説明

カッター付きペン及びキャップ

【課題】 頭部にカッターを備えたカッター付きペンの提供。
【解決手段】 樹脂を材質としたボールペン1などの上部側筒体11と一体的にカッター3を成形し、該カッター3の形状は概略カギ形を成し、そしてカッター3には滑らかな凹状に湾曲した刃先を有すカッター部7を形成し、又カッター3には先端が尖った突起部8を設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は頭部にカッターを設けたペンに関するものであり、ペンにカッター機能を備えることで特に粘着テープにて梱包された小包みを開く際の利便性を図ったペンである。
【背景技術】
【0002】
ボールペンは軸にインクを入れ、先端に金属製のボールを取付けた筆記用具であり、鉛筆と万年筆の中間的なものとして近年多用されている。そして、最近では複数軸を備えて異なる色のインクを充填したもの、またボールペンの頭部には筆記以外の機能を有す付属品を取付けたものなど、多種多様なボールペンが市販されている。
【0003】
実開平5−95791号に係る「拡大鏡をキャップの頭部に取付けたキャップ式のボールペン」は、その名称の如く拡大鏡を頭部に備えたボールペンである。従って、ボールペンで筆記しながら、一方ではキャップを外して小さな文字を見ることが出来る。老眼鏡を掛ける人にとって小さな文字は見にくいことから、拡大鏡を使用するケースは多く、その為にボールペンに拡大鏡が備わっていることで便利である。
【0004】
実開平7−33696号に係る「修正ペン付ボールペン」は、誤字の修正が即座に出来るようにしたボールペンである。修正ペンは、その雄ネジ部をボールペンの頭部に設けた雌ネジ部にねじ込むことによって、交換可能な構造となっていて、該修正ペンにはキャップが冠着されている為に携帯時に修正液が衣類などに付着することはない。
【0005】
特開平7−228090号に係る「印鑑付筆記具」は、ボールペンの頭部に印鑑を取付けたものであり、該印鑑部にはキャップが冠着されている。わが国では、私生活においても印鑑が必需品の1つであり、自分の名前を記入すると共に印鑑を押して証明することが慣例であることから、ボールペンと印鑑との組合せは効果的である。
【0006】
又、特開平10−291396号に係る「香りを出すペン」は、香水のもたらす心理的な効果によって事務や学習の効率を高めることが出来る。そこで、ボールペンの内部に香水を封入して、ペンの使用時に香水を蒸発させるようにしている。
【0007】
このように、色々な付属機能を備えたボールペンが知られているが、本発明が対象とするボールペンはカッター機能を備えたものである。小荷物や小包みなどが郵送されてくる場合、該小荷物などを梱包する手段として粘着テープが一般に使用されている。昔は丈夫な紐で梱包していたが、紐を用いての梱包作業が面倒であると共に上手に結ばないと紐は弛んでしまう為に、近年では丈夫な粘着テープが市販されていることもあり、該粘着テープを使用して梱包するケースが圧倒的である。すなわち、粘着テープは段ボール箱の表面に接着するだけで段ボール箱の蓋が開くといったことはない。
【0008】
そこで、小荷物である段ボール箱を開く際には強固に固着した粘着テープを剥し取ることが必要であるが、該粘着テープは剥し取り難いために、カッターを用いて切り裂く場合も多い。すなわち、粘着テープにて閉じている段ボール箱の上蓋を開くために、該粘着テープを切り裂くことが出来るが、この場合には切り裂く為のカッターがなくてはならない。又、一般的なカッターでは先端が段ボール内に深く侵入して、中の物品を傷付けるケースもある。
【特許文献1】実開平5−95791号に係る「拡大鏡をキャップの頭部に取付けたキャップ式のボールペン」
【特許文献2】実開平7−33696号に係る「修正ペン付ボールペン」
【特許文献3】特開平7−228090号に係る「印鑑付筆記具」
