説明

カメラ保持モジュール及びレリーフ(立体画像)撮像用の装置

本発明は、少なくとも1つの案内レールに沿って駆動装置によって駆動されて並進移動するキャリッジと、回転軸及び移動キャリッジによって運ばれる案内部材を有するカメラ保持回転部材と、カメラ保持要素を回転させるために案内部材と協働してその移動を誘発するアクチュエータとを備えることを特徴とする、立体撮像用のカメラ保持モジュールに関する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
レリーフ写真は、19世紀中頃から存在しており、単一のハウジング内に組み込まれ得るか又は並列位置決め若しくはミラー位置決めのために支持体上に配置され得る2台の写真機器又は2台のカメラの相対位置決めに関して、種々の解決手段が考えられてきた。
【0002】
1999年に、本出願企業はIBC(アムステルダム)において、モーションドライブによってテレビ生放送に適したレリーフの瞬間制御を可能にする形態の世界初のデジタルステレオカメラを発表した。
【0003】
この最初のステレオカメラは、2台のSDIカメラ(Thomson Broadcast Systemsの「Microcam」)から成り、レリーフ画像のリアルタイム表示を提供するだけでなく画像及びモーションコントロールの種々のパラメータも提供する視覚及び制御装置を用いて撮像直後に制御されたレリーフを確保するのに必要なすべてのモータドライブを有していた。このカメラで、すべてのレリーフ撮像パラメータ(中心間距離、輻輳、ズーム、フォーカス、及び絞り)の変化を含む、大画面へのライブ投影を伴った最初の多眼カメラ撮影が行われた。
【0004】
レリーフテレビ放送の世界初の受信(picking up)は、2000年7月1日にニエーヴル県クラムシー(フランス)で行われた。
【0005】
電動パラメータは、以下の通りであった:カメラの中心間距離、2つのAngenieuxブランドの可変焦点レンズに関するカメラの輻輳(すなわち、カメラの2つの光軸間の輻輳角)、合焦、絞り、及びズーム。
【0006】
対を成すパラメータは、機械軸のほかに、ステレオペア及び光軸を形成する2台のカメラのCCU(カメラ制御ユニット)から得られるすべての画像管理パラメータであった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
Nカメラレリーフ撮像システム(Nは2以上)では、現在、機械的複雑性を高めると共に大型化をもたらす構成要素の組み立てが実施されており、これは高コストを追加せざるを得ないような欠点である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、すべてのカメラ:モジュールに共通の要素からステレオカメラを製造することを可能にするモジュラー設計によって、これらの欠点の少なくとも1つを解消することを提案する。これらのモジュールは、すべての機械的及び電子的機能を組み込み、特にレリーフ撮像装置に組み込まれてからの立体撮像パラメータの制御を体系化及び簡略化することによって、占有体積(bulk)を減らすために用いられる。
【0009】
したがって、本発明は、N台のカメラでのレリーフ撮像用のカメラ保持モジュールであって、
−種々の面上で機械的要素及び/又は電子的要素を組み合わせることができる、モジュール本体と呼ばれる剛性枠組と、
−モジュール本体の第1の面によって支持される少なくとも1つの案内レールと協働する案内手段を有する、並進平面で並進移動するキャリッジ、及び該移動キャリッジを駆動する装置と、
−移動キャリッジによって支持され、且つ回転軸及び案内要素を有するカメラ保持回転要素、及びカメラ保持要素を特に10度、より詳細には5度の最大回転角度にわたって回転させるように案内要素と協働してその移動を誘発するアクチュエータであって、移動キャリッジを並進駆動する装置がアクチュエータと回転要素の回転軸との間に位置決めされる、カメラ保持回転要素及びアクチュエータと、
を備えることを特徴とする、N台のカメラでのレリーフ撮像用のカメラ保持モジュールに関する。
【0010】
カメラ保持回転要素の回転制御部が該要素の回転軸とは別個でありそこから離れているこの構成は、すべての立体撮像機能性を組み込んだモジュールの製造を可能にする小型構造を可能にする。案内要素は、移動キャリッジに形成される案内スロット内で摺動することが有利である。
【0011】
並進移動するキャリッジは、2つの平行な案内レールによって案内され、カメラ保持回転要素は、2つの案内レール間の空間内に少なくとも延びることができる。
【0012】
有利には、カメラ保持回転要素の回転軸は、第1のレールの上に位置決めされる。
【0013】
アクチュエータは、2つのレール間の空間外に位置付けられ、その一方で案内要素は、2つのレール間の空間を超えてカメラ保持回転要素の領域に位置決めされることが好ましい。
【0014】
移動キャリッジを並進駆動する装置は、2つのレール間の空間内に位置決めされ得る。
【0015】
有利には、アクチュエータ及び/又は駆動する装置は、ボールねじ又はウォームねじである。
【0016】
カメラ保持回転要素は、カメラ摺動支持体を組み込むことができる。
【0017】
軸周りの回転は、一方向の上記回転駆動移動を可能にし且つ他の方向に高い剛性を有する弾性要素によって得ることができる。
【0018】
回転要素の最大回転角度は、最大10度、より詳細には5度であり得る。
【0019】
モジュールは、モジュール本体に組み込まれ、且つ第1の面の反対側にあるモジュール本体の第2の面に形成される溝に収容される3つの制御部材と、モジュールの並進平面に対して垂直に移動する3つの要素とを備える、特に3点によるシート補正装置を有し得る。
【0020】
本発明は、本明細書において上記で定義される少なくとも1つのモジュールと、1つ又は複数の該モジュールの移動キャリッジ及びカメラ保持回転要素及び1つ又は複数のモジュールによって支持される1つ又は複数のカメラの少なくとも合焦を制御するパラメータを生成することが可能な制御装置とを備えることを特徴とする、レリーフ撮像装置にも関する。装置は、本明細書において上記で定義される少なくとも2つのモジュールを有し得る。これは、1つの上記回転要素のみを有する、したがって並進移動するキャリッジを有しない、少なくとも1つの回転モジュールを有し得る。
