説明

カメラ

【課題】カメラの向きが異なっても、正しい移動方向が表示されるカメラを提供する。
【解決手段】第1の位置と該第1の位置と異なる第2の位置で、立体画像を生成するための2つの画像を撮像するカメラであって、被写体を撮像する撮像素子5と、カメラの底面が水平になるように構えて撮影する第1撮像か、またはカメラの底面が斜め又は垂直になるように構えて撮影する第2撮像かを検出するための加速度センサ15と、カメラを第1の位置から第2の位置にシフトする方向を表示する表示部27と、加速度センサ15の検出結果に基づいて、第1撮像か第2撮像かに依らず、カメラをシフトする方向が水平になるように、表示部27に表示する表示画像を制御する3D表示画像制御部13を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3D撮影可能なカメラに関し、詳しくは、第1の位置で1枚目の撮影を行った後に移動させ、第2の位置で2枚目の撮影を行い、このとき取得した視差のある2枚の画像から3D画像を生成するカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
第1の位置で1枚目の画像を撮影した後、カメラを移動させ、第2の位置で2枚目の画像を撮影することにより、視差のある2枚の画像を取得し、この2枚の画像から立体画像(3D画像)を生成することは種々提案されている。例えば、特許文献1には、1枚の画像を撮影し、これを静止画として表示すると共に、ライブビュー表示に2枚目の撮影ガイドを表示し、2枚目の画像を撮影可能としたカメラが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−244500号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の3D撮影用のカメラは、3D画像を水平方向に視差のついた画像として鑑賞することを前提としている。このカメラを90度回転させた縦位置で撮影を行う場合には、縦位置のままで、カメラを水平方向に移動させる必要がある。しかし、カメラの撮影ガイドは、撮影画面の長手方向に移動させることを前提に表示されることから、カメラを縦位置で移動させる場合には、移動方向が水平方向ではなく鉛直方向になってしまう。カメラの撮影ガイドに従って撮影を行うと、3D画像が適切に再生されない。
【0005】
本発明は、このような事情を鑑みてなされたものであり、カメラの向きが異なっても、正しい移動方向が表示されるカメラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため第1の発明に係わるカメラは、第1の位置と該第1の位置と異なる第2の位置で、立体画像を生成するための2つの画像を撮像するカメラにおいて、被写体を撮像する撮像部と、上記カメラの底面が水平になるように構えて撮影する第1撮像か、または上記カメラの底面が斜め又は垂直になるように構えて撮影する第2撮像かを検出する検出部と、上記カメラを上記第1の位置から上記第2の位置にシフトする方向を表示する表示部と、上記検出部の検出結果に基づいて、上記第1撮像か上記第2撮像かに依らず、上記カメラをシフトする方向が水平になるように、上記表示部に表示する表示画像を制御する表示画像制御部と、を備える。
【0007】
第2の発明に係わるカメラは、上記第1の発明において、上記表示画像制御部は、上記第2撮像を行うにあたって、カメラの撮影構図を維持した画像を生成する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、カメラの向きが異なっても、正しい移動方向が表示されるカメラを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1実施形態に係わるカメラの主として電気回路を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係わるカメラにおいて、3D撮影ガイドを説明する図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係わるカメラにおいて、縦位置で撮影する際の3D撮影ガイドの従来のやり