説明

ガスバリア基材およびガスバリア積層体

【課題】ガスバリア性を向上できるガスバリア基材およびガスバリア積層体を提供する。
【解決手段】基材と、基材の少なくとも一主面にある樹脂層と、樹脂層の一主面にあり、無機酸化物を含む無機酸化物層とを備え、樹脂層は、シクロアルカン構造含有重合性化合物または高酸価フタル酸構造含有重合性化合物を含む樹脂組成物が硬化されたものであるガスバリア基材である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、ガスバリア基材およびガスバリア積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
フィルムに金属酸化物を形成して、水蒸気などのガスをバリアするガスバリアフィルムは、有機ELなどの次世代ディスプレイや太陽電池,高度医療や医薬品向け包装材、電子ぺーパーや太陽電池などの様々な電子デバイスに使用されている。このようなガスバリアフィルムとして、種々のものが検討されている。(例えば、特許文献1〜特許文献8を参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−30292号公報
【特許文献2】特開2010−30290号公報
【特許文献3】特開2010−89502号公報
【特許文献4】特開2009−172988号公報
【特許文献5】特開2010−30286号公報
【特許文献6】特開2009−18569号公報
【特許文献7】特開2009−95989号公報
【特許文献8】特開2010−6064号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本技術の技術分野では、より一層のガスバリア性の向上が求められている。
【0005】
したがって、本技術の目的は、ガスバリア性を向上できるガスバリア基材およびガスバリア積層体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本技術は、基材と、基材の少なくとも一主面にある樹脂層と、樹脂層の一主面にあり、無機酸化物を含む無機酸化物層とを備え、樹脂層は、シクロアルカン構造含有重合性化合物または高酸価フタル酸構造含有重合性化合物を含む樹脂組成物が硬化されたものであるガスバリア基材である。
【0007】
本技術は、樹脂層と、樹脂層の一主面にあり、無機酸化物を含む無機酸化物層とを備え、樹脂層は、シクロアルカン構造含有重合性化合物または高酸価フタル酸構造含有重合性化合物を含む樹脂組成物が硬化されたものであるガスバリア積層体である。
【0008】
本技術では、樹脂層がシクロアルカン構造含有重合性化合物または高酸価フタル酸構造含有重合性化合物を含む樹脂組成物が硬化されたものである構成を有する。この構成により、無機酸化物層と樹脂層との密着性(親和性)が良好であるため、ガスバリア性を向上できる。
【発明の効果】
【0009】
本技術によれば、ガスバリア性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は本技術の一実施の形態によるガスバリアフィルムの構成例を示す断面図である。
【図2】図2は実施例1のアルミナ膜のSEM像である。
【図3】図3Aは実施例1−1のESCAスペクトルを示す。図3Bは比較例1−4のESCAスペクトルを示す。
【図4】図4は表面粗さの測定結果をまとめた棒グラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本技術の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、説明は、以下の順で説明する。
1.一実施の形態(ガスバリア基材の例)
2.他の実施の形態(変形例)
【0012】
1.一実施の形態
本技術の一実施の形態によるガスバリア基材について説明する。図1は、本技術の一実施の形態によるガスバリア基材を示す断面図である。図1に示すように、このガスバリア基材は、基材1と、基材1の一主面に設けられたガスバリア積層体4とを備える。ガスバリア積層体4は、基材1の一主面に設けられた樹脂層2と、樹脂層2に積層された無機酸化物層3とを備える。なお、図1に示す例は、ガスバリア積層体4が基材1の一主面に設けられた構成であるが、ガスバリア積層体4は、基材1の両主面に設けられた構成であってもよい。
【0013】
(基材)
基材1の材料としては、例えば、公知のプラスチック材料などの公知の高分子材料を用いることができる。公知の高分子材料としては、具体的には例えば、PEN(ポリエチレンナフタレート)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエステル(TPEE)、ポリイミド(PI)、ポリアミド(PA)、アラミド、ポリエチレン(PE)、ポリアクリレート、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリプロピレン(PP)、ジアセチルセルロース、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、エポキシ樹脂、尿素樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂などが挙げられる。基材1の形状としては、例えば、フィルム状、プレート状、ブロック状を挙げることができるが、特にこれらの形状に限定されるものではない。ここで、フィルム状にはシート状が含まれるものと定義する。ガスバリア基材は、典型的には、例えば、基材1としてフィルム状のプラスチック材料からなるプラスチックフィルムを用いた、ガスバリアフィルムなどである。基材1の中でも、PEN(ポリエチレンナフタレート)フィルムは、表面の平滑性がよいため好ましい。
【0014】
(樹脂層)
樹脂層2は、シクロアルカン構造含有重合性化合物または高酸価フタル酸構造含有重合性化合物を含む樹脂材料と、溶剤と、必要に応じて添加剤、開始剤などとを含む樹脂組成物を硬化させたものである。この樹脂層2と無機酸化物層3とから構成されたガスバリア積層体4では、優れた基材1との密着性およびガスバリア性を得ることができる。樹脂層2の厚みは、特に限定されるものではないが、典型的には、例えば、数十nm以上数μm以下、より具体的には、例えば、50nm以上2000nm以下に設定される。
【0015】
(樹脂組成物)
(樹脂材料)
樹脂材料は、シクロアルカン構造含有重合性化合物または高酸価フタル酸構造含有重合性化合物を含む。
【0016】
(シクロアルカン構造含有重合性化合物)
シクロアルカン構造含有重合性化合物は、シクロアルカン構造と少なくとも1つの光重合性官能基とを含有する化合物である。光重合性官能基としては、アクリロイル基、メタクリロイル基などが挙げられる。シクロアルカン構造含有重合性化合物は、典型的には、シクロアルカン構造と、少なくとも1つのアクリロイル基とを有するシクロアルカン構造含有アクリレートである。なお、シクロアルカン構造は、炭化水素のみで構成された環構造に加えて、炭化水素と酸素で構成された酸素含有炭化水素環構造も含む。環構造は、単環構造、橋かけ環構造、スピロ環構造を含む。
【0017】
シクロアルカン構造含有重合性化合物としては、例えば、一般式(A)で表される重合性化合物が挙げられる。
【0018】
【化1】

