気処理化学物質の混合物を前記排気口から前記ハウジングの外側に供給するために前記担体に隣接する前記吸気口から前記空気を移動させることができるファンと、
【0037】
(f)前記第一の主部ハウジングセクションと前記第二の蓋部ハウジングセクションとを接続し、前記第二の蓋部ハウジングセクションを前記第一の主部ハウジングセクションに対して閉じた位置と開いた位置との間で枢動的に移動させるように制御するためのヒンジ機構と、を含み、前記ヒンジ機構は前記第二の蓋部ハウジングセクション上に搭載され、それぞれ分離して配置されたヒンジアームと、前記第一の主部ハウジングセクション上にそれぞれ分離して配置されたノッチとを含み、各ヒンジアームは枢動ピンを含み、各枢動ピンは関連する一つの前記ノッチ内で回転することができる。
【0038】
本発明のこの一態様の好ましい実施形態においては、前記各ヒンジアームの前記枢動ピンは前記ヒンジアームの一端と隣接して横方向に延在し、各々の前記枢動ピンは平坦なセクションを有する外側壁を有し、各々の前記枢動ピンの前記平坦なセクションは、ノッチ内に、前記第二の蓋部ハウジングセクションがその完全に開いた位置にあるとき、それと関連するノッチの平坦な表面と接触するように搭載される。
【0039】
各々のこのような枢動ピンはさらに外側壁上に第二の平坦なセクションを有してもよく、各々の枢動ピンのこの第二の平坦なセクションは、第二の蓋部ハウジングセクションが完全に開いた位置にあるとき、それと関連するノッチの平坦な表面と接触する。例えば、これらノッチは概ね長方形であってもよい。これら構造はハウジング内に担体を支持するためのフレームが存在するときに最も有効であり、このフレームは対のスロットを含み、ヒンジアームの各々は第二の蓋部ハウジングセクションが閉じた位置と完全に開いた位置との間で枢動的に移動する際に一つのスロット内を移動する。
【発明の効果】
【0040】
こうして本発明のデバイスはより効率的に電力を使用し、この結果、より小さな電源を、そしていずれにしてもよりコンパクトでより軽量なアセンブリを可能にすることを理解されるべきである。さらにこれらデバイスは、消費者が座っているときにさえもデバイスをより快適に作動させることを可能にし、さらに供給の方向に対するより大きな制御を与える。さらに、特別なヒンジングおよびノッチ配列は、活性物質の詰替品の交換の際に蓋を開いた状態に保持するが、しかしながら、いったん蓋があらかじめ定められた中点へと移動すると、蓋をパチンと閉じた状態へと移動させる。これは詰替品の交換を容易にする。
【0041】
これらの改善は製造のコストを低減し、デバイスを低コストにて動作させることを可能にし、このようなデバイスを使用しなくてはならなくなったときの消費者のデバイスの重量を最小にしたいという好みに適合する。
【0042】
本発明のこれらおよび他の長所は以下の詳細な説明および図面を見ることでより良く理解できよう。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明によるウェアラブルケミカルディスペンサの左上正面の斜視図である。
【図2】図1のディスペンサの左側面図である。
【図3】図1のディスペンサの右側面図である。
【図4】図1のディスペンサの背面図である。
【図5】図1のディスペンサの右下底部斜視図であるが、ここでは蓋は開いた位置にある。
【図6】図1のディスペンサの分解斜視図である。
【図7】図5の線7−7に沿って切断された横断面図である。
【図8】図1のディスペンサのヒンジサポートに焦点が置かれた拡大詳細斜視図である。
【図8A】一つのヒンジサポート内のヒンジの一つのアームの拡大詳細横断面図であり、ここでは蓋は完全に開いた状態にある。
【図8B】図8Aと類似する図であるが、蓋はここでは部分的にのみ開いた状態にある。
【図8C】図8Aと類似する図であるが、蓋はここでは閉じた状態にある。
【図9】図7の線9−9に沿って切断された図であるが、ここでは2点鎖線にて加えられているクリップは、背面図において見えるとした場合の相対的な位置を示す。
【図10】図1のディスペンサの回転クリップを単独で示す拡大正面図である。
【図11】図1のディスペンサのロータファンの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
好ましい例示的ウェアラブルケミカルディスペンサ18が図1から11に示されている。ウェアラブルケミカルディスペンサ18は上側壁23から延伸する概ね矩形の側壁22を有する上側ハウジングセクション20を含む。使用において、壁23は典型的には前向きに配置され、蓋として働く。それぞれ分離された複数の開口24が上側ハウジングセクション20の上側壁23内に径方向に配列される。開口24は空気がウェアラブルケミカルディスペンサ18の内部空間内に入ることを可能にするための吸気口を提供する。タブ26は上側ハウジングセクション20を開けるときに上側ハウジングセクション20を掴むための手段を提供する。
【0045】
ウェアラブルケミカルディスペンサ18はさらにオン・オフボタン29、開口31、およびカム突起32を有するスライドカバー28を含む。ファスナー34(図6参照)はスライドカバー28を上側ハウジングセクション20に、ユーザがオン・オフボタン29を上側ハウジングセクション20の側壁22に沿って移動させたとき、スライドカバー28が上側ハウジングセクション20に対して回転するように搭載する。「オフ」位置においては、スライドカバー28は上側ハウジングセクション20の上側壁23内に径方向に配列されている開口24を閉じる。「オン」位置においては、スライドカバー28の開口31は上側ハウジングセクション20の上側壁23内に径方向に配列されている開口24と揃う。
【0046】
ウェアラブルケミカルディスペンサ18はさらに図5に示されているように上側ハウジングセクション20の内側表面に搭載されるヒンジブラケット36を含む。ヒンジブラケット36は上側ハウジングセクション20に取り付けられる平坦なベースプレート37、その一端に内側方向に向けられた枢動ピン39を有する概ねL−形状のアーム38、およびその一端に内側方向に向けられた枢動ピン41を有する概ねL−形状のアーム40を有する。アーム38とアーム40は図5および6に示されているようにプレート37上にそれぞれ離れて配置されている。ヒンジブラケット36は下に説明されるヒンジ機構の一部を形成する。
【0047】
ウェアラブルケミカルディスペンサ18には交換可能な補給ユニット44が提供されている。補給ユニット44は概ね平板状のサポート構造45を有する。平面図においては、補給ユニット44は基本的に全体として涙形状の外観を有し、一端には概ね円形の部分を、もう一端には概ね三角形の部分を備える。補給ユニット44を貫通する円形の開口を横断してスポークのサポート47が存在する(図5参照)。このスポークのサポート47を横断して線維性の担体48が置かれる。空気が吸い込まれるとき、空気は線維性の担体48を通過する。繊維およびその気孔率の選択、空気流の速度、および活性物質の蒸気圧は、活性物質の消費の速度と、上側ハウジングセクション20のスロット25を通じて見ることができる視覚的な消費キュー49(図5参照)の消費の速度との調整における主要な要因である。補給ユニットの一例としては、24時間の寿命を有し、視覚的な消費キュー49は24時間の後に蒸発あるいは外観が変化するように設計される。適当な視覚的な消費キューは米国特許出願公報第2008/0141928号において説明されている。
【0048】
線維性の担体48に適当な空気処理化学物質を含浸させることで、デバイスに入る空気はその揮発性化学物質の幾らかを拾い上げ、これをデバイスの外へと供給するであろう。活性物質の取出速度は、毎時0.2ミリグラム(mg./hr.)あるいはこれ以上であることが好ましい。さらに好ましい活性物質は、トランスフルトリン(transfluthrin)、プラレトリン(prallethrin)、ベーパートリン(vaporthrin)、テフルトリン(tefluthrin)、およびエスビオトリン(esbiothrin)、あるいは他の合成ピレスロイド(pyrethroids)である。蚊の制御に用いるためには、Sumitomo Chemical Companyから(SumiOne(登録商標)の商標名にて)販売されているメトフルトリン(metofluthin)を使用するのが好ましい。含浸物質は、純粋な活性物質であっても、物質の扱いを容易にするために、炭化水素あるいは他の溶剤に溶かすこともできる。代わりに、あるいは加えて、繊維はさらに香料、脱臭剤、あるいは他の空気処理化学物質を有してもよい。線維性の担体48は好ましくはその担体の間の圧力降下が40パスカル(Pa)を超えないように構成される。適当な繊維は空気の流れに対して最小限の抵抗しか与えない、織られたあるいは織られてない材料から製造することができる。
【0049】
線維性の担体48は、さらにその材料上に投与された活性物質成分を保持できるべきであり、さらにその活性物質が空気流に応じて蒸発できるように活性物質成分が容易に表面に移行できるべきである。疎水性であり、約10℃から40℃の間の通常の環境温度において移行可能な活性物質成分(例えば、メトフルトリン)について適当な材料には、単に一例として、ポリエステル、ポリプロピレン、綿、セルロース、ポリレーヨン、および他の類似の繊維が含まれる。これらは平方メートル当たり10グラム(gsm)から平方メートル当たり40グラム(gsm)の範囲の基本重量を有する、合成、天然、あるいは合成と天然の混合のポリマー材料から加工される織られてないものであってもよい。
【0050】
理想的なファブリックの担体48は、さらに、活性物質成分が投与された後に、活性物質成分が染み出ることを許容され、こうして活性物質成分が担体の全体に渡って効率的に分散することが確保され、その後、通過する空気流によって蒸発された活性物質成分が補充されるよう活性物質成分が担体の表面に移動できるようなものであるべきである。投与は、液体の活性物質成分を担体に滴下、散布、プリント、あるいは他の従来の方法で供給することで行ってもよい。とりわけ望ましいファブリックは、ポリエチレンテレフタレートから作られた20から30gmsの基本重量を有する織られてないフェルト材料である。
【0051】
ウェアラブルケミカルディスペンサ18内の補給ユニット44の下にフレーム50が配置される。フレーム50は概ね矩形の周囲を有し、補給ユニット44を支持する(図5および6参照)。基本的に補給ユニット44の三角形の部分の一方の辺は直線であり、他方はくぼみがあることに注意する。対称性の若干の欠如は、対応する若干の対称性の欠如をフレーム50の上側に沿っての収容し、これによって消費者が補給ユニット44をフレーム50上に裏返しに取り付けることを防止するように設計されている。フレーム50の一端は後に説明されるヒンジ機構の一部を形成する対のスロット51を有する。フレーム50の他端には円形の開口52が提供されている。フレーム50内の穴54は回転バネ57によってオフ位置にバイアスされている回転作動ボタン56を支持する。
【0052】
図6および11を見ると、ウェアラブルケミカルディスペンサ18のファン60が示されている。ファン60は上側中央水平壁64に結合する中央垂直壁63を有するロータ61を有する。中央垂直壁63および上側中央水平壁64はロータ61の底内に凹部を規定する(図7参照)。ロータ61の上側中央水平壁64はロータ61の軸上に管状取付部66を含む。
【0053】
好ましいファン60は14個のファンブレード68aから68nを含む(図11参照)。ウェアラブルケミカルディスペンサ18に対して理想的な空気流のバランスおよび最小の電力消費をもたらすファンの構成は、12個から18個のファンブレードを含むことが発見された。好ましくは、ファンは補給ユニット44の寿命(例えば、少なくとも8時間、最も好ましくは少なくとも12時間)に渡って(補給ユニット44が取り付けられている状態で)毎分0.042から0.085立方リットル(毎分1.5から3立方フィート)の空気の平均容積流速度を生成する。典型的にはファンは3000から5000rpmにて動作する。ウェアラブルケミカルディスペンサ18の一例においては、補給ユニット44の寿命(例えば、12時間)に渡って、電源の消費電力は、0.35ワットあるいはこれ以下、好ましくは0.30ワットあるいはこれ以下、もっと好ましくは0.25ワットあるいはこれ以下、さらにもっと好ましくは0.20ワットあるいはこれ以下である。一つの例示的実施形態として、12時間以上の寿命の補給ユニット44では、電源の消費電力は約0.17ワットであり、同時に、この12時間の時間期間を通じて毎分少なくとも少なくとも0.042立方リットル(1.5立方フィート)の空気の平均容積流速が維持される。電源に対して一つあるいは複数の蓄電池を使用する場合、電圧は放電の間に変動するであろう。しかしながら、消費電力は、消費された全エネルギーを総時間で割ることによって決定することができる。
