説明

カメラの銘板

【課題】本発明は、銘板に諸機能を付加させることにより用途を広げることができるカメラの銘板を提供する。
【解決手段】本発明の銘板10は、銘板10に電子情報等の情報を記録可能なメモリ機能を持たせ、カメラユーザーの住所、生年月日、血液型、電話番号、連絡先、メールアドレス、顔写真画像、カメラ機能及びその機能をカスタマイズした操作設定等のユーザーオリジナル情報を記録させた。メモリ機能をRAMとすることにより、カメラ12側から銘板10のRAMに撮影場所、撮影時間、撮影者、被写体等の撮影情報を記録させることができる。この情報は、DPE取扱店で読み出され、現像したプリント写真の裏面に文字情報として印刷されたり、複数のコマ画像が1枚のプリント写真に印刷されたインデックスプリント写真の裏面に記録されたりする。このような銘板10を媒体としてユーザーがDPE取扱店にプリント依頼すると、ユーザーは住所、電話番号等の記載を省略でき便利である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカメラの銘板に係り、特にカメラに着脱自在に取り付けられるカメラの銘板に関する。
【背景技術】
【0002】
カメラに取り付けられる銘板として特許文献1に開示された銘板は、カメラのモード切換用ダイヤルに取り付けられるとともに、モードマークが付された透明の銘板である。この銘板の下側には、エレクトロルミネッセンスが配置され、エレクトロルミネッセンス光によって銘板を照明するとともに光の透過によってモードマークをライトアップし、暗所でも現在の撮影モードを確認可能としている。
【0003】
また、特許文献2に開示された銘板は、文字が刻印された銘板部の周囲にフランジ部を一体に形成することにより、銘板の強度を向上させ、塗装や組み立てに際し、容易に変形することを防止し、取り扱いを容易にしたものである。
【特許文献1】特開平8−334818号公報
【特許文献2】特開2002−90838号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1、2に開示された銘板は、その表面にモードマークや文字が刻印されただけの単なる銘板にすぎず、銘板を他の用途に利用しようとしたものではない。すなわち、従来の銘板は、その表面に付された文字、記号、番号等によりその意味をユーザーに目視にて確認させる機能しか有していない。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、銘板に諸機能を付加させることにより用途を広げることができるカメラの銘板を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の銘板は、前記目的を達成するために、カメラに着脱自在に取り付けられるとともに、所定の情報を記録する記録部を備えたことを特徴としている。
【0007】
請求項2に記載の銘板は、請求項1に記載の銘板において、前記銘板の前記記録部には、カメラユーザーの個人情報が記録されることを特徴としている。
【0008】
請求項3に記載の銘板は、請求項1に記載の銘板において、前記銘板の前記記録部には、撮影情報が記録されることを特徴としている。
【0009】
請求項4に記載の銘板は、請求項1に記載の銘板において、前記銘板の前記記録部には、カメラメーカー側からの情報が記録されることを特徴としている。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1、2、3、4又は5のうち何れか一つに記載の銘板において、前記銘板の前記記録部は、外部のリーダー及びライターと電波による送受信が可能な非接触ICチップ又はICタグであることを特徴としている。
【0011】
請求項6に記載の銘板は、請求項1、2、3、4又は5のうち何れか一つに記載の銘板において、前記銘板は、カメラの本体部、又はレンズキャップに着脱自在に取り付けられることを特徴としている。
【0012】
本発明は、情報を記録可能なメモリ機能を銘板に持たせ、この銘板にカメラユーザーの個人情報を記録させ、この銘板をカメラの本体部、又はレンズキャップに着脱自在に取り付けた。これにより、同一のカメラを利用した場合でも、ユーザーが自分の情報が記録された銘板と取り替えることにより、各ユーザーに特化したカメラとなる。
【0013】
また、銘板に撮影情報を記録させると、この情報は、DPE取扱店にて読み出され、現像後のプリント写真に利用することができる。また、カメラが故障した際のメーカー側での修理時に、その修理履歴を銘板に記録させることもできる。このように本発明の銘板は、銘板にメモリ機能を付加させたので、銘板の用途を広げることができる。また、銘板の記録部を、外部のリーダー及びライターと電波による送受信が可能な非接触ICチップ又はICタグとすることにより、銘板に記録された情報を非接触で読み取ることができるとともに、非接触で情報を銘板に記録することができる。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように本発明に係るカメラの銘板によれば、銘板にカメラユーザーの個人情報、撮影情報、カメラメーカー側からの情報を記録するメモリ機能を付加させたので、銘板の用途を広げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下添付図面に従って、本発明に係るカメラの銘板の好ましい実施の形態について詳説する。
