説明

カート装置

【課題】執務空間内における設置位置を最小限として執務空間内を有効に活用する。
【解決手段】カート装置10は、天板支持部50の第一支持アーム53、第二支持アーム54、第三支持アーム55に囲まれるようにして、天板40の下方に、前方、左方及び右方に連続して開口し、デスクやカウンタ等の什器天板を収容可能な第一収容部60を形成した。また、第一支持アーム53、第二支持アーム54、第三支持アーム55は、互いに左右方向に離間して一対設け、一対の第二支持アーム54,54を連結部材59により連結するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オフィスや病院、公共施設等における執務空間にて使用されるカート装置に関する。
【背景技術】
【0002】
オフィスや病院、介護施設、公共施設等における執務空間においては、執務空間内を様々な場所に移動しながら電子機器等を用いて執務を行いたい場合がある。こうした要望に対しては、天板を有するカート装置の天板上に電子機器を載置し、執務者がカート装置と共に移動することによって対応する方法が多く採用されている。これらの方法によれば、執務を効率的に実施することができ、利便性を高くすることができる。
【0003】
ただし、多人数の執務者が複数台のカート装置を用いて執務を行う場合には、カート装置の設置に場所を要することになるため、カート装置の収納場所を確保しなければならなかった。
【0004】
こうした問題を鑑み、カート本体に、カート本体の前面および左右側面に連続して開放された後方に向かってテーブル什器の天板が進入可能な進入空間を形成し、この進入空間内にテーブル什器の天板が位置するようにカート装置を配置可能とする方法が提案されている(特許文献1〜3参照)。
これらの提案によれば、多人数の執務者が複数台のカート装置を用いて執務を行う場合や、カート装置に載置した状態で電子機器への充電を行いたい場合には、テーブル什器の天板をカート本体の進入空間に収容することによって、テーブル什器とカート装置とを平面視において重合させて配設することができる。これにより、カート装置を設置するための場所を小さくすることが可能となり、執務空間を有効に活用することが可能となる。
また、テーブル什器とカート装置とを重合させた場合においても、電子機器を載置したカート装置の天板がテーブル什器の天板よりも上方に配置されるため、重合状態でも電子機器を使用することができ、什器としての利便性を高いものとすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−017929号公報
【特許文献2】特開2009−279414号公報
【特許文献3】特開2010−104573号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記したような従来の技術によれば、テーブル什器とカート装置とを平面視において重合して配設したときに、カート装置を設置するためのスペースを最小限にしているとは言えず、改善の余地がある。
そこでなされた本発明の目的は、執務空間内における設置位置を最小限として執務空間内を有効に活用することができるカート装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
本発明のカート装置は、床面上を走行可能な複数のキャスターが設けられたベース部と、このベース部から上方に向かって立設された支持基体と、この支持基体の上方に配された天板と、支持基体に取り付けられ、天板を支持する天板支持部とを備え、この天板支持部は、支持基体に側面視において片持ち状に取り付けられ、支持基体から後方に向かって配される第一支持部と、第一支持部の後端部から上方に向かって立設された第二支持部と、側面視において第二支持部の上端に片持ち状に取り付けられて前方へと配され、天板が取り付けられた第三支持部とを有し、天板及び第三支持部と第一支持部と第二支持部とに囲まれるようにして、前方、左方及び右方に連続して開口する前部空間が形成されていることを特徴とする。
このように、天板及び第三支持部と第一支持部と第二支持部とに囲まれるようにして、前方、左方及び右方に連続して開口する前部空間を備えることで、この前部空間に、デスクやカウンタ等の什器の天板を収容し、カート装置の天板と什器の天板とを重合させることができる。このとき、第一支持部を支持基体から後方に向けて片持ち状に設け、第二支持部を第一支持部の上端から上方に向かって立設し、第三支持部を第二支持部の上端から前方に向けて片持ち状に設けているので、カート装置の天板と什器の天板とを深く重合させることができる。
【0008】
ここで、第二支持部は、上端を、平面視して天板の後端部に配するのが好ましい。
これにより、カート装置の天板と什器の天板とを最も深く重合させることができる。
【0009】
また、このような天板支持部は、互いに左右方向に離間して一対設けるのが好ましい。