【0021】
制御装置は、この場合、
−上記パラメータが互いに独立して調整される、第1のいわゆるレベル1動作モードと、
−2つのパラメータを例えば輻輳角及び合焦距離として、少なくとも一方のパラメータを別のパラメータに従属させる、第2のいわゆるレベル2動作モードと、
を有し得る。
【0022】
制御装置は、第1のパラメータを第2のパラメータに従属させ、該第2のパラメータを少なくとも第3のパラメータに従属させる、第3のいわゆるレベル3動作モードを有し得る。例えば、第1のパラメータは、2つのモジュールの2台のカメラの中心間距離であり、第2のパラメータは、上記2台のカメラ間の輻輳角であり、第3のパラメータは、合焦距離である。
【0023】
有利には、モジュールは、直角に取り付けられ、少なくとも2つのモジュールが半反射リターンミラーの両側に位置決めされる。
【0024】
少なくとも1対の対称モジュールが、同一の(one and the same)筐体内に頭尾を交互にして(head-to-tail)取り付けられ得る。この場合、装置は、半反射ミラーの両側に直角に取り付けられる2つの上記筐体を有し、該筐体それぞれに取り付けられているモジュールによって支持されるカメラの軸が交互配置され得る。
【0025】
本発明は、本明細書に上述したようなモジュールのセットであって、異なるタイプのカメラ用に異なるサイズのモジュールを備え、制御装置からの制御信号がモジュールのセットの全モジュールで用いられ得るように、モジュールの制御パラメータがモジュールから独立していることを特徴とする、モジュールのセットにも関する。
【0026】
本発明の他の特徴及び利点は、非限定的な例として与えられる以下の説明を図面と共に読めば、より明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1a】本発明によるモジュールD2の好適な実施形態の上面斜視図を示す。
【図1b】本発明によるモジュールD2の好適な実施形態の下面斜視図を示す。
【図1c】本発明によるモジュールD2の好適な実施形態の平面図を示す。
【図2a】2台のカメラを並列に配置して本発明による2つのモジュールD2及びG2を用いた、立体視装置の一実施形態を示す。
【図2b】2台のカメラを直角に配置して本発明による2つのモジュールD2及びG2を用いた、立体視装置の一実施形態を示す。
【図3】並列に配置された2つのモジュールD1及びG2を用いた2台のカメラを有する立体視装置を示す。
【図4】いわゆる天頂(zenith)ブラケットマウンティングを有する本発明によるモジュールが設けられている2台のカメラを備える例示的な立体視装置を示す。
【図5】いわゆる天頂ブラケットマウンティングを有する本発明によるモジュールが設けられている8台のカメラを備える例示的な立体視装置を示す。
【図6】2つのモジュールD2及びG1用のいわゆる「クレーン(crane)」ブラケットのブラケットマウンティングを示す。
【図7】特にブラケットマウンティングの、右モジュール及び左モジュールの頭尾を交互にした結合を示す。
【図8】同一の支持体11上に、一方が並進回転機能を有し他方が回転機能のみを有する2つの個別モジュールを組み込んだ、複合モジュールを示す。
【図9】カメラ保持回転要素用の回転制御手段を示す。
【図10】単一のレールを有する本発明の変形形態を示す。
【図11】撮像装置を取り付ける好適な方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明は、特に学習によって動作するモーションコントロールによって管理されるN個の視点(Nは2以上)を有するレリーフ撮像カメラの製造及び管理に関する。
【0029】
これらのカメラは、すべての撮像構成で「並列」又は「直角」と言われる支持体上に位置決めされる、異なるサイズ及び同一の機能性を有し得るモジュールによって支持される。
【0030】
これらのモジュール及び支持体は、多用性があり、同一の用途があり、重量、体積、及び2つ以上の視点(Nは3以上)を有する撮像システムのそれぞれによって用いられ得る変化の規模に関係なく同じコマンド言語を用いることが有利であり得る。
【0031】
本発明は、より詳細には、2つ又はN個の視点を形成するカメラのそれぞれの画像規格、体積、又は重量に関係なく2つ又はN個の視点を有するすべてのレリーフ撮像装置に適応され得る、カメラ保持モジュールの製造に関する。
【0032】
これらのモジュールは、種々の解像度、体積、及び重量のカメラに適しており、互いに互換性があり得る。
【0033】
例えば、重量が0kg〜5kg、5kg〜10kg、及び10kg〜15kg等であるSD、HD、2K、及び4Kカメラ。
【0034】
これらのモジュールは、それらを2台又はN台のカメラと共に組み込む装置に関係なく同一であり適応性があり、対称的に位置決めされる。カメラブーム、肩乗せカメラ、ハイアングル(high-angle:俯瞰)ショット「ステディカム」等のための右モジュール又は左モジュールは、可逆的であることが有利であり、同じ機械的要素及び電子的要素を備えるが、特に、モーションコントロールによって記録される位置決めを管理し読み取るために同じスケールを備える。
【0035】
これらのモジュールは、互いに独立しているが、相補的な機能性を備え得る。
【0036】
例:2台又はN台のカメラを備える装置のすべてに対して、単一の3レベル発生器(3-level generator)で十分である。この場合、これは、モーションコントロールを通してカメラを同期させる。
【0037】
c)これらのモジュールは、多数の要素を組み込むことができ、その少なくとも1つが以下のリストから選択される。
・輻輳、中心間距離、並びに光軸を合わせることを可能にする高度補正、回転補正、及び傾斜補正に関連するすべての機械的機能性、電子的機能性、及び演算的機能性(ミニPCが、モジュール支持体内に、マスタモジュール内に、又は可搬型のモーションコントロール部と並べて含まれ得る)。
・ズーム、合焦、及び絞り用のエレクトロニクス。