方との対比を示す図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係わるカメラの撮影動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第2実施形態に係わるカメラにおいて、3D撮影ガイドを説明する図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係わるカメラの撮影動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に従って本発明を適用したカメラを用いて好ましい実施形態について説明する。本発明の好ましい実施形態に係わるカメラは、デジタルカメラであり、撮像素子15等を含む撮像部を有し、この撮像部によって被写体像を画像データに変換し、この変換された画像データに基づいて、被写体像を本体の背面に配置した表示部にライブビュー表示する。撮影者はライブビュー表示を観察することにより、構図やシャッタチャンスを決定する。レリーズ操作時には、画像データが記録部23に記録される。また、3D撮影モードが設定されている場合には、第1位置で撮影した後に、第2の位置までの移動方向等の表示が表示部になされ、この表示に沿って第2の位置で撮影すると、カメラは3D画像を生成し、記録部23に記録する。
【0011】
図1は、本発明の第1実施形態に係わるカメラの構成を示すブロック図である。レンズ1の光軸上には、撮像素子5が配置されている。レンズ1にはレンズ駆動部3が、また撮像素子5には撮像駆動部7が接続されている。
【0012】
レンズ1は、変倍光学系を含む例えばズーム機構を備えた光学レンズであり、被写体光を集光し被写体像を形成する。レンズ駆動部3によってレンズ1の光軸方向に沿って移動可能であり、後述するシステム制御部21らの制御命令に従って、フォーカス位置やズーム位置の制御を行う。
【0013】
撮像素子5は、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の固体撮像素子によって構成され、レンズ1によって形成された被写体像を画像信号に変換する。単板式または3板式のいずれかで構成される。撮像駆動部7は、システム制御部21からの信号に従って、タイミング信号を生成し、撮像素子5の画像信号の蓄積や読み出し等の駆動を行う。本実施形態においては、撮像素子5および撮像駆動部7によって撮像部が構成される。
【0014】
撮像素子5の出力は画像処理部9に接続されている。画像処理部9は、相関二重サンプリングCDS(Correlated Double Sampling)回路、信号レベルを増減させるアンプ回路、アナログ信号をデジタルデータに変換するADC(Analog to Digital Converter)等の回路を有する。画像処理部9は、システム制御部21からの制御信号に従って、前述の回路によって、感度調整や、色調整や、ノイズ低減処理等、種々の画像処理を実行する。画像処理部9によって処理された信号は、システム制御部21に出力される。なお、本実施形態においては、撮像素子5によって出力される画像信号、または画像処理部9等において処理されたデータについても、画像データと称する。
【0015】
システム制御部21には、前述のレンズ駆動部3、撮像駆動部7、画像処理部9以外に、3D画像合成部11、3D表示画像制御部13、加速度センサ15、3D撮影シフト情報算出部17、メモリ部19、記録部23、指示部25、および表示部27が接続されている。
【0016】
3D画像合成部11は、左目画像と右目画像を合成し、3D画像を生成する。この3D画像合成処理としては、例えば、左右の画像に、撮影された同一被写体を表示する際、ある視差をもって重ね合うように画像処理を行う。画像処理の内容として、具体的には左目画像と右目画像の差異を補正するために、右目画像に対して、次のような処理を行う。(1)水平や垂直方向の位置ずれに対して領域切り出し等を行う。(2)倍率ずれに対して倍率補正を行う。(3)輝度ずれに対してはゲイン補正を行う。(4)回転ずれや歪ずれに対して幾何補正を行う。3D画像合成にあたっては、上述の補正等を種々組み合わせて行う。
【0017】
