説明

カバー開閉検知スイッチを備えた防犯用センサ装置

【課題】 部品点数を増やすことなしにカバー開閉検知スイッチがカバーの開閉を正確に検知する防犯用センサ装置を提供する。
【解決手段】 物体検知用の検知波IRの送信または受信を行うセンサ素子15,23を含むセンサ本体41と、センサ本体41を覆うカバー43とを備える。センサ本体41にカバー開閉検知スイッチ31が装着され、カバー43に、このカバー43の開閉動作に連動してカバー開閉検知スイッチ31の作動子31aを移動させることでオン・オフさせるスイッチ操作片34が設けられ、カバー開閉検知スイッチ31の作動子31aの移動方向Qがカバー43の開閉方向Pと直交するように設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ本体に装着されてセンサ素子などを覆うカバーの開閉を検知するスイッチを有する防犯用センサ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の防犯用センサ装置として、直線的な警戒区域の両端部に、赤外線ビームの投光部と受光部とを設置して、投光器と受光器との間で赤外線ビームを投受光し、赤外線ビームが人体に妨げられるのを検出することで人体を検知するものが知られている。この防犯用センサ装置では、投光部および受光部が、共にユニット化された図5に示すようなほぼ同一の外観形状を有している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図5において、センサ本体60の前面側(図の左側)には、赤外線ビームの送信または受信を行うセンサ素子61などが実装された第1の回路基板62と、前記センサ素子61に対向配置された光学系63とを有する素子ユニット64が設けられ、この素子ユニット64が、センサ本体60に着脱自在に装着されるカバー65により覆われて保護されている。センサ本体60には、カバー65の開閉を検知するためのリミットスイッチからなるカバー開閉検知スイッチ66が第2の回路基板67に実装して設けられている。このカバー開閉検知スイッチ66は、不法侵入者によるカバー65の取り外しを検知して警備会社などに通報する警報信号を生成するためのタンパースイッチ、またはカバー65の開閉を検知してセンサ回路における動作モードをカバー65を取り外しての光軸調整モードと作動モードとに切り換える切換信号を発生させるためのモード切換スイッチのいずれかである。
【0004】
前記カバー開閉検知スイッチ66は、カバー65がセンサ本体60に装着されたときに、合成樹脂製のカバー65にスイッチ操作片として一体形成されている操作用リブ68の先端でカバー開閉スイッチ66の作動子(アクチュエータ)69が2点鎖線の図示位置から実線の図示位置に回動しながら押し下げられてオンすることにより、カバー65の装着を検知し、逆に、操作用リブ68の先端がカバー開閉スイッチ66の作動子69から離間してオフすることにより、カバー65の開放を検知する。
【0005】
【特許文献1】特開平10−039043号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記防犯用センサ装置の投光部または受光部は、カバー開閉検知スイッチ66が、これの作動子69の回動方向Rがカバー65のセンサ本体60に対する開閉方向Tと同じ方向となる配置で設けられているので、カバー65をセンサ本体60に完全に装着し終えた時点で操作用リブ68が作動子69を所定のストロークだけ回動させてカバー開閉検知スイッチ66が確実にオンとなるように、操作用リブ68とカバー開閉検知スイッチ66の作動子69との相対位置を正確に設定する必要がある。そのため、カバー開閉検知スイッチ66の取り付けが煩雑となり、しかも、以下のような問題が生じる。
【0007】
すなわち、図5において、防犯用センサ装置の投光部または受光部が装着される壁面のような設置面Sが平坦でなかった場合には、この設置面Sに取り付けられた合成樹脂製のセンサ本体60が設置面Sの凹凸に対応して反った形状に変形することがある。この変形したセンサ本体60にカバー65の長手方向(この例では上下方向)の両端部を固定すると、操作用リブ68と作動子69の開閉方向Tにおける相対位置が所定位置からずれてしまい、カバー開閉検知スイッチ66の作動不良を起こすことがある。
