説明

カラー画像形成装置

【課題】画像形成動作を格別に監視せずにかつ連続的な画像形成動作を中断させずに、書き込みタイミングの調整を適時に行う。
【解決手段】時点h4付近より連続的な画像形成動作が開始されると、時点h5で装置内の温度変化分Δtが規定の待機温度Aに到達する。時点h6より画像形成動作が停止されると、装置内の温度tが下降し始める。このため、装置内の温度変化分Δtが待機温度Aよりも低い規定の制御開始温度Bまで減少するか、もしくは装置内の温度変化分Δtの勾配が規定の下り勾配よりも下りになると、画像形成動作が停止されているものとみなすことができる。このときに各色の画像のずれの補正が行われれば、画像形成動作中での画像ずれの補正の実施を回避することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカラー複合機やカラーレーザープリンタ等の電子写真方式の画像形成装置に関するものであり、詳しくは、複数色の画像を形成し重ね合わせて、カラー画像を形成するカラー画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のカラー画像形成装置では、複数色の画像を重ね合わせてカラー画像を形成することから、色ずれという問題が発生する。例えば、各色の画像を形成するそれぞれの画像形成ステーションを並べた構成においては、各画像形成ステーションの像担持体にそれぞれの色の画像を形成して、これらの像担持体の画像を1つの転写ベルトに重ねて転写することから、この転写ベルト上の各色の画像間で画像形成位置がずれて、色ずれが発生し、カラー画像の品質が劣化する。
【0003】
このため、各画像形成ステーションの像担持体に色ずれ測定用のそれぞれのテストパターンを形成し、各像担持体のテストパターンを転写ベルトに転写し、センサにより転写ベルト上の各テストパターンのずれを検出し、検出された各テストパターンのずれが解消される様に、各像担持体に対する書き込みタイミングを調整している。
【0004】
また、この様な画像形成位置のずれは、カラー画像形成装置内の温度に応じて変化する。このため、書き込みタイミングの調整は、カラー画像形成装置の電源を投入したときにだけではなく、その後のカラー画像形成装置内の温度が変化したときにも行う必要ある。
【0005】
例えば、特許文献1には、カラー画像形成装置の特定部位の温度を検出し、この温度があるレベル以上になったときに、書き込みタイミングを調整して、画像のずれを補正するという技術が開示されている。
【特許文献1】特開平2−304465号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記書き込みタイミングの調整は、テストパターンの形成、転写、及び検出を必要とするので、この調整に数分を費やす。このため、特許文献1の様にカラー画像形成装置の温度があるレベル以上になったというだけで、書き込みタイミングの調整を行ったならば、連続的な画像形成動作が中断されて、利用者を待たせてしまうことがあった。
【0007】
また、連続的な画像形成動作中に書き込みタイミングの調整を行わない様にするには、画像形成動作を格別に監視して、連続的な画像形成動作が行われているか否かを判定する必要があった。
【0008】
そこで、本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、画像形成動作を格別に監視せずにかつ連続的な画像形成動作を中断させずに、書き込みタイミングの調整を適時に行うことが可能なカラー画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のカラー画像形成装置は、複数色の画像を形成し重ね合わせた際の該各画像間に生じた画像形成位置のずれを補正するカラー画像形成装置において、このカラー画像形成装置内の温度を検出する温度検出手段と、前記温度検出手段により検出された温度が予め設定された待機温度に到達すると前記画像形成位置のずれを補正する前の待機状態とし、この後に前記温度検出手段により検出された温度が画像形成の停止状態に伴う変化を示したときに前記画像形成位置のずれの補正を開始する制御手段とを備えている。
【0010】
例えば、前記画像形成の停止状態に伴う変化は、前記温度検出手段により検出された温度が前記待機温度よりも低い一定温度に到達するという変化である。
【0011】
あるいは、前記画像形成の停止状態に伴う変化は、前記温度検出手段により検出された温度が前記待機温度に到達した以降で下り勾配になるという変化である。
【0012】
また、本発明においては、前記待機状態では、該待機状態ではないときよりも前記温度検出手段による温度の検出回数を増やしている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、装置内の温度が待機温度に到達すると、画像形成位置のずれを補正する前の待機状態とし、この後に装置内の温度が画像形成の停止状態に伴う変化を示したときに、画像形成位置のずれの補正を開始している。すなわち、装置内の温度が待機温度まで上昇しても、直ぐには画像形成位置のずれの補正を開始せず、装置内の温度変化に基づいて画像形成の停止状態が明らかになったときに、画像形成位置のずれの補正を開始している。このため、画像形成動作中に、画像形成位置のずれの補正が行われることはない。従って、連続的な画像形成動作が中断されて、利用者を待たせることもない。
【0014】
画像形成の停止状態に伴う変化としては、装置の温度が待機温度よりも低い一定温度に到達するという変化や、装置内の温度が待機温度に到達した以降で下り勾配になるという変化がある。連続的な画像形成動作中には、装置内の温度が飽和温度近くまで上昇して維持される。そして、この装置内の温度上昇の途中で、装置内の温度が待機温度に到達して更に上昇する。この後、連続的な画像形成動作が停止されると、装置内の温度が下降して行く。このため、装置内の温度が低下したり下り勾配になったときには、画像形成の停止状態であるとみなすことができる。
