カスタム水吸着材料
本明細書中で開示されている技術は、閉鎖環境内の湿度レベルなどの湿度レベルの制御に関する。吸着剤材料の水等温線は、吸着剤の界面化学の改質を通してカスタマイズされる。吸着剤の界面化学をさまざまな方法でさまざまな程度で改質することにより、異なる湿度レベル範囲まで吸着剤特性をカスタマイズすることが可能である。このような改質は、特に低分子量の水溶性化合物に関して、吸着剤の吸着能力および効率を増強することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国以外の全ての国の指定の出願人である米国国内企業であるDonaldson Company.Inc、および米国のみの指定の出願人であるレバノン国民Yahya A.Elsayed、米国国民Andrew J.Dallas、米国国民Jon D.Jorimanおよび米国国民Dustin Zastera名義の2009年11月4日付けPCT国際特許出願として提出されており、内容が参照により本明細書に援用されている2008年11月4日付け米国仮特許出願第61/111,207号明細書に対する優先権を請求するものである。
【0002】
本技術は吸着剤材料に関する。より詳細には、本技術は、カスタマイズ可能な吸着剤材料に関する。さらに一層詳細には、本技術はカスタマイズ可能な水吸着材料に関する。
【背景技術】
【0003】
さまざまな状況において、空気中の水分量を制御する能力を可能にする条件が必要とされる。例えば、感度の高い電子部品および機器を収納するエンクロージャ内部での利用分野では、多くの場合、一貫性ある形で動作するようにそのエンクロージャ内部の水分レベルを維持し調節することが求められる。不適切な水分レベルは、部品および機器の機械的および電気的動作を妨げる可能性がある。別の例においては、閉鎖環境内の無機塩などの水溶性汚染物質化合物を除去することが望ましい可能性がある。これらの状況においては、水を除去することで、エンクロージャ内部を自由に循環している汚染物質化合物の量を削減して、湿度レベルを制御すると共に水溶性汚染物質を循環から除去することができる。
【0004】
連通している第2の環境とは異なる相対湿度(RH)を有する第1の環境内に重要な機械が位置づけられているかまたはその中でプロセスが実施される場合には、湿度レベルを調節することが特に重要であり得る。例えば、ディスクドライブの内部は、多くの場合、そのディスクドライブエンクロージャがある外部環境の相対湿度と異なる好ましい相対湿度を有する。ディスクドライブは典型的にはそのエンクロージャの内部に、ドライブへの空気の流入および流出を可能にするブリーザ・ポートを有しており、これがドライブエンクロージャ内の湿度の変動を結果としてもたらす。外部環境は、エンクロージャ内部の所望の相対湿度より高い相対湿度を有することもあれば、エンクロージャ内部の所望の相対湿度より低い相対湿度を有することもある。同様に、一部の実施において、外部環境は、時としてエンクロージャ内部の所望の相対湿度より高いまたは時としてそれより低い相対湿度レベルの間で変動する。コンピュータディスクドライブに関しては、過度に高い湿度は感受性の高い構成部品の腐食を導く可能性があり、過度に低い湿度は、高感度電気構成部品を損傷し得る静電気を導く可能性がある。
【0005】
したがって、湿度の制御が望ましいことの多い利用分野としては、上述の内部ハードディスクドライブ、および高感度光学表面または電子接続を伴うその他のエンクロージャ、および電子制御ボックスがある。これらは、自動車、半導体施設および加工用機器、オストミーバッグベント、補聴器、HVAC利用分野における受動素子、油圧機器、エンジン、エンジンベルトおよび数多くのその他の利用分野にその用途がある。
【0006】
吸着剤は一般に、以上で列挙したものに類似するシナリオにおいて湿度レベルを制御するために利用される。しかしながら各々の利用分野は、特定の利用分野の相対湿度範囲に応じて固有の要件を有し、したがって各々の特定の相対湿度範囲内で適正に性能を発揮する吸着剤が選択されなくてはならない。同様に、吸着剤は、その他の濾過用構成部品に比べ相対的に大きい体積を占めることが多く、したがって多くの場合吸着剤の能力を増大させることが望まれる。ディスクドライブなどのさまざまな製品アセンブリがさらに小さくなり、空間が貴重になるにつれて、この事実はさらに重要性を増している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、湿度を制御するための改良型吸着剤材料に対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書中に開示されている技術は、閉鎖環境内の湿度レベルなどの湿度レベルの制御に向けられている。本明細書中に開示されている技術は同様に、開放環境内、および外部環境との空気交換が制限されている内部環境内で湿度レベルを制御するためにも使用することができる。吸着剤材料の水等温線は、吸着剤の界面化学の改質を通してカスタマイズされる。吸着剤の界面化学をさまざまな方法でさまざまな程度で改質することにより、異なる湿度レベル範囲まで吸着剤特性をカスタマイズすることが可能である。このような改質は、特に低分子量の水溶性化合物に関して、吸着剤の吸着能力および効率を増強することができる。
【0009】
吸着剤は、本発明の数多くの実施形態において炭素、特に活性炭である。ただし、本発明の一部の実施においては、その他の吸着剤材料を使用することができる。表面改質は一般に、シリカ、ゼオライトおよび分子ふるいを含めたその他の多孔質媒体上で行なうことができる。さらに、細繊維媒体およびナノ繊維ウェブ媒体を改質することができ、あるいは改質された吸着剤を媒体内に取込むことができる。メルトブローン繊維、エレクトロスピニング、および押出PTFE媒体は全て使用してよい。
【0010】
本明細書中で使用する表面改質には、他のアプローチのなかでも、化学ボンディングまたは含浸を通して吸着剤の表面上に化学基を導入するための化学処理が含まれる。このような化学基は、その親水性、ルイス/ブレンステッド酸−塩基特性および水和能力(生産量および反応速度)により識別可能である。エンクロージャの湿度を制御する上で使用するのに適した吸着炭素材料としては、例えば酸処理による改質表面を有する炭素材料がある。
【0011】
吸着剤の表面を改質するために酸処理が使用される場合、一般にこの酸処理は、強酸、多くの場合酸が少なくとも5重量パーセントである酸水溶液、より典型的には強酸が少なくとも10重量パーセントである酸水溶液を用いて吸着剤材料または基材を処理するステップを含む。一部の実施において、酸処理は、酸が少なくとも35パーセントである酸溶液そして任意には酸が少なくとも70パーセントである溶液の中での基材の処理を含む。一部の実施形態において、酸溶液は、5〜85パーセントの酸を含み、その他の実施形態では、酸溶液は20〜75パーセントの酸を含み、さらにその他の実施形態では、酸溶液は30〜60パーセントの酸を含む。85パーセント超の酸を、典型的には酸煙または蒸気を用いて添加することさえ可能である。
【0012】
一部の実施において、酸水溶液は、硝酸、任意には少なくとも5パーセントの硝酸、より典型的には少なくとも10パーセントの硝酸を含む。一部の実施において、酸溶液は少なくとも35パーセントの硝酸、そして任意には少なくとも70パーセントの硝酸を含む。一部の実施形態において、酸溶液は5〜85パーセントの硝酸を含み、その他の実施形態において、酸処理は20〜75パーセントの硝酸を含み、さらにその他の実施形態において、酸溶液は30〜60パーセントの硝酸を含む。
【0013】
一部の実施では、吸着剤に2つ以上の表面改質剤が添加されるか、あるいは異なる表面改質を伴う2つ以上の吸着剤が組合わされる。例えば、異なる表面化学および改質を伴う粒状吸着剤、ポリマー、および/または繊維を物理的に混合することができる。
【0014】
以上の本発明の概要は、論述された本発明の各実施形態を説明することを意図したものではない。これは、図面ならびに以下の詳細な説明の目的である。
【0015】
本発明は、図面中に反映された付随する実施例と関連して本発明のさまざまな実施形態についての以下の詳細な説明を考慮することで、より完全に理解し認識されるかもしれない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】炭素材料の水吸着/脱着等温線に対する酸化の効果を示すグラフである。
