カプセル型医療装置の収容ケースおよびカプセル型医療装置の電源投入方法
【課題】カプセル型医療装置に触れることなく、非接触型のスタータを用いて確実に電源をオンさせることを可能にする。
【解決手段】カプセル型医療装置100の長軸における一方の端を保持する上部保持部10aと、長軸における他方の端を保持する下部保持部10bと、上部/下部保持部10a/10bで挟み込むように保持された状態のカプセル型医療装置100を収容する外装ケース110と、を備える。上部保持部10aおよび下部保持部10bそれぞれは、側面11aが外装ケース110の内側と当接するベース部13と、カプセル型医療装置100の長軸におけるいずれかの端が嵌装されるベース部の主面または該主面と平行な面に形成された保持孔12と、保持孔12を取り囲むようにベース部13の主面から突出するベース部13より外径が小さい凸部11と、を含む。
【解決手段】カプセル型医療装置100の長軸における一方の端を保持する上部保持部10aと、長軸における他方の端を保持する下部保持部10bと、上部/下部保持部10a/10bで挟み込むように保持された状態のカプセル型医療装置100を収容する外装ケース110と、を備える。上部保持部10aおよび下部保持部10bそれぞれは、側面11aが外装ケース110の内側と当接するベース部13と、カプセル型医療装置100の長軸におけるいずれかの端が嵌装されるベース部の主面または該主面と平行な面に形成された保持孔12と、保持孔12を取り囲むようにベース部13の主面から突出するベース部13より外径が小さい凸部11と、を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カプセル型医療装置の収容ケースおよびカプセル型医療装置の電源投入方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、経口にて被検体内に導入されて被検体内部の情報を取得するカプセル型医療装置は、磁気によってオンするリードスイッチを備え、このリードスイッチに外部から磁気を与えることで電源がオンされるように構成されていた(例えば以下に示す特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−95433号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで従来では、衛生的な観点やカプセル型医療装置の外部筐体に傷等がつくことを防止するために、滅菌状態を維持可能なケースに収容された状態でカプセル型医療装置の電源をオンすることが一般的であった。しかしながら、従来のケースでは、非接触型の電源投入装置を必要十分な程度にカプセル型医療装置内のリードスイッチに近接させられるように構成されていなかったため、確実にカプセル型医療装置の電源をオンすることが困難であった。
【0005】
そこで本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、カプセル型医療装置に触れることなく、非接触型のスタータを用いて確実に電源をオンさせることを可能にするカプセル型医療装置の収容ケースおよびカプセル型医療装置の電源投入方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するために、本発明によるカプセル型医療装置の収容ケースは、スタータが発生する磁界を用いた電源投入が可能なカプセル型医療装置を収容する収容ケースであって、前記カプセル型医療装置の長軸における一方の端を保持する第1保持部と、前記カプセル型医療装置の前記長軸における他方の端を保持する第2保持部と、前記第1および第2保持部で挟み込むように保持された状態の前記カプセル型医療装置を収容する外装ケースと、を備え、前記第1および第2保持部それぞれが、側面が前記外装ケースの内側と当接するベース部と、前記カプセル型医療装置の前記長軸におけるいずれかの端が嵌装される前記ベース部の主面または該主面と平行な面に形成された孔と、前記孔を取り囲むように前記ベース部の前記主面から突出する前記ベース部より外径が小さい凸部と、を含むことを特徴とする。
【0007】
上記した本発明によるカプセル型医療装置の収容ケースは、前記カプセル型医療装置を保持した状態の前記第1および第2保持部それぞれの対向する前記凸部が形成する隙間が、前記スタータにおける前記磁界を発生する部分の厚さよりも狭いことを特徴とする。
【0008】
上記した本発明によるカプセル型医療装置の収容ケースは、前記凸部が、円筒状をしており、前記孔が、前記円筒形状の凸部における前記主面と平行な面の中央に形成されていることを特徴とする。
【0009】
上記した本発明によるカプセル型医療装置の収容ケースは、前記凸部が、ドーナツ状をしており、前記孔が、前記ドーナツ状の凸部の内側の中央に形成されていることを特徴とする。
【0010】
上記した本発明によるカプセル型医療装置の収容ケースは、前記凸部が、前記ベース部の前記主面において円上に配列する複数の円弧状の凸部よりなり、前記孔が、前記複数の円弧状の凸部が配列する前記円の中央に形成されていることを特徴とする。
【0011】
上記した本発明によるカプセル型医療装置の収容ケースは、前記凸部が、前記ベース部の前記主面において円上に配列する複数の柱状の凸部よりなり、前記孔が、前記複数の柱状の凸部が配列する前記円の中央に形成されていることを特徴とする。
【0012】
上記した本発明によるカプセル型医療装置の収容ケースは、前記第1および第2保持部が、同一形状であることを特徴とする。
【0013】
また、本発明によるカプセル型医療装置の電源投入方法は、上記した何れかのカプセル型医療装置の収容ケースに収容されたカプセル型医療装置の電源投入方法であって、前記収容ケースから取り出された前記第1および第2保持部に保持された状態のカプセル型医療装置に対して前記第1および第2保持部の対向している前記凸部に前記カプセル型医療装置の前記長軸と垂直な方向から前記磁界を発生する前記スタータが近接された場合、前記カプセル型医療装置の電源が投入されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、第1保持部の凸部と第2保持部の凸部とが形成する窪みに磁界を発生しているスタータを近接させればカプセル型医療装置の全体に対してスタータが近接されるため、カプセル型医療装置に触れることなく、非接触型のスタータを用いて確実に電源をオンさせることが可能なカプセル型医療装置の収容ケースおよびカプセル型医療装置の電源投入方法を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の一実施の形態によるカプセル型医療装置の収容ケースの概略構成を示す斜視図である。
【図2A】図2Aは、本発明の一実施の形態による下部保持部の概略構成を示す斜視図である。
【図2B】図2Bは、本発明の一実施の形態による下部保持部の概略構成を示す上視図である。
【図2C】図2Cは、図2BのA−A断面図である。
【図3】図3は、本発明の一実施の形態による収容ケースの組み立て順を説明するための図である。
【図4】図4は、本発明の一実施の形態におけるカプセル型医療装置の電源投入方法を説明するための図である。
【図5A】図5Aは、本発明の一実施の形態における内部保持部とスタータとの形状的関係を示す模式上視図である。
【図5B】図5Bは、本発明の一実施の形態における内部保持部とスタータとの形状的関係を示す模式垂直断面図である。
