説明

カメラ

【課題】 カメラボディのマイコンのリセット動作を実行したとしても、カメラボディのマイコンとレンズのマイコンとの間で状態のずれが生じないように、レンズのマイコンも一緒にリセット動作を行う。
【解決手段】 本発明によると、カメラ内部の都合で、カメラ内のマイコンをリセットしなければならない状態が生じた場合、カメラ側マイコンが、リセット処理を実行し、その中で、レンズに供給している電源を切断するようにする。その後、電源を投入すれば、レンズ内では、電源投入リセットが自動的に掛かり、カメラとレンズ双方のリセットを掛けることが可能となる。
このようにして、カメラとレンズの電気的接点を増やすことなく全てのレンズに共通にリセットする仕組みを実現できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラとレンズの両方にマイコンが搭載されているカメラシステムのリセット動作制御に関するものである。
【背景技術】
【0002】
レンズが着脱可能な、一眼レフカメラでは、カメラとレンズの両方にマイコンが搭載されている。そして、電源投入時にはカメラとレンズとの両方のマイコンにリセット動作を行うことが知られている。(特許文献1参照)
図2は、カメラとレンズの両方にマイコンが搭載されているカメラシステムの回路を説明する図である。
【0003】
201はレンズ側接点ブロックである。202はレンズ側マイクロコンピュータである。203はリセットICであり、レンズ側マイコンの電源電圧VDD2が所定電圧を超えるまで、レンズ側マイコン202のリセットをする。204はカメラ側接点ブロックである。205はレンズ側にVDD2を供給するためのFETである。207はカメラ側マイコンをリセットするためのリセットICである。208はカメラ側マイコンである。209はプルアップ抵抗であって、レンズが取り外されている状態でFET205をOFFさせる。
【0004】
図2の回路において、VDD2ONのポートにHレベルを出すとGNDにショートしてしまうためVDD2を切断することが出来ない。このため、入力としてレンズが付いているか否かを読み出すことのみ可能で電源の切断は出来ない構成になっている。したがって、レンズ側マイコンをリセットすることが出来ない。レンズは、情報が変化したと通知する事が出来ず、カメラは何の情報も取得できない。
【特許文献1】特開平9−211651号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
カメラ側のマイコンのリセットする場合、カメラ側のマイコンとレンズ側のマイコンとの間で状態のずれが生じないように、レンズ側のマイコンも一緒にリセットしなくてはならない。
【0006】
しかしながら、上述した従来技術では、レンズのマイコンのリセット動作は、レンズをカメラボディに取り付けた時に電源投入リセットが、一度動作するのみで、カメラ側からは制御できないようになっている。したがって、レンズのマイコンのリセット端子はカメラボディのマイコンからは制御できずに、カメラボディのマイコンとレンズのマイコンとの間で状態のずれが生じる可能性があった。
【0007】
本発明は、カメラボディのマイコンのリセット動作を実行したとしても、カメラボディのマイコンとレンズのマイコンとの間で状態のずれが生じないように、レンズのマイコンも一緒にリセット動作を行うような構成を実現するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によると、カメラ内部の都合で、カメラ内のマイコンをリセットしなければならない状態が生じた場合、レンズ側マイコンのリセットもしなければならないが、レンズとカメラの間の伝達信号にレンズ側のマイコンのリセット信号が含まれていないため、このままではできない。
【0009】
レンズに供給している電源回路に供給を切断する回路を設け、カメラ側マイコンが、リセット処理を実行し、その中で、レンズに供給している電源を切断するようにする。その後、電源を投入した時、レンズ内では、電源投入リセットが自動的に掛かり、カメラとレンズ双方のリセットを掛けることが可能となる。
【0010】
これは、カメラとレンズの電気的接点を増やすことなく全てのレンズに共通にリセットする仕組みを実現したものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、カメラとレンズ間のインターフェイスに大きな変更をすることなくレンズ側マイコンをリセットする事が出来、カメラ側の都合でカメラ側マイコンのリセットを行った場合でもレンズ側マイコンのリセットを簡単に行う事が可能となり、カメラとレンズマイコンの状態ずれを回避可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は本発明を一眼レフレックス電子カメラに適用して実施した回路例である。