【0054】
各ブレード68aから68nは内側エッジ70、外側エッジ71、内側エッジ70から外側エッジ71へと延長する上側エッジ72、およびロータ61の上側表面73によって規定される概ね矩形のボディー69を有する。図11を見ると、ロータ61の中心点Cから各ブレード68aから68nの内側エッジ70に向かって径方向の基準線R1を引くことができる。同様に、ロータ61の中心点Cから各ブレード68aから68nの外側エッジ71に向かって基準線R2を引くことができる。各ブレード68aから68nのボディー69はそれと関連する径方向の基準線R1との間に内角Aを形成する。
【0055】
ウェアラブルケミカルディスペンサ18における理想的な空気流のバランスと最小の電力消費を与える結果としてのファン構成は、ある範囲のファンの寸法およびファンブレードの角度を含むことが発見されている。好ましくは、各ブレード68aから68nは、内側エッジ70から外側エッジ71へと延在するある長さを有し、ここでこの長さは径方向の基準線R1の距離の80%から130%である。好ましくは、各ブレード68aから68nは、内側エッジ70から外側エッジ71へと延在するある長さを有し、ここでこの長さは径方向の基準線R2の距離の45%から75%である。好ましくは、図11の内角Aは、これは各ブレード68aから68nのボディー69とそれと関連する径方向の基準線R1とによって形成されるが、100°から150°の範囲内である。これら例示的なファンの寸法およびファンブレードの角度は、ウェアラブルケミカルディスペンサ18に対する理想的な空気流のバランスと最小の電力消費に寄与する。こうして、とりわけ、ファンからの空気の平均容積流速は、ロータの外側半径、ロータの内側半径、ブレードの数、ブレードの角度、および1分当たりのファンの回転数に依存する。
【0056】
ファン60の一つの制限されない実施形態は、約15ミリメートルの内側エッジ70から外側エッジ71へと延在する長さ、約14ミリメートルの径方向の基準線R1、約25ミリメートルの径方向の基準線R2、および約120度の内角Aを有する。この制限されない実施形態においては、ブレードの厚さは0.3から1.0ミリメートルの範囲を取り得るものであり、0.6ミリメートルが好ましく、(ロータ61の上側表面73からボディー69の上側エッジ72までの)ブレードの高さは5から11ミリメートルの範囲を取り得るものであり、約8ミリメートルが好ましい。
【0057】
ウェアラブルケミカルディスペンサ18は電源を含む。例示実施形態において示されるように、電源のマイクロスイッチ75は蓄電池接点76に電気的に接続される。もう一つの蓄電池接点77は、蓄電池78と蓄電池接点76との電気回路を完結させ、マイクロスイッチ75に電気を供給する。ユーザがオン・オフボタン29を「オン」位置に回転させることでスライドカバー28を回転させると、スライドカバー28のカム突起32が回転作動ボタン56に押し込まれ、これは次にマイクロスイッチ75と接触し、電源が入れられる。
【0058】
図6から8を見ると、ウェアラブルケミカルディスペンサ18はウェアラブルケミカルディスペンサ18の様々な部品を搭載するためのシャーシ80を含む。上側ハウジングセクション20とシャーシ80が閉じた位置にあるときは(例えば、図1参照)、内部空間を有するハウジングが形成される。シャーシ80はフレーム50とスナップフィット式に係合する。
【0059】
シャーシ80はシャーシ80内に上向きの空間83を規定する隆起部分82を備える底壁81を有する(図6および7参照)。シャーシ80の底壁81内には蓄電池区画84も提供されている(図7参照)。蓄電池接点76、77は蓄電池区画84の両端に搭載される。シャーシ80の底壁81から上方に延長して、ノッチ86を有するヒンジサポート85およびノッチ88を有するヒンジサポート87が存在する(図6および8参照)。ヒンジサポート85およびヒンジサポート87は以下に説明されるヒンジ機構の一部を形成する。
【0060】
シャーシ80はさらに空気処理化学物質と混合された空気がウェアラブルケミカルディスペンサ18の内部空間から出ることを可能にするための排気口を規定する一定間隔で分離された開口91を有する側壁90を含む。図5に示される制限されない例示的実施形態においては、開口91は、シャーシ80の側壁90のまわりに点Eから点Fに向かって延在する。図5においては、点Eおよび点Fと(図6に示される軸X上の)点Dとの間の内角は約270°である。従って、開口91はシャーシ80の側壁90の270°にわたって一定間隔で分離して配置されている。好ましくは、開口91はシャーシ80の側壁90の少なくとも180°にわたって一定間隔で分離して配置される。より好ましくは、開口91は、シャーシ80の側壁90の少なくとも235°にわたって一定間隔で分離して配置される。開口91の総排気口面積の制限されない一例は、8.5×10−4m2である。好ましくは、蓄電池区画84は開口91から隔離される。これら例示的な開口の構成はウェアラブルケミカルディスペンサ18に対する理想的な空気流のバランスと最小の電力消費に寄与する。
【0061】
好ましくは、ファンから開口91への流路は遮られない。幾つかの他のデバイスは、吸気ベントと排気ベントを遮蔽することで空気流を遮断するように設計されたスライドカバーを含んでいた。その意図は、ユニットが使用されてない間に、活性物質を投与されたパッドを通過する空気流を遮蔽することで、活性物質の損失を最小に抑えることであった。排気ベントを遮蔽する壁およびこれらを支持するための形状は、大きな空間を占拠し、デバイスの寸法を増加させる原因となっていた。本発明においては、これら遮蔽壁は活性物質成分の損失を増加させることなく、除去されている。
【0062】
モータ93がシャーシ80内の空間83内に配置され、ワイヤ94はモータ93をマイクロスイッチ75に接続し、回転作動ボタン56がマイクロスイッチ75と接触すると、電源がオンされ、モータに電力が供給される。モータ93はロータ61上の管状取付部66に接続されている駆動シャフト95を含む。結果として、モータ93はファン60を回転させることができる。蓄電池ドア96はシャーシ80の底壁81内の蓄電池区画84をカバーする。蓄電池ドア96は搭載タブ97を含む。底カバー102はファスナーによってシャーシ80に固定される。
【0063】
図6、9および10を見ると、ウェアラブルケミカルディスペンサ18をユーザの衣服(例えば、ベルト)にクリップするための手段が示されている。底カバー102は底カバー102の底表面105内の弓状のウエル104によって部分的に取り囲まれている貫通孔103を含む。底カバー102の底表面105はさらに貫通孔103のまわりに半円形に5つに分離して配置された矩形の凹部106a、106b、106c、106d、106eを含む。ウェアラブルケミカルディスペンサ18は、さらにクリップ110を含み、クリップ110の前側セクション112はその上側端の所で、後側セクション113から、前側セクション112と後側セクション113とを接続する上側セクション114によって離されている。クリップ110の下端では、前側セクション112と後側セクション113とは、ユーザによって曲げられて引き離されるまで接触している。クリップ110の後側セクション113は弓状の突起116、管状取付部材117、および端に突起120を有する移動可能なタブ119を有する。移動可能なタブ119はクリップ110の後側セクション113内の切り抜き121によって形成される。ファスナー122(図6参照)が底カバー102の貫通孔103を通じてクリップ110の管状取付部117内へと挿入され、底カバー102とクリップ110を接続する。
【0064】
さらに図6、9および10を見ると、クリップ110の回転機能について説明することができる。クリップ110が底カバー102に接続されたとき、クリップ110は図9のような位置にある。ファスナー122は、底カバー102の貫通孔103内に、クリップ110が底カバー102に対して回転できるように、クリップ110の管状取付部117を固定する。クリップ110が図9に示されているその位置から時計回りに回転されると、弓状の突起116は管状のウエル104内を時計回りに移動し、こうしてクリップ110の回転をガイドする。移動可能なタブ119の突起120は、移動可能なタブ119の柔軟性のために、凹部106cの外に移動する。クリップ110は時計回りに、移動可能なタブ119の突起120が底カバー102の凹部106b内に移動するまで回転する。さらに突起120が凹部106b内にある位置から時計回りにクリップ110が回転されると、弓状の突起116はさらに弓状のウエル104内を時計回りに移動し、突起120は凹部106bから移動可能なタブ119の柔軟性のために外に出る。クリップ110は移動可能なタブ119の突起120が底カバー102の凹部106a内に移動するまで時計回りに回転する。この位置においては、弓状の突起116は、弓状のウエル104の壁129によってさらに時計回りに移動することを阻止され、ウェアラブルケミカルディスペンサ18のハウジングはクリップ110に対して90°のところにある。
【0065】
クリップ110が図9に示されているその位置から反時計回りに回転されると、弓状の突起116は弓状のウエル104内を反時計回りの方向に移動し、こうしてクリップ110の回転をガイドする。移動可能なタブ119の突起120は移動可能なタブ119の柔軟性のために凹部106cの外に出る。クリップ110は、反時計回りに、移動可能なタブ119の突起120が底カバー102の凹部106d内に移動して入るまで回転する。突起120が凹部106d内にある位置からさらに反時計回りにクリップ110が回転されると、弓状の突起116は弓状のウエル104内をさらに反時計回りに移動し、突起120は移動可能なタブ119の柔軟性のために凹部106dの外に出る。クリップ110は、反時計回りに、移動可能なタブ119の突起120が底カバー102の凹部106e内に移動して入るまで回転する。この位置にあるときは、弓状の突起116は弓状のウエル104の壁127によってさらに反時計回りに移動することを阻止され、ウェアラブルケミカルディスペンサ18のハウジングはクリップ110に対して90°のところにある。
【0066】
こうして、弓状の突起116および弓状のウエル104はクリップ110の底カバー102に対する制御された回転のための手段を提供する。具体的には、クリップ110を回転させると突起116がウエル104内を移動する。図9の例示的実施形態においては、ウエル104および突起116は、クリップ110が180°(すなわち、時計回りに90°および反時計回りに90°)回転できるような寸法にされている。好ましくは、クリップ110は少なくとも90°回転できる。
【0067】
加えて、突起120を有する移動可能なタブ119および貫通孔103のまわりに半円形に離して配列された矩形の凹部106a、106b、106c、106d、106eはクリップ100およびハウジングの互いのインデックス付き回転位置決めに対する手段を提供する。凹部106a、106b、106c、106d、106eはガイドを提供し、移動可能なタブ119の突起120は上述のようにガイド内を一段ずつ移動する。
【0068】
しがしばユーザは、図9に示されている位置のウェアラブルケミカルディスペンサ18のクリップ110にて、ウェアラブルケミカルディスペンサ18をベルトにクリップするが、ここでは排気口の開口91は、ユーザから下方、ユーザの一方の側および反対側に向く。これは空気と空気処理化学物質の混合物を、ユーザから下方、ユーザの一方の側および反対側に向ける。もしユーザが空気と空気処理化学物質の混合物を、上下と、一方の側に向けることを望む場合は、ユーザはハウジングを上述のように回転クリップ110を使用して回転させることができる。ユーザはまた座っているときは、体にぶつかってきつくなることを回避するようにハウジングを回転させることを望むかもしれない。さらに、クリップ110の枢動点を排気口の開口91に隣接するハウジングのセクション内に置くことで、クリップ110を回転させたとき、空気と空気処理化学物質の混合物の方向のより高精度な制御が得られる。こうして、ウェアラブルケミカルディスペンサ18のハウジングは、使用において、垂直あるいは水平となり得る。
