カルテ管理装置
【課題】カルテを適切に管理できるカルテ管理装置を提供する。
【解決手段】カルテ管理装置1は、複数のカルテ保管区画6と、各カルテ保管区画6に対応して設けたアンテナ11および区画特定表示12とを備える。管理用端末21は、アンテナ11からタグ固有IDを取得すると、この今回取得したタグ固有IDと前回取得したタグ固有IDとを比較する。そして、今回のみに存在するタグ固有IDに対応するカルテ情報に関しては、カルテが保管状態にあることを示す内容に変更し、そのカルテの保管場所を付加する。前回のみに存在するタグ固有IDに対応するカルテ情報に関しては、カルテが持出状態にあることを示す内容に変更する。
【解決手段】カルテ管理装置1は、複数のカルテ保管区画6と、各カルテ保管区画6に対応して設けたアンテナ11および区画特定表示12とを備える。管理用端末21は、アンテナ11からタグ固有IDを取得すると、この今回取得したタグ固有IDと前回取得したタグ固有IDとを比較する。そして、今回のみに存在するタグ固有IDに対応するカルテ情報に関しては、カルテが保管状態にあることを示す内容に変更し、そのカルテの保管場所を付加する。前回のみに存在するタグ固有IDに対応するカルテ情報に関しては、カルテが持出状態にあることを示す内容に変更する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病院等においてカルテを適切に管理できるカルテ管理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、中規模の病院等では、例えば患者氏名順で並べてカルテを管理したり、ターミナルデジットファイリング方式(TDF方式)の色分けされたタブを利用してカルテを管理したりしている(例えば非特許文献1参照)。
【非特許文献1】[online]、株式会社エムオーシー、[平成20年3月28日検索]、インターネット<URL:http://www.moc-inc.co.jp/tdf.html>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来のようなカルテ管理方法では、例えば持ち出されたカルテが元の所定位置に戻されなかった場合、そのカルテの紛失が判明するのは次にそのカルテを持ち出す必要が生じた時点であるため、カルテの紛失を知るまでに長期間が経過してしまったときには、紛失したカルテを見つけ出すことができないおそれがある。
【0004】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、カルテの紛失を早期に知ることが可能となり、紛失したカルテを見つけ出すことができない事態を抑制でき、カルテを適切に管理できるカルテ管理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載のカルテ管理装置は、非接触情報記憶媒体を有するカルテを管理するカルテ管理装置であって、カルテが保管される複数のカルテ保管区画と、これらの各カルテ保管区画に対応して設けられ、対応するカルテ保管区画に保管されたカルテの非接触情報記憶媒体からの固有IDを受信するアンテナと、前記各カルテ保管区画に対応して設けられ、対応するカルテ保管区画を特定する区画特定表示と、カルテ情報を管理する情報管理手段と、カルテ情報を出力する情報出力手段とを備え、前記情報管理手段は、前記アンテナから固有IDを取得すると、この今回取得した固有IDと前回取得した固有IDとを比較し、今回のみに存在する固有IDに対応するカルテ情報に関しては、カルテが保管状態にあることを示す内容に変更するとともに、そのカルテが保管されている前記カルテ保管区画を特定する前記区画特定表示である保管場所を付加し、前回のみに存在する固有IDに対応するカルテ情報に関しては、カルテが持出状態にあることを示す内容に変更するものである。
【0006】
請求項2記載のカルテ管理装置は、請求項1記載のカルテ管理装置において、カルテが一時的に収納されるカルテ一時収納区画と、このカルテ一時収納区画に収納されたカルテの非接触情報記憶媒体からの固有IDを受信する補助アンテナとを備え、情報管理手段は、前記補助アンテナから固有IDを取得すると、この取得した固有IDがカルテ持出予定テーブルにあるか否かを判断し、その判断結果を情報出力手段に出力させるものである。
【0007】
請求項3記載のカルテ管理装置は、請求項2記載のカルテ管理装置において、カルテ保管区画は、カルテ保管棚に複数形成され、カルテ一時収納区画は、カルテ収納トレイに形成されているものである。
【0008】
請求項4記載のカルテ管理装置は、請求項1ないし3のいずれか一記載のカルテ管理装置において、情報管理手段は、カルテ情報の内容を変更した際にその変更時刻を記憶するものである。
【0009】
請求項5記載のカルテ管理装置は、請求項1ないし4のいずれか一記載のカルテ管理装置において、カルテの非接触情報記憶媒体は、固有IDのみが記憶されたパッシブ型のRFタグであるものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る発明によれば、情報出力手段にて出力されたカルテ情報によって、カルテの紛失を早期に知ることができるため、紛失したカルテを見つけ出すことができない事態を抑制でき、よってカルテを適切に管理でき、しかも、カルテ情報には区画特定表示である保管場所が付加されるため、持ち出すべきカルテを短時間で検索できる。
【0011】
請求項2に係る発明によれば、情報管理手段は、取得した固有IDがカルテ持出予定テーブルにあるか否かを判断してその判断結果を情報出力手段に出力させるため、持ち出すべきカルテかどうかを容易に確認できる。
【0012】
請求項3に係る発明によれば、カルテ保管区画はカルテ保管棚に複数形成され、カルテ一時収納区画はカルテ収納トレイに形成されているため、カルテ保管棚から持ち出したカルテをカルテ収納トレイに入れることで、そのカルテがカルテ持出予定テーブルにある持ち出すべきカルテかどうかを容易に確認できる。
【0013】
請求項4に係る発明によれば、情報管理手段は、カルテ情報の内容を変更した際にその変更時刻を記憶するため、例えば長期間利用のないカルテを選別できる。
【0014】
請求項5に係る発明によれば、カルテの非接触情報記憶媒体は固有IDのみが記憶されたパッシブ型のRFタグであるため、電池交換が不要であるとともに、RFタグから患者の個人情報等が漏れることもない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明のカルテ管理装置の一実施の形態の構成を図面を参照して説明する。
