説明

カラー調整方法およびカラー調整装置

【課題】複数のカラー液晶表示装置の間で色が合っていないように見えるのを抑制する。
【解決手段】第1カラー液晶表示装置(A)の画面の基準箇所を含む複数箇所で色度を測定し、それら測定した色度の平均値を算出し、基準箇所での色度と平均値の差分で目標色度(xt,yt)を補正した値を新たな目標色度(xa,ya)とし、基準箇所での色度が補正した目標色度(xa,ya)に一致するように第1カラー液晶表示装置(A)を校正する。第2カラー液晶表示装置(B)についても同様の調整を行う。
【効果】複数のカラー液晶表示装置の組合せが団体規格JESRA_X−0093に合格する確率を高めることが出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラー調整方法およびカラー調整装置に関し、さらに詳しくは、複数のカラー液晶表示装置の間で色が合っていないように見えるのを抑制することが出来るカラー調整方法およびカラー調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カラー液晶表示装置の画面の基準箇所(通常は画面中央部)で色度を測定し、その測定した色度が目標色度に一致するようにカラー液晶表示装置を校正する技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
また、社団法人日本画像医療システム工業会が作成した団体規格JESRA_X−0093では、マルチモニター間の色度偏差を数値で規定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−209230号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
カラー液晶表示装置の画面の基準箇所で色度を測定しその測定した色度が目標色度に一致するようにカラー液晶表示装置を校正することを複数のカラー液晶表示装置について繰り返せば、複数のカラー液晶表示装置の画面の基準箇所での色度特性は揃う。
しかし、カラー液晶表示装置では、画面の場所によって色度特性が異なるため、複数のカラー液晶表示装置の間で基準箇所での色度特性は揃っても、基準箇所以外での色度特性は揃わないことがある。
このため、例えば医用画像表示装置におけるマルチモニターのように複数のカラー液晶表示装置を並べて使う場合に、画面全体として見ると、複数のカラー液晶表示装置の間で色が合っていないように見えてしまう問題点があった。また、複数のカラー液晶表示装置の組合せが、団体規格JESRA_X−0093に不合格となることがあった。
そこで、本発明の目的は、複数のカラー液晶表示装置の間で色が合っていないように見えるのを抑制することが出来るカラー調整方法およびカラー調整装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の観点では、本発明は、カラー液晶表示装置の画面の基準箇所を含む複数箇所で色度を測定し、それら測定した色度の平均値を算出し、前記基準箇所で測定した色度と前記平均値の差分で目標色度を補正した値を新たな目標色度とし、前記画面の基準箇所で測定した色度が前記補正した目標色度に一致するように前記カラー液晶表示装置を校正することを、複数のカラー液晶表示装置について繰り返すことを特徴とするカラー調整方法を提供する。
上記第1の観点によるカラー調整方法では、基準箇所での色度を目標色度に一致させるようにカラーキャリブレーションを行うのではなく、画面の複数箇所での色度が平均的に目標色度に近くなるようにカラーキャリブレーションを行う。このため、複数のカラー液晶表示装置の間で色が合っていないように見えるのを抑制することが出来る。また、複数のカラー液晶表示装置の組合せが団体規格JESRA_X−0093に合格する確率を高めることが出来る。
【0006】
第2の観点では、本発明は、カラー液晶表示装置の画面の所望箇所で色度を測定するための色度測定手段と、前記画面の基準箇所を含む複数箇所でそれぞれ測定した色度の平均値を算出する色度平均値算出手段と、前記基準箇所で測定した色度と前記平均値の差分を算出する差分算出手段と、前記差分で目標色度を補正した値を新たな目標色度とする目標色度補正手段と、前記基準箇所で測定した色度が前記補正した目標色度に一致するように前記カラー液晶表示装置を校正するカラーキャリブレーション手段とを具備したことを特徴とするカラー調整装置を提供する。
上記第2の観点によるカラー調整装置では、画面の複数箇所での色度が平均的に目標色度に近くなるようにカラーキャリブレーションを行うことが出来る。このため、これを複数のカラー液晶表示装置について繰り返せば、複数のカラー液晶表示装置の間で色が合っていないように見えるのを抑制することが出来る。また、複数のカラー液晶表示装置の組合せが団体規格JESRA_X−0093に合格する確率を高めることが出来る。
【0007】
第3の観点では、本発明は、基準カラー液晶表示装置の画面の基準箇所を含む複数箇所で色度を測定し、調整対象カラー液晶表示装置の画面の基準箇所を含む複数箇所で色度を測定し、それら測定した色度の差分の平均値を算出し、前記差分の平均値で目標色度を補正した値を新たな目標色度とし、前記画面の基準箇所で測定した色度が前記補正した目標色度に一致するように前記調整対象カラー液晶表示装置を校正することを特徴とするカラー調整方法を提供する。
上記第3の観点によるカラー調整方法では、基準カラー液晶表示装置と調整対象カラー液晶表示装置の画面の基準箇所での色度を一致させるようにカラーキャリブレーションを行うのではなく、画面の複数箇所での色度が平均的に近くなるようにカラーキャリブレーションを行う。このため、基準カラー液晶表示装置と調整対象カラー液晶表示装置の間で色が合っていないように見えるのを抑制することが出来る。また、複数のカラー液晶表示装置の組合せが団体規格JESRA_X−0093に合格する確率を高めることが出来る。
【0008】
第4の観点では、本発明は、カラー液晶表示装置の画面の所望箇所で色度を測定するための色度測定手段と、基準カラー液晶表示装置の画面の基準箇所を含む複数箇所でそれぞれ測定した色度と調整対象カラー液晶表示装置の画面の基準箇所を含む複数箇所でそれぞれ測定した色度の差分の平均値を算出する平均差分算出手段と、前記平均差分で目標色度を補正した値を新たな目標色度とする目標色度補正手段と、前記基準箇所で測定した色度が前記補正した目標色度に一致するように前記調整対象カラー液晶表示装置を校正するカラーキャリブレーション手段とを具備したことを特徴とするカラー調整装置を提供する。 上記第4の観点によるカラー調整装置では、基準カラー液晶表示装置と調整対象カラー液晶表示装置の画面の基準箇所での色度が平均的に近くなるようにカラーキャリブレーションを行うことが出来る。このため、基準カラー液晶表示装置と調整対象カラー液晶表示装置の間で色が合っていないように見えるのを抑制することが出来る。また、複数のカラー液晶表示装置の組合せが団体規格JESRA_X−0093に合格する確率を高めることが出来る。
【発明の効果】
【0009】
本発明のカラー調整方法およびカラー調整装置によれば、複数のカラー液晶表示装置の間で色が合っていないように見えるのを抑制することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施例1に係るカラー調整装置による第1カラー液晶表示装置のカラー調整状態を示す説明図である。
【図2】実施例1に係る第1カラー液晶表示装置のカラー調整の手順を示すフロー図である。
【図3】実施例1に係る第1カラー液晶表示装置のカラー調整の進行を示す模式図である。
【図4】実施例1に係るカラー調整装置による第2カラー液晶表示装置のカラー調整状態を示す説明図である。
【図5】実施例1に係る第2カラー液晶表示装置のカラー調整の手順を示すフロー図である。
【図6】実施例1に係る第2カラー液晶表示装置のカラー調整の進行を示す模式図である。
【図7】実施例1に係るカラー調整後の第1カラー液晶表示装置の色と第2カラー液晶表示装置の色の差を示す模式図である。
【図8】従来方法によるカラー調整後の第1カラー液晶表示装置の色と第2カラー液晶表示装置の色の差を示す模式図である。