【0069】
次に図5,6,8,8A、8B、および8Cを見ると、ウェアラブルケミカルディスペンサ18のヒンジ機構をさらに説明することができる。ヒンジ機構はユーザが上側ハウジングセクション20を、図5,7および8Aの開いた位置に開けることを可能にし、新たな補給ユニット44を図5に示されているようにフレーム50上に取り付けることができる。
【0070】
図8A、8B、および8Cを見ると、ヒンジアーム38の枢動ピン39のヒンジサポート85のノッチ86内での移動について説明できる。枢動ピン39は、外側壁131を有し、これは第一の平坦なセクション133と第二の平坦なセクション134との間に広がる弓状のセクション132をする。中間セクション135が第一の平坦なセクション133と第二の平坦なセクション134とを接続する。図8A、8B、および8Cにおいては、枢動ピン41は示していないが、枢動ピン41は枢動ピン39の外側壁131と同一の形状の外側壁を有する。
【0071】
図8Aにおいては、上側ハウジングセクション20は完全に開いた位置にある。枢動ピン39の外側壁131の第二の平坦なセクション134はヒンジサポート85のノッチ86の底の平坦な表面137(図8参照)上に載っている。ノッチ86の底の平坦な表面137と枢動ピン39の外側壁131の第二の平坦なセクション134との整合は上側ハウジングセクション20を完全に開いた位置に保つ。
【0072】
図8Cにおいては、上側ハウジングセクション20は閉じた位置にある。枢動ピン39の外側壁131の第一の平坦なセクション133はヒンジサポート85のノッチ86の底の平坦な表面137上に載っている。ノッチ86の底の平坦な表面137と枢動ピン39の外側壁131の第一の平坦なセクション133との係合は上側ハウジングセクション20を閉じた位置に保つ。さらに上側ハウジングセクション20の留め具155(図5参照)がスロット157(図5参照)と係合し、ハウジングを閉じた状態に保つ。
【0073】
図8Bにおいては、上側ハウジングセクション20は部分的に開いた位置にある。枢動ピン39の外側壁131の中間セクション135はヒンジサポート85のノッチ86の底の平坦な表面137上に載っている。ノッチ86の底の平坦な表面137と枢動ピン39の外側壁131の中間セクション13との整合は上側ハウジングセクション20を部分的に開いた位置に保とうとする。しかしながら、上側ハウジングセクション20をZ方向に移動させると、上側ハウジングセクション20は、枢動ピン39が重力によって枢動ピン39の外側壁131の第二の平坦なセクション134がノッチ86の底の平坦な表面137上に載るまで回転するために、図8Aに示されている完全に開いた位置にすばやく戻される。一方、上側ハウジングセクション20をY方向に移動させると、上側ハウジングセクション20は、枢動ピン39が重力によって枢動ピン39の外側壁131の第一の平坦なセクション133がノッチ86の底の平坦な表面137上に載るまで回転するために、図8Cに示されている閉じた位置へと移動される。
【0074】
枢動ピン41はノッチ88内を、上側ハウジングセクション20を開く際に、枢動ピン41の外側壁の平坦なセクションがヒンジサポート87のノッチ88の底の平坦な表面138(図8参照)上に来るのと同様の方法で移動する。ヒンジの移動の際に、ヒンジブラケット36のアーム38および40は、フレーム50(図5参照)のスロット51内を移動する。
【0075】
ヒンジブラケット36のアーム38、40の枢動ピン39、41の外側壁の構成は、上側ハウジングセクション20を開けるとき、有利なヒンジング作用を提供する。ユーザが最初に上側ハウジングセクション20を開け始めるときは、ユーザは、枢動ピン39、41が、そこでは枢動ピンの外側壁の第一の平坦なセクションが関連するノッチの底の平坦な表面上に載る閉じた位置(図8C参照)に戻ろうとする動きに打ち勝たなければならない。しかしながら、いったん上側ハウジングセクション20が図8Bの部分的に開いた位置に到達してしまうと、さらにZ方向に少し移動させるだけで、上側ハウジングセクション20は、枢動ピン39が重力のために枢動ピン39の外側壁131の第二の平坦なセクション134がノッチ86の底の平坦な表面137に載るまで回転するために、図8Aに示される完全に開いた位置にすばやく移動される。
【0076】
同様に、ヒンジブラケット36のアーム38、40の枢動ピン39、41の外側壁の構成は、上側ハウジングセクション20を閉めるときにも有利なヒンジング作用を提供する。ユーザが最初に上側ハウジングセクション20を閉じ始めるときは、ユーザは、枢動ピン39、41が、そこでは枢動ピンの外側壁の第二の平坦なセクションが関連するノッチの底の平坦な表面上に載る完全に開いた位置(図8A参照)に戻ろうとする動きに打ち勝たなければならない。しかしながら、いったん上側ハウジングセクション20が図8Bの部分的に開いている位置に到達してしまうと、さらにY方向に少し移動させるだけで、上側ハウジングセクション20は、枢動ピン39が重力のために枢動ピン39の外側壁131の第一の平坦なセクション133がノッチ86の底の平坦な表面137に載るまで回転するために、図8Cに示される閉じた位置へとすみやかに移動させられる。
【0077】
コンポーネントの構造に関しては、上側ハウジングセクション20、スライドカバー28、ヒンジブラケット36、補給ユニット44の支持構造45、フレーム50、ファン60、シャーシ80、蓄電池ドア96、底カバー102、およびクリップ110は、適当なポリマー材、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、あるいはポリエステルから形成することができる。
【0078】
動作においては、ウェアラブルケミカルディスペンサ18は、ベルト、小物入れ等に、クリップ110をその目的に使用してクリップされる。ユーザがオン・オフボタン29を上側ハウジングセクション20の側壁22に沿って「オン」位置に移動させると、スライドカバー28の開口31は上側ハウジングセクション20の上側壁23内に径方向に配列されている開口24と揃う。スライドカバー28のカム突起32が回転作動ボタン56に押し込まれ、マイクロスイッチ75と接触し、電源を入れ、モータ93によってファン60を動かす。ウェアラブルケミカルディスペンサ18のファン60によって空気が開口24および開口31を通じて吸い込まれる。空気が線維性の担体48を通過するとき、空気処理化学物質が空気内に混合され、空気と空気処理化学物質の混合物が次に開口91から径方向に(好ましくはズボンあるいはドレスに沿って下方に)吹き出される。ユーザはクリップ110を上述のように回転させることができる。
【0079】
このデバイスは、主として野外に出かけるとき、人と共に持ち運ばれるウェアラブル商品として使用されることを意図されるが、これはクリップ110を下方に、上側ハウジングセクション20を上方に向けて、ピクニックテーブル等の上に平らに置くこともできる。このやり方で用いられるときは、これはピクニックあるいは類似の野外活動の際にあるエリアに対する保護を提供することができる。
【0080】
こうして、このデバイスは遙かにコンパクトかつ軽量であり、それでいて効果的である。さらに、蓄電池の観点からの動作のコストも低減される。このデバイスは座っているとき、より快適に使用でき、散布方向に関してより大きな制御を提供する。さらに、交換用の活性物質の詰替品の取り付けが簡単である。これらの長所は低コストにて達成され、信頼性の高い構造を提供する。
【0081】
このウェアラブルディスペンサにおいては、吸気グリルのサイズは、特定の範囲内のファンブレード、サイズおよびブレード角度内に入る改良されたファンと協働して機能するように設計されている。低電流消費モータがファン設計の軸方向ハブ内に凹設される。空気流は、270個のアウトプットベントを通じて排出される。設計上の特徴のこの組合せは、空気流と最小の電力消費との間の理想的なバランスをもたらし、高度に効率的なシステムをもたらし、これは比較的小さく、軽量なユニットにて、良好な虫よけ効果と使用期間を実現する。
【0082】
上記では一つの例示的な実施形態が説明されたが、この開示の趣旨および範囲内に入る本発明の他の多数の実施形態が存在することを理解されるべきである。例えば、このデバイスは異なるエネルギー源(例えば、太陽光発電パネル)によって動かすこともでき、昆虫制御成分と共に、あるいは代わりに他の形態の活性物質(例えば、香料あるいは脱臭化学物質)を供給することもでき、さらに、昆虫制御成分が供給されるときでも、それは蚊の制御に焦点を与えられた成分である必要もない(例えば、他の飛ぶあるいは這う昆虫あるいは害虫を撃退するための化学物質を用いることもできる)。このように、本発明は、特定の実施形態において示されたあるいは説明されたもののみに制限されるべきではない。
【産業上の利用可能性】
【0083】
ここでは昆虫制御化学物質および/または他の空気処理化学物質を人体に隣接して供給する能力を有するウェアラブルディスペンシングデバイスが提供される。
【技術分野】
【0001】
本発明は防虫剤および/または香料などの化学物質を供給するウェアラブルディスペンサに関する。
【背景技術】
【0002】
人に虫刺されからの保護を提供するために様々な技術が開発されている。建物内での昆虫の制御に対しては、昆虫が建物内に入ることを完全に避けようとすること(例えば、窓にスクリーンをかけること)に主に重点が置かれる。これはしばしば部屋の空気の化学的処理および/あるいはトラップの使用によって補強される。例えば、米国特許第6,582,714号および7,175,815号、並びに米国特許出願公報第2005/0079113号、2006/0039835号、2006/0132741号および2007/0036688号を参照されたい。
【0003】
効果的に虫除けスクリーンを利用できないエリアである屋外に個人がいるときや、個人が主に特定のエリアにとどまるときは(例えば、ピクニックに出かけているときや、建物の付近の中庭にいるときは)、主にトラップやエリア防虫剤に焦点が当てられる。
【0004】
代わりに、個人が、彼らが管理する単一の地域外に移動するときは、個人は、しばしば、衣服に、あるいは直接に彼らの皮膚に個人用の防虫剤を施す。しかしながら、幾らかの消費者は彼らの皮膚あるいはデリケートな衣服に防虫剤を直接的に施すことに抵抗を示している。
【0005】
そのため、ファンおよび殺虫剤源を有する携帯用の電気デバイスが開発されている。これらデバイスは、これらをベルト、小物入れ、さらにはポケット上に容易に取り付け、こうして彼らが野外に移動するとき消費者によって「着用(worn)」できるようにクリップを有していることがある。このデバイスは、防虫剤あるいは他の空気処理化学物質が含浸された担体を通した空気を吸い込み、あるいはここを通過させる空気を吹き付け、こうすることで、活性物質を空気中に、好ましくは(防虫剤の場合は)人の衣服の外側に沿って下方に供給してもよい。例えば、米国特許第6,926,902号、7,007,861号、7,152,809号、および7,168,630号、並びに米国特許公報第2003/0044326号、2003/0175171号、2007/0183940号、および2009/0060799号(およびES106355号も)参照されたい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、幾つかのこれらデバイスは、活性物質を身体からあまりにも遠く離して吹き付け、このための活性物質が主要な関心の位置(例えば、足首の付近)に殆ど届かないこともある。他のこのようなデバイスは、例えば、使用の間に送風機の動作が一時的に停止されている際に、活性物質の浪費を最小に抑えるための方法を提供しない。さらに他のこのようなデバイスは、コストが高すぎたり、重すぎたり、あるいは他の欠陥を有する。
【0007】
上述のデバイスの欠陥を解決するための試みが、米国特許出願広報第2008/0141928号および2009/0008411号に説明されているウェアラブルケミカルディスペンサによってなされている。しかしながら、このタイプの製品をさらに、とりわけ、このデバイスをさらにコンパクトおよび軽量にすること、このデバイスを消費者が座っているときにより使い易くすること、および空気処理化学物質に対する補給ユニットを消耗されたときにより容易に交換できるようにすることで、改善することが望ましい。
