説明

カッター装置及び該カッター装置を備えた記録装置

【課題】カッター装置を装着したまま単票紙に印刷を行う場合に、カッター装置側の排紙ローラが起因して紙送り精度が低下しない様にする。
【解決手段】オートカッター2は、装置内部へ印刷用紙を案内する紙案内51と、紙幅方向に往復動可能なカッターキャリッジ53と、剪断板52との間で印刷用紙を剪断するロータリー刃55と、カットされた印刷用紙を排紙する排紙駆動ローラ56及び排紙従動ローラ57を備えている。排紙駆動ローラ56は、多数の歯車を介してプリンタ本体から動力を伝達される。プリンタ側において印刷実行中は、排紙従動ローラ57を排紙駆動ローラ56から離間させ、排紙駆動ローラ56の回動によって印刷用紙へ搬送力を付与しない様にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被記録材を所定位置でカットするカッター装置及び該カッター装置を備えた記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
以下、記録装置の一つとしてのインクジェットプリンタ(以下「プリンタ」と言う)を例に説明する。プリンタには、単票紙の他にロール紙に印刷可能なものがあり、更に、排紙ローラの下流側に、ロール紙を所定位置でカットするカッター装置を備えるものがある(例えば、特許文献1参照)。カッター装置は、ロール紙の幅方向に移動可能なカッター刃を備え、該カッター刃の下流側には、カットされたロール紙を排出するカッター排紙ローラが設けられ、更にこの様なカッター装置には、プリンタに対して着脱可能に構成されたものもある(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
ここで、カッター装置がプリンタに対して着脱可能に構成されていると、所定位置でカットする必要性のあるロール紙への印刷時のみならず、カットする必要の無い単票紙への印刷時においても、カッター装置が取り付けられた状態となることがある。つまり、ロール紙への印刷時と単票紙への印刷時との切り替えにおいてその都度カッター装置の着脱作業を行うことはユーザにとって煩雑であり、従ってカッター装置が常時プリンタに装着された状態となり易く、この様な場合、単票紙は、記録装置側の搬送ローラ及び排紙ローラと、カッター装置側の排紙ローラとの3つのローラによる搬送力を受けて下流側へ送られることになる。
【0004】
ところで、プリンタにおいては低コスト化の為、複数のローラを、歯車装置を介して1つの駆動モータによって駆動する様に構成するのが一般的である。従って、カッター装置がプリンタに装着された際、カッター装置側の歯車装置とプリンタ側の歯車装置とが連結し、これによってカッター排紙ローラがプリンタ側の駆動モータによって駆動される様に構成することが望ましい。
【特許文献1】特開2001−239685号公報
【特許文献2】実開平06−071138号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、単票紙に余白なく印刷を行う場合(所謂フチ無し印刷)において、単票紙の後端が搬送ローラを外れた後は、単票紙は当該搬送ローラから下流に設けられたローラ、即ち、上記の例においてはプリンタ側の排紙ローラと、カッター排紙ローラとの2つのローラによって紙送りされ、そして印刷が実行される。
【0006】
しかし、上述の様にカッター排紙ローラがプリンタ側の駆動モータから歯車装置を介して回動駆動される様な構成においては、カッター排紙ローラはプリンタ側の排紙ローラよりも多数の歯車を介して動力が伝達される為、回転精度が低下することになる。すると、当該回転精度の低下は、即ち単票紙後端を印刷中の紙送り精度の低下を意味し、これにより、カッター装置を装着した状態で単票紙に余白なく印刷を行う場合に、単票紙後端の印刷品質の低下を招く虞がある。特に、カッター装置がプリンタ本体に対して着脱可能に構成されていると、カッター装置側の歯車とプリンタ本体側の歯車との噛合状態によっては前記紙送り精度がより一層低下する虞がある。
【0007】
そこで本発明はこの様な状況に鑑みなされたものであり、その課題は、カッター装置を装着したまま単票紙に印刷を行う場合に、カッター装置側の排紙ローラが起因して紙送り精度が低下しない様にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本願請求項1記載のカッター装置は、被記録材の幅方向に移動しながら被記録材をカットするカッター刃と、該カッター刃の下流側に設けられ、回動駆動されるカッター排紙駆動ローラ及び該カッター排紙駆動ローラに弾性的に接触して従動回動するカッター排紙従動ローラからなるカッター排紙ローラと、前記カッター排紙駆動ローラに回動力を伝達するカッター側歯車装置と、を備え、被記録材に記録を行う記録部と、該記録部へ被記録材を搬送する搬送ローラと、前記記録部の下流側に設けられ、被記録材をニップし且つ回動することによって被記録材を排紙する排紙ローラと、前記排紙ローラに回動力を伝達する記録装置側歯車装置と、を備えた記録装置における前記排紙ローラの下流側に取り付け可能に構成され、且つ、前記記録装置に取り付けられた際に、前記カッター側歯車装置を構成するカッター側伝達歯車が、前記記録装置側歯車装置を構成する記録装置側伝達歯車と噛合することにより、前記カッター排紙駆動ローラが回動駆動される様に構成されたカッター装置であって、前記カッター排紙従動ローラを前記カッター排紙駆動ローラから離間させるローラレリース手段を有し、被記録材後端が前記搬送ローラを外れ、且つ被記録材先端が前記カッター排紙ローラの下流に位置する状態で、少なくとも被記録材へ記録を行う為の前記排紙ローラによる被記録材の搬送動作及び前記記録部による記録動作が完了するまでの間は、前記カッター排紙従動ローラが、前記ローラレリース手段によって前記カッター排紙駆動ローラから離間した状態となる様に構成されていることを特徴とする。
