説明

エンドプレートおよびその施工方法

【課題】確実に有孔ブロックの端面の位置に対応させてコーキング材を設ける。
【解決手段】複数の孔を備えた上壁、一対の側壁、および底壁により外周が囲われるとともに内部に上壁の孔と連通する内部空間を備える有孔ブロックの端部の開口を閉鎖するエンドプレート50であって、有孔ブロックの開口の側の端面に対応して当接する当接面51に溝部51aが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上水・用水・工業用水・生活廃水・工業廃水等などの被処理水に含まれる懸濁物などの被除去物を、ろ過・吸着・分解により、除去する水処理設備において、被除去物が除去された処理水を集水する集水装置で使用される有孔ブロックの端部を閉鎖するエンドプレートおよびその施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水処理設備では、例えば粒状媒体を充填して濾過層(処理層)を備えて当該懸濁物を除去する濾過手段(除去手段)を支持し、濾過層を通過して懸濁物が除去された処理済水を集水する有孔ブロックを備える(例えば特許文献1)。
【0003】
有孔ブロックは、中空の断面が略矩形となる外壁(上壁・側壁・底壁)、および、当該外壁の内部において略逆V字形断面となる傾斜内壁が設けてある。この傾斜内壁により、有孔ブロックの内部空間を中央流通部および当該中央流通部の両側に位置する側方流通部に仕切っている。上壁の上方部および側方流通部、側方流通部および中央流通部はそれぞれ孔部を介して連通している。
【0004】
濾過層には、砂利・珪砂・アンスラサイト・粒状活性炭などの粒状媒体が充填してあり、被処理水を濾過手段の上方より下向流で濾過層に通水すると、被処理水中に含まれる懸濁物が濾過層によって除去される。濾過層を通過して懸濁物が除去された処理水は、重力の作用により有孔ブロックの上壁に設けた上壁孔部を介して側方流通部に流入し、さらに側方流通部から中央流通部に流入することにより集水される。
【0005】
一般に集水装置では、複数の有孔ブロックを平面状(二次元的に)に設置して濾過手段を支持している。具体的には、複数の有孔ブロックの内部空間が連通するように延設して、複数の有孔ブロックを直列に接続し、有孔ブロックどうしの側壁が対向するように並置して複数の有孔ブロックを並列に配置する。このように複数の有孔ブロックを設置することで、より多量の処理水を集水することができる。
有孔ブロックを並列に配設する際には、対向する側壁の間にモルタル等の充填材を充填している。当該充填材が固化することで、並置した有孔ブロックどうしを固定する。
【0006】
上述のように、複数の有孔ブロックを格子状に並置する際に、有孔ブロックの長手方向の端部に配置された有孔ブロックは、当該端部方向に開口を有することになる。そこで、当該開口から処理水が流出したり、充填材が有孔ブロックに流入するのを防止するために、当該開口にエンドプレートが設けられ開口が閉鎖される。このとき、有孔ブロックの端面とエンドプレートに形成された当該端面との当接面とがコーキング材を介して当接した状態で、エンドプレートが有孔ブロックに固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−346574号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、一般的に、エンドプレートの当接面を有孔ブロックの端面に確実に当接させるために、エンドプレートの当接面の幅は有孔ブロックの端面の幅よりも大きく設定してある。このため、エンドプレートの当接面にコーキング材を設ける際に、確実に有孔ブロックの端面の位置に対応させてコーキング材を設けることが困難な場合があった。また、一般的に有孔ブロックの端面の幅はそれほど大きくなく、有孔ブロックの端面の側にコーキング材を設けることも困難な場合があった。
【0009】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、エンドプレートの当接面側にコーキング材を設けるに際し、確実に有孔ブロックの端面の位置に対応させてコーキング材を設けることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の特徴構成は、複数の孔を備えた上壁、一対の側壁、および底壁により外周が囲われるとともに内部に上壁の孔と連通する内部空間を備える有孔ブロックの端部の開口を閉鎖するエンドプレートであって、前記有孔ブロックの前記開口の側の端面に対応して当接する当接面に溝部が形成されている点にある。
【0011】