【0016】
図1において、1はカルテ管理装置で、このカルテ管理装置は、例えば中規模の病院に設置され、複数枚のカルテ2を管理するシステムである。カルテ2は、カルテ本体3を有し、このカルテ本体3には、固有IDであるタグ固有IDのみを記憶した非接触情報記憶媒体であるRFタグ(無線ICタグ)4が取り付けられている。
【0017】
RFタグ4は、例えば電池不要なパッシブ型(受動型)で、アンテナ部、送受信部、制御部および記憶部にて構成され、この記憶部にはタグ固有IDのみが記憶されている。なお、タグ固有IDは、例えばRFタグ4の製造時に付加されたユニークIDであり、以下「UID」という。
【0018】
カルテ管理装置1は、複数枚のカルテ2を並べて保管可能な複数のカルテ保管棚5を備えている。各カルテ保管棚5は、複数枚のカルテ2が出し入れ可能に保管される複数のカルテ保管区画(カルテ保管部)6を有している。カルテ保管区画6はカルテ保管棚5の各棚段に左右方向に並設されており、各カルテ保管区画6は底板部7と側板部8と後板部9とにて区画形成されている。各カルテ保管区画6には、例えば最大で100枚のカルテを保管可能である。
【0019】
また、カルテ管理装置1は、各カルテ保管区画6に対応して設けられ対応するカルテ保管区画6に保管されたカルテ2のRFタグ4からのUIDを受信するアンテナ11と、各カルテ保管区画6に対応して設けられ対応するカルテ保管区画6を特定する区画特定表示12とを備えている。
【0020】
アンテナ11は、対応するカルテ保管区画6に保管されたカルテ2のRFタグ4のアンテナ部から送信されるUIDを含む電波を受信するもので、例えばカルテ保管棚5の側板部8に設けられている。
【0021】
区画特定表示12は、例えば棚連および棚段等を含めて一意に識別可能な区画番号で、この区画番号が印刷されたラベル等がカルテ保管棚5の前面に各カルテ保管区画6に対応して貼り付けられている。なお、各カルテ保管区画6に対応してカルテ保管棚5に設けた液晶表示部等で区画特定表示12を表示するようにしてもよい。
【0022】
また、カルテ管理装置1は、カルテ保管棚5とは別に設けられ複数枚のカルテ2を収納可能な複数のカルテ収納トレイ15を備えている。各カルテ収納トレイ15は、複数枚のカルテ2が出し入れ可能に一時的に収納されるカルテ一時収納区画16を有している。また、各カルテ収納トレイ15には、そのカルテ収納トレイ15内に載置されて収納されたカルテ2のRFタグ4からのUIDを受信する補助アンテナ17が設けられている。各補助アンテナ17は、対応するカルテ一時収納区画16に一時的に収納されたカルテ2のRFタグ4のアンテナ部から送信されるUIDを含む電波を受信するものである。各カルテ収納トレイ15は、略矩形状の底板部18と、この底板部18の左右側端および後縁から立上った壁部19とを有し、底板部18に補助アンテナ17が設けられている。
【0023】
さらに、カルテ管理装置1は、管理DB(管理データベース)を有しカルテ2に関する情報であるカルテ情報を管理記憶する情報管理手段である管理用端末(管理DBサーバ)21と、カルテ保管棚5の近傍に配設されカルテ情報を出力表示する情報出力手段である表示用端末(作業者用端末)22とを備えている。なお、カルテ情報は、例えばUID、カルテ番号、患者氏名、カルテ状態および保管場所等を含むものである。
【0024】
また、カルテ管理装置1は、各診療科の受付等に配設された内科受付端末23、外科受付端末24および小児科受付端末25等を備えている。また、各端末22,23,24,25に対応してカルテ収納トレイ15が設けられ、各カルテ収納トレイ15は対応する端末22,23,24,25の近傍に配設され、カルテ収納トレイ15と端末22,23,24,25とが例えば1対1の関係となっている。
【0025】
そして、管理用端末21と、各端末22,23,24,25と、カルテ保管棚5のアンテナ11と、カルテ収納トレイ15の補助アンテナ17とは、有線LANまたは無線LAN等のコンピュータネットワーク26を介して接続されている。なお、各端末22,23,24,25は、例えばキーボード、マウス等の入力部、液晶表示手段等の表示部、および制御部等にて構成されたパソコン等である。カルテ収納トレイ15は、任意位置に設置可能な持ち運び可能なものでもよい。
【0026】
次に、上記カルテ管理装置1を用いたカルテ2の管理方法について説明する。
【0027】
図2は、カルテ2を新たに登録する際の処理の流れを示すフローチャートである。
【0028】
作業者は、例えば登録するカルテ2を表示用端末22に対応したカルテ収納トレイ15に置くことにより(ステップ1)、その登録するカルテ2をカルテ一時収納区画16に一時的に収納する。
【0029】
すると、管理用端末21は、カルテ一時収納区画16に収納されたカルテ2のRFタグ4のUIDを補助アンテナ17から取得し(ステップ2)、この取得したUIDと同一のUIDが管理DBに既に登録されているか否かを判断する(ステップ3)。
【0030】
同一のUIDが管理DBに登録されていないと判断された場合、作業者は、表示用端末22の入力部を用いてカルテ情報である必要項目、すなわち例えばカルテ番号(診察券番号)および患者氏名を入力して管理DBに登録する(ステップ4)。この際、カルテ情報の1つであるカルテ2の状態を示すカルテ状態(状態変数)が「登録」として登録される。このようにカルテ番号、患者氏名およびカルテ状態等は、RFタグ4のUIDをキーとして管理DBにUIDとともに登録される。
【0031】
なお、ここでいうカルテ状態とは、「登録」、「保管」、「持出」、「受診」、「入院」、「保存」および「廃棄」等のカルテ2のライフサイクルとして管理すべき状態を識別し、その変化した時刻をタイムスタンプとして共に記憶される。
【0032】
一方、同一のUIDが既に登録されていると判断された場合、登録済みタグの誤使用が表示用端末22の表示部に表示される(ステップ5)。なお、同時に警告音が発生するようにしてもよい。また、受付端末23,24,25等を用いてカルテ2の登録作業ができるようにしてもよい。
【0033】
図3は、カルテ情報の内容が変更される際の処理の流れを示すフローチャートである。
【0034】