【0008】
従って、このタイプのデバイスをこれら領域において改善する必要性が今もなお存在する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一態様によると、本発明は空気処理化学物質を供給するためのウェアラブルデバイスを提供し、ここでこのデバイスは、
【0010】
(a)空気がハウジングの内部空間内に入ることを許容するための吸気口と、空気処理化学物質と混合された空気が前記内部空間から出ることを許容する排気口とを含むハウジングと、
【0011】
(b)前記ハウジング内に配置された担体であって、空気処理化学物質を帯びる担体と、
【0012】
(c)前記ハウジングに搭載された電源と、
【0013】
(d)前記ハウジング内に搭載されたモータであって、前記電源によって動かされるモータと、
【0014】
(e)前記ハウジング内に搭載されたファンであって、空気に空気処理化学物質を混合させ、その後、空気と空気処理化学物質との混合物を前記排気口から前記ハウジングの外側に供給するために前記担体に隣接する前記吸気口から前記空気を移動させることができ、前記モータに接続されたロータ、および前記ロータに接続され、前記ロータから離れる方向に延在するそれぞれ分離された複数のブレードを含むファンと、を含む。
【0015】
一実施形態においては、前記デバイスは、少なくとも毎分0.042立方メートル(m3/min)(毎分1.5立方フィート(cfm))の空気の平均容積流速を12時間の期間に渡って維持することができ、前記デバイスは前記12時間の期間に前記電源から0.35ワットまたはそれ以下の電力を消費する。
【0016】
本発明のこの一態様の特に好ましい実施形態においては、前記ファンは12から18個のブレード(例えば、13個から15個のブレード、例えば、14個のブレード)を含み、各ブレードは内側エッジから外側エッジへと延在するボディーを含み、各ブレードの前記内側エッジは前記ロータの中心点からの径方向の線に沿って、前記ロータの中心点からある距離だけ離され、
複数の前記ブレードの前記ボディーは、
【0017】
(a)それと関連する径方向の線との間に100°から150°の範囲の内角を形成し、および/あるいは
【0018】
(b)前記ロータの中心点から前記ブレードの前記内側エッジまでの距離の80%から130%に相当する長さを有し、および/あるいは
【0019】
(c)前記ロータの中心点から前記ブレードの前記外側エッジまでの距離の45%から75%に相当する長さを有し、および/あるいは
【0020】
(d)前記ロータの中心点から前記ロータの外側エッジまでの10ミリから50ミリメートルの長さを有する。
【0021】
前記ロータは前記ロータの周囲から内側に離された中央壁を含むことができ、前記壁は前記ロータ内に凹部を規定する。前記モータの少なくとも一部は前記凹部内に配置され、前記ブレードは前記壁から径方向に外側に前記ロータの前記周囲に向かって延在する。
【0022】
他の好ましい実施形態においては、前記ハウジングはそれぞれ分離された複数の開口を含み、前記開口は前記ハウジングの側面構造の少なくとも180°(より好ましくは少なくとも235°)にわたって分離して配置され、前記複数のブレードは前記ハウジングのフロント壁と実質的に垂直であり、前記ハウジングのフロント壁は配列された吸気口の開口を有する。このデバイスは12時間(好ましくはさらに長い期間)に渡って少なくとも、毎分0.042立方メートル(毎分1.5立方フィート)の空気の平均容積流速を生成することができ、それにもかかわらずエネルギーの使用および電力要件が効率的であるために、このデバイスを動作させるためによりコンパクトな蓄電池(例えば、AAではなくAAA)を用いることができる。これはこのデバイスをこの要因のためによりコンパクトにするのみでなく、これは蓄電池をこれでなければ不可能な位置に配置することを可能にし、こうしてこのデバイスのサイズと重量をさらに低減させる。
【0023】
別の態様によると、本発明は、空気処理化学物質を供給するためのウェアラブルデバイスを提供し、ここでこのデバイスは、
【0024】
(a)ハウジングの内側空間内に空気が入ることを許容するための吸気口と、空気処理化学物質と混合された空気が前記内側空間から出ることを許容する排気口とを含むハウジングと、
【0025】
(b)前記ハウジング内に配置された担体であって、空気処理化学物質を帯びる担体と、
【0026】
(c)前記ハウジングに搭載された電源と、
【0027】
(d)前記ハウジング内に搭載されたモータであって、前記電源によって動かされるモータと、
【0028】
(e)前記モータに搭載されたファンであって、空気に空気処理化学物質を混合させ、その後、空気と空気処理化学物質の混合物を前記排気口から前記ハウジングの外側に供給するために前記担体に隣接する前記吸気口から前記空気を移動させることができるファンと、
【0029】
(f)前記ハウジングの外側壁に回転可能に接続されたクリップと、を含む。
【0030】
クリップあるいはハウジングの外側壁の一方が突起を含むこのデバイスの好ましい実施形態においては、クリップあるいはハウジングの外側壁の他方は、弓状のウエルを含み、この突起はクリップを回転させたとき、このウエル内を移動する。例えば、ウエルはクリップが少なくとも90°回転できるような寸法にすることもでき、ハウジングとクリップとの互いの関係におけるインデックス付きの回転位置決めのための手段が存在することもできる。この後者の特徴は、移動止めシステムであってもよく、ここではクリップあるいはハウジングの一方の上にはフレキシブルなタブが存在し、クリップあるいはハウジングのもう一方の上にはこのタブに対する一連の異なった静止位置が存在する。例えば、各々のこのような静止位置は凹部の形態であってもよく、タブはその上に突起を有してもよい。
【0031】
本発明のさらに別の態様においては、空気処理化学物質を供給するためのウェアラブルデバイスが提供されるが、ここでこのデバイスは、
【0032】
(a)第一の主部ハウジングセクションと第二の蓋部ハウジングセクションとを含むハウジングであって、前記第一の主部ハウジングセクションと前記第二の蓋部ハウジングセクションは前記第一の主部ハウジングセクションと前記第二の蓋部ハウジングセクションが閉じた位置にあるとき前記ハウジングの内部空間を規定し、前記ハウジングは空気が前記ハウジングの内部空間内に入ることを許容するための吸気口と、空気処理化学物質と混合された空気が前記内部空間から出ることを許容する排気口とを含む、ハウジングと、
【0033】
(b)前記ハウジングの前記内部空間内に配置された担体であって、空気処理化学物質を帯びる担体と、
【0034】
(c)前記ハウジングに搭載された電源と、
【0035】
(d)前記ハウジングの前記内部空間内に搭載されたモータであって、前記電源によって動かされるモータと、
【0036】
(e)前記モータに接続されたファンであって、空気に空気処理化学物質を混合させ、その後、空気と空気処理化学物質の混合物を前記排気口から前記ハウジングの外側に供給するために前記担体に隣接する前記吸気口から前記空気を移動させることができるファンと、
【0037】
(f)前記第一の主部ハウジングセクションと前記第二の蓋部ハウジングセクションとを接続し、前記第二の蓋部ハウジングセクションを前記第一の主部ハウジングセクションに対して閉じた位置と開いた位置との間で枢動的に移動させるように制御するためのヒンジ機構と、を含み、前記ヒンジ機構は前記第二の蓋部ハウジングセクション上に搭載され、それぞれ分離して配置されたヒンジアームと、前記第一の主部ハウジングセクション上にそれぞれ分離して配置されたノッチとを含み、各ヒンジアームは枢動ピンを含み、各枢動ピンは関連する一つの前記ノッチ内で回転することができる。
【0038】
本発明のこの一態様の好ましい実施形態においては、前記各ヒンジアームの前記枢動ピンは前記ヒンジアームの一端と隣接して横方向に延在し、各々の前記枢動ピンは平坦なセクションを有する外側壁を有し、各々の前記枢動ピンの前記平坦なセクションは、ノッチ内に、前記第二の蓋部ハウジングセクションがその完全に開いた位置にあるとき、それと関連するノッチの平坦な表面と接触するように搭載される。
【0039】
各々のこのような枢動ピンはさらに外側壁上に第二の平坦なセクションを有してもよく、各々の枢動ピンのこの第二の平坦なセクションは、第二の蓋部ハウジングセクションが完全に開いた位置にあるとき、それと関連するノッチの平坦な表面と接触する。例えば、これらノッチは概ね長方形であってもよい。これら構造はハウジング内に担体を支持するためのフレームが存在するときに最も有効であり、このフレームは対のスロットを含み、ヒンジアームの各々は第二の蓋部ハウジングセクションが閉じた位置と完全に開いた位置との間で枢動的に移動する際に一つのスロット内を移動する。
【発明の効果】
【0040】
こうして本発明のデバイスはより効率的に電力を使用し、この結果、より小さな電源を、そしていずれにしてもよりコンパクトでより軽量なアセンブリを可能にすることを理解されるべきである。さらにこれらデバイスは、消費者が座っているときにさえもデバイスをより快適に作動させることを可能にし、さらに供給の方向に対するより大きな制御を与える。さらに、特別なヒンジングおよびノッチ配列は、活性物質の詰替品の交換の際に蓋を開いた状態に保持するが、しかしながら、いったん蓋があらかじめ定められた中点へと移動すると、蓋をパチンと閉じた状態へと移動させる。これは詰替品の交換を容易にする。
【0041】
これらの改善は製造のコストを低減し、デバイスを低コストにて動作させることを可能にし、このようなデバイスを使用しなくてはならなくなったときの消費者のデバイスの重量を最小にしたいという好みに適合する。
【0042】
本発明のこれらおよび他の長所は以下の詳細な説明および図面を見ることでより良く理解できよう。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明によるウェアラブルケミカルディスペンサの左上正面の斜視図である。
【図2】図1のディスペンサの左側面図である。
【図3】図1のディスペンサの右側面図である。
【図4】図1のディスペンサの背面図である。
【図5】図1のディスペンサの右下底部斜視図であるが、ここでは蓋は開いた位置にある。
【図6】図1のディスペンサの分解斜視図である。
【図7】図5の線7−7に沿って切断された横断面図である。
【図8】図1のディスペンサのヒンジサポートに焦点が置かれた拡大詳細斜視図である。
【図8A】一つのヒンジサポート内のヒンジの一つのアームの拡大詳細横断面図であり、ここでは蓋は完全に開いた状態にある。
【図8B】図8Aと類似する図であるが、蓋はここでは部分的にのみ開いた状態にある。
【図8C】図8Aと類似する図であるが、蓋はここでは閉じた状態にある。
【図9】図7の線9−9に沿って切断された図であるが、ここでは2点鎖線にて加えられているクリップは、背面図において見えるとした場合の相対的な位置を示す。
【図10】図1のディスペンサの回転クリップを単独で示す拡大正面図である。
【図11】図1のディスペンサのロータファンの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
好ましい例示的ウェアラブルケミカルディスペンサ18が図1から11に示されている。ウェアラブルケミカルディスペンサ18は上側壁23から延伸する概ね矩形の側壁22を有する上側ハウジングセクション20を含む。使用において、壁23は典型的には前向きに配置され、蓋として働く。それぞれ分離された複数の開口24が上側ハウジングセクション20の上側壁23内に径方向に配列される。開口24は空気がウェアラブルケミカルディスペンサ18の内部空間内に入ることを可能にするための吸気口を提供する。タブ26は上側ハウジングセクション20を開けるときに上側ハウジングセクション20を掴むための手段を提供する。
【0045】
ウェアラブルケミカルディスペンサ18はさらにオン・オフボタン29、開口31、およびカム突起32を有するスライドカバー28を含む。ファスナー34(図6参照)はスライドカバー28を上側ハウジングセクション20に、ユーザがオン・オフボタン29を上側ハウジングセクション20の側壁22に沿って移動させたとき、スライドカバー28が上側ハウジングセクション20に対して回転するように搭載する。「オフ」位置においては、スライドカバー28は上側ハウジングセクション20の上側壁23内に径方向に配列されている開口24を閉じる。「オン」位置においては、スライドカバー28の開口31は上側ハウジングセクション20の上側壁23内に径方向に配列されている開口24と揃う。