【図9】実施例2に係るカラー調整装置による第1カラー液晶表示装置のカラー調整状態を示す説明図である。
【図10】実施例2に係る第1カラー液晶表示装置のカラー調整の手順を示すフロー図である。
【図11】実施例2に係る第1カラー液晶表示装置のカラー調整の進行を示す模式図である。
【図12】実施例2に係るカラー調整装置による第2カラー液晶表示装置のカラー調整状態を示す説明図である。
【図13】実施例2に係る第2カラー液晶表示装置のカラー調整の手順を示すフロー図である。
【図14】実施例2に係る第2カラー液晶表示装置のカラー調整の進行を示す模式図である。
【図15】実施例2に係るカラー調整後の第1カラー液晶表示装置の色と第2カラー液晶表示装置の色の差を示す模式図である。
【図16】従来方法によるカラー調整後の第1カラー液晶表示装置の色と第2カラー液晶表示装置の色の差を示す模式図である。
【図17】実施例3に係るカラー調整装置による第1カラー液晶表示装置のカラー調整状態を示す説明図である。
【図18】実施例3に係るカラー調整装置による第2カラー液晶表示装置のカラー調整状態を示す説明図である。
【図19】実施例4に係るカラー調整装置による第1カラー液晶表示装置のカラー調整状態を示す説明図である。
【図20】実施例4に係るカラー調整装置による第2カラー液晶表示装置のカラー調整状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図に示す実施の形態により本発明をさらに詳細に説明する。なお、これにより本発明が限定されるものではない。
【実施例】
【0012】
−実施例1−
図1は、実施例1に係るカラー調整装置10による第1カラー液晶表示装置Aのカラー調整状態を示す説明図である。
カラー調整装置10は、色度センサ1と、色度測定部2と、カラーキャリブレーション部3と、目標色度出力部11Aとを具備してなる。
【0013】
色度センサ1は、カラー液晶表示装置A,Bの画面の所望箇所に取り付けられる。
色度測定部2は、色度センサ1により色度を測定する。
カラーキャリブレーション部3は、カラー液晶表示装置A,Bの画面の基準箇所(この例では画面の中央部)で測定した色度が目標色度に一致するようにカラー液晶表示装置A,Bを校正する。
【0014】
目標色度出力部11Aは、第1カラー液晶表示装置Aに内蔵されている。これは、目標色度(xt,yt)および補正した目標色度(xa,ya)を第1カラー液晶表示装置Aに保持しておいて、第1カラー液晶表示装置Aの保守に利用するためである。
目標色度出力部11Aは、操作者が設定した目標色度(xt,yt)を保持し、これを出力するか、又は、目標色度(xt,yt)を補正し、その補正した目標色度(xa,ya)を出力する。
【0015】
図2は、第1カラー液晶表示装置Aのカラー調整の手順を示すフロー図である。
ステップS1では、操作者は、色度センサ1を第1カラー液晶表示装置Aの画面の中央部に設置する。また、目標色度出力部11Aから目標色度(xt,yt)を出力させる。そして、色度測定部2およびカラーキャリブレーション部3を作動させて、測定した色度が目標色度(xt,yt)に近くなるように第1カラー液晶表示装置Aを校正する。なお、このカラーキャリブレーションは、予備的なものなので、測定した色度が目標色度(xt,yt)に近くなればよい。
【0016】
ステップS2では、操作者は、色度センサ1を第1カラー液晶表示装置Aの画面の左上部に設置する。そして、色度測定部2を作動させて、色度(xa1,ya1)を取得する。
ステップS3では、操作者は、色度センサ1を第1カラー液晶表示装置Aの画面の右上部に設置する。そして、色度測定部2を作動させて、色度(xa2,ya2)を取得する。
ステップS4では、操作者は、色度センサ1を第1カラー液晶表示装置Aの画面の中央部に設置する。そして、色度測定部2を作動させて、色度(xa3,ya3)を取得する。
ステップS5では、操作者は、色度センサ1を第1カラー液晶表示装置Aの画面の左下部に設置する。そして、色度測定部2を作動させて、色度(xa4,ya4)を取得する。