【0008】
また、センサ本体60の上端部に設けられた端子台70には、これに取り付けられた複数の端子ねじ(図示ぜず)にそれぞれ配線(図示せず)が接続されており、カバー65の装着時には、配線をカバー65の内部に無理なく収容できるように嵩低くする必要がある。ここで、配線を嵩低くすることなくカバー65を無理にセンサ本体60に装着したような場合には、配線が盛り上がってカバー65が浮き上がった状態でセンサ本体60に装着されることがある。その結果、上述の設置面Sに凹凸がある場合と同様に、操作用リブ68と作動子69の開閉方向Tの相対位置がずれて、カバー開閉検知スイッチ66が作動不良を起こす。
【0009】
一方、従来では、カバー65の操作用リブ68にスプリングを取り付けて、カバー65がセンサ本体60に対し浮き上がった状態で装着された場合にも、操作用リブ68と作動子69の開閉方向Tの相対位置の変化をスプリングの伸縮により吸収して、カバー開閉検知スイッチ66を確実にオンさせるように図ったものが提案されている。ところが、この防犯用センサ装置は、部品点数の増加による構成の複雑化に伴ってコスト高および信頼性の低下を招く。
【0010】
本発明は、前記従来の問題に鑑みてなされたもので、部品点数を増やすことなしにカバー開閉検知スイッチによりカバーの開閉を正確に検知することができる防犯用センサ装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するために、本発明に係る防犯用センサ装置は、物体検知用の検知波の送信または受信を行うセンサ素子を含むセンサ本体と、前記センサ本体を覆うカバーとを備え、前記センサ本体にカバー開閉検知スイッチが装着され、前記カバーに、このカバーの開閉動作に連動して前記カバー開閉検知スイッチの作動子を移動させることでオン・オフさせるスイッチ操作片が設けられ、前記カバー開閉検知スイッチの作動子の移動方向が前記カバーの開閉方向と直交するように設定されている。
【0012】
この構成によれば、カバー開閉検知スイッチが、これの作動子の移動方向がカバーの開閉方向、つまりスイッチ操作片の移動方向と直交する配置で設けられているから、カバー開閉スイッチを、カバーに対して、このカバーがセンサ本体に対し完全な装着状態になる直前にスイッチ操作片によりオンされる相対配置で設けても、前記オンされたのちにカバーの装着動作の継続に伴いスイッチ操作片が作動子に対しオン状態を保持し続けながら移動して完全な装着状態になる。そのため、カバー開閉検知スイッチのカバーに対する相対位置に余裕が生じて、カバーがセンサ本体に装着されたときにカバーとカバー開閉検知スイッチとの相対位置関係に若干のばらつきがあっても、このばらつきを吸収してカバー開閉検知スイッチがカバーの開閉を正確に検知することができる。また、カバー開閉検知スイッチを、これの作動子の移動方向がカバーの開閉方向に対し直交する配置に変更して設けるだけの構成であり、スプリングなどの他の部品を必要としないので、部品点数の増加を招かない。
【0013】
本発明において、前記カバー開閉検知スイッチは、例えば、回動する前記作動子によりスイッチのオン・オフを行うリミットスイッチである。この構成によれば、カバー開閉検知スイッチを、回動する作動子の回動支点がカバー寄りに位置する配置で設ければ、カバーの装着時に、カバーのスイッチ操作片が、カバーの装着時に作動子を押し込みながら移動してカバー開閉検知スイッチをオンさせたのち、作動子に摺動してオン状態を保持しながら僅かに移動させて、カバー装着完了とすることができるので、カバー開閉検知スイッチが円滑、かつ、正確にオン・オフされる。
【0014】
また、本発明において、前記センサ本体は前記カバー側に突出する回路基板を有し、この回路基板に前記カバー開閉検知スイッチが装着されている。この構成によれば、カバーの開閉方向に対し平行に設けられた回路基板にカバー開閉検知スイッチを装着することで、カバー開閉検知スイッチを、自身の作動子の移動方向がカバーの開閉方向と直交するように容易に配置できる。
【0015】