・輻輳、中心間距離、及び高度補正パラメータを符号化するギアモータ。
・行程端検出器。
・配信及び相互通信カード、バックプレーンカード、及び他のカード。
・アクチュエータ管理及び電力カード。
・1レベル、2レベル、又は3レベル同期信号発生器。
・時間的な位置を測定し読み取るための要素:時間符号、世界標準時刻、並びに空間的な位置を測定し読み取るための要素:コンパス、GPS、高度計、傾斜計、レーザ測距器、及び他のそのようなタイプのもの。
・ケーブル又は無線(「Wifi」、「ブルートゥース」)制御及び伝送システム。
・データ記憶コンピュータシステム(フラッシュメモリ、ハードディスク、USBキー等)。
・クラッパ(clapper:カチンコ)用又はモーションコントロールデータと共に記憶される電子クラッパの1000Hz用のピックアップマイクロフォン。
・TC発生器によって送信されるTC用のHF受信機。
・コマンド用及び全データの収集用のコンピュータ。
・組み立て方法及び介入するオペレータに関係なく、例えばネットワーク(例えば、RS485、USB、イーサネット(登録商標))によって操作可能であり、切り替え可能であり、且つ相互連結されるように、すべての電気信号及び制御信号の交換及び転送を可能にする接続性。立体写真家、カメラマン、又はカメラアシスタントは、タスクの分配を簡略化するために種々の制御に介入し得る。これらのタスクは、相補的であり、階層的に編成され、切り替え可能である。
【0038】
モジュールは交換可能であり、故障した場合、マイクロコントローラ又はフラッシュメモリに記憶されている以前の設定からのデータ(位置の読み)の履歴を失うことなく、モジュールを交換することができる。
【0039】
モジュールは多用性があり、すべての右モジュールがすべての左モジュールとインタフェースする。
1.D2:右並進回転モジュール。
2.G2:モジュールD2と対称である左並進回転モジュール。
3.D1及びG1:それぞれ右回転モジュール及び左回転モジュール。
【0040】
D1’及びG1’は、ハイアングルショット、ヘリコプター用の軽量化した右回転モジュール又は左回転モジュール(D2/G2に適合する)(すなわち、手動調整以外のシート補正制御がない)である。これらのモジュールの特定の特徴は、まさにそのモジュール内で、全体の体積を大幅に減らすように設計された第2の回転を与えるために、モジュールD2/G2内に直接配置されることである(図8を参照)。
【0041】
これらのモジュールはすべて、N個の視点を有するカメラの構成要素である。
【0042】
モジュールは、スケールファクタに基づいて製造されるが、すべての組み合わせに適合する共通の転送・表示システムを用いるために同一の適合性のある読み値を供給することが有利である。
【0043】
モジュールは、以下のように編成される。
【0044】
A)単一の機械筐体内の回転及び並進の組み込み。
【0045】
回転及び並進を組み込んでいるモジュールは固有であり、大幅な省スペースをもたらす。これらは、同じ部品が左モジュール又は右モジュールを独立して構成するように対称である。
【0046】
B)これらの筐体は、モーションコントロール及び立体視を管理するためのすべての機械的要素、電子的要素、及びソフトウェア要素(ミニPCが組み込まれる場合)を収容する。
【0047】
C)回転は、玉軸受、針軸受、又はころ軸受のタイプのシステムによって360度にわたって行われる。しかしながら、レリーフ撮像の場合、その回転は、1つのモジュール当たり小さな角度に、より詳細には10度未満に、より詳細には5度未満に制限される。
【0048】
これらの装置は、360度にわたる多眼カメラパノラマ撮影にも用いることができるため、相補的なカメラが、その数に関係なく、この場合には90度以上の範囲に及ぶ角度にわたって単独で撮影して視野縁を調整することができる。
【0049】
D)精度の欠如を最小にすべき場合、特にミラーモードのレリーフ撮像時に、遊び(ピッチ及び剛性の欠如)の問題を回避するために、回転要素のないシステムによって回転の制限が与えられ得る。
【0050】
この回転は、鉛直角又はねじり角の変化を防止するために、軸92において単一の運動能力を有し他方の軸では高い剛性を有するフレキシブルカップリングによって提供され得る。図9は、この場合は円弧状輪郭であるくびれ領域91を有する、例えば焼入れ鋼製の金属板90の形態の実施形態を示している。回転は、要素32によって矢印Fの方向に制御される。回転は、金属の弾性によって、したがって直線的に遊びを伴わずに引き起こされる。板の厚さがくびれ領域91の幅よりもはるかに大きいことで、カメラの輻輳に有用である矢印Fの方向以外の方向で高い剛性が確保される。
【0051】
N個の視点でのレリーフ撮像のためのこの5度又は10度の振幅の回転は、異なるサイズ及び重量のカメラを支持するシステム間で均一性が得られるように、直線運動(ボールねじ)又は回転運動(ウォームねじ)によって引き起こされる。
【0052】
E)高精度ボールねじ駆動の場合、例えば走行車両、ヘリコプター、又は任意の振動機での撮影時の重力又は振動に起因した圧力変動に従って、また機械的カップリングに対する重力の作用に大きな変化をもたらす転動(光軸周りの回転移動)の場合に、光軸周りで揺動しているカメラが遊び又は崩壊の可能性を示したときに発生する回転方向の遊びに、制限が加えられる。
【0053】
並進移動及び回転移動をもたらすモジュールのサイズに関係なく、モーションコントロール移動のための符号化スケールは、異なるサイズ及び重量のカメラ支持機間で相似していることが有利である。
【0054】
F)さらに、これらのサイズ及び重量の変化に関係なく、角回転値は、回転角の選択以外の介入なしで同一数の自然なピッチに関連付けられることが有利である。
【0055】
したがって、すべてのカメラが、体積及び重量に関係なく固有であり得るモーションコントロールコードによって関連付けられる。すなわち、重量が200グラムであるカメラ及び10kgであるカメラの回転又は並進を作動させるのに用いられる論理システム及び機械スケールは、同じコマンドが同じ作用をもたらすという点で厳密に適合する。
【0056】
これは、全ギアモータ及び全装置に必要なトルク及び電力に関係なく同じ係数を保持するすべてのギアモータ及び機械的中間物を対にすることによって得られる。