【図6A】図6Aは、本発明の一実施の形態の変形例1による下部保持部の概略構成を示す斜視図である。
【図6B】図6Bは、本発明の一実施の形態の変形例1による下部保持部の概略構成を示す上視図である。
【図6C】図6Cは、図6BのB−B断面図である。
【図7A】図7Aは、本発明の一実施の形態の変形例2による下部保持部の概略構成を示す斜視図である。
【図7B】図7Bは、本発明の一実施の形態の変形例2による下部保持部の概略構成を示す上視図である。
【図7C】図7Cは、図7BのC−C断面図である。
【図8A】図8Aは、本発明の一実施の形態の変形例3による下部保持部の概略構成を示す斜視図である。
【図8B】図8Bは、本発明の一実施の形態の変形例3による下部保持部の概略構成を示す上視図である。
【図8C】図8Cは、図8BのD−D断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態を図面と共に詳細に説明する。なお、以下の説明において、各図は本発明の内容を理解でき得る程度に形状、大きさ、および位置関係を概略的に示してあるに過ぎず、従って、本発明は各図で例示された形状、大きさ、および位置関係のみに限定されるものではない。また、各図では、構成の明瞭化のため、断面におけるハッチングの一部が省略されている。
【0017】
以下、本発明の位置実施の形態に係るカプセル型医療装置の収容ケースおよびカプセル型医療装置の電源投入方法を図面と共に詳細に説明する。なお、これらの実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【0018】
図1は、本実施の形態によるカプセル型医療装置100の収容ケース1の概略構成を示す斜視図である。図1に示すように、収容ケース1は、外装ケース110と内部保持部10とから構成される。外装ケース110は、例えば内部が空洞で下部が底板で封止され且つ上部が開口された円筒状の主容器111と、主容器111の開口部分に接着剤113にて固着されることで外装ケース110内部を封止する蓋112と、よりなり、カプセル型医療装置100を滅菌した状態で気密および液密に収容する。
【0019】
この外装ケース110は、例えば透明または半透明のプラスチックやガラスなど、一般的なケース材料を用いて形成することが可能である。ただし、一般的な材料のなかでも、より成形が容易で且つ内部を滅菌した状態に維持しつつ気密および液密に封止可能な材料を用いることが好ましい。
【0020】
一方、内部保持部10は、長軸を備えたカプセル型医療装置100の一方の端を保持する保持部(これを上部保持部10aとする)と、カプセル型医療装置100の光学ユニット101が配設された他方の端を保持する保持部(これを下部保持部10bとする)と、よりなり、外装ケース110内でカプセル型医療装置100を長軸の両端から挟み込む状態でこれを保護しつつ保持する。また、上部保持部10aと下部保持部10bとを同一材料および同一形状にて形成することで、製造および在庫管理の容易化を図ることが可能となる。
【0021】
次に、本実施の形態による内部保持部10のより詳細な構成を、図面を用いて説明する。ただし、本実施の形態では、上部保持部10aと下部保持部10bとを同一の形状とする。そこで以下では、説明の簡略化のため、下部保持部10bに着目して説明する。
【0022】
図2Aは、本実施の形態による下部保持部10bの概略構成を示す斜視図である。図2Bは、本実施の形態による下部保持部10bの概略構成を示す上視図である。図2Cは、図2BのA−A断面図である。
【0023】
図2A〜図2Cに示すように、下部保持部10bは、ベース部13とこのベース部13の主面から突出する円筒状の凸部11と、を備える。ベース部13は、側面13aが外装ケース110と当接するように形成されている。ベース部13の側面13aが外装ケース110の内側面に当接することで、下部保持部10bを外装ケース110内で固定される。また、凸部11の側面11aは、後述において説明するように、カプセル型医療装置100の電源を非接触にて投入するスタータ120がカプセル型医療装置100に接触することを防止するための係止面として機能する。
【0024】
また、凸部11は、外径がベース部13よりも小さい円柱形状をしており、ベース部13の主面における略中央から突出している。凸部11の主面(ベース部13の主面と平行な面)の略中央には、カプセル型医療装置100におけるドーム状の端部が嵌挿される保持孔12が形成されている。
【0025】
保持孔12は、凸部11上面から円筒状に延びる上部空間と、この上部空間の底部に配置された半球状の下部空間と、を含む。保持孔12の開口部分、すなわち円筒状に延びる上部空間の開口形状は、カプセル型医療装置100の長軸と垂直な面でカプセル型医療装置100を切断した際の断面形状と略等しい。一方、保持孔12底部の下部空間の形状は、カプセル型医療装置100におけるドーム状の端部と略等しい。したがって、保持孔12は、主に、円筒状の上部空間の側面がカプセル型医療装置100の側面と当接することで、カプセル型医療装置100を保持する。また、カプセル型医療装置100が保持孔12内に深く差し込まれた場合には、保持孔12の下部空間の壁とカプセル型医療装置100のドーム状の端部とが当接することで、カプセル型医療装置100が過度に差し込まれることが防止される。なお、保持孔12の下部空間の形状は、上述に限定されず種々変形することが可能である。ただし、保持孔12の下部空間の形状は、カプセル型医療装置100のドーム状の端部と当接したとしても、この端部を傷つけにくい形状であることが好ましい。
【0026】
また、カプセル型医療装置100が一方の端に光学ユニット101を備えている場合、この光学ユニット101が配設された端部を保持する下部保持部10bは、例えば、遮光性を備えた材料を用いて形成され、且つ、この下部保持部10bの保持孔12の底部(下部空間の底面)に、解像度やホワイトバランス等をカプセル型医療装置100の初期動作時に確認、調整するためのチャート部14が設けられる。これにより、カプセル型医療装置100の電源投入時から始まる初期動作時にカプセル型医療装置100の各種設定および画像処理時のパラメータを取得することが可能となる。
【0027】
次に、本実施の形態による収容ケース1の組み立てについて、図面を用いて詳細に説明する。図3は、本実施の形態による収容ケース1の組み立て順を説明するための図である。
【0028】
図3に示すように、収容ケース1の組み立てでは、まず、外装ケース110の主容器111内に下部保持部10bを上向きの状態で収納する(ステップS1)。この際、下部保持部10bが主容器111の底部にまで達するように下部保持部10bを押し込むとよい。これにより、下部保持部10bを主容器111内で安定させることができる。なお、上向きの状態とは、保持孔12の開口部分が上を向いている状態をいう。
【0029】
次に、主容器111内の下部保持部10bの保持孔12にカプセル型医療装置100の一方の端(光学ユニット101側)を嵌め込む(ステップS2)。この際、カプセル型医療装置100を保持孔12内に強く押し込む必要はなく、カプセル型医療装置100が保持孔12にある程度安定して保持される程度の強さで押し込めばよい。
【0030】
