説明

エステ用ベッド

【課題】 従来の理美容用椅子にあっては、ベッド状態において前垂れとステップとの間に段差が発生すると共に隙間が生じているために、寝心地が悪く、エステ時の寝た状態において被施術者が低身長者であると隙間に踵が入り込んでしまうといった問題があった。
【解決手段】 前垂れ4の起伏に伴って回動するステップリンク61に対してステップ5をリンク機構6を介して取付け、前垂れが水平方向に回動するのに応じてステップが回動し、かつ、前垂れの先端側に向かって移動して、前垂れとステップが水平状態となった時に前垂れの上面とステップの上面とが面一になり、かつ、前垂れとの間に隙間が生じないようにしたエステ用ベッドである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エステティックサロン等において使用され、被施術者を仰臥状態して施術するために背凭れ、座部、前垂れおよび足乗せ台を水平状態のベッド状にしたり、被施術者を着座状態にするために座部に対して背凭れおよび前垂れを略直角になすと共にステップを前垂れに対して水平状態に変更可能としたサロン用ベッドの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人会社が頒布した座部に対して背凭れが起伏自在に、また、座部に対して前垂れが垂下状態と座部に対して水平状態に、さらに、前垂れに対してステップが足乗せ状態と水平状態に変化して、椅子の状態とベッド状態に可変可能な理美容用椅子がカタログに開示されている。このカタログに示されている理美容用椅子にあっては、前垂れの上面とステップの上面に段差があり、かつ、前垂れとステップとの間に大きな隙間が発生しているものである。
【非特許文献1】カタログ名「BARBER CHAIRS」 発行者「タカラベルモント株式会社」 発行年月日「初版1989年8月10日」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、前記した理美容用椅子にあっては、ベッド状態において前垂れとステップとの間に段差が発生すると共に隙間が生じているために、寝心地が悪く、エステ時の寝た状態において被施術者が低身長者であると隙間に踵が入り込んでしまうといった問題があった。
【0004】
本発明は前記した問題点を解決せんとするもので、その目的とするところは、ベッド状態においてステップを前垂れの起伏に対して起伏させると共に前垂れ側に移動させるようにしたので、前垂れとの高さが同じになるようにしたので、寝心地が良くなり、かつ、前垂れとステップの間に隙間が発生しないようにしたの低身長者の場合にも踵が隙間に入り込むことがないエステ用ベッドを提供せんとするにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のエステ用ベッドは前記した目的を達成せんとするもので、請求項1の手段は、前垂れの起伏に伴って回動するステップリンクに対してステップをリンク機構を介して取付け、前垂れが水平方向に回動するのに応じてステップが回動し、かつ、前垂れの先端側に向かって移動して、前垂れとステップが水平状態となった時に前垂れの上面とステップの上面とが面一になり、かつ、前垂れとの間に隙間が生じないようにしたことを特徴とする。
【0006】
請求項2の手段は、座部に対して起伏可能に取付けられベッド状態時に座部と水平状態になる背凭れと、前記座部に対して油圧シリンダ等のアクチュエータによって座部の先端で垂下状態と水平状態となる前垂れと、該前垂れの起伏に連動して回動するステップリンクと、該ステップリンクに対して平行リンクを介して取付けられたステップと、前記アクチュエータが身長すると前記平行リンクを介して前記ステップを前記前垂れ側に平行移動させる回動リンクとより構成したものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明は前記したように、ステップリンクに対してステップをリンク機構を介して取付け、前垂れが水平方向に回動するのに応じてステップが回動し、かつ、前垂れの先端側に向かって移動するようにしたので、前垂れとステップが水平状態となった時には、前垂れの上面とステップの上面とが面一となって寝心地がよくなり、また、前垂れとステップとの間に隙間が生じないことから低身長者の場合にも踵が隙間に入り込むことがない等の効果を有するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は、前垂れの起伏に伴って回動するステップリンクに対してステップをリンク機構を介して取付け、前垂れが水平方向に回動するのに応じてステップが回動し、かつ、前垂れの先端側に向かって移動するものである。
【実施例1】
【0009】
以下、本発明に係るサロン用ベッドの一実施例を図面と共に説明する。