これにより、天板を安定的に支持することができるとともに、カート装置全体の剛性を高めることができる。
この場合、さらに、一対の天板支持部の第二支持部どうしを連結する連結部材を備えることができる。連結部材で一対の天板支持部の第二支持部どうしを連結することで、カート装置の剛性をさらに高めることができる。
この連結部材は、天板の後方からアクセスして把持可能に設けられた操作部とすることもできる。これにより、カート操作における自由度を高めることができる。
【0010】
加えて、第二支持部の前方に設けられ、前部空間に前方から挿入された部材を規制するストッパを備えることもできる。これにより、前部空間に什器の天板を収容したときに、連結部材や第二部材を保持した執務者の手が什器の天板に挟まれるのを防止し、使用時の安全性を高めることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、天板及び第三支持部と第一支持部と第二支持部とに囲まれるようにし
て、前方、左方及び右方に連続して開口する前部空間を備えることで、この前部空間に、デスクやカウンタ等の什器の天板を収容し、カート装置の天板と什器の天板とを重合させることができる。このとき、第一支持部を支持基体から後方に向けて片持ち状に設け、第二支持部を第一支持部の上端から上方に向かって立設し、第三支持部を第二支持部の上端から前方に向けて片持ち状に設けているので、カート装置の天板と什器の天板とを深く重合させることができる。これにより、執務区間内におけるカート装置を接地するために占有する面積を最小限とすることができ、室内空間の有効利用を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態に係るカート装置の外観を示す斜視図である。
【図2】(a)はカート装置の部品構成を示す斜視展開図、(b)は天板支持部を前方から見た斜視図、(c)は支持基体に係止孔を設けた場合の例である。
【図3】カート装置の側面図である。
【図4】カート装置をデスク等の什器とともに用いている使用形態の一例を示す斜視図である。
【図5】カート装置を壁面に押し付けて用いている使用形態の一例を示す斜視図である。
【図6】カート装置の平面図である。
【図7】カート装置の使用形態の一例であり、天板上にノートブック型のパーソナルコンピュータ装置を載置した例である。
【図8】同、天板上に診療用のコンピュータ装置を載置した例である。
【図9】同、パーソナルコンピュータ装置を固定的に設けた例である。
【図10】同、支持基体に収容トレーを設けた例である。
【図11】同、運搬用カートを連結した例である。
【図12】カート装置と運搬用カートの連結構造の一例を示す側面図である。
【図13】天板支持部の様々な変形例を示す図である。
【図14】天板支持部の他の変形例を示す図である。
【図15】天板支持部のさらに他の変形例を示す側面図である。
【図16】支持基体、ベース部の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明によるカート装置を実施するための最良の形態を説明する。しかし、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0014】
図1、図2(a)に示すように、本実施形態にかかるカート装置10は、床面上を走行可能な複数のキャスター21が設けられたベース部20と、ベース部20から上方に向かって立設された支持基体30と、支持基体30の上方に配された天板40と、支持基体30に取り付けられ、天板40を支持する天板支持部50とを備えている。
なお、以下の説明において、天板40に対し、この天板40上で作業等を行う使用者が対向する側を後方、その反対側を前方とする。
【0015】
ベース部20は、支持基体30が取り付けられる支持基体取付部22から、各キャスター21に向けて延びるベースアーム23を有している。ここで、支持基体取付部22は、平面視において、前方側にオフセットして配置されており、これにより、支持基体取付部22を挟んで後方側の二本のベースアーム23A、23Aは、前方側の二本のベースアーム23B、23Bよりも長く形成されている。
【0016】
各キャスター21は、各ベースアーム23A、23Bの先端部の下面に、ピボット軸21aを介して床面に直交する鉛直軸周りに旋回可能に設けられている。
また、各キャスター21は、それ自体が回転することにより床面状を走行可能となっている。各キャスター21は、支持基体取付部22に設けられた操作ペダル24により、その回転がロック・アンロックできるようになっている。
【0017】
支持基体30は、支持基体取付部22から鉛直上方に延びるよう固定された筒状のアウター支柱31と、アウター支柱31内に設けられたインナー支柱32と、を備える。
インナー支柱32は、アウター支柱31に対し、上下方向に昇降自在に設けられている。このインナー支柱32をアウター支柱31に対して昇降させるため、ガススプリング33が備えられている。ガススプリング33は、その下端がアウター支柱31に固定され、上端がインナー支柱32に固定されている。天板支持部50に設けられた操作レバー51を操作することによりガススプリング33の全長(高さ)が変化することで、インナー支柱32をアウター支柱31に対して昇降させ、支持基体30を伸縮駆動させて天板40を昇降可能としている。
なお、支持基体30を上下方向に伸縮させず、その長さを固定とする構成とすることも可能である。
【0018】
天板40は、後述の天板支持部50によってその上面41が水平状態となるよう支持されている。上面41には、電子カルテ等の情報を表示するためのパーソナルコンピュータをはじめとする各種電子機器が載置できるようになっている。上面41に電子機器を載置した状態で、その手前で筆記作業や配布物を一時的に置くためのスペースを確保できるよう、天板40の大きさを設定してもよい。
さらに、天板40の前部には、上面41上の物品が落下するのを防ぐため、柵体42や上方に立ち上がる縁壁等を設けてもよい。
【0019】
図2(a)、(b)に示すように、天板支持部50は、支持基体30のインナー支柱32の上端部が挿入される基部52と、側面視において基部52から後方に向けて片持ち状に設けられ、後方に行くにしたがい斜め上方に延びる第一支持アーム(第一支持部)53と、側面視において第一支持アーム53の後端部から上方に向けて立設された第二支持アーム(第二支持部)54と、側面視において第二支持アーム54の上端部から前方に向けて片持ち状に設けられ、水平方向に延びる第三支持アーム(第三支持部)55とを有する。
本実施形態では、第二支持アーム54は、第一支持アーム53の傾斜角度よりも大きな傾斜角度で後方に向けて傾斜して設けられている。
また、本実施形態においては、第一支持アーム53、第二支持アーム54、第三支持アーム55は、それぞれ左右対称な二本一対で設けられている。そして、第一支持アーム53、53は、平面視において基部52から上方に行くにしたがい、前後方向と直交する左右方向に互いに離間する、いわゆるV字状に延びるよう設けられ、第三支持アーム55は、天板40の両側部に平行となるよう設けられている。
【0020】
第三支持アーム55上には、天板40がボルト等により固定されている。ここで、第二支持アーム54の上端部は、天板40の後端部40aのほぼ鉛直下方に位置するよう設けるのが好ましい。
【0021】
また、図2(b)に示したように、第一支持アーム53は、上方に開口した溝53aを有することもでき、この溝53aに、樹脂等からなるカバー56を設けることもできる。そして、溝53aとカバー56との間の空間に、操作レバー51とガススプリング33とを連結する連結ロッド57を収容できる。
【0022】
さらに、第二支持アーム54、54から後方に向けて延びるサポートプレート58、58を設け、これらサポートプレート58、58間に水平方向に延びる連結部材59を設けてもよい。この連結部材59は、使用者(執務者)が天板40の後方から把持してカート装置10を走行操作する操作部として機能し、カート装置10の操作性を高めることができる。
また、第一支持アーム53、第二支持アーム54、第三支持アーム55は、互いに左右方向に離間して一対設けられ、さらに、一対の第二支持アーム54,54が連結部材59により連結されているので、カート装置10の剛性を高めることができる。
【0023】
このようなカート装置10は、天板40の上面41上に電子機器等を搭載した状態で、キャスター21により執務空間を移動自在とされている。
また、支持基体30を上下方向に伸縮させることで、天板40の高さを、任意の位置に変更できるようになっている。
【0024】
上記のカート装置10には、図3に示すように、天板支持部50の第一支持アーム53、第二支持アーム54、第三支持アーム55に囲まれるようにして、天板40の下方に、前方、左方及び右方に連続して開口し、図4に示すように、デスクやカウンタ等の什器天板100を収容可能な第一収容部(前部空間)60が形成されている。
このとき、第一支持アーム53を支持基体30から後方に向けて片持ち状に設け、第二支持アーム54を第一支アーム53の上端から上方に向かって立設し、第三支持アーム55を第二支持アーム54の上端から上方に向けて立設させているので、カート装置10の天板40と什器天板100とを深く重合させることができる。特に、第二支持アーム54は、その上端が平面視して天板40の後端部に配されているので、カート装置10の天板40と什器天板100とを最も深く重合させることができている。これにより、執務区間内におけるカート装置10を設置するために占有する面積を最小限とすることができ、室内空間の有効利用を図ることができる。