本構成によれば、有孔ブロックとの当接面に溝部が形成されているので、当該当接面にコーキング材を設けるに際し、コーキング材を溝部に沿って充填し設けることにより、コーキング材を当接面の適切な位置に設けることができる。この結果、確実に有孔ブロックの端面の位置に対応させてコーキング材を設けることができる。
【0012】
上述の構成において、前記溝部が前記有孔ブロックの周縁に対応して前記当接面に断続的に形成されていると好適である。
【0013】
上述の構成によれば、案内溝が断続的に形成されるものの案内溝が形成されていない部分においても、隣接する案内溝を結ぶようにコーキング材を設けることにより、適切な位置にコーキング材を設けることができる。また、当接面に固定具を設けるに際し、固定具を溝部が形成されていない部分に対応させることで、溝部が邪魔になることがなく、エンドプレートを確実に有孔ブロックに固定することができる。従って、コーキング材を適切な位置に設けつつ、エンドプレートを有孔ブロックに確実に固定することができる。
【0014】
また、上述の構成において、前記エンドプレートが透明又は半透明であると好適である。
【0015】
上述の構成によればエンドプレートに裏面を透視することができる。このため、例えば、エンドプレートを有孔ブロックに固定した後であっても、コーキング材が確実に配置されているか否かを確認することができる。従って、コーキング材を適切に設けることができる。
【0016】
本発明に係るエンドプレートの施工方法の特徴構成は、エンドプレートに形成された前記溝部にコーキング材を充填する充填工程と、有孔ブロックの開口端面にエンドプレートを当接する閉鎖工程とを有する点にある。
【0017】
本構成のように、エンドプレートに形成された溝部にコーキング材を充填することによりコーキング材を当接面の適切な位置に設けることができる。この結果、確実に有孔ブロックの端面の位置に対応させてコーキング材を設けることができる。
【0018】
また、本発明に係るエンドプレートの施工方法において、エンドプレートを用いて有孔ブロックの端部開口を閉鎖するエンドプレートの施工方法であって、エンドプレートに形成された前記溝部にコーキング材を充填する充填工程と、有孔ブロックの開口端面にエンドプレートを当接する閉鎖工程と、断続的に形成された溝部の溝部同士の隙間に対応する位置に、有孔ブロックの開口端面でエンドプレートを固定する固定具を穿設する固定工程とを有すると好適である。
【0019】
本構成のように、断続的に形成された溝部の溝部同士の隙間に対応する位置に、有孔ブロックの開口端面でエンドプレートを固定する固定具を穿設することにより、溝部が邪魔になることがなく、固定具を確実に穿設することができる。このため、エンドプレートを確実に有孔ブロックに固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】集水装置の概略を一部切欠で示す斜視図である。
【図2】本発明の有孔ブロックの斜視図である。
【図3】集水装置の施工方法の各工程の流れ図である。
【図4】本発明のエンドプレートの取り付けを示す図である。
【図5】本発明のエンドプレートの詳細を示す斜視図である。
【図6】本発明のエンドプレートを固定した有孔ブロックを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
本発明の集水装置Xは、上水・用水・工業用水・生活廃水・工業廃水等などの被処理水に含まれる懸濁物など(被除去物)をろ過・吸着・分解により除去する水処理設備Yにおいて、被除去物が除去された処理水を集水する。
【0022】
図1に示したように、当該水処理設備Yは、粒状媒体12を充填した処理層11の上方より下向流で被処理水を通水して被処理水中に含まれる被除去物を処理層11によって除去する除去手段10を支持し、処理層11を通過して被除去物が除去された処理水を中空の内部空間に集水する有孔ブロック20と、複数の有孔ブロック20を並置する際に、各有孔ブロック20の間に充填する充填材30と、を備えている。
【0023】
(除去手段)
本実施形態の除去手段10は、濾過処理によって被処理水中に含まれる被除去物を除去する場合について説明する。従って、処理層11は濾過層となる。しかし、このような態様に限られるものではなく、生物処理によって被処理水中に含まれる被除去物を除去することも可能である。この場合、処理層11は生物処理層となり、例えば粒状媒体12の表面に被処理物を生物的に分解する微生物を担持させておく。
【0024】