【0057】
これらの組立体が、回転又は並進を加えるのに用いられる制御部の場所及びそれらの人間工学性に関係なく全レベルで同じギアリング係数(gearing coefficients)を有していることにより、Xコーディングピッチは、同じ並進又は同じ回転に対応する。
【0058】
そのような装置は、このデータ転送システムに適合する現実及び仮想の使用ツールに関係なく、仮想又は現実の、脚本から撮影及び撮影後編集を経て放送までの立体視サブシステムの種々の制作プロセスの適合性を確保することができる。
【0059】
図1a〜図1cは、主板又は本体11を備えるモジュールD2の一例を示しており、主板又は本体11の上面には、カメラ支持体3が取り付けられるキャリッジ2の並進案内を行うスライダ12及び14が装着されている。レール12と14との間には、キャリッジ2の並進を制御する装置がある。直流又はブラシレスステッピングモータ15が、変速機18を用いてボールねじ19又はウォームねじを駆動する。したがって、キャリッジ2を板1の全幅にわたって移動させて、カメラ間の間隔、したがってステレオペアを形成する画像を提供する2台のカメラ間のステレオベースを調整することができる。図示のD2(又はG2)で参照される最大幅のモジュールは、最大限の幅の可変ステレオベース、したがって2つの並進を同時に変える可能性を名目上必要とする2カメラシステムの場合に相当する。N個の視点(Nは3以上)を有するシステムでは、より狭いモジュールが用いられ得る。D1又はG1と称するこれらのモジュールは、モジュールD2及びG2と同じ機構で回転のみを備え、並進(カメラの光軸の中心間距離の変化)は備えておらず、これは、まさにこの場合に種々のモジュールの支持体上に配置されることが有利である。
【0060】
モジュールD2又はG2は、本体11に、本体11の空洞(この場合は2つ)に収容され得る電子カード用のコネクタ16、17も有する(図1b)。
【0061】
キャリッジ2は、モジュールの前面付近に、カメラ支持体3の一端付近、より詳細には、上記の例ではレール14付近に位置付けられるカメラ支持体3の回転軸33を受け入れるための開口22を有する。カメラ支持体3は、その他端に、支持体3の回転を案内するように溝23内で摺動するフィンガ32を有する。この回転を用いて、輻輳角を調整することができる。大曲率の軌道にわたるフィンガ32の移動は、ステッピングモータによって制御されて変速機28によって中継されるボールねじ又はウォームねじ27がもたらす並進移動によって制御される。このモータ・変速機・ねじ装置27、28は、レール12と14との間のギャップの外側に位置付けられているキャリッジ2の延長部25の下部内に収容され、上記ギャップには、キャリッジ2の並進機構15、18、19が収容される。
【0062】
この配置構成は、優れた小型性を確保しつつ、非常に精密なキャリッジ2の並進移動(ステレオベースを画定する)及び支持体3の回転移動(輻輳を画定する)を可能にする。
【0063】
並進組立体と回転組立体との相互貫入は、360度移動するように設計された既存の並進及び回転システムを単に重ねる現在既知のプロ用立体撮像システムで見られる組立体と比較して、大幅な省スペースをもたらすが、その一方で、並進レール12及び14の両側に機能を分配することで、回転精度を大幅に高めつつかなりの省スペースが得られる。特に、この配置構成では、支持体3の回転半径がより大きくなる一方で占有体積は小さくなる。
【0064】
空洞45に収容されており、並進及び回転管理カード46とカメラ同期カードとの両方を供給するバックプレーンカードも、シート補正及び光学的位置合わせ用に確保されている溝48〜48間に組み込まれることによって省スペースをもたらす。
【0065】
したがって、これらのカードはすべて、制御モジュールを形成する単一の筐体に収容され得ることで、嵩張る要素を加えることなく全パラメータを管理することを可能にする。
【0066】
「3レベル」管理カード、ミニPC、又は任意の他のカードも同様に、N個の視点(Nは2以上)を有する撮像システムのモジュールのいずれかに位置付けるのに適し得る。
【0067】
回転のみを組み込んでいるタイプD1又はG1のモジュールは、モジュールD2及びG2用の板11に取り付けられれば、前述のすべての管理システム、GPSシステム、及び他のシステムで利用可能な大きな格納空間を活用することができることに留意すべきである。
【0068】
光センサ及び支持体を組み込んでいるカメラの光学的位置合わせ用の機械的組立体は、2D撮像では一貫しているがレリーフ(3D)撮像では一貫していない。この場合、カメラの垂直方向及びシート方向の視差(vertical and seat disparities)を最小にするために、3点システムを用いて、それらの交点において撮像角度によって形成されるシート及び角度を補正しなければならない。
【0069】
この態様は、2つだけでなくN個の視点での立体撮像の場合に、種々のカメラの光軸合わせにとって重要である。
【0070】
モジュールの並進平面に対して垂直な三脚の各面の高さを調整するリフトは、以下のように動作する。モジュールの本体の中央及び両側部に位置付けられている3つの溝48〜48に、符号化ギアモータ(図示せず)が設置されており、その軸は、テーパ状部品を操作するねじである。この部品は、運動返し部(motion return)として働き、例えば各領域49〜49内で摺動して1点でモジュールを上昇させる拘束リフトを形成する半球形ヘッド43を有する移動要素に作用する。これら3つの移動要素は、並列又は直角取り付けに用いられるモジュール支持体の3点で、持ち上げ機能を実行することを可能にする復帰力を与える弾性ファスナを担持する。
【0071】
例えば数ミリメートル(通常は3mm)の調整振幅を有する3点調整は、非常に短い時間内で、すべての光学的位置合わせ又はシート問題を解決すると共に、モーションコントロールに関して、例えばズームドリフトのためにこの補正を再現することを可能にする。
【0072】
モジュールD1、D2、G1、及びG2は、管理及び画像供給電流を受け取って分配することができる。