【図2】硝酸で処理された炭素材料の水吸着等温線に対する酸化の効果を示すグラフである。
【図3】70%の硝酸処理の前後の活性炭についてのアセトン破過曲線を示すグラフである。
【図4】10%のクエン酸、5%の炭酸カリウムまたは5%の硫酸ナトリウムのいずれかが含浸された活性炭の水等温線に対する含浸の効果を示すグラフである。
【図5】70%の酸で処理された活性炭、5%の硫酸ナトリウムが含浸された活性炭およびその両方の物理的混合物上での水等温線を示すグラフである。
【図6】10%の酸処理により改質された活性炭上での水等温線サイクルを示すグラフである。
【図7】異なる濃度の硝酸での処理により改質された活性炭上での水等温線を示すグラフである。
【図8】炭素表面のpHに対する水吸着の依存性を示すグラフである。
【図9】炭素表面上の酸性基の量に対する水吸着の依存性を示すグラフである。
【図10】粒状炭素およびウェブ炭素の水吸着を比較するグラフである。
【図11】一範囲のRHを網羅するさまざまな媒体上での水等温線を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明はさまざまな修正および変形形態の対象となり得るが、その明細は実施例および図面によって示されており、以下で詳述される。ただし、本発明は記載されている特定の実施形態に限定されるものではないということを理解すべきである。反対に、意図されているのは、本発明の精神および範囲内に入る修正、等価物および変形形態を網羅することである。
【0018】
本明細書中で開示されている技術は、閉鎖環境内の湿度レベルなどの湿度レベルの制御に向けられている。吸着剤材料の水等温線は、吸着剤の界面化学の改質を通してカスタマイズされる。このような改質は、特に低分子量の水溶性化合物に関して、吸着剤の吸着能力および効率を増強することができる。吸着剤の界面化学をさまざまな方法でさまざまな程度で改質することにより、異なる湿度レベル範囲まで吸着剤特性をカスタマイズすることが可能である。
【0019】
表面改質には、他のアプローチのなかでも、化学ボンディングまたは含浸を通して吸着剤の表面内に化学基を導入するための化学処理が含まれる。吸着剤の親水性および表面化学の変更は、酸処理を通して達成可能である。このプロセスにおいては、例えば硝酸、リン酸および硫酸などのいくつかの酸を使用することができる。追加の酸としては例えば、クエン酸およびマロン酸が含まれる。このプロセスにおいては、異なる改質レベルを達成するために、単一の酸または混合物および一範囲の異なる酸濃度を使用することができる。静的または動的条件において処理プロセスを行なうことができる。静的条件には、例えば、酸溶液中に吸着剤を浸漬することが含まれる。動的条件には、撹拌および/または回転または軌道振盪下で酸と吸着剤を混合させることが含まれる。
【0020】
典型的には、酸に対する吸着剤の特定の質量対体積比に整合する量の酸が用いられる。このような質量対体積比は、例えば吸着剤の細孔容積、吸着剤の由来、および吸着剤の嵩密度などの因子により左右されるが、その他の因子も関連する可能性がある。適切な体積−質量(ml/g)比には、活性炭の場合、例えば0.1〜1、1〜10そして10〜100が含まれる。炭素単位質量との関係における細孔容積に対する酸体積の比率には、0.01〜1、1〜10および10〜100が含まれる。
【0021】
吸着剤の表面を改質するために酸処理が使用される場合、一般にこの酸処理は、強酸を用いて基材を処理するステップを含み、多くの場合酸は、溶液の重量で強酸が少なくとも5パーセント、より典型的には溶液の重量で強酸が少なくとも10パーセントである水溶液の形をとる。一部の実施において、酸は、溶液の重量で少なくとも35パーセントの酸、そして任意には溶液の重量で少なくとも70パーセントの酸を含む。一部の実施形態において、酸水溶液は、溶液の重量で5〜85パーセントの酸を含み、その他の実施形態では酸は溶液の重量で20〜75パーセントの酸を含み、さらにその他の実施形態では酸は溶液の重量で30〜60パーセントの酸を含む。
【0022】
処理時間も同様に、吸着剤の細孔容積、吸着剤の由来および吸着剤の嵩密度を含むさまざまな因子に基づいて変動する。処理時間は典型的には数分から最長数日まで変動する。一部の実施において、表面処理は最長1時間であり、他の実施において、表面処理は最長24時間であり、さらにその他の実施において、表面処理は24時間超である。
【0023】
さまざまな実施形態において、酸処理の直後に吸収剤を使用することができる。その他の実施形態において、吸着剤は、酸の一部分を除去するため水で洗浄される。このような実施形態において、吸着剤中には1〜10重量%、時として1〜20重量%の酸が残留してよい。これらの実施形態の一部においては、吸着剤中に2%〜7%の酸が残留していてよい。少なくとも1つの実施形態においては、3%〜5%の酸が吸着剤中に残留する。試料のpHは、洗浄液中に使用する水の量によって制御することができる。さまざまな実施形態において、試料のpHはわずかに酸性である。少なくとも1つの実施形態において、試料のpHは4〜5であり、他の実施形態において、pHは3.5〜6.5であり、さらにその他の実施においてpHは3〜7であり、一方その他の実施においてpHは2〜8である。一般に、酸性基の量は、炭素1グラムあたり0.1〜10mmolの酸性基の範囲内である。一部の実施においては、酸性基の量は、炭素1グラムあたり1.0〜10mmolの酸性基、その他の実施においては炭素1グラムあたり1.0〜5.0mmolの酸性基の範囲内である。
【0024】
吸着剤の表面を改質するための酸の使用に加えて、その他の化合物を使用することができる。例えば、酸と組合せた形でかまたは別個に、表面を改質するために過酸化水素、酸素ガス、酸蒸気、過マンガン酸カリウム、重クロム酸カリウムまたはオゾンなどの酸化剤を使用することができる。典型的にはこれらの酸化剤は、吸着剤の水等温線に影響を及ぼすのに充分なレベルで添加される。大部分の実施において、等温線は、未処理の吸着剤に比べ等温線に沿った1つ以上の点において少なくとも2パーセントの吸水変化を示し、その他の実施において、5パーセントの吸水変化を示し、さらにその他の実施においてそれはそれに沿った1つ以上の点において少なくとも10パーセントの吸水変化を示し、さらにその他の実施では、非処理の吸着剤に比べ等温線に沿った1つ以上の点において少なくとも20パーセントの変化、一般的には300パーセント超の変化そして一部の実施では最高300パーセントの変化を示す。
【0025】
吸着剤材料の表面に、異なる相対湿度でさまざまな水和能力を有する成分を含浸させることも同様に可能である。これには、例えば無水硫酸ナトリウム、クエン酸、炭酸カリウム、メリト酸および/またはそれらの混合物が含まれる。吸着剤特性は、全体的吸着能力の改善と共に、一範囲の相対湿度についてカストマイズ可能である。含浸は、吸着剤の重量で0.01〜99.9パーセントの間で変動し得る。しかしながら、より典型的には、含浸は、吸着剤の重量の1〜80パーセント、より典型的には1〜50パーセント、任意には1〜30パーセントを構成する。一部の実施において、含浸は吸着剤の重量の1〜10パーセントを構成する。
【0026】
選択された異なる相対湿度範囲において湿度を制御するために異なる表面改質方法を組合わせる結果としても同様に、カスタマイズされた吸水が得られる。吸着剤材料をさまざまな材料と混合することまたはさまざまな材料を吸着剤材料の酸化済み表面に含浸することによって、一部の状況で吸着能力を改善することができ、吸着剤をカストマイズすることができる。材料例としては、無水硫酸ナトリウム、クエン酸、炭酸カリウム、メリト酸および/またはそれらの混合物が含まれる。含浸は0.01〜99.9重量パーセントの間で変動でき、混合比は0〜100重量%で変動し得る。含浸は吸着剤の重量で0.01〜99.9パーセントで変動し得る。しかしながら、より典型的には、含浸は吸着剤の重量で1〜80パーセント、より典型的には1〜50パーセント、任意には1〜30パーセントを構成する。一部の実施において、含浸は吸着剤で1〜10パーセントを構成する。
【実施例】
【0027】