次に、カプセル型医療装置100の他方の端が保持孔12に嵌まるように、上部保持部10aを下向きの状態で主容器111内に収納する(ステップS3)。この際も、カプセル型医療装置100が保持孔12内に強く押し込まれるように上部保持部10aを主容器111内に強く押し込む必要はなく、カプセル型医療装置100が保持孔12にある程度安定して保持される程度の強さで押し込めばよい。
【0031】
その後、主容器111内を滅菌し、必要に応じて安定化ガスを主容器111内にパージした後、主容器111の開口に蓋112を接着剤113を用いて固着する(ステップS4)。これにより、例えば使用時に蓋112が開封されるまで、外装ケース110内部が滅菌された状態を維持するように、外装ケース110を気密および液密に封止することが可能となる。なお、外装ケース110の滅菌は、主容器111と蓋112とを接着した後に行ってもよい。
【0032】
次に、本実施の形態によるカプセル型医療装置100の電源投入方法を、図面を用いて詳細に説明する。図4は、本実施の形態におけるカプセル型医療装置100の電源投入方法を説明するための図である。
【0033】
図4に示すように、カプセル型医療装置100は、外装ケース110の蓋112を開けた後、上部保持部10aおよび下部保持部10bに保持された状態のまま、外装ケース110から取り出される。その後、上部保持部10aのベース部13と下部保持部10bのベース部13とが形成しているくびれ部分に、カプセル型医療装置100の電源を非接触にて投入するスタータ120のU字状の非接触電源投入部121を差し込み、この状態で、スタータ120の把手部122に設けられた電源投入磁界発生ボタン123を押下する。すると、非接触電源投入部121に所定周波数の磁界が発生し、この磁界をカプセル型医療装置100のリードスイッチ102が受けてこれがオンする。これにより、カプセル型医療装置100の電源が投入される。
【0034】
ここで、本実施の形態における内部保持部10とスタータ120との関係について、図面を用いて詳細に説明する。図5Aは、本実施の形態における内部保持部10とスタータ120との形状的関係を示す模式上視図である。図5Bは、本実施の形態における内部保持部10とスタータ120との形状的関係を示す模式垂直断面図である。ただし、図5Aでは、説明の都合上、上部保持部10aを省略して示す。
【0035】
図5Aおよび図5Bに示すように、上部保持部10aのベース部13と下部保持部10bのベース部13との間は、くびれた形状となっている。このくびれ部分は、主として、上部保持部10aおよび下部保持部10bにおけるベース部13の大きさと凸部11の径との差から形成される。凹部11の径は、スタータ120におけるU字状の非接触電源投入部121の根元部分の曲げ径(内側)よりもやや小さい。そこで、本実施の形態では、スタータ120のU字状の非接触電源投入部121をこのくびれ部分を挟み込むように内部保持部10の側方から差込み、この状態で、ユーザが把手部122に設けられた電源投入磁界発生ボタン123を押下する。これにより、U字状の非接触電源投入部121から電源投入用の磁界が発生するが、この際、本実施の形態では、カプセル型医療装置100の胴体部がU字状の非接触電源投入部121により取り囲まれた状態であるため、磁界発生源である非接触電源投入部121とカプセル型医療装置100内のリードスイッチ102とを近接させた状態で電源投入用の磁界を発生させることが可能となる。この結果、より確実およびより低い磁力の磁界にてカプセル型医療装置100の電源を投入することが可能となる。
【0036】
また、上部保持部10aの凸部11と下部保持部10bの凸部との隙間Gは、スタータ120の非接触電源投入部121の厚さDよりも狭い。したがって、電源投入時にスタータ120の非接触電源投入部121が隙間Gから進入し、カプセル型医療装置100と接触することが防止される。この結果、電源投入時にカプセル型医療装置100がスタータ120によって傷つけられたり汚れたスタータ120が接触して汚染されたりなどの不具合の発生を回避することが可能となる。
【0037】
以上のように、本実施の形態では、上部保持部10a(第1保持部)の凸部11と下部保持部10b(第2保持部)の凸部11とが形成する窪みにスタータ120を近接させればカプセル型医療装置の全体に対してスタータが近接されるため、カプセル型医療装置に触れることなく、非接触型のスタータを用いて確実に電源をオンさせることが可能となる。また、このような構成により、カプセル型医療装置100内におけるリードスイッチ102の配置が制限されないため、カプセル型医療装置100の設計自由度を向上することが可能となる。
【0038】
さらに、本実施の形態による内部保持部10は、上下の保持部(上部保持部10aと下部保持部10bとで同一の形状とすることが可能であるため、その製造や在庫管理の容易化を図ることが可能となる。
【0039】
(変形例1)
また、以下に、上記実施の形態による内部保持部10の変形例について、図面を用いて詳細に説明する。図6A〜図6Cは、本実施の形態の変形例1による内部保持部の概略構成を説明するための図である。ただし、以下では、説明の簡略化のため、下部保持部20bに着目して説明する。
【0040】
図6Aは、本変形例1による下部保持部20bの概略構成を示す斜視図である。図6Bは、本変形例1による下部保持部20bの概略構成を示す上視図である。図6Cは、図6BのB−B断面図である。
【0041】
図6A〜図6Cに示すように、下部保持部20bは、ベース部13とこのベース部13の主面から突出するドーナツ状の凸部21と、を備える。ベース部13は、上記実施の形態と同様である。凸部21は、外径がベース部13よりも小さいドーナツ状をしており、ベース部13の主面における略中央から突出している。凸部21の内側におけるベース部13の主面の略中央には、カプセル型医療装置100におけるドーム状の端部が嵌挿される半球状の保持孔22が形成されている。なお、凸部21の側面21aは、側面11aと同様に、カプセル型医療装置100の電源を非接触にて投入するスタータ120がカプセル型医療装置100に接触することを防止するための係止面として機能する。
【0042】
保持孔22は、カプセル型医療装置100におけるドーム状の端部と略等しい。したがって、保持孔22は、主に、開口部分近傍とカプセル型医療装置100の端部におけるドーム部分の縁と当接することで、カプセル型医療装置100を保持する。また、カプセル型医療装置100が保持孔22内に深く差し込まれた場合には、保持孔22の下壁とカプセル型医療装置100のドーム部分とが当接することで、カプセル型医療装置100が過度に差し込まれることが防止される。なお、保持孔22の形状は、上述に限定されず種々変形することが可能である。ただし、保持孔22の形状は、カプセル型医療装置100のドーム状の端部と当接したとしても、この端部を傷つけにくい形状であることが好ましい。
【0043】
また、凸部21の外側の側面は、上記実施の形態と同様に、カプセル型医療装置100の電源を非接触にて投入するスタータ120がカプセル型医療装置100に接触することを防止するための係止面として機能する。他の構成および効果は、上記実施の形態と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0044】
(変形例2)
次に、上記実施の形態による内部保持部10の他の変形例について、図面を用いて詳細に説明する。図7A〜図7Cは、本実施の形態の変形例2による内部保持部の概略構成を説明するための図である。ただし、以下では、説明の簡略化のため、下部保持部30bに着目して説明する。
【0045】
