説明

ウォールキャビネット

【課題】備品などの収納を可能にした収納箱体の下側に位置する内壁面への各種器具の設置に制約を与えることがなく、また、それら器具やそれに接続されるものと扉が干渉せず、扉を閉めたとき、器具を隠蔽し、器具周辺の見栄えを向上させることのできるウォールキャビネットを提供すること。
【解決手段】内部に収納部を有し、一端が開放された収納箱体4を備え、この収納箱体の開放された一端に開閉自在な扉14が設けられ、部屋2の内壁面3への取付けが可能とされたウォールキャビネット1において、扉が、内壁面に取り付けられた状態における収納箱体の底面6aより下側に突出し、扉を閉めたときに、収納箱体の底面より下側に位置する内壁面に設置された各種器具をその前方から覆い隠せる程度の長さLを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗面室などの内壁面に取り付けられ、備品などを収納するウォールキャビネットに関する。
【背景技術】
【0002】
ウォールキャビネットは、たとえば、キッチン、洗面室などの内壁面の天井際や、厨房装置、洗面化粧台などの各種機器の上方の所定位置に取り付けられ、そこで使用される備品などを収納箱体の内部に収納可能にしている。備品などは、人の手の届く高さ程度に収納され、使用したいときにその場で取り出すことができ、ウォールキャビネットは、諸作業の利便性を向上させている。
【0003】
このようなウォールキャビネットに関して、下記特許文献1には、洗面ボウル部を保持する洗面ボウル基台部が取り付けられた洗面化粧台と、この洗面化粧台の上方に設置され、扉付収納部を有する化粧鏡とからなる洗面化粧ユニットが記載されている。この洗面化粧ユニットでは、洗面ボウル基台部において化粧鏡が投影される部分が、他の部分より高い位置に形成され、扉の下端が、洗面ボウル基台部において化粧鏡が投影される部分の端部に当接している。そして、洗面ボウル基台部において化粧鏡が投影される部分が、化粧鏡における収納部の最下段の底板を兼ねている。
【0004】
特許文献1に記載された洗面化粧ユニットでは、化粧鏡の収納部の最下段は、下端が開放されているが、洗面ボウル基台部において化粧鏡が投影される部分が底板を兼ねている。このため、化粧鏡の収納部の最下段も、扉によって開閉自在とされた備品などの収納部、特に水滴がついている濡れものの収納部として利用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−112906号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のとおり、特許文献1に記載された洗面化粧ユニットでは、洗面ボウル基台部において化粧鏡が投影される部分は、扉付収納部の一部を形成しており、事実上、洗面ボウル基台部の上に化粧鏡を載せて設置されたものであると理解される。
【0007】
一方、化粧鏡の前でドライヤーなどを使用するために、洗面化粧台の近くに電気コンセントなどの配線器具が設置される場合がある。
【0008】
もっとも、特許文献1に記載された洗面化粧ユニットでは、化粧鏡における収納部の最下段は、上記のとおり、濡れものの収納部であるため、配線器具を洗面化粧台の上方に設置することは、感電という観点から制限され、また、最下段の収納物との干渉という観点からも制限されることになる。したがって、配線器具は、洗面室の内壁面に露出するように設置せざるを得ない。
【0009】
本発明は、以上のとおりの事情に鑑みてなされたものであり、備品などの収納を可能にした収納箱体の下側に位置する内壁面への配線器具などの各種器具の設置に制約を与えることがなく、また、それら器具やそれに接続されるものと扉が干渉せず、扉を閉めたとき、器具を隠蔽し、器具周辺の見栄えを向上させることのできるウォールキャビネットを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明のウォールキャビネットは、内部に収納部を有し、一端が開放された収納箱体を備え、この収納箱体の開放された一端に開閉自在な扉が設けられ、部屋の内壁面への取付けが可能とされたウォールキャビネットにおいて、扉が、前記内壁面に取り付けられた状態における収納箱体の底面より下側に突出し、扉を閉めたときに、収納箱体の底面より下側に位置する内壁面に設置された各種器具をその前方から覆い隠せる程度の長さを有していることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明のウォールキャビネットによれば、備品などの収納を可能にした収納箱体の下側に位置する内壁面への配線器具などの各種器具の設置に制約を与えることがなく、また、それら器具やそれに接続されるものと扉が干渉せず、扉を閉めたとき、器具を隠蔽し、器具周辺の見栄えを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明のウォールキャビネットの一実施形態を示した斜視図である。
【図2】図1に示したウォールキャビネットの正面図である。
【図3】図1に示したウォールキャビネットの扉を開いた状態を示した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明のウォールキャビネットの一実施形態を示した斜視図である。図2は、図1に示したウォールキャビネットの正面図である。図3は、図1に示したウォールキャビネットの扉を開いた状態を示した正面図である。
【0014】