以下の例は、本発明のさまざまな態様を実証する。露点分析器を伴うVTI熱重量分析器上で、実施例用の水等温線を測定した。試量の典型的重量は10〜20mgの間、好ましくは15mgであった。これらの試料を、80℃で乾燥空気(dp(露点)<−30C)中で加熱乾燥させた。その後、試料を、吸着および脱着の両方で5%rh(相対湿度)の段階で5〜95%rhの範囲内の湿度に付した。次の湿度段階への進行は、毎分0.001%未満の重量変化速度あるいは最後の段階から3時間経過のいずれか先に発生した時点という平衡基準によって制御した。
【0028】
Boehm滴定法を用いて酸素化表面基の量を決定した。すなわち、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウムおよび塩酸の0.05N溶液50mlの中に1グラムの炭素試料を入れた。バイアルを封止して24時間撹拌し、その後各ろ液10mlをピペットで取り、溶液中に残った塩基または酸の余剰分を、使用したもとの滴定剤に応じてHClまたはNaOHで滴定した。水酸化ナトリウムがカルボン酸基、フェノールおよびラクトン基を中和し;炭酸ナトリウムがカルボン酸基およびラクトン基を中和し;重炭酸ナトリウムがカルボン酸基のみを中和するという仮定の下で、さまざまなタイプの酸性サイトの量を計算した。炭素と反応した塩酸の量から表面塩基性サイトの数を計算した。
【0029】
懸濁状態の炭素試料のpHは表面の酸性度およびアルカリ度についての情報を提供する。20mlの水に対して、0.4gの乾燥炭素粉末の試料を加え、懸濁液を一晩撹拌して平衡に達した。次に試料を濾過し、溶液のpHを測定した。
【0030】
77KでASAP2020(Micromevitics)を用いて、窒素等温線を測定した。実験の前に、試料を393Kで加熱し、次にこの温度で10−5torrの真空下で定圧まで脱ガスした。比表面積SDFT、10Åより小さい微小孔容積V<10Å、微小孔容積Vmicおよび合計細孔容積Vtを計算するために、等温線を使用した。これらのパラメータは全て、密度関数理論(DFT)を用いて計算した。
【0031】
具体的実施例に関しては、図1は「carbon F」についての水吸着能力および反応速度に対する表面酸化の効果を実証する。粉末状の活性炭吸着剤8グラムを100mlの70パーセント硝酸と混合しそれに続いて26時間撹拌した。処理の後、酸をドレンし、炭素試料を水で2回洗浄して酸の一部分を除去した。このような処理は少なくとも部分的に吸着剤の表面を酸化し、より低い相対湿度で水吸着を増大させた。図1は、酸化処理されていない炭素である「carbon F」および酸化処理された炭素である「carbon F−O」を示す。図1から明らかであるように、活性炭F(activated carbon F)の硝酸処理は水等温線をより低い湿度レベルへとシフトさせており、これは酸化された表面の親和性特性がより高いものであることを表している。
【0032】
図2は、炭素の水吸着等温線に対する粒状「carbon C」の硝酸処理の効果を実証している。図1で観察されたものと類似の傾向が図2内でも観察される。ビーカ内で6グラムの炭素C(carbon C)を8mlの70パーセント硝酸と5分間混合し、次にガラスで覆ってさらに25分間観察した。その後、改質した吸着剤試料を25mlの蒸留水で2回洗った。その後、試料をオーブン内に入れて110℃で72時間乾燥させ、次に、試験されるまで70℃のオーブン内に試料を置いた。図2で示されているように、硝酸で処理されていなかった「carbon C」は、硝酸で処理された「carbon C−O」のものよりも低い親水性特性を実証する水吸着等温線を有していた。
【0033】
図3は、図1に示した炭素F(carbon F)の表面改質がアセトンについての吸着能力に与える効果を実証している。表面処理は、アセトンについての炭素F(carbon F)の10%破過時間を340分から約480分まで延長し、10%破過濃度における能力の約41%の増大を表わしている。実験条件は以下の通りであった:アセトン50ppm、流速毎分30リットル、RH50%および温度25C。円筒形の充填層内の炭素寸法は深さ1インチ、直径1.5インチであった。炭素メッシュサイズは12×20であった。試験開始に先立ち、試料を50%RHで条件づけした。こうして、図3は、酸化した活性炭が、酸化していない活性炭に比べてより多くの有機化合物アセトンを吸着することを実証している。
【0034】
図4は、水吸着に対する硫酸ナトリウム(5%)、クエン酸(10%)または炭酸カリウム(5%)での活性炭含浸の効果を実証している。含浸は、主として炭酸カリウムおよびクエン酸含浸の場合に、40〜60%のRH範囲内で水吸着を増強させた。Carbon C−5%SSは5パーセントの硫酸ナトリウムで処理し、Carbon C−10%CAは10パーセントのクエン酸で処理し、Carbon C−5%K2CO3は5パーセントの炭酸カリウムで処理した。
【0035】
図5は、水吸着に対する、硫酸ナトリウム(5%)を含浸させた酸化活性炭の間の組合せの効果を実証している。70%の酸で処理された活性炭F(Carbon F−O)、5%の硫酸ナトリウムが含浸された活性炭(Carbon C−5%SS)およびこれら両方の物理的混合物が示されている。
【0036】
物理的組合せは、混合物の水吸着が少なくとも部分的に個々の吸着剤の水等温線間にあるという点で、性能に対する平均された効果を提供した。
【0037】
表1は活性炭の表面化学に対する硝酸処理濃度の効果を提供している。表面化学は、表面上の酸性および塩基性基の量を計算するBoehm滴定法を用いて分析された。表面は、表面基の量の増加が大きいことに起因してより親水性が高くなると考えられている。全ての処理についての酸性基の量は、炭素1gあたり1mmol超増大した。
【0038】
【表1】
【0039】
表2は、活性炭の多孔質構造に対する硝酸処理濃度の効果を提示している。構造的特徴は、10〜70%の酸処理による有意な影響を受けていない。表面積(SBET)、微小孔面積(Smic)、10Åより小さい細孔の容積(V<10Å)、微小孔容積(Vmic)、合計細孔容積(Vt)および平均孔径(L)などの構造的特徴を、全ての活性炭についての窒素等温線から計算した。
【0040】
【表2】
【0041】
表3は、10%の硝酸で処理した炭素の表面化学に対するエタノール洗浄の効果を示している。10%の硝酸で処理した活性炭の表面化学は、エタノール洗浄によりほぼ無傷の状態にとどまり、これはいくつかの製造プロセスの下での表面化学の安定性を表わしている。
【0042】
【表3】
【0043】
図6は、24時間にわたる10%の硝酸の処理によって改質された炭素C(carbon C)上での3つの水吸着/脱着等温線サイクルを示す。3サイクルにわたり吸着/脱着挙動の変化は全く指摘されず、これは、改質された炭素およびその再生能力の安定性を表わしている。
【0044】
図7は、10%の酸処理により改質された活性炭上での水等温線サイクルを示す。図7に示されているように、処理に使用される硝酸の濃度が高くなるにつれて、水等温線全体が、特に70%未満のRHで、より高い水吸着に向かってシフトした。さまざまな実験的処理において、活性炭の水吸着の最大の増強は、硝酸での処理の結果であった。
【0045】
図8は、処理中の酸の濃度を変動させることによって変動させられた活性炭表面のpHに対する水吸着の依存性を示す。この図によると、60%のRHでのこの水吸着は、活性炭の表面pHが低下するにつれて増大する。
【0046】
図9は、処理中の酸の濃度を変動させることによって変動させられた活性炭表面上での酸性基の量に対する水吸着の依存性を示す。この図によると、60%未満のRHまたは40%のRHにおけるこの水吸着は、活性炭の表面上の酸性基の量が増加するにつれて増大する。
【0047】
図10は、粒状炭素およびウェブ炭素の比較を示す。酸処理した粒状炭素曲線は、酸処理された炭素上の水等温線を示しており、ここには40〜60%のRH範囲内の高い吸水が見られる。酸処理した炭素の曲線は、同じただしウェブ形態の酸洗浄した炭素についての水等温線を表わしているが、ここでウェブ重量の約20%が炭素でないことは分っている。炭素は、ウェブプロセスでも同様にその能力の約10%を失う。このことは、粒状酸洗浄炭素の性能に比べてウェブについて重量で30%水が減少することを説明している。ウェブ材料は、任意には、PTFEと粒状吸着剤材料の複合材である。この複合材は、吸着剤材料とPTFEエマルジョンを合わせて押出しすることにより形成可能である。押出された材料は次に、シートまたはタブレットとしてのその最終的形態へと機械的に整形される。