(式中、Aは酸素を含有していてもよい脂肪族炭化水素環を示す。脂肪族炭化水素環は置換基を有していてもよい。Acは光重合性官能基を示す。mは1〜2である。)
【0019】
一般式(A)において、酸素を含有してもよい脂肪族炭化水素環は、単環、橋かけ環またはスピロ環であってもよい。また、光重合性官能基は、例えば、アクリロイル基またはメタクリロイル基などである。
【0020】
一般式(A)で表される重合性化合物としては、例えば、式(1)で表されるアクリレート、式(2)で表されるアクリレート、式(3)で表されるアクリレートなどが挙げられる。
【0021】
【化2】



【0022】
(高酸価フタル酸構造含有重合性化合物)
高酸価フタル酸構造含有重合性化合物は、高酸価であって、フタル酸構造と少なくとも1つの光重合性反応基とを含有する化合物である。光重合性官能基としては、アクリロイル基、メタクリロイル基などが挙げられる。シクロアルカン構造含有重合性化合物は、典型的には、高酸価であって、フタル酸構造と、少なくとも1つのアクリロイル基とを有する高酸価フタル酸構造含有アクリレートである。例えば、一般式(B)で表されるアクリレートが挙げられる。なお、酸価とは、樹脂1gを中和するKOHの量(mg)であり、高酸価とは、典型的には、例えば、180mgKOH/g以上200mgKOH/g以下であることをいう。
【0023】
高酸価フタル酸構造含有重合性化合物としては、例えば、一般式(B)で表される重合性化合物が挙げられる。
【0024】
【化3】

(式中、R1は炭素数1〜3の2価の炭化水素基を示す。Acは光重合性官能基を示す。)
【0025】
一般式(B)において、炭素数1〜3の2価の炭化水素基は、例えば、メチレン基、エチレン基、イソプロピレン基などである。光重合性官能基は、例えば、アクリロイル基またはメタクリロイル基などである。
【0026】
一般式(B)で表される重合性化合物としては、例えば、式(4)で表される化合物などが挙げられる。
【0027】
【化4】

【0028】
(添加剤)
樹脂組成物は、樹脂層2の平滑性を向上させるために、添加剤を含有していてもよい。添加剤としては、リン酸アクリレートを用いることができる。リン酸アクリレートとしては、例えば、式(5)で表されるアクリレートなどが挙げられる。
【0029】
【化5】

【0030】
(開始剤)
樹脂組成物は、重合開始剤を含有していてもよい。重合開始剤の例としてはチバ・スペシャルティー・ケミカルズ社から市販されているイルガキュア184、イルガキュア127など、ランベルティ(Lamberti)社から市販されているエザキュア(Ezacure)シリーズ(例えば、2−ヒドロキシ−2−メチル−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノールオリゴマー(ESACURE−ONE)、オリゴマー型のエザキュアKIPシリーズ(Esacure KIP 150など)などが挙げられる。これらの中でも、低揮発性の式(6)で表されるイルガキュア127、式(7)で表されるESACURE−ONE、Esacure KIP 150が好ましく、式(7)で表されるESACURE−ONE、Esacure KIP 150がより好ましい。より平滑性に優れた樹脂層2を形成することができ、ガスバリア性をより向上できるからである。
【0031】
【化6】