ステップS6では、操作者は、色度センサ1を第1カラー液晶表示装置Aの画面の右下部に設置する。そして、色度測定部2を作動させて、色度(xa5,ya5)を取得する。
【0017】
ステップS7では、目標色度出力部11Aは、平均色度(xam,yam)を算出する。
xam=i=1Σ5(xai)/5
yam=i=1Σ5(yai)/5
【0018】
ステップS8では、目標色度出力部11Aは、中央部での色度(xa3,ya3)と平均色度(xam,yam)の差分(Δxam,Δyam)を算出する。
Δxam=xa3−xam
Δyam=ya3−yam
【0019】
ステップS9では、目標色度出力部11Aは、目標色度(xt,yt)に差分(Δxam,Δyam)を加算し、新たな目標色度(xa,ya)を算出する。
xa=xt+Δxam
ya=yt+Δyam
【0020】
ステップS10では、操作者は、色度センサ1を第1カラー液晶表示装置Aの画面の中央部に設置する。また、目標色度出力部11Aから補正した目標色度(xa,ya)を出力させる。そして、色度測定部2およびカラーキャリブレーション部3を作動させて、測定した色度が目標色度(xa,ya)に一致するように第1カラー液晶表示装置Aを校正する。
【0021】
図3の(a)は、上記ステップS1の後の状態を示す概念図である。
中央部の色度(xa3)は目標色度(xt)に近い値になっているが、左上部の色度(xa1)や右下部の色度(xa5)はやや外れている。
【0022】
図3の(b)は、上記ステップS8の後の状態を示す概念図である。
平均色度(xam)と中央部の色度(xa3)の差分(Δxam)が算出される。
【0023】
図3の(c)は、上記ステップS9の後の状態を示す概念図である。
目標色度(xt)と差分(Δxam)とから新たな目標色度(xa)が算出される。
【0024】
図3の(d)は、上記ステップS10の後の状態を示す概念図である。
中央部の色度(xa3’)は補正した目標色度(xa)に一致しているが、左上部の色度(xa1’)や右下部の色度(xa5’)は補正した目標色度(xa)からやや外れている。
【0025】
図4は、実施例1に係るカラー調整装置10による第2カラー液晶表示装置Bのカラー調整状態を示す説明図である。
カラー調整装置10は、色度センサ1と、色度測定部2と、カラーキャリブレーション部3と、目標色度出力部11Bとを具備してなる。
【0026】
目標色度出力部11Bは、第2カラー液晶表示装置Bに内蔵されている。これは、目標色度(xt,yt)および補正した目標色度(xb,yb)を第2カラー液晶表示装置Bに保持しておいて、第2カラー液晶表示装置Bの保守に利用するためである。
目標色度出力部11Bは、操作者が設定した目標色度(xt,yt)を保持し、これを出力するか、又は、目標色度(xt,yt)を補正し、その補正した目標色度(xb,yb)を出力する。
【0027】
図5は、第2カラー液晶表示装置Bのカラー調整の手順を示すフロー図である。
ステップS11では、操作者は、色度センサ1を第2カラー液晶表示装置Bの画面の中央部に設置する。また、目標色度出力部11Bから目標色度(xt,yt)を出力させる。そして、色度測定部2およびカラーキャリブレーション部3を作動させて、測定した色度が目標色度(xt,yt)に近くなるように第2カラー液晶表示装置Bを校正する。
【0028】
ステップS12では、操作者は、色度センサ1を第2カラー液晶表示装置Bの画面の左上部に設置する。そして、色度測定部2を作動させて、色度(xb1,yb1)を取得する。
ステップS13では、操作者は、色度センサ1を第2カラー液晶表示装置Bの画面の右上部に設置する。そして、色度測定部2を作動させて、色度(xb2,yb2)を取得する。
ステップS14では、操作者は、色度センサ1を第2カラー液晶表示装置Bの画面の中央部に設置する。そして、色度測定部2を作動させて、色度(xb3,yb3)を取得する。
ステップS15では、操作者は、色度センサ1を第2カラー液晶表示装置Bの画面の左下部に設置する。そして、色度測定部2を作動させて、色度(xb4,yb4)を取得する。