ウォールキャビネット1は、洗面室2の内壁面3に取り付けられている。ウォールキャビネット1は、図3に示したように、中空で矩形状の収納箱体4を備えている。収納箱体4は、同サイズで矩形板状の天板5と底板6が所定の間隔で対向して配置され、同じく矩形板状の側板7が、天板5と底板6の左右の端縁部の各一つに設けられて形成されている。そして、収納箱体4は、その内部に、洗面室2の備品などを収納する収納部8を有している。収納部8は、矩形板状の棚板9によって上下二段に区画されている。上段収納部8aには、各種のサイズのタオル10が収納され、サイズ毎に仕分けされて棚板9の上に積み重ねられている。下段収納部8bには、洗剤などを詰めたボトル11、スプレー12および紙箱13が収納され、底板6の上に載せられている。
【0015】
収納箱体4への棚板9の取付方法には特に制限はなく、側板7の内側面にダボ孔やねじ孔などを形成し、これらの孔にダボを嵌入、螺合などとして棚板9をその下端部から支持する方法などを例示することができる。
【0016】
このような収納箱体4は、その一端、すなわち、洗面室2の内壁面3に取り付けられた状態における前端が開放され、この前端に、同サイズで矩形板状の2枚の扉14が、蝶番15によって取り付けられている。したがって、各扉14は、収納箱体4の前端において前後に回動自在であり、開き戸のように開閉可能となっている。2枚の扉14の内、左側の扉14aは、左側に回動させることによって開き、右側に回動させることによって閉まる。逆に、右側の扉14bは、右側に回動させることによって開き、左側に回動させることによって閉まる。
【0017】
また、2枚の扉14は、図1に示したように、その長さLが収納箱体4の高さhより長く、収納箱体4の底面、すなわち、収納箱体4を形成する底板6の底面6aより下側に突出している。
【0018】
このようなウォールキャビネット1は、各種機器としての洗濯機16の上方に配置されている。具体的には、ウォールキャビネット1は、洗面室2の内壁面3に設置された各種器具としての電気コンセント17および水栓金具18の上方付近に取り付けられている。電気コンセント17は、洗濯機16に電源を供給し、アースをするための配線器具であり、また、水栓金具18は、洗濯機16に水道水を供給するための給水器具である。これらの電気コンセント17および水栓金具18は、法令の定めなどにより、洗面室2の床面から所定の高さで内壁面3に設置されている。
【0019】
洗濯機16に備え付けの電気コード19は、図3に示したように、その先端に設けられた電気プラグ20を電気コンセント17に差し込むことにより接続されている。同じく、ホース21は、アダプタ22を介して水栓金具18に接続されている。
【0020】
ウォールキャビネット1の2枚の扉14は、図1および図2に示したように、それを閉めたとき、電気コンセント17および水栓金具18をその前方から覆い隠すことができるように、その長さLは、上記のとおり、収納箱体4の高さhより長く、収納箱体4の底板6の底面6aから長さlだけ長くなっている。すなわち、
L = h + l
の関係となっている。
【0021】
なお、収納箱体4の底板6の底面6aからの長さlは、電気コンセント17または水栓金具18のいずれかの下端の内、最も底面6aから離れている下端より2〜3cm程度下側ぐらいを目安とすることができる。洗濯機16の上面に至るまで長くはしない。このように、ウォールキャビネット1に設けられた2枚の扉14は、洗面室2において収納箱体4の底面、言い換えれば、底板6の底面6a、より下側の内壁面3に設置された各種器具、すなわち、電気コンセント17および水栓金具18をその前方から覆い隠せる程度の長さを有している。
【0022】
したがって、ウォールキャビネット1では、2枚の扉14は、収納箱体4の下側の内壁面3への電気コンセント17や水栓金具18などの各種器具の設置に制約を与えることがなく、また、それら器具や器具に接続される電気コード19よびホース21と扉14は干渉もしない。扉14を閉めたときには、器具を隠蔽し、器具との接続部における電気コード19およびホース21も部分的に隠蔽することができ、器具周辺の見栄えを向上させることができる。
【0023】
また、2枚の扉14は、上記のとおりの長さLを有しているので、その下端部に手をかけて開けることができ、図1−3に示したように、扉14には、開閉操作のために取っ手を必ずしも必要としない。取っ手は、ウォールキャビネット1の設置高さを考慮して扉14の下端部に適宜設けることができる。
【0024】
本発明のウォールキャビネットは、上記実施形態によって限定されるものではない。収納箱体の底面より下側の内壁面に設置される各種器具は、ウォールキャビネットの下方に設置される各種機器に対応して選定することができる。また、ウォールキャビネットの下方に設置される各種機器は、洗濯機ばかりでなく、洗面室の場合には洗面化粧台、キッチンの場合には厨房装置などを選定することができる。さらに、ウォールキャビネットが設置される部屋も特に制限されることはない。
【符号の説明】
【0025】
1 ウォールキャビネット
2 部屋としての洗面室
3 内壁面
4 収納箱体
6a 収納箱体の底面としての底板の底面
8 収納部
14 扉
17 各種器具としての電気コンセント
18 各種器具としての水栓金具
L 扉の長さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に収納部を有し、一端が開放された収納箱体を備え、この収納箱体の開放された一端に開閉自在な扉が設けられ、部屋の内壁面への取付けが可能とされたウォールキャビネットにおいて、
前記扉が、前記内壁面に取り付けられた状態における前記収納箱体の底面より下側に突出し、扉を閉めたときに、収納箱体の底面より下側に位置する内壁面に設置された各種器具をその前方から覆い隠せる程度の長さを有している
ことを特徴とするウォールキャビネット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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