【0073】
カメラの場合、直角(図4及び図5)か並列(図2a及び図3)かにかかわらず、モジュール支持体に接続部及びそのケーブルが組み込まれ得る。
【0074】
1)電流分配モードは、種々のモジュール間でのコマンドの編成に影響を及ぼすことなくモジュール多用性を提供する。
【0075】
RS485バス又は別のタイプのデータバスによって管理が伝送されるため、モジュールは、位置的にも関係的にも多用性がある。動作の階層におけるそれらの位置は、常に決定の余地を残している。機能及びコマンド階層を要求に応じて編成することを可能にすることが、モジュールのこの特定の特徴である。
【0076】
2)N台のカメラのN個のモジュールを制御するモーションコントロール(特に学習による)の全般管理。
【0077】
モーションコントロールは、オペレータによってカメラの近くで、ケーブル、「ブルートゥース」、「Wifi」、又は他の無線システムによってカメラ装置に関連付けられているカメラアシスタントによって近く又は遠隔で、且つN台のカメラでレリーフを制御するワークステーションから立体写真家、チーフカメラマン、又はディレクターによって制御され得る制御機器によって管理され得る。
【0078】
一方では優先順位を、他方では互いに対する全モーションコントロール機能性の従属化を伴う、コマンド及びこれらのコマンドの階層の追加は、オペレータが唯一の操作者であるか、又はオペレータが1人又は複数人のアシスタントを有するか、又はオペレータがフィルムの立体写真家、ディレクター、又はチーフカメラマンと共に技術的設定を決定するかに応じて、自由裁量で分配される。
【0079】
階層は、機能性にのみ関連付けられるのではなく、異なる制御の独立した選択に従って編成される種々の制御にも関連付けられる。この点で、記載のモジュラー設計は、コマンド管理の観点から見た場合と同じくらいハードウェアの観点から見ても大きな融通性を与える。
【0080】
撮像は、視聴者が快適に観賞できるようにするために、設定を特徴付けてレリーフのパラメータを制御するという意思で考慮されなければならない。
【0081】
例えば、
合焦に輻輳(すなわち、輻輳角)が従属すること、又はその逆に、人間による観察の場合のように輻輳に合焦が従属することが決定され得る。
【0082】
ディレクターが輻輳角を最大角度値に制限するように決めた場合、この値に達すると輻輳角はそれ以上変わらなくなる。しかしながら、この角度に達すると、決定された角度を保持するためにアルゴリズムによって中心間距離の変化を用いてその角度が維持されると考えることができる。
【0083】
「階層」という用語は、種々の機能の互いに対する編成を意味するために用いられる。
【0084】
コマンドがすべて互いに独立している場合、レベル1階層であると言い、1人又は複数人のオペレータが、モーションコントロール又はカメラの種々のパラメータを互いに独立して調整する。
【0085】
パラメータが別のパラメータに従属している場合、2位(例えば、合焦が輻輳に従属又は輻輳が合焦に従属)であると言われる。
【0086】
軸がそれ自体は第1の制御に関連付けられている別の軸に従属している場合、3位であると言われる。これは、中心間距離が一定の輻輳角の下位にあり、この輻輳角がさらに輻輳角の変化を伴わない合焦に従わなければならない場合である。得られる効果は、フレームの深さにおいて飛び出すことも後退することもなく画面の平面内に被写体を維持することである。
【0087】
異なる階層システムの共存は、画像/画像位置の読みがこれを考慮に入れていれば可能である。
【0088】
コマンドは、異なる階層に分けることができる。例えば、中心間距離は、合焦の下位にある輻輳の下位にあり、カメラ速度は、N個の視点でのレリーフ撮像における速度変化効果に関連して一定の露出を得るために絞りの変化の下位にあり、その画像は2つ1組でステレオペアを形成する。フィルムカメラは、すでにこれらの機能を有しているため、2Dモードではこれらの機能に関して自律的であるが、種々のフィルム制作段階でデータを保持してから伝送しなければならない。データは、各画像に関連しているため、撮像時の測度変化をデータ記録に含めなければならない。
【0089】
撮像システムの軸には、N個の視点を有する1つのシステムだけでなくN個の視点を有するN個のシステムの異なるカメラの軸も従属し得る。
【0090】
N個の視点での撮像を考える場合、マスタカメラの合焦は、すべての合焦を制御し得るが、すべての輻輳も制御下に置くことができ、このとき輻輳は一致しなければならない。
【0091】
並列又はミラー構成の8台のカメラ(図5)は、中央に配置されている2台のカメラの角度よりも大きな異なる角度値で同じ合焦平面に焦点を合わせる。したがって、これらは、2つ1組で従属関係になるが、マスタペアを含む他のペアのすべてと同じ点で一致しなければならない。
【0092】
奇数台の、例えば9台のカメラの場合、装置の中央に配置されている1台が、その左右に分配されているすべてのペアを制御することになる。すべてのカメラの輻輳は、その光軸の点上にくるようになり、この光軸自体は装置の全体に対して垂直である。
【0093】
複数の装置も、それらのカメラの1台の制御下にあり得る。
【0094】
階層は、立体値に関連するパラメータに応じて変わることができ、例えば、対象の画面のサイズに従った特定の画面上の画素数での又はミリメートル単位での視差も、階層に含まれ得る。この場合、オペレータには、想定される視差が種々の技術者の制御装置及び通信装置に組み込まれ得る任意の視覚又は聴覚システムを下回ったことが警告され得る。
【0095】
3)モーションコントロールは、リアルタイムで光軸のパラメータを管理できるだけでなく、延期された撮像においてこれらの軸の変化を「再生」することができる。新たなパラメータを組み込むことによって、又はそれらのいくつかの値を種々の階層度に変えることによって、シーンの特定のパラメータを再生する能力が、各軸又は軸群を順次学習する非常に複雑な撮像を制御すること、合成ショットの撮影を制御すること、さらに1つのシーケンス又はフィルムを通して同じパラメータを保持しつつ異なるショット又はシーケンスを撮影することも可能にする。
【0096】
