説明

オキシム誘導体

【課題】毒性が低く優れた免疫抑制作用を有する化合物、その薬理上許容される塩又はその薬理上許容されるプロドラッグを提供することである。
【解決手段】一般式(I)
【化1】


[式中、R1及びR2は、水素原子等を示し、R4は、C−Cアルキル基を示し、mは、0乃至2の整数を示し、nは、0乃至4の整数を示し、Xは、硫黄原子又は式N−Dを有する基等を示し、R5及びR6は、水素原子等を示し、Rは、C−Cアルキル基を示し、Rは、C−C10アリ−ル基、5員環乃至6員環へテロアリール基等を示す]を有する化合物、その薬理上許容される塩又はその薬理上許容されるプロドラッグ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れた免疫抑制作用を有するオキシム誘導体、その薬理上許容される塩又はその薬理上許容されるプロドラッグに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自己免疫疾患等の治療においては、対症療法としてステロイドなどの抗炎症薬が使用されており、根本的治療法の開発が望まれている。また、糖尿病、腎炎の発症においても免疫系の異常が関与することは報告されているが(例えば、非特許文献1参照)、その異常を改善するような薬剤の開発には至っていない。
【0003】
一方、免疫応答を抑制する方法の開発は、臓器及び細胞移植における拒絶反応の防止並びに種々の自己免疫疾患を治療及び予防する上でも極めて重要である。しかしながら、シクロスポリンA(CsA)やタクロリムス(TRL)等の従来知られている免疫抑制剤は、腎臓及び肝臓に対して毒性を示すことが知られており、そのような副作用を軽減するために、ステロイド類を併用するなどの治療が広く用いられてきたが、副作用を示すことなく十分な免疫抑制効果を発揮するには至っていないのが現状である。
【0004】
このような背景から、毒性が低く、優れた免疫抑制作用を有する化合物を見出すことが試みられている。
【0005】
これまでに、オキシム誘導体を有する免疫抑制剤として、以下に示すような化合物が開示されている(特許文献1参照)。
【0006】
【化1】

【0007】
しかしながら、上記特許文献1に開示されている化合物は、その化合物の中心となる環状構造が本願発明の化合物と異なり、又、本願発明の化合物は、アミノアルコール部分の構造に不斉炭素を有する光学活性体である点でも異なる。
【特許文献1】国際公開第2004/071442号パンフレット
【非特許文献1】Kidney International, vol.51, 94(1997);Journal of Immunology, vol.157, 4691(1996)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者らは、毒性が低く優れた免疫抑制作用を有する新規化合物に関して、長年に亘り鋭意検討を重ねた結果、各種臓器移植又は皮膚移植での拒絶反応、全身性エリトマトーデス、慢性関節リウマチ、多発性筋炎、結合組織炎、骨格筋炎、骨関節炎、変形性関節症、皮膚筋炎、強皮症、ベーチェット病、Chron病、潰瘍性大腸炎、自己免疫性肝炎、再生不良性貧血、特発性血小板減少性紫斑病、自己免疫性溶血性貧血、多発性硬化症、自己免疫性水疱症、尋常性乾癬、血管炎症群、Wegener肉芽腫、ぶどう膜炎、シェーグレン症候群、特発性間質性肺炎、Goodpasture症候群、サルコイドーシス、アレルギー性肉芽腫性血管炎、気管支喘息、心筋炎、心筋症、大動脈炎症候群、心筋梗塞後症候群、原発性肺高血圧症、微小変化型ネフローゼ、膜性腎症、膜性増殖性腎炎、巣状糸球体硬化症、半月体形成性腎炎、重症筋無力症、炎症性ニューロパチー、アトピー性皮膚炎、慢性光線性皮膚炎、日光過敏症、蓐瘡、Sydenham舞踏病、硬化症、成人発症糖尿病、インスリン依存性糖尿病、若年性糖尿病、アテローム性動脈硬化症、糸球体腎炎、IgA腎症、尿細管間質性腎炎、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、劇症肝炎、ウイルス性肝炎、GVHD、接触皮膚炎、敗血症等の自己免疫疾患又はその他免疫関連疾患、さらに、真菌、マイコプラズマ、ウィルス、原虫等の感染症、心不全、心肥大、不整脈、狭心症、心虚血、動脈塞栓、動脈瘤、静脈瘤、血行障害等の循環器系疾患、アルツハイマー病、痴呆、パーキンソン病、脳卒中、脳梗塞、脳虚血、鬱病、躁鬱病、統合失調症、ハンチントン舞踏病、癲癇、痙攣、多動症、脳炎、髄膜炎、食欲不振および過食等の中枢系疾患、リンパ腫、白血病、多尿、頻尿、糖尿病性網膜症等の各種疾患(特に、各種臓器移植又は皮膚移植での拒絶反応、全身性エリトマトーデス、慢性関節リウマチ、多発性硬化症、アトピー性皮膚炎等の自己免疫疾患)に有用である新規化合物を見出して、本発明を完成した。
【0009】
従って、本発明の課題は、毒性が低く優れた免疫抑制作用を有する新規化合物、その薬理上許容される塩又はその薬理上許容されるプロドラッグを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、免疫抑制作用を有する化合物について鋭意研究を行った結果、本発明の一般式(I)を有する化合物、その薬理上許容される塩又はその薬理上許容されるプロドラッグ(以下、本発明化合物と略記することがある)が、毒性が低く優れた免疫抑制作用を有し、上記疾患の予防又は治療に有用であることを見出し、本発明を完成した。
【0011】
以下に、本発明を説明する。本発明は、
(1)一般式(I)
【0012】
【化2】

【0013】
[式中、
1及びR2は、各々独立に、水素原子、C1−6アルキル基又はアミノ基の保護基を示し、
3は、水素原子又は水酸基の保護基を示し、
4は、C1−6アルキル基を示し、
mは、0乃至2の整数を示し、
nは、0乃至5の整数を示し、
Xは、硫黄原子又は式N−Dを有する基(式中、Dは水素原子、C1−6アルキル基、C6−10アリール基、C1−6アルキルスルホニル基又はC6−10アリールスルホニル基を示す。)を示し、
5及びR6は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子又はC1−6アルキル基を示し、
は、C1−6アルキル基を示し、
は、水素原子、C3−6シクロアルキル基、5−6員環へテロアルキル基、C6−10アリ−ル基、5−6員環へテロアリール基、置換基群Aから選択される基で1乃至3個置換されたC3−6シクロアルキル基、置換基群Aから選択される基で1乃至3個置換された5−6員環へテロアルキル基、置換基群Aから選択される基で1乃至3個置換されたC6−10アリ−ル基及び置換基群Aから選択される基で1乃至3個置換された5−6員環へテロアリール基からなる群より選択される基を示し、
置換基群Aは、ハロゲン原子、C1−6アルキル基、C3−6シクロアルキル基、5−6員環へテロアルキル基、C6−10アリール基、5−6員環へテロアリール基、置換基群Bから選択される基で1乃至3個置換されたC3−6シクロアルキル基、置換基群Bから選択される基で1乃至3個置換された5−6員環へテロアルキル基、置換基群Bから選択される基で1乃至3個置換されたC6−10アリ−ル基又は置換基群Bから選択される基で1乃至3個置換された5−6員環へテロアリール基、ハロゲノC1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、C1−6アルキルチオ基、カルボキシ基、C1−6アルコキシカルボニル基、ヒドロキシ基、C1−6脂肪族アシル基、アミノ基、C1−6モノアルキルアミノ基、C1−6ジアルキルアミノ基、C1−6脂肪族アシルアミノ基、シアノ基及びニトロ基からなる群を示し、
置換基群Bは、ハロゲン原子、C1−6アルキル基、C3−6シクロアルキル基、ハロゲノC1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、C1−6アルキルチオ基、シアノ基及びニトロ基からなる群を示す。]
を有する化合物、その薬理上許容される塩又はその薬理上許容されるプロドラッグである。上記本発明の化合物として好適なものは、
(2)R1及びR2が共に、水素原子である、(1)に記載された化合物又はその薬理上許容される塩、
(3)Rが、水素原子である、(1)又は(2)に記載された化合物又はその薬理上許容される塩、
(4)Rが、メチル基又はエチル基である、(1)乃至(3)から選択されるいずれか1項に記載された化合物又はその薬理上許容される塩、
(5)Rが、メチル基である、(1)乃至(3)から選択されるいずれか1項に記載された化合物又はその薬理上許容される塩、
(6)mが、0である、(1)乃至(5)から選択されるいずれか1項に記載された化合物又はその薬理上許容される塩、
(7)nが、1乃至4である、(1)乃至(6)から選択されるいずれか1項に記載された化合物又はその薬理上許容される塩、
(8)Xが、硫黄原子又は式N−Dを有する基(式中、DはC1−6アルキル基を示す。)である、(1)乃至(7)から選択されるいずれか1項に記載された化合物又はその薬理上許容される塩、
(9)Xが、式N−Dを有する基(式中、Dはメチル基又はエチル基を示す。)である、(1)乃至(7)から選択されるいずれか1項に記載された化合物又はその薬理上許容される塩、
(10)R5及びR6が共に、水素原子である、(1)乃至(9)から選択されるいずれか1項に記載された化合物又はその薬理上許容される塩、
(11)Rが、C1−3アルキル基である、(1)乃至(10)から選択されるいずれか1項に記載された化合物又はその薬理上許容される塩、
(12)Rが、置換基群Aから選択される基で1個置換されたC6−10アリ−ル基又は置換基群Aから選択される基で1個置換された5−6員環へテロアリール基である、(1)乃至(11)から選択されるいずれか1項に記載された化合物又はその薬理上許容される塩、
(13)Rが、置換基群Aから選択される基で1個置換されたフェニル基である、(1)乃至(11)から選択されるいずれか1項に記載された化合物又はその薬理上許容される塩及び
(14)下記から選択される請求項1に記載された化合物又はその薬理上許容される塩:
1−[5−((3R)−3−アミノ−4−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−1−メチル−1H−ピロール−2−イル]エタノン O−ビフェニル−4−イルメチルオキシム、
1−[5−((3R)−3−アミノ−4−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−1−メチル−1H−ピロール−2−イル]エタノン O−(4−チオフェン−3−イルフェニルメチル)オキシム、
1−[5−((3R)−3−アミノ−4−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−1−メチル−1H−ピロール−2−イル]エタノン O−(3−フェニルプロピル)オキシム及び
1−[5−((3R)−3−アミノ−4−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−1−メチル−1H−ピロール−2−イル]エタノン O−(2−フェニルエチル)オキシム
である。
【0014】
また本発明は、
(15)(1)乃至(14)に記載された化合物又はその薬理上許容される塩の1種又は2種以上を有効成分として含有する医薬組成物、
(16)皮膚移植又は臓器移植での拒絶反応を抑制するための(15)に記載された医薬組成物、
(17)自己免疫疾患の予防又は治療(特に治療)するための(15)に記載された医薬組成物及び
(18)自己免疫疾患が関節リウマチ、乾癬、アトピー性皮膚炎、多発性硬化症、潰瘍性大腸炎及びクローン病からなる群より選択される1種又は2種以上である、(17)に記載された医薬組成物を提供する。
【0015】
更に本発明は、
(19)哺乳動物に(15)に記載された医薬組成物の有効量を投与することを特徴とする、皮膚移植又は臓器移植での拒絶反応の抑制方法、
(20)哺乳動物に(15)に記載された医薬組成物の有効量を投与することを特徴とする、自己免疫疾患の予防又は治療(特に治療)方法及び
(21)自己免疫疾患が関節リウマチ、乾癬、アトピー性皮膚炎、多発性硬化症、潰瘍性大腸炎及びクローン病からなる群より選択される1種又は2種以上である、(20)に記載された予防又は治療(特に治療)方法を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一般式(I)を有する化合物、その薬理上許容される塩又はその薬理上許容されるプロドラッグを含有する医薬組成物は、毒性が低く優れた免疫抑制作用を有し、特に、各種臓器移植又は皮膚移植での拒絶反応、全身性エリトマトーデス、慢性関節リウマチ、多発性筋炎、結合組織炎、骨格筋炎、骨関節炎、変形性関節症、皮膚筋炎、強皮症、ベーチェット病、Chron病、潰瘍性大腸炎、自己免疫性肝炎、再生不良性貧血、特発性血小板減少性紫斑病、自己免疫性溶血性貧血、多発性硬化症、自己免疫性水疱症、尋常性乾癬、血管炎症群、Wegener肉芽腫、ぶどう膜炎、シェーグレン症候群、特発性間質性肺炎、Goodpasture症候群、サルコイドーシス、アレルギー性肉芽腫性血管炎、気管支喘息、心筋炎、心筋症、大動脈炎症候群、心筋梗塞後症候群、原発性肺高血圧症、微小変化型ネフローゼ、膜性腎症、膜性増殖性腎炎、巣状糸球体硬化症、半月体形成性腎炎、重症筋無力症、炎症性ニューロパチー、アトピー性皮膚炎、慢性光線性皮膚炎、日光過敏症、蓐瘡、Sydenham舞踏病、硬化症、成人発症糖尿病、インスリン依存性糖尿病、若年性糖尿病、アテローム性動脈硬化症、糸球体腎炎、IgA腎症、尿細管間質性腎炎、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、劇症肝炎、ウイルス性肝炎、GVHD、接触皮膚炎、敗血症等の自己免疫疾患又はその他免疫関連疾患、さらに、真菌、マイコプラズマ、ウィルス、原虫等の感染症、心不全、心肥大、不整脈、狭心症、心虚血、動脈塞栓、動脈瘤、静脈瘤、血行障害等の循環器系疾患、アルツハイマー病、痴呆、パーキンソン病、脳卒中、脳梗塞、脳虚血、鬱病、躁鬱病、統合失調症、ハンチントン舞踏病、癲癇、痙攣、多動症、脳炎、髄膜炎、食欲不振および過食等の中枢系疾患、リンパ腫、白血病、多尿、頻尿、糖尿病性網膜症等の各種疾患(特に、各種臓器移植又は皮膚移植での拒絶反応、全身性エリトマトーデス、慢性関節リウマチ、多発性硬化症、アトピー性皮膚炎等の自己免疫疾患)の哺乳類用(特に、ヒト用)の予防剤若しくは治療剤(好適には、治療剤)として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の一般式(I)を有する化合物以下に具体的に説明する。
【0018】
【化3】

【0019】
上記一般式中、R及びRとして、好適には、各々独立に、水素原子、C1−6アルキル基又はC1−6アルキル−カルボニル基であり、更に好適には、水素原子、メチル、エチル、アセチル又はプロピオニル基であり、より更に好適には、水素原子である。
【0020】
上記式中、Rとして、好適には、水素原子又はC1−6アルキル−カルボニル基であり、更に好適には、水素原子、アセチル又はプロピオニル基であり、より更に好適には、水素原子である。
【0021】
上記式中、Rとして、好適には、C1−6アルキル基であり、更に好適には、メチル又はエチル基であり、より更に好適には、メチル基である。
【0022】
上記式中、mとして、好適には、0である。
【0023】
上記式中、nとして、好適には、1乃至4である。
【0024】
上記式中、Xとして、好適には、硫黄原子又は式N−Dを有する基(式中、Dは水素原子、C1−6アルキル基)を示し、更に好適には、式N−Dを有する基(式中、DはC1−6アルキル基)を示し、より更に好適には、N−CH基又はN−CHCH基を示し、特により好適には、N−CH基である。
【0025】
上記式中、R及びRとして、好適には、水素原子、ハロゲン元素又はメチル基であり、更に好適には、水素原子、フッ素原子、塩素原子又はメチル基であり、より更に好適には、水素原子である。
【0026】
上記式中、Rとして、好適には、メチル又はエチル基であり、更に好適には、メチル基である。
【0027】
上記式中、Rとして、好適には、置換基群Aから選択される基で1個置換されたC6−10アリ−ル基又は置換基群Aから選択される基で1個置換された5−6員環へテロアリール基であり、更に好適には、置換基群Aから選択される基で1個置換されたフェニル基である。
【0028】
上記式中、R1、R、R、R5、R6、R、X、置換基群A及び置換基群Bの定義における「C1−6アルキル基」とは、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル基などである。
【0029】
上記式中、R1及びR2の定義における「アミノ基の保護基」とは、例えば、ホルミル、C1−6アルキル−カルボニル(例、アセチル、プロピオニルなど)、C1−6アルコキシ−カルボニル(例、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニルなど)、ベンゾイル、C7−10アラルキル−カルボニル(例、ベンジルカルボニルなど)、C7−14アラルキルオキシ−カルボニル(例、ベンジルオキシカルボニル、9−フルオレニルメトキシカルボニルなど)、トリチル、フタロイル、N,N−ジメチルアミノメチレン、シリル(例、トリメチルシリル、トリエチルシリル、ジメチルフェニルシリル、tert−ブチルジメチルシリル、tert−ブチルジエチルシリルなど)、C2−6アルケニル(例、1−アリルなど)などである。これらの基は、1乃至3個のハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素など)、C1−6アルコキシ(例、メトキシ、エトキシ、プロポキシなど)又はニトロなどで置換されていてもよい。
【0030】
上記式中、R3の定義における「水酸基の保護基」とは、例えば、C1−6アルキル(例、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチルなど)、フェニル、トリチル、C7−10アラルキル(例、ベンジルなど)、ホルミル、C1−6アルキル−カルボニル(例、アセチル、プロピオニルなど)、ベンゾイル、C7−10アラルキル−カルボニル(例、ベンジルカルボニルなど)、2−テトラヒドロピラニル、2−テトラヒドロフラニル、シリル(例、トリメチルシリル、トリエチルシリル、ジメチルフェニルシリル、tert−ブチルジメチルシリル、tert−ブチルジエチルシリルなど)、C2−6アルケニル(例、1−アリルなど)などである。
【0031】
上記式中、R、X及び置換基群Aの定義における「C6−10アリール基」とは、例えば、フェニル、ナフタレニル、インデニル基などである。
【0032】
上記式中、Xの定義における「C1−6アルキルスルホニル基」とは、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、イソプロピルスルホニル、ブチルスルホニル、sec−ブチルスルホニル、tert−ブチルスルホニル基などである。
【0033】
上記式中、Xの定義における「C6−10アリールスルホニル基」とは、例えば、フェニルスルホニル、1−ナフチルスルホニル、2−ナフチルスルホニル基などである。
【0034】
上記式中、R5、R6、置換基群A及び置換基群Bの定義における「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子である。
【0035】
上記式中、R、置換基群A及び置換基群Bの定義における「C3−6シクロアルキル基」とは、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル基である。
【0036】
上記式中、R及び置換基群Aの定義における「5−6員環へテロアルキル基」とは、例えば、炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子および酸素原子から選ばれるヘテロ原子1個以上(例えば、1乃至3個)を含む5または6員の単環式非芳香族複素環基などであり、例えば、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロフラニル、ピロリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、テトラヒドロチアゾリル、テトラヒドロイソチアゾリル、テトラヒドロオキサゾリル、テトラヒドロイソオキサゾリル、ピペリジニル、テトラヒドロピリジル、ジヒドロピリジル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、テトラヒドロピリミジニル、テトラヒドロピリダジニル、ヘキサメチレンイミニル、ジオキサニル基などである。
【0037】
上記式中、R及び置換基群Aの定義における「5−6員環へテロアリール基」とは、例えば、炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子および酸素原子から選ばれるヘテロ原子1個以上(例えば、1乃至3個)を含む5または6員芳香族複素環基などであり、例えば、チエニル、フリル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、フラザニルなどである。
【0038】
上記式中、置換基群A及び置換基群Bの定義における「ハロゲノC1−6アルキル基」とは、例えば、1乃至5個、好適には、1乃至3個のハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素など)を有していてもよいC1−6アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシルなど)であり、例えば、メチル、クロロメチル、ジフルオロメチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、エチル、2−ブロモエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、ペンタフルオロエチル、プロピル、3,3,3−トリフルオロプロピル、イソプロピル、ブチル、4,4,4−トリフルオロブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、5,5,5−トリフルオロペンチル、ヘキシル、6,6,6−トリフルオロヘキシルなどである。
【0039】
上記式中、置換基群A及び置換基群Bの定義における「C1−6アルコキシ基」とは、例えば、炭素数1乃至6個の直鎖若しくは分枝鎖アルコキシ基であり得、好適には、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ又はイソブトキシ基である。
【0040】
上記式中、置換基群A及び置換基群Bの定義における「C1−6アルキルチオ基」とは、上記C1−6アルキル基に硫黄原子が結合した基であり、好適には、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ基であり、更に好適には、メチルチオ、エチルチオ基である。
【0041】
上記式中、置換基群Aの定義における「C−Cアルコキシカルボニル基」とは、例えば、炭素数1乃至6個の直鎖若しくは分枝鎖アルコキシカルボニル基であり得、好適には、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル基であり、更に好適には、メトキシカルボニル又はエトキシカルボニル基である。
【0042】
上記式中、置換基群Aの定義における「C1−6脂肪族アシル基」とは、例えば、炭素数1乃至6個の直鎖若しくは分枝鎖アルキルカルボニル基であり得、好適には、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソプロピルカルボニル、ピバロイル基であり、更に好適には、アセチル又はプロピオニル基である。
【0043】
上記式中、置換基群Aの定義における「C1−6モノアルキルアミノ基」とは、上記C1−6アルキル基が1つ置換したアミノ基であり、例えば、炭素数1乃至6個の直鎖若しくは分枝鎖アルキル基が1つ置換したアミノ基であり得、好適には、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、イソプロピルアミノ又はブチルアミノ基であり、更に好適には、メチルアミノ、エチルアミノ又はプロピルアミノ基である。
【0044】
上記式中、置換基群Aの定義における「C1−6ジアルキルアミノ基」とは、上記C1−6アルキル基が2つ置換したアミノ基であり、例えば、炭素数1乃至6個の直鎖若しくは分枝鎖アルキル基が2つ置換したアミノ基であり得、好適には、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、ジイソプロピルアミノ又はジブチルアミノ基であり、更に好適には、ジメチルアミノ又はジエチルアミノ基である。
【0045】
上記式中、置換基群Aの定義における「C1−6脂肪族アシルアミノ基」とは、上記C1−6脂肪族アシル基が置換したアミノ基であり、好適には、アセチルアミノ、プロピオニルアミノ、ブチリルアミノ、イソプロピルカルボニルアミノ、ピバロイルアミノ基であり、更に好適には、アセチルアミノ又はプロピオニルアミノ基である。
【0046】
上記における「その薬理上許容される塩」とは、本発明の一般式(I)を有する化合物が、酸性基または塩基性基を有する場合に、塩基又は酸と反応させることにより、生成する塩基性塩又は酸性塩を示す。
【0047】
本発明の一般式(I)を有する化合物の薬理上許容される「塩基性塩」としては、好適には、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩のようなアルカリ金属塩;マグネシウム塩、カルシウム塩のようなアルカリ土類金属塩;N−メチルモルホリン塩、トリエチルアミン塩、トリブチルアミン塩、ジイソプロピルエチルアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N−メチルピペリジン塩、ピリジン塩、4−ピロリジノピリジン塩、ピコリン塩のような有機塩基塩類又はグリシン塩、リジン塩、アルギニン塩、オルニチン塩、グルタミン酸塩、アスパラギン酸塩のようなアミノ酸塩であり、好適には、アルカリ金属塩である。
【0048】
本発明の一般式(I)を有する化合物の薬理上許容される「酸性塩」としては、好適には、フッ化水素酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩のようなハロゲン化水素酸塩、硝酸塩、過塩素酸塩、硫酸塩、リン酸塩等の無機酸塩;メタンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩のような低級アルカンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩のようなアリ−ルスルホン酸塩、酢酸塩、リンゴ酸塩、フマ−ル酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、アスコルビン酸塩、酒石酸塩、蓚酸塩、マレイン酸塩等の有機酸塩;及び、グリシン塩、リジン塩、アルギニン塩、オルニチン塩、グルタミン酸塩、アスパラギン酸塩のようなアミノ酸塩であり、最も好適には、ハロゲン化水素酸塩である。
【0049】
上記における「治療する」とは、病気又は症状を治癒させること又は改善させること或いは症状を抑制させることを意味する。
【0050】
上記における「その薬理上許容されるプロドラッグ」とは、生体内における生理条件下で酵素や胃酸等による反応により化合物(I)に変換される化合物、すなわち、酵素的に酸化、還元、加水分解等を起こして化合物(I)に変化される化合物又は胃酸等により加水分解などを起こして化合物(I)に変化される化合物である。
【0051】
上記プロドラッグとしては、化合物(I)にアミノ基が存在する場合には、そのアミノ基がアシル化、アルキル化、りん酸化された化合物(例えば、化合物(I)のアミノ基がエイコサノイル化、アラニル化、ペンチルアミノカルボニル化、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メトキシカルボニル化、テトラヒドロフラニル化、ピロリジルメチル化、ピバロイルオキシメチル化、t−ブチル化された化合物等である);化合物(I)に水酸基が存在する場合には、その水酸基がアシル化、アルキル化、りん酸化、ほう酸化された化合物(例えば、化合物(I)の水酸基がアセチル化、パルミトイル化、プロパノイル化、ピバロイル化、サクシニル化、フマリル化、アラニル化、ジメチルアミノメチルカルボニル化された化合物等である);化合物(I)にカルボキル基が存在する場合には、そのカルボキシル基がエステル化、アミド化された化合物(例えば、化合物(I)のカルボキシル基がエチルエステル化、フェニルエステル化、カルボキシメチルエステル化、ジメチルアミノメチルエステル化、ピバロイルオキシメチルエステル化、エトキシカルボニルオキシエチルエステル化、フタリジルエステル化、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチルエステル化、シクロヘキシルオキシカルボニルエチルエステル化、メチルアミド化された化合物等である)などが挙げられる。
【0052】
これらの化合物は公知の方法によって化合物(I)から製造することができる。
【0053】
また、本発明の化合物のプロドラッグは、広川書店1990年刊「医薬品の開発」第7巻分子設計163頁から198頁に記載されているような、生理的条件で化合物(I)に変化するものも含まれる。
【0054】
本発明の化合物は、大気中に放置したり又は再結晶をすることにより、水分を吸収し、吸着水が付いたり、水和物となったりする場合があり、そのような水和物も本発明に包含される。
【0055】
本発明の化合物は、同位体元素(例えば、H、14C、35S等)で標識されているものも含まれる。
【0056】
本発明の化合物においては、光学異性体および光学異性体の混合物がすべて単一の式、即ち(R)−異性体で示されている。これは、本発明は光学異性体のうち(R)−異性体を主として含有するものであるが、製造方法等の理由により、少量の(S)−異性体の混合物をも含むものである。
【0057】
本発明の一般式(I)を有する化合物の好ましい具体例としては、例えば、下記表1に記載された一般式(I−1)を有する化合物であるが、本発明は、これらの化合物に限定されるものではない。
【0058】
表中の略号は以下の通りである。
Et エチル基
Me メチル基
Thi チエニル基
Ph フェニル基
(表1)
【0059】
【化4】