ステップS16では、操作者は、色度センサ1を第2カラー液晶表示装置Bの画面の右下部に設置する。そして、色度測定部2を作動させて、色度(xb5,yb5)を取得する。
【0029】
ステップS17では、目標色度出力部11Bは、平均色度(xbm,ybm)を算出する。
xbm=i=1Σ5(xbi)/5
ybm=i=1Σ5(ybi)/5
【0030】
ステップS18では、目標色度出力部11Bは、中央部での色度(xb3,yb3)と平均色度(xbm,ybm)の差分(Δxbm,Δybm)を算出する。
Δxbm=xb3−xbm
Δybm=yb3−ybm
【0031】
ステップS19では、目標色度出力部11Bは、目標色度(xt,yt)に差分(Δxbm,Δybm)を加算し、新たな目標色度(xb,yb)を算出する。
xb=xt+Δxbm
yb=yt+Δybm
【0032】
ステップS20では、操作者は、色度センサ1を第2カラー液晶表示装置Bの画面の中央部に設置する。また、目標色度出力部11Bから補正した目標色度(xb,yb)を出力させる。そして、色度測定部2およびカラーキャリブレーション部3を作動させて、測定した色度が目標色度(xb,yb)に一致するように第2カラー液晶表示装置Bを校正する。
【0033】
図6の(a)は、上記ステップS11の後の状態を示す概念図である。
中央部の色度(xb3)は目標色度(xt)に近い値になっているが、左上部の色度(xb1)や右下部の色度(xb5)はやや外れている。
【0034】
図6の(b)は、上記ステップS18の後の状態を示す概念図である。
平均色度(xbm)と中央部の色度(xb3)の差分(Δxbm)が算出される。
【0035】
図6の(c)は、上記ステップS19の後の状態を示す概念図である。
目標色度(xt)と差分(Δxbm)とから新たな目標色度(xb)が算出される。
【0036】
図6の(d)は、上記ステップS20の後の状態を示す概念図である。
中央部の色度(xb3’)は補正した目標色度(xb)に一致しているが、左上部の色度(xb1’)や右下部の色度(xb5’)は補正した目標色度(xb)からやや外れている。
【0037】
図7は、実施例1によるカラー調整後の第1カラー液晶表示装置Aと第2カラー液晶表示装置Bの色度を比較した概念図である。
第1カラー液晶表示装置Aの色度(xa3’)と第2カラー液晶表示装置Bの中央部の色度(xb3’)は、目標色度(xt)からやや外れている。しかし、第1カラー液晶表示装置Aの左上部の色度(xa1’)と第2カラー液晶表示装置Bの左上部の色度(xb1’)の色度偏差は小さい。
【0038】
図8は、従来方法によるカラー調整後の第1カラー液晶表示装置Aと第2カラー液晶表示装置Bの色度を比較した概念図である。
第1カラー液晶表示装置Aの色度(xa3”)と第2カラー液晶表示装置Bの中央部の色度(xb3”)は、目標色度(xt)に一致している。しかし、第1カラー液晶表示装置Aの左上部の色度(xa1”)と第2カラー液晶表示装置Bの左上部の色度(xb1”)の色度偏差は大きい。
【0039】
図7と図8とを比較すれば判るように、実施例1のカラー調整装置10によれば、第1カラー液晶表示装置Aと第2カラー液晶表示装置Bとの間で色が合っていないように見えるのを抑制することが出来る。また、第1カラー液晶表示装置Aと第2カラー液晶表示装置Bの組合せが団体規格JESRA_X−0093に合格する確率を高めることが出来る。
【0040】
3台目以降のカラー液晶表示装置についても、図2または図5と同様にカラー調整を行えばよい。
【0041】
−実施例2−
図9は、実施例2に係るカラー調整装置20による第1カラー液晶表示装置Aのカラー調整状態を示す説明図である。
カラー調整装置20は、色度センサ1と、色度測定部2と、カラーキャリブレーション部3と、目標色度出力部21Aとを具備してなる。
【0042】
色度センサ1は、カラー液晶表示装置A,Bの画面の所望箇所に取り付けられる。
色度測定部2は、色度センサ1により色度を測定する。
カラーキャリブレーション部3は、カラー液晶表示装置A,Bの画面の基準箇所(この例では画面の中央部)で測定した色度が目標色度に一致するようにカラー液晶表示装置A,Bを校正する。