4)合成ショットを撮影する場合、モーションコントロールパラメータのいくつかに介入する可能性を保ちながら他の撮像で記憶された特定のパラメータを保持しなければならない。
【0097】
−例えば、コメディアンを或る背景に対して撮影する場合、同じコメディアンでの最初の撮影時に用いられたパラメータの変化を自動的に再現することが可能である。しかしながら、合焦又は任意の他のパラメータは、シーン設定の決定に基づいて異なる処理が行われてもよい。
【0098】
−別の例では、フィルムを通して種々のファントムキャラクターが現れ得るが、最初の撮像又はその後の撮像のパラメータが撮影中繰り返される。
【0099】
5)モジュールは、相補的な輪郭44が設けられているカメラスライダ4のための支持体としての役割を果たすダブテール34を組み込むことができる。カメラ6が取り付けられるこのスライダ4は、光学装置に応じて、モックアップ撮影用の回転軸に物体節点を位置付けること、又はミラー57に必要な視野範囲(field of coverage)を制限するために(例えば、図4及び図5等のマウンティングの場合)レンズの前面をミラー57に対して位置決めすることを可能にする。
【0100】
ダブテール34、44のサイズは、それらが支持するカメラ6に応じて変わる。現在はデジタルカメラを軽量化する傾向があるため、本発明は、占有体積を最小化するよう試みることによって、製造業者のモデルに近付く。
【0101】
II)モジュール支持体
a.支持体は、モジュールのように、多用性及び互換性がある。これらは、規模はさまざまであるが、受け入れるモジュールに関係なく同じ機能性を保つ。
【0102】
b.支持体の多用性:
モジュールは、直角で(図2b及び図4〜図6)又は並列で(図2a及び図3)、独立して用いることができる。
【0103】
直角には種々のタイプがある。
【0104】
−図4及び図5のような直角は、そのミラー57が270度の角度の側から直角を二分する平面上にある場合に「天頂」直角であり、カメラの2つの底面が90度の角度で対面していると言える(図2b、図4、及び図5を参照)。これらの図では、カメラのモジュールは、直角を成す支持体51及び52に固定され、ミラー57は、図4に示す53において支持体51及び52と関節接合されている(又は、図5に示す53’においてこれらの支持体に固定式に連結されてもよい)フレーム55及び56によって支持される。この構成は、屋外撮像かスタジオ撮像かにかかわらず概して上方から入射する寄生光から、ミラー57の2面を最もよく保護する。図2bは、モジュールD2及びモジュールG2の左肩で支持されている撮像構成を示す。図4では、モジュールD2がモジュールD1に置き換えられており、すなわち並進能力がない。実際には、肩で支持される装置を用いた立体撮像では、概してステレオベースの画定には1つのモジュール上でのみ調整され得る中心間距離で十分である。
【0105】
−ミラーが90度の角度を二分する平面内に位置付けられる場合、直角が「クレーン」構成であると言える。図示のようなモジュールD2又はG1(又は、D2及びG2でもよい)を有するこの構成(図6)は、太陽にはあまり好ましくないが、組立体を地面に非常に近い水平面に配置することを可能にし、これは実物セットでのローアングル撮像に好ましい。
【0106】
−上/下画像の反転によって両用途で同じ装置を用いることが可能になる場合、直角が混合型である(a right angle is mixed)と言える。
【0107】
−並列支持体7(図2a及び図3)は、N個のモジュールD2/G2及び/又はD1/G1を並置することを可能にするが、例えば遠く離れた撮像のためにN個の支持体を互いに離して配置するために、スプレッダ(図示せず)を組み込み得る。
【0108】
c.支持体7、51、52の機能性
−支持体7、51、52は、すべての映画専用又はテレビ専用の機械に直接配置されるため、カメラとカメラが配置される電動又は手動ヘッドとの間のインタフェースを形成する製造業者のダブテール等の通常の支持体の代わりとなる。その理由は、既存のシステムの人間工学性では、モジュールに組み込まれると光軸の高さの補正調整を可能にするシート及び光軸の調整用の三脚の支承点を受け入れないためである。
【0109】
−通常のシステムは、モジュールを支持する三脚が担持する3つの領域において高い平面度及び表面状態を必要とするこの補正システムを受け入れるように設計されていないため、このタイプの用途に対応しない。
【0110】
したがって、支持体は、手動ヘッド(ハンドクランク又は流体)又は電動ヘッドの上部とモジュールとの間のインタフェースを提供するため、カメラ/モジュール/支持体組立体の一部を形成する。これらは、締結具以外によってモジュールに組み込むことができず、締結具の可撓性が、三脚によるシート及び光軸の高さの補整を可能にする。
【0111】
−支持体は、モジュール間の、及び外部の電源、記憶源、又は管理源への信号の分配も可能にする。
【0112】
−支持体は、モーションコントロールのパラメータ及び短いシーケンスの記録のすべてを管理するためのマイクロコントローラを含むことを可能にする。
【0113】
−このマイクロコントローラは、モジュール内に配置され得るか、又は直角位置でミラーの下に、且つ並列型で光学系の下に組み込まれ得る。この場合、その締結具は同一のままである。
【0114】
−支持体7、51、52は、モジュールの体積を減らすために又はシステム全体を小型化するために、特定の軸又は機能性用の管理カードをその厚さ内に組み込むこともできる。
【0115】
d.コネクタ:
−すべてのコネクタがモジュール及び支持体間で適合可能である。
【0116】
−モジュール間のみ、支持体間のみ、及び支持体とモジュールとの間で、相互接続が行われ得る。
【0117】
−モーションコントロールに従属する光学系間の相互接続は、モジュール又は支持体を通過し得る。
【0118】
III)モジュールの組み合わせ:
同じサイズのカメラに対して主に6つの異なるモジュール、D2、G2、D1、G1、D1’、及びG1’があるため、多くの可能なモジュールの組み合わせがあり、これにより、2つの視点での立体視用、さらには3つ以上の視点でのレリーフ用に、多くの可能なモジュールの組み合わせが得られる。