【0016】
図1には、本発明の実施の形態に係る銘板10がカメラ12に装着された使用形態の一例が示されている。同図に示すカメラ12は、被写体像を撮影レンズ14を介して固体撮像素子に結像し、被写体像を電子データとして取得するデジタルカメラである。カメラ12のカメラ本体16の前部には、撮影レンズ14を保持するレンズ鏡胴18が設けられ、レンズ鏡胴18に回動自在に設けられたフォーカスリング20を手動で回動させることにより撮影レンズ14のフォーカスレンズが移動されて合焦操作される。また、カメラ本体16の上部には、外付けストロボ装置が取り付けられるホットシュー22が設けられ、ホットシュー22の前方には、ポップアップ式のストロボ24がカメラ本体16に起伏自在に設けられている。このストロボ24は、ポップアップボタン26を押圧操作することにより、カメラ本体16側との係合が解除されて起立し、そのストロボ発光部が前方に向く。更に、カメラ本体16の上面には、撮影モード選択ダイヤル28、コマンドダイヤル30が近接配置され、また、カメラ本体16のグリップ部32の上面にはシャッターボタン34が配置されている。更にまた、カメラ本体16の背面には電子ビューファインダ36が設けられ、カメラ本体16の側面にはスピーカ38が配置されている。なお、符号40は、撮影レンズ14の前面に着脱自在に取り付けられるレンズキャップである。また、このカメラ10には、撮影場所、撮影時間、撮影者、被写体等の撮影情報を入力するデータ入力部を備え、入力された撮影情報は銘板10側にコマ毎に記録される。
【0017】
実施の形態の銘板10は、カメラ本体16の前面側でレンズ鏡胴18を挟んでグリップ部32の反対前面16Aに着脱自在に取り付けられる。
【0018】
銘板10の本体11は、矩形の板状に形成されるとともに、その内部にはRAM(Random Access Memory) を有するマイクロチップ(不図示)が埋め込まれている。また、銘板10の裏面には、カメラ本体16との間で電子情報を交換するための接片42、42…が形成されている。一方、カメラ本体16には、銘板10を保持する矩形の溝44が形成され、溝44の端部には接片42、42…と導通される接片46、46…が形成されている。したがって、溝44に沿って銘板10をスライド挿入し、終端位置で銘板10を溝44の凹部45に押し込むことにより、その間で生じるフリクションにて銘板10が溝44に保持されるとともに、接片42が接片46に接触し、銘板10とカメラ本体16とが電子情報交換可能に接続される。
【0019】
次に、銘板10について説明する。
【0020】
実施の形態の銘板10は、銘板10に電子情報等の情報を記録可能なメモリ機能(RAM)を持たせている。このメモリ機能に、カメラユーザーの住所、生年月日、血液型、電話番号、連絡先、メールアドレス、顔写真画像、カメラ機能及びその機能をカスタマイズした操作設定等のユーザーオリジナル情報を記録させている。これにより、同一のカメラ12を利用した場合でも、ユーザーが自分の情報が記録された銘板10と取り替えることにより、各ユーザーに特化したカメラ12となる。
【0021】
また、銘板10のメモリ機能をRAM(Random Access Memory) とすることにより、カメラ12側から銘板10のRAMに撮影場所、撮影時間、撮影者、被写体等の撮影情報を記録させることができる。この情報は、例えばDPE取扱店の情報読取装置によって読み出され、現像したプリント写真の裏面に文字情報として印刷されたり、複数のコマ画像が1枚のシートに印刷されたインデックスプリント写真の裏面に記録されたりする。このような銘板10を媒体としてユーザーがDPE取扱店にプリント依頼すると、ユーザーは住所、電話番号等の記載を省略でき便利である。
【0022】
図2は、銘板10の使用例を示したフローチャートである。
【0023】
まず、ユーザーは、カメラ12で撮影した画像が記録されたスマートメディア等の記録媒体とカメラ12に装着して使用した銘板10とをDPE取扱店に受け渡す(S100)。DPE取扱店では、記録媒体に記憶された画像情報と、銘板10に記録された個人情報及び記録媒体に記憶された画像情報に対応する撮影情報を読み出し、これを受け取る(S110)。次に、DPE取扱店では、受け取った画像情報に基づき写真現像を行う(S120)。この際に、その現像した画像に対応する撮影情報が銘板10に記録されているか否かを確認し(S130)、撮影情報がある場合には、現像したそのプリント写真の裏面に撮影情報を印刷(入力)する(S140)。このように、現像する画像と、その画像に対応する撮影情報とを一コマ毎対応付けていき、全てのコマ画像の現像が終了したところでDPE取扱店は、銘板10に記録されている個人情報からユーザーの電話番号又はメールアドレスを読み出し、電話又はメールにてユーザーに現像が終了したを連絡する(S150)。ユーザーは、この情報を受け取った後、DPE取扱店に出向き、現像したプリント写真と銘板10と受け取る(S150)。以上の如くユーザーは、氏名及び連絡先を記載することなくプリント写真を依頼し、且つそれを受け取ることができる。