処理層11には、珪砂、アンスラサイト・粒状活性炭などの粒状媒体12が充填してある。本実施形態では二層の処理層11を設けてあり、最下層から順に珪砂層11a・アンスラサイト層11bを配設したものを例示するが、これに限られるものではない。
被処理水を除去手段10の上方に設けた排水トラフ50より処理層11に給水して処理層11を通過させることで、被処理水中に含まれる被除去物が処理層11によって除去される。なお、排水トラフ50経由ではなく直接被処理水が供給される場合も有る。
【0025】
(有孔ブロック)
図2に示すように、有孔ブロック20は除去手段10の下方に配置して除去手段10を支持する。本実施形態では、除去手段10と有孔ブロック20との間には、多孔プレート60を配設してある。
有孔ブロック20は、中空で断面が略矩形となる外壁21(上壁21a・側壁21b・底壁21c)、および、当該外壁21の内側に接続して有孔ブロック20の内部空間を複数の空間に分割する傾斜内壁22が設けてある。
有孔ブロック20は、耐食性・耐圧性に優れた材質であれば、何れの材料で形成してもよいが、例えば発泡成形ポリエチレン製とすれば、軽量化することができるため、運搬や施工面で作業性がよい。
【0026】
上壁21aは、除去手段10の下面に直接接触して、或いは、多孔プレート60を介して間接的に除去手段10を支持する。側壁21bは上壁21aに接続する一対の対向する壁であり、底壁21cは当該一対の側壁21bに接続する。また、傾斜内壁22は、その断面が略逆V字形となるように形成してある。これにより、有孔ブロック20の内部空間を、中央流通部Aと当該中央流通部Aの両側に位置する側方流通部Bとに仕切っている。このように、有孔ブロック20の内部空間は、傾斜内壁22によって三つの空間に分割されるが、この態様に限られるものではない。
【0027】
上壁21aの上方部および側方流通部Bは、上壁21aに形成した複数の上壁孔部a1を介して連通しており、側方流通部Bおよび中央流通部Aは、傾斜内壁22に形成した第一内壁孔部b1、第二内壁孔部b2および第三内壁孔部b3を介して連通している。処理層11を通過して被処理物が除去された処理水は、重力の作用により、多孔プレート60を通過した後に上壁孔部a1を介して側方流通部Bに流下し、さらに第一内壁孔部b1、第二内壁孔部b2および第三内壁孔部b3を介して中流通部Aに流下して集水される(集水処理)。処理水は、有孔ブロック20の底壁21cに形成した底壁開口部(図外)を経て有孔ブロック20の下方に設けたフリューム70を流下して、或いは、中央流通部Aに接続する配管(図外)を流下して、所定の貯水槽に搬送される。
【0028】
上壁21aの上面には、側壁21bから延設する上壁第一リブ部23a、上壁第一リブ部23aに平行な上壁第二リブ部23b、および、上壁第一リブ部23aと垂直に交差する上壁第三リブ部23cが設けてある。本実施形態では、二本の上壁第一リブ部23a、一本の上壁第二リブ部23b、十本の上壁第三リブ部23cをそれぞれ形成した場合を示すが、これに限られるものではない。
これらリブ部23a〜23cによって、上壁21aの上面を複数の区画に分割してある。これらリブ部23a〜23cを設けることで上壁21aの耐圧性を強化することができ、除去手段10の荷重による上壁21aの撓みを防止できる。
多孔プレート60は、前記リブ部23a〜23cの上面に載置する。多孔プレート60は、ボルトによって前記リブ部23a〜23c或いは上壁21aに固定する。多孔プレート60は、例えば、直径数mmのペレットを多数接合して構成するとよい。当該ペレットとしては、ポリオレフィン等のプラスチックの他、セラミック、焼結金属等が使用可能である。
【0029】
側壁21bには、複数の有孔ブロック20を並置する際に、各有孔ブロック20の間に充填した充填材30に、有孔ブロック20が受けた上方及び下方からの荷重を伝達する側方リブ24を形成してある。側方リブ24は、水平方向に伸延する水平側方リブ24A、および、垂直方向に伸延する垂直側方リブ24Bとすることができる。何れのリブ形状であっても、その上端面24aによって有孔ブロック20が受けた上向荷重を充填材30に伝達し、その下端面24bによって有孔ブロック20が受けた下向荷重を充填材30に伝達する。上端面24aおよび下端面24bは、略水平な面となるように構成すれば、有孔ブロック20が受けた上向荷重および下向荷重を充填材30に確実に伝達することができる。さらに、上端面24a或いは下端面24bが、側壁21bに対して鋭角的に交わるように構成すれば、有孔ブロック20が受けた上向荷重および下向荷重を充填材30に確実に伝達して、有孔ブロック20及び充填材30が垂直方向に互いに位置ズレするのを確実に防止することができる。
【0030】
