説明

オープン階段装置

【課題】オープン階段とエレベータとを組み合わせることができ、かつ、長尺の収納物や大型の収納物を収納することができる高さの高い収納庫を有するオープン階段装置を提供する。
【解決手段】四角形の踊り場16と、下端が住宅の1階の床面1FLに固定され、上端が踊り場の前端部に固定された下側階段部材18と、下端が踊り場の一側部に固定され、上端が住宅の2階の所定箇所19に固定された上側階段部材20とを有する踊り場付きオープン階段12と、昇降かご42が配設されたエレベータ14と;下端が住宅の1階の床面に接続され、上端が住宅の2階の床部下面に接続された収納庫15とを具備し、収納庫は踊り場の後方に配置され、収納庫の扉は踊り場から開閉可能であり、かつ、エレベータは収納庫に隣接して上側階段部材の一側方に配置されているとともに、上記構造体に上側階段部材の一側部が固定されているオープン階段装置10とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オープン階段とエレベータとを組み合わせたオープン階段装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、階段とエレベータとを組み合わせた階段装置として、特許文献1のものが提案されている。特許文献1の階段装置は、エレベータを構成する昇降路と、この昇降路の外周に沿って設けられる廻り階段とを有するものである。
【0003】
一方、建物における下階と上階との間を昇降するための階段の一種として、踏み板が壁パネルから分離されたオープン階段が知られており、このようなオープン階段は、例えば、吹き抜け部における1階と2階との間に設置される(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平11−343714号公報
【特許文献2】特許第3732846号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の階段装置は、踏み板が壁パネルに固定されている通常の階段とエレベータとを組み合わせたもので、オープン階段とエレベータとを組み合わせることはできなかった。
【0006】
また、特許文献1の階段装置は、エレベータの外周に沿って廻り階段が設けられているが、エレベータと廻り階段とは強固に固定されておらず、そのため全体的な構造強度および安定性の点で不十分であった。
【0007】
さらに、特許文献1の階段装置では、廻り階段の昇降面の下側に汎用収納空間を設けることができるが、この汎用収納空間は高さが低く、長尺の収納物や大型の収納物を収納することができなかった。
【0008】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、オープン階段とエレベータとを組み合わせることができ、かつ、全体的な構造強度および安定性を十分に高くすることができるとともに、長尺の収納物や大型の収納物を収納することができる高さの高い収納庫を有するオープン階段装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前記目的を達成するため、下記(1)、(2)のオープン階段装置を提供する。
(1)四角形の踊り場と、下端が住宅の1階の床面に固定され、上端が前記踊り場の前端部に固定された下側階段部材と、下端が前記踊り場の一側部に固定され、上端が住宅の2階の所定箇所に固定された上側階段部材とを有する踊り場付きオープン階段と、
内部に昇降路が形成された構造体の前記昇降路内に昇降かごが配設されたエレベータと、
下端が住宅の1階の床面に接続され、上端が住宅の2階の床部下面に接続された収納庫とを具備し、
前記収納庫は前記踊り場の後方に配置され、前記収納庫の扉は前記踊り場から開閉可能であり、かつ、前記エレベータは前記収納庫に隣接して前記上側階段部材の一側方に配置されているとともに、前記構造体に前記上側階段部材の一側部が固定されていることを特徴とするオープン階段装置。
(2)四角形の踊り場と、下端が住宅の1階の床面に固定され、上端が前記踊り場の一側部に固定された下側階段部材と、下端が前記踊り場の一側部に固定され、上端が住宅の2階の所定箇所に固定された上側階段部材とを有する踊り場付きオープン階段と、
内部に昇降路が形成された構造体の前記昇降路内に昇降かごが配設されたエレベータと、
下端が住宅の1階の床面に接続され、上端が住宅の2階の床部下面に接続された収納庫とを具備し、
前記収納庫は前記踊り場の後方に配置され、前記収納庫の扉は前記踊り場から開閉可能であり、かつ、前記エレベータは前記収納庫に隣接して前記上側階段部材の一側方に配置されているとともに、前記構造体に前記上側階段部材の一側部が固定されていることを特徴とするオープン階段装置。