【0060】
化合物番号 X Y Z n
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
1 S Me 4−PhPh 3
2 S Me 4−PhPh 2
3 S Me 4−PhPh 1
4 S Me 4−(3−Thi)Ph 2
5 S Me 4−(3−Thi)Ph 1
6 S Me 4−(2−Thi)Ph 2
7 S Me 4−(2−Thi)Ph 1
8 S Me Ph 5
9 S Me Ph 4
10 S Me Ph 3
11 S Me Ph 2
12 S Me Ph 1
13 S Me 4−MePh 4
14 S Me 4−MePh 3
15 S Me 4−MePh 2
16 S Me 4−MePh 1
17 S Et 4−PhPh 3
18 S Et 4−PhPh 2
19 S Et 4−PhPh 1
20 S Et 4−(3−Thi)Ph 2
21 S Et 4−(3−Thi)Ph 1
22 S Et 4−(2−Thi)Ph 2
23 S Et 4−(2−Thi)Ph 1
24 S Et Ph 5
25 S Et Ph 4
26 S Et Ph 3
27 S Et Ph 2
28 S Et Ph 1
29 S Et 4−MePh 4
30 S Et 4−MePh 3
31 S Et 4−MePh 2
32 S Et 4−MePh 1
33 NMe Me 4−PhPh 3
34 NMe Me 4−PhPh 2
35 NMe Me 4−PhPh 1
36 NMe Me 4−(3−Thi)Ph 2
37 NMe Me 4−(3−Thi)Ph 1
38 NMe Me 4−(2−Thi)Ph 2
39 NMe Me 4−(2−Thi)Ph 1
40 NMe Me Ph 5
41 NMe Me Ph 4
42 NMe Me Ph 3
43 NMe Me Ph 2
44 NMe Me Ph 1
45 NMe Me 4−MePh 4
46 NMe Me 4−MePh 3
47 NMe Me 4−MePh 2
48 NMe Me 4−MePh 1
49 NMe Et 4−PhPh 3
50 NMe Et 4−PhPh 2
51 NMe Et 4−PhPh 1
52 NMe Et 4−(3−Thi)Ph 2
53 NMe Et 4−(3−Thi)Ph 1
54 NMe Et 4−(2−Thi)Ph 2
55 NMe Et 4−(2−Thi)Ph 1
56 NMe Et Ph 5
57 NMe Et Ph 4
58 NMe Et Ph 3
58 NMe Et Ph 2
59 NMe Et Ph 1
60 NMe Et 4−MePh 4
61 NMe Et 4−MePh 3
62 NMe Et 4−MePh 2
63 NMe Et 4−MePh 1
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−。
【0061】
表中、好適なものは、化合物番号35乃至43であり、更に好適な化合物は、
例示化合物番号35:1−[5−((3R)−3−アミノ−4−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−1−メチル−1H−ピロール−2−イル]エタノン O−ビフェニル−4−イルメチルオキシム、
例示化合物番号37:1−[5−((3R)−3−アミノ−4−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−1−メチル−1H−ピロール−2−イル]エタノン O−(4−チオフェン−3−イルフェニルメチル)オキシム、
例示化合物番号42:1−[5−((3R)−3−アミノ−4−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−1−メチル−1H−ピロール−2−イル]エタノン O−(3−フェニルプロピル)オキシム及び
例示化合物番号43:1−[5−((3R)−3−アミノ−4−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−1−メチル−1H−ピロール−2−イル]エタノン O−(2−フェニルエチル)オキシムである。
(一般的製法)
本発明の一般式(I)を有する化合物は、以下に記載された方法に従って製造することができる。
【0062】
下記の製造方法は、通常、公知の方法に準じて行われた。公知の方法としては、例えば、「オルガニック ファンクショナル グループ プレパレーションズ(ORGANIC FUNCTIONAL GROUP PREPARATIONS)」、第2版、アカデミック プレス(ACADEMIC PRESS,INC.)、1989年刊、「コンプレヘンシブ オルガニック トランスフォーメーションズ(Comprehensive Organic Transformations)」、VHC パブリッシャー(VCH Publishers Inc.)、1989年刊等に記載された方法がある。
【0063】
また、官能基の種類によっては、その官能基を原料乃至中間体の段階で適当な保護基、すなわち、容易に当該官能基に変換することが可能な基によって保護しておくことが製造上必要な場合がある。このような場合には、必要に応じて保護基を除去し、所望の化合物を得ることができる。
【0064】
このような官能基としては、例えば、カルボキシル基、水酸基、カルボニル基、アミノ基等があり、それらの保護基としては、例えば、グリーン(Greene)及びウッツ(Wuts)著、「プロテクティブ グループス イン オルガニック シンセシス(Protective Groups in Organic Synthesis)」、第3版、ジョン ウィリー アンド サンズ(JOHN WILEY&SONS,INC.)、1999年刊に記載された保護基であり、これらを反応条件に応じて適宜用いればよい。
【0065】
カルボキシル基の保護基としては、例えば、C1−6アルキル(例、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチルなど)、C7−11アラルキル(例、ベンジルなど)、フェニル、トリチル、シリル(例、トリメチルシリル、トリエチルシリル、ジメチルフェニルシリル、t−ブチルジメチルシリル、t−ブチルジエチルシリルなど)、C2−6アルケニル(例、1−アリルなど)などが用いられる。これらの基は、1乃至3個のハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素など)、C1−6アルコキシ(例、メトキシ、エトキシ、プロポキシなど)またはニトロなどで置換されていてもよい。
【0066】
水酸基の保護基としては、例えば、C1−6アルキル(例、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチルなど)、フェニル、トリチル、C7−11アラルキル(例、ベンジルなど)、ホルミル、C1−6アルキルカルボニル(例、アセチル、プロピオニルなど)、アリルオキシカルボニル、ベンゾイル、C7−11アラルキルカルボニル(例、ベンジルカルボニルなど)、2−テトラヒドロピラニル、2−テトラヒドロフラニル、シリル(例、トリメチルシリル、トリエチルシリル、ジメチルフェニルシリル、t−ブチルジメチルシリル、t−ブチルジエチルシリルなど)、C2−6アルケニル(例、1−アリルなど)などが用いられる。これらの基は、1乃至3個のハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素など)、C1−6アルキル(例、メチル、エチル、プロピルなど)、C1−6アルコキシ(例、メトキシ、エトキシ、プロポキシなど)またはニトロなどで置換されていてもよい。
【0067】
カルボニル基の保護基としては、例えば、環状アセタール(例、1,3−ジオキサンなど)、非環状アセタール(例、ジ−C1−6アルキルアセタールなど)などが用いられる。
【0068】
アミノ基の保護基としては、例えば、ホルミル、C1−6アルキルカルボニル(例、アセチル、プロピオニルなど)、C1−6アルコキシカルボニル(例、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニルなど)、アリルオキシカルボニル、ベンゾイル、C7−11アラルキルカルボニル(例、ベンジルカルボニルなど)、C7−14アラルキルオキシカルボニル(例、ベンジルオキシカルボニル、9−フルオレニルメトキシカルボニルなど)、トリチル、フタロイル、N,N−ジメチルアミノメチレン、シリル(例、トリメチルシリル、トリエチルシリル、ジメチルフェニルシリル、t−ブチルジメチルシリル、t−ブチルジエチルシリルなど)、C2−6アルケニル(例、1−アリルなど)などが用いられる。これらの基は、1乃至3個のハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素など)、C1−6アルコキシ(例、メトキシ、エトキシ、プロポキシなど)またはニトロなどで置換されていてもよい。
【0069】
上記した保護基の除去方法は、自体公知の方法、例えば、酸、塩基、紫外光、ヒドラジン、フェニルヒドラジン、N−メチルジチオカルバミン酸ナトリウム、テトラブチルアンモニウムフルオリド、酢酸パラジウム、トリアルキルシリルハライド(例えば、トリメチルシリルヨージド、トリメチルシリルブロミドなど)などを使用する方法、還元法などが用いられる。
A法は、化合物(I)において、R、R、Rともに水素原子であり、Rがメチルである化合物(I’)を製造する方法である。
A法
【0070】
【化5】