【0032】
【化7】

(式中、Rはエチル基を示す。)
【0033】
(溶剤)
溶剤としては、使用するアクリレートなどの樹脂原料を溶解可能なものが用いられる。このような溶剤としては、例えば、アセトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸イソプロピル、ギ酸ブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸第二ブチル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸第二アミル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、酪酸エチル、乳酸メチルなどのケトン類またはカルボン酸エステル類、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノールなどのアルコール類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソランなどのエーテル類を挙げることができる。これらの溶剤は単一でも2成分以上の混合物でもよく、さらに、上記に例示したもの以外の溶剤を樹脂原料の性能が損なわれない範囲で加えることもできる。
【0034】
(無機酸化物層)
無機酸化物層3は、例えば、金属酸化物を含む薄膜状の金属酸化物膜である。金属酸化物膜は、例えば、非結晶性を有する金属酸化物膜である。無機酸化物層3は、無機酸化物を主成分とし、水分および酸素などの外気中に存在する成分をバリアする、水蒸気バリア性、酸素バリア性などのガスバリア性を有する層である。金属酸化物としては、Al、In、Si、Sn、Zn、Ti、Cu、CeおよびTaからなる群から選択された1種以上の金属元素を含む酸化物が挙げられる。これらは、副次的な成分として他の元素を含有していてもよい。より具体的には、例えば、アルミナ(Al23)などが挙げられる。無機酸化物層3の厚さは、特に限定されないが、典型的には、例えば5nm以上1000nm以下に設定される。
【0035】
(ガスバリア基材の製造方法)
まず、上述した樹脂組成物を基材1上に塗工後、乾燥する。樹脂組成物の塗工方法は、特に限定されるものではなく、公知の塗工方法を用いることができる。公知の塗工方法としては、例えば、マイクログラビアコート法、ワイヤーバーコート法、ダイレクトグラビアコート法、ダイコート法、ディップ法、スプレーコート法、リバースロールコート法、カーテンコート法、コンマコート法、ナイフコート法、スピンコート法などが挙げられる。
【0036】
(硬化工程)
次に、樹脂組成物に対して、光照射して硬化させる。これにより、基材1上に、樹脂組成物が硬化した樹脂層2が得られる。より具体的には、例えば、電離放射線照射により、基材1上にて乾燥された樹脂組成物を硬化させる。電離放射線としては、例えば、電子線、紫外線、可視光線、ガンマ線、電子線などを用いることができ、生産設備の観点から、紫外線が好ましい。積算照射量は、樹脂組成物の硬化特性、ならびに樹脂組成物および基材の黄変抑制などを考慮して適宜選択することが好ましい。また、照射の雰囲気としては、樹脂組成物の種類に応じて適宜選択することが好ましく、例えば、空気、窒素、アルゴンなどの不活性ガスの雰囲気が挙げられる。
【0037】
(無機酸化物層)
次に、樹脂組成物が硬化した樹脂層2上に、金属酸化物の薄膜などの無機酸化物層3を形成する。薄膜は、例えば、PVD(Physical Vapor Deposition:物理気相成長)法あるいはCVD(Chemical Vapor Deposition:化学気相成長)法などの気相法により形成できる。また、電気めっき、無電界めっき、塗布法、ゾル−ゲル法などの液相法により形成できる。また、SPE(固相エピタキシー)法、LB(Langmuir-Blodgett:ラングミュアーブロジェット)法などの固相法により形成することができる。PVD法は、薄膜化する薄膜原料を熱やプラズマなどのエネルギーで一旦蒸発・気化し、基板上に薄膜化する方法である。PVD法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、MBE(分子線エキピタシー)法、レーザアブレーション法などが挙げられる。CVD法は、ガスとして供給される薄膜の構成材料に対して、熱、光、プラズマなどのエネルギーを加えて原料ガス分子の分解・反応・中間生成物を形成し、基板表面での吸着、反応、離脱を経て薄膜を堆積させる方法である。CVD法としては、例えば、熱CVD法、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition:有機金属気相成長)法、RFプラズマCVD法、光CVD法、レーザCVD法、LPE(Liquid Phase Epitaxy)法などが挙げられる。以上により、本技術の一実施の形態によるガスバリア基材を得ることができる。
【0038】
(ガスバリア基材を用いたデバイス)
本技術のガスバリア基材は、空気中の化学成分によって劣化するデバイスに好ましく用いることができる。このようなデバイスの例としては、例えば、電子ペーパー、液晶表示装置、薄膜トランジスタ、タッチパネルなどの電子デバイスが挙げられる。
【実施例】
【0039】
本技術の具体的な実施例について詳細に説明するが、本技術はこれに限定されるものではない。
【0040】
<実施例1>
(塗料の調製)
下記樹脂組成物の各成分、溶媒を混合することにより、樹脂組成物塗料を調製した。なお、塗料の調製の際、固形分が30質量%となるように調整した。固形分とは、硬化後の樹脂層を構成する全ての成分をいう。具体的には例えば、樹脂材料、添加剤および光重合開始剤などを固形分という。
【0041】
(樹脂組成物)
樹脂材料:DCPA(サートーマ社製、SR833、なお、構造式を下記に示す)、含有量:95質量%
開始剤:イルガキュア184(Irg184)(チバケミカル社製、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、なお、構造式を下記に示す)、含有量:5質量%
【0042】
【化8】