【0009】
本願請求項1記載の発明によれば、カッター装置はカッター排紙従動ローラをカッター排紙駆動ローラから離間させるローラレリース手段を有し、少なくとも被記録材後端が搬送ローラを外れてから記録部による記録動作が完了するまでの間は、前記ローラレリース手段によってカッター排紙従動ローラがカッター排紙駆動ローラから離間した状態となる様に構成されているので、カッター排紙従動ローラとカッター排紙駆動ローラとによって被記録材はニップされず、これらローラによる被記録材の搬送力は働かないことになる。従って、カッター排紙駆動ローラの回転精度が低いカッター装置を記録装置に装着したまま単票紙後端へのフチ無し印刷を行う様な場合であっても、被記録材の紙送り精度は低下せず、以て記録品質の低下を防止することができる。
【0010】
本願請求項2記載のカッター装置は、請求項1において、前記カッター排紙従動ローラが、被記録材の搬送経路を側視して揺動可能に設けられ且つ付勢手段によって前記カッター排紙従動ローラが前記カッター排紙駆動ローラに接する方向に回動付勢されたカッター排紙従動ローラホルダによって軸支され、前記ローラレリース手段が、前記カッター排紙従動ローラホルダに設けられたカムフォロア部と、該カムフォロア部と係合する係合位置および該カムフォロア部と係合しない非係合位置を移動可能に設けられ、前記係合位置に移動することにより、前記カッター排紙従動ローラホルダを前記付勢手段に抗して揺動させるカム部と、からなり、前記カム部が、前記カッター刃を保持し且つ被記録材の幅方向に往復動可能に設けられるカッターキャリッジの往復動作によって前記係合位置と前記非係合位置とを移動する様に構成されていることを特徴とする。
【0011】
本願請求項2記載の発明によれば、カッター排紙従動ローラをカッター排紙駆動ローラから離間させるローラレリース手段が、カッター排紙従動ローラを軸支するカッター排紙従動ローラホルダに設けられたカムフォロア部と、該カムフォロア部との係合位置および非係合位置を、カッター刃を保持するカッターキャリッジの往復動作によって移動する様なされたカム部とによって構成されているので、カッターキャリッジを駆動することによってカッター排紙従動ローラが離間し、従ってカッター排紙従動ローラを変位させる専用の駆動機構を設けずに低コスト化にカッター装置を構成することができる。
【0012】
本願請求項3記載のカッター装置は、請求項1または2において、前記排紙ローラが、上流側と下流側とに配設された2組のローラ対によって構成されていることを特徴とする。
【0013】
本願請求項3記載の発明によれば、プリンタ側の排紙ローラが、上流側と下流側、即ち、被記録材の搬送経路の上流側と下流側とに配設された2組のローラ対によって構成されているので、被記録材後端が搬送ローラから外れた後においてはこれら2組のローラ対によって精度良く被記録材を紙送りすることができ、所謂フチ無し印刷においてより一層確実に記録品質に低下を防止することができる。
【0014】
本願請求項4記載のカッター装置は、請求項1から3のいずれか1項において、前記記録装置に対して着脱可能に構成されていることを特徴とする。
【0015】
カッター側歯車装置を構成するカッター側伝達歯車と、記録装置側歯車装置を構成する記録装置側伝達歯車との噛合状態は、カッター装置が記録装置に対して着脱可能な場合には時として適切な状態とならず、従ってカッター排紙駆動ローラの回転精度が場合により極端に低下する虞があるが、前述の様にカッター排紙従動ローラはカッター排紙駆動ローラから離間するので、これによってカッター装置が着脱可能に構成されても紙送り精度が低下することが無い。
【0016】
本願請求項5記載の記録装置は、被記録材に記録を行う記録装置であって、請求項1から4のいずれか1項に記載のカッター装置を備えていることを特徴とする。
本願請求項5記載の発明によれば、被記録材に記録を行う記録装置は請求項1から4のいずれか1項に記載のカッター装置を備えているので、前述した本願請求項1から4のいずれか1項に記載の発明と同様な作用効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ本発明の一実施形態について説明する。
<インクジェットプリンタの構成>
先ず、図1乃至図3を参照しつつ、本発明の一実施形態に係るインクジェットプリンタ(以下「プリンタ」と略称する)1の構成について概説する。ここで、図1(A),(B)はプリンタ1の外観斜視図、図2はプリンタ1の側断面概略図、図3は、プリンタ1の制御系統を示すブロック図である。尚、以下では、必要に応じてプリンタ1の後方側(図2において左側)を上流側(用紙搬送経路の上流側)と言い、プリンタ1の前方側(図2において右側)を下流側(用紙搬送経路の下流側)と言うこととする。
【0018】
図1(A)において、プリンタ1は装置後方側(図1の右上)からロール紙或いは単票紙を給送し、装置前方側(図1の左下)の用紙排出口1bから印刷されたロール紙或いは単票紙を排出する構成となっている。用紙排出口1bには、図1(B)に示す様に後に詳述する「カッター装置」としてのオートカッター2が図示しないスナップフィット手段によって着脱自在に取り付け可能に構成されていて、オートカッター2を取り付けることにより、ロール紙を所定位置でカットすることが可能となっている。そして、オートカッター2を取り付けた状態においては、オートカッター2の用紙排出口2bから、印刷されたロール紙或いは単票紙が排出される構成となっている。尚、以下では、ロール紙及び単票紙等の、プリンタ1において印刷可能な被記録材を総称して「印刷用紙」と言うこととする。