【0048】
図11は、異なる表面化学を有する異なる材料を使用することにより全てのRH範囲で効率良く水を除去する能力を示す。これらの材料を物理的に混合することによって、図5に示されているように水除去をカスタマイズすることが可能である。
【0049】
同様に、本明細書および添付のクレームの中で使用されている「構成された(configured)」という言いまわしは、特定の任務を実施するかまたは特定の構成をとるように構築または構成されているシステム、器具またはその他の構造を説明するということを指摘しておくべきである。「構成された」という言いまわしは、「配置された(arranged)」、「配置され構成された」、「構築され配置された」、「構築された(constructed)」、「製造され配置された」などの他の類似の言い回しと互換的に使用可能である。
【0050】
本明細書中の全ての出版物および特許出願は、本発明が関わる技術分野における当業者のレベルを表示するものである。全ての出版物および特許出願は、各々の個別の出版物または特許出願が具体的かつ個別的に参照により援用された場合と同一程度に、参照により本明細書に援用される。
【0051】
上述の本発明の実施はハードドライブエンクロージャに向けられているものの、本デバイスは、その他の電子エンクロージャと共に使用されてよく、ハードドライブエンクロージャに限定されない。さらに、本発明はいくつかの特定の実施を基準にして記述されてきたが、当業者であれば本発明の精神および範囲から逸脱することなくこれに対して数多くの変更を加えてよいということを認識するものである。
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国以外の全ての国の指定の出願人である米国国内企業であるDonaldson Company.Inc、および米国のみの指定の出願人であるレバノン国民Yahya A.Elsayed、米国国民Andrew J.Dallas、米国国民Jon D.Jorimanおよび米国国民Dustin Zastera名義の2009年11月4日付けPCT国際特許出願として提出されており、内容が参照により本明細書に援用されている2008年11月4日付け米国仮特許出願第61/111,207号明細書に対する優先権を請求するものである。
【0002】
本技術は吸着剤材料に関する。より詳細には、本技術は、カスタマイズ可能な吸着剤材料に関する。さらに一層詳細には、本技術はカスタマイズ可能な水吸着材料に関する。
【背景技術】
【0003】
さまざまな状況において、空気中の水分量を制御する能力を可能にする条件が必要とされる。例えば、感度の高い電子部品および機器を収納するエンクロージャ内部での利用分野では、多くの場合、一貫性ある形で動作するようにそのエンクロージャ内部の水分レベルを維持し調節することが求められる。不適切な水分レベルは、部品および機器の機械的および電気的動作を妨げる可能性がある。別の例においては、閉鎖環境内の無機塩などの水溶性汚染物質化合物を除去することが望ましい可能性がある。これらの状況においては、水を除去することで、エンクロージャ内部を自由に循環している汚染物質化合物の量を削減して、湿度レベルを制御すると共に水溶性汚染物質を循環から除去することができる。
【0004】
連通している第2の環境とは異なる相対湿度(RH)を有する第1の環境内に重要な機械が位置づけられているかまたはその中でプロセスが実施される場合には、湿度レベルを調節することが特に重要であり得る。例えば、ディスクドライブの内部は、多くの場合、そのディスクドライブエンクロージャがある外部環境の相対湿度と異なる好ましい相対湿度を有する。ディスクドライブは典型的にはそのエンクロージャの内部に、ドライブへの空気の流入および流出を可能にするブリーザ・ポートを有しており、これがドライブエンクロージャ内の湿度の変動を結果としてもたらす。外部環境は、エンクロージャ内部の所望の相対湿度より高い相対湿度を有することもあれば、エンクロージャ内部の所望の相対湿度より低い相対湿度を有することもある。同様に、一部の実施において、外部環境は、時としてエンクロージャ内部の所望の相対湿度より高いまたは時としてそれより低い相対湿度レベルの間で変動する。コンピュータディスクドライブに関しては、過度に高い湿度は感受性の高い構成部品の腐食を導く可能性があり、過度に低い湿度は、高感度電気構成部品を損傷し得る静電気を導く可能性がある。
【0005】
したがって、湿度の制御が望ましいことの多い利用分野としては、上述の内部ハードディスクドライブ、および高感度光学表面または電子接続を伴うその他のエンクロージャ、および電子制御ボックスがある。これらは、自動車、半導体施設および加工用機器、オストミーバッグベント、補聴器、HVAC利用分野における受動素子、油圧機器、エンジン、エンジンベルトおよび数多くのその他の利用分野にその用途がある。
【0006】
吸着剤は一般に、以上で列挙したものに類似するシナリオにおいて湿度レベルを制御するために利用される。しかしながら各々の利用分野は、特定の利用分野の相対湿度範囲に応じて固有の要件を有し、したがって各々の特定の相対湿度範囲内で適正に性能を発揮する吸着剤が選択されなくてはならない。同様に、吸着剤は、その他の濾過用構成部品に比べ相対的に大きい体積を占めることが多く、したがって多くの場合吸着剤の能力を増大させることが望まれる。ディスクドライブなどのさまざまな製品アセンブリがさらに小さくなり、空間が貴重になるにつれて、この事実はさらに重要性を増している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、湿度を制御するための改良型吸着剤材料に対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書中に開示されている技術は、閉鎖環境内の湿度レベルなどの湿度レベルの制御に向けられている。本明細書中に開示されている技術は同様に、開放環境内、および外部環境との空気交換が制限されている内部環境内で湿度レベルを制御するためにも使用することができる。吸着剤材料の水等温線は、吸着剤の界面化学の改質を通してカスタマイズされる。吸着剤の界面化学をさまざまな方法でさまざまな程度で改質することにより、異なる湿度レベル範囲まで吸着剤特性をカスタマイズすることが可能である。このような改質は、特に低分子量の水溶性化合物に関して、吸着剤の吸着能力および効率を増強することができる。
【0009】
吸着剤は、本発明の数多くの実施形態において炭素、特に活性炭である。ただし、本発明の一部の実施においては、その他の吸着剤材料を使用することができる。表面改質は一般に、シリカ、ゼオライトおよび分子ふるいを含めたその他の多孔質媒体上で行なうことができる。さらに、細繊維媒体およびナノ繊維ウェブ媒体を改質することができ、あるいは改質された吸着剤を媒体内に取込むことができる。メルトブローン繊維、エレクトロスピニング、および押出PTFE媒体は全て使用してよい。
【0010】
本明細書中で使用する表面改質には、他のアプローチのなかでも、化学ボンディングまたは含浸を通して吸着剤の表面上に化学基を導入するための化学処理が含まれる。このような化学基は、その親水性、ルイス/ブレンステッド酸−塩基特性および水和能力(生産量および反応速度)により識別可能である。エンクロージャの湿度を制御する上で使用するのに適した吸着炭素材料としては、例えば酸処理による改質表面を有する炭素材料がある。
【0011】
吸着剤の表面を改質するために酸処理が使用される場合、一般にこの酸処理は、強酸、多くの場合酸が少なくとも5重量パーセントである酸水溶液、より典型的には強酸が少なくとも10重量パーセントである酸水溶液を用いて吸着剤材料または基材を処理するステップを含む。一部の実施において、酸処理は、酸が少なくとも35パーセントである酸溶液そして任意には酸が少なくとも70パーセントである溶液の中での基材の処理を含む。一部の実施形態において、酸溶液は、5〜85パーセントの酸を含み、その他の実施形態では、酸溶液は20〜75パーセントの酸を含み、さらにその他の実施形態では、酸溶液は30〜60パーセントの酸を含む。85パーセント超の酸を、典型的には酸煙または蒸気を用いて添加することさえ可能である。