図7Aは、本変形例2による下部保持部30bの概略構成を示す斜視図である。図7Bは、本変形例2による下部保持部30bの概略構成を示す上視図である。図7Cは、図7BのC−C断面図である。
【0046】
図7A〜図7Cに示すように、下部保持部30bは、ベース部13とこのベース部13の主面から突出する円弧状の複数の凸部31と、を備える。ベース部13は、上記実施の形態と同様である。複数の円弧状の凸部31は、ベース部13よりも小さい円上に配列しており、ベース部13の主面から突出している。複数の凸部31を結ぶ円の内側におけるベース部13の主面の略中央には、カプセル型医療装置100におけるドーム状の端部が嵌挿される半球状の保持孔22が形成されている。なお、凸部31の側面31aは、側面11aと同様に、カプセル型医療装置100の電源を非接触にて投入するスタータ120がカプセル型医療装置100に接触することを防止するための係止面として機能する。
【0047】
この凸部31の外側の側面は、上記実施の形態と同様に、カプセル型医療装置100の電源を非接触にて投入するスタータ120がカプセル型医療装置100に接触することを防止するための係止面として機能する。そこで本変形例2では、隣り合う凸部31の隙間が、スタータ120のU字状の非接触電源投入部121が進入できない程度の隙間とされる。これにより、電源投入時にカプセル型医療装置100がスタータ120によって傷つけられたり、汚れたスタータ120が接触して汚染されたりなどの不具合の発生を回避することが可能となる。また、他の構成および効果は、上記実施の形態と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0048】
(変形例3)
また、上記実施の形態による内部保持部10のさらに他の変形例について、図面を用いて詳細に説明する。図8A〜図8Cは、本実施の形態の変形例3による内部保持部の概略構成を説明するための図である。ただし、以下では、説明の簡略化のため、下部保持部40bに着目して説明する。
【0049】
図8Aは、本変形例3による下部保持部40bの概略構成を示す斜視図である。図8Bは、本変形例3による下部保持部40bの概略構成を示す上視図である。図8Cは、図8BのD−D断面図である。
【0050】
図8A〜図8Cに示すように、下部保持部40bは、ベース部13とこのベース部13の主面から突出する柱状の凸部41と、を備える。ベース部13は、上記実施の形態と同様である。複数の柱状の凸部41は、ベース部13よりも小さい円上に配列しており、ベース部13の主面から突出している。複数の凸部41を結ぶ円の内側におけるベース部13の主面の略中央には、カプセル型医療装置100におけるドーム状の端部が嵌挿される半球状の保持孔22が形成されている。なお、凸部41の側面41aは、側面11aと同様に、カプセル型医療装置100の電源を非接触にて投入するスタータ120がカプセル型医療装置100に接触することを防止するための係止面として機能する。
【0051】
この凸部41の外側の側面は、上記実施の形態と同様に、カプセル型医療装置100の電源を非接触にて投入するスタータ120がカプセル型医療装置100に接触することを防止するための係止面として機能する。そこで本変形例3では、隣り合う凸部41の隙間が、スタータ120のU字状の非接触電源投入部121が進入できない程度の隙間とされる。これにより、電源投入時にカプセル型医療装置100がスタータ120によって傷つけられたり汚れたスタータ120が接触して汚染されたりなどの不具合の発生を回避することが可能となる。また、他の構成および効果は、上記実施の形態と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0052】
また、上記実施の形態は本発明を実施するための例にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、仕様等に応じて種々変形することは本発明の範囲内であり、更に本発明の範囲内において、他の様々な実施の形態が可能であることは上記記載から自明である。
【符号の説明】
【0053】
1 収容ケース
10 内部保持部
10a 上部保持部
10b、20b、30b、40b 下部保持部
11、21、31、41 凸部
11a、21a、31a、41a 側面
12、22 保持孔
13 ベース部
13a 側面
14 チャート部
100 カプセル型医療装置
101 光学ユニット
102 リードスイッチ
110 外装ケース
111 主容器
112 蓋
113 接着剤
120 スタータ
121 非接触電源投入部
122 把手部
123 電源投入磁界発生ボタン
【技術分野】
【0001】
本発明は、カプセル型医療装置の収容ケースおよびカプセル型医療装置の電源投入方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、経口にて被検体内に導入されて被検体内部の情報を取得するカプセル型医療装置は、磁気によってオンするリードスイッチを備え、このリードスイッチに外部から磁気を与えることで電源がオンされるように構成されていた(例えば以下に示す特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−95433号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで従来では、衛生的な観点やカプセル型医療装置の外部筐体に傷等がつくことを防止するために、滅菌状態を維持可能なケースに収容された状態でカプセル型医療装置の電源をオンすることが一般的であった。しかしながら、従来のケースでは、非接触型の電源投入装置を必要十分な程度にカプセル型医療装置内のリードスイッチに近接させられるように構成されていなかったため、確実にカプセル型医療装置の電源をオンすることが困難であった。
【0005】
そこで本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、カプセル型医療装置に触れることなく、非接触型のスタータを用いて確実に電源をオンさせることを可能にするカプセル型医療装置の収容ケースおよびカプセル型医療装置の電源投入方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するために、本発明によるカプセル型医療装置の収容ケースは、スタータが発生する磁界を用いた電源投入が可能なカプセル型医療装置を収容する収容ケースであって、前記カプセル型医療装置の長軸における一方の端を保持する第1保持部と、前記カプセル型医療装置の前記長軸における他方の端を保持する第2保持部と、前記第1および第2保持部で挟み込むように保持された状態の前記カプセル型医療装置を収容する外装ケースと、を備え、前記第1および第2保持部それぞれが、側面が前記外装ケースの内側と当接するベース部と、前記カプセル型医療装置の前記長軸におけるいずれかの端が嵌装される前記ベース部の主面または該主面と平行な面に形成された孔と、前記孔を取り囲むように前記ベース部の前記主面から突出する前記ベース部より外径が小さい凸部と、を含むことを特徴とする。
【0007】
上記した本発明によるカプセル型医療装置の収容ケースは、前記カプセル型医療装置を保持した状態の前記第1および第2保持部それぞれの対向する前記凸部が形成する隙間が、前記スタータにおける前記磁界を発生する部分の厚さよりも狭いことを特徴とする。
【0008】