【0024】
また、DPE取扱店において、銘板10の記録内容を取得することによりユーザー情報をDPE取扱店で自動管理することもできる。これにより、情報記録のための工数、銘板販売等の追加費用をユーザーから獲得することができる。更には、前記記録部に、RAM情報のみでなく、外部と送受信可能な非接触ICチップやICタグなどを組み込んで記録情報の受け渡し、受け取りを電波によって行うこともできる。
【0025】
また、銘板10の表面に個人情報や顔写真等の情報を文字、画像、又は二次元画像として付し、これを別の銘板10を備えた別の接写機能付カメラで接写撮影し、そのカメラの銘板10に前記情報を記録させることにより、撮影した銘板10のユーザー情報及び顔写真等の情報を別の銘板10にデータバンク化できるとともに、個人情報を別の銘板10に簡単に受け渡しすることができる。すなわち、銘板10の情報を双方向に受け渡しすることができる。
【0026】
更にまた、カメラが故障した際のメーカー側での修理時に、その修理履歴を銘板10に記録させることもできる。また、メーカー側が作成したカメラ諸機能のソフトデータを銘板10に記録させ、この銘板10をカメラ製品と一緒に梱包して販売したり、又はカメラ製品購入ユーザーに銘板10を別途販売したりしてユーザーが既存のカメラに取り付けることによって、製品不具合改善、ソフトバージョンアップ、製品機能追加等の操作をユーザー側で簡単に実施させることができる。
【0027】
デジタルカメラの機能アップの例としては、撮影情報の調整設定変更、フォトフレーム種類の増加、写真に文字入力する機能等を例示できる。各ユーザーの要望で特化した機能設定も追加できる。例えば、1電池での撮影枚数を出来るだけ増やす設定、逆に撮影枚数を減らしても起動や動作スピードを上げる設定を追加できる。これにより、製品修理、バージョンアップ作業の効率化が図られ、メーカー側の工数も削減でき、製品付加価値も上がる。
【0028】
銘板10の本体11をプラスチック、ガラス等の透明部材で製作し、この本体11の裏面に、発光ダイオード(LED)、エレクトロルミネッセンス(EL、電界発光) ディスプレイ等の発光手段を設け、これをバックライトとして利用することにより、外観的な見栄えのよい銘板10を提供できる。
【0029】
なお、実施の形態では、カメラ本体16に銘板10を着脱する例を示したが、これに限定されるものではなく、レンズキャップ40やカメラのストラップに銘板10を着脱自在に取り付けてもよい。この場合、銘板10とカメラ本体16との間で情報の交換を行うために、無線又はコネクタ等の導通部材を介して銘板10とカメラ本体16とを接続すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】実施の形態に係るカメラの銘板の使用形態の一例を示した説明図
【図2】DPE取扱店における銘板の使用例を示したフローチャート
【符号の説明】
【0031】
10…銘板、11…本体、12…カメラ、42、46…接片、44…溝、45…凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラに着脱自在に取り付けられるとともに、所定の情報を記録する記録部を備えたカメラの銘板。
【請求項2】
前記銘板の前記記録部には、カメラユーザーの個人情報が記録されていることを特徴とする請求項1に記載のカメラの銘板。
【請求項3】
前記銘板の前記記録部には、撮影情報が記録されることを特徴とする請求項1に記載のカメラの銘板。
【請求項4】
前記銘板の前記記録部には、カメラメーカー側からの情報が記録されることを特徴とする請求項1に記載のカメラの銘板。
【請求項5】
前記銘板の前記記録部は、外部のリーダー及びライターと電波による送受信が可能な非接触ICチップ又はICタグであることを特徴とする請求項1、2、3又は4のうちいずれか一つ記載のカメラの銘板。
【請求項6】
前記銘板は、カメラの本体部、又はレンズキャップに着脱自在に取り付けられることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5のうちいずれか一つに記載のカメラの銘板。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−133526(P2006−133526A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−322780(P2004−322780)
【出願日】平成16年11月5日(2004.11.5)
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】