溶媒:シクロヘキノンと酢酸ブチルとの混合溶媒(混合比1:1(質量比))
【0043】
(樹脂層の形成)
塗料を、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム基材(帝人デュポンフィルム(株)社製、Q65F)の一主面上に、塗布厚2〜3μm程度でバーコーターにて塗布した後、オーブンで80℃、2分間乾燥したのち、UV照射(フージョン、L/S=5m/分、300mJ/cm2)にて硬化した、これにより、樹脂層を形成した。
【0044】
(アルミナ膜の形成)
次に、下記条件のスパッタリングにより、50nmのアルミナ膜を樹脂層上に形成した。以上により、実施例1のガスバリアフィルムを得た。
【0045】
(スパッタリング条件)
スパッタリング装置(Canon−Anelva社製、C−3103)
スパッタリングターゲット材料:Al23
ターゲットサイズ:150mmφ×5mmt
スパッタリング方式:RFマグネトロン
RF投入パワー:500W
Arガス流量:100sccm
スパッタリングガス圧:0.53Pa
スパッタリング時間:3050sec(スパッタリング膜厚50nm)
到達真空度(バックグラウンド圧):およそ5×10-5Pa
温度:室温
【0046】
(評価)
実施例1のガスバリアフィルムについて、以下の「表面粗さ測定」と「水蒸気透過率測定」と「SEM観察」を行った。
【0047】
(表面粗さ測定)
140×105μmのRa(算術平均粗さ)、Rz(最大高さ)は、非接触三次元粗さ計Zygo社 New View5000で求めた。また1×1μmにおけるRa、RzはSPM(Nano Scope IIIa/D−3000、Digital Instruments社)を用いて測定した。測定結果を下記に示す。
【0048】
(測定結果)
アルミナ膜形成前:Ra:0.50nm、Rz:4.41nm(140×105μm)
Ra:3.39nm、Rz:5.00nm(1×1μm)
アルミナ膜形成後:Ra:1.07nm、Rz:9.66nm(140×105μm)
Ra:0.59nm、Rz:5.40nm(1×1μm)
【0049】
(水蒸気透過率測定)
水蒸気透過率測定装置として、イリノイ社製水蒸気透過装置(model7002)を用い、40℃、相対湿度90%の条件で測定した。測定結果は、測定装置の測定限界値である0.001g/m2/dayより小さい値を示した。なお、参考としてPENフィルム基材についても、同様に測定したところ、1.8g/m2/dayであった。
【0050】
(SEM観察)
アルミナ膜について、SEM(FE−SEM、電界放射型走査電子顕微鏡:Field Emission-Scanning Electron Microscope)を用いて、加速電圧5kV、観察倍率×80k、Pt−Pdスパッタリング(4nm)で、観察した。図2にSEM像を示す。図2に示すように、樹脂層上に非結晶性のアルミニウム膜が形成されていることが確認できた。
【0051】
<実施例1−1>
(塗料の調製)
下記の樹脂組成物の各成分、溶媒を混合して塗料を調製した。なお、塗料の調製の際、固形分が15質量%となるように調整した。
【0052】
(樹脂組成物)
樹脂材料:DCPA(サートーマ社製、SR833、なお、構造式を下記に示す)、含有量:95質量%
開始剤:Irg184(チバケミカル社製、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、なお、構造式を下記に示す)、含有量:5質量%
溶媒:シクロヘキノンと酢酸ブチルとの混合溶媒(混合比1:1(質量比))
【0053】
(樹脂層の形成)
塗料を、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム基材(帝人デュポンフィルム(株)社製、Q65F)の一主面上に、塗布厚5μm程度でバーコーターにて塗布した後、オーブンで80℃、2分間乾燥したのち、UV照射(フージョン、L/S=5m/分、300mJ/cm2)にて硬化した、これにより、樹脂層を形成した。
【0054】
(アルミナ膜の形成)
次に、スパッタリングにより、10nmのアルミナ膜を樹脂層上に形成した。以上により、実施例1−1のガスバリアフィルムを得た。
(スパッタリング条件)
スパッタリング装置(Canon−Anelva社製、C−3103)
スパッタリングターゲット材料:Al23
ターゲットサイズ:150mmφ×5mmt
スパッタリング方式:RFマグネトロン
RF投入パワー:500W
Arガス流量:100sccm
スパッタリングガス圧:0.53Pa
スパッタリング時間:610sec(スパッタリング膜厚10nm、スパッタリングレートに換算すると0.985nm
到達真空度(バックグラウンド圧):およそ5×10-5Pa
温度:室温
【0055】
<実施例1−2>
樹脂組成物を以下のものとしたこと以外は、実施例1−1と同様にして、ガスバリアフィルムを得た。
【0056】
(樹脂組成物)
樹脂材料:2−メタクリロイロキシエチルフタル酸(新中村化学社製、CB−1、なお、構造式を下記に示す、酸価197mgKOH/g)、含有量:95質量%、
開始剤:Irg184、含有量:5質量%
溶媒:シクロヘキノンと酢酸ブチルとの混合溶媒(混合比1:1(質量比))
【0057】
【化9】

