説明

オープンショーケース

【課題】照明取付け器具のような大きな部材を追加することなく、現場施工が容易な改造で照明効果を大幅に向上させることのできるオープンショーケースを提供する。
【解決手段】上下複数段の商品陳列棚3を設けた商品陳列部4の前面に開口を有するショーケース本体2の背面に、冷却器と送風機とを配置したダクト5,6,7を形成し、前記開口の上方に設けた冷気吹出口8と該開口の下方に設けた冷気吸込口9との間にエアカーテンを形成したオープンショーケースにおいて、前記冷気吹出口8の前方に設けられたノジング10の下部内面に、前記商品陳列部内を照明するための光源15を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オープンショーケースに関し、特に、商品陳列部の商品陳列棚に陳列した商品を照明する光源に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、スーパーマーケットやコンビニエンスストア等の食品売場では、各種冷蔵商品、冷凍商品を陳列販売するための冷蔵・冷凍ショーケースが用いられている。この冷蔵・冷凍ショーケースとしては、上下複数段の商品陳列棚を設けた商品陳列部の前面に開口を有するショーケース本体の背面に、冷却器と送風機とを配置した背面ダクトを形成し、前記開口の上方に設けた冷気吹出口と該開口の下方に設けた冷気吸込口との間にエアカーテンを形成したオープンショーケースが広く普及している。
このようなオープンショーケースにおいては、棚に陳列した商品を効果的に照明するため、ショーケース本体の天井部の前端に蛍光ランプ等の光源(庫内天井光源)を設けるとともに、ショーケース本体天井部前方側にあるキャノピーの下部内面に蛍光ランプ等の光源(キャノピー光源)を設置することで、庫内を照射することが行われている。
この場合、照度を上げるため、従来は、(A)ショーケース本体の屋根部に、キャノピーの前方に張り出す照明取付器具を設置して、その先端に蛍光ランプ等を設けることで棚を照射するようにしたり(特許文献1参照。尚この特許文献1では照明取付器具に相当するものをトップケース21と称している)、(B)キャノピーの下部内面の蛍光ランプに加えて、更にその後方に所定間隔をおいて幅方向に長い蛍光ランプを並設してキャノピー光源としたり、(C)上下に所定間隔をおいて幅方向に長い2本の蛍光ランプを並設してキャノピー光源とする等の手段が講じられていた。
【特許文献1】特開2005−299964号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上述のオープンショーケースでは、(A)のキャノピー前方に張り出す照明取付器具を設置して、その先端に蛍光ランプ等を設ける場合においては、キャノピーが障害となり、また中段以下の棚も光源からの距離が遠くなるため、十分な照度向上効果が得られなかった。さらに、ショーケースの前に人が立つと影になる上、現地施工コストも含めたトータルコストが大幅に増大するという欠点があった。しかも、ショーケース本体の屋根部から張り出す照明取付器具は顧客に圧迫感を与えて望ましいものではなかった。
また、(B)のキャノピーの下部内面の蛍光ランプに加えて、更にその後方に所定間隔をおいて幅方向に長い蛍光ランプを並設してキャノピー光源とする場合においては、コスト的にはAより安いものの、標準で設置されている光源よりもノジング寄りに取り付けざるを得ないため、上段棚はノジングが障害となって照度向上が得られないという欠点があった。
さらに、(C)の上下に所定間隔をおいて幅方向に長い2本の蛍光ランプを並設するキャノピー光源の設置構造においては、(B)よりは上段棚の照度向上が得られるものの、やはり現地施工コストも含めたトータルコストが大幅に増大するという欠点があった。
【0004】
そこで本発明は、照明取付器具のような大きな部材を追加することなく現地施工コストをも含めたトータルコストの大幅削減を図り、キャノピーやノジングも照明の障害とならずに上段棚を含めた陳列棚全体の照明効果を大幅に向上させたオープンショーケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するため本発明は、上下複数段の商品陳列棚を設けた商品陳列部の前面に開口を有するショーケース本体の背面に、冷却器と送風機とを配置した冷気ダクトを形成し、前記開口の上方に設けた冷気吹出口と該開口の下方に設けた冷気吸込口との間にエアカーテンを形成したオープンショーケースにおいて、前記冷気吹出口の前方に設けられたノジングの下部内面に、前記商品陳列部内を照明するための光源を設けたことを特徴としている。