【0071】
上記式中、R、R、R、R、R、R、R、n、mは、前述したものと同意義を示し、Yはハロゲン原子を示す。
【0072】
一般式(II)を有する化合物は、例えば、特開2003−267950公報又は特開2005−047899に記載された方法に準じて合成することができる。

第A1工程
第A1工程は、一般式(IV)を有する化合物を製造する工程であり、一般式(II)を有する化合物を、不活性溶媒中、塩基の存在下、一般式(III)を有する酸ハライド化合物と反応させることにより行われる。
【0073】
上記反応に使用される不活性溶媒としては、本反応に不活性なものであれば特に限定はないが、例えば、ヘキサン、ヘプタン、リグロイン、石油エーテルのような脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類;メチレンクロリド、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンのようなハロゲン化炭化水素類;ギ酸エチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、炭酸ジエチルのようなエステル類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテルのようなエ−テル類;又はアセトニトリル、イソブチルニトリルのようなニトリル類であり、好適には芳香族炭化水素類またはニトリル類である。
【0074】
上記反応に使用される塩基としては、一般式(III)を有する酸ハライド化合物を活性化するものであれば、特に限定されず、例えば4−(N、N−ジメチルアミノピリジン)、4−ピロリジノピリジン又はN−メチルイミダゾールなどである。
【0075】
反応温度は、原料化合物、溶媒、塩基の種類等によって異なるが、通常、0℃乃至200℃であり、好適には、20℃乃至120℃である。
【0076】
反応時間は、原料化合物、その他の反応条件等により異なるが、通常、15分乃至7日間であり、好適には、1時間乃至3日間である。
【0077】
反応終了後、本工程の目的化合物は、常法に従って、反応混合物から採取される。例えば、反応混合物を適宜中和し、又、不溶物が存在する場合には濾過により除去した後、反応液をトルエンのような水と混和しない有機溶媒で抽出し、水等で洗浄後、目的化合物を含む有機層を減圧下濃縮し、溶剤を留去することによって目的化合物が得られる。
【0078】
得られた目的化合物は必要に応じて、常法、例えば再結晶、再沈殿又は通常の有機化合物の分離精製に慣用されている方法(例えば、シリカゲル、アルミナ、マグネシウムーシリカゲル系のフロリジルのような担体を用いた吸着カラムクロマトグラフィー、セファデックスLH−20(ファルマシア社製)、アンバーライトXAD−11(ローム・アンド・ハース社製)、ダイヤイオンHP−20(三菱化学社製)のような担体を用いた分配カラムクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー又はシリカゲル若しくはアルキル化シリカゲルによる順相・逆相カラムクロマトグラフィー、好適には、シリカゲルカラムクロマトグラフィーである。)によって分離、精製することができる。
【0079】
尚、異性体を分離する必要がある場合には、上記各工程の反応終了後又は所望工程の終了後の適切な時期に、上記分離精製手段によって分離することができる。

第A2工程
第A2工程は、一般式(V)を有する化合物を製造する工程であり、不活性溶媒中、塩基の存在下、一般式(IV)を加水分解することにより行われる。
【0080】
上記反応に使用される不活性溶媒としては、本反応に不活性なものであれば特に限定はないが、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテルのようなエーテル類;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール、イソアミルアルコール、ジエチレングリコール、グリセリン、オクタノール、シクロヘキサノール、メチルセロソルブのようなアルコール類;ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミドのようなアミド類;水;又は上記溶媒の混合溶液;あるいは上記溶媒と水との混合溶媒を挙げることができ、好適には、アルコール類とエーテル類と水との混合溶媒又はアルコール類と水との混合溶媒、特に好適には、メタノールとテトラヒドロフランと水との混合溶媒又はメタノールと水との混合溶媒である。
【0081】
上記反応に使用される塩基としては、化合物(IV)の加水分解反応に不活性なものであれば、特に限定されず、例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムのようなアルカリ金属炭酸塩類;炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムのようなアルカリ金属重炭酸塩類;水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウムのようなアルカリ金属水素化物類;水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのようなアルカリ金属水酸化物類;リチウムメトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシドのようなアルカリ金属アルコキシド類;又はトリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン、ピリジン、4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU)のような有機アミン類;であり、好適には、アルカリ金属水酸化物類、特に好適には、水酸化カリウム又は水酸化ナトリウムである。
【0082】
反応温度は、原料化合物、用いられる試薬、溶媒の種類等によって異なるが、通常、0℃乃至200℃であり、好適には、20℃乃至100℃である。
【0083】
反応時間は、原料化合物、塩基、溶媒、反応温度等により異なるが、通常、5分乃至48時間であり、好適には、15分乃至10時間である。
【0084】
反応終了後、必要ならば目的化合物はA法第A1工程に記した方法と同様にして精製することができる。

第A3工程
第A3工程は、一般式(VII)を有する化合物を製造する工程であり、不活性溶媒中、一般式(V)を有する化合物に酸触媒存在下、一般式(VI)を有するオキシアミン化合物を作用させることにより行われる。
【0085】
上記反応に使用される不活性溶媒としては、特に限定はされず、例えば、ヘキサン、ヘプタン、リグロイン、石油エーテルのような脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類;メチレンクロリド、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンのようなハロゲン化炭化水素類;ギ酸エチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、炭酸ジエチルのようなエステル類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテルのようなエ−テル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノンのようなケトン類;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール、イソアミルアルコール、ジエチレングリコール、グリセリン、オクタノール、シクロヘキサノール、メチルセロソルブのようなアルコール類などであり、好適には、アルコール類であり、特に好適には、エタノールである。
【0086】
上記反応に使用される酸触媒としては、通常の反応において酸触媒として使用されるものであれば特に限定はないが、好適には、塩酸、硫酸又はリン酸のような無機酸であり、特に好適には、硫酸である。
【0087】
反応温度は、原料化合物、触媒、溶媒の種類等によって異なるが、通常、0℃乃至200℃であり、好適には、20℃乃至100℃である。
【0088】
反応時間は、原料化合物、触媒、溶媒、反応温度などにより異なるが、通常、5分乃至36時間であり、好適には、1時間乃至8時間である。

第A4工程
第A4工程は、一般式(I’)を有する化合物を製造する工程であり、一般式(VII)を有する化合物の保護基を除去することにより行われる。
【0089】
水酸基又はアミノ基の保護基の脱保護の方法は、その種類によって異なるが、一般に有機合成化学の技術において周知の方法、例えば、T.W.Green,(Protective Groups in Organic Synthesis) ,John Wiley & Sons:J.F.W.McOmis,(Protective Groups in Organic Chemistry) ,Plenum Pressに記載された方法により行うことができ、例えば以下のように行うことができる。

一般式(VII)を有する化合物において、例えば、Rがアリルオキシカルボニル基であり、R及びRが水素原子である化合物(VII’)の場合の脱保護の方法について以下に記す。
【0090】
【化6】


【0091】
不活性溶媒中、アミン、ギ酸、ギ酸塩類、トリアルキルスズ化合物又は活性メチレン化合物の存在下、パラジウム化合物と反応させることにより除去することによって行われる。
【0092】
上記反応に使用される不活性溶媒としては、特に限定はされず、例えば、ヘキサン、ヘプタン、リグロイン、石油エーテルのような脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類;メチレンクロリド、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンのようなハロゲン化炭化水素類;アセトニトリルのようなニトリル類;ギ酸エチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、炭酸ジエチルのようなエステル類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテルのようなエ−テル類;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール、イソアミルアルコール、ジエチレングリコール、グリセリン、オクタノール、シクロヘキサノール、メチルセロソルブのようなアルコール類;酢酸のような有機酸類;水;又は上記溶媒と水との混合溶媒であり、好適には、ニトリル類又はエーテル類であり、特に好適には、アセトニトリル又はテトラヒドロフランである。
【0093】
上記反応で使用されるアミンは、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)のような第三級アミン類;ジエチルアミン、ジメチルアミン、ジイソプロピルアミン、ピロリジンのような第二級アミン類;又はエチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリンのような第一級アミン類であり、好適には、ピロリジンである。
【0094】
上記反応で使用されるギ酸塩類は、好適には、ギ酸アンモニウム、ギ酸トリエチルアミン塩又はギ酸n−ブチルアミン塩である。
【0095】
上記反応で使用されるトリアルキルスズ化合物は、好適には、トリメチルスズ、トリエチルスズ又はトリブチルスズであり、特に好適には、トリブチルスズである。
【0096】
上記反応で使用される活性メチレン化合物は、例えば、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチルのようなマロン酸エステル類;シアノ酢酸メチルのようなシアノ酢酸エステル類;アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、ベンゾイル酢酸エチルのようなβ−ケト酢酸エステル類;アセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、ジベンゾイルメタン、1,3−シクロペンタジオン、1,3−シクロヘキサジオン、ジメドンのような1,3−ジケトン類;又は上記活性メチレン化合物のアルカリ金属塩であり、好適には、1,3−ジケトン類又はマロン酸エステル類のナトリウム塩である。
【0097】
上記反応で使用されるパラジウム化合物は、例えば、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、酢酸パラジウム、ジクロロジ(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウムのようなパラジウム化合物であり、好適には、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムである。
【0098】
反応温度は、原料化合物、使用される溶媒の種類等によって異なるが、通常、0℃乃至100℃であり、好適には、20℃乃至80℃である。
【0099】
反応時間は、原料化合物、使用される溶媒、反応温度等により異なるが、通常、10分乃至48時間であり、好適には、30分乃至24時間である。
【0100】
また、一般式(VII)を有する化合物において、例えば、R、Rが一緒になり、環状カルバメートとして保護されており、Rが水素原子である化合物(VII’’)の場合の脱保護の方法について以下に記す。
【0101】
【化7】