【0046】
ウェアラブルケミカルディスペンサ18はさらに図5に示されているように上側ハウジングセクション20の内側表面に搭載されるヒンジブラケット36を含む。ヒンジブラケット36は上側ハウジングセクション20に取り付けられる平坦なベースプレート37、その一端に内側方向に向けられた枢動ピン39を有する概ねL−形状のアーム38、およびその一端に内側方向に向けられた枢動ピン41を有する概ねL−形状のアーム40を有する。アーム38とアーム40は図5および6に示されているようにプレート37上にそれぞれ離れて配置されている。ヒンジブラケット36は下に説明されるヒンジ機構の一部を形成する。
【0047】
ウェアラブルケミカルディスペンサ18には交換可能な補給ユニット44が提供されている。補給ユニット44は概ね平板状のサポート構造45を有する。平面図においては、補給ユニット44は基本的に全体として涙形状の外観を有し、一端には概ね円形の部分を、もう一端には概ね三角形の部分を備える。補給ユニット44を貫通する円形の開口を横断してスポークのサポート47が存在する(図5参照)。このスポークのサポート47を横断して線維性の担体48が置かれる。空気が吸い込まれるとき、空気は線維性の担体48を通過する。繊維およびその気孔率の選択、空気流の速度、および活性物質の蒸気圧は、活性物質の消費の速度と、上側ハウジングセクション20のスロット25を通じて見ることができる視覚的な消費キュー49(図5参照)の消費の速度との調整における主要な要因である。補給ユニットの一例としては、24時間の寿命を有し、視覚的な消費キュー49は24時間の後に蒸発あるいは外観が変化するように設計される。適当な視覚的な消費キューは米国特許出願公報第2008/0141928号において説明されている。
【0048】
線維性の担体48に適当な空気処理化学物質を含浸させることで、デバイスに入る空気はその揮発性化学物質の幾らかを拾い上げ、これをデバイスの外へと供給するであろう。活性物質の取出速度は、毎時0.2ミリグラム(mg./hr.)あるいはこれ以上であることが好ましい。さらに好ましい活性物質は、トランスフルトリン(transfluthrin)、プラレトリン(prallethrin)、ベーパートリン(vaporthrin)、テフルトリン(tefluthrin)、およびエスビオトリン(esbiothrin)、あるいは他の合成ピレスロイド(pyrethroids)である。蚊の制御に用いるためには、Sumitomo Chemical Companyから(SumiOne(登録商標)の商標名にて)販売されているメトフルトリン(metofluthin)を使用するのが好ましい。含浸物質は、純粋な活性物質であっても、物質の扱いを容易にするために、炭化水素あるいは他の溶剤に溶かすこともできる。代わりに、あるいは加えて、繊維はさらに香料、脱臭剤、あるいは他の空気処理化学物質を有してもよい。線維性の担体48は好ましくはその担体の間の圧力降下が40パスカル(Pa)を超えないように構成される。適当な繊維は空気の流れに対して最小限の抵抗しか与えない、織られたあるいは織られてない材料から製造することができる。
【0049】
線維性の担体48は、さらにその材料上に投与された活性物質成分を保持できるべきであり、さらにその活性物質が空気流に応じて蒸発できるように活性物質成分が容易に表面に移行できるべきである。疎水性であり、約10℃から40℃の間の通常の環境温度において移行可能な活性物質成分(例えば、メトフルトリン)について適当な材料には、単に一例として、ポリエステル、ポリプロピレン、綿、セルロース、ポリレーヨン、および他の類似の繊維が含まれる。これらは平方メートル当たり10グラム(gsm)から平方メートル当たり40グラム(gsm)の範囲の基本重量を有する、合成、天然、あるいは合成と天然の混合のポリマー材料から加工される織られてないものであってもよい。
【0050】
理想的なファブリックの担体48は、さらに、活性物質成分が投与された後に、活性物質成分が染み出ることを許容され、こうして活性物質成分が担体の全体に渡って効率的に分散することが確保され、その後、通過する空気流によって蒸発された活性物質成分が補充されるよう活性物質成分が担体の表面に移動できるようなものであるべきである。投与は、液体の活性物質成分を担体に滴下、散布、プリント、あるいは他の従来の方法で供給することで行ってもよい。とりわけ望ましいファブリックは、ポリエチレンテレフタレートから作られた20から30gmsの基本重量を有する織られてないフェルト材料である。
【0051】
ウェアラブルケミカルディスペンサ18内の補給ユニット44の下にフレーム50が配置される。フレーム50は概ね矩形の周囲を有し、補給ユニット44を支持する(図5および6参照)。基本的に補給ユニット44の三角形の部分の一方の辺は直線であり、他方はくぼみがあることに注意する。対称性の若干の欠如は、対応する若干の対称性の欠如をフレーム50の上側に沿っての収容し、これによって消費者が補給ユニット44をフレーム50上に裏返しに取り付けることを防止するように設計されている。フレーム50の一端は後に説明されるヒンジ機構の一部を形成する対のスロット51を有する。フレーム50の他端には円形の開口52が提供されている。フレーム50内の穴54は回転バネ57によってオフ位置にバイアスされている回転作動ボタン56を支持する。
【0052】
図6および11を見ると、ウェアラブルケミカルディスペンサ18のファン60が示されている。ファン60は上側中央水平壁64に結合する中央垂直壁63を有するロータ61を有する。中央垂直壁63および上側中央水平壁64はロータ61の底内に凹部を規定する(図7参照)。ロータ61の上側中央水平壁64はロータ61の軸上に管状取付部66を含む。
【0053】
好ましいファン60は14個のファンブレード68aから68nを含む(図11参照)。ウェアラブルケミカルディスペンサ18に対して理想的な空気流のバランスおよび最小の電力消費をもたらすファンの構成は、12個から18個のファンブレードを含むことが発見された。好ましくは、ファンは補給ユニット44の寿命(例えば、少なくとも8時間、最も好ましくは少なくとも12時間)に渡って(補給ユニット44が取り付けられている状態で)毎分0.042から0.085立方リットル(毎分1.5から3立方フィート)の空気の平均容積流速度を生成する。典型的にはファンは3000から5000rpmにて動作する。ウェアラブルケミカルディスペンサ18の一例においては、補給ユニット44の寿命(例えば、12時間)に渡って、電源の消費電力は、0.35ワットあるいはこれ以下、好ましくは0.30ワットあるいはこれ以下、もっと好ましくは0.25ワットあるいはこれ以下、さらにもっと好ましくは0.20ワットあるいはこれ以下である。一つの例示的実施形態として、12時間以上の寿命の補給ユニット44では、電源の消費電力は約0.17ワットであり、同時に、この12時間の時間期間を通じて毎分少なくとも少なくとも0.042立方リットル(1.5立方フィート)の空気の平均容積流速が維持される。電源に対して一つあるいは複数の蓄電池を使用する場合、電圧は放電の間に変動するであろう。しかしながら、消費電力は、消費された全エネルギーを総時間で割ることによって決定することができる。
【0054】
各ブレード68aから68nは内側エッジ70、外側エッジ71、内側エッジ70から外側エッジ71へと延長する上側エッジ72、およびロータ61の上側表面73によって規定される概ね矩形のボディー69を有する。図11を見ると、ロータ61の中心点Cから各ブレード68aから68nの内側エッジ70に向かって径方向の基準線R1を引くことができる。同様に、ロータ61の中心点Cから各ブレード68aから68nの外側エッジ71に向かって基準線R2を引くことができる。各ブレード68aから68nのボディー69はそれと関連する径方向の基準線R1との間に内角Aを形成する。
【0055】
ウェアラブルケミカルディスペンサ18における理想的な空気流のバランスと最小の電力消費を与える結果としてのファン構成は、ある範囲のファンの寸法およびファンブレードの角度を含むことが発見されている。好ましくは、各ブレード68aから68nは、内側エッジ70から外側エッジ71へと延在するある長さを有し、ここでこの長さは径方向の基準線R1の距離の80%から130%である。好ましくは、各ブレード68aから68nは、内側エッジ70から外側エッジ71へと延在するある長さを有し、ここでこの長さは径方向の基準線R2の距離の45%から75%である。好ましくは、図11の内角Aは、これは各ブレード68aから68nのボディー69とそれと関連する径方向の基準線R1とによって形成されるが、100°から150°の範囲内である。これら例示的なファンの寸法およびファンブレードの角度は、ウェアラブルケミカルディスペンサ18に対する理想的な空気流のバランスと最小の電力消費に寄与する。こうして、とりわけ、ファンからの空気の平均容積流速は、ロータの外側半径、ロータの内側半径、ブレードの数、ブレードの角度、および1分当たりのファンの回転数に依存する。
【0056】
ファン60の一つの制限されない実施形態は、約15ミリメートルの内側エッジ70から外側エッジ71へと延在する長さ、約14ミリメートルの径方向の基準線R1、約25ミリメートルの径方向の基準線R2、および約120度の内角Aを有する。この制限されない実施形態においては、ブレードの厚さは0.3から1.0ミリメートルの範囲を取り得るものであり、0.6ミリメートルが好ましく、(ロータ61の上側表面73からボディー69の上側エッジ72までの)ブレードの高さは5から11ミリメートルの範囲を取り得るものであり、約8ミリメートルが好ましい。
【0057】
ウェアラブルケミカルディスペンサ18は電源を含む。例示実施形態において示されるように、電源のマイクロスイッチ75は蓄電池接点76に電気的に接続される。もう一つの蓄電池接点77は、蓄電池78と蓄電池接点76との電気回路を完結させ、マイクロスイッチ75に電気を供給する。ユーザがオン・オフボタン29を「オン」位置に回転させることでスライドカバー28を回転させると、スライドカバー28のカム突起32が回転作動ボタン56に押し込まれ、これは次にマイクロスイッチ75と接触し、電源が入れられる。
【0058】
図6から8を見ると、ウェアラブルケミカルディスペンサ18はウェアラブルケミカルディスペンサ18の様々な部品を搭載するためのシャーシ80を含む。上側ハウジングセクション20とシャーシ80が閉じた位置にあるときは(例えば、図1参照)、内部空間を有するハウジングが形成される。シャーシ80はフレーム50とスナップフィット式に係合する。
【0059】
シャーシ80はシャーシ80内に上向きの空間83を規定する隆起部分82を備える底壁81を有する(図6および7参照)。シャーシ80の底壁81内には蓄電池区画84も提供されている(図7参照)。蓄電池接点76、77は蓄電池区画84の両端に搭載される。シャーシ80の底壁81から上方に延長して、ノッチ86を有するヒンジサポート85およびノッチ88を有するヒンジサポート87が存在する(図6および8参照)。ヒンジサポート85およびヒンジサポート87は以下に説明されるヒンジ機構の一部を形成する。
【0060】
シャーシ80はさらに空気処理化学物質と混合された空気がウェアラブルケミカルディスペンサ18の内部空間から出ることを可能にするための排気口を規定する一定間隔で分離された開口91を有する側壁90を含む。図5に示される制限されない例示的実施形態においては、開口91は、シャーシ80の側壁90のまわりに点Eから点Fに向かって延在する。図5においては、点Eおよび点Fと(図6に示される軸X上の)点Dとの間の内角は約270°である。従って、開口91はシャーシ80の側壁90の270°にわたって一定間隔で分離して配置されている。好ましくは、開口91はシャーシ80の側壁90の少なくとも180°にわたって一定間隔で分離して配置される。より好ましくは、開口91は、シャーシ80の側壁90の少なくとも235°にわたって一定間隔で分離して配置される。開口91の総排気口面積の制限されない一例は、8.5×10−4m2である。好ましくは、蓄電池区画84は開口91から隔離される。これら例示的な開口の構成はウェアラブルケミカルディスペンサ18に対する理想的な空気流のバランスと最小の電力消費に寄与する。