上記した本発明によるカプセル型医療装置の収容ケースは、前記凸部が、円筒状をしており、前記孔が、前記円筒形状の凸部における前記主面と平行な面の中央に形成されていることを特徴とする。
【0009】
上記した本発明によるカプセル型医療装置の収容ケースは、前記凸部が、ドーナツ状をしており、前記孔が、前記ドーナツ状の凸部の内側の中央に形成されていることを特徴とする。
【0010】
上記した本発明によるカプセル型医療装置の収容ケースは、前記凸部が、前記ベース部の前記主面において円上に配列する複数の円弧状の凸部よりなり、前記孔が、前記複数の円弧状の凸部が配列する前記円の中央に形成されていることを特徴とする。
【0011】
上記した本発明によるカプセル型医療装置の収容ケースは、前記凸部が、前記ベース部の前記主面において円上に配列する複数の柱状の凸部よりなり、前記孔が、前記複数の柱状の凸部が配列する前記円の中央に形成されていることを特徴とする。
【0012】
上記した本発明によるカプセル型医療装置の収容ケースは、前記第1および第2保持部が、同一形状であることを特徴とする。
【0013】
また、本発明によるカプセル型医療装置の電源投入方法は、上記した何れかのカプセル型医療装置の収容ケースに収容されたカプセル型医療装置の電源投入方法であって、前記収容ケースから取り出された前記第1および第2保持部に保持された状態のカプセル型医療装置に対して前記第1および第2保持部の対向している前記凸部に前記カプセル型医療装置の前記長軸と垂直な方向から前記磁界を発生する前記スタータが近接された場合、前記カプセル型医療装置の電源が投入されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、第1保持部の凸部と第2保持部の凸部とが形成する窪みに磁界を発生しているスタータを近接させればカプセル型医療装置の全体に対してスタータが近接されるため、カプセル型医療装置に触れることなく、非接触型のスタータを用いて確実に電源をオンさせることが可能なカプセル型医療装置の収容ケースおよびカプセル型医療装置の電源投入方法を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の一実施の形態によるカプセル型医療装置の収容ケースの概略構成を示す斜視図である。
【図2A】図2Aは、本発明の一実施の形態による下部保持部の概略構成を示す斜視図である。
【図2B】図2Bは、本発明の一実施の形態による下部保持部の概略構成を示す上視図である。
【図2C】図2Cは、図2BのA−A断面図である。
【図3】図3は、本発明の一実施の形態による収容ケースの組み立て順を説明するための図である。
【図4】図4は、本発明の一実施の形態におけるカプセル型医療装置の電源投入方法を説明するための図である。
【図5A】図5Aは、本発明の一実施の形態における内部保持部とスタータとの形状的関係を示す模式上視図である。
【図5B】図5Bは、本発明の一実施の形態における内部保持部とスタータとの形状的関係を示す模式垂直断面図である。
【図6A】図6Aは、本発明の一実施の形態の変形例1による下部保持部の概略構成を示す斜視図である。
【図6B】図6Bは、本発明の一実施の形態の変形例1による下部保持部の概略構成を示す上視図である。
【図6C】図6Cは、図6BのB−B断面図である。
【図7A】図7Aは、本発明の一実施の形態の変形例2による下部保持部の概略構成を示す斜視図である。
【図7B】図7Bは、本発明の一実施の形態の変形例2による下部保持部の概略構成を示す上視図である。
【図7C】図7Cは、図7BのC−C断面図である。
【図8A】図8Aは、本発明の一実施の形態の変形例3による下部保持部の概略構成を示す斜視図である。
【図8B】図8Bは、本発明の一実施の形態の変形例3による下部保持部の概略構成を示す上視図である。
【図8C】図8Cは、図8BのD−D断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態を図面と共に詳細に説明する。なお、以下の説明において、各図は本発明の内容を理解でき得る程度に形状、大きさ、および位置関係を概略的に示してあるに過ぎず、従って、本発明は各図で例示された形状、大きさ、および位置関係のみに限定されるものではない。また、各図では、構成の明瞭化のため、断面におけるハッチングの一部が省略されている。
【0017】
以下、本発明の位置実施の形態に係るカプセル型医療装置の収容ケースおよびカプセル型医療装置の電源投入方法を図面と共に詳細に説明する。なお、これらの実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【0018】
図1は、本実施の形態によるカプセル型医療装置100の収容ケース1の概略構成を示す斜視図である。図1に示すように、収容ケース1は、外装ケース110と内部保持部10とから構成される。外装ケース110は、例えば内部が空洞で下部が底板で封止され且つ上部が開口された円筒状の主容器111と、主容器111の開口部分に接着剤113にて固着されることで外装ケース110内部を封止する蓋112と、よりなり、カプセル型医療装置100を滅菌した状態で気密および液密に収容する。
【0019】
この外装ケース110は、例えば透明または半透明のプラスチックやガラスなど、一般的なケース材料を用いて形成することが可能である。ただし、一般的な材料のなかでも、より成形が容易で且つ内部を滅菌した状態に維持しつつ気密および液密に封止可能な材料を用いることが好ましい。
【0020】
一方、内部保持部10は、長軸を備えたカプセル型医療装置100の一方の端を保持する保持部(これを上部保持部10aとする)と、カプセル型医療装置100の光学ユニット101が配設された他方の端を保持する保持部(これを下部保持部10bとする)と、よりなり、外装ケース110内でカプセル型医療装置100を長軸の両端から挟み込む状態でこれを保護しつつ保持する。また、上部保持部10aと下部保持部10bとを同一材料および同一形状にて形成することで、製造および在庫管理の容易化を図ることが可能となる。
【0021】
次に、本実施の形態による内部保持部10のより詳細な構成を、図面を用いて説明する。ただし、本実施の形態では、上部保持部10aと下部保持部10bとを同一の形状とする。そこで以下では、説明の簡略化のため、下部保持部10bに着目して説明する。
【0022】
図2Aは、本実施の形態による下部保持部10bの概略構成を示す斜視図である。図2Bは、本実施の形態による下部保持部10bの概略構成を示す上視図である。図2Cは、図2BのA−A断面図である。
【0023】
図2A〜図2Cに示すように、下部保持部10bは、ベース部13とこのベース部13の主面から突出する円筒状の凸部11と、を備える。ベース部13は、側面13aが外装ケース110と当接するように形成されている。ベース部13の側面13aが外装ケース110の内側面に当接することで、下部保持部10bを外装ケース110内で固定される。また、凸部11の側面11aは、後述において説明するように、カプセル型医療装置100の電源を非接触にて投入するスタータ120がカプセル型医療装置100に接触することを防止するための係止面として機能する。
【0024】
また、凸部11は、外径がベース部13よりも小さい円柱形状をしており、ベース部13の主面における略中央から突出している。凸部11の主面(ベース部13の主面と平行な面)の略中央には、カプセル型医療装置100におけるドーム状の端部が嵌挿される保持孔12が形成されている。