【0006】
さらに、本発明のオープンショーケースでは、前記光源の照射方向を前記商品陳列部内部側及び下方とすることが好ましい。また、前記ノジングの内面に前記光源からの光を反射する反射面を設けるとともに、該ノジングの外面に断熱材を一体的に設けることが好ましく、前記光源の点灯中はノジングの防露ヒータを非通電状態とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明のオープンショーケースによれば、冷気吹出口前方のノジング下部内面に光源を設けたことにより、冷気吹出口後方の天井部に光源を配置した場合に比べて各商品陳列棚に陳列した商品、特に上段の商品陳列棚に陳列した商品を効果的に照明することができる。また、庫内天井部の光源を省略することができるので、照明用電力の増大を回避することができるとともに、商品陳列部内の熱負荷が減少するため、冷凍機のランニングコストも低減できる。さらに、ノジングの前方に照明取付け器具を設けたり、別の光源収納部を設ける場合に比べて部品数を少なくすることができ、部材費や工事費を削減できるだけでなく、ノジングの前方に位置する照明取付け器具等に光源を設けるものに比べて光源を商品に近付けることができるため、商品照度の向上も図れる。また、ノジング部分は非冷却ゾーンであることから、光源として蛍光ランプを用いた場合でも光束減衰がなく、十分な照度が得られる。
【0008】
加えて、光源の照射方向を内部側及び下方とすることにより、購買客の目に光源が入らず、まぶしさを感じることがなくなる。また、光源の反射面と断熱材とを一体的に形成することにより、照明効果を向上できるとともに、ノジング下部を商品陳列部側の冷却ゾーンと外部の非冷却ゾーンとを仕切る絶縁材とすることができ、外面部分への結露を防止することができ、さらに、前記光源の熱でノジングの防露を図れるので防露ヒータ分の節電を図ることができ、防露ヒータを省略することも可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の一実施の形態について、図面に基づき説明する。
図1は本発明の一実施形態を示すオープンショーケースの概略構成を示す断面側面図、図2は同じく要部の断面側面図である。
【0010】
オープンショーケース1は、前面に開口を有するショーケース本体2の内部に上下複数段の商品陳列棚3を設けた商品陳列部4が形成されるとともに、ショーケース本体2の背面に背面ダクト5、下部ダクト6,上部ダクト7がそれぞれ形成され、該背面ダクト5、下部ダクト6の部分に冷却器及び送風機(いずれも図示省略)が配置されている。オープンショーケース1の開口上方には、背面ダクト5からの冷気を開口前面に下方に向けて吹き出すための冷気吹出口8が設けられ、開口下方には冷気吹出口8から吹き出された冷気を吸い込むための冷気吸込口9が設けられている。
【0011】
上部ダクト7は、ショーケース本体2の上壁2aと、商品陳列部4の天板4aと、上壁2aの前端部から垂下した断熱板2bとにより形成され、天板4aの前端と断熱板2bとの間に前記冷気吹出口8が設けられている。さらに、冷気吹出口8の前方には、断熱板2bの下端に連続した状態でノジング10が下方に延設されている。また、上壁2aの前方にキャノピー11が設けられており、このキャノピー11の下面板11aにはナイトカバ
ー12やキャノピー光源13等が設けられ、キャノピー11の前面板11bには商品情報表示板等を取り付けるための表示板取付部14が設けられている。
【0012】
冷気吹出口8の前端から下方に突出したノジング10の下部は外方に向かって湾曲形成され、外方に突出した部分の内部側に光源収納部10aが設けられている。光源収納部10a内には、蛍光ランプ、光ファイバー、LED等の光源15が設けられ、保持部材10bによって保持されている。光源収納部10aの内面は、光源15からの光を商品陳列部4の内部側及び下方に反射するための反射面となっており、光源収納部10aの外面には断熱材16が貼着されて一体的に形成され、光源収納部10aは、ノジング10を挟んで商品陳列部4側の冷却ゾーンと外部の非冷却ゾーンとを熱的に仕切る絶縁材として機能している。
【0013】
さらに、ノジング10の商品陳列部4側には、光源15を覆うJ字状の照明カバー17が着脱可能に装着されている。照明カバー17の内側面は冷気吹出口8の前端面に沿う形状に形成され、冷気吹出口8から吹き出された冷気の流れを乱さないようにしている。