【0010】
(1)のオープン階段装置は、オープン階段として、上から見たときに踊り場において下側階段部材と上側階段部材とが直角をなしている踊り場付きオープン階段(L字型タイプ)を用いたものである。(2)のオープン階段装置は、オープン階段として、上から見たときに踊り場において下側部材と上側部材の向きが逆になるように折り返す構造の踊り場付きオープン階段(U字型タイプ)を用いたものである。
【0011】
本発明のオープン階段装置は、オープン階段として、階段の途中に踊り場を有する踊り場付きオープン階段を用いるとともに、エレベータの構造体にオープン階段の上側階段部材の一側部を固定することにより、オープン階段とエレベータとを組み合わせることができる。また、大型の構造物である上側階段部材をエレベータの構造体に固定することにより、全体的な構造強度および安定性を十分に高くすることができる。さらに、下端が住宅の1階の床面に接続され、上端が住宅の2階の床部下面に接続された高さの高い収納庫を設けたので、この収納庫に長尺の収納物や大型の収納物を収納することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明のオープン階段装置は、オープン階段とエレベータとを組み合わせることができ、かつ、全体的な構造強度および安定性を十分に高くすることができるとともに、長尺の収納物や大型の収納物を収納することができる高さの高い収納庫を有するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明するが、本発明は下記例に限定されるものではない。図1〜図4は、本発明に係るオープン階段装置の一実施形態を示すものであり、図1は2階平面図、図2は1階平面図、図3は正面図、図4は側面図である。本例のオープン階段装置10は、踊り場付きオープン階段12と、エレベータ14と、収納庫15とを具備する。
【0014】
踊り場付きオープン階段12は、四角形の踊り場16と、下端が住宅の1階の床面1FLにボルトとナットなどの適宜取付具によって固定され、上端が踊り場16の後述する踊り場基台34の前端部の下面にボルトとナットなどの適宜取付具によって固定された下側階段部材18と、下端が踊り場16の一側部の上面にボルトとナットなどの適宜取付具によって固定され、上端が住宅の2階の床部の側面19にボルトとナットなどの適宜取付具によって固定された上側階段部材20とを有する。
【0015】
下側階段部材18および上側階段部材20は、一対の平行な桁本体22、24に複数の踏板26、28が取付部材30、32により固定されたものである。取付部材30、32は、桁本体22、24に踏板26、28を取り付けることができるものであればどのような構成のものであってよい。
【0016】
また、下側階段部材18は、幅方向一端側を壁Wに沿わせて配置され、幅方向他端側には手摺り33(図1、2参照)が取り付けられている。上側階段部材20は、幅方向一端側をエレベータ14の構造体40(後述)に沿わせて配置され、幅方向他端側には手摺り(図示せず)が取り付けられている。
【0017】
下側階段部材18および上側階段部材20において、桁本体22、24および取付部材30、32はアルミニウム合金により形成され、踏板26、28は木質の板材により形成されているが、これら各部材の材質は限定されるものではない。
【0018】
踊り場16は、四角枠体の内側に梁部が形成された踊り場基台34と、踊り場基台34の上面に固定された踊り場踏板36とからなる。踊り場16において、踊り場基台34はアルミニウム合金により形成され、踊り場踏板36は木質の板材により形成されているが、これら各部材の材質は限定されるものではない。
【0019】
エレベータ14は、いわゆるホームエレベータであり、内部に昇降路38が形成された略四角筒状の構造体40の上記昇降路38内に昇降かご42が昇降可能に配設されたものである。エレベータ14は、収納庫15に隣接して踊り場付きオープン階段12の上側階段部材20の一側方に配置されている。エレベータ14の昇降機構に限定はなく、ワイヤロープを主索に用いて昇降かご42を昇降させるロープ式、油圧ジャッキにより昇降かご42を昇降させる油圧式などの適宜機構を採用することができる。エレベータ14において、構造体40の本体および昇降かご42はアルミニウム合金により形成され、構造体40の開閉扉はアルミニウム合金からなる枠体内にアクリル樹脂板を装着することにより形成されているが、これら各部材の材質は限定されるものではない。
【0020】