【0019】
以下、プリンタ1の用紙搬送経路上の構成要素について図2を参照しつつ説明する。先ず、給紙装置5は、傾斜姿勢で設けられる板状体からなるホッパ9を備えている。ホッパ9は、上部に設けられた揺動支点9aを中心に揺動可能(図2の時計方向および半時計方向)に設けられ、図示しないカム機構によって揺動することにより、下部が給紙ローラ13に圧接および離間する様になっていて、圧接することにより、ホッパ9上に複数枚堆積された単票紙Pの最上位のものが給紙ローラ13の回動と共に下流側へ給送される。給紙ローラ13は側面視略D形の形状をなし、ローラ駆動モータ36(図3及び図7参照)によって回動駆動され、外周にはゴム材13bが巻回されることによって当該給紙ローラ13に圧接した単票紙Pをスリップすることなく給送する。また、下流側に設けられた搬送ローラ19による印刷用紙の精密送り(副走査送り)時には、搬送負荷(バックテンション)が生じない様に、図示する様に平坦面が単票紙Pと対向する様に駆動制御される。尚、給紙装置5は、後部に図示しないロール紙ホルダが着脱可能となっていて、該ロール紙ホルダからロール紙を繰り出し、給紙装置5の下側を通って記録ヘッド21の下へ給送することもできる様に構成されている。
【0020】
次に、給紙ローラ13の下流には印刷用紙を精密送りする搬送ローラ19が設けられている。搬送ローラ19は、後述するローラ駆動モータ36(図3及び図6参照)によって回動駆動される搬送駆動ローラ15と、該搬送駆動ローラ15に圧接して従動回動する搬送従動ローラ17とから構成されている。搬送駆動ローラ15は、主走査方向(図2の紙面表裏方向)に長い軸体からなり、外周面に耐摩耗性粒子(例えば、セラミック粒子)が接着材によって固着されてなる高摩擦層(図示せず)を有し、印刷用紙の裏面(印刷面と反対側の面)との間でスリップを発生させずに確実な精密送り動作を実行可能となっている。一方、搬送従動ローラ17は搬送駆動ローラ15の軸方向に複数個配置され、且つ、同様に搬送駆動ローラ15の軸方向に複数個配置される搬送従動ローラホルダ18の下流側(図2の右側)端部において自由回動可能に軸支されている。尚、本実施形態に置いては、1つの搬送従動ローラホルダ18に2つの搬送従動ローラ17が軸支されている。
【0021】
搬送従動ローラホルダ18は、回動支点18aを中心に図2の時計方向および半時計方向に回動可能に設けられ、且つ、図示しない付勢手段によって搬送従動ローラ17が搬送駆動ローラ15に圧接する方向(図2の時計方向)に回動付勢されている。また、搬送従動ローラホルダ18は、図示しないカムの回動によって、搬送従動ローラ17が搬送駆動ローラ15から離間する方向(図2の反時計方向)に回動することができる様になっている。
【0022】
次に、搬送駆動ローラ15の軸方向に複数配設された搬送従動ローラホルダ18のうち、最も0桁側(プリンタ1を正面から見て右側:図2の紙面裏側)に位置するものには溝穴が設けられ、該溝穴を挿通して上から下に突出する様に紙検出レバー14が設けられている。紙検出レバー14は、上部を揺動中心として揺動可能となっていて、上流側から給送された印刷用紙の先端が通過すると上方に押し上げられ、印刷用紙(単票紙)の後端が通過すると下方に復帰する様になっている。そして、当該紙検出レバー14の揺動動作は紙検出器11(図3参照)によって検出可能となっていて、該紙検出器11がプリンタ1の制御部8(図3参照)へ検出信号を送信し、以て印刷用紙先端の通過および印刷用紙(単票紙)のサイズ(長さ)を検出することができる様になっている。
【0023】
次に、搬送ローラ19の下流には、インクジェット記録ヘッド(以下「記録ヘッド」と言う)21および該記録ヘッド21に対向してプラテン25が設けられている。記録ヘッド21はキャリッジ23の下部に設けられ、キャリッジ23に搭載されたインクカートリッジ24からインクを供給され、搬送された印刷用紙の印刷面にインク滴を吐出する。キャリッジ23は、プリンタ1の基体を構成する、装置左右に立設されたサイドフレーム(図示せず)間に掛架された主キャリッジガイド軸22aおよび副キャリッジガイド軸22bとにガイドされながら、キャリッジモータ35(図3参照)の駆動力を受けて主走査方向(図2の紙面表裏方向)に往復動する様構成されている。
【0024】
次に、記録ヘッド21の下流には、第1排紙ローラ26及び該第1排紙ローラ26の下流に設けられる第2排紙ローラ27の、2組のローラ対からなる排紙ローラが設けられている。第1排紙ローラ26および第2排紙ローラ27は、それぞれローラ駆動モータ36(図3及び図6参照)によって回動駆動される第1排紙駆動ローラ28および第2排紙駆動ローラ29と、これら回動駆動されるローラに弾性的に接することによって従動回動する第1排紙従動ローラ30および第2排紙従動ローラ31によって構成されていて、これら2組のローラ対で印刷用紙を挟圧し、且つ、それぞれの駆動ローラが回動駆動されることによって印刷用紙が下流側に排紙される。ここで、第1排紙従動ローラ30は、印刷面と点接触する、外周に歯を有する歯付きローラからなり、第2排紙従動ローラ31は、印刷面と面接触し、且つ、外周面に撥インク処理が施されたゴムローラによって構成されている。また、第1排紙従動ローラ30と第2排紙従動ローラ31とは、共に印刷用紙の幅方向に長い板状体からなる排紙フレーム下33に、自由回動可能に軸支されている。