3D表示画像制御部13は、後述する3D撮影シフト情報算出部17によって求めたカメラのシフト方向およびシフト量を撮影者に指示するための撮影ガイドを生成し、表示部27に表示する。撮影ガイドとしては、例えば、矢印、左目画像の一部、その他の記号等がある。また、3D表示画像制御部13は、3D画像合成部11で合成された左右画像に対して、左右画像で重ならない画像周辺領域の切り抜き処理を行い、この処理された画像を表示部27に表示する。すなわち、3D表示画像制御部13は、後述する加速度センサ15を含む検出部の検出結果に基づいて、カメラの底面が水平になるように構えて撮影する第1撮像か、カメラの底面が斜め又は垂直になるように構えて撮影する第2撮像かに依らず、カメラをシフトする方向が水平方向になるように、表示部27に表示する表示画像を制御する表示画像制御部としての機能を果たす。
【0018】
加速度センサ15は、X、Y,Z軸等、複数方向の重力加速度を検出する。加速度センサ15によって検出された重力加速度信号は、システム制御部21に出力され、システム制御部21は、カメラの撮影位置(向き)を検出する。また、加速度センサ15内には、水平方向を検出する水準器等のセンサも有している。したがって、加速度センサ15は、カメラの底面が水平になるように構えて撮影する第1撮像か、またはカメラの底面が斜め又は垂直になるように構えて撮影する第2撮像かを検出する検出部としての機能を果たす。
【0019】
3D撮影シフト情報算出部17は、システム制御部21を介して入力した重力加速度信号および水準器信号に基づいてカメラの向きを検出し、視差の向きとなる水平方向を決定する。また、レンズ1の焦点距離情報や、合焦被写体の撮影距離情報等を用いて、3D撮影の際の視差量を算出する。
【0020】
メモリ部19は、DRAMやSDRAM等の揮発性メモリや、フラッシュROM等の不揮発性メモリから構成される。揮発性メモリは、画像処理部9の画像処理用や、3D画像合成部11や3D表示画像制御部13の3D画像処理用等として、システム制御部21を介して記憶される。また不揮発性メモリは、システム制御部21において実行処理されるプログラムや、カメラの各種調整値等が記憶される。
【0021】
記録部25は、カメラ本体に着脱自在に構成され、SDカード、コンパクトフラッシュ(登録商標)等の不揮発性の記録媒体である。なお、カメラ本体に固定のハードディスク、半導体メモリ等で構成しても勿論かまわない。
【0022】
指示部25は、撮影者がカメラに対して指示するための操作部材であり、撮影モード操作ダイヤルや、ズームスイッチ、レリーズ釦、メニュー釦等の各種操作部材を有し、操作状態はシステム制御部21に出力される。3D撮影モードは、メニュー画面において設定するが、専用の釦を設ける等、他の操作部材によって設定するようにしてもよい。システム制御部21は、入力部37からの操作状態の情報に基づいてカメラの制御を行う。
【0023】
表示部27は、カメラ本体の背面等に配置されたLCD、有機EL等の表示デバイス等を含み、画像データに基づいてライブビュー表示を行う。また、表示部27は、メモリ部19に記録された撮影画像の再生表示を行い、さらに露出制御値等の表示や撮影モード等設定のためのメニュー画面の表示を行う。3D撮影モードが設定されている場合には、撮影ガイドの表示を行う。すなわち、カメラを第1の位置から、第1の位置とは異なる第2の位置にシフトする方向を表示する表示部としての機能を果たす。
【0024】
次に、図2および図3を用いて、3D撮影モードが設定されている場合の撮影ガイド表示について説明する。図2(a)は、3D撮影モード設定時の撮影と立体画像の生成を示している。まず、第1の位置で被写体37を撮影し、左目画像31を取得する。この後、カメラを右側に移動させ、所定距離移動した第2の位置で被写体37を撮影し、右目画像33を取得する。2つの撮影画像を取得すると、2つの撮影画像の内の被写体37の重複部分、すなわち、左目画像31中の重複範囲31aと、右目画像33中の重複範囲33aを、3D画像(立体画像)となるように合成し、再生画像35を生成する。再生時には、重複範囲31aと33aの画像を交互に表示する。
【0025】