管理用端末21は、カルテ保管棚5の各カルテ保管区画6に保管された複数枚のカルテ2のRFタグ4のUID(複数枚分)をアンテナ11から常時周期的(例えば30秒経過する毎)に取得し(ステップ11)、取得したUIDを逐次UIDをキーとして管理DBを順次検索し(ステップ12)、取得したUIDと同一のUIDが管理DBに既に登録されているか否かを判断する(ステップ13)。なお、管理用端末21がUIDを取得する時間は適宜変更可能である。
【0035】
同一のUIDが既に登録されていると判断すると、管理用端末21は、今回取得したUIDと同一カルテ保管区画6の前回取得したUID(同区画比較用UID)とを比較し(ステップ14)、今回取得したUIDが今回のみに存在するUIDであるか否かを判断する(ステップ15)。
【0036】
そして、管理用端末21は、今回のみに存在するUIDである判断すると、そのUIDに対応するカルテ情報に関して、カルテ2が保管状態にあることを示す内容に変更、すなわち例えば管理DB上のカルテ情報の1つであるカルテ状態を「登録」等から「保管」に変更するとともに、そのカルテ2が保管されているカルテ保管区画6を特定する区画特定表示12である保管場所(区画情報)を付加する(ステップ16)。また同時にその変更時刻を管理DB上にカルテ状態に関連付けて記憶する。
【0037】
次いで、管理用端末21は、取得UIDの終わりかどうかを判断し(ステップ17)、終わりなら今回取得したUIDを同区画比較用UIDとして区画単位に記憶する(ステップ18)。
【0038】
また一方、取得したUIDが管理DBに登録されていないと判断すると、管理用端末21は、未登録タグが存在することを保管場所(区画特定表示12)とともに表示用端末22の表示部に表示させて警告する(ステップ19)。なお、同時に警告音が発生するようにしてもよい。
【0039】
また、今回取得したUIDが今回のみに存在するUIDでない場合には、今回取得したUIDが前回のみに存在するUIDであるか否かを判断する(ステップ20)。
【0040】
そして、管理用端末21は、前回のみに存在するUIDであると判断すると、そのUIDに対応するカルテ情報に関して、カルテ2が持出状態にあることを示す内容に変更、すなわち例えば管理DB上のカルテ情報の1つであるカルテ状態を「保管」等から「持出」に変更する(ステップ21)。また同時にその変更時刻を管理DB上にカルテ状態に関連付けて記憶する。
【0041】
図4は、受付情報との照合の際の処理の流れを示すフローチャートである。
【0042】
管理用端末21は、受付端末23,24,25等からの受付情報を取得し(ステップ31)、取得した受付情報を用いて管理DB上のカルテ持出予定テーブルとマージする(ステップ32)。このカルテ持出予定テーブルは、予約や外来受付等による受付情報(UIDを含む)で構成された予定情報をテーブル化したものである。
【0043】
そして、作業者は、カルテ保管棚5のカルテ保管区画6から持ち出したカルテ2を表示用端末22に対応したカルテ収納トレイ15に置くことにより(ステップ33)、そのカルテ2をカルテ一時収納区画16に一時的に収納させた後、表示用端末22を用いて管理用端末21に対してカルテ収納トレイ15上のカルテ2のRFタグ4の読取取得を指示する(ステップ34)。
【0044】
なお、カルテ保管棚5からのカルテ2の持ち出しは、作業者が受付端末23,24,25等からの指示、例えば保管場所等が記載された印刷物や、表示用端末22に表示された保管場所等に基づいて、カルテ保管棚5のカルテ保管区画6からカルテ2を検索して持ち出す(ステップ35)。
【0045】
そして、管理用端末21は、表示用端末22からの指示に基づいて、カルテ一時収納区画16に収納されたカルテ2のRFタグ4のUIDを補助アンテナ17から取得し、この取得したUIDがカルテ持出予定テーブルにあるか否かを判断する(ステップ36)。
【0046】
取得UIDがカルテ持出予定テーブルにあると判断すると、管理用端末21は、表示用端末22の表示部の画面上の当該カルテ情報に「可」を表示する(ステップ37)。また、管理用端末21は、カルテ持出予定テーブル上の当該カルテ情報を削除し、管理DB上のカルテ情報の1つであるカルテ状態を「受診」に変更する(ステップ38)。なお、管理用端末21は、カルテ状態を「受診」に変更した変更時刻を管理DB上にカルテ状態に関連付けて記憶する。
【0047】
また一方、取得UIDがカルテ持出予定テーブルにないと判断すると、管理用端末21は、表示用端末22の表示部の画面上の当該カルテ情報に「否」を表示して予定外のカルテであることを警告する(ステップ39)。なお、同時に警告音が発生するようにしてもよい。
【0048】
図5は、カルテ状態を確定する際の処理の流れのフローチャートである。
【0049】
作業者は、例えばカルテ状態を変更確定したいカルテ2を表示用端末22に対応したカルテ収納トレイ15に置くことにより(ステップ41)、その確定したいカルテ2をカルテ一時収納区画16に一時的に収納する。
【0050】
すると、管理用端末21は、表示用端末22からの指示等に基づいて、カルテ一時収納区画16に収納されたカルテ2のRFタグ4のUIDを補助アンテナ17から取得し(ステップ42)。この取得したUIDに対応するカルテ情報を表示用端末22の表示部に表示させる。
【0051】
そして、作業者は、表示用端末22の表示部に表示されたカルテ情報のうちカルテ状態を例えば「持出」から具体的内容(例えば「入院」等)に変更し、適宜コメントを記入付加する(ステップ43)。なお、管理用端末21は、カルテ状態が変更された変更時刻を管理DB上にカルテ状態に関連付けて記憶する。なお、受付端末23,24,25等を用いてカルテ状態の確定作業(変更作業)ができるようにしてもよい。
【0052】
そして、このようなカルテ管理装置1によれば、例えば表示用端末22の表示部等にて出力表示されたカルテ情報によって、カルテ2の紛失を早期に知ることができるため、紛失したカルテ2を見つけ出すことができない事態を抑制でき、よってカルテ2を適切に管理できる。
【0053】
すなわち例えば1日の診察終了時に、表示用端末22に表示されたカルテ情報を見ることにより(図6参照)、保管されているべきカルテ2が保管場所に保管されておらず、カルテ状態が「持出」になっていること、つまりカルテ2の紛失が発生していることをその日のうちに知ることができ、このため、カルテ2の紛失に早期かつ適切に対応できる。
【0054】
また、カルテ情報には区画特定表示12である保管場所が付加されるため、カルテ保管棚5のカルテ保管区画6から持ち出すべきカルテを短時間で検索できる。