【0043】
目標色度出力部21Aは、第1カラー液晶表示装置Aに内蔵されている。これは、目標色度(xt,yt)を第1カラー液晶表示装置Aに保持しておいて、第1カラー液晶表示装置Aの保守に利用するためである。
目標色度出力部21Aは、操作者が設定した目標色度(xt,yt)を保持し、これを出力する。
【0044】
図10は、第1カラー液晶表示装置Aのカラー調整の手順を示すフロー図である。
ステップS21では、操作者は、色度センサ1を第1カラー液晶表示装置Aの画面の中央部に設置する。また、目標色度出力部21Aから目標色度(xt,yt)を出力させる。そして、色度測定部2およびカラーキャリブレーション部3を作動させて、測定した色度が目標色度(xt,yt)に一致するように第1カラー液晶表示装置Aを校正する。
【0045】
ステップS22では、操作者は、色度センサ1を第1カラー液晶表示装置Aの画面の左上部に設置する。そして、色度測定部2を作動させて、色度(xa1,ya1)を取得する。
ステップS23では、操作者は、色度センサ1を第1カラー液晶表示装置Aの画面の右上部に設置する。そして、色度測定部2を作動させて、色度(xa2,ya2)を取得する。
ステップS24では、操作者は、色度センサ1を第1カラー液晶表示装置Aの画面の中央部に設置する。そして、色度測定部2を作動させて、色度(xa3,ya3)を取得する。
ステップS25では、操作者は、色度センサ1を第1カラー液晶表示装置Aの画面の左下部に設置する。そして、色度測定部2を作動させて、色度(xa4,ya4)を取得する。
ステップS26では、操作者は、色度センサ1を第1カラー液晶表示装置Aの画面の右下部に設置する。そして、色度測定部2を作動させて、色度(xa5,ya5)を取得する。
【0046】
図11は、上記ステップS21の後の状態を示す概念図である。
中央部の色度(xa3)は目標色度(xt)に一致しているが、左上部の色度(xa1)や右下部の色度(xa5)はやや外れている。
【0047】
図12は、実施例2に係るカラー調整装置20による第2カラー液晶表示装置Bのカラー調整状態を示す説明図である。
カラー調整装置20は、色度センサ1と、色度測定部2と、カラーキャリブレーション部3と、目標色度出力部21Bとを具備してなる。
【0048】
目標色度出力部21Bは、第2カラー液晶表示装置Bに内蔵されている。これは、目標色度(xt,yt)および補正した目標色度(xb,yb)を第2カラー液晶表示装置Bに保持しておいて、第2カラー液晶表示装置Bの保守に利用するためである。
目標色度出力部21Bは、操作者が設定した目標色度(xt,yt)を保持し、これを出力するか、又は、目標色度(xt,yt)を補正し、その補正した目標色度(xb,yb)を出力する。
【0049】
図13は、第2カラー液晶表示装置Bのカラー調整の手順を示すフロー図である。
ステップS31では、操作者は、色度センサ1を第2カラー液晶表示装置Bの画面の中央部に設置する。また、目標色度出力部21Bから目標色度(xt,yt)を出力させる。そして、色度測定部2およびカラーキャリブレーション部3を作動させて、測定した色度が目標色度(xt,yt)に一致するように第2カラー液晶表示装置Bを校正する。
【0050】
ステップS32では、操作者は、色度センサ1を第2カラー液晶表示装置Bの画面の左上部に設置する。そして、色度測定部2を作動させて、色度(xb1,yb1)を取得する。
ステップS33では、操作者は、色度センサ1を第2カラー液晶表示装置Bの画面の右上部に設置する。そして、色度測定部2を作動させて、色度(xb2,yb2)を取得する。
ステップS34では、操作者は、色度センサ1を第2カラー液晶表示装置Bの画面の中央部に設置する。そして、色度測定部2を作動させて、色度(xb3,yb3)を取得する。
ステップS35では、操作者は、色度センサ1を第2カラー液晶表示装置Bの画面の左下部に設置する。そして、色度測定部2を作動させて、色度(xb4,yb4)を取得する。
ステップS36では、操作者は、色度センサ1を第2カラー液晶表示装置Bの画面の右下部に設置する。そして、色度測定部2を作動させて、色度(xb5,yb5)を取得する。