【0025】
保持孔12は、凸部11上面から円筒状に延びる上部空間と、この上部空間の底部に配置された半球状の下部空間と、を含む。保持孔12の開口部分、すなわち円筒状に延びる上部空間の開口形状は、カプセル型医療装置100の長軸と垂直な面でカプセル型医療装置100を切断した際の断面形状と略等しい。一方、保持孔12底部の下部空間の形状は、カプセル型医療装置100におけるドーム状の端部と略等しい。したがって、保持孔12は、主に、円筒状の上部空間の側面がカプセル型医療装置100の側面と当接することで、カプセル型医療装置100を保持する。また、カプセル型医療装置100が保持孔12内に深く差し込まれた場合には、保持孔12の下部空間の壁とカプセル型医療装置100のドーム状の端部とが当接することで、カプセル型医療装置100が過度に差し込まれることが防止される。なお、保持孔12の下部空間の形状は、上述に限定されず種々変形することが可能である。ただし、保持孔12の下部空間の形状は、カプセル型医療装置100のドーム状の端部と当接したとしても、この端部を傷つけにくい形状であることが好ましい。
【0026】
また、カプセル型医療装置100が一方の端に光学ユニット101を備えている場合、この光学ユニット101が配設された端部を保持する下部保持部10bは、例えば、遮光性を備えた材料を用いて形成され、且つ、この下部保持部10bの保持孔12の底部(下部空間の底面)に、解像度やホワイトバランス等をカプセル型医療装置100の初期動作時に確認、調整するためのチャート部14が設けられる。これにより、カプセル型医療装置100の電源投入時から始まる初期動作時にカプセル型医療装置100の各種設定および画像処理時のパラメータを取得することが可能となる。
【0027】
次に、本実施の形態による収容ケース1の組み立てについて、図面を用いて詳細に説明する。図3は、本実施の形態による収容ケース1の組み立て順を説明するための図である。
【0028】
図3に示すように、収容ケース1の組み立てでは、まず、外装ケース110の主容器111内に下部保持部10bを上向きの状態で収納する(ステップS1)。この際、下部保持部10bが主容器111の底部にまで達するように下部保持部10bを押し込むとよい。これにより、下部保持部10bを主容器111内で安定させることができる。なお、上向きの状態とは、保持孔12の開口部分が上を向いている状態をいう。
【0029】
次に、主容器111内の下部保持部10bの保持孔12にカプセル型医療装置100の一方の端(光学ユニット101側)を嵌め込む(ステップS2)。この際、カプセル型医療装置100を保持孔12内に強く押し込む必要はなく、カプセル型医療装置100が保持孔12にある程度安定して保持される程度の強さで押し込めばよい。
【0030】
次に、カプセル型医療装置100の他方の端が保持孔12に嵌まるように、上部保持部10aを下向きの状態で主容器111内に収納する(ステップS3)。この際も、カプセル型医療装置100が保持孔12内に強く押し込まれるように上部保持部10aを主容器111内に強く押し込む必要はなく、カプセル型医療装置100が保持孔12にある程度安定して保持される程度の強さで押し込めばよい。
【0031】
その後、主容器111内を滅菌し、必要に応じて安定化ガスを主容器111内にパージした後、主容器111の開口に蓋112を接着剤113を用いて固着する(ステップS4)。これにより、例えば使用時に蓋112が開封されるまで、外装ケース110内部が滅菌された状態を維持するように、外装ケース110を気密および液密に封止することが可能となる。なお、外装ケース110の滅菌は、主容器111と蓋112とを接着した後に行ってもよい。
【0032】
次に、本実施の形態によるカプセル型医療装置100の電源投入方法を、図面を用いて詳細に説明する。図4は、本実施の形態におけるカプセル型医療装置100の電源投入方法を説明するための図である。
【0033】
図4に示すように、カプセル型医療装置100は、外装ケース110の蓋112を開けた後、上部保持部10aおよび下部保持部10bに保持された状態のまま、外装ケース110から取り出される。その後、上部保持部10aのベース部13と下部保持部10bのベース部13とが形成しているくびれ部分に、カプセル型医療装置100の電源を非接触にて投入するスタータ120のU字状の非接触電源投入部121を差し込み、この状態で、スタータ120の把手部122に設けられた電源投入磁界発生ボタン123を押下する。すると、非接触電源投入部121に所定周波数の磁界が発生し、この磁界をカプセル型医療装置100のリードスイッチ102が受けてこれがオンする。これにより、カプセル型医療装置100の電源が投入される。
【0034】
ここで、本実施の形態における内部保持部10とスタータ120との関係について、図面を用いて詳細に説明する。図5Aは、本実施の形態における内部保持部10とスタータ120との形状的関係を示す模式上視図である。図5Bは、本実施の形態における内部保持部10とスタータ120との形状的関係を示す模式垂直断面図である。ただし、図5Aでは、説明の都合上、上部保持部10aを省略して示す。
【0035】
図5Aおよび図5Bに示すように、上部保持部10aのベース部13と下部保持部10bのベース部13との間は、くびれた形状となっている。このくびれ部分は、主として、上部保持部10aおよび下部保持部10bにおけるベース部13の大きさと凸部11の径との差から形成される。凹部11の径は、スタータ120におけるU字状の非接触電源投入部121の根元部分の曲げ径(内側)よりもやや小さい。そこで、本実施の形態では、スタータ120のU字状の非接触電源投入部121をこのくびれ部分を挟み込むように内部保持部10の側方から差込み、この状態で、ユーザが把手部122に設けられた電源投入磁界発生ボタン123を押下する。これにより、U字状の非接触電源投入部121から電源投入用の磁界が発生するが、この際、本実施の形態では、カプセル型医療装置100の胴体部がU字状の非接触電源投入部121により取り囲まれた状態であるため、磁界発生源である非接触電源投入部121とカプセル型医療装置100内のリードスイッチ102とを近接させた状態で電源投入用の磁界を発生させることが可能となる。この結果、より確実およびより低い磁力の磁界にてカプセル型医療装置100の電源を投入することが可能となる。
【0036】
また、上部保持部10aの凸部11と下部保持部10bの凸部との隙間Gは、スタータ120の非接触電源投入部121の厚さDよりも狭い。したがって、電源投入時にスタータ120の非接触電源投入部121が隙間Gから進入し、カプセル型医療装置100と接触することが防止される。この結果、電源投入時にカプセル型医療装置100がスタータ120によって傷つけられたり汚れたスタータ120が接触して汚染されたりなどの不具合の発生を回避することが可能となる。
【0037】
以上のように、本実施の形態では、上部保持部10a(第1保持部)の凸部11と下部保持部10b(第2保持部)の凸部11とが形成する窪みにスタータ120を近接させればカプセル型医療装置の全体に対してスタータが近接されるため、カプセル型医療装置に触れることなく、非接触型のスタータを用いて確実に電源をオンさせることが可能となる。また、このような構成により、カプセル型医療装置100内におけるリードスイッチ102の配置が制限されないため、カプセル型医療装置100の設計自由度を向上することが可能となる。