【0055】
さらに、管理用端末21は、補助アンテナ17から取得したUIDががカルテ持出予定テーブルにあるか否かを判断してその判断結果を表示用端末22に出力表示させるため、持ち出すべきカルテ2かどうかを容易に確認できる。すなわち例えば作業者は、表示用端末22の近くに配設したカルテ収納トレイ15を用いて、取り出したカルテ2が正しいものであるか否かを確認でき、特にこの場合、複数枚のカルテ2をまとめてカルテ収納トレイ15に収納して確認でき、カルテ2が複数枚であってもワンアクションで確認作業ができる。
【0056】
また、管理用端末21は、カルテ情報中のカルテ状態を変更した際にその変更時刻を記憶するため、例えば長期間利用のないカルテ2を選別できる。よって例えば半年前、或いは1年前の期日を起点として「保存」、「廃棄」等の候補となるカルテ2を簡単にリストアップすることが可能である。また例えば法定保存期間を守るために保存状態になるカルテ2も保存開始時に管理DBの情報を更新することで「廃棄」の候補リストの作成と、補助アンテナ17を使用してその確認も可能である。
【0057】
さらに、カルテ2のカルテ本体3に取り付けられたRFタグ4は、パッシブ型でUIDのみが記憶されているため、電池交換が不要であるとともに、RFタグ4から患者の個人情報等が漏れることもなく、また管理DBには最小限の個人情報のみが登録され、セキュリティも確保されている。
【0058】
また、各診療科の受付等に配設された内科受付端末23、外科受付端末24および小児科受付端末25等を用いることで、カルテ2の追跡管理も可能である。
【0059】
さらに、緊急時等で受付されずにカルテ2が持ち出された場合は、警告とともにその事象をタイムスタンプも含めて管理DBに記録することにより、その情報を用いて不明なカルテ2の発生を抑制することができる。
【0060】
また、カルテ2が分冊された場合でも管理DB上で分冊の登録をすることで管理可能である。
【0061】
さらに、ターミナルデジットファイリング方式等の従来管理方法はそのまま残すことができるとともに、特別で高価なIDチップを必要としないので、安価に提供できる。
【0062】
また、法規上の長期間保存の必要性のため、保存箱等で別管理される場合も、RFタグ4を取り外さない限り、カルテ収納トレイ15を使用して管理DBを容易に検索可能であり、カルテ2の確認が容易である。
【0063】
さらに、RFタグ4のUIDを使用して管理するため、1患者1カルテを容易に実現可能である。
【0064】
なお、RFタグ4に記憶される固有IDは、RFタグ4の製造時に付加されたユニークIDには限定されず、例えばカルテ番号(患者の診察券番号)等でもよい。
【0065】
また、各診療科の受付等に配設された複数の端末を備えた構成には限定されず、例えば1つの外来受付端末を備えた構成等でもよい。
【0066】
さらに、情報出力手段は、端末でなく、例えば液晶表示装置等の情報表示手段でもよく、伝票印刷をする印刷手段等でもよい。
【0067】
また、カルテ一時収納区画16がカルテ収納トレイ15に形成された構成には限定されず、例えばカルテ保管棚5に形成された複数のカルテ保管区画6の1つ或いは複数をカルテ一時収納区画16とし、そのカルテ保管区画6のアンテナ11を補助アンテナ17とする構成等でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の一実施の形態に係るカルテ管理装置の構成図である。
【図2】カルテを新たに登録する際の処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】カルテ情報の内容が変更される際の処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】受付情報との照合の際の処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】カルテ状態を確定する際の処理の流れのフローチャートである。
【図6】表示用端末に表示されたカルテ情報の一例である。
【符号の説明】
【0069】
1 カルテ管理装置
2 カルテ
4 非接触情報記憶媒体であるRFタグ
5 カルテ保管棚
6 カルテ保管区画
11 アンテナ
12 区画特定表示
15 カルテ収納トレイ
16 カルテ一時収納区画
17 補助アンテナ
21 情報管理手段である管理用端末
22 情報出力手段である表示用端末
【技術分野】
【0001】
本発明は、病院等においてカルテを適切に管理できるカルテ管理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、中規模の病院等では、例えば患者氏名順で並べてカルテを管理したり、ターミナルデジットファイリング方式(TDF方式)の色分けされたタブを利用してカルテを管理したりしている(例えば非特許文献1参照)。
【非特許文献1】[online]、株式会社エムオーシー、[平成20年3月28日検索]、インターネット<URL:http://www.moc-inc.co.jp/tdf.html>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来のようなカルテ管理方法では、例えば持ち出されたカルテが元の所定位置に戻されなかった場合、そのカルテの紛失が判明するのは次にそのカルテを持ち出す必要が生じた時点であるため、カルテの紛失を知るまでに長期間が経過してしまったときには、紛失したカルテを見つけ出すことができないおそれがある。
【0004】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、カルテの紛失を早期に知ることが可能となり、紛失したカルテを見つけ出すことができない事態を抑制でき、カルテを適切に管理できるカルテ管理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載のカルテ管理装置は、非接触情報記憶媒体を有するカルテを管理するカルテ管理装置であって、カルテが保管される複数のカルテ保管区画と、これらの各カルテ保管区画に対応して設けられ、対応するカルテ保管区画に保管されたカルテの非接触情報記憶媒体からの固有IDを受信するアンテナと、前記各カルテ保管区画に対応して設けられ、対応するカルテ保管区画を特定する区画特定表示と、カルテ情報を管理する情報管理手段と、カルテ情報を出力する情報出力手段とを備え、前記情報管理手段は、前記アンテナから固有IDを取得すると、この今回取得した固有IDと前回取得した固有IDとを比較し、今回のみに存在する固有IDに対応するカルテ情報に関しては、カルテが保管状態にあることを示す内容に変更するとともに、そのカルテが保管されている前記カルテ保管区画を特定する前記区画特定表示である保管場所を付加し、前回のみに存在する固有IDに対応するカルテ情報に関しては、カルテが持出状態にあることを示す内容に変更するものである。