ところで、第1の位置で左目画像31を撮影すると、次に、第2の位置に向けてカメラを移動させる際に、図2(b)に示すように、視差方向ガイド32を表示部27に表示する。撮影者は、この視差方向ガイド32に従ってカメラを移動させればよいので、便利である。第2の位置で右目画像33を取得し、前述したように2つの撮影画像を合成し、3D画像である再生画像35を生成する。この再生画像35は、撮影時の視差の方向(カメラの移動方法)と、再生時における2つの目39によって見る視差の方向が一致していることから、立体感に違和感がない。
【0026】
図3に示す例は、カメラを縦位置に構えて撮影する場合である。まず、図3(a)に示すように、第1の位置で被写体37を撮影し、左目画像51を取得する。この後、カメラを第2の位置に移動させるが、このとき、従来の特許文献1に開示されたカメラで撮影する場合には、カメラの長手方向、言い換えると鉛直方向に視差方向移動ガイド52が表示される。撮影者がこの視差方向移動ガイド52に沿って鉛直方向に所定距離移動した第2の位置で被写体37を撮影し、右目画像53を取得する。
【0027】
2つの撮影画像を取得すると、2つの撮影画像の内の被写体37の重複部分、すなわち、左目画像51中の重複範囲51aと、右目画像53中の重複範囲53aを、3D画像となるように合成し、再生画像55を生成する。カメラやテレビ等の表示部は、横長画面であることから、再生画像55は、横長画面中に縦長の重複範囲51a、53aが合成された画像となる。この再生画像55は、撮影時の視差の方向(カメラの移動方向=鉛直方向)と、再生時に2つの目39によって見る視差の方向(水平方向)が一致しないことから、立体感に違和感が生じてしまう。
【0028】
そこで、本実施形態においては、図3(b)に示すように、視差方向ガイド62の表示を行うようにしている。まず、第1の位置で被写体37を撮影し、左目画像61を取得する。この後、撮影者がカメラを移動させるが、このとき、カメラの表示部27の長手方向と垂直な方向、言い換えると水平方向に視差方向移動ガイド62を表示する。撮影者がこの視差方向移動ガイド62に沿って水平方向に所定距離移動した第2の位置で被写体37を撮影し、右目画像63を取得する。
【0029】
2つの画像を取得すると、2つの画像の内の被写体37の重複部分、すなわち、左目画像61中の重複範囲61aと、右目画像63中の重複範囲63aを、3D画像となるように合成し、再生画像65を生成する。再生画像65は、図3(a)の場合と同様、横長画面中に縦長の重複範囲61a、63aが合成された画像となる。この再生画像65は、撮影時の視差の方向(カメラの移動方向=水平方向)と、再生時に2つの目39によって見られる視差の方向(水平方向)が一致することから、立体感に違和感がない。なお、カメラの水平方向は、加速度センサ15内の水準器等のセンサで検出し、この水準器等のセンサの検知出力に従って表示すればよい。
【0030】
次に、本実施形態における動作について、図4に示すフローチャートを用いて説明する。このフローチャートおよび後述する図6に示すフローチャートは、メモリ部19に記憶されているプログラムに従って、システム制御部21が実行する。このフローは、3D撮影モードが設定されている場合における3D撮影関連の処理について示す。
【0031】
図4に示すフローがスタートすると、まず、3D撮影モードの設定を行う(S1)。前述したように撮影者がメニュー画面において3D撮影モードの設定を行うことから、このステップでは、メニュー設定に基づいて判定する。
【0032】
ステップS1において3D撮影モードが設定されると、次に、3D撮影待機に入る(S3)。ここでは、左目撮影用に、撮像素子5から取得した画像データに基づいて、表示部25にライブビュー表示を行う。撮影者はライブビュー表示を観察することにより、構図とシャッタタイミングを決定する。
【0033】
続いて、左目画像撮影を行う(S5)。撮影者は、3D撮影待機の際にライブビュー表示を観察し、構図とシャッタタイミングが決まると、指示部25内のレリーズ釦を操作する。レリーズ釦が操作されると、撮像素子5から静止画用の画像データを取得し、画像処理部9において画像処理を行った後、左目画像としてメモリ部19に一時記憶する。また、左目撮影時のレンズ1のピント位置(AF)、絞り値やシャッタ速度値等の露出制御値(AE)、ホワイトバランス(WB)値等の露出パラメータや、レンズ焦点距離情報を、後述するステップS13における右目画像撮影用に固定する。また、ストロボオフとして、補助光による照明を禁止する。
