説明

カップ酒用容器

【課題】日本酒、焼酎、梅酒等のカップ酒に使用するためのカップ酒用容器であって、中蓋の開封後においても、外蓋の着脱によりいつでもで容器の密封・開封をすることができるカップ酒用容器カップを提供する。
【解決手段】酒を収容するカップ状の容器本体1と、この容器本体1の口部を密封する金属製の中蓋2と、この中蓋2を覆うようにして容器本体1の口部に嵌合される合成樹脂製の外蓋3からなるカップ酒用容器において、前記外蓋3の外周部を断面V字状に屈曲させて屈曲部4を形成し、中蓋2を除去して外蓋3を直接に容器本体1の口部に嵌合したときに、前記屈曲部4が容器本体1の口部内周面に弾性的に密着可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、日本酒、焼酎、梅酒等のカップ酒に使用するためのカップ酒用容器に関するものである。更に詳しくは、中蓋の開封後においても、外蓋の着脱によりいつでもで容器の密封・開封をすることができるカップ酒用容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、日本酒、焼酎、梅酒等のカップ酒用容器として、特許文献1や特許文献2に示されるように、酒を収容するカップ状の容器本体と、この容器本体の口部を密封するアルミ製の蓋とからなるものが知られている。
また最近では、合成樹脂製の外蓋を前記中蓋を覆うように容器本体に嵌合する構造のカップ酒用容器も提案されている。この外蓋は、例えば前記中蓋を開封した後に、一時的に飲むのを中断する場合などに、容器内にゴミ等が入るのを防止するためのキャップとして使用されるものである。
【0003】
図3は、すでに実用化されている外蓋を有するカップ酒用容器の一例を示すものであり、図において、21は酒を収容するカップ状の容器本体、22はこの容器本体21の口部を密封するアルミ製の中蓋、23はこの中蓋22を覆うようにして容器本体21に嵌合する合成樹脂製の外蓋である。このようなカップ酒用容器では、前記中蓋22を開封して取り除いた後に、外蓋23を容器の密封用キャップとして使用する。
【0004】
図4に、中蓋22を開封・除去後、外蓋23を容器本体21の口部に嵌合した状態を示す。この場合、外蓋23の天板には容器本体21の口部肉厚に相当する幅を残して凹部24が形成されており、この凹部24の縦壁部25と口部内周面との接合、および天板と口部頂点部との密着によって密封性を保持する構造である。
しかしながら、容器本体1や外蓋23の成形上わずかな寸法誤差が生じるため、設計通りのフラット面や真円形状を作ることが難しく、現実には外蓋23により完全な密封性を保持することは困難であった。この結果、容器が転倒したりすると中の酒がこぼれてしまうという問題点があった。
【0005】
その他、図5に示されるような、外蓋23の外周部下面にリング状の挟持片26を垂設し、この挟持片26と外蓋23の周縁に垂設したスカート部27との間に容器本体21の口部を挟んで密封性を保持するものも提案されている。しかし前述のものと同様、成形上の寸法誤差などによって、挟持片26と口部内周面との接合を完全な密封状態にすることは難しく、液漏れを完全に防止することはできないというのが現状である。
【特許文献1】実公平1−42518号公報
【特許文献2】特開平9−20351号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記のような問題点を解決して、外蓋が優れた密封性を発揮して、中蓋の開封・除去後においても、外蓋の着脱によりいつでも容器の密封・開封をすることができ、また容器が転倒しても中の酒がこぼれることがなく優れた使い勝手を発揮するカップ酒用容器を提供することを目的として完成されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためになされた本発明のカップ酒用容器は、酒を収容するカップ状の容器本体と、この容器本体の口部を密封する金属製の中蓋と、この中蓋を覆うようにして容器本体の口部に嵌合される合成樹脂製の外蓋からなるカップ酒用容器において、前記外蓋の外周部を断面V字状に屈曲させて屈曲部を形成し、中蓋を除去して外蓋を直接に容器本体の口部に嵌合したときに、前記屈曲部が容器本体の口部内周面に弾性的に密着可能としたことを特徴とするものである。
【0008】
また、外蓋は天板と、その周縁に垂設されるスカート部からなり、また容器本体の口部外周にはビード部が突設されており、前記スカート部の内面に、外蓋の天板を容器本体の口部から浮かせた状態として前記ビード部と係合する第1の係合用突部と、天板を容器本体の口部に密接させた状態として前記ビード部と係合する第2の係合用突部を設けることが好ましく、これを請求項2に係る発明とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明のカップ酒用容器では、外蓋の外周部を断面V字状に屈曲させて屈曲部を形成し、中蓋を除去して外蓋を直接に容器本体の口部に嵌合したときに、前記屈曲部が容器本体の口部内周面に弾性的に密着可能としたので、中蓋の開封・除去後において、外蓋で容器を密封した場合に、成形上の寸法誤差があったとしても前記の屈曲部が容器本体の口部の内周面に弾性的に変形・密着して完全な密封状態を保持することとなり、中身の液漏れを防ぐことが可能となる。
【0010】