ここで、天板40が左右両側に設けられた第二支持アーム54、54に連設された第三支持アーム55、55に取り付けられていることにより、天板40を安定的に支持することができる。そして、第二支持アーム54、54は支持基体30に取り付けられて左右両側へと広がるように設けられた第一支持アーム53、53に支持されていることで、支持基体30の構造に関係なく、左右両側で天板40を安定的に支持することができる。このため、支持基体30を、最小限の部材寸法として天板40下の空間を有効に利用することができる。
また、傾斜している第一支持アーム53、53において、第一収容部60に臨む側のカバー56に、デスクやカウンタ等の什器天板100を突き当てることで、什器天板100の第一収容部60の前方から後方への挿入寸法を規制することもできる。
【0025】
さらに、図5に示すように、天板40の前端40bを、前方側のベースアーム23Bおよびキャスター21よりも前方に突出するよう設けることで、カート装置10を壁体150等に押し付けたときに、天板40と壁体150との間に隙間を有さない状態とすることができ、使用感に優れたものとすることができる。
【0026】
また、上記カート装置10には、第一支持アーム53、支持基体30、ベースアーム23A、23Aに囲まれるようにして、後方、左方及び右方に連続して開口し、使用者の下肢を収容可能な第二収容部(後部空間)62が形成されている。ここで、支持基体30は、側面視すると、その前後方向の中心部よりも前方(ベースアーム23B、23Bが延びる方向)にオフセットして設けられている。これにより、第二収容部62は、使用者の下肢を十分に収容可能なスペースを確保することができる。
【0027】
ところで、図6に示すように、上記したようなカート装置10において、支持基体30上に支持された、天板40と天板支持部50とを含む上部構造体Aは、平面視して、重心位置G1が、支持基体30よりも下部に位置して当該支持基体30とベース部20とを含む下部構造体Bの外周部よりも内側に位置するよう設定されている。さらに好ましくは、重心位置G1は、平面視して、支持基体30の重心位置G2のなるべく近傍の位置に設定する。これにより、天板40が高い位置にあるカート装置10において、その安定性を高めることができる。
また、重心位置G1は、平面視して、支持基体30のなるべく近傍の位置、特に好ましくは支持基体30の断面内の位置に設定する。このようにすることで、より安定性を高めることができるとともに、支持基体30を伸縮させて天板40を昇降させるときに支持基体30に偏荷重がかかりにくくなり、支持基体30の昇降動作を円滑に行える。
【0028】
上部構造体Aの重心位置G1を決定するときには、天板40上に載置される載置物を含むことができる。この場合、載置物としては、カート装置10の設計段階で、天板40に載置されるであろう載置物として予め設定することのできる、例えばパーソナルコンピュータ装置等の各種電子機器がある。
そして、予め設定された設計重量の載置物が天板40の予め設定される所定位置に載置された場合における、天板40上の載置物を含んだ上部構造体Aの重心位置G1が、平面視して、下部構造体Bの支持基体30の重心位置近傍となるように設定する。ここで、載置物が載置される所定位置としては、天板40の中央、すなわち平面視して天板40の図心となる位置に設定するものとしても良いし、当該中央よりも前方もしくは後方となる位置に設定するものとしても良い。
【0029】
カート装置10においては、第一アーム53,53が、支持基体30に側面視において後方に向けて片持ち状に取り付けられ、第二支持アーム54、54が第一アーム53,53の上端から上方に向かって立設されることで、第一支持アーム53、53と第二支持アーム54,54と、第三支持アーム55、55に取り付けられた天板40との間にスペースが確保されているため、そこで、図7に示すように、天板40の下面に、物品を載置・収納可能な物品収容部70を備えることもできる。この物品収容部70には、例えば、バッテリ装置71を収容することができる。バッテリ装置71を備えることで、天板40上で用いる、例えばパーソナルコンピュータ等の電子機器の電源を確保することが可能となる。これにより、執務者は長時間にわたってパーソナルコンピュータ装置等の電子機器を利用することができ、執務者の利便性、作業性が高まる。
この場合も、物品収容部70とともに、物品収容部70に収容される物品であるバッテリ装置71を上部構造体Aに含むものとして重心位置G1を設定するのが好ましい。
なお、物品収容部70には、言うまでもなく、バッテリ装置71以外の、各種電子機器等を収容することもできるし、通常の引き出し等を備えることもできる。
【0030】
また、図6に示すように、支持基体30を上下方向に伸縮調整するための操作レバー51は、平面視して、支持基体30の重心位置(中心)近傍に設けるようにしても良い。具体的には、例えば、天板支持部50の基部52、支持基体30のインナー支柱32またはアウター支柱31に設けられるようにしても良い。これにより、カート装置10において高い位置にある操作レバー51を操作したときに、カート装置10が不安定になるのを防ぐことができる。