【0025】
ここで、排紙ローラとして2組のローラ対、即ち第1排紙ローラ26と第2排紙ローラ27とを使用するのは、以下の理由による。即ち、印刷用紙は印刷時に搬送ローラ19によって精密送りされるが、印刷用紙(単票紙)後端に余白無く印刷を行う場合には、印刷用紙後端が搬送ローラ19を外れると、当該搬送ローラ19から下流側に設けられたローラによって印刷用紙の精密送り動作を行う必要がある。しかし、記録ヘッド21の下流に設けられたローラ対においては、インク滴の転写や白ヌケの問題を防止する為に、インク滴で濡れた印刷用紙を強くニップすることができず、高い紙送り精度を得ることができない。そこで、ローラ対を本実施形態の様に2組設けることにより、印刷用紙の搬送力を増加させ、印刷用紙後端が搬送ローラ19を外れた後も高い紙送り精度を得ることができる様に構成している。
【0026】
以上がプリンタ1の用紙搬送経路を構成する構成要素であり、以下、プリンタ1の制御系統について図3を参照しつつ概説する。プリンタ1は、図示しないCPU、ROM、RAM、外部コンピュータとの接続用インタフェース、等を備えた制御部8を備えている。制御部8には、前述した紙検出器11の検出信号と、後述するオートカッター2がプリンタ1に装着されたことを検出するカッター検出器12の検出信号が入力され、制御部8は、これによって最適な制御プログラムを選択して実行する。また、制御部8はキャリッジ23を駆動するキャリッジモータ35と、給紙ローラ13、搬送駆動ローラ15,第1排紙駆動ローラ28、第2排紙駆動ローラ29、後述するカッター排紙駆動ローラ56の共通の駆動源となるローラ駆動モータ36を制御対象として有し、これにより、制御部8の有するROMに格納された種々の制御プログラムに従って、給紙ローラ13、搬送駆動ローラ15、第1排紙駆動ローラ28、第2排紙駆動ローラ29、カッター駆動ローラ56の駆動タイミング、回転速度、回転量等が制御される。 以上が、プリンタ1の構成である。
【0027】
<オートカッターの構成>
次に、図4至図10を参照しつつ、オートカッター2の構成について詳述する。ここで、図4はオートカッター2の側断面図、図5はカッターキャリッジ53の外観斜視図、図6(a)〜(d)はカッターキャリッジ53の移動範囲を示す説明図である。また、図7はプリンタ1からオートカッター2へ、ローラ駆動モータ36の回動力を伝達する歯車機構の歯車輪列を示す正面図、図8はカッター排紙従動ローラホルダ58の取り付け構造を示す外観斜視図、図9はカッター排紙従動ローラホルダ58及びその近傍の側断面図、図10はオートカッター2の正面図である。
【0028】
先ず、図2を参照してオートカッター2の構成について概説する。オートカッター2は、第2排紙ローラ27によって紙送りされた印刷用紙をカッター装置内部に案内するカッター紙案内51を備え、カッター装置内部に入った印刷用紙は、用紙幅方向に長い剪断板52の下を通り、カッター排紙駆動ローラ56とカッター排紙従動ローラ57とに到達する。そして印刷用紙は、これらローラにニップされ、且つ、カッター排紙駆動ローラ56が回動駆動されることにより、オートカッター2から下流へ排出される。一方、カッター紙案内51とカッター排紙駆動ローラ56との間にはロータリー刃55が設けられ、印刷用紙の排紙動作を停止した状態でロータリー刃55が用紙幅方向に移動することにより、印刷用紙が所定位置でカットされる。
【0029】
以下、図4及び図5を参照しつつ詳説する。図5に示す様に、円盤形状をなすロータリー刃55は、カッターキャリッジ53に、用紙搬送方向に平行な回動軸55aを介して取り付けられることによって自由回動可能に軸支され、且つ、その円盤面における外周部が、剪断板52の下流側端部52aに圧接した状態となる様に設けられている。
【0030】
一方、用紙幅方向に長く、且つ、図4に示す様に水平面に平行な板状体の上流側が上方に折り曲げられることによって用紙搬送経路を側視してL字形の形状をなす剪断板52の上方には、該剪断板52と同様に用紙幅方向に長いキャリッジガイドフレーム60が設けられている。キャリッジガイドフレーム60は、用紙搬送経路を側視して下方が開口する様なコの字形の形状をなし、上流側の下方に折り曲げられた部分が、剪断板52の上流側において上方に折り曲げられた部分と接合することによって取り付けられている。そして、カッターキャリッジ53は、剪断板52の上面に摺接する様に、且つ、キャリッジガイドフレーム60の下流側において下方に折り曲げられた折り曲げ部60aを挟持する様な形状をなすことにより、キャリッジガイドフレーム60によってガイドされながら、用紙幅方向に真っ直ぐにぶれることなく往復動可能となっている。
【0031】
ここで、カッターキャリッジ53には、図示しない無端ベルトの一端が固定されていて、当該無端ベルトを駆動するカッターキャリッジモータ54(図3参照)が回動駆動されることにより、印刷用紙の幅方向に駆動される。そしてこのとき、ロータリー刃55が剪断板52の端部52aに弾接しながら回転し、印刷用紙を剪断板52との間で下方から剪断(カット)する。尚、本実施形態においては、ロータリー刃55は0桁側(図5において右側)に待機位置を有し、当該待機位置から80桁側(図5において左方向)へ移動し、そして再び待機位置へ戻る一往復動作を行うことによって印刷用紙をカットする様に構成されているが、これについては後に詳述する。
【0032】