【0012】
一部の実施において、酸水溶液は、硝酸、任意には少なくとも5パーセントの硝酸、より典型的には少なくとも10パーセントの硝酸を含む。一部の実施において、酸溶液は少なくとも35パーセントの硝酸、そして任意には少なくとも70パーセントの硝酸を含む。一部の実施形態において、酸溶液は5〜85パーセントの硝酸を含み、その他の実施形態において、酸処理は20〜75パーセントの硝酸を含み、さらにその他の実施形態において、酸溶液は30〜60パーセントの硝酸を含む。
【0013】
一部の実施では、吸着剤に2つ以上の表面改質剤が添加されるか、あるいは異なる表面改質を伴う2つ以上の吸着剤が組合わされる。例えば、異なる表面化学および改質を伴う粒状吸着剤、ポリマー、および/または繊維を物理的に混合することができる。
【0014】
以上の本発明の概要は、論述された本発明の各実施形態を説明することを意図したものではない。これは、図面ならびに以下の詳細な説明の目的である。
【0015】
本発明は、図面中に反映された付随する実施例と関連して本発明のさまざまな実施形態についての以下の詳細な説明を考慮することで、より完全に理解し認識されるかもしれない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】炭素材料の水吸着/脱着等温線に対する酸化の効果を示すグラフである。
【図2】硝酸で処理された炭素材料の水吸着等温線に対する酸化の効果を示すグラフである。
【図3】70%の硝酸処理の前後の活性炭についてのアセトン破過曲線を示すグラフである。
【図4】10%のクエン酸、5%の炭酸カリウムまたは5%の硫酸ナトリウムのいずれかが含浸された活性炭の水等温線に対する含浸の効果を示すグラフである。
【図5】70%の酸で処理された活性炭、5%の硫酸ナトリウムが含浸された活性炭およびその両方の物理的混合物上での水等温線を示すグラフである。
【図6】10%の酸処理により改質された活性炭上での水等温線サイクルを示すグラフである。
【図7】異なる濃度の硝酸での処理により改質された活性炭上での水等温線を示すグラフである。
【図8】炭素表面のpHに対する水吸着の依存性を示すグラフである。
【図9】炭素表面上の酸性基の量に対する水吸着の依存性を示すグラフである。
【図10】粒状炭素およびウェブ炭素の水吸着を比較するグラフである。
【図11】一範囲のRHを網羅するさまざまな媒体上での水等温線を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明はさまざまな修正および変形形態の対象となり得るが、その明細は実施例および図面によって示されており、以下で詳述される。ただし、本発明は記載されている特定の実施形態に限定されるものではないということを理解すべきである。反対に、意図されているのは、本発明の精神および範囲内に入る修正、等価物および変形形態を網羅することである。
【0018】
本明細書中で開示されている技術は、閉鎖環境内の湿度レベルなどの湿度レベルの制御に向けられている。吸着剤材料の水等温線は、吸着剤の界面化学の改質を通してカスタマイズされる。このような改質は、特に低分子量の水溶性化合物に関して、吸着剤の吸着能力および効率を増強することができる。吸着剤の界面化学をさまざまな方法でさまざまな程度で改質することにより、異なる湿度レベル範囲まで吸着剤特性をカスタマイズすることが可能である。
【0019】
表面改質には、他のアプローチのなかでも、化学ボンディングまたは含浸を通して吸着剤の表面内に化学基を導入するための化学処理が含まれる。吸着剤の親水性および表面化学の変更は、酸処理を通して達成可能である。このプロセスにおいては、例えば硝酸、リン酸および硫酸などのいくつかの酸を使用することができる。追加の酸としては例えば、クエン酸およびマロン酸が含まれる。このプロセスにおいては、異なる改質レベルを達成するために、単一の酸または混合物および一範囲の異なる酸濃度を使用することができる。静的または動的条件において処理プロセスを行なうことができる。静的条件には、例えば、酸溶液中に吸着剤を浸漬することが含まれる。動的条件には、撹拌および/または回転または軌道振盪下で酸と吸着剤を混合させることが含まれる。
【0020】
典型的には、酸に対する吸着剤の特定の質量対体積比に整合する量の酸が用いられる。このような質量対体積比は、例えば吸着剤の細孔容積、吸着剤の由来、および吸着剤の嵩密度などの因子により左右されるが、その他の因子も関連する可能性がある。適切な体積−質量(ml/g)比には、活性炭の場合、例えば0.1〜1、1〜10そして10〜100が含まれる。炭素単位質量との関係における細孔容積に対する酸体積の比率には、0.01〜1、1〜10および10〜100が含まれる。
【0021】
吸着剤の表面を改質するために酸処理が使用される場合、一般にこの酸処理は、強酸を用いて基材を処理するステップを含み、多くの場合酸は、溶液の重量で強酸が少なくとも5パーセント、より典型的には溶液の重量で強酸が少なくとも10パーセントである水溶液の形をとる。一部の実施において、酸は、溶液の重量で少なくとも35パーセントの酸、そして任意には溶液の重量で少なくとも70パーセントの酸を含む。一部の実施形態において、酸水溶液は、溶液の重量で5〜85パーセントの酸を含み、その他の実施形態では酸は溶液の重量で20〜75パーセントの酸を含み、さらにその他の実施形態では酸は溶液の重量で30〜60パーセントの酸を含む。
【0022】
処理時間も同様に、吸着剤の細孔容積、吸着剤の由来および吸着剤の嵩密度を含むさまざまな因子に基づいて変動する。処理時間は典型的には数分から最長数日まで変動する。一部の実施において、表面処理は最長1時間であり、他の実施において、表面処理は最長24時間であり、さらにその他の実施において、表面処理は24時間超である。
【0023】
さまざまな実施形態において、酸処理の直後に吸収剤を使用することができる。その他の実施形態において、吸着剤は、酸の一部分を除去するため水で洗浄される。このような実施形態において、吸着剤中には1〜10重量%、時として1〜20重量%の酸が残留してよい。これらの実施形態の一部においては、吸着剤中に2%〜7%の酸が残留していてよい。少なくとも1つの実施形態においては、3%〜5%の酸が吸着剤中に残留する。試料のpHは、洗浄液中に使用する水の量によって制御することができる。さまざまな実施形態において、試料のpHはわずかに酸性である。少なくとも1つの実施形態において、試料のpHは4〜5であり、他の実施形態において、pHは3.5〜6.5であり、さらにその他の実施においてpHは3〜7であり、一方その他の実施においてpHは2〜8である。一般に、酸性基の量は、炭素1グラムあたり0.1〜10mmolの酸性基の範囲内である。一部の実施においては、酸性基の量は、炭素1グラムあたり1.0〜10mmolの酸性基、その他の実施においては炭素1グラムあたり1.0〜5.0mmolの酸性基の範囲内である。
【0024】
吸着剤の表面を改質するための酸の使用に加えて、その他の化合物を使用することができる。例えば、酸と組合せた形でかまたは別個に、表面を改質するために過酸化水素、酸素ガス、酸蒸気、過マンガン酸カリウム、重クロム酸カリウムまたはオゾンなどの酸化剤を使用することができる。典型的にはこれらの酸化剤は、吸着剤の水等温線に影響を及ぼすのに充分なレベルで添加される。大部分の実施において、等温線は、未処理の吸着剤に比べ等温線に沿った1つ以上の点において少なくとも2パーセントの吸水変化を示し、その他の実施において、5パーセントの吸水変化を示し、さらにその他の実施においてそれはそれに沿った1つ以上の点において少なくとも10パーセントの吸水変化を示し、さらにその他の実施では、非処理の吸着剤に比べ等温線に沿った1つ以上の点において少なくとも20パーセントの変化、一般的には300パーセント超の変化そして一部の実施では最高300パーセントの変化を示す。
【0025】