【0006】
請求項2記載のカルテ管理装置は、請求項1記載のカルテ管理装置において、カルテが一時的に収納されるカルテ一時収納区画と、このカルテ一時収納区画に収納されたカルテの非接触情報記憶媒体からの固有IDを受信する補助アンテナとを備え、情報管理手段は、前記補助アンテナから固有IDを取得すると、この取得した固有IDがカルテ持出予定テーブルにあるか否かを判断し、その判断結果を情報出力手段に出力させるものである。
【0007】
請求項3記載のカルテ管理装置は、請求項2記載のカルテ管理装置において、カルテ保管区画は、カルテ保管棚に複数形成され、カルテ一時収納区画は、カルテ収納トレイに形成されているものである。
【0008】
請求項4記載のカルテ管理装置は、請求項1ないし3のいずれか一記載のカルテ管理装置において、情報管理手段は、カルテ情報の内容を変更した際にその変更時刻を記憶するものである。
【0009】
請求項5記載のカルテ管理装置は、請求項1ないし4のいずれか一記載のカルテ管理装置において、カルテの非接触情報記憶媒体は、固有IDのみが記憶されたパッシブ型のRFタグであるものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る発明によれば、情報出力手段にて出力されたカルテ情報によって、カルテの紛失を早期に知ることができるため、紛失したカルテを見つけ出すことができない事態を抑制でき、よってカルテを適切に管理でき、しかも、カルテ情報には区画特定表示である保管場所が付加されるため、持ち出すべきカルテを短時間で検索できる。
【0011】
請求項2に係る発明によれば、情報管理手段は、取得した固有IDがカルテ持出予定テーブルにあるか否かを判断してその判断結果を情報出力手段に出力させるため、持ち出すべきカルテかどうかを容易に確認できる。
【0012】
請求項3に係る発明によれば、カルテ保管区画はカルテ保管棚に複数形成され、カルテ一時収納区画はカルテ収納トレイに形成されているため、カルテ保管棚から持ち出したカルテをカルテ収納トレイに入れることで、そのカルテがカルテ持出予定テーブルにある持ち出すべきカルテかどうかを容易に確認できる。
【0013】
請求項4に係る発明によれば、情報管理手段は、カルテ情報の内容を変更した際にその変更時刻を記憶するため、例えば長期間利用のないカルテを選別できる。
【0014】
請求項5に係る発明によれば、カルテの非接触情報記憶媒体は固有IDのみが記憶されたパッシブ型のRFタグであるため、電池交換が不要であるとともに、RFタグから患者の個人情報等が漏れることもない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明のカルテ管理装置の一実施の形態の構成を図面を参照して説明する。
【0016】
図1において、1はカルテ管理装置で、このカルテ管理装置は、例えば中規模の病院に設置され、複数枚のカルテ2を管理するシステムである。カルテ2は、カルテ本体3を有し、このカルテ本体3には、固有IDであるタグ固有IDのみを記憶した非接触情報記憶媒体であるRFタグ(無線ICタグ)4が取り付けられている。
【0017】
RFタグ4は、例えば電池不要なパッシブ型(受動型)で、アンテナ部、送受信部、制御部および記憶部にて構成され、この記憶部にはタグ固有IDのみが記憶されている。なお、タグ固有IDは、例えばRFタグ4の製造時に付加されたユニークIDであり、以下「UID」という。
【0018】
カルテ管理装置1は、複数枚のカルテ2を並べて保管可能な複数のカルテ保管棚5を備えている。各カルテ保管棚5は、複数枚のカルテ2が出し入れ可能に保管される複数のカルテ保管区画(カルテ保管部)6を有している。カルテ保管区画6はカルテ保管棚5の各棚段に左右方向に並設されており、各カルテ保管区画6は底板部7と側板部8と後板部9とにて区画形成されている。各カルテ保管区画6には、例えば最大で100枚のカルテを保管可能である。
【0019】
また、カルテ管理装置1は、各カルテ保管区画6に対応して設けられ対応するカルテ保管区画6に保管されたカルテ2のRFタグ4からのUIDを受信するアンテナ11と、各カルテ保管区画6に対応して設けられ対応するカルテ保管区画6を特定する区画特定表示12とを備えている。
【0020】
アンテナ11は、対応するカルテ保管区画6に保管されたカルテ2のRFタグ4のアンテナ部から送信されるUIDを含む電波を受信するもので、例えばカルテ保管棚5の側板部8に設けられている。
【0021】
区画特定表示12は、例えば棚連および棚段等を含めて一意に識別可能な区画番号で、この区画番号が印刷されたラベル等がカルテ保管棚5の前面に各カルテ保管区画6に対応して貼り付けられている。なお、各カルテ保管区画6に対応してカルテ保管棚5に設けた液晶表示部等で区画特定表示12を表示するようにしてもよい。
【0022】
また、カルテ管理装置1は、カルテ保管棚5とは別に設けられ複数枚のカルテ2を収納可能な複数のカルテ収納トレイ15を備えている。各カルテ収納トレイ15は、複数枚のカルテ2が出し入れ可能に一時的に収納されるカルテ一時収納区画16を有している。また、各カルテ収納トレイ15には、そのカルテ収納トレイ15内に載置されて収納されたカルテ2のRFタグ4からのUIDを受信する補助アンテナ17が設けられている。各補助アンテナ17は、対応するカルテ一時収納区画16に一時的に収納されたカルテ2のRFタグ4のアンテナ部から送信されるUIDを含む電波を受信するものである。各カルテ収納トレイ15は、略矩形状の底板部18と、この底板部18の左右側端および後縁から立上った壁部19とを有し、底板部18に補助アンテナ17が設けられている。
【0023】
さらに、カルテ管理装置1は、管理DB(管理データベース)を有しカルテ2に関する情報であるカルテ情報を管理記憶する情報管理手段である管理用端末(管理DBサーバ)21と、カルテ保管棚5の近傍に配設されカルテ情報を出力表示する情報出力手段である表示用端末(作業者用端末)22とを備えている。なお、カルテ情報は、例えばUID、カルテ番号、患者氏名、カルテ状態および保管場所等を含むものである。