【0013】
図1において、101はレンズ側接点ブロックである。102はレンズ側マイクロコンピュータである。
【0014】
103はリセットICであり、レンズ側マイコンの電源電圧VDD2が所定電圧を超えるまで、レンズ側マイコン102のリセットをする。104はカメラ側接点ブロックである。105はレンズ側にVDD2を供給するためのFETである。106はVDD2を急速にディスチャージするためのFETである。107はカメラ側マイコンをリセットするためのリセットICである。108はカメラ側マイコンである。
【0015】
109はプルアップ抵抗であり、レンズが取り外されている状態でFET105をOFFさせる。110はカメラ側マイコンがレンズ取り付け状態の時に、FET105をOFF信号を出せるようにする抵抗。
【0016】
111はVDD2を急速にディスチャージする時の負荷抵抗である。112はFET106をOFFさせるため抵抗。
【0017】
まず、レンズを取り付けると、接点104−1がレンズ側接点ブロック101によってGNDにつながり、FET105のゲートの電位がほぼGNDとなって、FET105がオンする。すると、VDD2が供給され、レンズ側マイコン102に電源が供給される。同時にリセットIC103が働き、レンズ側マイコン102のリセットが解除されレンズが動作可能となる。
【0018】
その後、MISO,MOSI,SCLKの信号によって通信を行い様々な制御を行う。
【0019】
制御の例としてまず、表1のコマンドを使いレンズの中でどのようなことが変化したかを調べ、変化した内容に対応した処理を行う。このコマンドはレンズの中で変化した内容を調べるために用いられる。表2には、どのような内容が変化したのかを記載している。実際には全てのビットが割り当ててあるが、説明を簡単にするため減らしてある。表2に従い変化した内容に対応した処理を行う。レンズ内のマイコンにリセットが掛かると、全ての情報が変化したと通知してくるので、全ての処理を行う。
【0020】
この例では、ステータスの変化、焦点距離変化、AV値変化となっているので、ステータス、焦点距離、AV値の読み出しを行う。
【0021】
これと同じ動作をカメラ側の都合でレンズにリセットを掛けることで行うには、VDD2ONのポートを出力に切り換えHレベルの出力をする、こうすると、FET105がOFFし、レンズへの電源が切断される。次に、FET106をオンさせるため、FET106のゲートに、Hレベルを出力する。
【0022】
これで、VDD2のラインにはVDDが遮断され抵抗111を介しGNDが接続される。この状態をしばらく維持した後、FET106のゲートをLレベルにし、VDD2ONポートを入力に戻す。
【0023】
こうする事で、VDD2には、再び電源が供給され、RESETIC103によってレンズ側マイコンにリセットがかけられ、レンズ側マイコンが動作可能な状態となり、通信を行うと、全ての情報が変化したと通知してくる。これで、レンズを取り付けし直したと同じ状態を再現可能となるのである。
【0024】
また、この発明は、省エネのため、カメラのスイッチがロック状態(不図示)の時、レンズ側の電源を切っておくというのにも、応用可能である。
【0025】
【表1】

【0026】
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態の電気回路を表した回路図である。
【図2】従来例の電気回路を表した回路図である。
【符号の説明】
【0028】
105 レンズ側にVDD2を供給するためのFET
106 VDD2を急速にディスチャージするためのFET
112 FET106をOFFさせる抵抗

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズが着脱可能な、一眼レフカメラにおいて、レンズに供給している電源回路に供給を切断する回路を設け、レンズ側マイコンに供給される電源をカメラ側から切断し、電源を再投入し、レンズ側マイコンにリセットを掛ける事を特徴とする電子カメラ。
【請求項2】
請求項1において、カメラがロック状態のとき、レンズ側に供給される電源をカメラから切断しておく事を特徴とする電子カメラ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−47485(P2007−47485A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−232180(P2005−232180)
【出願日】平成17年8月10日(2005.8.10)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】