次に、印刷用紙は、「印刷用紙保持手段」によってロータリー刃55の上流側と下流側が保持された状態で、ロータリー刃55及び剪断板52とによってカットされる。即ち、図4に示す様にロータリー刃55の上流側において、挟圧部材63が図示しない駆動手段によって剪断板52の下面に圧接する圧接位置と、剪断板52の下面から離間して印刷用紙の排紙動作を妨げない離間位置とを移動可能に設けられていて、前記圧接位置に変位することにより、印刷用紙のロータリー刃55から上流側(符号Pで示す)を剪断板52との間で挟圧保持する。一方、前述の様にロータリー刃55の下流にはカッター排紙駆動ローラ56及びこれに圧接するカッター排紙従動ローラ57が設けられていて、印刷用紙のロータリー刃55から下流側(符号Pで示す)はこれらローラによって挟圧保持される。そして、印刷用紙は、これら挟圧保持手段によってしっかりと動くことなく保持された状態でロータリー刃55が用紙幅方向に移動することにより、カットラインが蛇行せず真っ直ぐにカットされる。
【0033】
次に、カッターキャリッジ53には、カットされた印刷用紙のロータリー刃53の近傍部分、即ち、図4においてロータリー刃55から上流側の印刷用紙Pの下流側端部および、ロータリー刃55から下流側の印刷用紙Pの上流側端部をすくい上げる傾斜面が形成されている。図5において、カッターキャリッジ53は、0桁側(図5の右側)から80桁側(図5の左側)へ移動することによって印刷用紙をカットするので、カッターキャリッジ53の80桁側には、0桁側に向かって上方に傾斜する傾斜面53e及び53bが形成されている。従って、カットされた印刷用紙Pの下流側端部は傾斜面53eによって上方にすくい上げられ、そして印刷用紙Pの上流側端部は傾斜面53bによって上方にすくい上げられ、これによってカッターキャリッジ53はカットされた印刷用紙のロータリー刃55近傍と衝突せずに、用紙幅方向に円滑に進むことが可能となっている。尚、図5において符号53cは、傾斜面53bから上方に突出する様に形成された用紙支持部であり、当該用紙支持部53cの頂部によってロータリー刃55の直近で印刷用紙を下から支持し、印刷用紙を剪断板52の下面から離れない様にすることによって、印刷用紙を蛇行せず真っ直ぐにカットする様になっている。
【0034】
続いて、カッターキャリッジ53においてロータリー刃55から下流側は、傾斜面53bに続いて、上流側に向かって上方に傾斜する様な支持面53aが形成されている。支持面53aは、カットされた印刷用紙Pの上流側端部を下方から支持する支持面の機能を果たしている。以下、当該機能について図6を参照しつつ詳説する。図6において、カッターキャリッジ53はX地点とX地点との間を往復動作可能となっていて、X地点は、印刷用紙Pの0桁側の側端部近傍に設定された、カッターキャリッジ53の待機位置を示している。また、符号Pは未カット状態の印刷用紙を、符号Pはカットされた印刷用紙のロータリー刃55から上流側のもの(カッター刃55近傍端)を、符号Pは、同下流側のもの(カッター刃55近傍端)を示している。そして、カッターキャリッジ53は、印刷用紙Pのカット時に、当該印刷用紙Pの0桁側(図6の右側)から80桁側(図6の左側)へ向かって移動し、そして再び待機位置Xへ戻る様に、制御部8(図3参照)によって駆動制御される。
【0035】
図6(a)に示す様にカッターキャリッジ53が待機位置Xからスタートすると、図6(b)に示す様に下流側の印刷用紙Pのカット端部が支持面53aによって下方から支持された状態でカッターキャリッジ53が80桁側へと向かって進む。ここで、本実施形態に係るオートカッター2においては、カッターキャリッジ53は移動可能な最大限の位置であるX地点まで進まずに、図6(c)に示す様に印刷用紙Pの側端部近傍(印刷用紙Pにおいて待機位置Xから遠い側の側端部近傍)で折り返し、そして再び待機位置Xへと戻る様に制御部8(図3参照)によって駆動制御される様に構成されている。
【0036】
従ってこれにより、図6(c)および(d)に示す様に印刷用紙Pのカット端部がカッターキャリッジ53(支持面53a)から外れて垂れ下がることが無く、印刷用紙Pのカット端部が支持面53aによって支持された状態が維持される。
【0037】
即ち、カッターキャリッジ53が図6(c)においてX地点まで移動してしまうと、印刷用紙Pのカット端部が支持面53aから外れて垂れ下がり、すると、カッターキャリッジ53が待機位置Xへ戻ろうとする際にカッターキャリッジ53が垂れ下がった部分に衝突する。ここで、当該衝突部分に前記垂れ下がった部分を上方にすくい上げる傾斜面が形成されていても、印刷用紙Pの紙質、印刷用紙Pがロール紙である場合の巻き癖の度合い、インク滴が吐出されたことによる濡れ具合、等々の種々の要因によって垂れ下がりの程度に差が生じ、場合によっては前記垂れ下がった部分を適切に上方にすくい上げることができず、結果として印刷用紙Pのカット端部が折れ曲がったり、印刷面にカッターキャリッジ53が擦れて印刷品質の低下を招く虞がある。しかし、前述の様にオートカッター2においては印刷用紙Pのカット端部が支持面53aに支持された状態が維持されるので、この様な不具合が発生することが無い。
【0038】
また、カッターキャリッジ53は、印刷用紙Pの両側端の範囲内、即ち、必要最小限の範囲内で往復動作するので、カット時間を短縮することができると共に、ロータリー刃55の寿命を延ばすことも可能となる。尚、ロータリー刃55から上流側の印刷用紙Pの下流側端部についても、上記と同様に、傾斜面53e(図5参照)に支持された状態が維持され、これによって前述の様な不具合の発生を防止することができる様になっている。
【0039】