【0061】
好ましくは、ファンから開口91への流路は遮られない。幾つかの他のデバイスは、吸気ベントと排気ベントを遮蔽することで空気流を遮断するように設計されたスライドカバーを含んでいた。その意図は、ユニットが使用されてない間に、活性物質を投与されたパッドを通過する空気流を遮蔽することで、活性物質の損失を最小に抑えることであった。排気ベントを遮蔽する壁およびこれらを支持するための形状は、大きな空間を占拠し、デバイスの寸法を増加させる原因となっていた。本発明においては、これら遮蔽壁は活性物質成分の損失を増加させることなく、除去されている。
【0062】
モータ93がシャーシ80内の空間83内に配置され、ワイヤ94はモータ93をマイクロスイッチ75に接続し、回転作動ボタン56がマイクロスイッチ75と接触すると、電源がオンされ、モータに電力が供給される。モータ93はロータ61上の管状取付部66に接続されている駆動シャフト95を含む。結果として、モータ93はファン60を回転させることができる。蓄電池ドア96はシャーシ80の底壁81内の蓄電池区画84をカバーする。蓄電池ドア96は搭載タブ97を含む。底カバー102はファスナーによってシャーシ80に固定される。
【0063】
図6、9および10を見ると、ウェアラブルケミカルディスペンサ18をユーザの衣服(例えば、ベルト)にクリップするための手段が示されている。底カバー102は底カバー102の底表面105内の弓状のウエル104によって部分的に取り囲まれている貫通孔103を含む。底カバー102の底表面105はさらに貫通孔103のまわりに半円形に5つに分離して配置された矩形の凹部106a、106b、106c、106d、106eを含む。ウェアラブルケミカルディスペンサ18は、さらにクリップ110を含み、クリップ110の前側セクション112はその上側端の所で、後側セクション113から、前側セクション112と後側セクション113とを接続する上側セクション114によって離されている。クリップ110の下端では、前側セクション112と後側セクション113とは、ユーザによって曲げられて引き離されるまで接触している。クリップ110の後側セクション113は弓状の突起116、管状取付部材117、および端に突起120を有する移動可能なタブ119を有する。移動可能なタブ119はクリップ110の後側セクション113内の切り抜き121によって形成される。ファスナー122(図6参照)が底カバー102の貫通孔103を通じてクリップ110の管状取付部117内へと挿入され、底カバー102とクリップ110を接続する。
【0064】
さらに図6、9および10を見ると、クリップ110の回転機能について説明することができる。クリップ110が底カバー102に接続されたとき、クリップ110は図9のような位置にある。ファスナー122は、底カバー102の貫通孔103内に、クリップ110が底カバー102に対して回転できるように、クリップ110の管状取付部117を固定する。クリップ110が図9に示されているその位置から時計回りに回転されると、弓状の突起116は管状のウエル104内を時計回りに移動し、こうしてクリップ110の回転をガイドする。移動可能なタブ119の突起120は、移動可能なタブ119の柔軟性のために、凹部106cの外に移動する。クリップ110は時計回りに、移動可能なタブ119の突起120が底カバー102の凹部106b内に移動するまで回転する。さらに突起120が凹部106b内にある位置から時計回りにクリップ110が回転されると、弓状の突起116はさらに弓状のウエル104内を時計回りに移動し、突起120は凹部106bから移動可能なタブ119の柔軟性のために外に出る。クリップ110は移動可能なタブ119の突起120が底カバー102の凹部106a内に移動するまで時計回りに回転する。この位置においては、弓状の突起116は、弓状のウエル104の壁129によってさらに時計回りに移動することを阻止され、ウェアラブルケミカルディスペンサ18のハウジングはクリップ110に対して90°のところにある。
【0065】
クリップ110が図9に示されているその位置から反時計回りに回転されると、弓状の突起116は弓状のウエル104内を反時計回りの方向に移動し、こうしてクリップ110の回転をガイドする。移動可能なタブ119の突起120は移動可能なタブ119の柔軟性のために凹部106cの外に出る。クリップ110は、反時計回りに、移動可能なタブ119の突起120が底カバー102の凹部106d内に移動して入るまで回転する。突起120が凹部106d内にある位置からさらに反時計回りにクリップ110が回転されると、弓状の突起116は弓状のウエル104内をさらに反時計回りに移動し、突起120は移動可能なタブ119の柔軟性のために凹部106dの外に出る。クリップ110は、反時計回りに、移動可能なタブ119の突起120が底カバー102の凹部106e内に移動して入るまで回転する。この位置にあるときは、弓状の突起116は弓状のウエル104の壁127によってさらに反時計回りに移動することを阻止され、ウェアラブルケミカルディスペンサ18のハウジングはクリップ110に対して90°のところにある。
【0066】
こうして、弓状の突起116および弓状のウエル104はクリップ110の底カバー102に対する制御された回転のための手段を提供する。具体的には、クリップ110を回転させると突起116がウエル104内を移動する。図9の例示的実施形態においては、ウエル104および突起116は、クリップ110が180°(すなわち、時計回りに90°および反時計回りに90°)回転できるような寸法にされている。好ましくは、クリップ110は少なくとも90°回転できる。
【0067】
加えて、突起120を有する移動可能なタブ119および貫通孔103のまわりに半円形に離して配列された矩形の凹部106a、106b、106c、106d、106eはクリップ100およびハウジングの互いのインデックス付き回転位置決めに対する手段を提供する。凹部106a、106b、106c、106d、106eはガイドを提供し、移動可能なタブ119の突起120は上述のようにガイド内を一段ずつ移動する。
【0068】
しがしばユーザは、図9に示されている位置のウェアラブルケミカルディスペンサ18のクリップ110にて、ウェアラブルケミカルディスペンサ18をベルトにクリップするが、ここでは排気口の開口91は、ユーザから下方、ユーザの一方の側および反対側に向く。これは空気と空気処理化学物質の混合物を、ユーザから下方、ユーザの一方の側および反対側に向ける。もしユーザが空気と空気処理化学物質の混合物を、上下と、一方の側に向けることを望む場合は、ユーザはハウジングを上述のように回転クリップ110を使用して回転させることができる。ユーザはまた座っているときは、体にぶつかってきつくなることを回避するようにハウジングを回転させることを望むかもしれない。さらに、クリップ110の枢動点を排気口の開口91に隣接するハウジングのセクション内に置くことで、クリップ110を回転させたとき、空気と空気処理化学物質の混合物の方向のより高精度な制御が得られる。こうして、ウェアラブルケミカルディスペンサ18のハウジングは、使用において、垂直あるいは水平となり得る。
【0069】
次に図5,6,8,8A、8B、および8Cを見ると、ウェアラブルケミカルディスペンサ18のヒンジ機構をさらに説明することができる。ヒンジ機構はユーザが上側ハウジングセクション20を、図5,7および8Aの開いた位置に開けることを可能にし、新たな補給ユニット44を図5に示されているようにフレーム50上に取り付けることができる。
【0070】
図8A、8B、および8Cを見ると、ヒンジアーム38の枢動ピン39のヒンジサポート85のノッチ86内での移動について説明できる。枢動ピン39は、外側壁131を有し、これは第一の平坦なセクション133と第二の平坦なセクション134との間に広がる弓状のセクション132をする。中間セクション135が第一の平坦なセクション133と第二の平坦なセクション134とを接続する。図8A、8B、および8Cにおいては、枢動ピン41は示していないが、枢動ピン41は枢動ピン39の外側壁131と同一の形状の外側壁を有する。
【0071】
図8Aにおいては、上側ハウジングセクション20は完全に開いた位置にある。枢動ピン39の外側壁131の第二の平坦なセクション134はヒンジサポート85のノッチ86の底の平坦な表面137(図8参照)上に載っている。ノッチ86の底の平坦な表面137と枢動ピン39の外側壁131の第二の平坦なセクション134との整合は上側ハウジングセクション20を完全に開いた位置に保つ。
【0072】
図8Cにおいては、上側ハウジングセクション20は閉じた位置にある。枢動ピン39の外側壁131の第一の平坦なセクション133はヒンジサポート85のノッチ86の底の平坦な表面137上に載っている。ノッチ86の底の平坦な表面137と枢動ピン39の外側壁131の第一の平坦なセクション133との係合は上側ハウジングセクション20を閉じた位置に保つ。さらに上側ハウジングセクション20の留め具155(図5参照)がスロット157(図5参照)と係合し、ハウジングを閉じた状態に保つ。
【0073】
図8Bにおいては、上側ハウジングセクション20は部分的に開いた位置にある。枢動ピン39の外側壁131の中間セクション135はヒンジサポート85のノッチ86の底の平坦な表面137上に載っている。ノッチ86の底の平坦な表面137と枢動ピン39の外側壁131の中間セクション13との整合は上側ハウジングセクション20を部分的に開いた位置に保とうとする。しかしながら、上側ハウジングセクション20をZ方向に移動させると、上側ハウジングセクション20は、枢動ピン39が重力によって枢動ピン39の外側壁131の第二の平坦なセクション134がノッチ86の底の平坦な表面137上に載るまで回転するために、図8Aに示されている完全に開いた位置にすばやく戻される。一方、上側ハウジングセクション20をY方向に移動させると、上側ハウジングセクション20は、枢動ピン39が重力によって枢動ピン39の外側壁131の第一の平坦なセクション133がノッチ86の底の平坦な表面137上に載るまで回転するために、図8Cに示されている閉じた位置へと移動される。
【0074】
枢動ピン41はノッチ88内を、上側ハウジングセクション20を開く際に、枢動ピン41の外側壁の平坦なセクションがヒンジサポート87のノッチ88の底の平坦な表面138(図8参照)上に来るのと同様の方法で移動する。ヒンジの移動の際に、ヒンジブラケット36のアーム38および40は、フレーム50(図5参照)のスロット51内を移動する。
【0075】
ヒンジブラケット36のアーム38、40の枢動ピン39、41の外側壁の構成は、上側ハウジングセクション20を開けるとき、有利なヒンジング作用を提供する。ユーザが最初に上側ハウジングセクション20を開け始めるときは、ユーザは、枢動ピン39、41が、そこでは枢動ピンの外側壁の第一の平坦なセクションが関連するノッチの底の平坦な表面上に載る閉じた位置(図8C参照)に戻ろうとする動きに打ち勝たなければならない。しかしながら、いったん上側ハウジングセクション20が図8Bの部分的に開いた位置に到達してしまうと、さらにZ方向に少し移動させるだけで、上側ハウジングセクション20は、枢動ピン39が重力のために枢動ピン39の外側壁131の第二の平坦なセクション134がノッチ86の底の平坦な表面137に載るまで回転するために、図8Aに示される完全に開いた位置にすばやく移動される。
【0076】
同様に、ヒンジブラケット36のアーム38、40の枢動ピン39、41の外側壁の構成は、上側ハウジングセクション20を閉めるときにも有利なヒンジング作用を提供する。ユーザが最初に上側ハウジングセクション20を閉じ始めるときは、ユーザは、枢動ピン39、41が、そこでは枢動ピンの外側壁の第二の平坦なセクションが関連するノッチの底の平坦な表面上に載る完全に開いた位置(図8A参照)に戻ろうとする動きに打ち勝たなければならない。しかしながら、いったん上側ハウジングセクション20が図8Bの部分的に開いている位置に到達してしまうと、さらにY方向に少し移動させるだけで、上側ハウジングセクション20は、枢動ピン39が重力のために枢動ピン39の外側壁131の第一の平坦なセクション133がノッチ86の底の平坦な表面137に載るまで回転するために、図8Cに示される閉じた位置へとすみやかに移動させられる。