吸着剤材料の表面に、異なる相対湿度でさまざまな水和能力を有する成分を含浸させることも同様に可能である。これには、例えば無水硫酸ナトリウム、クエン酸、炭酸カリウム、メリト酸および/またはそれらの混合物が含まれる。吸着剤特性は、全体的吸着能力の改善と共に、一範囲の相対湿度についてカストマイズ可能である。含浸は、吸着剤の重量で0.01〜99.9パーセントの間で変動し得る。しかしながら、より典型的には、含浸は、吸着剤の重量の1〜80パーセント、より典型的には1〜50パーセント、任意には1〜30パーセントを構成する。一部の実施において、含浸は吸着剤の重量の1〜10パーセントを構成する。
【0026】
選択された異なる相対湿度範囲において湿度を制御するために異なる表面改質方法を組合わせる結果としても同様に、カスタマイズされた吸水が得られる。吸着剤材料をさまざまな材料と混合することまたはさまざまな材料を吸着剤材料の酸化済み表面に含浸することによって、一部の状況で吸着能力を改善することができ、吸着剤をカストマイズすることができる。材料例としては、無水硫酸ナトリウム、クエン酸、炭酸カリウム、メリト酸および/またはそれらの混合物が含まれる。含浸は0.01〜99.9重量パーセントの間で変動でき、混合比は0〜100重量%で変動し得る。含浸は吸着剤の重量で0.01〜99.9パーセントで変動し得る。しかしながら、より典型的には、含浸は吸着剤の重量で1〜80パーセント、より典型的には1〜50パーセント、任意には1〜30パーセントを構成する。一部の実施において、含浸は吸着剤で1〜10パーセントを構成する。
【実施例】
【0027】
以下の例は、本発明のさまざまな態様を実証する。露点分析器を伴うVTI熱重量分析器上で、実施例用の水等温線を測定した。試量の典型的重量は10〜20mgの間、好ましくは15mgであった。これらの試料を、80℃で乾燥空気(dp(露点)<−30C)中で加熱乾燥させた。その後、試料を、吸着および脱着の両方で5%rh(相対湿度)の段階で5〜95%rhの範囲内の湿度に付した。次の湿度段階への進行は、毎分0.001%未満の重量変化速度あるいは最後の段階から3時間経過のいずれか先に発生した時点という平衡基準によって制御した。
【0028】
Boehm滴定法を用いて酸素化表面基の量を決定した。すなわち、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウムおよび塩酸の0.05N溶液50mlの中に1グラムの炭素試料を入れた。バイアルを封止して24時間撹拌し、その後各ろ液10mlをピペットで取り、溶液中に残った塩基または酸の余剰分を、使用したもとの滴定剤に応じてHClまたはNaOHで滴定した。水酸化ナトリウムがカルボン酸基、フェノールおよびラクトン基を中和し;炭酸ナトリウムがカルボン酸基およびラクトン基を中和し;重炭酸ナトリウムがカルボン酸基のみを中和するという仮定の下で、さまざまなタイプの酸性サイトの量を計算した。炭素と反応した塩酸の量から表面塩基性サイトの数を計算した。
【0029】
懸濁状態の炭素試料のpHは表面の酸性度およびアルカリ度についての情報を提供する。20mlの水に対して、0.4gの乾燥炭素粉末の試料を加え、懸濁液を一晩撹拌して平衡に達した。次に試料を濾過し、溶液のpHを測定した。
【0030】
77KでASAP2020(Micromevitics)を用いて、窒素等温線を測定した。実験の前に、試料を393Kで加熱し、次にこの温度で10−5torrの真空下で定圧まで脱ガスした。比表面積SDFT、10Åより小さい微小孔容積V<10Å、微小孔容積Vmicおよび合計細孔容積Vtを計算するために、等温線を使用した。これらのパラメータは全て、密度関数理論(DFT)を用いて計算した。
【0031】
具体的実施例に関しては、図1は「carbon F」についての水吸着能力および反応速度に対する表面酸化の効果を実証する。粉末状の活性炭吸着剤8グラムを100mlの70パーセント硝酸と混合しそれに続いて26時間撹拌した。処理の後、酸をドレンし、炭素試料を水で2回洗浄して酸の一部分を除去した。このような処理は少なくとも部分的に吸着剤の表面を酸化し、より低い相対湿度で水吸着を増大させた。図1は、酸化処理されていない炭素である「carbon F」および酸化処理された炭素である「carbon F−O」を示す。図1から明らかであるように、活性炭F(activated carbon F)の硝酸処理は水等温線をより低い湿度レベルへとシフトさせており、これは酸化された表面の親和性特性がより高いものであることを表している。
【0032】
図2は、炭素の水吸着等温線に対する粒状「carbon C」の硝酸処理の効果を実証している。図1で観察されたものと類似の傾向が図2内でも観察される。ビーカ内で6グラムの炭素C(carbon C)を8mlの70パーセント硝酸と5分間混合し、次にガラスで覆ってさらに25分間観察した。その後、改質した吸着剤試料を25mlの蒸留水で2回洗った。その後、試料をオーブン内に入れて110℃で72時間乾燥させ、次に、試験されるまで70℃のオーブン内に試料を置いた。図2で示されているように、硝酸で処理されていなかった「carbon C」は、硝酸で処理された「carbon C−O」のものよりも低い親水性特性を実証する水吸着等温線を有していた。
【0033】
図3は、図1に示した炭素F(carbon F)の表面改質がアセトンについての吸着能力に与える効果を実証している。表面処理は、アセトンについての炭素F(carbon F)の10%破過時間を340分から約480分まで延長し、10%破過濃度における能力の約41%の増大を表わしている。実験条件は以下の通りであった:アセトン50ppm、流速毎分30リットル、RH50%および温度25C。円筒形の充填層内の炭素寸法は深さ1インチ、直径1.5インチであった。炭素メッシュサイズは12×20であった。試験開始に先立ち、試料を50%RHで条件づけした。こうして、図3は、酸化した活性炭が、酸化していない活性炭に比べてより多くの有機化合物アセトンを吸着することを実証している。
【0034】
図4は、水吸着に対する硫酸ナトリウム(5%)、クエン酸(10%)または炭酸カリウム(5%)での活性炭含浸の効果を実証している。含浸は、主として炭酸カリウムおよびクエン酸含浸の場合に、40〜60%のRH範囲内で水吸着を増強させた。Carbon C−5%SSは5パーセントの硫酸ナトリウムで処理し、Carbon C−10%CAは10パーセントのクエン酸で処理し、Carbon C−5%K2CO3は5パーセントの炭酸カリウムで処理した。
【0035】
図5は、水吸着に対する、硫酸ナトリウム(5%)を含浸させた酸化活性炭の間の組合せの効果を実証している。70%の酸で処理された活性炭F(Carbon F−O)、5%の硫酸ナトリウムが含浸された活性炭(Carbon C−5%SS)およびこれら両方の物理的混合物が示されている。
【0036】
物理的組合せは、混合物の水吸着が少なくとも部分的に個々の吸着剤の水等温線間にあるという点で、性能に対する平均された効果を提供した。
【0037】
表1は活性炭の表面化学に対する硝酸処理濃度の効果を提供している。表面化学は、表面上の酸性および塩基性基の量を計算するBoehm滴定法を用いて分析された。表面は、表面基の量の増加が大きいことに起因してより親水性が高くなると考えられている。全ての処理についての酸性基の量は、炭素1gあたり1mmol超増大した。
【0038】
【表1】
【0039】
表2は、活性炭の多孔質構造に対する硝酸処理濃度の効果を提示している。構造的特徴は、10〜70%の酸処理による有意な影響を受けていない。表面積(SBET)、微小孔面積(Smic)、10Åより小さい細孔の容積(V<10Å)、微小孔容積(Vmic)、合計細孔容積(Vt)および平均孔径(L)などの構造的特徴を、全ての活性炭についての窒素等温線から計算した。
【0040】
【表2】
【0041】
表3は、10%の硝酸で処理した炭素の表面化学に対するエタノール洗浄の効果を示している。10%の硝酸で処理した活性炭の表面化学は、エタノール洗浄によりほぼ無傷の状態にとどまり、これはいくつかの製造プロセスの下での表面化学の安定性を表わしている。
【0042】
【表3】
【0043】
図6は、24時間にわたる10%の硝酸の処理によって改質された炭素C(carbon C)上での3つの水吸着/脱着等温線サイクルを示す。3サイクルにわたり吸着/脱着挙動の変化は全く指摘されず、これは、改質された炭素およびその再生能力の安定性を表わしている。