【0102】
含水溶媒中塩基を用いて直接アルカリ加水分解することにより脱保護を行う方法である。
【0103】
上記反応に使用される塩基としては、通常塩基として使用されるもので反応を阻害しないものであれば特に限定はないが、好適には、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムのようなアルカリ金属炭酸塩類;水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのようなアルカリ金属水酸化物類;リチウムメトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム−t−ブトキシドのような金属アルコキシド類;アンモニア水、濃アンモニア−メタノ−ルのようなアンモニア類;が用いられる。
【0104】
上記反応に使用される不活性溶媒としては、通常の加水分解反応に使用されるものであれば特に限定はないが、例えば、メタノ−ル、エタノ−ル、n−プロパノ−ル、イソプロピルアルコール、n−ブタノ−ル、イソブチルアルコール、t−ブタノ−ル、イソアミルアルコ−ル、ジエチレングリコール、グリセリン、オクタノール、シクロヘキサノール、メチルセロソルブのようなアルコ−ル類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテルのようなエ−テル類;水;水と上記有機溶媒との混合溶媒であり、好適にはエーテル類、アルコール類と水との混合溶媒、特に好適には、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エタノール、メタノールと水との混合溶媒である。
【0105】
反応温度は、原料化合物、用いられる試薬、溶媒の種類等によって異なるが、通常、0℃乃至300℃であり、好適には20℃乃至200℃である。
【0106】
反応時間は、原料化合物、塩基、溶媒、反応温度等により異なるが、通常、5分乃至200時間であり、好適には15分乃至100時間である。
【実施例】
【0107】
(実施例1)1−[5−((3R)−3−アミノ−4−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−1−メチル−1H−ピロール−2−イル]エタノン O−ビフェニル−4−イルメチルオキシム
【0108】
【化8】

【0109】
(1a)1−[5−((3R)−3−アミノ−4−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−1−メチル−1H−ピロール−2−イル]エタノン
(2R)−1−アセトキシ−2−アセチルアミノ−2−メチル−4−(1−メチル−1H−ピロール−2−イル)ブタン4.0g(15.0mmol)をトルエン(23ml)、アセトニトリル(3.8ml)の混合液に溶解し、窒素雰囲気下、N−メチルイミダゾール4.1g(50.0mmol)を加え、80℃に加熱した。加熱した溶液に塩化アセチル3.2ml(45.0mmol)のトルエン(7ml)、アセトニトリル(1.2ml)混合溶液を滴下し、80℃で12時間攪拌した。冷却後、アセトニトリルを減圧下留去し、水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を1M塩酸、飽和食塩水で順に洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、減圧下溶媒を留去、残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、1−[5−((3R)−4−アセトキシ−3−アセチルアミノ−3−メチルブチル)−1−メチル−1H−ピロール−2−イル]ビニルアセテート2.0g(収率38%)を得た。得られた1−[5−((3R)−4−アセトキシ−3−アセチルアミノ−3−メチルブチル)−1−メチル−1H−ピロール−2−イル]ビニルアセテート2.0g(5.7mmol)をテトラヒドロフラン(10ml)、メタノール(10ml)に溶解し、8M水酸化カリウム水溶液7ml(57mmol)を加え50℃に加熱し、1時間攪拌した。冷却後、減圧下メタノールを留去し、水を加え、塩化メチレンで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下溶媒を留去し、残渣を塩基性シリカゲル(NHシリカ)クロマトグラフィーにより精製し、標記化合物1.3g(収率98%)を得た。
H−NMRスペクトル(CDCl,400MHz),δ:6.90(d,1H,J=4.1Hz),5.94(d,1H,J=4.1Hz),3.86(s,3H),3.41(d,1H,J=10.1Hz),3.35(d,1H,J=10.1Hz),2.62(m,2H),2.40(s,3H),1.71(m,2H),1.14(s,3H)
IRスペクトル,νmaxcm−1(KBr):3339,3165,2973,2933,2852,1634,1484,1460,1378,1352,1248,1057,1010,917,782,749,629
マススペクトル(FAB),m/z:225((M+H))。
【0110】
(1b)1−[5−((3R)−3−アリルオキシカルボニルアミノ−4−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−1−メチル−1H−ピロール−2−イル]エタノン
実施例(1a)で得られた1−[5−((3R)−3−アミノ−4−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−1−メチル−1H−ピロール−2−イル]エタノン2.1g(9.4mmol)の酢酸エチル(15ml)、水(15ml)の不均一溶液に炭酸水素ナトリウム1.8g(21.5mmol)を加えた。0℃に冷却し、クロロギ酸アリル1.2ml(11.2mmol)を滴下し、室温で1時間攪拌した。酢酸エチルで抽出後、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去、残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、標記化合物2.7g(94%)を得た。
H−NMRスペクトル(CDCl,400MHz),δ:6.89(d,1H,J=4.1Hz),5.95(d,1H,J=4.1Hz),5.88(m,1H),5.27(m,2H),4.52(d,2H,J=5.4Hz),3.86(s,3H),3.70(m,2H),2.59(m,2H),2.39(s,3H),2.08(m,1H),1.98(m,1H),1.27(s,3H)
IRスペクトル,νmaxcm−1(KBr):3343,2943,1708,1632,1534,1488,1461,1380,1250,1076,1053,920,77,660,624
マススペクトル(FAB),m/z:309((M+H))。
【0111】
(1c)1−[5−((3R)−3−アリルオキシカルボニルアミノ−4−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−1−メチル−1H−ピロール−2−イル]エタノン O−ビフェニル−4−イルメチルオキシム
実施例(1b)で得られた1−[5−((3R)−3−アリルオキシカルボニルアミノ−4−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−1−メチル−1H−ピロール−2−イル]エタノン400mg(1.3mmol)のエタノール(10ml)溶液に、4−フェニルベンジルオキシアミン310mg(1.6mmol)を加え、70℃に加熱した。濃硫酸(0.5ml)を加え5時間攪拌した。室温まで冷却後、水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去、残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、白色固体として標記化合物600mg(収率95%)を得た。
H−NMRスペクトル(CDCl,400MHz),δ:7.59(m,4H),7.45(m,4H),7.34(m,1H),6.34(d,1H,J=3.4Hz),5.90(d,1H,J=3.4Hz),5.88(m,1H),5.25(m,2H),5.19(s,2H),4.51(d,2H,J=5.5Hz),3.69(m,2H),3.66(s,3H),2.59(m,2H),2.21(s,3H),2.05(m,1H),1.94(m,1H),1.26(s,3H)
IRスペクトル,νmaxcm−1(KBr):3271,3078,2932,2872,1692,1568,1488,1453,1365,1270,1088,1060,1030,941,912,767,757,696
マススペクトル(FAB),m/z:490((M+H))。
【0112】
(1d)1−[5−((3R)−3−アミノ−4−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−1−メチル−1H−ピロール−2−イル]エタノン O−ビフェニル−4−イルメチルオキシム
実施例(1c)より得られた1−[5−((3R)−3−アリルオキシカルボニルアミノ−4−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−1−メチル−1H−ピロール−2−イル]エタノン O−ビフェニル−4−イルメチルオキシム600mg(1.2mmol)の塩化メチレン(15ml)溶液に、窒素雰囲気下テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム72mg(0.062mmol)、トリフェニルホスフィン65mg(0.25mmol)を加え、ピロリジン0.62ml(7.4mmol)を滴下し、室温で6時間攪拌した。減圧下塩化メチレンを留去し、得られた残渣を塩基性シリカゲル(NHシリカ)クロマトグラフィーにより精製し、白色固体として標記化合物350mg(収率70%)を得た。得られた粗製生物は酢酸エチル/ヘキサン(6ml/12ml)により再結晶を行い、白色結晶300mgを得た。
H−NMRスペクトル(CDCl3,400MHz),δ:7.57(m,4H),7.43(m,4H),7.32(m,1H),6.33(d,1H,J=4.0Hz),5.88(d,1H,J=4.0Hz),5.18(s,2H),3.65(s,3H),3.32(d,1H,J=10.5Hz),3.37(d,1H,J=10.5Hz),2.58(m,2H),2.21(s,3H),1.69(m,2H),1.12(s,3H)
IRスペクトル,νmaxcm−1(KBr):3335,3277,2926,2873,1486,1368,1028,940,909
マススペクトル(FAB),m/z:406((M+H))。
【0113】
(実施例2)1−[5−((3R)−3−アミノ−4−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−1−メチル−1H−ピロール−2−イル]エタノン O−(2−フェニル)エチルオキシム 1/2シュウ酸塩
【0114】
【化9】