【0077】
コンポーネントの構造に関しては、上側ハウジングセクション20、スライドカバー28、ヒンジブラケット36、補給ユニット44の支持構造45、フレーム50、ファン60、シャーシ80、蓄電池ドア96、底カバー102、およびクリップ110は、適当なポリマー材、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、あるいはポリエステルから形成することができる。
【0078】
動作においては、ウェアラブルケミカルディスペンサ18は、ベルト、小物入れ等に、クリップ110をその目的に使用してクリップされる。ユーザがオン・オフボタン29を上側ハウジングセクション20の側壁22に沿って「オン」位置に移動させると、スライドカバー28の開口31は上側ハウジングセクション20の上側壁23内に径方向に配列されている開口24と揃う。スライドカバー28のカム突起32が回転作動ボタン56に押し込まれ、マイクロスイッチ75と接触し、電源を入れ、モータ93によってファン60を動かす。ウェアラブルケミカルディスペンサ18のファン60によって空気が開口24および開口31を通じて吸い込まれる。空気が線維性の担体48を通過するとき、空気処理化学物質が空気内に混合され、空気と空気処理化学物質の混合物が次に開口91から径方向に(好ましくはズボンあるいはドレスに沿って下方に)吹き出される。ユーザはクリップ110を上述のように回転させることができる。
【0079】
このデバイスは、主として野外に出かけるとき、人と共に持ち運ばれるウェアラブル商品として使用されることを意図されるが、これはクリップ110を下方に、上側ハウジングセクション20を上方に向けて、ピクニックテーブル等の上に平らに置くこともできる。このやり方で用いられるときは、これはピクニックあるいは類似の野外活動の際にあるエリアに対する保護を提供することができる。
【0080】
こうして、このデバイスは遙かにコンパクトかつ軽量であり、それでいて効果的である。さらに、蓄電池の観点からの動作のコストも低減される。このデバイスは座っているとき、より快適に使用でき、散布方向に関してより大きな制御を提供する。さらに、交換用の活性物質の詰替品の取り付けが簡単である。これらの長所は低コストにて達成され、信頼性の高い構造を提供する。
【0081】
このウェアラブルディスペンサにおいては、吸気グリルのサイズは、特定の範囲内のファンブレード、サイズおよびブレード角度内に入る改良されたファンと協働して機能するように設計されている。低電流消費モータがファン設計の軸方向ハブ内に凹設される。空気流は、270個のアウトプットベントを通じて排出される。設計上の特徴のこの組合せは、空気流と最小の電力消費との間の理想的なバランスをもたらし、高度に効率的なシステムをもたらし、これは比較的小さく、軽量なユニットにて、良好な虫よけ効果と使用期間を実現する。
【0082】
上記では一つの例示的な実施形態が説明されたが、この開示の趣旨および範囲内に入る本発明の他の多数の実施形態が存在することを理解されるべきである。例えば、このデバイスは異なるエネルギー源(例えば、太陽光発電パネル)によって動かすこともでき、昆虫制御成分と共に、あるいは代わりに他の形態の活性物質(例えば、香料あるいは脱臭化学物質)を供給することもでき、さらに、昆虫制御成分が供給されるときでも、それは蚊の制御に焦点を与えられた成分である必要もない(例えば、他の飛ぶあるいは這う昆虫あるいは害虫を撃退するための化学物質を用いることもできる)。このように、本発明は、特定の実施形態において示されたあるいは説明されたもののみに制限されるべきではない。
【産業上の利用可能性】
【0083】
ここでは昆虫制御化学物質および/または他の空気処理化学物質を人体に隣接して供給する能力を有するウェアラブルディスペンシングデバイスが提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気処理化学物質を供給するためのウェアラブルデバイスであって、
ハウジングの内部空間内に空気が入ることを許容するための吸気口と、空気処理化学物質と混合された空気が前記内部空間から出ることを許容する排気口とを含むハウジングと、
前記ハウジング内に配置された担体であって、空気処理化学物質を帯びる担体と、
前記ハウジング内に搭載された電源と、
前記ハウジング内に搭載されたモータであって、前記電源によって動かされるモータと、
前記ハウジング内に搭載されたファンであって、空気に空気処理化学物質を混合させ、その後、空気と空気処理化学物質との混合物を前記排気口から前記ハウジングの外側に供給するために前記担体に隣接する前記吸気口から前記空気を移動させることができるファンと、を含み、
前記デバイスは、少なくとも毎分0.042立方メートル(毎分1.5立方フィート)の空気の平均容積流速を12時間の期間に渡って維持することができ、前記デバイスは前記12時間の期間に対して前記電源から0.35ワットまたはそれ以下の電力を消費する、ウェアラブルデバイス
【請求項2】
前記ファンは、前記モータに接続されたロータを含み、前記ロータに接続され、これから離れる方向に延在するそれぞれが分離して配置された12から18個のブレードを含む、請求項1のデバイス。
【請求項3】
前記ファンは、前記モータに接続されたロータと、前記ロータに接続され、これから離れる方向に延在するそれぞれ分離された複数ブレードを含み、
各ブレードは内側エッジから外側エッジへと延在するボディーを含み、
各ブレードの前記内側エッジは前記ロータの中心点からの径方向の線に沿って、前記ロータの中心点からある距離だけ離され、複数の前記ブレードの前記ボディーはそれと関連する径方向の線との間に100°から150°の範囲の内角を形成する、請求項1のデバイス。
【請求項4】
前記ファンは前記モータに接続されたロータと、前記ロータに接続され、これから離れる方向に延在するそれぞれ分離された複数のブレードを含み、
複数の前記ブレードは、各々、内側エッジから外側エッジへと延在するボディーを含み、前記ボディーは前記ロータの中心点から前記ブレードの前記内側エッジまでの距離の80%から130%に相当する長さを有する、請求項1のデバイス。
【請求項5】
前記ファンは前記モータに接続されたロータと、前記ロータに接続され、これから離れる方向に延在するそれぞれ分離された複数のブレードを含み、
複数の前記ブレードは、各々、内側エッジから外側エッジへと延在するボディーを含み、各ブレードの前記ボディーは前記ロータの中心点から前記ブレードの前記外側エッジまでの距離の45%から75%に相当する長さを有する、請求項1のデバイス。
【請求項6】
前記ハウジングの排気口はそれぞれ分離された複数の開口を含み、前記開口は前記ハウジングの側面構造の少なくとも180°にわたって分離して配置される、請求項1のデバイス。
【請求項7】
前記ファンは前記モータに接続されたロータと、前記ロータに接続され、これから離れる方向に延在するそれぞれ分離された複数のブレードを含み、
前記ロータは前記ロータの周囲から内側に離された中央壁を含み、前記壁は前記ロータ内に凹部を規定し、前記モータの少なくとも一部は前記凹部内に配置され、前記ブレードは前記壁から径方向に外側に前記ロータの前記周囲に向かって延在する、請求項1のデバイス。
【請求項8】
前記ファンは前記モータに接続されたロータと、前記ロータに接続され、これから離れる方向に延在するそれぞれ分離された複数のブレードを含み、
前記複数のブレードは前記ハウジングのフロント壁と実質的に垂直であり、前記ハウジングのフロント壁は吸気口の開口の配列を有する、請求項1のデバイス。
【請求項9】
前記ファンは前記モータに接続されたロータと、前記ロータに接続され、これから離れる方向に延在するそれぞれ分離された複数のブレードを含み、
前記ロータは前記ロータの中点から前記ロータの外側エッジまでの10ミリから50ミリメートルの長さを有する、請求項1のデバイス。
【請求項10】
空気処理化学物質を供給するためのウェアラブルデバイスであって、
ハウジングの内部空間内に空気が入ることを許容するための吸気口と、空気処理化学物質と混合された空気が前記内部空間から出ることを許容する排気口とを含むハウジングと、
前記ハウジング内に配置された担体であって、空気処理化学物質を帯びる担体と、
前記ハウジング内に搭載された電源と、
前記ハウジング内に搭載されたモータであって、前記電源によって動かされるモータと、
前記ハウジング内に搭載されたファンであって、空気に空気処理化学物質を混合させ、その後、空気と空気処理化学物質の混合物を前記排気口から前記ハウジングの外側に供給するために前記担体に隣接する前記吸気口から前記空気を移動させることができるファンと、を含み、前記ファンは前記モータに接続されたロータと、前記ロータに接続され、これから離れる方向に延在する複数のブレードを含み、
前記ファンは12から18個のブレードを含み、
各ブレードは内側エッジから外側エッジへと延在するボディーを含み、各ブレードの前記内側エッジは前記ロータの中心点からの径方向の線に沿って、前記ロータの中心点からある距離だけ離され、複数の前記ブレードの前記ボディーはそれと関連する径方向の線との間に100°から150°の範囲の内角を形成し、
複数のそれらブレードは前記ロータの中心点から前記ブレードの前記外側エッジまでの距離の45%から75%に相当する長さを有する、ウェアラブルデバイス。
【請求項11】
複数のそれらブレードは、各々、内側エッジから外側エッジへと延在するボディーを含み、前記ボディーは前記ロータの中心点から前記ブレードの前記内側エッジまでの距離の80%から130%に相当する長さを有する、請求項10のデバイス。
【請求項12】
前記ハウジングの排気口はそれぞれ分離された複数の開口を含み、前記開口は前記ハウジングの側面構造の少なくとも180°にわたって分離して配置される、請求項10のデバイス。
【請求項13】
前記ファンから前記開口までの流路には妨害がない、請求項12のデバイス。
【請求項14】
前記ファンは前記モータに接続されたロータと、前記ロータに接続され、これから離れる方向に延在するそれぞれ分離された複数のブレードを含み、
前記ロータは前記ロータの周囲から内側に離された中央壁を含み、前記壁は前記ロータ内に凹部を規定し、前記モータの少なくとも一部は前記凹部内に配置され、前記ブレードは前記壁から径方向に外側に前記ロータの前記周囲に向かって延長する、請求項10のデバイス。
【請求項15】
空気処理化学物質を供給するためのウェアラブルデバイスであって、
ハウジングの内部空間内に空気が入ることを許容するための吸気口と、空気処理化学物質と混合された空気が前記内部空間から出ることを許容する排気口とを含むハウジングと、
前記ハウジング内に配置された担体であって、空気処理化学物質を帯びる担体と、
前記ハウジング内に搭載された電源と、
前記ハウジング内に搭載されたモータであって、前記電源によって動かされるモータと、
前記ハウジング内に搭載されたファンであって、空気に空気処理化学物質を混合させ、その後、空気と空気処理化学物質の混合物を前記排気口から前記ハウジングの外側に供給するために前記担体に隣接する前記吸気口から前記空気を移動させることができるファンと、
前記ハウジングの外側壁に回転可能に接続されたクリップと、を含むウェアラブルデバイス。
【請求項16】
前記クリップは少なくとも90°回転できる請求項15のデバイス。
【請求項17】
さらに前記ハウジングと前記クリップとの互いの関係におけるインデックス付きの回転位置決めのための手段を含む請求項15のデバイス。
【請求項18】
空気処理化学物質を供給するためのウェアラブルデバイスであって、
第一の主部ハウジングセクションと第二の蓋部ハウジングセクションとを含むハウジングであって、前記第一の主部ハウジングセクションと前記第二の蓋部ハウジングセクションは前記第一の主部ハウジングセクションと前記第二の蓋部ハウジングセクションが閉じた位置にあるとき前記ハウジングの内部空間を規定し、前記ハウジングは空気が前記ハウジングの内部空間内に入ることを許容するための吸気口と、空気処理化学物質と混合された空気が前記内部空間から出ることを許容する排気口とを含む、ハウジングと
前記ハウジングの前記内部空間内に配置された担体であって、空気処理化学物質を帯びる担体と、
前記ハウジング内に搭載された電源と、
前記ハウジングの前記内部空間内に搭載されたモータであって、前記電源によって動かされるモータと、