【0051】
ステップS37では、目標色度出力部21Bは、差分(Δxi)を算出する。
Δxi=xai−xbi
Δyi=yai−ybi
i=1,2,3,4,5
【0052】
ステップS38では、目標色度出力部21Bは、平均差分(xbm)を算出する。
xbm=i=1Σ5(Δxi)/5
【0053】
ステップS39では、目標色度出力部21Bは、差分(Δxi,Δyi)を算出する。
Δxi=xai−xbi
Δyi=yai−ybi
i=1,2,3,4,5
【0054】
ステップS38では、目標色度出力部21Bは、平均差分(Δxbm,Δybm)を算出する。
Δxbm=i=1Σ5(Δxi)/5
Δybm=i=1Σ5(Δyi)/5
【0055】
ステップS39では、目標色度出力部21Bは、目標色度(xt,yt)に平均差分(Δxbm,Δybm)を加算し、新たな目標色度(xb,yb)を算出する。
xb=xt+Δxbm
yb=yt+Δybm
【0056】
ステップS40では、操作者は、色度センサ1を第2カラー液晶表示装置Bの画面の中央部に設置する。また、目標色度出力部21Bから補正した目標色度(xb,yb)を出力させる。そして、色度測定部2およびカラーキャリブレーション部3を作動させて、測定した色度が目標色度(xb,yb)に一致するように第2カラー液晶表示装置Bを校正する。
【0057】
図14の(a)は、上記ステップS31の後の状態を示す概念図である。
中央部の色度(xb3)は目標色度(xt)に一致しているが、左上部の色度(xb1)や右下部の色度(xb5)はやや外れている。
【0058】
図14の(b)は、上記ステップS37の後の状態を示す概念図である。
色度(xai)と色度(xbi)の差分(Δxi)が算出される。
【0059】
図14の(c)は、上記ステップS38の後の状態を示す概念図である。
差分(Δxi)から平均差分(Δxbm)が算出される。
【0060】
図14の(d)は、上記ステップS39の後の状態を示す概念図である。
目標色度(xt)と平均差分(Δxbm)とから新たな目標色度(xb)が算出される。
【0061】
図14の(e)は、上記ステップS40の後の状態を示す概念図である。
中央部の色度(xb3’)は補正した目標色度(xb)に一致しているが、左上部の色度(xb1’)や右下部の色度(xb5’)は補正した目標色度(xb)からやや外れている。
【0062】
図15は、実施例2によるカラー調整後の第1カラー液晶表示装置Aと第2カラー液晶表示装置Bの色度を比較した概念図である。
第1カラー液晶表示装置Aの色度(xa3’)は目標色度(xt)に一致しているが、第2カラー液晶表示装置Bの中央部の色度(xb3’)は目標色度(xt)からやや外れている。しかし、第1カラー液晶表示装置Aの左上部の色度(xa1’)と第2カラー液晶表示装置Bの左上部の色度(xb1’)の色度偏差は小さい。
【0063】
図16は、従来方法によるカラー調整後の第1カラー液晶表示装置Aと第2カラー液晶表示装置Bの色度を比較した概念図である。
第1カラー液晶表示装置Aの色度(xa3”)と第2カラー液晶表示装置Bの中央部の色度(xb3”)は、目標色度(xt)に一致している。しかし、第1カラー液晶表示装置Aの左上部の色度(xa1”)と第2カラー液晶表示装置Bの左上部の色度(xb1”)の色度偏差は大きい。
【0064】
図15と図16とを比較すれば判るように、実施例2のカラー調整装置20によれば、第1カラー液晶表示装置Aと第2カラー液晶表示装置Bとの間で色が合っていないように見えるのを抑制することが出来る。また、第1カラー液晶表示装置Aと第2カラー液晶表示装置Bの組合せが団体規格JESRA_X−0093に合格する確率を高めることが出来る。
【0065】
3台目以降のカラー液晶表示装置についても、図13と同様にカラー調整を行えばよい。
【0066】
−実施例3−
図17,図18は、実施例3に係るカラー調整装置30によるカラー液晶表示装置A,Bのカラー調整状態を示す説明図である。
このカラー調整装置30は、色度センサ1と、色度測定部2と、カラーキャリブレーション部3と、目標色度出力部11とを具備してなる。