【0058】
<実施例2−1>
樹脂組成物を以下のものとしたこと以外は、実施例1−1と同様にして、ガスバリアフィルムを得た。
【0059】
(樹脂組成物)
樹脂材料:DCPA+2−アクリオイロシエチルアシッドホスフィート(共栄社製、P−1A、なお、構造式を下記に示す)、含有量:95質量%、
開始剤:Irg184、含有量:5質量%
溶媒:シクロヘキノンと酢酸ブチルとの混合溶媒(混合比1:1(質量比))
【0060】
【化10】

【0061】
<実施例2−2>
樹脂組成物を以下のものとしたこと以外は、実施例1−1と同様にして、ガスバリアフィルムを得た。
(樹脂組成物)
樹脂材料:CB−1、含有量:95質量%+添加剤:P−1A、含有量0.1質量%
開始剤Irg184、含有量:5質量%
溶媒:シクロヘキノンと酢酸ブチルとの混合溶媒(混合比1:1(質量比))
【0062】
<実施例2−3>
樹脂組成物を以下のものとしたこと以外は、実施例1−1と同様にして、ガスバリアフィルムを得た。
【0063】
(樹脂組成物)
樹脂材料:DCPA、含有量:95質量%、
開始剤:イルガキュア127(Irg127)(チバケミカル社製、2−ヒロドキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、なお、構造式を下記に示す)、含有量:5質量%、
溶媒:シクロヘキノンと酢酸ブチルとの混合溶媒(混合比1:1(質量比))
【0064】
【化11】

【0065】
<実施例2−4>
樹脂組成物を以下のものとしたこと以外は、実施例1−1と同様にして、ガスバリアフィルムを得た。
【0066】
(樹脂組成物)
樹脂材料:DCPA、含有量:95質量%、
開始剤:ESCACURE KIP150(なお、構造式を下記に示す)、含有量:5質量%
溶媒:シクロヘキノンと酢酸ブチルとの混合溶媒(混合比1:1(質量比))
【0067】
【化12】

(式中、Rはエチル基を示す。)
【0068】
<実施例2−5>
樹脂組成物を以下のものとしたこと以外は、実施例1−1と同様にして、ガスバリアフィルムを得た。
【0069】
(樹脂組成物)
樹脂材料:DCPA、含有量:95質量%、
開始剤:ESCACURE ONE (DKSH社製:オリゴ{2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン、なお、構造式を下記に示す}、含有量:5質量%
溶媒:シクロヘキノンと酢酸ブチルとの混合溶媒(混合比1:1(質量比))
【0070】
【化13】

(式中、Rはエチル基を示す。)
【0071】
<実施例2−6>
樹脂組成物を以下のものとしたこと以外は、実施例1−1と同様にして、ガスバリアフィルムを得た。
【0072】
(樹脂組成物)
樹脂材料:テトラヒドロフルフリルアクリレート(サートマー社製、SR285、なお、構造式を下記に示す)、含有量:95質量%、
開始剤:ESCACURE ONE、含有量:5質量%
溶媒:シクロヘキノンと酢酸ブチルとの混合溶媒(混合比1:1(質量比))
【0073】
【化14】

【0074】
<実施例2−7>
樹脂組成物を以下のものとしたこと以外は、実施例1−1と同様にして、ガスバリアフィルムを得た。
【0075】
(樹脂組成物)
樹脂材料:シクロヘキサンジメタノールジアクリレート(サートマー社製、CD406、なお、構造式を下記に示す)、含有量:95質量%
開始剤:ESCACURE ONE、含有量:5質量%
溶媒:シクロヘキノンと酢酸ブチルとの混合溶媒(混合比1:1(質量比))
【0076】
【化15】

【0077】
<比較例1−1>
樹脂組成物を以下のものとしたこと以外は、実施例1−1と同様にして、ガスバリアフィルムを得た。
【0078】
(樹脂組成物)
樹脂材料:TMPTA(トリメチロールプロパントリアクリレート、新中村化学社製、なお構造式を下記に示す)、含有量:95質量%
開始剤Irg184:5質量%
溶媒:シクロヘキノンと酢酸ブチルとの混合溶媒(混合比1:1(質量比))
【0079】
【化16】

【0080】
<比較例1−2>
樹脂組成物を以下のものとしたこと以外は、実施例1−1と同様にして、ガスバリアフィルムを得た。
【0081】
(樹脂組成物)
樹脂材料:TMMT(ペンタエリスリトールテトラアクリレート、新中村化学社製、なお、構造式を下記に示す)、含有量:95質量%
開始剤:Irg184、含有量:5質量%
溶媒:シクロヘキノンと酢酸ブチルとの混合溶媒(混合比1:1(質量比))
【0082】
【化17】