【0038】
さらに、本実施の形態による内部保持部10は、上下の保持部(上部保持部10aと下部保持部10bとで同一の形状とすることが可能であるため、その製造や在庫管理の容易化を図ることが可能となる。
【0039】
(変形例1)
また、以下に、上記実施の形態による内部保持部10の変形例について、図面を用いて詳細に説明する。図6A〜図6Cは、本実施の形態の変形例1による内部保持部の概略構成を説明するための図である。ただし、以下では、説明の簡略化のため、下部保持部20bに着目して説明する。
【0040】
図6Aは、本変形例1による下部保持部20bの概略構成を示す斜視図である。図6Bは、本変形例1による下部保持部20bの概略構成を示す上視図である。図6Cは、図6BのB−B断面図である。
【0041】
図6A〜図6Cに示すように、下部保持部20bは、ベース部13とこのベース部13の主面から突出するドーナツ状の凸部21と、を備える。ベース部13は、上記実施の形態と同様である。凸部21は、外径がベース部13よりも小さいドーナツ状をしており、ベース部13の主面における略中央から突出している。凸部21の内側におけるベース部13の主面の略中央には、カプセル型医療装置100におけるドーム状の端部が嵌挿される半球状の保持孔22が形成されている。なお、凸部21の側面21aは、側面11aと同様に、カプセル型医療装置100の電源を非接触にて投入するスタータ120がカプセル型医療装置100に接触することを防止するための係止面として機能する。
【0042】
保持孔22は、カプセル型医療装置100におけるドーム状の端部と略等しい。したがって、保持孔22は、主に、開口部分近傍とカプセル型医療装置100の端部におけるドーム部分の縁と当接することで、カプセル型医療装置100を保持する。また、カプセル型医療装置100が保持孔22内に深く差し込まれた場合には、保持孔22の下壁とカプセル型医療装置100のドーム部分とが当接することで、カプセル型医療装置100が過度に差し込まれることが防止される。なお、保持孔22の形状は、上述に限定されず種々変形することが可能である。ただし、保持孔22の形状は、カプセル型医療装置100のドーム状の端部と当接したとしても、この端部を傷つけにくい形状であることが好ましい。
【0043】
また、凸部21の外側の側面は、上記実施の形態と同様に、カプセル型医療装置100の電源を非接触にて投入するスタータ120がカプセル型医療装置100に接触することを防止するための係止面として機能する。他の構成および効果は、上記実施の形態と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0044】
(変形例2)
次に、上記実施の形態による内部保持部10の他の変形例について、図面を用いて詳細に説明する。図7A〜図7Cは、本実施の形態の変形例2による内部保持部の概略構成を説明するための図である。ただし、以下では、説明の簡略化のため、下部保持部30bに着目して説明する。
【0045】
図7Aは、本変形例2による下部保持部30bの概略構成を示す斜視図である。図7Bは、本変形例2による下部保持部30bの概略構成を示す上視図である。図7Cは、図7BのC−C断面図である。
【0046】
図7A〜図7Cに示すように、下部保持部30bは、ベース部13とこのベース部13の主面から突出する円弧状の複数の凸部31と、を備える。ベース部13は、上記実施の形態と同様である。複数の円弧状の凸部31は、ベース部13よりも小さい円上に配列しており、ベース部13の主面から突出している。複数の凸部31を結ぶ円の内側におけるベース部13の主面の略中央には、カプセル型医療装置100におけるドーム状の端部が嵌挿される半球状の保持孔22が形成されている。なお、凸部31の側面31aは、側面11aと同様に、カプセル型医療装置100の電源を非接触にて投入するスタータ120がカプセル型医療装置100に接触することを防止するための係止面として機能する。
【0047】
この凸部31の外側の側面は、上記実施の形態と同様に、カプセル型医療装置100の電源を非接触にて投入するスタータ120がカプセル型医療装置100に接触することを防止するための係止面として機能する。そこで本変形例2では、隣り合う凸部31の隙間が、スタータ120のU字状の非接触電源投入部121が進入できない程度の隙間とされる。これにより、電源投入時にカプセル型医療装置100がスタータ120によって傷つけられたり、汚れたスタータ120が接触して汚染されたりなどの不具合の発生を回避することが可能となる。また、他の構成および効果は、上記実施の形態と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0048】
(変形例3)
また、上記実施の形態による内部保持部10のさらに他の変形例について、図面を用いて詳細に説明する。図8A〜図8Cは、本実施の形態の変形例3による内部保持部の概略構成を説明するための図である。ただし、以下では、説明の簡略化のため、下部保持部40bに着目して説明する。
【0049】
図8Aは、本変形例3による下部保持部40bの概略構成を示す斜視図である。図8Bは、本変形例3による下部保持部40bの概略構成を示す上視図である。図8Cは、図8BのD−D断面図である。
【0050】
図8A〜図8Cに示すように、下部保持部40bは、ベース部13とこのベース部13の主面から突出する柱状の凸部41と、を備える。ベース部13は、上記実施の形態と同様である。複数の柱状の凸部41は、ベース部13よりも小さい円上に配列しており、ベース部13の主面から突出している。複数の凸部41を結ぶ円の内側におけるベース部13の主面の略中央には、カプセル型医療装置100におけるドーム状の端部が嵌挿される半球状の保持孔22が形成されている。なお、凸部41の側面41aは、側面11aと同様に、カプセル型医療装置100の電源を非接触にて投入するスタータ120がカプセル型医療装置100に接触することを防止するための係止面として機能する。
【0051】
この凸部41の外側の側面は、上記実施の形態と同様に、カプセル型医療装置100の電源を非接触にて投入するスタータ120がカプセル型医療装置100に接触することを防止するための係止面として機能する。そこで本変形例3では、隣り合う凸部41の隙間が、スタータ120のU字状の非接触電源投入部121が進入できない程度の隙間とされる。これにより、電源投入時にカプセル型医療装置100がスタータ120によって傷つけられたり汚れたスタータ120が接触して汚染されたりなどの不具合の発生を回避することが可能となる。また、他の構成および効果は、上記実施の形態と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0052】
また、上記実施の形態は本発明を実施するための例にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、仕様等に応じて種々変形することは本発明の範囲内であり、更に本発明の範囲内において、他の様々な実施の形態が可能であることは上記記載から自明である。
【符号の説明】
【0053】
1 収容ケース
10 内部保持部
10a 上部保持部
10b、20b、30b、40b 下部保持部
11、21、31、41 凸部
11a、21a、31a、41a 側面
12、22 保持孔
13 ベース部
13a 側面
14 チャート部
100 カプセル型医療装置
101 光学ユニット