本発明において、前記カバーの内面に、前記スイッチ操作片を形成する操作用リブが一体形成されている。この構成によれば、カバーに一体形成された操作用リブとカバー開閉検知スイッチとの相対位置を正確に設定することができるとともに、部品点数の増加が抑制される。
【発明の効果】
【0016】
本発明の防犯用センサ装置によれば、カバー開閉検知スイッチを、これの作動子の移動方向がカバーの開閉方向に対し直交するように配置することにより、カバー開閉検知スイッチのカバーに対する相対位置に余裕を持たせたることができるので、カバーとカバー開閉検知スイッチとの相対位置関係に若干のばらつきがあっても、このばらつきを吸収してカバー開閉検知スイッチによりカバーの開閉を正確に検知することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明の第1実施形態に係る防犯用センサ装置を示すブロック図である。この防犯用センサ装置は、直線的な警戒区域の両端側の壁面またはポールに互いの光軸を一致させて相対向する配置で設置される投光部1と受光部2とからなる能動型の赤外線検知装置であり、赤外線ビームIRが人体検知用の検知波として投受光される。前記投光部1および受光部2は、後述するように共にユニット化された構成になっている。
【0018】
投光部1は、投光側素子ユニット11、投光駆動回路12、投光抑制回路13および投光側カバー開閉検知スイッチ14を有している。前記素子ユニット11、投光駆動回路12および投光抑制回路13はそれぞれ複数、例えば一対設けられているが、図1では一つのみを示している。素子ユニット11は、赤外線発光ダイオードなどの発光素子15と近赤外線のような赤外線ビームIRを形成するための投光レンズまたは反射ミラーのような送信側光学系16とを備えて、投光器として構成されている。投光駆動回路12は、発光素子15を所定の周波数で発光駆動してパルス変調波からなる赤外線ビームIRを出射させる。投光側カバー開閉検知スイッチ14は、後述のカバーのセンサ本体に対する開閉を検出するリミットスイッチである。投光抑制回路13は、カバー開閉検知スイッチ14がカバーの開放を検出したときに、発光素子15から出射する赤外線ビームIRがカバーによる減衰透過分だけ低減する駆動電力を発光素子15に対し供給するように投光駆動回路12を制御する。
【0019】
一方、受光部2では、受信側素子ユニット21が、受光レンズまたは集光ミラーのような受信側光学系22とフォトトランジスタなどの受光素子23とを備えて、受光器として構成されている。この受信側素子ユニット21は、投光部1からの赤外線ビームIRを受光して、その赤外線受光量に応じた電気信号を出力する。この電気信号は、増幅回路24で増幅されたのち、検波回路25で外乱光が除去されてパルス変調波のみによる受光信号のレベルに応じた信号に変換され、この信号レベルが設定検知レベル以下であるか否かを信号判別回路26で判別される。投光部1からの赤外線ビームIRが不法侵入者により遮られて受光信号レベルが予め設定された検知レベル以下になったときには、信号判別回路26から検知信号が出力されて警報回路27が駆動され、不法侵入者が存在することを報知するための警報信号が警報回路27から、例えば図示しない警備センターへ出力されるようになっている。
【0020】
また、検波回路25に接続された電圧計などのレベルメータ29には、素子ユニット21の赤外線受光量に比例した信号レベルが表示される。さらに、増幅回路24は、素子ユニット21からの受光信号の信号レベルに応じてAGC回路30により利得制御されて、出力が常に一定の信号レベル以下になるように制御される。素子ユニット21、増幅回路24、検波回路25、信号判別回路26およびレベルメータ29もそれぞれ複数、例えば一対設けられているが、図1では一つのみを示している。受光部2は、さらに、受光側カバー開閉検知スイッチ31と受光レベル抑制回路32とを有している。受光側カバー開閉検知スイッチ31は、後述のカバーのセンサ本体に対する開閉を検出するリミットスイッチである。受光レベル抑制回路32は、カバー開閉検知スイッチ31がカバーの開放を検出したときに、AGC回路30を介して増幅回路24の利得を下げさせることにより、増幅回路24に対し、素子ユニット21からの受光信号の信号レベルをカバーによる減衰透過分だけ低減して増幅するように制御する。