【0015】
また、待機状態では、該待機状態ではないときよりも、装置内の温度の検出回数を増やしているので、装置内の温度変化を細やかに検出して、画像形成の停止状態を速やかに判定することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明の実施形態1に係わる電子写真方式のカラー画像形成装置の要部を示している。このカラー画像形成装置は、露光ユニット1、各画像形成ステーションPa、Pb、Pc、Pd、転写ベルトユニット2、及び定着ユニット3等を備えている。
【0018】
このカラー画像形成装置において、各画像形成ステーションPa、Pb、Pc、Pdは、黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)のトナー像をそれぞれ形成して、各色のトナー像を転写ベルトユニット2の転写ベルト11に転写する。これらの画像形成ステーションPa、Pb、Pc、Pdは、各現像ユニット21a〜21d、及び各感光体ドラム23a〜23d等を備えている。
【0019】
各感光体ドラム23a〜23dは、転写ベルト11に押圧されており、矢印方向Bに回転移動する転写ベルト11と同一の周速度で、転写ベルト11と共に回転される。
【0020】
露光ユニット1は、各色に対応するそれぞれのレーザーダイオード31a〜31d、各レーザーダイオード31a〜31のレーザー光をそれぞれの感光体ドラム23a〜23dに導く複数のハーフミラー32a〜32c、33a〜33dやポリゴンミラー34、及び非軸対称非球面レンズ(fθレンズ)35等を有している。ここでは、各レーザーダイオード31a〜31d別に、画像データに応じて各レーザーダイオード31a〜31dのレーザー光を変調している。各レーザーダイオード31a〜31dのレーザー光は、各ハーフミラー32a〜32cを介してポリゴンミラー34に導かれ、ポリゴンミラー34により主走査方向に繰り返し偏向されつつ、fθレンズ35及び各ハーフミラー33a〜33dを介してそれぞれの感光体ドラム23a〜23dに入射し、各感光体ドラム23a〜23d表面を主走査方向に繰り返し走査する。また、各レーザーダイオード31a〜31dのレーザー光は、各感光体ドラム23a〜23dの回転移動に伴い、該各各感光体ドラム23a〜23d表面を副走査方向にも走査する。これにより、各感光体ドラム23a〜23d表面にそれぞれの静電潜像が形成される。
【0021】
各現像ユニット21a〜21dは、黒、シアン、マゼンタ、イエローのトナーを収容しており、各感光体ドラム23a〜23d表面の静電潜像にそれぞれの色のトナーを付着させて、各感光体ドラム23a〜23d表面にそれぞれの色のトナー像を形成する。
【0022】
転写ベルトユニット2は、転写ベルト11、駆動ローラ41、従動ローラ42、及び転写ローラ12等を備えており、転写ベルト11を駆動ローラ41と従動ローラ42に掛け渡して回転移動可能に支持している。
【0023】
各感光体ドラム23a〜23d表面に形成された各色のトナー像は、該各感光体ドラム23a〜23dと同一の周速度で回転している転写ベルト11に転写されて重ね合わせられる。
【0024】
また、転写ローラ12は、駆動ローラ41との間に転写ベルト11を挟み込んで、ニップ域を形成する。駆動ローラ41は、転写ローラ12のバックアップローラとしての役目を果たしつつ回転駆動され、転写ベルト11を引っ張って矢印方向Bに回転移動させる。
【0025】
一方、記録用紙Pは、その先端が転写ベルトユニット2の転写ベルト11上に形成されるトナー像の先端に重なるタイミングでニップ域へと搬送される。
【0026】
転写ベルト11に転写され重ね合わせられた各色のトナー像は、該転写ベルト11の回転移動に伴い、駆動ローラ41と転写ローラ12間のニップ域へと搬送される。そして、転写ベルト11上の各色のトナー像の先端と記録用紙Pの先端が揃えられ、各色のトナー像と記録用紙が重ね合わせられて、各色のトナー像が転写ベルト11から記録用紙Pに転写される。
【0027】
引き続いて、記録用紙Pは、定着ユニット3へと搬送され、ここで加圧ローラ3aと加熱ローラ3b間に挟み込まれる。これにより、記録用紙P上の各色のトナーが加熱余裕されて混合され、各色のトナー像が記録用紙P上にカラー画像として定着される。
【0028】
図2は、本実施形態のカラー画像形成装置の制御システムを示すブロック図である。
【0029】
この制御システムは、露光ユニット1における各レーザーダイオード31a〜31d及びポリゴンミラー34と、各現像ユニット21a〜21dと、転写ベルトユニット2及び各感光体ドラム23a〜23d等の駆動部51と、定着ユニット3におけるヒータや温度センサ(図示せず)とを含んでいる。また、その他に、スキャナー(図示せず)により読み取られた原稿の画像を示す画像データや外部端末からの画像データを入力する画像入力部52と、記録用紙のサイズや画像の縮小拡大率等を入力するための操作表示部53と、カラー画像形成装置内の温度を検出する温度センサ54と、転写ベルト11上に形成されたテストパターンを検出するためのレジストセンサ55と、各種のデータを記憶する記憶部56と、この制御システムを統括的に制御する制御部57と、設定された時間間隔で制御部57に割り込みを掛け割り込み処理を実行させるタイマ59を有している。
【0030】