【0119】
−D2:右並進回転モジュール、G2:左並進回転モジュール。図2aは、並列に配置された右モジュールD2及び左モジュールG2を示している。
【0120】
−ハイアングルショット、ヘリコプター撮像等のための、D1’:軽量化右回転モジュール(G2に適合)、及びG1:軽量化左回転モジュール(図8、D2に適合)。これらのモジュールは、モジュールD2/G2上に位置決めされる。複数位置決めは、機械的であり、決定値内に並進を保つ。
【0121】
これらのモジュールはすべて、N個の視点(Nは2以上)を有するカメラシステムの構成要素である。
【0122】
3つ以上の視点を有する撮像システムの場合、輻輳及び中心間距離の漸次変化は、比例した効果を有するシステムによって作動される種々の同一機構から、又は他方では、右カメラ用の単一ギアモータ及び左カメラ用の単一ギアモータによって作動されるスケール機構から得られる場合がある。この場合、これらの機構は、並進機構を収容している非常に厚い直角ブラケットを示す図5のようなモジュールの支持体に組み込まれ得る。
【0123】
図7は、モジュールが省スペースのために二重支持の筐体80内に頭尾を交互にして位置決めされる、撮像アセンブリを示している。図示の例では、2つのモジュールD2及び2つのモジュールG2(又は、2つのモジュールD1及び2つのモジュールG2でもよい)を備える4台のカメラのセットが得られる。各セットは、筐体80内に収容され、単独で(4台のカメラでのレリーフ撮像に)用いられるか、又は直角タイプの取り付けで示すように(両セットのカメラの光軸を交互配置にして)8台のカメラでのレリーフ撮像に用いられ得る、撮像組立体を形成する。この頭尾を交互にした取り付けは、偶数台のカメラ(2、4、6等)を備えるセットの場合に関することを理解されたい。この取り付けは、2台に1台のカメラからの画像を反転させることを必要とし、これはデジタルカメラで行いやすいことも留意されたい。
【0124】
図8は、共通の本体11上にモジュールD2と共に取り付けられているモジュールG1’を示している。この場合、2つのモジュール間のシート及び光軸補正が手動調整によってのみ可能であることに留意すべきである。したがって、これは、異なるセットに入ることを目的とする場合のハイアングルショット又はモデル等の極端な撮像条件用に確保される構成である。手動補正は、フォーカス及び絞りのみを備える固定光学系用に確保される。
【0125】
IV)2つ以上の視点を有するレリーフ専用のカメラの設計へのモジュールの包含。
【0126】
カメラは、モジュール及びそれらの支持体7、51、52をそれらの設計から組み込むことができる。このシステムは、モジュールのできる限り近くにカメラを構成するセンサを有することによって、且つ中心間距離を組み込むタイプD2及びG2のモジュールの場合に中心間距離の調整に必要な幅を除いてセンサ取り付けに必要な占有体積を超える要素がないように、回転部の機械部品のすべてを寸法設定することによって、全体的な占有体積をさらに減らすことを可能にする。
【0127】
タイプD1及びG1又はD1’及びG1’のモジュールの場合、センサの取り付けは、モジュールの最大占有体積に限度を与える。
【0128】
この装置は、レリーフ撮影用のミニチュアカメラの製造を可能にする。
【0129】
利点は、
高さの空間節約:場合によってはダブテールの排除。
【0130】
−全方向でのモジュールに対するカメラ前面及びセンサの直交及び平行設計。
【0131】
−光軸の高さの厳密な保持。
【0132】
−平行不良の導入のない光学的センタリングのしやすさ。
【0133】
−支持体/モジュール/カメラスタックからの大幅な高さ低減。
【0134】
−製造時に早くも行われるシート及び光軸変化の補正。
【0135】
−この構成のカメラ、モジュール、及び支持体が単一の統合組立体になる。
【0136】
図10は、単一のレール100が設けられているモジュールを示している。好適な構成では、移動キャリッジ2を並進駆動する装置が、単一のレール100とカメラ支持体3の回転軸33との間に収容され、レール及び並進駆動装置は、回転軸とそのアクチュエータとの間に収容される。
【0137】
図11は、一方にセンサを含む撮像筐体102を有し他方に光学系103を有する、撮像装置101を取り付ける好適な方法を示している。光学系103は、例えば、光学モータドライブ104を収容している筐体を介して回転要素3に取り付けられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レリーフ撮像用のカメラ保持モジュールであって、
−モジュール本体の第1の面によって支持される少なくとも1つの案内レールと協働する案内手段を有する、並進平面で並進移動するキャリッジ(2)、及び該移動キャリッジを並進駆動する装置と、
−前記移動キャリッジによって支持され、且つ回転軸及び案内要素(32)を有するカメラ保持回転要素(3)、及び該カメラ保持要素を回転させるように前記案内要素(32)と協働してその移動を誘発するアクチュエータ(27)であって、前記移動キャリッジを並進駆動する装置が、前記アクチュエータ(27)と前記回転要素(3)の前記回転軸(33)との間に位置決めされる、カメラ保持回転要素及びアクチュエータと、
を備えることを特徴とする、レリーフ撮像用のカメラ保持モジュール。
【請求項2】
前記案内要素(32)は、前記移動キャリッジ(2)に形成される案内スロット(23)内で摺動することを特徴とする、請求項1に記載のモジュール。
【請求項3】
前記並進移動するキャリッジは、2つの平行な案内レールによって案内され、前記カメラ保持回転要素は、前記2つの案内レール間の空間内に少なくとも延びる、請求項1又は2に記載のモジュール。
【請求項4】
前記カメラ保持回転要素の前記回転軸は、第1のレールの上に位置決めされることを特徴とする、請求項3に記載のモジュール。
【請求項5】
前記アクチュエータは、前記2つのレール間の空間外に位置付けられ、前記案内要素は、前記2つのレール間の空間を超えて前記カメラ保持回転要素の領域に位置決めされることを特徴とする、請求項3又は4に記載のモジュール。
【請求項6】