【特許文献4】特開平10−291396号に係る「香りを出すペン」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このように、ボールペンなどに筆記以外の機能を備えたものは数多く知られているが、カッター機能を有すペンは存在していない。本発明はこのカッター機能を備えると共に、一方では安全にも考慮したカッター付きペンを提供する。又、カッターを頭部に一体成形することが出来ないノック式のシャープペンなどでは、該ノックに取付けることが出来るカッター付きキャップを提供する。ここで、ペンとはボールペン、シャープペン、サインペンなどあらゆる筆記具を対象とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のペンはその頭部にカッターを備えている。該カッターは樹脂製であり、その為にペンの本体一部として本体と共に成形され、その形状は概略カギ形としている。そして、カッターは切り裂く為のカッター部と該粘着テープの一部を破ってカッター部が挿入できる穴を開ける為の突起部を有している。すなわち、先ず、突起部を粘着テープの表面に押し当てて穴を開け、この穴にカッター部を挿入すると共に移動させることで該粘着テープは引き裂かれる。
【0011】
ところで、上記突起部は先が尖った形状とし、カッターの一部として一体成形されている。一方、ペンにはノック式のものがあり、該ノックを押すことで芯が先端から突出することが出来る構造となっている。このようなノック式のペンでは、頭部となるノックにカッターを一体成形することが困難であることから、カッター付きキャップを該ノックに取付ける構造とする。キャップはノックが嵌着する穴を設けた筒部を有している。
【発明の効果】
【0012】
本発明のペンはカッターを備えているために、常に手元にあるボールペンなどを利用して小包みなどの小荷物を梱包している粘着テープを切り裂くことが出来る。すなわち、強固に固着している粘着テープを剥すことなく、一部を切り裂くことで小荷物の段ボール箱を開くことが出来る。そして、該カッターの一部には突起部が設けられ、該突起部を粘着テープに押し付けて穴を開け、この穴にカッター部を差込んで引くことで該粘着テープは切り裂かれる。
【0013】
この場合、カッターにはガイド部が設けられている為に、カッター部の刃先が深く食い込むことはなく、収容されている物品に当ってキズ付けることもない。一方、頭部にカッターを一体成形することが出来ないペンの場合には、該ノックにカッター付きキャップを取付けることが出来る。
【実施例】
【0014】
図1は本発明に係る実施例であり、ボールペン1の頭部2にカッター3を備えている。ボールペン1は先端に芯4を突出し、芯4の先からインクが出ることで文字を筆記することが出来る。そして、該芯4はツマミ5をスライドさせることで、先端から出没可能な構造と成っている。又、ボールペン1にはクリップ6が設けられ、該クリップ6を胸ポケットに引っ掛けることで携帯の利便性が図られている。
【0015】
ボールペン1としての上記の構造は従来と同じであるが、本発明のボールペン1にはその頭部2にカッター3が一体成形されている。図2に拡大図を示しているように、カッター3は概略カギ形を成し、カッター部7と突起部8を有している。カッター部7は滑らかな凹状曲面にて形成され、その縁に形成される刃先9は尖っている。ボールペン1は下部側筒体10と上部側筒体11を有し、両筒体10,11はネジ部(図示なし)を介して互いに連結している。
【0016】
下部側筒体10の下端部は細くなって先端に穴が設けられ、この穴を挿通して芯4が突出する。そして、上部側筒体11には芯4の上部側が収容され、切欠き溝13にはツマミ5が嵌ってスライドすることが出来る。該ツマミ5は芯4の上端に係合している為に、ツマミ5のスライドにて芯4の出し入れが行われる。上記カッター3は上部側筒体11の頭部2に形成され、しかもクリップ6と共に上部側筒体11と樹脂にて一体成形されている。
【0017】
カッター3は概略カギ形を成しているが、所定の厚さを有し、概略円形断面の上部側筒体11とは段差をもって上方へ延びている。その為に段差はガイド部12,12としてカッター3の両側に形成され、粘着テープを切り裂く際には段ボール内部への侵入深さを規制することが出来る。又、カッター3の先端には先が尖った三角形の突起部8を有している。この突起部8は概略三角錐とし、粘着テープの表面に押し当てることで穴が開き、この穴からカッター部7が挿入される。
【0018】