【0044】
図7は、10%の酸処理により改質された活性炭上での水等温線サイクルを示す。図7に示されているように、処理に使用される硝酸の濃度が高くなるにつれて、水等温線全体が、特に70%未満のRHで、より高い水吸着に向かってシフトした。さまざまな実験的処理において、活性炭の水吸着の最大の増強は、硝酸での処理の結果であった。
【0045】
図8は、処理中の酸の濃度を変動させることによって変動させられた活性炭表面のpHに対する水吸着の依存性を示す。この図によると、60%のRHでのこの水吸着は、活性炭の表面pHが低下するにつれて増大する。
【0046】
図9は、処理中の酸の濃度を変動させることによって変動させられた活性炭表面上での酸性基の量に対する水吸着の依存性を示す。この図によると、60%未満のRHまたは40%のRHにおけるこの水吸着は、活性炭の表面上の酸性基の量が増加するにつれて増大する。
【0047】
図10は、粒状炭素およびウェブ炭素の比較を示す。酸処理した粒状炭素曲線は、酸処理された炭素上の水等温線を示しており、ここには40〜60%のRH範囲内の高い吸水が見られる。酸処理した炭素の曲線は、同じただしウェブ形態の酸洗浄した炭素についての水等温線を表わしているが、ここでウェブ重量の約20%が炭素でないことは分っている。炭素は、ウェブプロセスでも同様にその能力の約10%を失う。このことは、粒状酸洗浄炭素の性能に比べてウェブについて重量で30%水が減少することを説明している。ウェブ材料は、任意には、PTFEと粒状吸着剤材料の複合材である。この複合材は、吸着剤材料とPTFEエマルジョンを合わせて押出しすることにより形成可能である。押出された材料は次に、シートまたはタブレットとしてのその最終的形態へと機械的に整形される。
【0048】
図11は、異なる表面化学を有する異なる材料を使用することにより全てのRH範囲で効率良く水を除去する能力を示す。これらの材料を物理的に混合することによって、図5に示されているように水除去をカスタマイズすることが可能である。
【0049】
同様に、本明細書および添付のクレームの中で使用されている「構成された(configured)」という言いまわしは、特定の任務を実施するかまたは特定の構成をとるように構築または構成されているシステム、器具またはその他の構造を説明するということを指摘しておくべきである。「構成された」という言いまわしは、「配置された(arranged)」、「配置され構成された」、「構築され配置された」、「構築された(constructed)」、「製造され配置された」などの他の類似の言い回しと互換的に使用可能である。
【0050】
本明細書中の全ての出版物および特許出願は、本発明が関わる技術分野における当業者のレベルを表示するものである。全ての出版物および特許出願は、各々の個別の出版物または特許出願が具体的かつ個別的に参照により援用された場合と同一程度に、参照により本明細書に援用される。
【0051】
上述の本発明の実施はハードドライブエンクロージャに向けられているものの、本デバイスは、その他の電子エンクロージャと共に使用されてよく、ハードドライブエンクロージャに限定されない。さらに、本発明はいくつかの特定の実施を基準にして記述されてきたが、当業者であれば本発明の精神および範囲から逸脱することなくこれに対して数多くの変更を加えてよいということを認識するものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
湿度を制御する上で使用するのに適した改質吸着剤材料において、
− 吸着剤と、
− 前記吸着材料の少なくとも一表面上の酸化処理であって、前記吸着剤に対し改質された吸水特性を提供する酸化処理と、
を含む改質吸着材材料。
【請求項2】
前記吸着剤が活性炭を含む、請求項1に記載の改質吸着剤材料。
【請求項3】
前記吸着剤が炭素、シリカ、分子ふるい、ゼオライト、およびこれらの組合せを含む群から選択される、請求項1に記載の改質吸着剤材料。
【請求項4】
前記酸化処理が酸処理を含む、請求項1に記載の改質吸着剤材料。
【請求項5】
吸着剤が3〜7のpH範囲を有する、請求項4に記載の改質吸着剤材料。
【請求項6】
酸性基の量が吸着剤1グラムあたり酸性基1.0〜10mmolの範囲内にある、請求項4に記載の改質吸着剤材料。
【請求項7】
前記酸化処理が分子酸素、オゾンまたはそれらの組合せを用いた処理を含む、請求項1に記載の改質吸着剤材料。
【請求項8】
前記酸化処理が過酸化水素、過マンガン酸カリウム、重クロム酸カリウムおよびそれらの組合せを用いた吸着剤の処理を含む、請求項1に記載の改質吸着剤材料。
【請求項9】
前記酸処理が、硝酸溶液を用いた処理を含む、請求項4に記載の吸着炭素材料。
【請求項10】
前記硝酸が、少なくとも5パーセントの硝酸を含む濃度で炭素材料に塗布される、請求項9に記載の吸着炭素材料。
【請求項11】
前記硝酸が、少なくとも5〜85パーセントの硝酸を含む濃度で炭素材料に塗布される、請求項11に記載の吸着炭素材料。
【請求項12】
前記硝酸が、少なくとも20〜75パーセントの硝酸を含む濃度で炭素材料に塗布される、請求項7に記載の吸着炭素材料。
【請求項13】
前記硝酸が、少なくとも30〜60パーセントの硝酸を含む濃度で炭素材料に塗布される、請求項7に記載の吸着炭素材料。
【請求項14】
前記吸着剤が、異なる表面処理を伴う2つ以上の吸着剤材料の混合物を含む、請求項7に記載の吸着炭素材料。
【請求項15】
湿度を制御する上で使用するのに適した吸着剤材料において、前記炭素材料が、水吸着を制御するための非酸化プロセスを介して改質された表面を有する、吸着剤材料。
【請求項16】
前記表面改質が、アルカリ金属酸化物、アルカリ金属硫酸塩、クエン酸、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属重炭酸塩、マロン酸、アクリル酸、メリト酸、ポリアクリル酸、ポリアクリレート塩および/またはそれらの混合物を含む群から選択される表面改質剤を用いた処理を含む、請求項15に記載の吸着剤材料。
【請求項17】
前記吸着剤が、活性炭、ゼオライト、シリカおよびそれらの組合せを含む群から選択される、請求項15に記載の吸着剤材料。
【請求項18】
前記処理が少なくとも2パーセントの表面改質剤を含む、請求項15に記載の吸着炭素材料。
【請求項19】
前記処理が少なくとも35パーセントの表面改質剤を含む、請求項15に記載の吸着炭素材料。
【請求項20】
前記処理が少なくとも70パーセントの表面改質剤を含む、請求項15に記載の吸着炭素材料。
【請求項21】
前記処理が2〜85重量パーセントの表面改質剤を含む、請求項15に記載の吸着炭素材料。
【請求項22】
前記処理が20〜75パーセントの表面改質剤を含む、請求項15に記載の吸着炭素材料。
【請求項23】
前記処理が30〜60パーセントの表面改質剤を含む、請求項15に記載の吸着炭素材料。
【請求項24】
前記吸着剤が異なる表面処理を伴う2つ以上の吸着剤材料の混合物を含む、請求項15に記載の吸着炭素材料。
【請求項25】
湿度を制御する上で使用するのに適した材料において、
− 吸着剤に対し改質された吸水特性を提供する第1の処理を、少なくともその表面に受けた第1の吸着剤材料と、
− 第2の吸着剤に対し改質された吸水特性を提供する第2の処理を、少なくとも前記第1の吸着剤材料の表面に受けた第2の吸着剤材料と、
を含む材料。
【請求項26】
前記第1および第2の吸着剤材料が層状配置で配置される、請求項25に記載の改質吸着剤材料。
【請求項27】
前記第1および第2の吸着剤材料が混合配置にある、請求項25に記載の改質吸着剤材料。
【請求項28】
少なくとも前記第1および第2の吸着剤が活性炭を含む、請求項25に記載の改質吸着剤材料。
【請求項29】
少なくとも前記第1または第2の吸着剤が、炭素、シリカ、分子ふるい、ゼオライトおよびそれらの組合せを含む群から選択される、請求項25に記載の改質吸着剤材料。
【請求項30】
少なくとも1つの処理が酸処理を含む、請求項25に記載の改質吸着剤材料。
【請求項31】
少なくとも1つの処理が分子酸素、オゾンまたはそれらの組合せを用いた処理を含む、請求項25に記載の改質吸着剤材料。
【請求項32】
少なくとも1つの処理が過酸化水素、過マンガン酸カリウム、重クロム酸カリウムおよびそれらの組合せを用いた吸着剤の処理を含む、請求項25に記載の改質吸着剤材料。
