ガス供給装置
【課題】 ボンベ装填空間部を開閉する蓋体の状態で、複数のガスボンベの装填状態を検出する。
【解決手段】 ボンベ装填空間部3内に装填した複数本のガスボンベ100のガス供給ユニット11への脱着を蓋体9の開閉動作により一括して行うとともに、蓋体が蓋体カムロック機構12により、ボンベ装填空間部内に全てのガスボンベがガス供給ユニットに結合された状態で保持される第1ロック状態と、ボンベ装填空間部内に携帯型ガスボンベが装填されていない状態で保持される第2ロック状態で、位置を異にして保持される。
【解決手段】 ボンベ装填空間部3内に装填した複数本のガスボンベ100のガス供給ユニット11への脱着を蓋体9の開閉動作により一括して行うとともに、蓋体が蓋体カムロック機構12により、ボンベ装填空間部内に全てのガスボンベがガス供給ユニットに結合された状態で保持される第1ロック状態と、ボンベ装填空間部内に携帯型ガスボンベが装填されていない状態で保持される第2ロック状態で、位置を異にして保持される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体内に構成したボンベ装填空間部内に複数本の携帯型燃料ガスボンベ(以下、本明細書ではガスボンベと略称する。)を装填して接続したガスコンロ等の燃焼機器に燃料ガスを供給するガス供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスボンベは、例えば携帯型ガスコンロやガス照明装置或いは様々な装置(本明細書においては燃焼装置と総称する。)に装填され、内部に充填した液化ブタンガス等の燃料ガスを供給する。標準品として市販されているガスボンベ100は、図12に示すように、底部を底板102により閉塞された筒状の缶本体101の上部にバルブ構体103を組み付け、密閉された内部空間104に液化燃料ガスを充填してなる。
【0003】
ガスボンベ100は、バルブ構体103が、詳細を省略するが、大径の開口部を有する略円錐形のトップドーム105と、位置決め用切り欠き部106Aを設けてトップドーム105の内周縁に一体化されたトッププレート106と、トップドーム105の開口部に組み付けられたキャップ部材107と、このキャップ部材107に組み付けられたバルブ機構108等により構成される。
【0004】
ガスボンベ100は、缶本体101に対してトップドーム105が、開口縁と外周縁部を重ねて全周に亘って外方に突出する巻き締め部109を形成して一体化される。ガスボンベ100は、バルブ機構108が、キャップ部材107に形成した筒状の取り付け部にかしめ付けた筒状のバルブ本体110と、このバルブ本体110の内部にスライド自在に組み合わされた弁部材111と、この弁部材111から一端側を突出させて組み付けたステム112と、バルブ本体110とキャップ部材107間を密閉するステムガスケット113と、弁部材111を押し上げるコイルスプリング114、バルブ本体110に設けたサイホン管115等の部材により構成される。
【0005】
ガスボンベ100は、ステム112の基端部に側方に開口してガス流路が形成され、通常弁部材111がコイルスプリング114の弾性力により押し上げられた状態においてステムガスケット113により閉塞されている。ガスボンベ100は、ステム112を押圧して弁部材111をコイルスプリング114の弾性力に抗してバルブ本体110の内部を移動させることにより、ステムガスケット113によるステム112のガス流路が開放されるようにする。ガスボンベ100は、トッププレート106の位置決め用切り欠き部106Aとサイホン管115が対応位置して組み合わされる。
【0006】
一方、燃焼機器は、詳細を省略するが、筐体内にガスボンベ100を装填するガスボンベ装填部と、装填したガスボンベ100を移動させるレバー機構と、ガスボンベ100のステム112を着脱する保持バルブ機構と、保持バルブ機構に連通するガス流路と、供給ガス圧を調整して燃焼部へと供給する調圧器等が設けられる。燃焼機器は、レバー機構を操作してガスボンベ100を移動させてステム112を保持バルブ機構に押し込んでバルブ機構108を開放動作させることにより、保持バルブ機構もガス流路との開放動作が行われるとともにガスボンベ100を保持する。燃焼機器は、ガスボンベ100から保持バルブ機構を介してガス流路内に燃料ガスの供給が行われ、調圧器により所定の供給ガス圧に調整した燃料ガスを燃焼部へと供給する。
【0007】
ところで、市販の標準品のガスボンベ100は、一般に250g容量の仕様であって携帯や取り扱いが容易であり、例えば家庭内での卓上ガスコンロ等に好適に用いられる。しかしながら、かかるガスボンベ100は、例えば野外で比較的長時間に亘って連続して使用するような場合には、頻繁に交換が必要であるとともに必要な高ガス圧(高火力)が得られないといった問題がある。ガスボンベ100は、いわゆるパーソナル耕うん機の燃料源としても使用されるが、同様にして長時間の使用に際しての交換頻度の煩わしさや必要な高出力圧特性を得ることが困難であるといった問題がある。
【0008】
特許文献1には、2本のガスボンベを装填して使用する卓上ガスコンロが記載されている。かかる卓上ガスコンロにおいては、2本のガスボンベを使用することにより、上述した交換の煩わしさや高出力圧特性の問題が解消される。卓上ガスコンロにおいては、各ガスボンベに対応してボンベ接続口が設けられ、1つの操作部材の操作により2本のガスボンベを同時に着脱可能として操作性の向上とともに安全性の向上も図っている。しかしながら、かかる卓上ガスコンロは、2本のガスボンベを装填して使用することから全体が大型となり、家庭においてテーブル上に設置して使用するものとして適さないといった問題がある。