図3は本発明の他の実施例であり、ボールペン1の頭部2にカッター3を設けているが、このボールペン1は3本の芯4,4,4を有す3色ボールペンとして構成している。そして、上部側筒体11には3箇所に切欠き溝13,13,13を形成し、各切欠き溝13,13,13にはそれぞれの芯4,4,4を出し入れするツマミ5,5,5がスライド可能に嵌っている。又、頭部2には120°の等間隔をおいて3方向にカッター3,3,3が設けられ、各カッター3,3,3は概略カギ形を成し、強度を保つ為に背面側は互いに連続した一体型形態と成っている。
【0019】
カッター3,3,3にはカッター部7,7,7と突起部8,8,8を各々有し、カッター部7,7,7は滑らかな凹状に湾曲し、その縁となる刃先9,9,9
は尖っている。このように、3方向にカッター3,3,3を設けることで、切込み深さを規制する為のガイドは特別に必要なく、1つのカッター3を粘着テープに差し込んで切り裂く際には、他のカッター3,3がガイドとなって切込み深さが規制される。
【0020】
図4はシャープペン14に取付けることが出来るカッター付きキャップ15を示している。すなわち、図5にはノック式シャープペン14の外観を示しているが、この種のシャープペン14は頭部に芯16を出し入れする為のノック17を有しているために、該ノック17にカッターを一体成形することに問題がある。
【0021】
そこで、該ノック式シャープペン14の場合、必要に応じてカッター3を取付け出来るようにしたのが、上記図4に示すカッター付きキャップ15である。該カッター付きキャップ15は穴を有す筒部18を有し、この筒部18はノック17に嵌着することで取付けられる。そして、この筒部18の上部にはカッター3,3が一体成形されている。
【0022】
そしてカッター付きキャップ15の上端には突起部19が一体成形され、突起部19の先端は粘着テープに穴を開けることが出来るように尖っている。同図のカッター付きキャップ15は対向する2箇所にカッター3,3を有している実施例であるが、1個のカッター3でもよく、図3に示すように3箇所にカッター3,3,3を設けることも出来る。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係るカッター付きボールペン。
【図2】ボールペンの頭部に形成しているカッターの拡大図。
【図3】本発明に係るカッター付きボールペン。
【図4】ノック式シャープペンに取付けられるカッター付きキャップ。
【図5】ノック式シャープペン。
【符号の説明】
【0024】
1 ボールペン
2 頭部
3 カッター
4 芯
5 ツマミ
6 クリップ
7 カッター部
8 突起部
9 刃先
10 下部側筒体
11 上部側筒体
12 ガイド部
13 切欠き溝
14 シャープペン
15 カッター付きキャップ
16 芯
17 ノック
18 筒部
19 突起部















【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボールペン又はシャープペンなどの筆記具の頭部には樹脂を材質とした頭部側筒体と一体的にカッターを成形し、該カッターの形状は概略カギ形を成し、そしてカッターには滑らかな凹状に湾曲した刃先を有すカッター部を形成し、又カッターには先端が尖った突起部を設けたことを特徴とするカッター付きペン。
【請求項2】
上記カッターを頭部の3方向に120°間隔をおいて設け、中心部となる背面にて各カッターを互いに連結した請求項1記載のカッター付きペン。
【請求項3】
ノック式のボールペン又はシャープペンなどの筆記具におけるノックに取付けるキャップであって、該キャップは樹脂製でその上部には概略カギ形のカッターを一体成形し、そしてカッターには滑らかな凹状に湾曲した刃先を有すカッター部を設け、又カッターには先端が尖った突起部を備えたことを特徴とするカッター付きキャップ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2007−136929(P2007−136929A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−335652(P2005−335652)
【出願日】平成17年11月21日(2005.11.21)
【出願人】(390014063)株式会社キングスター (2)
【Fターム(参考)】