例えば、制御部57は、カラー画像データを画像入力部52を通じて入力すると、このカラー画像データに対して各種の画像処理を施して、各色の画像データを生成し、各色の画像データに応じた各レーザーダイオード31a〜31dの変調制御を行って、各感光体ドラム23a〜23d表面にそれぞれの静電潜像を形成させる。そして、制御部57は、各現像ユニット21a〜21dを駆動制御し、各感光体ドラム23a〜23d表面の静電潜像にそれぞれの色のトナーを付着させて、各感光体ドラム23a〜23d表面にそれぞれの色のトナー像を形成する。更に、制御部57は、駆動部51を制御して、転写ベルトユニット2や各感光体ドラム23a〜23dを駆動し、各感光体ドラム23a〜23d表面のトナー像を転写ベルト11に転写させて重ね合わせ、各色のトナー像を転写ベルト11から記録用紙Pに転写させる。更に、制御部57は、定着ユニット3を制御して、記録用紙P上のカラー画像を定着させる。
【0031】
ところで、各画像形成ステーションPa、Pb、Pc、Pdの感光体ドラム23a〜23dにそれぞれの色の画像を形成してから、各感光体ドラム23a〜23dの画像を転写ベルト11に順次重ねて転写するので、転写ベルト11上の各色の画像間で転写位置(画像形成位置)がずれて、色ずれが発生し、カラー画像の品質が劣化し易い。このため、各画像形成ステーションPa、Pb、Pc、Pdにより形成される各色の画像のずれを補正する必要がある。
【0032】
そこで、本実施形態では、まず、カラー画像形成装置の電源を投入してから一定時間が経過したタイミングで、各色の画像のずれを補正している。すなわち、装置の初期状態で、各色の画像のずれを補正している。また、装置内の温度が上昇したときにも、画像形成動作の停止状態とみなすことができれば、各色の画像のずれを補正している。
【0033】
装置の初期状態での画像ずれの補正は、図1に示す様に各色のテストパターン58B、58Y、58M、58Cを転写ベルト11上に形成し、レジストセンサ55により転写ベルト11上の各テストパターン58B、58Y、58M、58Cのずれ量を検出し、検出された各テストパターンのずれ量が解消される様に、露光ユニット1による各感光体ドラム23a〜23dへの書き込みタイミングを調整するというものである。
【0034】
より詳しくは、副走査方向でのテストパターンのずれを検出して調整するために、例えば黒のテストパターン58Bの副走査方向位置を基準位置とした上で、他の各色のテストパターン58Y、58M、58C別に、この基準位置に対するテストパターンの規定位置を予め求めて設定しておく。他の各色のテストパターン58Y、58M、58Cがそれぞれの規定位置に形成された状態では、黒、シアン、マゼンタ、イエローの画像が正確に重なり合って、色ずれが生じないものとする。
【0035】
そして、各色のテストパターン58B、58Y、58M、58Cを転写ベルト11上に順次形成してから、レジストセンサ55により各色のテストパターンの副走査方向位置を検出して、黒のテストパターン58Bの副走査方向位置を基準位置とした上で、他の各色のテストパターン58Y、58M、58C別に、この基準位置に対するテストパターンの規定位置からの副走査方向のずれ量を検出する。例えば、レジストセンサ55による各色のテストパターン先端の検出タイミングと転写ベルト11の移動速度に基づいて、黒のテストパターン58B先端と他の各色のテストパターン58Y、58M、58C先端とのそれぞれの離間距離を求め、これらの離間距離に基づいて、基準位置に対する各色のテストパターン58Y、58M、58Cの規定位置からのずれ量を求める。
【0036】
更に、他の各色であるシアン、マゼンタ、イエロー別に、ずれ量を解消するための副走査方向のシフト量(ドット数)を求める。
【0037】
この後、シアン、マゼンタ、イエロー別に、このドット数だけ画像形成位置をずらすための制御を行う。
【0038】
画像形成位置を副走査方向にずらすための制御は、例えばシアン、マゼンタ、イエロー別に、画像先端の主走査ラインが感光体ドラム上で該シフト量のドット数だけ副走査方向にずれる様にレーザーダイオード変調制御の開始タイミングをずらして、感光体ドラムへの画像先端の書き込みタイミングをずらし、以降同様に画像先端に引き続く画像部分の書き込みタイミングも順次ずらして行くというものである。
【0039】
また、副走査方向のずれが解消されているか、このずれ量が分かっていれば、主走査方向でのテストパターンのずれ量を検出して調整することも可能である。例えば、各色別に、図3に示す様に主走査方向に対して斜めのテストパターンを転写ベルト11上に形成する。この主走査方向に対して斜めのテストパターンは、その位置が主走査方向にずれると、レジストセンサ55による検出位置が副走査方向にもずれる。既に、副走査方向のずれが解消されているか、このずれ量が分かっているので、レジストセンサ55により斜めのテストパターンの副走査方向のずれ量を検出すれば、この副走査方向のずれ量から主走査方向のずれ量を求めて調整することができる。
【0040】
より具体的には、主走査方向に対して斜めの各色のテストパターン58B、58Y、58M、58Cを転写ベルト11上に順次形成してから、レジストセンサ55により各色のテストパターンの副走査方向位置を検出して、黒のテストパターン58Bの副走査方向位置を基準位置とし、他の各色のテストパターン58Y、58M、58C別に、この基準位置に対するテストパターンの規定位置からの副走査方向のずれ量を検出し、この副走査方向のずれ量から主走査方向のずれ量を求める。そして、他の各色であるシアン、マゼンタ、イエロー別に、ずれ量を解消するための主走査方向のシフト量(ドット数)を求め、このシフト量のドット数だけ画像形成位置をずらすための制御を行う。
【0041】
画像形成位置を主走査方向にずらすための制御は、例えばシアン、マゼンタ、イエロー別に、主走査ラインの先頭が感光体ドラム上で該シフト量のドット数だけ主走査方向にずれる様に、主走査ライン毎に、レーザーダイオード変調制御の開始タイミングをずらして、感光体ドラムへの主走査方向ラインの書き込みタイミングをずらすというものである。