【0014】
このように、ノジング10の下部内面に光源収納部10aを形成して光源15を配置することにより、図2に破線で示すように、冷気吹出口8の後方の天井部に庫内天井光源15aを設けた場合に比べて光源が前方かつ僅かに下方に位置することから、図1に一点鎖線で示すように、各商品陳列棚3に陳列した商品、特に上段の商品陳列棚に陳列した商品や棚前面に設けられる商品名、価格等の表示を効果的に照明することができる。また、商品陳列部4内の冷却ゾーンにある天井部の庫内天井光源15aを設けずに、非冷却ゾーンとなるノジング10の下部内面に光源15を配置することにより、照明用電力は変化せず、光源15として蛍光ランプを用いた場合には、光束減衰がなく十分な照度が得られるため、照明効果を向上することができる。さらに、光源15の熱が商品陳列部4内の冷気を温めることがなくなるので、熱負荷が減少して冷凍機のランニングコストも低減できる。
【0015】
また、光源15からの光を商品陳列部4の内部側及び下方にし、下方で最も前方に照射される光線が前面の開口部内に収まるように光源収納部10aの形状及び光源15の位置を設定することにより、光源15が購買客の目に入ることがなく、購買客にまぶしさを与えることもなくなる。さらに、キャノピー11のキャノピー光源13に比べて光源15の位置が商品陳列部4の商品に近いため、キャノピー光源13のみの場合に比べて光源15のみでも商品照度の向上が図れる。
【0016】
本形態例では、上壁2aの前方にキャノピー11を延設してナイトカバー12やキャノピー光源13等を設けるようにして陳列商品の照明効果をより向上させるとともに、非営業時に商品陳列部4内に冷気を保持するようにしている。
【0017】
また、ノジング10に近接して光源15を設けることにより、光源15の発熱によってノジング10を加温することができるので、光源15が点灯中はノジング10に設けられている防露ヒータを非通電状態としてもノジング外面に結露を生じることがなく、防露ヒータ分の節電を図ることができる。さらに、24時間営業の店舗では防露ヒータを省略することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態を示すオープンショーケースの概略構成を示す断面側面図である。
【図2】同じく要部の断面側面図である。
【符号の説明】
【0019】
1 オープンショーケース
2 ショーケース本体
2a 上壁
2b 断熱板
3 商品陳列棚
4 商品陳列部
4a 天板
5 背面ダクト
6 下部ダクト
7 上部ダクト
8 冷気吹出口
9 冷気吸込口
10 ノジング
10a 光源収納部
10b 保持部材
11 キャノピー
11a 下面板
11b 前面板
12 ナイトカバー
13 キャノピー光源
14 表示板取付部
15 光源
15a 庫内天井光源
16 断熱材
17 照明カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下複数段の商品陳列棚を設けた商品陳列部の前面に開口を有するショーケース本体の背面に冷却器と送風機とを配置した冷気ダクトを形成し、前記開口の上方に設けた冷気吹出口と該開口の下方に設けた冷気吸込口との間にエアカーテンを形成したオープンショーケースにおいて、前記冷気吹出口の前方に設けられたノジングの下部内面に、前記商品陳列部内を照明するための光源を設けたことを特徴とするオープンショーケース。
【請求項2】
前記光源の照射方向が、前記商品陳列部内部側及び下方であることを特徴とする請求項1記載のオープンショーケース。
【請求項3】
前記ノジングの内面に前記光源からの光を反射する反射面を設けるとともに、該ノジングの外面に断熱材を一体的に設けたことを特徴とする請求項1又は2記載のオープンショーケース。
【請求項4】
前記光源の点灯中は、ノジングの防露ヒータが非通電状態となることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のオープンショーケース。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−165707(P2009−165707A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−8277(P2008−8277)
【出願日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(000213493)中野冷機株式会社 (58)
【Fターム(参考)】