【0034】
左目画像の撮影を行うと、次に、撮影位置情報の検出を行う(S7)。左目撮影を行うと、撮影者はカメラを右側に向けて移動を開始する。このステップでは、加速度センサ15の重力加速度や水準器の検知出力に基づいて、カメラを横位置に構えているか縦位置に構えているかを検出する。
【0035】
続いて、撮影シフト情報の算出を行う(S9)。ここでは、3D撮影シフト情報算出部17が、ステップS5における左目画像撮影時の被写体の距離情報および焦点距離情報を用いて、適正な立体感となる右目撮影位置を算出し、また加速度センサ15からの重力加速度信号に基づいて算出した現在の位置情報に基づいて撮影シフト情報を算出する。すなわち、水平方向にあとどの位、移動すればよいかの撮影シフト情報の算出を行う。
【0036】
撮影シフト情報の算出を行うと、次に、撮影ガイドを重畳する(S11)。ここでは、ステップS9において算出した撮影シフト情報に基づいて、カメラを未だ移動させる必要がある場合に、3D表示画像制御部13が、図3(b)に示したような移動方向を示す視差方向移動ガイド62を、表示部27のライブビュー表示に重畳して行う。なお、撮影ガイドの表示としては、視差方向移動ガイド62のような矢印に限らず、左目画像の一部や記号やマークでもよく、また音声表示等、他の表示でも構わない。
【0037】
撮影ガイドの重畳表示を行うと、次に、右目画像撮影を行う(S13)。撮影者は撮影ガイドを観察しながら、カメラを移動させ、右画像撮影位置に到達すると、視差方向移動ガイド62が第2位置に到達したことを告知するので、レリーズ釦を操作する。なお、レリーズ釦を操作するまでは、ステップS7ないしS11を繰り返し実行する。右目画像撮影にあたっては、ステップS5における左目画像撮影時と同じ撮影条件、すなわち、同一AF、同一AE、同一WB、同一焦点距離等で、撮影を行う。撮影条件を同一としているのは、左目画像と右目画像を合成し、3D画像を生成した際に、立体感が不自然となることを防止するためである。
【0038】
右目画像の撮影を行うと、次に、合成処理を行う(S15)。ここでは、3D画像合成部11が、左目画像と右目画像を合成し、3D画像を生成する。3D画像の生成にあたっては、左右画像の相関を算出し、相互の位置ずれがある場合には、位置ずれ量を少なくするために右目画像に対して補正処理を行う。例えば、垂直方向や水平方向のずれか切り出し処理によって補正する。また、回転方向位置ずれは回転補正処理を、また倍率ずれは倍率変換処理等によって補正処理を行う。
【0039】
合成処理を行うと、次に、画像の切り出しを行う(S17)。ステップS15における合成後の画像に対して、3D画像合成部11が左右目画像の重ならない周辺領域を切り出し処理する。
【0040】
画像切り出しを行うと、次に、3D画像生成を行う(S19)。ここでは、合成処理され、画像切り出しがなされた画像を用いて、3D画像を生成する。例えば、左目画像と右目画像を格納するマルチピクチャーフォーマットを生成する。3D画像を生成すると、次にメモリカードに記録する(S21)。ここでは、ステップS19において生成された3D画像を記録部23に記録する。メモリカードへの記録を行うと、3D撮影モードにおける撮影を終了する。
【0041】
以上、説明したように、本発明の第1実施形態においては、第1の位置で撮影を行った後、第2の位置に向けてカメラを移動する際に、カメラが縦位置であるか横位置であるかに係わらず、常に水平方向に撮影ガイドを表示するようにしている。このため、カメラの向きが異なっても、正しい移動方向が表示される。
【0042】
次に、本発明の第2実施形態について、図5および図6を用いて説明する。第1実施形態においては、3D撮影モードにおいてカメラの構え方は、横位置または縦位置のいずれかを想定していた。しかし、撮影者は、構図によっては横位置や縦位置以外の構え方で撮影する場合もある。そこで、第2実施形態においては、横位置や縦位置以外の構え方でも正しい移動方向を表示するようにしている。