【0021】
前記投光部1および受光部2は、上述したように共にユニット化されたほぼ同様の構成を有している。そこで、図2(a),(b)に示す受光部2を代表として説明する。この受光部2は、図2(a)に示す壁面やポールなどの設置面Sに装着される樹脂製のセンサ本体41と、このセンサ本体41のベース42に着脱自在に装着される樹脂製のカバー43とを有している。
【0022】
受光側の素子ユニット21は、受光レンズからなる上下一対の受信側光学系22がユニットケース45に保持され、そのユニットケース45の内部に、第1の回路基板46が装着されており、各受信側光学系22の後方に位置して受光素子23が第1の回路基板46に実装して配置されている。ベース42に装着された第2の回路基板47には、図1に示した構成のセンサ回路21,24〜27,29〜32が実装されている。
【0023】
防犯用センサ装置の設置時やメンセナンス時の光軸調整に際しては、カバー43が取り外され、それにより赤外線ビームIRの投光量および受光量が共にカバー43による透過減衰分だけ増大して、赤外線ビームIRの信号レベルが高くなり過ぎ、図1のAGC回路30の飽和や設置面Sでの赤外線ビームIRの反射などに起因して、光軸が不一致であっても受光信号が所定レベル以上となり、正確な光軸合わせが困難になる場合がある。そこで、カバー開閉検知スイッチ14,31がカバー43の開放を検知したときには、図1の投光抑制回路13および受光レベル抑制回路32により、通常の作動状態での受光信号の信号レベルからカバー43による赤外線ビームIRの透過減衰分だけ差し引いた信号レベルになるよう制御している。したがって、この防犯用センサ装置では、カバー43の開閉をカバー開閉検知スイッチ14,31で正確に検知する必要がある。
【0024】
前記ベース42の前面側上部には、端子台6が固定されており、この端子台6の内部には、第3の回路基板48が、カバー43側に突出する水平方向、すなわち設置面Sに接触するセンサ本体41のベース42の取付面42aに直交する方向の配置で設けられている。この第3の回路基板48には、リミットスイッチからなる前記カバー開閉検知スイッチ31が、これの作動子31aの回動ストロークの方向Qがカバー43の開閉方向Pと直交する配置で取り付けられている。このように、カバー43の開閉方向Pに対し平行に設けられた第3の回路基板48にカバー開閉検知スイッチ31を装着することで、カバー開閉検知スイッチ31を、自身の作動子31aの回動方向Qがカバー43の開閉方向Pと直交する配置で設けている。
【0025】
図3(a),(b)はカバー43を取り外した状態のセンサ本体41の平面図および正面図を示す。同図において、前記ベース42の前面側下端には支持部材7が固着されており、この支持部材7には、断面ほぼU字形状の保持体8が縦軸9の回りに回動自在に片持ち式に支持されている。さらに、保持体8には、素子ユニット21が左右の横軸10(図2)回りに回動自在に取り付けられている。前記縦軸9は例えばねじ体であり、横軸10はピンである。
【0026】
したがって、素子ユニット21は、縦軸9の回りに保持体8を介し回動することによって水平偏向角が可変調整され、かつ、横軸10回りに回動することによって上下偏向角が可変調整され、それにより、図1の投光部1の素子ユニット11に対する光軸合わせができるようになっている。この光軸調整は後述の照準器を用いて行われる。
【0027】
図2に示すように、前記縦軸9には保持体8を介して素子ユニット21の水平偏向角を調整する操作を行うためのダイヤル35が固定されている。また、図3(b)に示すように、保持体8の下端近傍の前面側には調整ねじ19が回転自在に支持され、その調整ねじ19は、ユニットケース45の下部に形成された突部(図示せず)にねじ込まれている。したがって、ダイヤル35を回転操作すれば、縦軸9回りに回動自在の保持体8を介して素子ユニット21の水平偏向角を調整でき、かつ、調整ねじ19を回転操作すれば、横軸10回りに回動自在のユニットケース45を介して素子ユニット21の上下偏向角を調整することができる。
【0028】