【0024】
また、カルテ管理装置1は、各診療科の受付等に配設された内科受付端末23、外科受付端末24および小児科受付端末25等を備えている。また、各端末22,23,24,25に対応してカルテ収納トレイ15が設けられ、各カルテ収納トレイ15は対応する端末22,23,24,25の近傍に配設され、カルテ収納トレイ15と端末22,23,24,25とが例えば1対1の関係となっている。
【0025】
そして、管理用端末21と、各端末22,23,24,25と、カルテ保管棚5のアンテナ11と、カルテ収納トレイ15の補助アンテナ17とは、有線LANまたは無線LAN等のコンピュータネットワーク26を介して接続されている。なお、各端末22,23,24,25は、例えばキーボード、マウス等の入力部、液晶表示手段等の表示部、および制御部等にて構成されたパソコン等である。カルテ収納トレイ15は、任意位置に設置可能な持ち運び可能なものでもよい。
【0026】
次に、上記カルテ管理装置1を用いたカルテ2の管理方法について説明する。
【0027】
図2は、カルテ2を新たに登録する際の処理の流れを示すフローチャートである。
【0028】
作業者は、例えば登録するカルテ2を表示用端末22に対応したカルテ収納トレイ15に置くことにより(ステップ1)、その登録するカルテ2をカルテ一時収納区画16に一時的に収納する。
【0029】
すると、管理用端末21は、カルテ一時収納区画16に収納されたカルテ2のRFタグ4のUIDを補助アンテナ17から取得し(ステップ2)、この取得したUIDと同一のUIDが管理DBに既に登録されているか否かを判断する(ステップ3)。
【0030】
同一のUIDが管理DBに登録されていないと判断された場合、作業者は、表示用端末22の入力部を用いてカルテ情報である必要項目、すなわち例えばカルテ番号(診察券番号)および患者氏名を入力して管理DBに登録する(ステップ4)。この際、カルテ情報の1つであるカルテ2の状態を示すカルテ状態(状態変数)が「登録」として登録される。このようにカルテ番号、患者氏名およびカルテ状態等は、RFタグ4のUIDをキーとして管理DBにUIDとともに登録される。
【0031】
なお、ここでいうカルテ状態とは、「登録」、「保管」、「持出」、「受診」、「入院」、「保存」および「廃棄」等のカルテ2のライフサイクルとして管理すべき状態を識別し、その変化した時刻をタイムスタンプとして共に記憶される。
【0032】
一方、同一のUIDが既に登録されていると判断された場合、登録済みタグの誤使用が表示用端末22の表示部に表示される(ステップ5)。なお、同時に警告音が発生するようにしてもよい。また、受付端末23,24,25等を用いてカルテ2の登録作業ができるようにしてもよい。
【0033】
図3は、カルテ情報の内容が変更される際の処理の流れを示すフローチャートである。
【0034】
管理用端末21は、カルテ保管棚5の各カルテ保管区画6に保管された複数枚のカルテ2のRFタグ4のUID(複数枚分)をアンテナ11から常時周期的(例えば30秒経過する毎)に取得し(ステップ11)、取得したUIDを逐次UIDをキーとして管理DBを順次検索し(ステップ12)、取得したUIDと同一のUIDが管理DBに既に登録されているか否かを判断する(ステップ13)。なお、管理用端末21がUIDを取得する時間は適宜変更可能である。
【0035】
同一のUIDが既に登録されていると判断すると、管理用端末21は、今回取得したUIDと同一カルテ保管区画6の前回取得したUID(同区画比較用UID)とを比較し(ステップ14)、今回取得したUIDが今回のみに存在するUIDであるか否かを判断する(ステップ15)。
【0036】
そして、管理用端末21は、今回のみに存在するUIDである判断すると、そのUIDに対応するカルテ情報に関して、カルテ2が保管状態にあることを示す内容に変更、すなわち例えば管理DB上のカルテ情報の1つであるカルテ状態を「登録」等から「保管」に変更するとともに、そのカルテ2が保管されているカルテ保管区画6を特定する区画特定表示12である保管場所(区画情報)を付加する(ステップ16)。また同時にその変更時刻を管理DB上にカルテ状態に関連付けて記憶する。
【0037】
次いで、管理用端末21は、取得UIDの終わりかどうかを判断し(ステップ17)、終わりなら今回取得したUIDを同区画比較用UIDとして区画単位に記憶する(ステップ18)。
【0038】
また一方、取得したUIDが管理DBに登録されていないと判断すると、管理用端末21は、未登録タグが存在することを保管場所(区画特定表示12)とともに表示用端末22の表示部に表示させて警告する(ステップ19)。なお、同時に警告音が発生するようにしてもよい。
【0039】
また、今回取得したUIDが今回のみに存在するUIDでない場合には、今回取得したUIDが前回のみに存在するUIDであるか否かを判断する(ステップ20)。
【0040】
そして、管理用端末21は、前回のみに存在するUIDであると判断すると、そのUIDに対応するカルテ情報に関して、カルテ2が持出状態にあることを示す内容に変更、すなわち例えば管理DB上のカルテ情報の1つであるカルテ状態を「保管」等から「持出」に変更する(ステップ21)。また同時にその変更時刻を管理DB上にカルテ状態に関連付けて記憶する。
【0041】
図4は、受付情報との照合の際の処理の流れを示すフローチャートである。
【0042】
管理用端末21は、受付端末23,24,25等からの受付情報を取得し(ステップ31)、取得した受付情報を用いて管理DB上のカルテ持出予定テーブルとマージする(ステップ32)。このカルテ持出予定テーブルは、予約や外来受付等による受付情報(UIDを含む)で構成された予定情報をテーブル化したものである。
【0043】
そして、作業者は、カルテ保管棚5のカルテ保管区画6から持ち出したカルテ2を表示用端末22に対応したカルテ収納トレイ15に置くことにより(ステップ33)、そのカルテ2をカルテ一時収納区画16に一時的に収納させた後、表示用端末22を用いて管理用端末21に対してカルテ収納トレイ15上のカルテ2のRFタグ4の読取取得を指示する(ステップ34)。
【0044】