102 リードスイッチ
110 外装ケース
111 主容器
112 蓋
113 接着剤
120 スタータ
121 非接触電源投入部
122 把手部
123 電源投入磁界発生ボタン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スタータが発生する磁界を用いた電源投入が可能なカプセル型医療装置を収容する収容ケースであって、
前記カプセル型医療装置の長軸における一方の端を保持する第1保持部と、
前記カプセル型医療装置の前記長軸における他方の端を保持する第2保持部と、
前記第1および第2保持部で挟み込むように保持された状態の前記カプセル型医療装置を収容する外装ケースと、
を備え、
前記第1および第2保持部それぞれは、側面が前記外装ケースの内側と当接するベース部と、前記カプセル型医療装置の前記長軸におけるいずれかの端が嵌装される前記ベース部の主面または該主面と平行な面に形成された孔と、前記孔を取り囲むように前記ベース部の前記主面から突出する前記ベース部より外径が小さい凸部と、を含むことを特徴とするカプセル型医療装置の収容ケース。
【請求項2】
前記カプセル型医療装置を保持した状態の前記第1および第2保持部それぞれの対向する前記凸部が形成する隙間は、前記スタータにおける前記磁界を発生する部分の厚さよりも狭いことを特徴とする請求項1に記載のカプセル型医療装置の収容ケース。
【請求項3】
前記凸部は、円筒状をしており、
前記孔は、前記円筒形状の凸部における前記主面と平行な面の中央に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のカプセル型医療装置の収容ケース。
【請求項4】
前記凸部は、ドーナツ状をしており、
前記孔は、前記ドーナツ状の凸部の内側の中央に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のカプセル型医療装置の収容ケース。
【請求項5】
前記凸部は、前記ベース部の前記主面において円上に配列する複数の円弧状の凸部よりなり、
前記孔は、前記複数の円弧状の凸部が配列する前記円の中央に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のカプセル型医療装置の収容ケース。
【請求項6】
前記凸部は、前記ベース部の前記主面において円上に配列する複数の柱状の凸部よりなり、
前記孔は、前記複数の柱状の凸部が配列する前記円の中央に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のカプセル型医療装置の収容ケース。
【請求項7】
前記第1および第2保持部は、同一形状であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載のカプセル型医療装置の収容ケース。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一つに記載の収容ケースに収容されたカプセル型医療装置の電源投入方法であって、
前記収容ケースから取り出された前記第1および第2保持部に保持された状態のカプセル型医療装置に対して前記第1および第2保持部の対向している前記凸部に前記カプセル型医療装置の前記長軸と垂直な方向から前記磁界を発生する前記スタータが近接された場合、前記カプセル型医療装置の電源が投入されることを特徴とするカプセル型医療装置の電源投入方法。
【請求項1】
スタータが発生する磁界を用いた電源投入が可能なカプセル型医療装置を収容する収容ケースであって、
前記カプセル型医療装置の長軸における一方の端を保持する第1保持部と、
前記カプセル型医療装置の前記長軸における他方の端を保持する第2保持部と、
前記第1および第2保持部で挟み込むように保持された状態の前記カプセル型医療装置を収容する外装ケースと、
を備え、
前記第1および第2保持部それぞれは、側面が前記外装ケースの内側と当接するベース部と、前記カプセル型医療装置の前記長軸におけるいずれかの端が嵌装される前記ベース部の主面または該主面と平行な面に形成された孔と、前記孔を取り囲むように前記ベース部の前記主面から突出する前記ベース部より外径が小さい凸部と、を含むことを特徴とするカプセル型医療装置の収容ケース。
【請求項2】
前記カプセル型医療装置を保持した状態の前記第1および第2保持部それぞれの対向する前記凸部が形成する隙間は、前記スタータにおける前記磁界を発生する部分の厚さよりも狭いことを特徴とする請求項1に記載のカプセル型医療装置の収容ケース。
【請求項3】
前記凸部は、円筒状をしており、
前記孔は、前記円筒形状の凸部における前記主面と平行な面の中央に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のカプセル型医療装置の収容ケース。
【請求項4】
前記凸部は、ドーナツ状をしており、
前記孔は、前記ドーナツ状の凸部の内側の中央に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のカプセル型医療装置の収容ケース。
【請求項5】
前記凸部は、前記ベース部の前記主面において円上に配列する複数の円弧状の凸部よりなり、
前記孔は、前記複数の円弧状の凸部が配列する前記円の中央に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のカプセル型医療装置の収容ケース。
【請求項6】
前記凸部は、前記ベース部の前記主面において円上に配列する複数の柱状の凸部よりなり、
前記孔は、前記複数の柱状の凸部が配列する前記円の中央に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のカプセル型医療装置の収容ケース。
【請求項7】
前記第1および第2保持部は、同一形状であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載のカプセル型医療装置の収容ケース。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一つに記載の収容ケースに収容されたカプセル型医療装置の電源投入方法であって、
前記収容ケースから取り出された前記第1および第2保持部に保持された状態のカプセル型医療装置に対して前記第1および第2保持部の対向している前記凸部に前記カプセル型医療装置の前記長軸と垂直な方向から前記磁界を発生する前記スタータが近接された場合、前記カプセル型医療装置の電源が投入されることを特徴とするカプセル型医療装置の電源投入方法。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【公開番号】特開2011−4811(P2011−4811A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−148977(P2009−148977)
【出願日】平成21年6月23日(2009.6.23)
【出願人】(304050923)オリンパスメディカルシステムズ株式会社 (1,905)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月23日(2009.6.23)
【出願人】(304050923)オリンパスメディカルシステムズ株式会社 (1,905)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]