【0083】
<比較例1−3>
樹脂組成物を以下のものとしたこと以外は、実施例1−1と同様にして、ガスバリアフィルムを得た。
【0084】
(樹脂組成物)
樹脂材料:CN997(芳香族ウレタンアクリレート、サートマー社製)、含有量:95質量%
開始剤:Irg184、含有量:5質量%
溶媒:シクロヘキノンと酢酸ブチルとの混合溶媒(混合比1:1(質量比))
【0085】
<比較例1−4>
樹脂組成物を以下のものとしたこと以外は、実施例1−1と同様にして、ガスバリアフィルムを得た。
【0086】
(樹脂組成物)
樹脂材料:M215(イソシアヌル酸EO 変性ジアクリレート、東亞合成社製、なお、構造式を下記に示す)、含有量:95質量%
開始剤Irg184、含有量:5質量%
溶媒:シクロヘキノンと酢酸ブチルとの混合溶媒(混合比1:1(質量比))
【0087】
【化18】

【0088】
<比較例1−5>
樹脂組成物を以下のものとしたこと以外は、実施例1−1と同様にして、ガスバリアフィルムを得た。
【0089】
(樹脂組成物)
樹脂材料:エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート 2.2Bis〔4−(Acryloxy Polyethoxy〕Phenyl〕Propane(EO3mol)(新中村化学社製、ABE−300、なお、構造式を下記に示す)、含有量:95質量%
開始剤Irg184、含有量:5質量%
溶媒:シクロヘキノンと酢酸ブチルとの混合溶媒(混合比1:1(質量比))
【0090】
【化19】

【0091】
<比較例1−6>
樹脂組成物を以下のものとしたこと以外は、実施例1−1と同様にして、ガスバリアフィルムを得た。
【0092】
(樹脂組成物)
樹脂材料:9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン 9,9−Bis[4−(2−acryloyloxy ethoxy) pheny]fluorene (新中村化学社製、A−BPEF、なお、構造式を下記に示す)、含有量:95質量%
開始剤Irg184、含有量:5質量%
溶媒:シクロヘキノンと酢酸ブチルとの混合溶媒(混合比1:1(質量比))
【0093】
【化20】

【0094】
<比較例1−7>
樹脂組成物を以下のものとしたこと以外は、実施例1−1と同様にして、ガスバリアフィルムを得た。
【0095】
(樹脂組成物)
樹脂材料:2,2,2−トリスアクリロイロキシメチルエチルフタル酸(新中村化学社製、CBX−1N、なお、構造式を下記に示す、酸価87mgKOH/g)、含有量:95質量%
開始剤:Irg184、含有量5質量%
溶媒:シクロヘキノンと酢酸ブチルとの混合溶媒(混合比1:1(質量比))
【0096】
【化21】

【0097】
(評価)
(密着性)
作製した実施例(実施例1−1〜2−7)および比較例(比較例1−1〜1−7)について、JIS K5400の碁盤目(1mm間隔×100マス)セロハンテープCT24(ニチバン株式会社製)剥離試験により、ガスバリア積層体(樹脂層+金属酸化物層)の密着性を評価した。判定は100マスの内、剥離しないマス目の数(剥離しないマス目の数/100)で表し、ガスバリア積層体が剥離しない場合(すなわち、100/100の場合)を密着性OKと評価した。その結果、全ての実施例、比較例のガスバリアフィルムにおいて、「100/100」であり、ガスバリア積層体の密着性は良好であった。
【0098】
(光学特性)
(HAZE、全光線透過率)
作製した実施例および比較例について、樹脂層が形成されたPENフィルムのHAZE(JIS K7136)、および全光線透過率Tt(JIS K7361)を、HM−150(株式会社村上色彩技術研究所製)で評価した。その結果、全ての実施例、比較例において、ヘイズ(<1%)、全光線透過率(>90%)のPENフィルム単品と同等の値を示し、樹脂層形成による光学特性はみられなかった。
【0099】
(ESCAによる表面分析)
実施例1−1および比較例1−4のガスバリアフィルムについて、バリア性発現メカニズムを明らかにするためにESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)による表面分析を行った。ESCAの元素検出データを図3A〜Bに示す。図3A〜Bに示すように、Cピークはアルミナからは存在せず、UC層(樹脂層)からのみ検出される。バリア性が良好である実施例1−1は、点線a1に示すC元素(樹脂層)の検出に要するエッチング時間がより長い一方で、バリア性が不良である比較例1−4は点線a2に示すC元素(樹脂層)の検出に要するエッチング時間が短い。すなわち、実施例1−1では、比較例1−4よりもアルミナ層が厚く広く存在していることが確認できた。
【0100】
(水蒸気透過率測定)
作製した実施例および比較例について、以下のように、水蒸気透過率測定を行った。すなわち、水蒸気透過率は、水蒸気透過率測定装置として、イリノイ社製水蒸気透過装置(model7002)を用い、40℃、相対湿度90%の条件で測定した。測定結果を表1に示す。
【0101】
【表1】