尚、カッターキャリッジ53が折り返す地点、即ち、印刷用紙Pの待機位置Xから遠い側の側端位置に係る情報は、図示しないホストコンピュータによって印刷データと共にプリンタ1(制御部8)に送信される。即ち、ホストコンピュータからプリンタ1へ送信される印刷データには通常印刷用紙Pのサイズに係る情報が含まれているので、これを利用して制御部8(図3参照)はカッターキャリッジモータ54(図3参照)の回転量を制御し、これによってカッターキャリッジ53の折り返し地点が決定される。尚、例えばカッターキャリッジ53に印刷用紙Pの側端を検出する為のセンサ手段(側端位置検出手段)を設け、これによって印刷用紙Pの待機位置Xから遠い側の側端位置に係る情報を取得する様に構成すれば、より一層確実にカッターキャリッジ53を駆動制御することが可能となる。
【0040】
ところで、以下の様な制御を行うことにより、カッターキャリッジ53の、印刷用紙P及び印刷用紙Pのカット端部への衝突を防止することも可能である。図4において、挟圧部材63として、回動可能なローラ体を採用する。そして、図6においてカッターキャリッジ53を、例えばX地点まで移動させてカット動作を行い、そしてカッターキャリッジ53を待機位置Xに戻す前に、図4において挟圧部材63としてのローラ体を回動駆動させることによって印刷用紙Pを僅かに上流側に送る。また、同時にカッター排紙駆動ローラ56を回動駆動させることによって印刷用紙Pを僅かに下流側に送る。
【0041】
すると、カッターキャリッジ53の往復動領域内から印刷用紙PおよびPのカット端部が退避し、印刷用紙P及び印刷用紙Pのカット端部が垂れ下がったとしても、カッターキャリッジ53は待機位置Xに戻る際に当該垂れ下がった部分に衝突せず、従ってこれによっても前述と同様にカット端部の折れ曲がり等の問題を回避することが可能となる。
【0042】
続いて、カッター排紙従動ローラ57をカッター排紙駆動ローラ56から離間させるローラレリース手段について図7乃至図10を参照しつつ詳説する。図7は、ローラ駆動モータ36からカッター排紙駆動ローラ56へ回動力を伝達する歯車輪列を示していて、符号70〜73で示す4つの歯車はオートカッター2側に設けられてカッター側歯車装置74を構成し、他の歯車は全てプリンタ1側に設けられてプリンタ側歯車装置43を構成している。
【0043】
図6において、オートカッター2の側ではカッター排紙駆動ローラ56の回動軸56aの軸端にカッター排紙駆動ローラ歯車70が取り付けられている。一方、プリンタ1の側においては、搬送駆動ローラ15の軸端に搬送駆動ローラ歯車38が取り付けられ、第2排紙駆動ローラ29の回動軸29aの軸端には、第2排紙駆動ローラ歯車40が取り付けられている。
【0044】
カッター側歯車装置74を構成するカッター側伝達歯車73は、オートカッター2がプリンタ1本体に取り付けられた際に(図1参照)、プリンタ側歯車装置43を構成するプリンタ側伝達歯車41と噛合する。プリンタ側歯車装置43においては、ローラ駆動モータ36の回動軸36aに取り付けられたピニオン歯車37から、搬送駆動ローラ歯車38、中間歯車39、第2排紙駆動ローラ歯車40を介し、第2排紙駆動ローラ歯車40とによって2段歯車を構成するプリンタ側伝達歯車41へ回動力が伝達される。そして、オートカッター2がプリンタ1に取り付けられ、プリンタ側伝達歯車41とカッター側伝達歯車73とが噛合すると、中間歯車72,71を介してカッター排紙駆動ローラ歯車70に回動力が伝達され、これにより、カッター排紙駆動ローラ56が回動する。
【0045】
一方、プリンタ1の側においては、搬送駆動ローラ歯車38はピニオン歯車37によって直接回動駆動され、第2排紙駆動ローラ歯車40は、搬送駆動ローラ歯車38と、中間歯車39とを介して回動駆動される。尚、第1排紙駆動ローラ28には、図示しない中間歯車及び第1排紙駆動ローラ歯車42を介してローラ駆動モータ36の回動力が伝達される。
【0046】
ところで、図2において、印刷用紙(単票紙)の後端に余白無く印刷を行う場合には、印刷用紙後端が搬送ローラ19を外れると、印刷用紙は第1排紙ローラ26から下流側のローラによって精密送りされることになる。ここで、第1排紙ローラ26を構成する第1排紙従動ローラ30は、印刷面と点接触する歯付きローラからなるので、第2排紙ローラ27と、カッター排紙駆動ローラ56及びカッター排紙従動ローラ57との2組のローラ対に比して印刷用紙の搬送力が低くなっている。従って、印刷用紙後端が搬送ローラ19を外れた後の紙送り精度は、第2排紙ローラ27と、カッター排紙駆動ローラ56およびカッター排紙従動ローラ57の2組のローラ対の回転精度によって決定されることになる。
【0047】
ここで、図6を参照しつつ説明した様に、カッター排紙駆動ローラ56へは、第2排紙駆動ローラ29と比して多数の歯車を介してローラ駆動モータ36の回動力が伝達されるので、従って、カッター排紙駆動ローラ56の回転精度は、第2排紙駆動ローラ29と比して劣ることになる。特に、オートカッター2はプリンタ1に対して着脱自在となっているので、カッター側伝達歯車73とプリンタ側伝達歯車41との噛合状態はその装着状態によって異なり、場合によってはバックラッシ量の増大によって回転精度が極端に低下する虞もある。
【0048】
そして、この様に回転精度が低いカッター排紙駆動ローラ56及びカッター排紙従動ローラ57からなるローラ対が、印刷用紙後端が搬送ローラ19から外れた後の当該印刷用紙の搬送動作に寄与すると、紙送り精度の低下によって印刷品質が低下する虞がある。従って、本実施形態に係るオートカッター2においてはこの様な不具合を防止すべく、印刷用紙を印刷の為に紙送りする際に、ローラレリース手段によってカッター排紙従動ローラ57をカッター排紙駆動ローラ56から離間させる様に構成している。
【0049】