【0067】
目標色度出力部11は、カラー液晶表示装置A,Bとは別体であり、図17に示すように第1カラー液晶表示装置Aを調整するときは実施例1の目標色度出力部11Aのように動作し、図18に示すように第2カラー液晶表示装置Bを調整するときは実施例1の目標色度出力部11Bのように動作する。
【0068】
−実施例4−
図19,図20は、実施例4に係るカラー調整装置40によるカラー液晶表示装置A,Bのカラー調整状態を示す説明図である。
このカラー調整装置40は、色度センサ1と、色度測定部2と、カラーキャリブレーション部3と、目標色度出力部21とを具備してなる。
【0069】
目標色度出力部21は、カラー液晶表示装置A,Bとは別体であり、図19に示すように第1カラー液晶表示装置Aを調整するときは実施例2の目標色度出力部21Aのように動作し、図20に示すように第2カラー液晶表示装置Bを調整するときは実施例2の目標色度出力部21Bのように動作する。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明のカラー調整方法およびカラー調整方法は、マルチモニターのカラー調整に利用することが出来る。
【符号の説明】
【0071】
1 色度センサ
2 色度測定部
3 カラーキャリブレーション部
10,20 カラー調整装置
11A,11B,21A,21B,11,21 目標色度出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラー液晶表示装置の画面の基準箇所を含む複数箇所で色度を測定し、それら測定した色度の平均値を算出し、前記基準箇所で測定した色度と前記平均値の差分で目標色度を補正した値を新たな目標色度とし、前記画面の基準箇所で測定した色度が前記補正した目標色度に一致するように前記カラー液晶表示装置を校正することを、複数のカラー液晶表示装置について繰り返すことを特徴とするカラー調整方法。
【請求項2】
カラー液晶表示装置の画面の所望箇所で色度を測定するための色度測定手段と、前記画面の基準箇所を含む複数箇所でそれぞれ測定した色度の平均値を算出する色度平均値算出手段と、前記基準箇所で測定した色度と前記平均値の差分を算出する差分算出手段と、前記差分で目標色度を補正した値を新たな目標色度とする目標色度補正手段と、前記基準箇所で測定した色度が前記補正した目標色度に一致するように前記カラー液晶表示装置を校正するカラーキャリブレーション手段とを具備したことを特徴とするカラー調整装置。
【請求項3】
基準カラー液晶表示装置の画面の基準箇所を含む複数箇所で色度を測定し、調整対象カラー液晶表示装置の画面の基準箇所を含む複数箇所で色度を測定し、それら測定した色度の差分の平均値を算出し、前記差分の平均値で目標色度を補正した値を新たな目標色度とし、前記画面の基準箇所で測定した色度が前記補正した目標色度に一致するように前記調整対象カラー液晶表示装置を校正することを特徴とするカラー調整方法。
【請求項4】
カラー液晶表示装置の画面の所望箇所で色度を測定するための色度測定手段と、基準カラー液晶表示装置の画面の基準箇所を含む複数箇所でそれぞれ測定した色度と調整対象カラー液晶表示装置の画面の基準箇所を含む複数箇所でそれぞれ測定した色度の差分の平均値を算出する平均差分算出手段と、前記平均差分で目標色度を補正した値を新たな目標色度とする目標色度補正手段と、前記基準箇所で測定した色度が前記補正した目標色度に一致するように前記調整対象カラー液晶表示装置を校正するカラーキャリブレーション手段とを具備したことを特徴とするカラー調整装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2010−212937(P2010−212937A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−56158(P2009−56158)
【出願日】平成21年3月10日(2009.3.10)
【出願人】(000003414)東京特殊電線株式会社 (173)
【Fターム(参考)】