【0043】
第2実施形態における構成は、図1に示した第1実施形態の構成と同様である。ただし、3D表示画像制御部13は、第2実施形態においては、撮影構図を維持した画像周辺領域の切り抜き処理、及び黒枠画像の付加処理を行う。また、加速度センサ15からの重力加速度信号や水準器信号に基づいて、カメラが斜めに構えられている場合には、その角度も検出可能である。
【0044】
本実施形態における3D撮影モード時における撮影ガイド表示について、図5を用いて説明する。図5(a)に示すように、この例では、撮影者はカメラを縦位置からやや左に傾けた構図で、第1の位置で被写体77の左目画像71を撮影する。
【0045】
左目画像を撮影すると、次に、撮影者は第2の位置に向けてカメラを移動させる。この際、表示部27には、3D表示画像制御部13によって、視差方向移動ガイド72が表示される。この視差方向移動ガイド72は、カメラを傾けたまま移動させても、図5に示すように、水平方向に沿って矢印が表示される。カメラが第2の位置に到達すると、視差方向ガイド72が消失し、または第2位置に到達したことが告知されるので、撮影者は右目画像73を撮影する。
【0046】
左目画像71と右目画像73が取得されると、次に、3D画像合成部11によって3D画像が生成され、再生画像75が表示される。この再生画像75は、図5に示すように、左目画像や右目画像と同一の構図が維持され、その周辺は黒色に塗り潰されている。撮影者が斜めに構えて撮影した構図を尊重し、この構図が分かるように、3D画像を生成している。勿論、再生画像79のように縦長で切り抜いて3D画像を生成してもよく、また、被写体によっては横長で切り抜いて3D画像を生成してもよい。
【0047】
次に、本実施形態における動作について、図6に示すフローチャートを用いて説明する。図6のフローチャートにおいて、第1実施形態に係わる図4と同様の処理を行うステップについては、同一のステップ番号を付し、詳しい説明を省略する。
【0048】
3D撮影モードを設定すると(S1)、次に、3D撮影構図優先の設定を行う(S2)。3D撮影構図優先は、3D撮影モードの下位モードであり、3D撮影モードを設定した際に、さらにメニュー画面において設定する。この3D撮影構図優先は、図5に示したように、斜めに構えた場合等であっても、撮影者の構図を優先し、この構図を維持したままで、水平方向に撮影ガイドを表示するモードである。
【0049】
続いて、ライブビュー表示を行う3D撮影の待機を行い(S3)、レリーズ釦が操作されると、左目画像の撮影を行う(S5)。左目画像の撮影を行うと、撮影位置情報を検出し(S7)、撮影シフト情報の算出を行い(S9)、撮影位置情報の検出の結果、斜めに構えていた場合には、図5に示したような視差方向移動ガイド72を表示する撮影ガイド重畳を行う(S11)。
【0050】
撮影者は、ライブビュー表示に重畳されて表示される撮影ガイドに従ってカメラを移動させ、第2の位置に達すると、右目画像の撮影を行う(S13)。右目画像の撮影を行うと、左目画像と右目画像を合成し、3D画像の合成処理を行う(S15)。
【0051】
続いて、画像の切り出しを行う(S17)。ここでの画像切り出し処理は、合成後の画像に対して、左右目画像の重ならない周辺領域の切り出しを行う点では、第1実施形態と同様である。第2実施形態においては、さらに、この切り出しにあたって、3D表示画像制御部13が、撮影構図を保持した切り出しを行うと共に、切り出された領域以外については黒枠画像の付加を行う。
【0052】
画像の切り出しを行うと、次に、3D画像の生成を行い(S19)、生成した3D画像を記録部23に記録する(S21)。メモリカードへの記録を行うと、3D撮影モードにおける撮影を終了する。
【0053】
このように、本発明の第2実施形態においては、第1の位置で撮影を行った後、第2の位置に向けてカメラを移動する際に、カメラの構図を保持したままで、常に水平方向に撮影ガイドを表示するようにしている。このため、カメラの向きが異なっても、正しい移動方向が表示される。
【0054】