【0102】
表1に示すように、シクロアルカン構造含有アクリレートを用いた実施例1−1や、高酸価フタル酸構造含有アクリレートを用いた実施例1−2では、高いバリア性を示した。また、これらのシクロアルカン構造含有アクリレートや高酸価フタル酸構造含有アクリレートは、金属付与剤としての機能を担う添加剤2−アクリオイロシエチルアシッドホスフィート(共栄社製、P−1A)の併用が可能であり、併用することにより、バリア性をさらに向上させることができた。また、実施例2−3〜実施例2−5より、様々なタイプの開始剤を用いてもバリア性に悪影響を及ぼさないばかりか、低揮発性タイプの開始剤を用いることでバリア特性がさらに向上させることできた。さらに、酸素含有炭化水素環構造
含有アクリレートを用いた実施例2−6や他のシクロアルカン構造含有アクリレートを用いた実施例2−7でも、高いバリア性を示した。一方、環構造および酸基も含まない構造のアクリレートを用いた比較例1−1や比較例1−2、ベンゼン環含有アクリレートを用いた比較例1−3、イソシアヌル酸含有アクリレートを用いた比較例1−4、低酸価値フタル酸構造含有アクリレートを用いた比較例1−7では、バリア性が発現しないもしくは低いバリア性になってしまった。以上から、高いバリア性の発現には、シクロアルカン構造または高酸価フタル酸構造含有化合物であることが必須の構成であることが確認できたい。また、以上のことは、[背景技術]の欄で示した特許文献1などに記載されていることと相反する。すなわち、「高いバリア性を示すものはベンゼン環構造含有化合物が必須ではない」こと示している。
【0103】
(開始剤の種類による表面粗さの評価)
実施例1−1、実施例2−3、実施例2−4、実施例2−5について、真空引きの前後の表面粗さ、Ra(算術平均粗さ)、Rz(最大高さ)、突起高さを以下のように測定した。また、参考例として、PENフィルム基材の表面も同様に測定した。
【0104】
(表面粗さ測定)
0.140×0.100μmにおけるRa、Rz、突起高さはSPM(Nano Scope IIIa/D−3000、Digital Instruments社)を用いて測定した。測定結果を表2および図4に示す。
【0105】
【表2】

【0106】
表2および図4に示すように、高揮発性の開始剤を用いた実施例1−1より、低揮発性の開始剤を用いた実施例2−3〜実施例2−5の方が、樹脂層の表面の平滑性に優れており、これにより、バリア性も優れていた。また、実施例2−3より、実施例2−4〜実施例2−5方が、樹脂層の表面の平滑性により優れており、これによりバリア性もより優れていた。
【0107】
2.他の実施の形態
本技術は、上述したこの発明の実施の形態に限定されるものでは無く、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。例えば、上述の実施の形態および実施例において挙げた数値、構造、形状、材料、原料、プロセスなどはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれらと異なる数値、構造、形状、材料、原料、プロセスなどを用いてもよい。例えば、本技術の樹脂組成物は、本技術の要旨を逸脱しない範囲内において、上述したシクロアルカン構造含有重合性化合物、高酸価フタル酸構造含有重合性化合物、添加剤以外の他の重合性化合物を含有していてもよい。
【0108】
なお、背景技術で示した特許文献1の実施例4,8では、リン酸を30wt%添加しないと10-4[g/m2/d]のバリア性は発現しないが、本願発明者の知見では、イリノイ社製水蒸気透過装置(model7002)を用いた水蒸気透過率測定中に破壊の発生が予測される。また硬度の低下も予想される。特許文献2では、リン酸(メタ)アクリレートを添加しないと密着性が良好にはならないが、本願発明者の知見では、イリノイ社製水蒸気透過装置(model7002)を用いた、水蒸気透過率測定中に破壊の発生が予測される。また硬度の低下も予想される。特許文献3では、トリフェニレン骨格品は高価であるために生産性が不良。密着性のデータが不在である。特許文献7では、多層構造のために作製プロセスの負荷が大きい。特許文献8では、密着性のデータが不在である。
【0109】
無機酸化物層3は、バリア性を発現できるものであれば特に限定されるものではなく、金属窒化物、金属炭化物、金属酸化窒化物または金属酸化炭化物などの金属化合物の薄膜であってもよい。このような金属化合物としては、より具体的には、例えば、Si、Al、In、Sn、Zn、Ti、Cu、CeおよびTaからなる群から選択された1種以上の金属元素を含む窒化物、炭化物、酸化窒化物、酸化炭化物などが挙げられる。これらは副次的な成分として他の元素を含有していてもよい。
【0110】
また、本技術は、以下の構成をとることもできる。
[1]
基材と、
該基材の少なくとも一主面にある樹脂層と、
該樹脂層の一主面にあり、無機酸化物を含む無機酸化物層と
を備え、
上記樹脂層は、シクロアルカン構造含有重合性化合物または高酸価フタル酸構造含有重合性化合物を含む樹脂組成物が硬化されたものであるガスバリア基材。
[2]
上記シクロアルカン構造含有重合性化合物は、一般式(A)で表される重合性化合物である[1]に記載のガスバリア基材。
【化22】