有孔ブロック20は、逆洗用媒体によって上向荷重を受け、濾過手段の重量による下向荷重を常に受ける。当該上向荷重を受けると、有孔ブロック20が上方向に相対移動しようとする応力が作用し、当該下向荷重を受けると、有孔ブロック20が下方向に相対移動しようとする応力が作用する。本構成では、有孔ブロック20が受けた上方及び下方からの荷重を充填材30に伝達する側方リブ24を形成することから、有孔ブロック20に上向荷重あるいは下向荷重が作用した場合であっても、側方リブ24によってこれら荷重を固化した充填材30に伝達するため、充填材30に対する有孔ブロック20の相対位置を固定することができる。そのため、有孔ブロック20及び充填材30が垂直方向に互いに位置ズレするのを防止できる。
側方リブ24は、水平側方リブ24Aおよび垂直側方リブ24Bの少なくとも何れか一方を形成するとよい。
【0031】
(エンドプレート)
上述のように、複数の有孔ブロック20を格子状に並置する際に、側方流通部Bおよび中央流通部Aの軸芯方向(つまり、有孔ブロック20の長手方向)に隣接する有孔ブロック20同士が接続される。そして、前記軸心方向の端部に配置された有孔ブロック20は、当該端部方向に開口を有することになる。そこで、当該開口から処理済水が流出したり、充填材30が有孔ブロック20に流入するのを防止するために、図4及び図6に示すように、当該開口にエンドプレートが設けられ開口が閉鎖される。
【0032】
図4〜6に示すように、エンドプレート50は、上壁21a、一対の側壁21b、および、底壁21cによって形成される外周端面21dに当接する外周当接面51と、一対の傾斜内壁22によって形成される内壁端面22aに当接する内側当接面52とを備える。外周当接面51は、コーキング材80を介して外周端面21dに当接する。外周当接面51及び内側当接面52は、有孔ブロック20の断面形状に対応して、外周当接面51が略四角形状であり、その内側に略逆V字形状の内側当接面52が外周当接面51と連続的に設けられている。なお、外周当接面51及び内側当接面52は、必ずしも上述の形状に限定されるものではなく、有孔ブロック20の断面形状に対応した形状であればよい。
【0033】
外周当接面51には、当該外周当接面51の周方向に沿って断続的に他の部分よりも幅の広い部位が形成されている。この幅の広い部位がエンドプレートを有孔ブロック20に固定する際にステープル90などの固定具9を設ける被固定部51bとなる(図10を参照)。また、外周当接面51には、コーキング材80を設ける際に当該コーキング材の充填を案内する案内溝51a(本発明の溝部の一例)が設けられている。この案内溝51aは、外周当接面51の外周当接面51に対向する部分のうち被固定部51b以外の部位に周方向に沿って、断続的に形成されている。
【0034】
また、エンドプレート50には、中央流通部Aに対応して膨出する中央膨出部54と側方流通部Bに対応して膨出する側方膨出部53とが形成され、中央膨出部54と側方膨出部53とが、内側当接面52により区画されている。中央膨出部54の外周形状は中央流通部Aの断面形状と略同じ形状であり、その外周寸法は中央流通部Aの内周寸法と略同一の寸法又は若干小さめに設定してある。また、中央膨出部54の内部には、有孔ブロック20の外側に引退する引退部55aが形成されている。一方、側方膨出部53は、側方流通部Bの断面形状と略同じ形状であり、その外周寸法は中央流通部Aの内周寸法と略同一の寸法又は若干小さめに設定してある。
【0035】
上述のように、エンドプレート50は、有孔ブロック20の端面と対向する面の側においては、中央膨出部54と側方膨出部53とが突出し、外周当接面51、内側当接面52、および、引退部55a,55bが引退した形状を呈する(図5を参照)。一方、有孔ブロック20の端面と対向する面とは反対の面の側(つまり、充填材30と対向する面の側)においては、中央膨出部54と側方膨出部53とが引退し、外周当接面51の裏面、内側当接面52の裏面、および、引退部55aが突出した形状を呈する(図4を参照)。
【0036】
上述のように、エンドプレート50に凹凸形状を設けることにより、当該凹凸形状がリブとして作用し、充分な強度を発揮することができる。また、充填材30と対向する面の側においては、当該凹凸形状により充填材30が支持されることになり、充填材30が有孔ブロック20の内部に流入するのを防止することができる。
【0037】
エンドプレート50は、例えばポリプロピレン製で、透明又は半透明である。このエンドプレート50は、例えば、ポリプロピレン製の板部材を金型により深絞り成形することにより得られる。
【0038】