【0042】
この様にしてカラー画像形成装置の初期状態で画像ずれを解消することができる。
【0043】
一方、転写ベルト11上の各色の画像のずれは、装置内の温度に応じて変化するので、この温度が上昇したときにも、各色の画像のずれを補正する必要がある。
【0044】
ところが、各色の画像のずれの補正は、先に述べた様にテストパターンの形成、転写、及び検出を必要とするので、この画像ずれの補正に数分を費やす。このため、カラー画像形成装置内の温度があるレベル以上になったというだけで、画像ずれの補正を行ったならば、連続的な画像形成動作が中断されて、利用者を待たせてしまうことがある。
【0045】
そこで、本実施形態では、カラー画像形成装置の電源投入から一定時間を経過したタイミングで該装置内の温度tを測定して、この温度tを基準温度Tとして設定し、この基準温度Tからの該装置内の温度変化分Δtを求めており、装置内の温度tが上昇して、温度変化分Δtが十分に増大しても、画像ずれの補正を直ぐには行わず、装置内の温度変化分Δtが画像形成の停止状態に伴う変化を示したときにだけ、画像形成位置のずれの補正を行っている。これにより、画像形成動作中に、画像形成位置のずれの補正が行われることが防止される。
【0046】
ここで、図4のグラフを参照しつつ、画像形成位置のずれの補正が行われるタイミングの概要を説明する。
【0047】
このグラフに示す様に時点h1でカラー画像形成装置の電源が投入されると、この装置のウォーミングアップが開始されて、装置内の温度tが徐々に上昇して行く。このウォーミングアップのときの装置内の温度t1が基準温度Tとして設定され、また装置の初期状態で各色の画像のずれの補正が行われる。この基準温度Tが設定されてからは、この基準温度Tからの装置内の温度変化分Δtが周期的に求められる。
【0048】
ウォームアップが完了した時点h3より装置内の温度変化分Δtが略一定に維持される。
【0049】
この後、時点h4付近より連続的な画像形成動作が開始されると、装置内の温度tが急激に上昇して行き、時点h5で装置内の温度変化分Δtが規定の待機温度Aに到達する。
【0050】
画像形成動作が継続される限りは、装置内の温度tが低下することはなく、装置内の温度tが飽和温度もしくは該飽和温度近くに維持され、装置内の温度変化分Δtが待機温度A以上に維持される。
【0051】
そして、時点h6より画像形成動作が停止されると、装置内の温度tが下降し始め、画像形成動作が再開されなければ、装置内の温度tの下降が継続する。従って、装置内の温度変化分Δtが待機温度Aよりも低い規定の制御開始温度Bまで減少するか、もしくは装置内の温度変化分Δtの勾配が規定の下り勾配よりも下りになると、画像形成動作が停止されているものとみなすことができる。このときに各色の画像のずれの補正を行えば、画像形成動作中での画像ずれの補正の実施を回避することができる。
【0052】
また、画像のずれ量は、装置内の温度tの変化に対して速やかに追従して増減せず、ある程度遅れて増減するので、装置内の温度変化分Δtが制御開始温度Bまで減少したり、装置内の温度変化分Δtが下り勾配になってからであっても、装置内の温度変化分Δtが待機温度A以上であるときの画像のずれ量を実質的に補正することができる。
【0053】
この後、装置内の温度変化分Δtが制御開始温度Bよりも低い規定の終了温度Cまで減少した上で、装置内の温度変化分Δtが待機温度Aまで再び増大したときには、各色の画像のずれの補正が再度行われる。
【0054】
待機温度A、制御開始温度B、及び終了温度Cは、基準温度Tに対する相対温度であり、基準温度Tに対してそれぞれの規定の温度幅を加算して求められる。また、待機温度A>制御開始温度B>終了温度Cの関係に設定される。
【0055】
次に、図5A、Bを参照しつつ、画像ずれを補正するための手順をより詳しく説明する。
【0056】
図5A、Bは、本実施形態のカラー画像形成装置における各色の画像のずれを補正するための制御手順を示すフローチャートである。
【0057】
まず、図5Aについて説明する。制御部57は、時点h1でカラー画像形成装置の電源が投入されると、この装置の初期化処理及びウォーミングアップを開始する。また、制御部57は、ウォーミングアップ中の経過時間の計時を電源投入から開始し、このウォーミングアップ中の経過時間が予め設定された一定時間に達して、時点h2になると、温度センサ54の検出出力を取り込んで、この検出出力により示される装置内の温度t1を求め、この温度t1を基準温度Tとして設定し、更に基準温度Tに対してそれぞれの規定の温度幅を加算して、待機温度A、制御開始温度B、及び終了温度Cを設定する(ステップS101)。また、制御部57は、画像ずれを補正する(ステップS102)。従って、装置の初期状態で、基準温度T、待機温度A、制御開始温度B、及び終了温度Cが設定され、各色の画像のずれが補正される。
【0058】
このときの画像ずれの補正の概略は、各色のテストパターン58B、58Y、58M、58Cを転写ベルト11上に形成し、黒のテストパターン58Bの副走査方向位置を基準位置とした上で、他の各色のテストパターン58Y、58M、58C別に、この基準位置に対するテストパターンの規定位置からの副走査方向のずれ量を検出し、このずれ量を解消するための副走査方向のシフト量(ドット数)を求め、このドット数だけ画像形成位置がずれる様なレーザーダイオード変調制御の開始タイミングを設定するというものである。
【0059】
そして、制御部57は、画像ずれの補正を行う前の待機状態を示すプレトリガフラッグをオフに設定し、かつ画像ずれの補正の終了を示すエンドトリガフラッグをオンに初期設定する(ステップS103)。
【0060】