また、外蓋の周縁に垂設したスカート部の内面に、第1の係合用突部と第2の係合用突部が設けてあるので、中蓋がある状態と中蓋を開封して除去した状態のいずれの場合も、外蓋は容器本体の口部にしっかりと嵌合されることとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、図面を参照しつつ本発明の好ましい実施の形態を示す。
図1は、日本酒用のカップ型容器を示すものであって、図において、1は酒を収容するガラス製のカップ状の容器本体、2はこの容器本体1の口部を密封するアルミニウム等の金属製の中蓋、3はこの中蓋2を覆うようにして容器本体1に嵌合される合成樹脂製の外蓋である。なお、容器本体1の口部には外側へ向けて膨出するビード1aが形成されており、金属製の中蓋2は外周縁部を前記ビード1aの下面側に巻き込むように装着されている。
【0012】
前記外蓋3は、天板3aと、その周縁に垂設したスカート部3bで構成されており、更に、容器本体1の口部肉厚に相当する幅を残して外周部に天板3aを断面V字状に屈曲させて屈曲部4が設けられている。そして、この屈曲部4を形成する外側の壁面5が容器本体1の口部内周面に弾性的に密着可能としてある。また、壁面5には外側へ向けて突出する膨出部5aが設けてあり、口部内周面との密着性を更に向上させている。
【0013】
前記外蓋3の周縁に垂設したスカート部3bの内面には、第1の係合用突部6aと第2の係合用突部6bの二つの係合用突部が設けられている。
第1の係合用突部6aは、中蓋2が未開封の状態にある時に、天板3aを容器本体1の口部頂点から浮かせた状態として、外蓋3を容器本体1の口部外周に突設したビード部1aと係合するためのものである。一方、第2の係合用突部6bは、中蓋2を開封・除去した後に、天板3aを容器本体1の口部頂点に密接させた状態として、外蓋3を容器本体1の口部に覆った際、前記ビード部1aと係合するためのものである。これら第1の係合用突部6aと第2の係合用突部6bにより、中蓋2の開封・未開封のいずれの場合も、外蓋3が容器本体1の口部にしっかりと嵌合される構造となっている。
【0014】
以上のように構成されたものでは、カップ酒として出荷・搬送したり、店頭で陳列等する場合は、図1に示すように、容器本体1の口部は中蓋2で密封されているため中身の酒が漏れることは一切ない。しかも、中蓋2を覆うようにして容器本体1に外蓋3が嵌合されているので、口部に埃やゴミ等が付着することもなく衛生的である。
次に、中蓋2を開封・除去した後において、飲むのを一時的に中断する場合もあるが、この時は、図2に示すように、容器本体1の口部を外蓋3で再び密封すれば、外蓋3の外周部下面に天板3aを屈曲させて断面V字状の屈曲部4が設けられ、この屈曲部4を形成する外壁面5が容器本体1の口部の内周面に弾性的に密着して密封性を保持することとなる。この結果、容器の傾斜や転倒があっても酒が漏洩するのを確実に防止することとなる。なお、再び飲みたい場合は、外蓋3を外せば自由に飲むことができる。
【0015】
以上の説明からも明らかなように、本発明は外蓋の外周部を断面V字状に屈曲させて屈曲部を形成し、中蓋を除去して外蓋を直接に容器本体の口部に嵌合したときに、前記屈曲部が容器本体の口部内周面に弾性的に密着可能とした構造であり、外蓋が優れた密封性を発揮するので、中蓋の開封・除去後においても、外蓋の着脱によりいつでも容器の密封・開封をすることができ、また容器が転倒しても中の酒がこぼれることがなく優れた使い勝手を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態を示す要部の断面図である。
【図2】図1で中蓋を外し外蓋で再び閉蓋した状態を示す要部の断面図である。
【図3】従来例を示す要部の断面図である。
【図4】図3で中蓋を外し外蓋で再び閉蓋した状態を示す要部の断面図である。
【図5】その他の従来例を示す要部の断面図である。
【符号の説明】
【0017】
1 容器本体
2 中蓋
3 外蓋
3a 天板
3b スカート部
4 屈曲部
5 壁面
6a 第1の係合用突部
6b 第2の係合用突部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酒を収容するカップ状の容器本体と、この容器本体の口部を密封する金属製の中蓋と、この中蓋を覆うようにして容器本体の口部に嵌合される合成樹脂製の外蓋からなるカップ酒用容器において、前記外蓋の外周部を断面V字状に屈曲させて屈曲部を形成し、中蓋を除去して外蓋を直接に容器本体の口部に嵌合したときに、前記屈曲部が容器本体の口部内周面に弾性的に密着可能としたことを特徴とするカップ酒用容器。
【請求項2】
外蓋は天板と、その周縁に垂設されるスカート部からなり、また容器本体の口部外周にはビード部が突設されており、前記スカート部の内面に、外蓋の天板を容器本体の口部から浮かせた状態として前記ビード部と係合する第1の係合用突部と、天板を容器本体の口部に密接させた状態として前記ビード部と係合する第2の係合用突部を設けたことを特徴とする請求項1に記載のカップ酒用容器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2009−35314(P2009−35314A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−202752(P2007−202752)
【出願日】平成19年8月3日(2007.8.3)
【出願人】(000102153)ウイストン株式会社 (4)
【Fターム(参考)】