(式中、Aは酸素を含有していてもよい脂肪族炭化水素環を示す。脂肪族炭化水素環は置換基を有していてもよい。Acは光重合性官能基を示す。mは1〜2である。)
[3]
上記高酸価フタル酸構造含有重合性化合物は、一般式(B)で表される重合性化合物である[1]〜[2]の何れかに記載のガスバリア基材。
【化23】

(式中、R1は炭素数1〜3の2価の炭化水素基を示す。Acは光重合性官能基を示す。)
[4]
上記一般式(A)で表される重合性化合物は、式(1)〜式(3)で表されるアクリレートから選ばれた少なくとも1種である[2]に記載のガスバリア基材。
【化24】



[5]
上記一般式(B)で表される重合性化合物は、式(4)で表されるアクリレートである[3]に記載のガスバリア基材。
【化25】

[6]
上記樹脂組成物は、添加剤として、リン酸アクリレートをさらに含み、
上記リン酸アクリレートは、式(5)で表される化合物である[1]〜[5]の何れかに記載のガスバリア基材。
【化26】

[7]
上記樹脂組成物は、開始剤をさらに含み、
上記開始剤は、式(6)または式(7)で表される化合物である[1]〜[6]の何れかに記載のガスバリア基材。
【化27】


(式中、Rはエチル基を示す。)
[8]
上記無機酸化物は、金属酸化物である[1]〜[7]の何れかに記載のガスバリア基材。
[9]
上記金属酸化物は、アルミナである[8]に記載のガスバリア基材。
[10]
上記基材は、プラスチックフィルムである[1]〜[9]の何れかに記載のガスバリア基材。
[11]
上記プラスチックフィルムは、ポリエチレンナフタレートフィルムである[10]に記載のガスバリア基材。
[12]
樹脂層と、
該樹脂層の一主面にあり、無機酸化物を含む無機酸化物層と
を備え、
上記樹脂層は、シクロアルカン構造含有重合性化合物または高酸価フタル酸構造含有重合性化合物を含む樹脂組成物が硬化されたものであるガスバリア積層体。
【符号の説明】
【0111】
1・・・基材
2・・・樹脂層
3・・・無機酸化物層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、
該基材の少なくとも一主面にある樹脂層と、
該樹脂層の一主面にあり、無機酸化物を含む無機酸化物層と
を備え、
上記樹脂層は、シクロアルカン構造含有重合性化合物または高酸価フタル酸構造含有重合性化合物を含む樹脂組成物が硬化されたものであるガスバリア基材。
【請求項2】
上記シクロアルカン構造含有重合性化合物は、一般式(A)で表される重合性化合物である請求項1に記載のガスバリア基材。
【化1】

(式中、Aは酸素を含有していてもよい脂肪族炭化水素環を示す。脂肪族炭化水素環は置換基を有していてもよい。Acは光重合性官能基を示す。mは1〜2である。)
【請求項3】
上記高酸価フタル酸構造含有重合性化合物は、一般式(B)で表される重合性化合物である請求項1に記載のガスバリア基材。
【化2】

(式中、R1は炭素数1〜3の2価の炭化水素基を示す。Acは光重合性官能基を示す。)
【請求項4】
上記一般式(A)で表される重合性化合物は、式(1)〜式(3)で表されるアクリレートから選ばれた少なくとも1種である請求項2に記載のガスバリア基材。
【化3】



【請求項5】
上記一般式(B)で表される重合性化合物は、式(4)で表されるアクリレートである請求項3に記載のガスバリア基材。
【化4】

【請求項6】
上記樹脂組成物は、添加剤として、リン酸アクリレートをさらに含み、
上記リン酸アクリレートは、式(5)で表されるアクリレートである請求項1に記載のガスバリア基材。
【化5】

【請求項7】
上記樹脂組成物は、開始剤をさらに含み、
上記開始剤は、式(6)または式(7)で表される化合物を含む請求項1に記載のガスバリア基材。
【化6】


(式中、Rはエチル基を示す。)
【請求項8】
上記無機酸化物は、金属酸化物である請求項1に記載のガスバリア基材。
【請求項9】
上記金属酸化物は、アルミナである請求項8に記載のガスバリア基材。
【請求項10】
上記基材は、プラスチックフィルムである請求項1に記載のガスバリア基材。
【請求項11】
上記プラスチックフィルムは、ポリエチレンナフタレートフィルムである請求項10に記載のガスバリア基材。
【請求項12】
樹脂層と、
該樹脂層の一主面にあり、無機酸化物を含む無機酸化物層と
を備え、
上記樹脂層は、シクロアルカン構造含有重合性化合物または高酸価フタル酸構造含有重合性化合物を含む樹脂組成物が硬化されたものであるガスバリア積層体。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−111874(P2013−111874A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260769(P2011−260769)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】