この後、タイマ59に指示を送り、タイマ割り込み制御をスタートさせる。タイマ59は設定された時間、たとえば10秒おきに制御部57に対して割り込みを掛け、この後に説明するタイマ割り込みルーチンを制御部57に実行させる。タイマ割り込みルーチンについて以下、図5Bに説明する。
【0061】
この後、制御部57は、タイマ割り込み処理がスタートするごとに以下の処理を実行する。温度センサ54の検出出力を取り込んで、この検出出力によって示される装置内の温度tを求め(ステップS104)、プレトリガフラッグがオフであることを確認してから(ステップS105で「Yes」)、装置内の温度tとステップS101で求めた基準温度Tとの温度差、つまり基準温度Tからの温度変化分Δtを求め、この温度変化分Δtが待機温度Aに到達したか否かを判定する(ステップS106)。
【0062】
例えば、画像形成動作がなされていないか、あるいは画像形成動作が単発的になされているだけであるならば、装置内の温度変化分Δtが待機温度Aに到達しないため、制御部57は、待機温度Aに到達していないと判定し(ステップS106で「No」)、装置内の温度変化分Δtが終了温度C未満になったか否かを判定する(ステップS107)。そして、装置内の温度変化分Δtが終了温度C未満であれば(ステップS107で「Yes」)、エンドトリガフラッグをオンに再設定してから(ステップS108)、ステップS104に戻る。また、装置内の温度変化分Δtが終了温度C未満でなければ(ステップS107で「No」)、ステップS108を経由せずに、ステップS104に戻る。
【0063】
従って、装置内の温度変化分Δtが待機温度Aに到達しない限りは、ステップS104〜S108が繰り返されるだけであり、プレトリガフラッグのオフ及びエンドトリガフラッグのオンが維持される。
【0064】
また、これまでの処理では、エンドトリガフラッグがオフにされたことがなく、エンドトリガフラッグがオンのままなので、ステップS108を経由してもしなくても、該処理の実質的な内容が変わることはない。
【0065】
更に、一定の周期毎に、温度センサ54の検出出力の取り込みがなされて、ステップS104〜S108が繰り返される。
【0066】
次に、例えば時点h4より連続的な画像形成動作が開始され、装置内の温度tが急激に上昇して、装置内の温度変化分Δtが急激に増大して行き、時点h5で装置内の温度変化分Δtが規定の待機温度Aに到達したものとする。
【0067】
この場合、制御部57は、温度センサ54の検出出力によって示される装置内の温度tを求めて、基準温度Tからの温度変化分Δtを求め(ステップS104)、プレトリガフラッグがオフであることを確認してから(ステップS105で「Yes」)、装置内の温度変化分Δtが待機温度Aに到達したと判定して(ステップS106で「Yes」)、ステップS109に移ることになる。
【0068】
そして、制御部57は、エンドトリガフラッグがオンであることを確認してから(ステップS109で「Yes」)、プレトリガフラッグをオフからオンに切替え設定し(ステップS110)、ステップS104に再び戻る。
【0069】
更に、制御部57は、温度センサ54の検出出力を取り込んで、装置内の温度変化分Δtを求め(ステップS104)、プレトリガフラッグの判定を行う(ステップS105)。制御部57は、ステップS110でプレトリガフラッグがオンにされたことから、プレトリガフラッグがオンであると判定して(ステップS105で「No」)、ステップS111に移る。
【0070】
そして、制御部57は、タイマ割り込みの割り込み周期を当初の周期(10秒)よりも短い周期(例えば0.5秒)に設定することで割り込み回数を増加させる設定として(ステップS111)、温度センサ54の検出出力を取り込んで、装置内の温度変化分Δtを求め、装置内の温度変化分Δtが制御開始温度Bまで減少したか否かを判定する(ステップS112)。このとき、タイマ割り込み周期を短くしたことから、装置内の温度変化分Δtの変化をより細やかに監視して、ステップS112での判定の遅れを抑えることができる。
【0071】
ここで、画像形成動作が継続される限りは、装置内の温度tが飽和温度もしくは該飽和温度近くに維持され、装置内の温度変化分Δtが大幅に低下することはない。この場合、制御部57は、装置内の温度変化分Δtが制御開始温度Bまで減少していないと判定し(ステップS112で「No」)、ステップS104、S105、S110、S111を繰り返し行うことになる。
【0072】
時点h6より画像形成動作が停止されると、装置内の温度tが下降して、装置内の温度変化分Δtが減少し始め、画像形成動作が再開されなければ、装置内の温度変化分Δtが減少し続ける。この場合、制御部57は、装置内の温度変化分Δtが制御開始温度Bまで減少したと判定することになり(ステップS112で「Yes」)、このときに画像形成動作が停止されているものとみなして、ステップS102と同様の手順で、各色の画像のずれを補正する(ステップS113)。これにより、画像形成動作中での画像形成位置のずれの補正の実施が回避される。
【0073】
次に、画像のずれの補正が終了すると、制御部57は、プレトリガフラッグをオンからオフに切替え設定し、かつエンドトリガフラッグをオンからオフに切替え設定する(ステップS114)。そして、制御部57は、ステップS111において短くしたタイマ割り込み周期を元に戻してから(ステップS115)、ステップS104に戻る。タイマ割り込み周期を元に戻すことにより、制御部57等の負担を軽減させることができる。
【0074】