図3に示す素子ユニット21のユニットケース45における上下方向の中央部には、光軸調整を行うための公知の照準器36が設けられている。この照準器36は、照準器ケース37に設けられた左右一対ののぞき窓38と、前側正面の左右に設けられた一対の照準孔39と、照準器ケース37内に設けられた左右一対の反射ミラー(図示せず)とを備えている。この照準器36は、カバー43を開放した状態で、のぞき窓38からのぞきながらダイヤル35または調整ねじ19を手動操作して素子ユニット21の水平偏向角または上下偏向角を調整し、前記反射ミラーに映る図1の投光部1の素子ユニット11の像と図3(b)の照準孔39とが重なるように操作することにより、光軸の粗調整を行うようになっている。この粗調整につづいて、図1のレベルメータ29の表示を見ながら表示レベルが最大値になるよう、図3(b)のダイヤル35および調整ねじ19を調整して光軸の微調整を行い、図1のレベルメータ29の表示が所定レベル以上になるまで、つまり受光部2の光軸が投光部1に正確に一致するまで、投光部1および受光部2の光軸調整を必要に応じて複数回繰り返す。なお、投光部1も上述した受光部2と同様の構成になっている。
【0029】
前記受光部2では、センサ本体41が反った形状に変形されて取り付けられたり、内部配線が盛り上がって状態になることなどに起因して、カバー43がセンサ本体41に対し正規の相対位置からずれた位置で装着された場合であっても、カバー43の装着を確実に検知できるように図っている。すなわち、図2(a)に示すように、カバー開閉検知スイッチ31は、これの作動子31aの回動ストロークの回動方向Qがカバー43の開閉方向Pと直交する配置で取り付けられている。また、図3(c)に示すように、第3の回路基板48を保持する端子台6には、これの右端近傍箇所の上部に、前方、上方および右方に開口したガイド凹所17が形成されている。このガイド凹所17の左側面17aおよび底面17bが、後述する操作用リブ34をガイドするガイド面となる。左側面17aは前後方向Fおよび上下方向Vに平行であり、底面17bは前後方向Fおよび左右方向Wに平行である。前記底面17bに、挿通孔20が形成され、この挿通孔20に、カバー開閉検知スイッチ31の作動子31aが挿通してガイド面18の上面よりも上方に突出する。さらに、ガイド凹所17の後側に逃げ孔33が形成されている。
【0030】
一方、図4に示すように、カバー43の内面における、図2(a)のセンサ本体41への装着時に前記ガイド凹所17に対応する箇所に、カバー開閉検知スイッチ31の作動子31aのスイッチ操作片として機能する操作用リブ34が一体形成されている。また、図4のカバー43の上端および下端には、このカバー43をセンサ本体41に取り付けるための係止フック片51およびねじ挿通孔52を有するボス53が形成されている。このように、カバー43の内面に操作用リブ34が一体形成されていることにより、操作用リブ34とカバー開閉検知スイッチ31との相対位置を正確に設定することができるので、操作用リブ34が、カバー43の開閉動作に一体的に連動してカバー開閉検知スイッチ31の作動子31aを確実にオン・オフさせる。
【0031】
カバー43をセンサ本体41に装着するに際しては、カバー43の係止フック片40を図2(a)のセンサ本体のベース42の係止片(図示せず)に掛け止めしたのちに、カバー43をベース42に嵌め込む。このとき、カバー43の操作用リブ34は、ガイド面である底面17b上を摺動して後方に向け移動する際に、図3(c)の挿通孔20を通って上方に突出した作動子31aに対し摺動しながら、図2(b)のように作動子31aを挿通孔20内に押し込み、先端が図3(c)の逃げ孔33内に入り込んで停止する。ここで、カバー開閉検知スイッチ31は、作動子31aの回動支点31b(図2(a))がカバー43寄りに位置する配置で設けられており、カバー43の装着時に、カバー43の操作用リブ34が、自身の移動経路から作動子31aを押し込む状態で回動させながら移動して、カバー43がセンサ本体41に完全な装着状態になる直前にカバー開閉検知スイッチ31をオンさせる。そののち、操作用リブ34が作動子31a上を摺動してオン状態を保持しながら僅かに移動してカバー43の装着が完了する。
【0032】