以下、図8乃至図10を参照しつつ当該ローラレリース手段について詳説する。図9に示す様に、カッター排紙従動ローラ57はカッター排紙従動ローラホルダ(以下「ローラホルダ」と言う)58によって自由回動可能に軸支されている。ローラホルダ58は、用紙幅方向に平行な回動軸58dを有し、且つ、ローラホルダ58を囲む様な形状を有するホルダ62(図8参照)の上流側に設けられた軸受部62a(図8参照)によって回動軸58が軸支されている。これにより、ローラホルダ58は、回動軸58dより下流側に回動軸57aを有するカッター排紙従動ローラ57が、カッター排紙駆動ローラ56に対して離間及び接近する様に揺動することができる様になっている。尚、ホルダ62は、側面視においてL字形の形状をなすローラフレーム61の上面に設けられている。
【0050】
続いて、ローラホルダ58は上方に突出する支柱部58aを有し、該支柱部58aの上端部には、ばね掛止部58bが形成されている。一方で、ホルダ62の下流側には上方に突出するばね掛止部62bが形成されていて、これらばね掛止部には、圧縮コイルばね59が掛架されている。従ってローラホルダ58は、カッター排紙従動ローラ57が、カッター排紙駆動ローラ56に圧接する方向に回動付勢された状態となっている。
【0051】
次に、図8及び図10に示す様に、ローラホルダ58の上方には紙幅方向(図10の左右方向)に延びるカム部材65が、紙幅方向にスライド可能に、且つ、プリンタ1本体に形成されたばね掛止部68と、カム部材65に形成されたばね掛止部65bとに圧縮コイルばね67が掛架されることによって、80桁側(図10の左側)に向けて付勢された状態で設けられている。そして、カム部材65からは、正面視においてL字形の形状をなし、且つ、当該L字形の突端が、ローラホルダ58における支柱部58aに向かって延びるカム部66が、紙幅方向に複数個配設されたローラホルダ58の、やや80桁側(図10において左側)上方に、それぞれ形成されている。
【0052】
また、カム部材65の最も0桁側(図10において右端)には、下流側(図10の紙面裏方向)に向かって突出する係合部65aが形成され、一方でカッターキャリッジ53には、当該係合部65aと係合可能な係合部53dが、図5に示す様にカッターキャリッジ53からに上方に延びた後に上流側に折れ曲がる様に形成されている。そして、カッターキャリッジ53が最も0桁側(図6に示した待機位置X)に移動すると、カッターキャリッジ53に形成された係合部53dがカム部材65の係合部65aに当接し、そして図10(b)に示す様にカム部材65を圧縮コイルばね67の付勢力に抗して0桁側にスライドさせる。
【0053】
ここで、カム部66は、図8に示す様に支柱部58aに望む側に傾斜面66aを有し、そしてカム部66(カム部材65)が0桁側に移動すると、当該傾斜面66aが、支柱部58aにおけるカムフォロア部58cに接触し(図9(B)参照)、そして更にカム部66が0桁側に移動することによって、カム部66が、ローラホルダ58を、カッター排紙従動ローラ57がカッター排紙駆動ローラ56から離間する方向(図9において反時計方向)に揺動させる。
【0054】
つまり、オートカッター2におけるローラレリース手段は、カッターキャリッジ53を待機位置Xに移動させることによって、カッター排紙従動ローラ57がカッター排紙駆動ローラ56から離間する様に構成されている。従って、制御部8(図3参照)は、カッターキャリッジモータ54を駆動制御することにより、カッター排紙従動ローラ57の圧接状態と離間状態とを切り替えることが可能となる。そして、印刷動作実行中は常にカッターキャリッジ53を待機位置Xに配置することにより、カッター排紙駆動ローラ57の回動動作が印刷用紙の搬送動作に寄与しない様にすることができ、以て紙送り精度の低下を防止することが可能となる。
【0055】
そして、この様にカッターキャリッジ53を、カッター排紙従動ローラ57をカッター排紙駆動ローラ56から離間させる為の駆動手段として利用したことにより、専用の駆動手段を別途設ける必要が無く、オートカッター2の低コスト化を図ることが可能となっている。
【0056】
尚、カッター排紙従動ローラ57は、少なくとも印刷用紙後端が搬送ローラ19を外れてから記録ヘッド21による印刷動作が完了するまでの間に前記離間状態となれば良いので、印刷用紙が搬送ローラ19によってニップされた状態、即ち、搬送ローラ19の搬送力によって精密送り動作が行われている間は、カッター排紙駆動ローラ56に圧接した状態となっていても構わない。以上により、オートカッター2をプリンタ1に装着したままの状態で印刷用紙(単票紙)に印刷を行っても、紙送り精度の低下を招来することが無く、従ってロール紙への印刷時と単票紙への印刷時との切り替えにおいてオートカッター2をその都度着脱する必要がなく、オートカッター2を装着したままプリンタ1を使用することが可能となり、ユーザの利便性が向上することになる。
【0057】
以上説明した様に、本発明によれば、カッター装置はカッター排紙従動ローラをカッター排紙駆動ローラから離間させるローラレリース手段を有し、少なくとも被記録材後端が搬送ローラを外れてから記録部による記録動作が完了するまでの間は、前記ローラレリース手段によってカッター排紙従動ローラがカッター排紙駆動ローラから離間した状態となる様に構成されているので、カッター排紙従動ローラとカッター排紙駆動ローラとによって被記録材はニップされず、当該ローラによる搬送力は働かない。従って、カッター排紙駆動ローラの回転精度が低い様な構成であっても、被記録材の紙送り精度は低下せず、以て記録品質の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明に係るインクジェットプリンタの外観斜視図である。