こうしてプレトリガフラッグ及びエンドトリガフラッグがオフにされた状態で、画像形成動作が停止されたままであれば、更に装置内の温度変化分Δtが減少して行く。装置内の温度変化分Δtが終了温度Cの直前まで減少する間は、温度センサ54の検出出力が取り込まれて、装置内の温度変化分Δtが求められ(ステップS104)、プレトリガフラッグのオフが判定され(ステップS105で「Yes」)、装置内の温度変化分Δtが待機温度Aに到達していないことが判定され(ステップS106で「No」)、装置内の温度変化分Δtが終了温度C未満でないことが判定され(ステップS107で「No」)、ステップS104に戻る。そして、以降同様の処理が繰り返される。
【0075】
更に、時点h7で装置内の温度変化分Δtが終了温度Cまで減少すると、装置内の温度変化分Δtが求められ(ステップS104)、プレトリガフラッグのオフが判定され(ステップS105で「Yes」)、装置内の温度変化分Δtが待機温度Aに到達していないことが判定され(ステップS106で「No」)、装置内の温度変化分Δtが終了温度C未満であることが判定され(ステップS107で「Yes」)、エンドトリガフラッグがオフからオンに切替え設定される(ステップS108)。これにより、プレトリガフラッグがオフかつエンドトリガフラッグがオフの初期設定の状態に戻る。
【0076】
こうしてプレトリガフラッグがオフかつエンドトリガフラッグがオフの初期設定の状態に戻ると、先に述べた様に装置内の温度変化分Δtが待機温度Aに到達したときに(ステップS106で「Yes」)、プレトリガフラッグがオフからオンに切替え設定されて(ステップS110)、ステップS111からの処理に移り、装置内の温度変化分Δtが制御開始温度Bまで減少したときに(ステップS112で「Yes」)、画像形成動作が停止されているものとみなされて、各色の画像のずれが再び補正される(ステップS113)。
【0077】
また、プレトリガフラッグ及びエンドトリガフラッグがオフにされた状態で、装置内の温度変化分Δtが終了温度Cまで減少する前に、画像形成動作が再開されると、装置内の温度変化分Δtが再び増大して行く。この場合、装置内の温度変化分Δtが待機温度Aに到達しても(ステップS106で「Yes」)、エンドトリガフラッグがオフであるから(ステップS109で「No」)、ステップS110に移ることはなく、すなわちプレトリガフラッグがオフからオンに切替え設定されることはなく、ステップS104からの処理に戻る。従って、プレトリガフラッグがオフであると判定され(ステップS105で「Yes」)、ステップS111からの処理に移ることはなく、各色の画像のずれが再び補正されることもない。
【0078】
これにより、装置内の温度変化分Δtが待機温度A及び制御開始温度Bを含む温度範囲で増減しているときに、各色の画像のずれの補正が頻繁に繰り返されて、その度に画像形成動作が中断されることが防止される。
【0079】
次に、図6のフローチャートを参照しつつ、図5のステップS102、S113の処理を更に詳しく説明する。
【0080】
制御部57は、調整用画像を示す調整用画像データを記憶部56から読み出し、この調整用画像データに応じて各レーザーダイオード31a〜31dを変調制御して、各感光体ドラム23a〜23d表面にそれぞれの静電潜像を形成し、各現像ユニット21a〜21dにより各感光体ドラム23a〜23d表面の静電潜像を現像させて、各感光体ドラム23a〜23d表面にそれぞれの色のテストパターンを形成し、各感光体ドラム23a〜23d表面の各色のテストパターンを転写ベルト11に転写させて、各色のテストパターン58B、58Y、58M、58Cを転写ベルト11上に形成する(ステップS201)。
【0081】
そして、制御部57は、レジストセンサ55の検出出力を取り込んで、各色のテストパターンの副走査方向位置を求め(ステップS202)、黒のテストパターン58Bの副走査方向位置を基準位置とした上で、他の各色のテストパターン58Y、58M、58C別に、この基準位置に対するテストパターンの規定位置からの副走査方向のずれ量を求める(ステップS203)。
【0082】
更に、制御部57は、他の各色であるシアン、マゼンタ、イエロー別に、ずれ量を解消するための副走査方向のシフト量(ドット数)を求め、このドット数だけ画像形成位置がずれる様なレーザーダイオード変調制御の開始タイミングを求めて設定する(ステップS204)。
【0083】
この様に本実施形態では、装置内の温度変化分Δtが待機温度Aに到達し、この後に装置内の温度変化分Δtが制御開始温度Bまで減少したときに、連続的な画像形成動作中ではないとみなして、画像ずれの補正を行っているので、画像形成動作が中断されることがなく、利用者が待たされることもない。
【0084】
また、装置内の温度変化分Δtが画像形成動作の停止状態に伴う変化を見せたときに、画像ずれの補正を行っているので、画像形成動作を格別に監視したり、連続的な画像形成動作であるか否かを格別に判定する必要がない。
【0085】
次に、本発明の実施形態2に係わる電子写真方式のカラー画像形成装置を説明する。本実施形態のカラー画像形成装置では、実施形態1の装置と同様に、図1に示す様な要部の構成及び図2に示す様な制御システムの構成を有しており、画像ずれを補正するための制御手順の一部だけが異なる。
【0086】
図7A、Bは、本実施形態のカラー画像形成装置における画像ずれを補正するための制御手順を示すフローチャートである。尚、図7A、Bにおいて、図5と同様の処理を行うステップには同じ符号を付して説明を簡略化する。
【0087】
まず、制御部57は、装置の電源が投入されると、初期化処理及びウォーミングアップを開始し、電源投入からの経過時間が一定時間に達すると、温度センサ54の検出出力によって示される装置内の温度を求め、この温度を基準温度Tとして設定し、待機温度A及び終了温度Cを設定する(ステップS101)。また、制御部57は、画像ずれを補正する(ステップS102)。
【0088】
そして、制御部57は、プレトリガフラッグをオフに設定し、かつエンドトリガフラッグをオンに初期設定する(ステップS103)。