なお、カルテ保管棚5からのカルテ2の持ち出しは、作業者が受付端末23,24,25等からの指示、例えば保管場所等が記載された印刷物や、表示用端末22に表示された保管場所等に基づいて、カルテ保管棚5のカルテ保管区画6からカルテ2を検索して持ち出す(ステップ35)。
【0045】
そして、管理用端末21は、表示用端末22からの指示に基づいて、カルテ一時収納区画16に収納されたカルテ2のRFタグ4のUIDを補助アンテナ17から取得し、この取得したUIDがカルテ持出予定テーブルにあるか否かを判断する(ステップ36)。
【0046】
取得UIDがカルテ持出予定テーブルにあると判断すると、管理用端末21は、表示用端末22の表示部の画面上の当該カルテ情報に「可」を表示する(ステップ37)。また、管理用端末21は、カルテ持出予定テーブル上の当該カルテ情報を削除し、管理DB上のカルテ情報の1つであるカルテ状態を「受診」に変更する(ステップ38)。なお、管理用端末21は、カルテ状態を「受診」に変更した変更時刻を管理DB上にカルテ状態に関連付けて記憶する。
【0047】
また一方、取得UIDがカルテ持出予定テーブルにないと判断すると、管理用端末21は、表示用端末22の表示部の画面上の当該カルテ情報に「否」を表示して予定外のカルテであることを警告する(ステップ39)。なお、同時に警告音が発生するようにしてもよい。
【0048】
図5は、カルテ状態を確定する際の処理の流れのフローチャートである。
【0049】
作業者は、例えばカルテ状態を変更確定したいカルテ2を表示用端末22に対応したカルテ収納トレイ15に置くことにより(ステップ41)、その確定したいカルテ2をカルテ一時収納区画16に一時的に収納する。
【0050】
すると、管理用端末21は、表示用端末22からの指示等に基づいて、カルテ一時収納区画16に収納されたカルテ2のRFタグ4のUIDを補助アンテナ17から取得し(ステップ42)。この取得したUIDに対応するカルテ情報を表示用端末22の表示部に表示させる。
【0051】
そして、作業者は、表示用端末22の表示部に表示されたカルテ情報のうちカルテ状態を例えば「持出」から具体的内容(例えば「入院」等)に変更し、適宜コメントを記入付加する(ステップ43)。なお、管理用端末21は、カルテ状態が変更された変更時刻を管理DB上にカルテ状態に関連付けて記憶する。なお、受付端末23,24,25等を用いてカルテ状態の確定作業(変更作業)ができるようにしてもよい。
【0052】
そして、このようなカルテ管理装置1によれば、例えば表示用端末22の表示部等にて出力表示されたカルテ情報によって、カルテ2の紛失を早期に知ることができるため、紛失したカルテ2を見つけ出すことができない事態を抑制でき、よってカルテ2を適切に管理できる。
【0053】
すなわち例えば1日の診察終了時に、表示用端末22に表示されたカルテ情報を見ることにより(図6参照)、保管されているべきカルテ2が保管場所に保管されておらず、カルテ状態が「持出」になっていること、つまりカルテ2の紛失が発生していることをその日のうちに知ることができ、このため、カルテ2の紛失に早期かつ適切に対応できる。
【0054】
また、カルテ情報には区画特定表示12である保管場所が付加されるため、カルテ保管棚5のカルテ保管区画6から持ち出すべきカルテを短時間で検索できる。
【0055】
さらに、管理用端末21は、補助アンテナ17から取得したUIDががカルテ持出予定テーブルにあるか否かを判断してその判断結果を表示用端末22に出力表示させるため、持ち出すべきカルテ2かどうかを容易に確認できる。すなわち例えば作業者は、表示用端末22の近くに配設したカルテ収納トレイ15を用いて、取り出したカルテ2が正しいものであるか否かを確認でき、特にこの場合、複数枚のカルテ2をまとめてカルテ収納トレイ15に収納して確認でき、カルテ2が複数枚であってもワンアクションで確認作業ができる。
【0056】
また、管理用端末21は、カルテ情報中のカルテ状態を変更した際にその変更時刻を記憶するため、例えば長期間利用のないカルテ2を選別できる。よって例えば半年前、或いは1年前の期日を起点として「保存」、「廃棄」等の候補となるカルテ2を簡単にリストアップすることが可能である。また例えば法定保存期間を守るために保存状態になるカルテ2も保存開始時に管理DBの情報を更新することで「廃棄」の候補リストの作成と、補助アンテナ17を使用してその確認も可能である。
【0057】
さらに、カルテ2のカルテ本体3に取り付けられたRFタグ4は、パッシブ型でUIDのみが記憶されているため、電池交換が不要であるとともに、RFタグ4から患者の個人情報等が漏れることもなく、また管理DBには最小限の個人情報のみが登録され、セキュリティも確保されている。
【0058】
また、各診療科の受付等に配設された内科受付端末23、外科受付端末24および小児科受付端末25等を用いることで、カルテ2の追跡管理も可能である。
【0059】
さらに、緊急時等で受付されずにカルテ2が持ち出された場合は、警告とともにその事象をタイムスタンプも含めて管理DBに記録することにより、その情報を用いて不明なカルテ2の発生を抑制することができる。
【0060】
また、カルテ2が分冊された場合でも管理DB上で分冊の登録をすることで管理可能である。
【0061】
さらに、ターミナルデジットファイリング方式等の従来管理方法はそのまま残すことができるとともに、特別で高価なIDチップを必要としないので、安価に提供できる。
【0062】
また、法規上の長期間保存の必要性のため、保存箱等で別管理される場合も、RFタグ4を取り外さない限り、カルテ収納トレイ15を使用して管理DBを容易に検索可能であり、カルテ2の確認が容易である。
【0063】
さらに、RFタグ4のUIDを使用して管理するため、1患者1カルテを容易に実現可能である。
【0064】
なお、RFタグ4に記憶される固有IDは、RFタグ4の製造時に付加されたユニークIDには限定されず、例えばカルテ番号(患者の診察券番号)等でもよい。
【0065】
また、各診療科の受付等に配設された複数の端末を備えた構成には限定されず、例えば1つの外来受付端末を備えた構成等でもよい。
【0066】
さらに、情報出力手段は、端末でなく、例えば液晶表示装置等の情報表示手段でもよく、伝票印刷をする印刷手段等でもよい。
【0067】
また、カルテ一時収納区画16がカルテ収納トレイ15に形成された構成には限定されず、例えばカルテ保管棚5に形成された複数のカルテ保管区画6の1つ或いは複数をカルテ一時収納区画16とし、そのカルテ保管区画6のアンテナ11を補助アンテナ17とする構成等でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の一実施の形態に係るカルテ管理装置の構成図である。