【0031】
また、図6に示すように、ベース部20は、平面視して、支持基体30の重心位置G2に対する上部構造体Aの重心位置G1の位置ずれする方向である重心ずれ方向における第一の幅寸法W1が、前記の重心ずれ方向に直交する方向における第二の幅寸法W2に対して大きく設定されているのが好ましい。つまり、上部構造体Aは、支持基体30に対し、後方にオフセットした位置に重心位置G1を有している場合に、ベース部20の前後方向の長さ(第一の幅寸法W1)を横方向の長さ(第二の幅寸法W2)よりも大きくすることで、カート装置10の安定性を高めている。なお、上部構造体Aの重心位置G1と支持基体30の重心位置G2が平面視して一致する場合にはこの限りではない。
【0032】
次に、上記したようなカート装置10の様々な使用形態を例に示す。
例えば、図7に示すように、ノートブック型のパーソナルコンピュータ装置110や、図8に示すように、タッチパネル式のコンピュータ装置111等を設置してカート装置10を利用することもできる。
図9に示すように、天板40上に、パーソナルコンピュータ装置のモニター120、キーボード121を載置することもできる。その場合、パーソナルコンピュータ装置の本体122は、支持基体30のアウター支柱31に固定して設置することもできる。
【0033】
カート装置10の支持基体30には、図7、図8に示すように、物品を収容する収容容器130を取り付けることもできる。さらに、図10に示すように、支持基体30に、物品を収容する収容トレー131を1以上取り付けることもできる。
これら収容容器130や収容トレー131を支持基体30に取り付けるには、図2(c)に示すように、支持基体30のアウター支柱31の表面に、上下方向に間隔を隔てて複数の係止孔34を形成しておき、この係止孔34に、収容容器130や収容トレー131に設けた図示しないフック等を係止すればよい。
【0034】
また、図11、図12に示すように、カート装置10に、物品運搬用の運搬カート200を連結することもできる。例えば、病院や介護施設等において、医薬品を運搬カート200に搭載し、カート装置10の天板40上に載置したコンピュータ装置に表示した患者や被介護者の電子カルテと照合しながら、医薬品の配布等を行うことができる。ここで、運搬カート200は、カート装置10と連結具80等の適宜手段によって連結できればよく、その具体的構成については限定する意図はない。
【0035】
(その他の変形例)
なお、本発明のカート装置は、図面を参照して説明した上述の各実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
例えば、天板支持部50は、図2に示したような構成に限らず、以下に示すような変形例が考えられる。
図13(a)に示すように、側面視において基部52から後方に向けて片持ち状に設けられる第一支持アーム53、53を、斜め上方ではなく、ほぼ水平方向に延ばして設けることもできる。このようにすると、天板40と第一支持アーム53、53との間のスペースの上下方向の寸法が大きく確保でき、ここに物品収容部70を設ける場合に、その収容容積を拡大することが可能となる。
【0036】
また、第一支持アーム53、53を、基部52からV字状に延ばすのではなく、図13(b)に示すように、基部52からY字状に延ばしてもよいし、図13(c)に示すように、T字状に延ばしてもよい。この場合、第一支持アーム53,53に連続する第二支持アーム54、54は、左右方向に広がりながら斜め上方に延びるよう形成してもよい。
【0037】
さらに、図13(d)に示すように、第一支持アーム53を、基部52から第二支持アーム54,54に向けて漸次幅の広がる三角形状のプレート状とすることもできる。
ここで、図13(b)、(d)に示したように、連結部材59は適宜省略することもできる。
【0038】
また、図14(a)、(b)に示すように、支持基体30上に取り付けられた基部52を、横方向に延びるバー状とし、その両端から第一支持アーム53、53を、後方に向けて斜め上方に延びるよう設けてもよい。
【0039】
また、図15(a)に示すように、側面視において基部52から後方に向けて片持ち状に設けられる第一支持アーム53に対し、第二支持アーム54は、第一支持アーム53の上端部から斜め前方に向けて延びるよう形成してもよい。また、図15(c)に示すように、第二支持アーム54は、第一支持アーム53の上端部から鉛直上方に向けて延びるよう形成してもよい。さらに、図15(b)に示すように、第二支持アーム54は、下部では上方に向かうに従って後方へと傾斜するとともに上部では上方に向かうに従って前方へと傾斜するようにして、前方側を凹とし後側を凸として湾曲するよう形成してもよい。