【0089】
この後、タイマ59に指示を送り、タイマ割り込み制御をスタートさせる。タイマ59は設定された時間、たとえば10秒おきに制御部57に対して割り込みを掛け、この後に説明するタイマ割り込みルーチンを制御部57に実行させる。タイマ割り込みルーチンについて以下、図7Bに説明する。
【0090】
この後、制御部57は、タイマ割り込み処理がスタートするごとに以下の処理を実行する。温度センサ54の検出出力によって示される装置内の温度を求めて、基準温度Tからの温度変化分Δtを求め(ステップS104)、プレトリガフラッグがオフであることを確認してから(ステップS105で「Yes」)、装置内の温度変化分Δtが待機温度Aに到達したか否かを判定する(ステップS106)。
【0091】
例えば、画像形成動作がなされていないか、あるいは画像形成動作が単発的になされているだけであって、装置内の温度変化分Δtが待機温度Aに到達しなければ、制御部57は、待機温度Aに到達していないと判定し(ステップS106で「No」)、装置内の温度変化分Δtが終了温度C未満になったか否かを判定する(ステップS107)。そして、装置内の温度Δtが終了温度C未満であれば(ステップS107で「Yes」)、エンドトリガフラッグをオンに再設定してから(ステップS108)、ステップS104に戻る。また、装置内の温度Δtが終了温度C未満でなければ(ステップS107で「No」)、ステップS108を経由せずに、ステップS104に戻る。
【0092】
これまでの処理では、ステップS104〜S108が繰り返されるだけであり、プレトリガフラッグのオフ及びエンドトリガフラッグのオンが維持される。
【0093】
また、連続的な画像形成動作が開始されて、装置内の温度変化分Δtが増大して行き、装置内の温度変化分Δtが規定の待機温度Aに到達したならば、制御部57は、装置内の温度変化分Δtを求め(ステップS104)、プレトリガフラッグがオフであることを確認してから(ステップS105で「Yes」)、装置内の温度変化分Δtが待機温度Aに到達したと判定し(ステップS106で「Yes」)、ステップS109に移ることになる。
【0094】
そして、制御部57は、エンドトリガフラッグがオンであることを確認してから(ステップS109で「Yes」)、プレトリガフラッグをオフからオンに切替え設定し(ステップS110)、ステップS104に再び戻る。
【0095】
更に、制御部57は、装置内の温度変化分Δtを求め(ステップS104)、ステップS110でプレトリガフラッグがオンにされたことから、プレトリガフラッグがオンであると判定して(ステップS105で「No」)、ステップS111に移る。

そして、制御部57は、タイマ割り込みの割り込み周期を当初の周期(10秒)よりも短い周期(例えば0.5秒)に設定することで割り込み回数を増加させる設定として(ステップS111)、この周期、前回求めて記憶部56に記憶しておいた温度変化分Δt、及び今回求めた温度変化分Δtに基づいて温度変化分Δtの勾配(装置内温度の温度勾配)を求め(ステップ121)、この温度変化分Δtの勾配が予め設定された規定の下り勾配よりも下がっているか否かを判定する(ステップS122)。
【0096】
画像形成動作が継続される限りは、装置内の温度tが飽和温度もしくは該飽和温度近くに維持され、装置内の温度変化分Δtが大幅に減少することはない。この場合、制御部57は、装置内の温度変化分Δtの勾配が規定の下り勾配よりも下がっていないと判定し(ステップS122で「No」)、ステップS104、S105、S110、S111を繰り返し行うことになる。
【0097】
また、画像形成動作が停止されると、装置内の温度tが下降し始め、画像形成動作が再開されなければ、装置内の温度tが下降して行く。この場合、制御部57は、装置内の温度変化分Δtの勾配が規定の下り勾配よりも下がっていると判定することになり(ステップS122で「Yes」)、このときに画像形成動作が停止されているものとみなして、ステップS102と同様の手順で、各色の画像のずれを補正する(ステップS113)。これにより、画像形成動作中での画像形成位置のずれの補正の実施が回避される。
【0098】
以降、図5のフローチャートの処理と同様に、画像のずれの補正が終了すると、プレトリガフラッグがオンからオフに切替え設定され、かつエンドトリガフラッグがオンからオフに切替え設定され(ステップS114)、ステップS111において短くしたタイマ割り込み周期が元に戻されてから(ステップS115)、ステップS104に戻る。
【0099】
画像形成動作が停止されたままであれば、更に装置内の温度変化分Δtが減少して行く。装置内の温度変化分Δtが終了温度Cの直前まで減少する間は、装置内の温度変化分Δtが求められ(ステップS104)、プレトリガフラッグのオフが判定され(ステップS105で「Yes」)、装置内の温度変化分Δtが待機温度Aに到達していないことが判定され(ステップS106で「No」)、装置内の温度変化分Δtが終了温度C未満でないことが判定され(ステップS107で「No」)、ステップS104からの処理が再び繰り返される。
【0100】
そして、装置内の温度変化分Δtが終了温度Cまで減少したならば、装置内の温度変化分Δtが求められ(ステップS104)、プレトリガフラッグのオフが判定され(ステップS105で「Yes」)、装置内の温度変化分Δtが待機温度Aに到達していないことが判定され(ステップS106で「No」)、装置内の温度変化分Δtが終了温度C未満であることが判定され(ステップS107で「Yes」)、エンドトリガフラッグがオフからオンに切替え設定される(ステップS108)。これにより、プレトリガフラッグがオフかつエンドトリガフラッグがオフの初期設定の状態に戻る。