【請求項33】
前記吸着剤材料がウェブを含む、請求項25に記載の改質吸着剤材料。
【請求項34】
前記ウェブが、メルトブローン繊維、エレクトロスパン繊維、押出PTFEまたはそれらの組合せから形成される、請求項25に記載の改質吸着剤材料。
【請求項35】
水溶性有機化合物を除去する上で使用するのに適した改質吸着剤材料において、
− 吸着剤と、
− 前記吸着材料の少なくとも一表面上の処理であって、有機化合物のための改質された吸収特性を提供する処理と、
を含む改質吸着材材料。
【請求項36】
前記吸着剤が活性炭を含む、請求項35に記載の改質吸着剤材料。
【請求項37】
前記吸着剤が炭素、シリカ、分子ふるい、ゼオライト、およびこれらの組合せを含む群から選択される、請求項35に記載の改質吸着剤材料。
【請求項38】
前記酸化処理が酸処理を含む、請求項35に記載の改質吸着剤材料。
【請求項39】
吸着剤が3〜7のpH範囲を有する、請求項35に記載の改質吸着剤材料。
【請求項1】
湿度を制御する上で使用するのに適した改質吸着剤材料において、
− 吸着剤と、
− 前記吸着材料の少なくとも一表面上の酸化処理であって、前記吸着剤に対し改質された吸水特性を提供する酸化処理と、
を含む改質吸着材材料。
【請求項2】
前記吸着剤が活性炭を含む、請求項1に記載の改質吸着剤材料。
【請求項3】
前記吸着剤が炭素、シリカ、分子ふるい、ゼオライト、およびこれらの組合せを含む群から選択される、請求項1に記載の改質吸着剤材料。
【請求項4】
前記酸化処理が酸処理を含む、請求項1に記載の改質吸着剤材料。
【請求項5】
吸着剤が3〜7のpH範囲を有する、請求項4に記載の改質吸着剤材料。
【請求項6】
酸性基の量が吸着剤1グラムあたり酸性基1.0〜10mmolの範囲内にある、請求項4に記載の改質吸着剤材料。
【請求項7】
前記酸化処理が分子酸素、オゾンまたはそれらの組合せを用いた処理を含む、請求項1に記載の改質吸着剤材料。
【請求項8】
前記酸化処理が過酸化水素、過マンガン酸カリウム、重クロム酸カリウムおよびそれらの組合せを用いた吸着剤の処理を含む、請求項1に記載の改質吸着剤材料。
【請求項9】
前記酸処理が、硝酸溶液を用いた処理を含む、請求項4に記載の吸着炭素材料。
【請求項10】
前記硝酸が、少なくとも5パーセントの硝酸を含む濃度で炭素材料に塗布される、請求項9に記載の吸着炭素材料。
【請求項11】
前記硝酸が、少なくとも5〜85パーセントの硝酸を含む濃度で炭素材料に塗布される、請求項11に記載の吸着炭素材料。
【請求項12】
前記硝酸が、少なくとも20〜75パーセントの硝酸を含む濃度で炭素材料に塗布される、請求項7に記載の吸着炭素材料。
【請求項13】
前記硝酸が、少なくとも30〜60パーセントの硝酸を含む濃度で炭素材料に塗布される、請求項7に記載の吸着炭素材料。
【請求項14】
前記吸着剤が、異なる表面処理を伴う2つ以上の吸着剤材料の混合物を含む、請求項7に記載の吸着炭素材料。
【請求項15】
湿度を制御する上で使用するのに適した吸着剤材料において、前記炭素材料が、水吸着を制御するための非酸化プロセスを介して改質された表面を有する、吸着剤材料。
【請求項16】
前記表面改質が、アルカリ金属酸化物、アルカリ金属硫酸塩、クエン酸、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属重炭酸塩、マロン酸、アクリル酸、メリト酸、ポリアクリル酸、ポリアクリレート塩および/またはそれらの混合物を含む群から選択される表面改質剤を用いた処理を含む、請求項15に記載の吸着剤材料。
【請求項17】
前記吸着剤が、活性炭、ゼオライト、シリカおよびそれらの組合せを含む群から選択される、請求項15に記載の吸着剤材料。
【請求項18】
前記処理が少なくとも2パーセントの表面改質剤を含む、請求項15に記載の吸着炭素材料。
【請求項19】
前記処理が少なくとも35パーセントの表面改質剤を含む、請求項15に記載の吸着炭素材料。
【請求項20】
前記処理が少なくとも70パーセントの表面改質剤を含む、請求項15に記載の吸着炭素材料。
【請求項21】
前記処理が2〜85重量パーセントの表面改質剤を含む、請求項15に記載の吸着炭素材料。
【請求項22】
前記処理が20〜75パーセントの表面改質剤を含む、請求項15に記載の吸着炭素材料。
【請求項23】
前記処理が30〜60パーセントの表面改質剤を含む、請求項15に記載の吸着炭素材料。
【請求項24】
前記吸着剤が異なる表面処理を伴う2つ以上の吸着剤材料の混合物を含む、請求項15に記載の吸着炭素材料。
【請求項25】
湿度を制御する上で使用するのに適した材料において、
− 吸着剤に対し改質された吸水特性を提供する第1の処理を、少なくともその表面に受けた第1の吸着剤材料と、
− 第2の吸着剤に対し改質された吸水特性を提供する第2の処理を、少なくとも前記第1の吸着剤材料の表面に受けた第2の吸着剤材料と、
を含む材料。
【請求項26】
前記第1および第2の吸着剤材料が層状配置で配置される、請求項25に記載の改質吸着剤材料。
【請求項27】
前記第1および第2の吸着剤材料が混合配置にある、請求項25に記載の改質吸着剤材料。
【請求項28】
少なくとも前記第1および第2の吸着剤が活性炭を含む、請求項25に記載の改質吸着剤材料。
【請求項29】
少なくとも前記第1または第2の吸着剤が、炭素、シリカ、分子ふるい、ゼオライトおよびそれらの組合せを含む群から選択される、請求項25に記載の改質吸着剤材料。
【請求項30】
少なくとも1つの処理が酸処理を含む、請求項25に記載の改質吸着剤材料。
【請求項31】
少なくとも1つの処理が分子酸素、オゾンまたはそれらの組合せを用いた処理を含む、請求項25に記載の改質吸着剤材料。
【請求項32】
少なくとも1つの処理が過酸化水素、過マンガン酸カリウム、重クロム酸カリウムおよびそれらの組合せを用いた吸着剤の処理を含む、請求項25に記載の改質吸着剤材料。
【請求項33】
前記吸着剤材料がウェブを含む、請求項25に記載の改質吸着剤材料。
【請求項34】
前記ウェブが、メルトブローン繊維、エレクトロスパン繊維、押出PTFEまたはそれらの組合せから形成される、請求項25に記載の改質吸着剤材料。
【請求項35】
水溶性有機化合物を除去する上で使用するのに適した改質吸着剤材料において、
− 吸着剤と、
− 前記吸着材料の少なくとも一表面上の処理であって、有機化合物のための改質された吸収特性を提供する処理と、
を含む改質吸着材材料。
【請求項36】
前記吸着剤が活性炭を含む、請求項35に記載の改質吸着剤材料。
【請求項37】
前記吸着剤が炭素、シリカ、分子ふるい、ゼオライト、およびこれらの組合せを含む群から選択される、請求項35に記載の改質吸着剤材料。
【請求項38】
前記酸化処理が酸処理を含む、請求項35に記載の改質吸着剤材料。
【請求項39】
吸着剤が3〜7のpH範囲を有する、請求項35に記載の改質吸着剤材料。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2012−508094(P2012−508094A)
【公表日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−534897(P2011−534897)
【出願日】平成21年11月4日(2009.11.4)
【国際出願番号】PCT/US2009/063232
【国際公開番号】WO2010/053959
【国際公開日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(591163214)ドナルドソン カンパニー,インコーポレイティド (96)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月4日(2009.11.4)
【国際出願番号】PCT/US2009/063232
【国際公開番号】WO2010/053959
【国際公開日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(591163214)ドナルドソン カンパニー,インコーポレイティド (96)
【Fターム(参考)】
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