本発明におけるサロン用ベッドは、油圧シリンダ等のアクチュエータ(図示せず)が組み込まれた昇降手段1によって上下動可能な座部2と、該座部2の後方に回動自在に軸支され油圧シリンダ等のアクチュエータ31によって座部2に対して水平状態と起立状態とに可変可能に取付けられた背凭れ3と、前記座部2の前方に回動自在に軸支され油圧シリンダ等のアクチュエータ41によって水平状態と垂下状態とに可変可能に取付けられた前垂れ4と、該前垂れ4の前方に軸支され、かつ、前記アクチュエータ41によって前垂れ4に対してリンク機構6を介して水平状態と垂下状態とに可変可能に取付けられたステップ5とより構成されている。
【0010】
なお、7は前記背凭れ3の上端には被施術者が仰臥状態殿において顔を乗せる枕が水平状態と垂下状態となるように構成された(例えば、本発明の出願人が出願した実公昭56−43085号公報)枕にして、該枕の中央には被施術者の口と鼻に対向する部分に孔71が開口されている。
【0011】
また、8は背凭れ3の左右両側には上方に引き上げ、かつ、回転することで背凭れ3と平行状態とする回動機構81が取付けられた腕受台にして、該腕受台8を背凭れ3と平行状態とすることで、仰臥状態の被施術者が両手を頭部前方に延ばした状態で両手を乗せて安楽姿勢が取れるようになっている。
【0012】
次に、座部2に対して背凭れ3を起伏させるための構造について説明するに、背凭れ3は座部2の座部基板21の後方両側に取付けられたL字状アーム22に対して回動自在に軸支され、また、座部2における裏面側の片側に一端が軸支されたアクチュエータ31の他端が背凭れ3の下面側に軸支されている。従って、アクチュエータ31に油を供給するとラムが伸長して背凭れ3は座部2に対して起立状態となり、油を排出させると背凭れ3の重量および着座している被施術者の寄り掛かる体重とによって座部2と平行状態となる。
【0013】
なお、前記アクチュエータ31による背凭れ3の起伏角度は後述する前垂れ4の起伏角度を検出するための2本のリンクを介して回転される座部2の裏面に取付けられたポテンショメータ等の角度検出手段によって常時検出されている。
【0014】
次に、座部2に対して前垂れ4を起伏させるための構造について説明するに、前垂れ4の前垂れ基板42両側に取付けられたL字状アーム43の先端が座部2の座部基板21に対して回動自在に軸支され、また、座部基板21の裏面側中央に固定された軸26にアクチュエータ41の一端が軸支され、該アクチュエータ41の他端(ラム側)は前垂れ基板42の先端側に固定された軸44に軸支されている。さらに、前記軸26と軸44との間には一対の引っ張りスプリング45が張設されている。
【0015】
このような構成によって、アクチュエータ41に油を供給するとラムがスプリング45のバネ力に抗して伸長して前垂れ4を座部2と水平状態となるように押し上げ、また、アクチュエータ41の油を排出すると前記スプリング45のバネ力と前垂れ4およびステップ5との重量および着座している被施術者の下半身の体重とによって前垂れ4は座部2の先端において垂下された状態となる。
【0016】
なお、座部基板21には前垂れ4の起伏角度を検出するためのポテンショメータ等の角度制御手段23が取付けられており、該角度検出手段23の回転軸には第1のアーム24の一端が取付けられ、該第1のアーム24の他端は前記L字状アーム43に一端が軸支された第2のアーム25の他端に軸支されている。従って、アクチュエータ41が伸長、収縮してL字アーム43が回動すると第2、第1のアーム25,24を介してポテンショメータ23の抵抗値が変化するので、この抵抗値から前垂れ4の起伏角度を知ることができる。
【0017】
次に、前記前垂れ4に取付けられ、前垂れ4の水平状態への移行に伴って前垂れの前方においてステップ5を水平状態となし、かつ、前垂れ4の垂下状態への移行に伴って前垂れ4の先端においてステップ5を略直角とするためのリンク機構6の構造について説明する。
【0018】
61は前記前垂れ基板42の先端側に軸支された一対のステップリンク、62は一端が前記座部基板21の先端に軸支され、他端が前記ステップリンク61の前記前垂れ基板42の先端が軸支された部分と近接した位置で軸支された支えリンク、63,64は一端がステップ5のステップ基板51に一端が軸支されたそれぞれ一対の第1、第2の平行リンクにして、該平行リンク63,64の他端は前記ステップリンク61に軸支されている。また、第1の平行リンク63はステップリンク61に軸支された側が延長片63aとなっており、該延長片63aの先端は一端が前記軸44に軸支された回動リンク65の他端に軸支されている。
【0019】
このような構成によって、アクチュエータ41に油を供給すると前記したように前垂れ4が座部2と水平状態となるように押し上げられる。この前垂れ4の上昇に伴って支えリンク62はステップリンク61を図5、図8において右方向に押し出されるので、該ステップリンク61は前垂れ基板42との軸支点を支点として斜め上方に向かって押し上げられる。そして、ステップリンク61が押し上げられると、一端が軸44に軸支されている回動リンク65に軸支されている第1の平行リンク63がステップ基板51との軸支点を支点として反時計方向に回動されるので、第2の平行リンク64と共にステップ基板51を前垂れ4の先端側に向かって押し上げながら平行移動させる。そして、最終の位置において、座部2に対して前垂れ4およびステップ5が面一状態になると共に前垂れ4とステップ5との隙間もなくなる状態となる。