【0101】
こうして初期設定の状態に戻ると、先に述べた様に装置内の温度変化分Δtが待機温度Aに到達したときに(ステップS106で「Yes」)、プレトリガフラッグがオフからオンに切替え設定されて(ステップS110)、ステップS111からの処理に移り、装置内の温度変化分Δtの勾配が規定の下り勾配よりも下がったときに(ステップS122で「Yes」)、画像形成動作が停止されているものとみなされて、各色の画像のずれが再び補正される(ステップS113)。
【0102】
また、プレトリガフラッグ及びエンドトリガフラッグがオフにされた状態で、装置内の温度変化分Δtが終了温度Cまで減少する前に、画像形成動作が再開されると、装置内の温度tが再び上昇して行く。この場合、装置内の温度変化分Δtが待機温度Aに到達しても(ステップS106で「Yes」)、エンドトリガフラッグがオフであるから(ステップS109で「No」)、ステップS110に移ることはなく、すなわちプレトリガフラッグがオフからオンに切替え設定されることはなく、ステップS104からの処理に戻る。従って、プレトリガフラッグがオフであると判定され(ステップS105で「Yes」)、ステップS111からの処理に移ることはなく、各色の画像のずれが再び補正されることもない。
【0103】
尚、図4乃至図7を参照しての説明では、副走査方向のずれのみを検出して補正しているが、主走査方向のずれをも検出して補正しても構わない。
【0104】
また、上記各実施形態では、基準温度Tからの温度変化分Δtを求め、この温度変化分Δtを監視しているが、基準温度Tを設定せず、温度t(例えば氷点の0℃を含む−10℃〜60℃)を監視して、画像ずれの補正のタイミングを設定しても良い。
【0105】
更に、画像形成位置のずれを検出するために、黒のテストパターンの位置を基準位置とし、この基準位置に対する他の各色のテストパターンのずれを求めているが、全ての色のテストパターン毎に、基準位置を設定して、この基準位置に対するテストパターンのずれを求めても良い。例えば、転写ベルト11上に、全ての色別に、消えることがない基準位置のマークを印しておき、この基準位置のマークに対するテストパターンのずれを求める。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】本発明の実施形態1に係わる電子写真方式のカラー画像形成装置の要部を示す側面図である。
【図2】実施形態1のカラー画像形成装置の制御システムを示すブロック図である。
【図3】実施形態1のカラー画像形成装置で用いられるテストパターンの一例を示す図である。
【図4】実施形態1のカラー画像形成装置における画像形成位置のずれの補正過程を示すタイミングチャートである。
【図5A】図5Bの制御を開始させるためのタイマ割り込み制御を示すフローチャートである。
【図5B】実施形態1のカラー画像形成装置における各色の画像のずれを補正するための制御を概略的に示すフローチャートである。
【図6】図5のステップS102、S113の処理を更に詳しく示すフローチャートである。
【図7A】図7Bの制御を開始させるためのタイマ割り込み制御を示すフローチャートである。
【図7B】本発明の実施形態2に係わる電子写真方式のカラー画像形成装置における各色の画像のずれを補正するための制御を概略的に示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0107】
1 露光ユニット
2 転写ベルトユニット
3 定着ユニット
11 転写ベルト
12 転写ローラ
21a〜21d 現像ユニット
23a〜23d 感光体ドラム
31a〜31d レーザーダイオード
32a〜32c、33a〜33d ハーフミラー
34 ポリゴンミラー
51 駆動部
35 非軸対称非球面レンズ(fθレンズ)
41 駆動ローラ
42 従動ローラ
52 画像入力部
53 操作表示部
54 温度センサ
55 レジストセンサ
56 記憶部
57 制御部
59 タイマ
Pa、Pb、Pc、Pd 画像形成ステーション

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数色の画像を形成し重ね合わせた際の該各画像間に生じた画像形成位置のずれを補正するカラー画像形成装置において、
このカラー画像形成装置内の温度を検出する温度検出手段と、
前記温度検出手段により検出された温度が予め設定された待機温度に到達すると前記画像形成位置のずれを補正する前の待機状態とし、この後に前記温度検出手段により検出された温度が画像形成の停止状態に伴う変化を示したときに前記画像形成位置のずれの補正を開始する制御手段と
を備えることを特徴とするカラー画像形成装置。
【請求項2】
前記画像形成の停止状態に伴う変化は、前記温度検出手段により検出された温度が前記待機温度よりも低い一定温度に到達するという変化であることを特徴とする請求項1に記載のカラー画像形成装置。
【請求項3】
前記画像形成の停止状態に伴う変化は、前記温度検出手段により検出された温度が前記待機温度に到達した以降で下り勾配になるという変化であることを特徴とする請求項1に記載のカラー画像形成装置。
【請求項4】
前記待機状態では、該待機状態ではないときよりも前記温度検出手段による温度の検出回数を増やすことを特徴とする請求項1に記載のカラー画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【公開番号】特開2006−323187(P2006−323187A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−146925(P2005−146925)
【出願日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】