【図2】カルテを新たに登録する際の処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】カルテ情報の内容が変更される際の処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】受付情報との照合の際の処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】カルテ状態を確定する際の処理の流れのフローチャートである。
【図6】表示用端末に表示されたカルテ情報の一例である。
【符号の説明】
【0069】
1 カルテ管理装置
2 カルテ
4 非接触情報記憶媒体であるRFタグ
5 カルテ保管棚
6 カルテ保管区画
11 アンテナ
12 区画特定表示
15 カルテ収納トレイ
16 カルテ一時収納区画
17 補助アンテナ
21 情報管理手段である管理用端末
22 情報出力手段である表示用端末
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非接触情報記憶媒体を有するカルテを管理するカルテ管理装置であって、
カルテが保管される複数のカルテ保管区画と、
これらの各カルテ保管区画に対応して設けられ、対応するカルテ保管区画に保管されたカルテの非接触情報記憶媒体からの固有IDを受信するアンテナと、
前記各カルテ保管区画に対応して設けられ、対応するカルテ保管区画を特定する区画特定表示と、
カルテ情報を管理する情報管理手段と、
カルテ情報を出力する情報出力手段とを備え、
前記情報管理手段は、
前記アンテナから固有IDを取得すると、この今回取得した固有IDと前回取得した固有IDとを比較し、
今回のみに存在する固有IDに対応するカルテ情報に関しては、カルテが保管状態にあることを示す内容に変更するとともに、そのカルテが保管されている前記カルテ保管区画を特定する前記区画特定表示である保管場所を付加し、
前回のみに存在する固有IDに対応するカルテ情報に関しては、カルテが持出状態にあることを示す内容に変更する
ことを特徴とするカルテ管理装置。
【請求項2】
カルテが一時的に収納されるカルテ一時収納区画と、
このカルテ一時収納区画に収納されたカルテの非接触情報記憶媒体からの固有IDを受信する補助アンテナとを備え、
情報管理手段は、前記補助アンテナから固有IDを取得すると、この取得した固有IDがカルテ持出予定テーブルにあるか否かを判断し、その判断結果を情報出力手段に出力させる
ことを特徴とする請求項1記載のカルテ管理装置。
【請求項3】
カルテ保管区画は、カルテ保管棚に複数形成され、
カルテ一時収納区画は、カルテ収納トレイに形成されている
ことを特徴とする請求項2記載のカルテ管理装置。
【請求項4】
情報管理手段は、カルテ情報の内容を変更した際にその変更時刻を記憶する
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一記載のカルテ管理装置。
【請求項5】
カルテの非接触情報記憶媒体は、固有IDのみが記憶されたパッシブ型のRFタグである
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一記載のカルテ管理装置。
【請求項1】
非接触情報記憶媒体を有するカルテを管理するカルテ管理装置であって、
カルテが保管される複数のカルテ保管区画と、
これらの各カルテ保管区画に対応して設けられ、対応するカルテ保管区画に保管されたカルテの非接触情報記憶媒体からの固有IDを受信するアンテナと、
前記各カルテ保管区画に対応して設けられ、対応するカルテ保管区画を特定する区画特定表示と、
カルテ情報を管理する情報管理手段と、
カルテ情報を出力する情報出力手段とを備え、
前記情報管理手段は、
前記アンテナから固有IDを取得すると、この今回取得した固有IDと前回取得した固有IDとを比較し、
今回のみに存在する固有IDに対応するカルテ情報に関しては、カルテが保管状態にあることを示す内容に変更するとともに、そのカルテが保管されている前記カルテ保管区画を特定する前記区画特定表示である保管場所を付加し、
前回のみに存在する固有IDに対応するカルテ情報に関しては、カルテが持出状態にあることを示す内容に変更する
ことを特徴とするカルテ管理装置。
【請求項2】
カルテが一時的に収納されるカルテ一時収納区画と、
このカルテ一時収納区画に収納されたカルテの非接触情報記憶媒体からの固有IDを受信する補助アンテナとを備え、
情報管理手段は、前記補助アンテナから固有IDを取得すると、この取得した固有IDがカルテ持出予定テーブルにあるか否かを判断し、その判断結果を情報出力手段に出力させる
ことを特徴とする請求項1記載のカルテ管理装置。
【請求項3】
カルテ保管区画は、カルテ保管棚に複数形成され、
カルテ一時収納区画は、カルテ収納トレイに形成されている
ことを特徴とする請求項2記載のカルテ管理装置。
【請求項4】
情報管理手段は、カルテ情報の内容を変更した際にその変更時刻を記憶する
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一記載のカルテ管理装置。
【請求項5】
カルテの非接触情報記憶媒体は、固有IDのみが記憶されたパッシブ型のRFタグである
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一記載のカルテ管理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【公開番号】特開2009−251884(P2009−251884A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−98491(P2008−98491)
【出願日】平成20年4月4日(2008.4.4)
【出願人】(000103426)オークラ輸送機株式会社 (84)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月4日(2008.4.4)
【出願人】(000103426)オークラ輸送機株式会社 (84)
【Fターム(参考)】
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