前記移動キャリッジを並進駆動する装置は、前記2つのレール間の空間内に位置決めされることを特徴とする、請求項3〜5のいずれかに記載のモジュール。
【請求項7】
前記並進移動するキャリッジは、単一の案内レールによって案内されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のモジュール。
【請求項8】
前記移動キャリッジを並進駆動する装置は、前記案内レールと前記回転要素(3)の前記回転軸(33)又は前記アクチュエータ(27)との間に位置決めされることを特徴とする、請求項7に記載のモジュール。
【請求項9】
前記アクチュエータ及び/又は前記駆動する装置は、ボールねじ又はウォームねじであることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載のモジュール。
【請求項10】
前記カメラ保持回転要素は、カメラ摺動支持体を組み込むことを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載のモジュール。
【請求項11】
前記回転軸は、一方向の回転駆動移動を可能にし且つ他の方向に高い剛性を有する弾性要素(90、91)を含むことを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載のモジュール。
【請求項12】
前記回転要素の最大回転角度は、最大10度、より詳細には5度であることを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載のモジュール。
【請求項13】
前記モジュール本体に組み込まれた3点シート補正装置を有し、当該3点シート補正装置は、前記第1の面の反対側にある前記モジュール本体の第2の面に形成される溝に収容される3つの制御部材と、前記モジュールの前記並進平面に対して垂直に移動する3つの要素とを備えることを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載のモジュール。
【請求項14】
撮像筐体(102)及び光学系(103)を有する撮像装置を備え、該光学系(103)は、単独で、光学電動手段を収容している前記筐体によって前記カメラ支持体(3)に取り付けられることを特徴とする、請求項1〜13のいずれかに記載のモジュール。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれかに記載の少なくとも1つのモジュールと、制御装置とを備え、
前記制御装置は、1つ又は複数の前記モジュールの移動キャリッジ及びカメラ保持回転要素と、1つ又は複数の前記モジュールによって支持されるカメラの少なくとも合焦とを制御するパラメータを生成可能であることを特徴とする、レリーフ撮像装置。
【請求項16】
請求項1〜14のいずれかに記載の少なくとも2つのモジュールを備えることを特徴とする、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
1つの前記カメラ保持回転要素のみを有する少なくとも1つのモジュールを備えることを特徴とする、請求項15又は16に記載の装置。
【請求項18】
前記制御装置は、
−前記パラメータが互いに独立して調整される、第1のいわゆるレベル1動作モードと、
−少なくとも1つのパラメータを或るパラメータに従属させる、第2のいわゆるレベル2動作モードと、
を有することを特徴とする、請求項15〜17のいずれかに記載の装置。
【請求項19】
2つの前記パラメータは、輻輳角及び合焦距離であることを特徴とする、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記制御装置は、第1のパラメータを第2のパラメータに従属させ、該第2のパラメータを少なくとも第3のパラメータに従属させる、第3のいわゆるレベル3動作モードを有することを特徴とする、請求項15〜19のいずれかに記載の装置。
【請求項21】
前記第1のパラメータは、2つのモジュールの2台のカメラの中心間距離であり、前記第2のパラメータは、前記2台のカメラ間の輻輳角であり、前記第3のパラメータは、合焦距離であることを特徴とする、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記モジュールは、直角に取り付けられ、少なくとも2つのモジュールが半反射リターンミラーの両側に位置決めされることを特徴とする、請求項15〜21のいずれかに記載の装置。
【請求項23】
前記モジュールは、前記カメラに組み込まれることを特徴とする、請求項15〜22のいずれかに記載の装置。
【請求項24】
少なくとも1対の対称モジュールが、同一の筐体内に頭尾を交互にして取り付けられることを特徴とする、請求項15〜22のいずれかに記載の装置。
【請求項25】
半反射ミラーの両側に直角に取り付けられる2つの前記筐体を備え、該筐体それぞれに取り付けられている前記モジュールによって支持されるカメラの軸が交互配置されることを特徴とする、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
異なるタイプのカメラ用に異なるサイズのモジュールを備え、制御装置からの制御信号がステレオカメラを構成する種々のモジュールのセットの全モジュールで用いられ得るように、前記モジュールの制御パラメータが該モジュールから独立していることを特徴とする、請求項15〜25のいずれかに記載の撮像装置用のモジュールのセット。

【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2011−503649(P2011−503649A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−532637(P2010−532637)
【出願日】平成20年11月7日(2008.11.7)
【国際出願番号】PCT/FR2008/001584
【国際公開番号】WO2009/092924
【国際公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(509215178)
【Fターム(参考)】