【0020】
次に、本発明に係るエステ用ベッドを図6〜図8に示す椅子の状態において被施術者を導入して顔等のエステを行った後に、全身のエステを行うために椅子の状態から図1〜図5に示すベッド状態に移行するための動作を説明する。なお、椅子の状態にあっては、枕7は背凭れ3の背面側に折られているので背凭れ3の上方に位置するようにセットし、また、腕受台8は背凭れ3の側面下方に移動しているので、背凭れ3の上方で、かつ、略面一となるようにセットする。
【0021】
このようにセットした状態において、図示しないフットペダルを踏み込むと、先ず、アクチュエータ41に対して油の供給が行われる。これにより、アクチュエータ41のラムがスプリング45のバネ力に抗して伸長するので座部2に対して垂下状態にある前垂れ4は水平方向に回動を始め、また、ステップ5はステップリンク61に対して平行移動しながら前垂れ4の先端側に移動しながら上昇を開始する。
【0022】
そして、前垂れ4がある回動されるとポテンショメータ23によって、その回動量を知ることができるので、該ポテンショメータ23の抵抗値が予め設定した値になるとアクチュエータ31内の油を抜くための電磁弁が開放する。これにより、背凭れ3の自重と被施術者が背凭れ3に寄り掛かっている体重とによって伏倒を開始する。
【0023】
この背凭れ3の伏倒角度は図示しないポテンショメータによって知ることができるので、予め設定されている伏倒状態になると前記電磁弁を閉じてその状態で維持される。一方、前垂れ4とステップ5とはアクチュエータ41のラムの伸長量に応じて水平状態となり、かつ、この水平状態はポテンショメータ23によって知ることができるので、予め設定した値をポテンショメータ23が示すとアクチュエータ41への油の供給を電磁弁を閉じて停止する。
【0024】
この状態にあっては、背凭れ3、座部2、前垂れ4およびステップ5は隙間なく水平状態となるので、寝た状態の被施術者が通常のベッドに寝ていると同じ感触を味わうことになり違和感がない。
【0025】
次いで、施術が終了しベッド状態にある本発明のエステ用ベッドを図6〜図8に示す椅子の状態に戻すには、先ず、アクチュエータ31に油を供給して背凭れ3を起立方向に回動すると共に、該起立状態が予め設定した値をポテンショメータが検出すると、アクチュエータ41の油を抜くための電磁弁を開放する。これにより、前垂れ4はスプリング45のバネ力によって垂下方向に回動される。一方、ステップ5は前垂れ4が変位することでリンク機構6によって前記したとは逆の動作によって平行状態を保ちながら下降を開始する。そして、ポテンショメータ23が予め設定した値になると電磁弁が閉じられて初期の椅子の状態に戻るものである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係るエステ用ベッドの平面図である。
【図2】同上の側面図である。
【図3】図1のステップ側から見た側面図である。
【図4】前垂れに対してステップが水平となっている状態のリンク機構の底面図である。
【図5】同上の側面図である。
【図6】椅子状態の側面図である。
【図7】前垂れに対してステップが直角となっている状態のリンク機構の低迷図である。
【図8】同上の側面図である。
【符号の説明】
【0027】
1 昇降手段
2 座部
3 背凭れ
4 前垂れ
41 アクチュエータ
5 ステップ
6 リンク機構
61 ステップリンク
62 支えリンク
63 第1の平行リンク
64 第2の平行リンク
65 回動リンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前垂れの起伏に伴って回動するステップリンクに対してステップをリンク機構を介して取付け、前垂れが水平方向に回動するのに応じてステップが回動し、かつ、前垂れの先端側に向かって移動して、前垂れとステップが水平状態となった時に前垂れの上面とステップの上面とが面一になり、かつ、前垂れとの間に隙間が生じないようにしたことを特徴とするエステ用ベッド。
【請求項2】
座部に対して起伏可能に取付けられベッド状態時に座部と水平状態になる背凭れと、前記座部に対して油圧シリンダ等のアクチュエータによって座部の先端で垂下状態と水平状態となる前垂れと、該前垂れの起伏に連動して回動するステップリンクと、該ステップリンクに対して平行リンクを介して取付けられたステップと、前記アクチュエータが身長すると前記平行リンクを介して前記ステップを前記前垂れ側に平行移動させる回動リンクとより構成したことを特徴とするエステ用ベッド。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate