説明

エアバッグカバー

【課題】パネルに形成された開口部に嵌込まれるエアバッグカバーにおいて、立壁による樹脂ヒケをなるべく目立たないようにすることを目的とする。
【解決手段】エアバッグカバー30は、パネル10に形成された開口部12に嵌込まれ、エアバッグ24及びエアバッグ24を膨張展開させるインフレータ26とを含むエアバッグユニット20を覆う。エアバッグカバー30は、開口部12を塞ぐ板状に形成され、エアバッグ24の膨張展開時に破断可能なリッド32と、リッド32の外周縁部に沿って突設され、エアバッグユニット20と相互固定可能な立壁40とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、インストルメントパネル等に組込まれるエアバッグを覆うエアバッグカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
インストルメントパネルに組込まれるエアバッグカバーには、エアバッグ装置との相互固定構造及びエアバッグが展開する際に割り開かれる構造等が組み込まれている。
【0003】
この種のエアバッグカバーとして、特許文献1〜3に開示のものがある。
【0004】
特許文献1には、エアバッグ収容容器への取付部が形成されたドア部材が、車室側部材の成形と同時に一体化される構成が開示されている。
【0005】
特許文献2には、破断部としてのテアラインが形成されたパネル体の裏面に、取付孔が形成された交差壁部を有するバッキング部材が溶着される構成が開示されている。
【0006】
特許文献3には、インストルメントパネル本体に設けられたエアバッグ膨出部がエアバッグカバーによって閉鎖されるエアバッグ用内装部材が開示されている。エアバッグカバーの裏面には、エアバッグケース固定用のリブが突設されている。また、エアバッグカバーの外周縁がインストルメントパネルの下面に沿って配設され、当該本体の裏面に溶着されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9−315250号公報
【特許文献2】特開2004−175303号公報
【特許文献3】特開平11−227551号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1及び2のように、インストルメントパネル自体に、エアバッグが展開する際に割り開かれる構造部分を一体的に組込んだ構成では、製造装置が大掛かりとなったり、或いは、パネル本体の裏面にバッキング部材を溶着する作業等が発生するため、製造コストが大となる。
【0009】
これに対して、特許文献3のように、インストルメントパネル本体に開口するエアバッグ膨出部にエアバッグカバーを後嵌めする構成では、製造コストを比較的低くすることができる。
【0010】
しかしながら、特許文献3では、エアバッグカバーの外周部にインストルメントパネル本体への固定用の外周縁が設けられ、エアバッグのうち表面より観察可能な領域部分よりも内側にエアバッグケース固定用のリブが突設されている。このため、エアバッグカバーの表面部分とリブとの連結部分に、成型時における樹脂収縮等によるヒケが生じると、このヒケが外観上目立ちやすい。
【0011】
特に、エアバッグケース固定のためにリブを厚くした場合、或は、エアバッグカバーの表面に対してリブが斜めになっている場合には、上記ヒケが大きくなり目立ちやすくなる。
【0012】
そこで、本発明は、パネルに形成された開口部に嵌込まれるエアバッグカバーにおいて、立壁による樹脂ヒケをなるべく目立たないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、第1の態様は、パネルに形成された開口部に嵌込まれ、エアバッグ及び前記エアバッグを膨張展開させるインフレータとを含むエアバッグユニットを覆うエアバッグカバーであって、前記開口部を塞ぐ板状に形成され、前記エアバッグの膨張展開時に破断可能なリッドと、前記リッドの外周縁部に沿って突設され、前記エアバッグユニットと相互固定可能な立壁とを備える。
【0014】
第2の態様は、第1の態様に係るエアバッグカバーであって、前記エアバッグの膨張展開時に前記リッドを破断させるための薄肉部が、前記リッドの内面であって前記立壁の内周部に沿って形成されている。
【0015】
第3の態様は、第2の態様に係るエアバッグカバーであって、前記リッドと前記立壁の連結部の外周部は丸みを帯びた湾曲コーナー部に形成され、平面視において前記リッドの表面から前記湾曲コーナー部に向けて湾曲を開始する境界と前記湾曲コーナー部から前記立壁の外面に向けて湾曲が終了する境界との間に、前記薄肉部が形成されている。
【0016】
第4の態様は、第1〜第3のいずれか1つの態様に係るエアバッグカバーであって、前記リッドと前記立壁の連結部の外周部は、丸みを帯びると共に、少なくともその外周縁部に前記パネルに形成された前記開口部の縁部が被せられる湾曲コーナー部に形成されている。
【0017】
第5の態様は、第1〜第4のいずれか1つの態様に係るエアバッグカバーであって、前記リッドの外周に、前記パネルに形成された前記開口部の縁部の内面に当接可能な外周当接縁部が形成されている。
【0018】
第6の態様は、第5の態様に係るエアバッグカバーであって、前記外周当接縁部に、前記開口部の縁部の内面に形成された被嵌合部と嵌合可能な嵌合部が形成されている。
【発明の効果】
【0019】
第1の態様に係るエアバッグカバーによると、立壁が前記リッドの外周縁部に沿って突設されているため、立壁によって樹脂ヒケが生じたとしても、当該樹脂ヒケはリッドの外周縁部に沿って形成される。これにより、パネルに形成された開口部に嵌込まれるエアバッグカバーにおいて、立壁による樹脂ヒケをなるべく目立たないようにすることができる。
【0020】
第2の態様によると、薄肉部を形成することによってリッドの表面に樹脂ムラが生じても、当該樹脂ムラはリッドの外周縁部に沿って形成されるので、目立ち難い。
【0021】
第3の態様によると、平面視において前記リッドの表面から前記湾曲コーナー部に向けて湾曲を開始する境界と前記湾曲コーナー部から前記立壁の外面に向けて湾曲が終了する境界との間に、前記薄肉部が形成されているため、薄肉部による樹脂ムラがより目立ち難い。
【0022】
第4の態様によると、少なくとも湾曲コーナー部の外周縁部に、前記パネルに形成された前記開口部の縁部が被せられるため、リッドとパネルとの間の隙間をなるべく小さくすることができる。
【0023】
第5の態様によると、リッドの外周に形成された外周当接縁部がパネルに形成された前記開口部の縁部の内面に当接するため、リッドとパネルとを同一高さ位置に維持し易い。
【0024】
第6の態様によると、前記外周当接縁部に、前記開口部の縁部の内面に形成された被嵌合部と嵌合可能な嵌合部が形成されているため、リッドとパネルとの間での隙間発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施形態に係るエアバッグカバーがインストルメントパネルに組込まれた状態を示す概略断面図である。
【図2】エアバッグカバーを示す斜視図である。
【図3】図2のIII−III線断面図である。
【図4】エアバッグカバーを示す背面図である。
【図5】図3の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、実施形態に係るエアバッグカバーについて説明する。図1はエアバッグカバー30がインストルメントパネル10に組込まれた状態を示す概略断面図であり、図2はエアバッグカバー30を示す斜視図であり、図3は図2のIII−III線断面図であり、図4はエアバッグカバー30を示す背面図である。
【0027】
このエアバッグカバー30は、車両のインストルメントパネル10のうち助手席側の部分に組込まれ、当該インストルメントパネル10内に配設されたエアバッグユニット20を覆うように構成されている。
【0028】
すなわち、インストルメントパネル10のうち助手席側部分内にエアバッグユニット20が配設されている。
【0029】
ここで、エアバッグユニット20は、取付ベース22,エアバッグ24及びインフレータ26を備えている。
【0030】
エアバッグ24は、布等によって、ガス導入口を有する袋状に形成されている。エアバッグ24は、通常状態では、エアバッグカバー30内に折畳んで収納されている。そして、ガスの導入によりエアバッグ24が膨張展開すると、エアバッグ24はエアバッグカバー30を割開いてインストルメントパネル10外に飛出して助手席乗員側に向けて膨張展開する。
【0031】
インフレータ26は、点火装置及びガス発生剤等を有しており、エアバッグ24内にガスを供給可能な状態でエアバッグ24に連結されている。そして、インフレータ26は、車両の衝撃検知部等からの点火命令信号等を受けて前記点火装置を発火させ、この発火によりガス発生剤を燃焼させる。これにより発生したガスが、ガス導入口を通じてエアバッグ24内に供給されて、エアバッグ24が膨張展開するようになっている。
【0032】
取付ベース22は、金属板等を適宜プレス加工等することによって形成されたものであり、ここでは、板状部分、より具体的には、後述する立壁40の開口を閉塞可能な板状部分を有している。そして、立壁40の開口を閉塞した状態で、当該立壁40に取付固定される。取付ベース22と立壁40との取付固定は、例えば、取付ベース22に形成されたフック部を立壁40の固定孔41hに引っかけること、或は、取付ベース22より延出されたベルトを立壁40の固定孔41hに通すこと等によって行われる。
【0033】
この取付ベース22に対して、上記インフレータ26がネジ止め等によって固定されている。また、このインフレータ26に連結されたエアバッグ24は、折畳まれた状態で、エアバッグカバー30と取付ベース22とで囲まれる空間内に収容される。
【0034】
また、このエアバッグユニット20は、車体側部材18に固定可能に構成されている。ここでは、取付ベース22が車体側部材18に固定可能に構成されている。
【0035】
すなわち、インストルメントパネル10の内側には、車両のボディに固定された部材である車体側部材18が配設されている。ここでは、車体側部材18として、ボディに固定され、インストルメントパネル10内で車幅方向に沿って配設された部材(いわゆるリーンホースと呼ばれる部材)を想定している。上記インストルメントパネル10は周知構造を含む取付構造によって車両のボディに固定され、また、本車体側部材18も車両のボディに固定されているので、インストルメントパネル10と車体側部材18とは一定の位置関係に保たれている。
【0036】
より具体的には、取付ベース22のうちインストルメントパネル10内側を向く面に、金属板等によって形成された固定ブラケット23が固定されている。取付ベース22と固定ブラケット23との固定は、ねじ止、溶接等によって行われる。そして、固定ブラケット23の先端部が車体側部材18に固定ボルト19によってボルト締め固定されること等によって、取付ベース22が車体側部材18に固定される。この固定構造によって、エアバッグユニット20及びエアバッグユニット20に固定されたエアバッグカバー30が車体側部材18に対して一定位置に固定される。これにより、エアバッグカバー30とインストルメントパネル10とについても、一定の位置関係に保たれる。
【0037】
また、インストルメントパネル10のうちエアバッグユニット20の配設部分対応領域に開口部12が形成されている。ここでは、開口部12は、略長方形状であるが必ずしも当該形状である必要はなく、円形状等に形成されていてもよい。そして、前記開口部12に嵌込まれるようにエアバッグカバー30が配設されることで、エアバッグカバー30がエアバッグユニット20を覆うようになっている。
【0038】
エアバッグカバー30は、樹脂によって金型成型された一体部材であり、リッド32と、外周当接縁部36と、立壁40とを備えている。
【0039】
リッド32は、開口部12を塞ぐ板状に形成されている。ここでは、リッド32は、開口部12の形状に合わせて、略長方形状に形成されている。また、リッド32の各コーナー部は、平面視において丸められた形状に形成されている。リッド32の外周形状及び大きさと、開口部12の内周形状及び大きさとは、完全に一致する必要はないが、それらの間の隙間をなるべく小さくできるように、それらの形状及び大きさがなるべく一致していることが好ましい。リッド32は、インストルメントパネル10の表面に対して連続した表面を形成すべく、開口部12の側方の当該インストルメントパネル10の曲面形状に応じて曲面をなしていてもよい。また、このリッド32は、エアバッグカバー30の膨張展開時に破断可能に構成されている。ここでは、リッド32の内面に薄肉部34が形成され、エアバッグカバー30の膨張展開時に当該薄肉部34に沿って割れることで、リッド32が破断するようになっている。薄肉部34の好ましい構成例については、後に説明する。
【0040】
また、リッド32の外周縁部に沿って立壁40が形成されている。ここでは、立壁40は、方形枠状に形成されている。立壁40のうちリッド32の長辺に対応する片41に固定孔41hが形成されている(図2及び図3参照)。そして、上記エアバッグユニット20の取付ベース22に形成されたフック部を当該固定孔41hに引っかけること等によって、立壁40とエアバッグユニット20とが相互固定されるようになっている。
【0041】
上記薄肉部34は、リッド32の内面であって立壁40の内周部に沿って形成されている。ここでは、薄肉部34は、リッド32の3辺に対応する立壁40の内周部に沿って形成されている。従って、エアバッグカバー30の膨張展開により、リッド32のうち薄肉部34が形成されていない部分を支点として、略U字状の薄肉部34に沿って割開かれるようになる。薄肉部34のより好ましい位置については、さらに後に説明する。
【0042】
リッド32、立壁40及び薄肉部34の相互位置関係等についてより具体的に説明する。
【0043】
図5は図3の部分断面図である。図5においては、インストルメントパネル10の開口部12の縁部の断面も図示されている。
【0044】
リッド32と立壁40との連結部の外周部は、外側に凸となるように丸みを帯びた湾曲コーナー部42に形成されている。つまり、正面視において、リッド32の外周四方は、丸みを帯びた湾曲コーナー部42によって囲まれている。
【0045】