【0040】
図15(d)に示すように、第二支持アーム54を、操作部として使用者が把持してカート装置10を操作することもできる。
また、デスクやカウンタ等の什器天板100が、第二支持アーム54や連結部材59を保持した使用者の手に当たらないよう、第一支持アーム53に、上方に突出するストッパ63を設けるのが好ましい。このストッパ63は、天板40の下面または第三支持アーム55の下面に下方に突出するよう設けてもよい。
【0041】
上記実施形態では、支持基体30を、カート装置10の左右方向の中心に位置する単柱状としたが、これに限るものではなく、図16(a)に示すように、カート装置10の左右いずれか一方の側にオフセットして支持基体30を設けることもできる。
また、図16(b)、(c)に示すように、カート装置10の左右方向に連続する壁状(ブロック状)の支持基体30とすることも可能である。
【0042】
また、天板支持部50も、第一支持アーム53、第二支持アーム54等を二本一対とせず、図16(a)に示すように、天板40の左右方向の一方のみに設けてもよいし、図16(b)に示すように、左右方向に連続する帯状とすることもできる。
【0043】
ベース部20も、図1の例では、支持基体30が取り付けられる支持基体取付部22から、ベースアーム23がX字状に設けられた構成としたが、これに限らず、図16(a)、(c)に示すように、H字状に配置することもできるし、図16(b)に示すように、支持基体30から前後に延びるプレート状とすることもできる。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、適宜組み合わせたり、他の構成に適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0044】
10 カート装置
20 ベース部
21 キャスター
22 支持基体取付部
23 ベースアーム
24 操作ペダル
30 支持基体
31 アウター支柱
32 インナー支柱
33 ガススプリング
34 係止孔
40 天板
40a 後端部
40b 前端
41 上面
42 柵体
50 天板支持部
51 操作レバー
52 基部
53 第一支持アーム(第一支持部)
53a 溝
54 第二支持アーム(第二支持部)
55 第三支持アーム(第三支持部)
56 カバー
57 連結ロッド
58 サポートプレート
59 連結部材
60 第一収容部(前部空間)
62 第二収容部
63 ストッパ
70 物品収容部
71 バッテリ装置
80 連結具
100 什器天板
110 パーソナルコンピュータ装置
111 コンピュータ装置
120 モニター
121 キーボード
122 本体
130 収容容器
131 収容トレー
150 壁体
200 運搬カート
A 上部構造体
B 下部構造体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面上を走行可能な複数のキャスターが設けられたベース部と、
該ベース部から上方に向かって立設された支持基体と、
該支持基体の上方に配された天板と、
前記支持基体に取り付けられ、前記天板を支持する天板支持部とを備え、
該天板支持部は、前記支持基体に側面視において片持ち状に取り付けられ、該支持基体から後方に向かって配される第一支持部と、
該第一支持部の後端部から上方に向かって立設された第二支持部と、
側面視において該第二支持部の上端に片持ち状に取り付けられて前方へと配され、前記天板が取り付けられた第三支持部とを有し、
前記天板及び前記第三支持部と前記第一支持部と前記第二支持部とに囲まれるようにして、前方、左方及び右方に連続して開口する前部空間が形成されていることを特徴とするカート装置。
【請求項2】
請求項1に記載のカート装置において、
前記第二支持部は、上端が、平面視して前記天板の後端部に配されていることを特徴とするカート装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のカート装置において、
前記天板支持部は、互いに左右方向に離間して一対設けられていることを特徴とするカート装置。
【請求項4】
請求項3に記載のカート装置において、
一対の前記天板支持部の前記第二支持部どうしを連結する連結部材を備えることを特徴とするカート装置。
【請求項5】
請求項4に記載のカート装置において、
前記連結部材は、前記天板の後方からアクセスして把持可能に設けられ操作部とされていることを特徴とするカート装置。
【請求項6】
請求項5に記載のカート装置において、
前記連結部材の前方に設けられ、前記前部空間に前方から挿入された部材を規制するストッパを備えることを特徴とするカート装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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