以上説明したように、本発明の各実施形態においては、カメラの底面が水平になるように構えて撮影する第1撮像か、またはカメラの底面が斜め又は垂直になるように構えて撮像する第2撮像かを検出し(図4または図6のS7)、カメラを第1の位置から第2の位置にシフトする方向を表示し、検出結果に基づいて、第1撮像か記第2撮像かに依らず、カメラをシフトする方向が水平になるように、表示部に表示する表示画像を制御している(図4および図6のS11)。このため、カメラの向きが異なっても、正しい移動方向が表示される。
【0055】
なお、本発明の各実施形態においては、左目画像を最初に撮影し、続いて、右目画像を撮影していた。しかし、この順番は逆であっても勿論かまわない。
【0056】
また、本実施形態においては、撮影のための機器として、デジタルカメラを用いて説明したが、カメラとしては、デジタル一眼レフカメラでもコンパクトデジタルカメラでもよく、ビデオカメラ、ムービーカメラのような動画用のカメラでもよく、さらに、携帯電話や携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assist)、ゲーム機器等に内蔵されるカメラでも構わない。いずれにしても、3D撮影が可能な撮影機器であれば、本発明を適用することができる。
【0057】
本発明は、上記実施形態にそのまま限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素の幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0058】
1・・・レンズ、3・・・レンズ駆動部、5・・・撮像素子、7・・・撮像駆動部、9・・・画像処理部、11・・・3D画像合成部、13・・・3D表示画像制御部、15・・・加速度センサ、17・・・3D撮影シフト情報算出部、19・・・メモリ部、21・・・システム制御部、23・・・記録部、25・・・指示部、27・・・表示部、31・・・左目画像、31a・・・重複範囲、32・・・視差方向移動ガイド、33・・・右目画像、33a・・・重複範囲、35・・・モニタ再生画像、37・・・被写体、39・・・目、51・・・左目画像、51a・・・重複範囲、52・・・視差方向移動ガイド、53・・・右目画像、53a・・・重複範囲、57・・・モニタ再生画像、61・・・左目画像、61a・・・重複範囲、62・・・視差方向移動ガイド、63・・・右目画像、63a・・・重複範囲、65・・・モニタ再生画像、71・・・左目画像、72・・・視差方向移動ガイド、73・・・右目画像、75・・・再生画像、77・・・被写体、79・・・再生画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の位置と該第1の位置と異なる第2の位置で、立体画像を生成するための2つの画像を撮像するカメラにおいて、
被写体を撮像する撮像部と、
上記カメラの底面が水平になるように構えて撮影する第1撮像か、または上記カメラの底面が斜め又は垂直になるように構えて撮影する第2撮像かを検出する検出部と、
上記カメラを上記第1の位置から上記第2の位置にシフトする方向を表示する表示部と、
上記検出部の検出結果に基づいて、上記第1撮像か上記第2撮像かに依らず、上記カメラをシフトする方向が水平になるように、上記表示部に表示する表示画像を制御する表示画像制御部と、
を備えたことを特徴とするカメラ。
【請求項2】
上記表示画像制御部は、上記第2撮像を行うにあたって、カメラの撮影構図を維持した画像を生成することを特徴とする請求項1に記載のカメラ。

【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図1】
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【図4】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−227578(P2012−227578A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−90665(P2011−90665)
【出願日】平成23年4月15日(2011.4.15)
【出願人】(504371974)オリンパスイメージング株式会社 (2,647)
【Fターム(参考)】