説明

ウォールキャビネット

【課題】外観が損なわれることがなく、筆記を簡単に繰り返し行うことのできるウォールキャビネットを提供すること。
【解決手段】内部に収納部8を有し、一端が開放された収納箱体4を備え、この収納箱体の開放された一端に、収納箱体の外側に向かって回動可能である開閉自在な扉14が設けられ、部屋2の内壁面3への取付けが可能とされ、扉を閉めたときに収納箱体の一端の直近に配置される扉の裏面31に、筆記具による筆記とその消去が繰り返し可能とされた筆記面32が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗面室などの内壁面に取り付けられ、備品などを収納するウォールキャビネットに関する。
【背景技術】
【0002】
ウォールキャビネットは、たとえば、キッチン、洗面室などの内壁面の天井際や、厨房装置、洗面化粧台などの各種機器の上方の所定位置に取り付けられ、そこで使用される備品などを収納箱体の内部に収納可能にしている。備品などは、人の手の届く高さ程度に収納され、使用したいときにその場で取り出すことができ、ウォールキャビネットは、諸作業の利便性を向上させている。
【0003】
このようなウォールキャビネットに関して、下記特許文献1には、吊戸棚本体と、この吊戸棚本体の前面開口を閉塞する扉機能を有するホワイトボードなどの黒板と、この黒板の下部にそのほぼ全幅にわたって付設した受け台付取手とを備えた吊戸棚が記載されている。
【0004】
特許文献1に記載された吊戸棚では、扉を伝言板として使用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭59−075149号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方、特許文献1に記載された吊戸棚では、扉の表面が黒板の筆記面であるため、黒板が露出することにより吊戸棚としての外観が損なわれるという問題が指摘される。また、キッチンや洗面室などでは、水仕事の際に扉の表面に水などがかかることがしばしばあり、黒板の筆記面が濡れて筆記しにくくなったり、書いた文字や絵などが不意に消えてしまったりするなどの問題も指摘される。
【0007】
本発明は、以上のとおりの事情に鑑みてなされたものであり、外観が損なわれることがなく、筆記を簡単に繰り返し行うことのできるウォールキャビネットを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明のウォールキャビネットは、内部に収納部を有し、一端が開放された収納箱体を備え、この収納箱体の開放された一端に、収納箱体の外側に向かって回動可能である開閉自在な扉が設けられ、部屋の内壁面への取付けが可能とされたウォールキャビネットにおいて、扉を閉めたときに収納箱体の一端の直近に配置される扉の裏面に、筆記具による筆記とその消去が繰り返し可能とされた筆記面が形成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明のウォールキャビネットによれば、外観が損なわれることがなく、筆記を簡単に繰り返し行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明のウォールキャビネットの一実施形態を示した正面図である。
【図2】(a)(b)は、それぞれ、図1に示したウォールキャビネットの扉の分解斜視図、断面図である。
【図3】図1に示したウォールキャビネットの扉を閉めた状態を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本発明のウォールキャビネットの一実施形態を示した正面図である。図2(a)(b)は、それぞれ、図1に示したウォールキャビネットの扉の分解斜視図、断面図である。図3は、図1に示したウォールキャビネットの扉を閉めた状態を示した斜視図である。
【0012】
ウォールキャビネット1は、洗面室2の内壁面3に取り付けられている。ウォールキャビネット1は、中空で矩形状の収納箱体4を備えている。収納箱体4は、同サイズで矩形板状の天板5と底板6が所定の間隔で対向して配置され、同じく矩形板状の側板7が、天板5と底板6の左右の端縁部の各一つに設けられて形成されている。そして、収納箱体4は、その内部に、洗面室2の備品などを収納する収納部8を有している。収納部8は、矩形板状の棚板9によって上下二段に区画されている。上段収納部8aには、各種のサイズのタオル10が収納され、サイズ毎に仕分けされて棚板9の上に積み重ねられている。下段収納部8bには、洗剤などを詰めたボトル11、スプレーボトル12および紙箱13が収納され、底板6の上に載せられている。
【0013】
収納箱体4への棚板9の取付方法には特に制限はなく、側板7の内側面にダボ孔やねじ孔などを形成し、これらの孔にダボを嵌入、螺合などとして棚板9をその下端部から支持する方法などを例示することができる。
【0014】
このような収納箱体4は、その一端、すなわち、洗面室2の内壁面3に取り付けられた状態における前端が開放され、この前端に、同サイズで矩形板状の2枚の扉14が、蝶番15によって取り付けられている。したがって、各扉14は、収納箱体4の前端において収納箱体4の外側に向かって回動可能であり、開き戸のように前後に開閉自在となっている。2枚の扉14の内、左側の扉14aは、左側に回動させることによって開き、右側に回動させることによって閉まる。逆に、右側の扉14bは、右側に回動させることによって開き、左側に回動させることによって閉まる。
【0015】
2枚の扉14では、扉14を閉めたときに収納箱体4の前端の直近に配置される裏面31に、油性ペンなどの筆記具による筆記とその消去が繰り返し可能とされた筆記面32が形成されている。筆記面32は、具体的には、図2(a)(b)に示したように、いわゆるホワイトボード33の表面33aである筆記面34とされている。
【0016】
扉14では、その四周端縁部35の内側に、ホワイトボード33の外形である矩形形状に一致する平面視矩形形状を有し、かつホワイトボード33の厚さに一致する深さの凹部36が、扉14の裏面31から表面37側に向かって形成されている。ホワイトボード33は、凹部36の内部に装填され、接着剤、粘着テープなどを介して扉14に固定され、筆記面34が、扉14の裏面31と同一平面上に配置されて筆記面32を形成している。
【0017】
このようなウォールキャビネット1では、図1に示したように、2枚の扉14のいずれか一方または両方を開けたとき、その裏面31に形成された筆記面32が現れる。現れた筆記面32には、油性ペンなどの筆記具を用いてメモや伝言などのために文字や絵を筆記することができ、また、筆記は、フェルトなどを有する消去具を用いて拭き取り、消去することができる。
【0018】
一方、扉14を閉めると、その裏面31に形成された筆記面32は、収納箱体4の前端の直近に配置され、図3に示したように、扉14の表面37のみが現れ、扉14の表面37は、通常の扉と同様の化粧面などとされている。筆記面32は外部に露出しない。このため、ウォールキャビネット1では、筆記とその消去および筆記の確認を行わないときには、扉14を閉めることにより、筆記面32をウォールキャビネット1の内側に隠蔽することができる。扉14が閉まっている状態では、化粧の施された表面37が現れるので、ウォールキャビネット1は、筆記面32が形成されていることにより外観が損なわれることはほとんどない。
【0019】
また、ウォールキャビネット1は、洗面室2の内壁面3に取り付けられているが、水仕事の際に跳ね上がる水などが筆記面32にかかり、筆記面32を濡らすことはほとんどない。したがって、水濡れにともなう筆記のしにくさや筆記の不意の消去などの問題もほぼ解消される。メモや伝言などを行いたい場合には、扉14を開けるだけで筆記面32が現れるので、簡単に筆記することができ、消去も簡単に行うことができる。筆記具による筆記とその消去は簡単に繰り返し行うことができる。また、メモや伝言などを残しておきたい場合には、筆記したままの状態で単に扉14を閉めるだけでよく、その後の確認も容易である。
【0020】
また、ウォールキャビネット1では、2枚の扉14は、図3に示したように、その長さLが収納箱体4の高さhより長く、収納箱体4の底面、すなわち、収納箱体4を形成する底板6の底面6aより下側に突出している。
【0021】
そして、ウォールキャビネット1は、各種機器としての洗濯機16の上方に配置されている。具体的には、ウォールキャビネット1は、図1に示したように、洗面室2の内壁面3に設置された各種器具としての電気コンセント17および水栓金具18の上方付近に取り付けられている。電気コンセント17は、洗濯機16に電源を供給し、アースをするための配線器具であり、また、水栓金具18は、洗濯機16に水道水を供給するための給水器具である。これらの電気コンセント17および水栓金具18は、法令の定めなどにより、洗面室2の床面から所定の高さで内壁面3に設置されている。
【0022】
洗濯機16に備え付けの電気コード19は、その先端に設けられた電気プラグ20を電気コンセント17に差し込むことにより接続されている。同じく、ホース21は、アダプタ22を介して水栓金具18に接続されている。
【0023】
ウォールキャビネット1の2枚の扉14は、閉めたとき、電気コンセント17および水栓金具18をその前方から覆い隠すことができるように、その長さLは、上記のとおり、収納箱体4の高さhより長く、収納箱体4の底板6の底面6aから長さlだけ長くなっている。すなわち、
L = h + l
の関係となっている。
【0024】
なお、収納箱体4の底板6の底面6aからの長さlは、電気コンセント17または水栓金具18のいずれかの下端の内、最も底面6aから離れている下端より2〜3cm程度下側ぐらいを目安とすることができる。洗濯機16の上面に至るまで長くはしない。このように、ウォールキャビネット1に設けられた2枚の扉14は、洗面室2において収納箱体4の底面、言い換えれば、底板6の底面6a、より下側の内壁面3に設置された各種器具、すなわち、電気コンセント17および水栓金具18をその前方から覆い隠せる程度の長さを有している。
【0025】
したがって、ウォールキャビネット1では、2枚の扉14は、収納箱体4の下側の内壁面3への電気コンセント17や水栓金具18などの各種器具の設置に制約を与えることがなく、また、それら器具や器具に接続される電気コード19よびホース21と扉14は干渉もしない。扉14を閉めたときには、器具を隠蔽し、器具との接続部における電気コード19およびホース21も部分的に隠蔽することができ、器具周辺の見栄えを向上させることができる。
【0026】
また、2枚の扉14は、上記のとおりの長さLを有しているので、その下端部に手をかけて開けることができ、図1および図3に示したように、扉14には、開閉操作のために取っ手を必ずしも必要としない。取っ手は、ウォールキャビネット1の設置高さを考慮して扉14の下端部に適宜設けることができる。
【0027】
また、長さLを有する2枚の扉14の筆記面32は十分な広さとなり、文字や絵などの大きさに余り制約を与えることはなく、筆記者は、ある程度余裕を持って筆記面32に筆記することができる。
【0028】
本発明のウォールキャビネットは、以上の実施形態によって限定されるものではない。筆記面32を扉14の裏面31の全面に形成したり、扉14の長さLを収納箱体4の高さhと略同じにしたりすることなどを含め、扉および扉の裏面に形成される筆記面の詳細やその形成方法などについては各種の態様が考えられる。筆記具の詳細についても同様である。
【符号の説明】
【0029】
1 ウォールキャビネット
2 部屋としての洗面室
3 内壁面
4 収納箱体
8 収納部
14 扉
31 裏面
32 筆記面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に収納部を有し、一端が開放された収納箱体を備え、この収納箱体の開放された一端に、収納箱体の外側に向かって回動可能である開閉自在な扉が設けられ、部屋の内壁面への取付けが可能とされたウォールキャビネットにおいて、
前記扉を閉めたときに前記収納箱体の一端の直近に配置される扉の裏面に、筆記具による筆記とその消去が繰り返し可能とされた筆記面が形成されている
ことを特徴とするウォールキャビネット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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