前記モータに接続されたファンであって、空気に空気処理化学物質を混合させ、その後、空気と空気処理化学物質の混合物を前記排気口から排気口前記ハウジングの外側に供給するために前記担体に隣接する前記吸気口から前記空気を移動させることができるファンと、
前記第一の主部ハウジングセクションと前記第二の蓋部ハウジングセクションとを接続し、前記第二の蓋部ハウジングセクションを前記第一の主部ハウジングセクションに対して閉じた位置と開いた位置との間で枢動的に移動させるように制御するためのヒンジ機構と、を含み、前記ヒンジ機構は前記第二の蓋部ハウジングセクション上に搭載され、それぞれ分離して配置されたヒンジアームと、前記第一の主部ハウジングセクション上にそれぞれ分離して配置されたノッチとを含み、各ヒンジアームは枢動ピンを含み、各枢動ピンは関連する一つの前記ノッチ内で回転することができる、ウェアラブルデバイス。
【請求項19】
前記各ヒンジアームの前記枢動ピンは前記ヒンジアームの一端と隣接して横方向に延在し、各々の前記枢動ピンは平坦なセクションを有する外側壁を有し、
各々の前記枢動ピンの前記平坦なセクションは、ノッチ内に、前記第二の蓋部ハウジングセクションがその完全に開いた位置にあるとき、それと関連するノッチの平坦な表面と接触するように搭載される、請求項18のデバイス。
【請求項1】
空気処理化学物質を供給するためのウェアラブルデバイスであって、
ハウジングの内部空間内に空気が入ることを許容するための吸気口と、空気処理化学物質と混合された空気が前記内部空間から出ることを許容する排気口とを含むハウジングと、
前記ハウジング内に配置された担体であって、空気処理化学物質を帯びる担体と、
前記ハウジング内に搭載された電源と、
前記ハウジング内に搭載されたモータであって、前記電源によって動かされるモータと、
前記ハウジング内に搭載されたファンであって、空気に空気処理化学物質を混合させ、その後、空気と空気処理化学物質との混合物を前記排気口から前記ハウジングの外側に供給するために前記担体に隣接する前記吸気口から前記空気を移動させることができるファンと、を含み、
前記デバイスは、少なくとも毎分0.042立方メートル(毎分1.5立方フィート)の空気の平均容積流速を12時間の期間に渡って維持することができ、前記デバイスは前記12時間の期間に対して前記電源から0.35ワットまたはそれ以下の電力を消費する、ウェアラブルデバイス
【請求項2】
前記ファンは、前記モータに接続されたロータを含み、前記ロータに接続され、これから離れる方向に延在するそれぞれが分離して配置された12から18個のブレードを含む、請求項1のデバイス。
【請求項3】
前記ファンは、前記モータに接続されたロータと、前記ロータに接続され、これから離れる方向に延在するそれぞれ分離された複数ブレードを含み、
各ブレードは内側エッジから外側エッジへと延在するボディーを含み、
各ブレードの前記内側エッジは前記ロータの中心点からの径方向の線に沿って、前記ロータの中心点からある距離だけ離され、複数の前記ブレードの前記ボディーはそれと関連する径方向の線との間に100°から150°の範囲の内角を形成する、請求項1のデバイス。
【請求項4】
前記ファンは前記モータに接続されたロータと、前記ロータに接続され、これから離れる方向に延在するそれぞれ分離された複数のブレードを含み、
複数の前記ブレードは、各々、内側エッジから外側エッジへと延在するボディーを含み、前記ボディーは前記ロータの中心点から前記ブレードの前記内側エッジまでの距離の80%から130%に相当する長さを有する、請求項1のデバイス。
【請求項5】
前記ファンは前記モータに接続されたロータと、前記ロータに接続され、これから離れる方向に延在するそれぞれ分離された複数のブレードを含み、
複数の前記ブレードは、各々、内側エッジから外側エッジへと延在するボディーを含み、各ブレードの前記ボディーは前記ロータの中心点から前記ブレードの前記外側エッジまでの距離の45%から75%に相当する長さを有する、請求項1のデバイス。
【請求項6】
前記ハウジングの排気口はそれぞれ分離された複数の開口を含み、前記開口は前記ハウジングの側面構造の少なくとも180°にわたって分離して配置される、請求項1のデバイス。
【請求項7】
前記ファンは前記モータに接続されたロータと、前記ロータに接続され、これから離れる方向に延在するそれぞれ分離された複数のブレードを含み、
前記ロータは前記ロータの周囲から内側に離された中央壁を含み、前記壁は前記ロータ内に凹部を規定し、前記モータの少なくとも一部は前記凹部内に配置され、前記ブレードは前記壁から径方向に外側に前記ロータの前記周囲に向かって延在する、請求項1のデバイス。
【請求項8】
前記ファンは前記モータに接続されたロータと、前記ロータに接続され、これから離れる方向に延在するそれぞれ分離された複数のブレードを含み、
前記複数のブレードは前記ハウジングのフロント壁と実質的に垂直であり、前記ハウジングのフロント壁は吸気口の開口の配列を有する、請求項1のデバイス。
【請求項9】
前記ファンは前記モータに接続されたロータと、前記ロータに接続され、これから離れる方向に延在するそれぞれ分離された複数のブレードを含み、
前記ロータは前記ロータの中点から前記ロータの外側エッジまでの10ミリから50ミリメートルの長さを有する、請求項1のデバイス。
【請求項10】
空気処理化学物質を供給するためのウェアラブルデバイスであって、
ハウジングの内部空間内に空気が入ることを許容するための吸気口と、空気処理化学物質と混合された空気が前記内部空間から出ることを許容する排気口とを含むハウジングと、
前記ハウジング内に配置された担体であって、空気処理化学物質を帯びる担体と、
前記ハウジング内に搭載された電源と、
前記ハウジング内に搭載されたモータであって、前記電源によって動かされるモータと、
前記ハウジング内に搭載されたファンであって、空気に空気処理化学物質を混合させ、その後、空気と空気処理化学物質の混合物を前記排気口から前記ハウジングの外側に供給するために前記担体に隣接する前記吸気口から前記空気を移動させることができるファンと、を含み、前記ファンは前記モータに接続されたロータと、前記ロータに接続され、これから離れる方向に延在する複数のブレードを含み、
前記ファンは12から18個のブレードを含み、
各ブレードは内側エッジから外側エッジへと延在するボディーを含み、各ブレードの前記内側エッジは前記ロータの中心点からの径方向の線に沿って、前記ロータの中心点からある距離だけ離され、複数の前記ブレードの前記ボディーはそれと関連する径方向の線との間に100°から150°の範囲の内角を形成し、
複数のそれらブレードは前記ロータの中心点から前記ブレードの前記外側エッジまでの距離の45%から75%に相当する長さを有する、ウェアラブルデバイス。
【請求項11】
複数のそれらブレードは、各々、内側エッジから外側エッジへと延在するボディーを含み、前記ボディーは前記ロータの中心点から前記ブレードの前記内側エッジまでの距離の80%から130%に相当する長さを有する、請求項10のデバイス。
【請求項12】
前記ハウジングの排気口はそれぞれ分離された複数の開口を含み、前記開口は前記ハウジングの側面構造の少なくとも180°にわたって分離して配置される、請求項10のデバイス。
【請求項13】
前記ファンから前記開口までの流路には妨害がない、請求項12のデバイス。
【請求項14】
前記ファンは前記モータに接続されたロータと、前記ロータに接続され、これから離れる方向に延在するそれぞれ分離された複数のブレードを含み、
前記ロータは前記ロータの周囲から内側に離された中央壁を含み、前記壁は前記ロータ内に凹部を規定し、前記モータの少なくとも一部は前記凹部内に配置され、前記ブレードは前記壁から径方向に外側に前記ロータの前記周囲に向かって延長する、請求項10のデバイス。
【請求項15】
空気処理化学物質を供給するためのウェアラブルデバイスであって、
ハウジングの内部空間内に空気が入ることを許容するための吸気口と、空気処理化学物質と混合された空気が前記内部空間から出ることを許容する排気口とを含むハウジングと、
前記ハウジング内に配置された担体であって、空気処理化学物質を帯びる担体と、
前記ハウジング内に搭載された電源と、
前記ハウジング内に搭載されたモータであって、前記電源によって動かされるモータと、
前記ハウジング内に搭載されたファンであって、空気に空気処理化学物質を混合させ、その後、空気と空気処理化学物質の混合物を前記排気口から前記ハウジングの外側に供給するために前記担体に隣接する前記吸気口から前記空気を移動させることができるファンと、
前記ハウジングの外側壁に回転可能に接続されたクリップと、を含むウェアラブルデバイス。
【請求項16】
前記クリップは少なくとも90°回転できる請求項15のデバイス。
【請求項17】
さらに前記ハウジングと前記クリップとの互いの関係におけるインデックス付きの回転位置決めのための手段を含む請求項15のデバイス。
【請求項18】
空気処理化学物質を供給するためのウェアラブルデバイスであって、
第一の主部ハウジングセクションと第二の蓋部ハウジングセクションとを含むハウジングであって、前記第一の主部ハウジングセクションと前記第二の蓋部ハウジングセクションは前記第一の主部ハウジングセクションと前記第二の蓋部ハウジングセクションが閉じた位置にあるとき前記ハウジングの内部空間を規定し、前記ハウジングは空気が前記ハウジングの内部空間内に入ることを許容するための吸気口と、空気処理化学物質と混合された空気が前記内部空間から出ることを許容する排気口とを含む、ハウジングと
前記ハウジングの前記内部空間内に配置された担体であって、空気処理化学物質を帯びる担体と、
前記ハウジング内に搭載された電源と、
前記ハウジングの前記内部空間内に搭載されたモータであって、前記電源によって動かされるモータと、
前記モータに接続されたファンであって、空気に空気処理化学物質を混合させ、その後、空気と空気処理化学物質の混合物を前記排気口から排気口前記ハウジングの外側に供給するために前記担体に隣接する前記吸気口から前記空気を移動させることができるファンと、
前記第一の主部ハウジングセクションと前記第二の蓋部ハウジングセクションとを接続し、前記第二の蓋部ハウジングセクションを前記第一の主部ハウジングセクションに対して閉じた位置と開いた位置との間で枢動的に移動させるように制御するためのヒンジ機構と、を含み、前記ヒンジ機構は前記第二の蓋部ハウジングセクション上に搭載され、それぞれ分離して配置されたヒンジアームと、前記第一の主部ハウジングセクション上にそれぞれ分離して配置されたノッチとを含み、各ヒンジアームは枢動ピンを含み、各枢動ピンは関連する一つの前記ノッチ内で回転することができる、ウェアラブルデバイス。
【請求項19】
前記各ヒンジアームの前記枢動ピンは前記ヒンジアームの一端と隣接して横方向に延在し、各々の前記枢動ピンは平坦なセクションを有する外側壁を有し、
各々の前記枢動ピンの前記平坦なセクションは、ノッチ内に、前記第二の蓋部ハウジングセクションがその完全に開いた位置にあるとき、それと関連するノッチの平坦な表面と接触するように搭載される、請求項18のデバイス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2013−501521(P2013−501521A)
【公表日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−524702(P2012−524702)
【出願日】平成22年8月13日(2010.8.13)
【国際出願番号】PCT/US2010/002242
【国際公開番号】WO2011/019404
【国際公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(500106743)エス.シー. ジョンソン アンド サン、インコーポレイテッド (168)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月13日(2010.8.13)
【国際出願番号】PCT/US2010/002242
【国際公開番号】WO2011/019404
【国際公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(500106743)エス.シー. ジョンソン アンド サン、インコーポレイテッド (168)
【Fターム(参考)】
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