【図2】本発明に係るインクジェットプリンタの側断面概略図である。
【図3】本発明に係るインクジェットプリンタの制御系統のブロック図である。
【図4】本発明に係るオートカッターの側断面図である。
【図5】本発明に係るオートカッターを構成するカッターキャリッジの外観斜視図である。
【図6】本発明に係るオートカッターの移動範囲を示す説明図である。
【図7】本発明に係るインクジェットプリンタ及びオートカッターを構成する歯車輪列の正面図である。
【図8】本発明に係るオートカッターを構成するカッター排紙従動ローラホルダの斜視図である。
【図9】本発明に係るオートカッターを構成するカッター排紙従動ローラホルダ近傍の側断面図である。
【図10】本発明に係るオートカッターの正面図である。
【符号の説明】
【0059】
1 インクジェットプリンタ、1b 用紙排出口、2 オートカッター、8 制御部、15 搬送駆動ローラ、17 搬送従動ローラ、19 搬送ローラ、21 インクジェット記録ヘッド、26 第1排紙ローラ、27 第2排紙ローラ、28 第1排紙駆動ローラ、29 第2排紙駆動ローラ、30 第1排紙従動ローラ、31 第2排紙従動ローラ、36 ローラ駆動モータ、38 搬送駆動ローラ歯車、41 プリンタ側伝達歯車、43 プリンタ側歯車装置、51 カッター紙案内、52 剪断板、53 カッターキャリッジ、53a 支持面、54 カッターキャリッジモータ、55 ロータリー刃、56 カッター排紙駆動ローラ、57 カッター排紙従動ローラ、58 カッター排紙従動ローラホルダ、58a 支柱部、58b ばね掛止部、58c カムフォロア部、59 圧縮コイルばね、60 キャリッジガイドフレーム、61 ローラフレーム、62 ホルダ、63 挟圧部材、65 カム部材、66 カム部、70 カッター排紙駆動ローラ歯車、73 カッター側伝達歯車、74 プリンタ側歯車装置、P 印刷用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被記録材の幅方向に移動しながら被記録材をカットするカッター刃と、
該カッター刃の下流側に設けられ、回動駆動されるカッター排紙駆動ローラ及び該カッター排紙駆動ローラに弾性的に接触して従動回動するカッター排紙従動ローラからなるカッター排紙ローラと、
前記カッター排紙駆動ローラに回動力を伝達するカッター側歯車装置と、を備え、
被記録材に記録を行う記録部と、該記録部へ被記録材を搬送する搬送ローラと、前記記録部の下流側に設けられ、被記録材をニップし且つ回動することによって被記録材を排紙する排紙ローラと、前記排紙ローラに回動力を伝達する記録装置側歯車装置と、を備えた記録装置における前記排紙ローラの下流側に取り付け可能に構成され、且つ、前記記録装置に取り付けられた際に、前記カッター側歯車装置を構成するカッター側伝達歯車が、前記記録装置側歯車装置を構成する記録装置側伝達歯車と噛合することにより、前記カッター排紙駆動ローラが回動駆動される様に構成されたカッター装置であって、
前記カッター排紙従動ローラを前記カッター排紙駆動ローラから離間させるローラレリース手段を有し、
被記録材後端が前記搬送ローラを外れ、且つ被記録材先端が前記カッター排紙ローラの下流に位置する状態で、少なくとも被記録材へ記録を行う為の前記排紙ローラによる被記録材の搬送動作及び前記記録部による記録動作が完了するまでの間は、前記カッター排紙従動ローラが、前記ローラレリース手段によって前記カッター排紙駆動ローラから離間した状態となる様に構成されている、
ことを特徴とするカッター装置。
【請求項2】
請求項1において、前記カッター排紙従動ローラが、被記録材の搬送経路を側視して揺動可能に設けられ且つ付勢手段によって前記カッター排紙従動ローラが前記カッター排紙駆動ローラに接する方向に回動付勢されたカッター排紙従動ローラホルダによって軸支され、
前記ローラレリース手段が、前記カッター排紙従動ローラホルダに設けられたカムフォロア部と、
該カムフォロア部と係合する係合位置および該カムフォロア部と係合しない非係合位置を移動可能に設けられ、前記係合位置に移動することにより、前記カッター排紙従動ローラホルダを前記付勢手段に抗して揺動させるカム部と、からなり、
前記カム部が、前記カッター刃を保持し且つ被記録材の幅方向に往復動可能に設けられるカッターキャリッジの往復動作によって前記係合位置と前記非係合位置とを移動する様に構成されている、
ことを特徴とするカッター装置。
【請求項3】
請求項1または2において、前記排紙ローラが、上流側と下流側とに配設された2組のローラ対によって構成されていることを特徴とするカッター装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項において、前記記録装置に対して着脱可能に構成されていることを特徴とするカッター装置。
【請求項5】
被記録材に記録を行う記録装置であって、請求項1から4のいずれか1項に記載のカッター装置を備えていることを特徴とする記録装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2007−1317(P2007−1317A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−276877(P2006−276877)
【出願日】平成18年10月10日(2006.10.10)
【分割の表示】特願2002−62140(P2002−62140)の分割
【原出願日】平成14年3月7日(2002.3.7)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】