収納庫15は、略四角筒状に形成されたいわゆるクローゼットであり、下端が住宅の1階の床面1FLに接続され、上端が住宅の2階の床部60の下面に接続されており、踊り場16の後方に配置されている。収納庫15は、木質系材料により形成されているが、収納庫15の材料に限定はなく、金属系材料、合成樹脂系材料などで形成してもよい。本例の収納庫15は、上下2段に区切られており、下側の収納部分52の扉(図示せず)は1階の床面1FLから開閉でき、上側の収納部分54の扉56は踊り場16から開閉できるようになっている。下側の収納部分52の高さは80〜120m、上側の収納部分54の高さは160〜200cmとすることが適当であり、これにより上側の収納部分54に長尺の収納物や大型の収納物を収納することが可能となる。また、収納庫15の内部を分割することなく扉を踊り場16から開閉できるようしてもよく、これによって収納庫15にさらに長尺の収納物やさらに大型の収納物を収納することが可能となる。
【0021】
本例のオープン階段装置10では、エレベータ14の構造体40に収納庫15および上側階段部材20の一側部がボルトとナットなどの適宜取付具によって固定されているが、構造体40と収納庫15とは固定しなくてもよい。
【0022】
また、本例のオープン階段装置10では、住宅の2階の床面2FLにおいて、オープン階段12の出入口用床面44と、エレベータ14の乗降ロビー用床面46とが並列に配置されている。エレベータの乗降ロビーとは、エレベータに乗降するための待合スペースを言う。
【0023】
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、本例では上から見たときに踊り場において下側階段部材と上側階段部材とが直角をなしているL字型タイプの踊り場付きオープン階段を用いたが、上から見たときに踊り場において下側部材と上側部材の向きが逆になるように折り返す構造のU字型タイプの踊り場付きオープン階段を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係るオープン階段装置の一実施形態を示す2階平面図である。
【図2】図1のオープン階段装置の1階平面図である。
【図3】図1のオープン階段装置の正面図である。
【図4】図1のオープン階段装置の側面図である。
【符号の説明】
【0025】
10 オープン階段装置
12 踊り場付きオープン階段
14 エレベータ
15 収納庫
16 踊り場
18 下側階段部材
20 上側階段部材
38 昇降路
40 構造体
42 昇降かご
44 オープン階段の出入口用床面
46 エレベータの乗降ロビー用床面
56 収納庫の扉
1FL 1階の床面
2FL 2階の床面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
四角形の踊り場と、下端が住宅の1階の床面に固定され、上端が前記踊り場の前端部に固定された下側階段部材と、下端が前記踊り場の一側部に固定され、上端が住宅の2階の所定箇所に固定された上側階段部材とを有する踊り場付きオープン階段と、
内部に昇降路が形成された構造体の前記昇降路内に昇降かごが配設されたエレベータと、
下端が住宅の1階の床面に接続され、上端が住宅の2階の床部下面に接続された収納庫とを具備し、
前記収納庫は前記踊り場の後方に配置され、前記収納庫の扉は前記踊り場から開閉可能であり、かつ、前記エレベータは前記収納庫に隣接して前記上側階段部材の一側方に配置されているとともに、前記構造体に前記上側階段部材の一側部が固定されていることを特徴とするオープン階段装置。
【請求項2】
四角形の踊り場と、下端が住宅の1階の床面に固定され、上端が前記踊り場の一側部に固定された下側階段部材と、下端が前記踊り場の一側部に固定され、上端が住宅の2階の所定箇所に固定された上側階段部材とを有する踊り場付きオープン階段と、
内部に昇降路が形成された構造体の前記昇降路内に昇降かごが配設されたエレベータと、
下端が住宅の1階の床面に接続され、上端が住宅の2階の床部下面に接続された収納庫とを具備し、
前記収納庫は前記踊り場の後方に配置され、前記収納庫の扉は前記踊り場から開閉可能であり、かつ、前記エレベータは前記収納庫に隣接して前記上側階段部材の一側方に配置されているとともに、前記構造体に前記上側階段部材の一側部が固定されていることを特徴とするオープン階段装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−59696(P2010−59696A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−226609(P2008−226609)
【出願日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願人】(591059685)南海プライウッド株式会社 (17)
【Fターム(参考)】