このようにエンドプレート50を透明又は半透明にすることにより、エンドプレート50の裏面を透視することができる。このため、例えば、エンドプレート50を有孔ブロック20に固定した後であっても、コーキング材80が確実に配置されているか否かを確認することができ、コーキング材80を適切に設けることができる。
【0039】
なお、エンドプレート50は必ずしもポリプロピレン製のものに限られるものではなく、また、非透明のものであってもよい。さらに、例えば、射出成形など深絞り成形以外の成形方法により加工されたものであってもよく、また、例えば切削加工など成形以外の方法で加工されたものであってもよい。
【0040】
(充填材)
充填材30は、複数の有孔ブロック20を並置する際に、各有孔ブロック20の間に充填する。
充填材30は、モルタル・コンクリート等、間隙等に流動状態で投入した後、経時的に固化する態様のものであれば、公知の充填材を使用することができる。固化した充填材30は、並置した有孔ブロック20の間隙を埋めると共に、各有孔ブロック20どうしを強固に接着して固定することで、有孔ブロック20の上方に載置した除去手段10を安定して支持することができる。
【0041】
有孔ブロック20および充填材30の下方にフリューム70が形成してある場合、充填材30がフリューム70に落下するのを防止するため、有孔ブロック20どうしの間には、それぞれの側壁21bの下方にフリューム70を受けるブリッジング(図外)を配設する。
【0042】
(補強部材)
図1に示すように、本発明の集水装置Xは、充填材30の中には、有孔ブロック20の高さ方向における中間位置より上方に上方補強部材41、および、中間位置より下方に下方補強部材42を配設してある。
【0043】
本構成であれば、有孔ブロック20に上向荷重あるいは下向荷重が作用した場合であっても、固化した充填材30の上側領域には上方補強部材補強部材41が存在し、下側領域には下方補強部材42が存在するため、上側領域および下側領域には引張応力が発生し難くなる。そのため、固化した充填材30における上側領域あるいは下側領域が破壊されるのを未然に防止できる。
補強部材40である上方補強部材41および下方補強部材42は、例えば鉄筋・木材等を使用することができるが、これらに限られるものではない。固化した充填材30がその長さに亘って破壊しないようにするため、例えば水平に長尺状に配置できる態様のものであれば使用できる。
【0044】
(集水装置の施工方法)
本発明の集水装置Xの施工方法は、図3に示したように、有孔ブロック接続工程P1と、有孔ブロック設置工程P2と、補強部材配設工程P3と、充填工程P4と、を有する。
【0045】
有孔ブロック接続工程P1は、有孔ブロック20の複数を長手方向に一列に接続する。
有孔ブロック設置工程P2は、上述した接続工程P1により一列に接続された有孔ブロックの列を設置する。また、図4に示すように、長手方向の端部に配置された有孔ブロック20にエンドプレート50が設けられる。先ず、図5に示すように、エンドプレート50の外周当接面51の全周に沿ってコーキング材80が設けられる。このとき、案内溝51aがコーキング材80を案内するので、コーキング材80を適切な位置に設けることができる。その後、中央膨出部54を中央流通部Aに挿入し、側方膨出部53を側方流通部Bにそれぞれ挿入することにより、外周当接面51を外周端面21dに、内側当接面52を内側端面22aにそれぞれ当接させる。その後、外周当接面51に形成された被固定部51bと有孔ブロック20とに渡ってステープル90(固定具9の一例)を穿設することにより、エンドプレート50を有孔ブロック20に固定する。
【0046】
上述のように、コーキング材80を案内溝51aに沿って設けることにより、確実に有孔ブロック20の外周端面22aの位置に対応させてコーキング材80を設けることができる。なお、この実施形態において、案内溝51aは外周当接面51の全周に渡って連続的に形成されるのではなく、断続的に形成されるものの案内溝51aが形成されていない被固定部51bにおいても、隣接する案内溝51a同士を結ぶようにコーキング材80を設けることにより、適切な位置にコーキング材80を設けることができる。また、被固定部51bには案内溝51aが形成されていないので、当接面51にステープル90を穿設するに際し、案内溝51aが邪魔になることがなく、エンドプレート50を確実に有孔ブロック20に固定することができる。
【0047】
補強部材配設工程P3は、有孔ブロック設置工程P2により設置された有孔ブロックの列に隣接して、有孔ブロック20の高さ方向における中間位置より上方に上方補強部材41、および、中間位置より下方に下方補強部材42を配設する。
本実施形態では、上述の有孔ブロック設置工程P2と補強部材配設工程P3とが交互に繰り返されて、並列に配設した各有孔ブロック20の間に、上方補強部材41、および、下方補強部材42を配設した状態となる。
充填工程P4は、並列に配設した各有孔ブロック20の間に充填材30を充填する。
【0048】
(逆洗処理)
水処理設備Yで被処理水を濾過処理するに従い、経時的に処理層11が被除去物によって目詰まりする。当該目詰まりが発生すれば処理層の濾過性能は低下する。そのため、定期的に逆洗処理を行って処理層に詰まった被除去物を除去している。当該逆洗処理を行うことで、処理層の濾過性能を復活させることができる。
【0049】
本実施形態の逆洗処理は、有孔ブロック20の下方に設けたフリューム70や中央流通部Aに接続された配管等を介して、中央流通部A内に気体あるいは液体等の逆洗用媒体を流通させる。具体的には、当該逆洗用媒体を、中央流通部Aから、傾斜内壁22の内壁孔部b1〜b3、上壁21aの上壁孔部a1、および多孔プレート60を介して除去手段の処理層11に噴出させる。この噴出された逆洗用媒体によって、処理層11に詰まった異物(被除去物)を取り除くことができる。
尚、本実施形態では、集水処理時には処理水を配管によって所定の貯水槽に搬送しているが、逆洗処理時には、処理水を所定の貯水槽に搬送する方向とは逆方向に逆洗用媒体を当該配管によって流通させる。
【0050】
[別実施形態]
上述の実施形態では、案内溝51bを断続的に設ける例を示したが、案内溝51bは、外周当接面の全周に沿って連続的に形成しても良い。また、固定具は、用いない、又は、ステープル以外のものであってもよい。
また、上述の実施形態では、エンドプレート50の当接面のうち外周当接面51にのみ案内溝51bを設ける場合を例に説明したが、内側当接面52にもコーキング材80を設ける場合には、内側当接面52にも案内溝51bを設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、上水・用水・工業用水・生活廃水・工業廃水等などの被処理水に含まれる懸濁物(被除去物)を、ろ過・吸着・分解により、除去し、被除去物が除去された処理水を集水する処理を行う水処理設備において、集水装置で使用される有孔ブロックの端部を閉鎖するエンドプレートおよびその施工方法として利用することができる。
【符号の説明】
【0052】
X 集水装置
9 固定具
10 除去手段
11 処理層
12 粒状媒体
20 有孔ブロック
21d 外周端面
22a 内側端面
50 エンドプレート
51 外周当接面
51a 案内溝
51b 被固定部
52 内側当接面
80 コーキング部材
90 ステープル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の孔を備えた上壁、一対の側壁、および底壁により外周が囲われるとともに内部に上壁の孔と連通する内部空間を備える有孔ブロックの端部の開口を閉鎖するエンドプレートであって、
前記有孔ブロックの前記開口の側の端面に対応して当接する当接面に溝部が形成されているエンドプレート。
【請求項2】
前記溝部が前記有孔ブロックの周縁に対応して前記当接面に断続的に形成されている請求項1に記載のエンドプレート。
【請求項3】
前記エンドプレートが透明又は半透明である請求項1又は2に記載のエンドプレート。
【請求項4】
請求項1に記載のエンドプレートを用いて有孔ブロックの端部開口を閉鎖するエンドプレートの施工方法であって、エンドプレートに形成された前記溝部にコーキング材を充填する充填工程と、有孔ブロックの開口端面にエンドプレートを当接する閉鎖工程とを有することを特徴とするエンドプレートの施工方法。
【請求項5】
請求項2に記載のエンドプレートを用いて有孔ブロックの端部開口を閉鎖するエンドプレートの施工方法であって、エンドプレートに形成された前記溝部にコーキング材を充填する充填工程と、有孔ブロックの開口端面にエンドプレートを当接する閉鎖工程と、断続的に形成された溝部の溝部同士の隙間に対応する位置に、有孔ブロックの開口端面でエンドプレートを固定する固定具を穿設する固定工程とを有することを特徴とするエンドプレートの施工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−216159(P2010−216159A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−64854(P2009−64854)
【出願日】平成21年3月17日(2009.3.17)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】