薄肉部34の形成位置に関するより好ましい態様として、薄肉部34は、平面視において、リッド32の表面から湾曲コーナー部42に向けて湾曲を開始する境界Lと湾曲コーナー部42から立壁40の外面に向けて湾曲が終了する境界Mとの間に、薄肉部34が形成されている。ここで、平面視は、リッド32に対する立壁40の立設方向に沿って見た投影視を基準とすることができる。また、薄肉部34の位置は、薄肉部34のうち最も深い部分34a(薄肉部がV字状溝である場合には、その頂点の最も深い部分)を基準とすることができる。また、湾曲コーナー部42が湾曲を開始又は終了する境界L、Mとは、リッド32又は立壁40の表面に対して湾曲度合が異なり始める境界として捉えることができる。例えば、リッド32が湾曲している場合でも、リッド32の表面における曲率半径と湾曲コーナー部42の曲率半径とが異なっている場合には、曲率半径が異なる境界を、湾曲コーナー部42が湾曲を開始又は終了する境界として把握することができる。
【0046】
なお、この湾曲コーナー部42の外周縁部には、開口部12の縁部が被せられる。すなわち、開口部12の内周縁部は、前記湾曲コーナー部42に応じて凹んだ形状の湾曲内周縁部13に形成されている。湾曲内周縁部13は、インストルメントパネル10の外周側で開口部12に向けて最も突出しており、インストルメントパネル10の内周側で開口部12に対して最も凹んでいる。湾曲コーナー部42と湾曲内周縁部13との隙間をなるべくなくすためには、両者は凹凸が異なるだけで、同じ曲率半径を有する曲面形状であることが好ましいが、これは必須ではない。
【0047】
そして、インストルメントパネル10の内側から開口部12に対してリッド32が嵌込まれると、湾曲内周縁部13のうちインストルメントパネル10の表面に近くかつ開口部12に向けて最も突出している縁部13aが、湾曲コーナー部42の外周縁部に被さる。この状態では、開口部12の湾曲内周縁部13の縁部13aは、エアバッグカバー30のうち湾曲コーナー部42から立壁40の外面に向けて湾曲が終了する境界Mよりも内側に位置している。
【0048】
従って、エアバッグカバー30を正面より観察すると、インストルメントパネル10の開口部とエアバッグカバー30との間の隙間は、開口部12の湾曲内周縁部13の縁部13aによって覆われ、外部からインストルメントパネル10内を観察できるような隙間を視認できないようになっている。
【0049】
また、リッド32の外周には、インストルメントパネル10に形成された開口部12の縁部の内面に当接可能な外周当接縁部36が形成されている。
【0050】
ここでは、外周当接縁部36は、リッド32の外周全体において、立壁40の外面から外方に延出する突出片状に形成されている。また、外周当接縁部36は、リッド32の表面よりも裏面側に凹んでおり、外周当接縁部36が開口部12の縁部の内面に当接した状態で、リッド32の表面とインストルメントパネル10の表面とが面一状に連続して配設されるようになっている。
【0051】
また、この外周当接縁部36に、開口部12の縁部の内面に形成された被嵌合部14と嵌合可能な嵌合部36aが形成されている。
【0052】
ここでは、開口部12の縁部の内面に、当該開口部12の外周全体に亘って、インストルメントパネル10の内側に突出する被嵌合部14が形成されている。
【0053】
また、外周当接縁部36には、上記開口部12の縁部の内面に当接する側の部分に、被嵌合部14を嵌込み可能な環状の凹部形状を有する嵌合部36aが形成されている。
【0054】
そして、外周当接縁部36が開口部12の縁部の内面に当接した状態で、被嵌合部14が嵌合部36aに嵌合わされるようになっている。
【0055】
なお、嵌合部36aと被嵌合部14との凹凸関係は逆であってもよい。また、嵌合部36aと被嵌合部14とは、リッド32の外周全体に亘って形成されている必要はなく、リッド32の外周において部分的に形成されていてもよい。
【0056】
このエアバッグカバー30は、次のようにしてインストルメントパネル10に組込まれる。
【0057】
すなわち、本エアバッグカバー30は、エアバッグユニット20と相互固定された状態で一体化される。この状態で、エアバッグカバー30は、エアバッグユニット20を介して車体側部材18に取付固定される。この後、インストルメントパネル10が車両のボディに固定される。この際、エアバッグカバー30のリッド32が、インストルメントパネル10の内側より開口部12内に嵌込まれる。
【0058】
すると、開口部12の縁部13aが、湾曲コーナー部42の外周縁部に被さるようになる。また、外周当接縁部36が上記開口部12の縁部の内面に当接すると共に、嵌合部36aが被嵌合部14に嵌込まれる。
【0059】
以上のように構成されたエアバッグカバー30によると、立壁40がリッド32の外周縁部に沿って突設されているため、立壁40によってリッド32の表面に樹脂ヒケが生じたとしても、当該樹脂ヒケはリッド32の外周縁部に沿って観察され得る。このため、インストルメントパネル10に形成された開口部12に嵌込まれるタイプのエアバッグカバー30において、立壁40による樹脂ヒケをなるべく目立たないようにすることができる。
【0060】
また、樹脂ヒケを目立たなくできるエアバッグカバー30を、樹脂一体部品で製造できるため、製造コスト及び重量を低下させることができる。
【0061】
また、このように樹脂ヒケ等を目立たなくすることができる結果、外観向上のための塗装等が不要となり、この点からも、製造コスト低下を図ることができる。
【0062】
また、薄肉部34は、リッド32の内面であって立壁40の内周部に沿って形成されているため、薄肉部34を形成することによってリッド32の表面に樹脂ムラが生じても、当該樹脂ムラはリッド32の外周縁部に沿って形成されるので、目立ち難い。
【0063】
しかも、平面視において、リッド32の表面から湾曲コーナー部42に向けて湾曲を開始する境界Lと湾曲コーナー部42から立壁40の外面に向けて湾曲が終了する境界Mとの間に、薄肉部34が形成されているため、薄肉部34による樹脂ムラは境界L、Mに紛れることになり、より目立ち難くなる。
【0064】
しかも、湾曲コーナー部42の外周縁部に、開口部12の縁部13aが被せられるため、インストルメントパネル10の開口部12とリッド32との隙間をより小さくすることができる。
【0065】
また、リッド32の外周に形成された外周当接縁部36がインストルメントパネル10の開口部12の縁部の内面に当接するため、両者をその厚み方向においてより確実に位置決めして、リッド32とインストルメントパネル10とを同一高さ位置に維持し易い。
【0066】
しかも、外周当接縁部36に、開口部12の縁部13aの内面に形成された被嵌合部14と嵌合可能な嵌合部36aが形成されているため、リッド32と開口部12とがより確実に合体状態にされ、それらの間での隙間発生を抑制することができる。
【0067】
{変形例}
なお、上記実施形態において、嵌合部36aが省略されていてもよく、さらには、外周当接縁部36が省略されていてもよい。
【0068】
また、薄肉部34が上記形態にて形成されていることは必須ではなく、例えば、リッド32の中央部に薄肉部が形成されていてもよい。
【0069】
以上のようにこの発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【符号の説明】
【0070】
10 インストルメントパネル
12 開口部
13 湾曲内周縁部
13a 縁部
14 被嵌合部
20 エアバッグユニット
24 エアバッグ
26 インフレータ
30 エアバッグカバー
32 リッド
34 薄肉部
36 外周当接縁部
36a 嵌合部
40 立壁
42 湾曲コーナー部
L、M 境界

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネルに形成された開口部に嵌込まれ、エアバッグ及び前記エアバッグを膨張展開させるインフレータとを含むエアバッグユニットを覆うエアバッグカバーであって、
前記開口部を塞ぐ板状に形成され、前記エアバッグの膨張展開時に破断可能なリッドと、
前記リッドの外周縁部に沿って突設され、前記エアバッグユニットと相互固定可能な立壁と、
を備えるエアバッグカバー。
【請求項2】
請求項1記載のエアバッグカバーであって、
前記エアバッグの膨張展開時に前記リッドを破断させるための薄肉部が、前記リッドの内面であって前記立壁の内周部に沿って形成されている、エアバッグカバー。
【請求項3】
請求項2記載のエアバッグカバーであって、
前記リッドと前記立壁の連結部の外周部は丸みを帯びた湾曲コーナー部に形成され、
平面視において前記リッドの表面から前記湾曲コーナー部に向けて湾曲を開始する境界と前記湾曲コーナー部から前記立壁の外面に向けて湾曲が終了する境界との間に、前記薄肉部が形成されている、エアバッグカバー。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のエアバッグカバーであって、
前記リッドと前記立壁の連結部の外周部は、丸みを帯びると共に、少なくともその外周縁部に前記パネルに形成された前記開口部の縁部が被せられる湾曲コーナー部に形成されている、エアバッグカバー。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のエアバッグカバーであって、
前記リッドの外周に、前記パネルに形成された前記開口部の縁部の内面に当接可能な外周当接縁部が形成されている、エアバッグカバー。
【請求項6】
請求項5記載のエアバッグカバーであって、
前記外周当接縁部に、前記開口部の縁部の内面に形成された被嵌合部と嵌合可能な嵌合部が形成されている、エアバッグカバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−224312(P2012−224312A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−96203(P2011−96203)
【出願日】平成23年4月22日(2011.4.22)
【出願人】(000117135)芦森工業株式会社 (447)
【Fターム(参考)】