【0115】
実施例(1b)により得られた1−[5−((3R)−3−アリルオキシカルボニルアミノ−4−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−1−メチル−1H−ピロール−2−イル]エタノン200mg(0.65mmol)およびフェネチルオキシアミン133mg(0.97mmol)を出発原料とし、実施例(1c)に記載された方法に準じて、1−[5−((3R)−3−アリルオキシカルボニルアミノ−4−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−1−メチル−1H−ピロール−2−イル]エタノン O−(2−フェニル)エチルオキシム278mg(収率99%)を得た。得られた1−[5−((3R)−3−アリルオキシカルボニルアミノ−4−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−1−メチル−1H−ピロール−2−イル]エタノン O−(2−フェニル)エチルオキシム270mg(0.65mmol)を出発原料とし、実施例(1d)に記載された方法に準じて、無色油状化合物として標記化合物のフリー体75mg(0.22mmol)を得た。得られた油状化合物のメタノール(5ml)溶液にシュウ酸10mg(0.11mmol)を加え、室温で1時間攪拌した。減圧下溶媒を留去し、酢酸エチルでろ取し、白色結晶として標記化合物70mg(収率25%)で得た。
H−NMRスペクトル(DMSO−d,400MHz),δ:7.26(m,5H),6.35(d,1H,J=2.8Hz),5.83(d,1H,J=2.8Hz),4.25(t,2H,J=7.0Hz),3.69(s,3H),3.34(d,1H,J=10.9Hz),3.30(d,1H,J=10.9Hz),2.96(t,2H,J=7.0Hz),2.57(m,2H),2.05(s,3H),1.68(m,2H),1.09(s,3H)
IRスペクトル,νmaxcm−1(KBr):3198,3027,2933,2872,2598,1580,1489,1455,1308,1066,1039,754,699
マススペクトル(FAB),m/z:344((M+H))。
【0116】
(実施例3)1−[5−((3R)−3−アミノ−4−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−1−メチル−1H−ピロール−2−イル]エタノン O−(3−フェニルプロピル)オキシム 1/2シュウ酸塩
【0117】
【化10】

【0118】
実施例(1b)により得られた1−[5−((3R)−3−アリルオキシカルボニルアミノ−4−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−1−メチル−1H−ピロール−2−イル]エタノン200mg(0.65mmol)および3−フェニルプロピルオキシアミン147mg(0.93mmol)を出発原料とし、実施例(1c)に記載された方法に準じて、1−[5−((3R)−3−アリルオキシカルボニルアミノ−4−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−1−メチル−1H−ピロール−2−イル]エタノン O−(3−フェニルプロピル)オキシム287mg(収率100%)を得た。得られた1−[5−((3R)−3−アリルオキシカルボニルアミノ−4−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−1−メチル−1H−ピロール−2−イル]エタノン O−(3−フェニルプロピル)オキシム287mg(0.65mmol)を出発原料とし、実施例(1d)に記載された方法に準じて、無色油状化合物として標記化合物のフリー体120mg(0.34mmol)を得た。得られた化合物を実施例2の方法に準じてシュウ酸を加え、白色結晶として標記化合物70mg(収率27%)を得た。
H−NMRスペクトル(DMSO−d,400MHz),δ:7.22(m,5H),6.34(d,1H,J=3.9Hz),5.82(d,1H,J=3.9Hz),4.06(t,2H,J=6.4Hz),3.67(s,3H),3.33(d,1H,J=10.8Hz),3.29(d,1H,J=10.8Hz),2.67(t,2H,J=7.5Hz),2.56(m,2H),2.10(s,3H),1.96(tt,2H,J=7.5,6.4Hz),1.68(m,2H),1.09(s,3H)
IRスペクトル,νmaxcm−1(KBr):3026,2941,2868,2584,1642,1580,1489,1454,1297,1054,1035,761,699
マススペクトル(FAB),m/z:358((M+H))。
【0119】
(実施例4)1−[5−((3R)−3−アミノ−4−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−1−メチル−1H−ピロール−2−イル]エタノン O−(4−チオフェン−3−イルフェニルメチル)オキシム
【0120】
【化11】

【0121】
実施例(1b)により得られた1−[5−((3R)−3−アリルオキシカルボニルアミノ−4−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−1−メチル−1H−ピロール−2−イル]エタノン300mg(1.0mmol)およびO−(4−チオフェン−3−イルフェニルメチル)ヒドロキシルアミン246mg(1.2mmol)を出発原料とし、実施例(1c)に記載された方法に準じて、白色固体として1−[5−((3R)−3−アリルオキシカルボニルアミノ−4−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−1−メチル−1H−ピロール−2−イル]エタノン O−(4−チオフェン−3−イルフェニルメチル)オキシム386mg(収率78%)を得た。得られた1−[5−((3R)−3−アリロキシカルボニルアミノ−4−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−1−メチル−1H−ピロール−2−イル]エタノン O−(4−チオフェン−3−イルフェニルメチル)オキシム155mg(0.31mmol)を出発原料とし、実施例(1d)に記載された方法に準じて、白色固体化合物として標記化合物63mg(収率49%)を得た。
H−NMRスペクトル(CDCl,400MHz),δ:7.56(m,2H),7.37(m,5H),6.33(d,1H,J=3.7Hz),5.88(d,1H,J=3.7Hz),5.15(s,2H),3.64(s,3H),3.33(d,1H,J=10.5Hz),3.38(d,1H,J=10.5Hz),2.57(m,2H),2.20(s,3H),1.69(m,2H),1.12(s,3H)
IRスペクトル,νmaxcm−1(KBr):3409,3274,3104,2926,2872,1595,1486,1365,1260,1030,940,911,779,747,661,527
マススペクトル(FAB),m/z:412((M+H))。
【0122】
(試験例)
(試験例1)ラットHvGR(Host versus Graft Reaction)に対する抑制活性の測定
(1)2系統のラット[Lewis(雄、6週齢、日本チャールス・リバー株式会社)とWKAH/Hkm(雄、7週齢、日本エスエルシー株式会社)]を使用した。1群5匹のラット(宿主)を用いた。
(2)HvGRの誘導
WKAH/Hkmラット及びLewisラットの脾臓から脾臓細胞を単離し、RPMI1640培地(ライフ テクノロジー社製)で1x10個/ml濃度に浮遊した。Lewisラットの両後肢足蹠皮内に、WKAH/HkmラットまたはLewisラットの脾臓細胞浮遊液0.1ml(脾臓細胞数として1x10個)を注射した。
(3)化合物の投与
化合物は0.5%トラガカント液に懸濁させた。化合物の懸濁液(ラットの体重1kg当たり5ml)を、化合物投与群(WKAH/Hkmラット脾臓細胞を注射され、検体を投与されるLewisラット)に、1日1回、脾臓細胞注射日から4日間連日で経口投与した。なお、同系群(Lewisラット脾臓細胞を注射されたLewisラット)と対照群(WKAH/Hkmラット脾臓細胞を注射され、検体を投与されないLewisラット)には、検体の代わりに0.5%トラガカント液を経口投与した。
(4)HvGRに対する抑制活性の測定方法
各投与群の各個体の膝窩(popliteal)リンパ節重量から同系群の平均膝窩リンパ節重量を引き(「HvGRによる膝窩リンパ節重量」)、対照群の平均「HvGRによる膝窩リンパ節重量」に対する化合物投与群の各個体の「HvGRによる膝窩リンパ節重量」から抑制率を算出した。結果を下記表2に示す。
【0123】
(表2)
―――――――――――――――――――――――――――
化合物 抑制率(%、1mg/kg投与時)
―――――――――――――――――――――――――――
実施例1 73.84%
実施例3 78.63%
実施例4 78.52%
比較化合物 64.05%
―――――――――――――――――――――――――――。
【0124】
本試験の結果、本発明の化合物は優れた抑制活性を示した。
比較化合物は、上記の特許文献1(国際公開第2004/071442号パンフレット)の実施例Table1、Compound No.37に記載された化合物であり、その構造式は以下に示す通りである。
【0125】
【化12】