このように、カバー43の装着前に操作用リブ34によりカバー開閉検知スイッチ31がオンされる相対配置となっているので、カバー開閉検知スイッチ31と完全装着時のカバー43との相対位置の設定に余裕が生じることになる。このような余裕は、図5に示した従来のセンサ装置では、カバー65の開閉方向Tと作動子69の移動方向Rが同一であるために作動子69と操作用リブ68の相対位置を正確に設定する必要があるために、生じえない。したがって、この実施形態では、図2(a)のセンサ本体41が平坦面でない設置面Sに装着されて反った形状に変形されたり、あるいは端子台6に接続された配線(図示せず)が盛り上がってカバー43を前方へ押し出すように作用して、カバー43がセンサ本体41に装着されたときにカバー43とカバー開閉検知スイッチ31の作動子31aとの間に隙間が生じるなどして、両者43,31の相対位置関係に若干のばらつきが生じても、このばらつきを吸収してカバー開閉検知スイッチ31がカバー43の開閉を正確に検知することができる。
【0033】
しかも、この防犯用センサ装置は、カバー開閉検知スイッチ31を、これの作動子31aの移動方向(この場合は回動方向)Qがカバー43の開閉方向Pに対し直交する配置に変更して設けるだけであるから、スプリングなどの他の部品を何ら設ける必要がなく、部品点数の増加を招かない。
【0034】
本発明は、防犯用センサ装置における前記実施形態で例示した受光部2以外に、投光部1にも適用することができ、その他に、遠赤外線を検知する受動型の赤外線検知器、超音波、マイクロウェーブなどを使用した防犯用センサ装置にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施形態に係る防犯用センサ装置を示すブロック図である。
【図2】(a)〜(c)は同上の防犯用センサ装置における受光部を示す一部破断した分解右側面図および一部破断した右側面図である。
【図3】(a)〜(c)はそれぞれ同上の受光部のセンサ本体を示す平面図、正面図および要部の斜視図である。
【図4】同上の受光部のカバーを示す斜視図である。
【図5】従来の防犯用センサ装置を示す一部破断した右側面図である。
【符号の説明】
【0036】
14 カバー開閉検知スイッチ(リミットスイッチ)
15 発光素子(センサ素子)
23 受光素子(センサ素子)
31 カバー開閉検知スイッチ(リミットスイッチ)
31a 作動子
34 操作用リブ(スイッチ操作片)
41 センサ本体
43 カバー
48 第3の回路基板(回路基板)
IR 赤外線ビーム(検知波)
P カバー開閉方向
Q 回動方向(作動子の移動方向)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体検知用の検知波の送信または受信を行うセンサ素子を含むセンサ本体と、前記センサ本体を覆うカバーとを備え、
前記センサ本体にカバー開閉検知スイッチが装着され、前記カバーに、このカバーの開閉動作に連動して前記カバー開閉検知スイッチの作動子を移動させることでオン・オフさせるスイッチ操作片が設けられ、前記カバー開閉検知スイッチの作動子の移動方向が前記カバーの開閉方向と直交するように設定されている防犯用センサ装置。
【請求項2】
請求項1において、前記カバー開閉検知スイッチは、回動する前記作動子によりスイッチのオン・オフを行うリミットスイッチである防犯用センサ装置。
【請求項3】
請求項1または2において、前記センサ本体は前記カバー側に突出する回路基板を有し、この回路基板に前記カバー開閉検知スイッチが装着されている防犯用センサ装置。
【請求項4】
請求項1,2または3において、前記カバーの内面に、前記スイッチ操作片を形成する操作用リブが一体形成されている防犯用センサ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−309743(P2006−309743A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−89980(P2006−89980)
【出願日】平成18年3月29日(2006.3.29)
【出願人】(000103736)オプテックス株式会社 (116)
【Fターム(参考)】