【0126】
(試験例2)抗関節炎作用の評価
ヒトの関節リウマチに類似した関節炎を発症するラットアジュバント関節炎モデルを用い、足蹠体積増加抑制率を指標にして、関節炎に対する本発明の医薬組成物の効果を評価する。試験には8週齢雌性Lewisラットを用いる。
(1)アジュバントの調製
Mycobacterium butyricum加熱死菌体をメノウ乳鉢で微細化後、乾熱滅菌した流動パラフィンに2mg/mLになるよう懸濁し、超音波処理をしてアジュバントを調製する。
(2)被験化合物の調製
被験化合物は0.5%トラガカント液に懸濁または溶解する。
(3)アジュバント関節炎の誘導
(1)で調製したアジュバント0.05mlを対照群および被験化合物投与群のラットの右後肢足蹠皮内に注射する。なお、試験群毎にラットを5匹用いる。また、アジュバントを注射しない群として正常対照群を設ける。
(4)被験化合物の投与
(2)で調製した被験化合物を、アジュバント注射日から18日間、1日1回、5ml/kg経口投与する。対照群には0.5%トラガカント液のみを同様に投与する。
(5)被験化合物の足蹠体積増加抑制率の算出法
投与開始後、11日目と18日目に右後肢の体積を足体積測定装置で測定し、各群の腫脹体積の平均値を算出する。
【0127】
次式により足蹠体積増加抑制率(%)を算出し、評価を行う。
【0128】
足蹠体積増加抑制率(%)=(1−([被験化合物投与群の足蹠体積]−[正常対照群の足蹠体積])/[対照群の足蹠体積]−[正常対照群の足蹠体積]))×100。
【0129】
(試験例3)ラット末梢血リンパ球数減少作用の評価
LEWラット(雄、5週齢、日本チャールス・リバー株式会社)を使用する。1群5匹のラットを用いる。
【0130】
(1)被験化合物の投与
被験化合物は1%トラガント液(溶媒)に懸濁させる。被験化合物懸濁液を、ラットの体重1kgあたり5mLの割合で強制経口投与する。
なお、正常群には被験化合物懸濁液の代わりに溶媒を投与する。
【0131】
(2)末梢血リンパ球数の測定
溶媒あるいは被験化合物懸濁液投与後3時間において、エーテル麻酔下で下大静脈より採血を行い、EDTA入りチューブに移す。採取した血液について血液学検査装置でリンパ球の絶対数を測定する。正常群のリンパ球数を100%としたときの被験化合物によるリンパ球数減少作用を相対値(%)で算出する。
【産業上の利用可能性】
【0132】
本発明の化合物は、優れた免疫抑制作用を有し、毒性も弱いため、哺乳動物(特に、ヒト)に対する免疫抑制作用に関連する疾患の予防剤又は治療剤として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)
【化1】


[式中、
1及びR2は、各々独立に、水素原子、C1−6アルキル基又はアミノ基の保護基を示し、
3は、水素原子又は水酸基の保護基を示し、
4は、C1−6アルキル基を示し、
mは、0乃至2の整数を示し、
nは、0乃至5の整数を示し、
Xは、硫黄原子又は式N−Dを有する基(式中、Dは水素原子、C1−6アルキル基、C6−10アリール基、C1−6アルキルスルホニル基又はC6−10アリールスルホニル基を示す。)を示し、
5及びR6は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子又はC1−6アルキル基を示し、
は、C1−6アルキル基を示し、
は、水素原子、C3−6シクロアルキル基、5−6員環へテロアルキル基、C6−10アリ−ル基、5−6員環へテロアリール基、置換基群Aから選択される基で1乃至3個置換されたC3−6シクロアルキル基、置換基群Aから選択される基で1乃至3個置換された5−6員環へテロアルキル基、置換基群Aから選択される基で1乃至3個置換されたC6−10アリ−ル基及び置換基群Aから選択される基で1乃至3個置換された5−6員環へテロアリール基からなる群より選択される基を示し、
置換基群Aは、ハロゲン原子、C1−6アルキル基、C3−6シクロアルキル基、5−6員環へテロアルキル基、C6−10アリール基、5−6員環へテロアリール基、置換基群Bから選択される基で1乃至3個置換されたC3−6シクロアルキル基、置換基群Bから選択される基で1乃至3個置換された5−6員環へテロアルキル基、置換基群Bから選択される基で1乃至3個置換されたC6−10アリ−ル基又は置換基群Bから選択される基で1乃至3個置換された5−6員環へテロアリール基、ハロゲノC1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、C1−6アルキルチオ基、カルボキシ基、C1−6アルコキシカルボニル基、ヒドロキシ基、C1−6脂肪族アシル基、アミノ基、C1−6モノアルキルアミノ基、C1−6ジアルキルアミノ基、C1−6脂肪族アシルアミノ基、シアノ基及びニトロ基からなる群を示し、
置換基群Bは、ハロゲン原子、C1−6アルキル基、C3−6シクロアルキル基、ハロゲノC1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、C1−6アルキルチオ基、シアノ基及びニトロ基からなる群を示す。]
を有する化合物、その薬理上許容される塩又はその薬理上許容されるプロドラッグ。
【請求項2】
1及びR2が共に、水素原子である、請求項1に記載された化合物又はその薬理上許容される塩。
【請求項3】
が、水素原子である、請求項1又は請求項2に記載された化合物又はその薬理上許容される塩。
【請求項4】
が、メチル基又はエチル基である、請求項1乃至請求項3から選択されるいずれか1項に記載された化合物又はその薬理上許容される塩。
【請求項5】
が、メチル基である、請求項1乃至請求項3から選択されるいずれか1項に記載された化合物又はその薬理上許容される塩。
【請求項6】
mが、0である、請求項1乃至請求項5から選択されるいずれか1項に記載された化合物又はその薬理上許容される塩。
【請求項7】
nが、1乃至4である、請求項1乃至請求項6から選択されるいずれか1項に記載された化合物又はその薬理上許容される塩。
【請求項8】
Xが、硫黄原子又は式N−Dを有する基(式中、DはC1−6アルキル基を示す。)である、請求項1乃至請求項7から選択されるいずれか1項に記載された化合物又はその薬理上許容される塩。
【請求項9】
Xが、式N−Dを有する基(式中、Dはメチル基又はエチル基を示す。)である、請求項1乃至請求項7から選択されるいずれか1項に記載された化合物又はその薬理上許容される塩。
【請求項10】
5及びR6が共に、水素原子である、請求項1乃至請求項9から選択されるいずれか1項に記載された化合物又はその薬理上許容される塩。
【請求項11】
が、C1−3アルキル基である、請求項1乃至請求項10から選択されるいずれか1項に記載された化合物又はその薬理上許容される塩。
【請求項12】
が、置換基群Aから選択される基で1個置換されたC6−10アリ−ル基又は置換基群Aから選択される基で1個置換された5−6員環へテロアリール基である、請求項1乃至請求項11から選択されるいずれか1項に記載された化合物又はその薬理上許容される塩。
【請求項13】
が、置換基群Aから選択される基で1個置換されたフェニル基である、請求項1乃至請求項11から選択されるいずれか1項に記載された化合物又はその薬理上許容される塩。
【請求項14】
下記から選択される請求項1に記載された化合物又はその薬理上許容される塩:
1−[5−((3R)−3−アミノ−4−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−1−メチル−1H−ピロール−2−イル]エタノン O−ビフェニル−4−イルメチルオキシム、
1−[5−((3R)−3−アミノ−4−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−1−メチル−1H−ピロール−2−イル]エタノン O−(4−チオフェン−3−イルフェニルメチル)オキシム、
1−[5−((3R)−3−アミノ−4−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−1−メチル−1H−ピロール−2−イル]エタノン O−(3−フェニルプロピル)オキシム及び
1−[5−((3R)−3−アミノ−4−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−1−メチル−1H−ピロール−2−イル]エタノン O−(2−フェニルエチル)オキシム。
【請求項15】
請求項1乃至請求項14に記載された化合物又はその薬理上許容される塩の1種又は2種以上を有効成分として含有する医薬組成物。
【請求項16】
皮膚移植又は臓器移植での拒絶反応を抑制するための請求項15に記載された医薬組成物。
【請求項17】
自己免疫疾患の予防又は治療するための請求項15に記載された医薬組成物。
【請求項18】
自己免疫疾患が関節リウマチ、乾癬、アトピー性皮膚炎、多発性硬化症、潰瘍性大腸炎及びクローン病からなる群より選択される1種又は2種以上である、請求項17に記載された医薬組成物。
【請求項19】
哺乳動物に請求項15に記載された医薬組成物の有効量を投与することを特徴とする、皮膚移植又は臓器移植での拒絶反応の抑制方法。
【請求項20】
哺乳動物に請求項15に記載された医薬組成物の有効量を投与することを特徴とする、自己免疫疾患の予防又は治療方法。
【請求項21】
自己免疫疾患が関節リウマチ、乾癬、アトピー性皮膚炎、多発性硬化症、潰瘍性大腸炎及びクローン病からなる群より選択される1種又は2種以上である、請求項20に記載された予防又は治療方法。

【公開番号】特開2007−99720(P2007−99720A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−293696(P2005−293696)
【出願日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【出願人】(000001856)三共株式会社 (98)
【Fターム(参考)】