【0009】
また、特許文献2には、筐体内に構成したボンベ装填空間部内に複数本のガスボンベを装填するとともに各種の燃焼機器を接続し、当該燃焼機器に対して燃料ガスを供給する携帯用燃料ガス供給装置(ガス供給装置)が記載されている。かかるガス供給装置は、燃焼機器と独立した装置であり、必要に応じて接続されることにより当該燃焼機器に対して高出力圧の燃料ガスを長時間に亘って供給することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】実公昭62−15600号公報
【特許文献2】実開平5−90135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、従来の複数本のガスボンベをボンベ装填空間部内に装填して使用する燃焼機器やガス供給装置(以下、本明細書においてはガス供給装置と総称する。)は、一般にボンベ装填空間部内に規定本数のガスボンベを装填せずに使用することが可能である。ガス供給装置においては、ガスボンベがそれぞれ個別に結合される複数の保持バルブ機構に逆止弁が設けられており、ガスボンベ未結合の保持バルブ機構から燃料ガスが流出しないように構成されている。ガス供給装置においては、長期間の使用により逆止弁の損耗が生じ或いはゴミ等の付着により、ガスボンベ未結合の保持バルブ機構からガス漏れが生じる虞がある。
【0012】
また、ガス供給装置においては、安全のために使用後に全てのガスボンベを取り外して保管する必要がある。ガス供給装置においては、ガスボンベの取り外し状態を検出する何らかの検出構造も必要であるが、従来ではかかる構成が備えられていなかった。
【0013】
本発明は、筐体内に構成したボンベ装填空間部内に複数本のガスボンベを装填して燃料ガスを供給するガス供給装置において、ボンベ装填空間部内に規定本数のガスボンベが全て正しく装填された状態と装填されていない状態とを可視的に識別可能とし、正規の装填状態において燃焼機器へのガス供給を可能として安全性や効率性の向上を図ったガス供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述した目的を達成する本発明に係るガス供給装置は、筐体内に構成したボンベ装填空間部内に複数本のガスボンベを装填し、ガス供給ユニットを介して接続した燃焼機器に対して燃料ガスを供給する。ガス供給装置は、ガスボンベを装填するボンベ装填空間部を開閉するとともに開閉操作によりガスボンベを移動させてガス供給ユニットに着脱させる蓋体と、ガスボンベの移動動作により移動されて蓋体を保持するとともに開蓋操作によりガスボンベをガス供給ユニットとの嵌合状態から解除する蓋体カムロック機構を備える。
【0015】
本発明に係るガス供給装置においては、蓋体が蓋体カムロック機構により、ボンベ装填空間部内に規定本数のガスボンベがガス供給ユニットに全て正しく結合された状態において保持される第1ロック状態と、ボンベ装填空間部内に規定本数のガスボンベが装填されていない状態或いは正しく結合されていない状態において保持される第2ロック状態に保持される。ガス供給装置においては、蓋体が、第1ロック状態と第2ロック状態において筐体に対する回動位置を異にして保持されることにより、ボンベ装填空間部内におけるガスボンベの装填状態の識別が確実に行われるようにする。
【0016】
また、上述した目的を達成する本発明に係るガス供給装置は、ボンベ装填空間部内に所定本数のガスボンベを装填し、装填されたガスボンベの相対するバルブ構体がそれぞれ嵌合されることにより開放動作するとともにガスボンベの嵌合状態を保持する複数の保持バルブ機構と、これら保持バルブ機構に連通するガス流路と、供給ガス圧を調整する調圧器と、元栓用プラグ部を有するガス供給ユニットを介して接続した燃焼機器等に対して燃料ガスの供給を行う。ガス供給装置は、ボンベ装填空間部内に、それぞれの筒状の缶本体の一端側に全周に亘って外方に突出する巻き締め部を介してバルブ機構を内蔵したバルブ構体を組み付けてなる規定本数のガスボンベが装填される。
【0017】
本発明に係るガス供給装置は、筐体と、蓋体と、ボンベ作動部材と、蓋体カムロック機構を備える。ガス供給装置は、筐体が、底板と、前面板と、左右一対の側板と、背面板とにより天井部を開放した箱状を呈し、開放された天井部をボンベ装填開口部として内部に規定本数のガスボンベをそれぞれのバルブ構体を前面板側に向けて互いに隣り合うように並べて装填するボンベ装填空間部を構成してなる。ガス供給装置は、蓋体が、筐体の少なくともボンベ装填空間部の一部を閉塞する覆板部と、筐体の側板と対向する左右一対の側板部と、背面板部とからなる。蓋体は、側板部の背面板側に位置した部位を筐体の側板間に支架した支軸により回動自在に支持されるとともに、側板部にそれぞれ高さ方向に離間して第1カム部と第2カム部からなるカム部が形成される。
【0018】
ガス供給装置は、ボンベ作動部材が、蓋体の背面板部に設けられ、蓋体の閉塞操作に伴ってボンベ装填空間部内に装填したガスボンベを筐体の前面板側へと押圧してバルブ構体をガス供給ユニットの相対する保持バルブ機構にそれぞれ嵌合させる。ガス供給装置は、蓋体カムロック機構が、カムレバーと、弾性部材とを有する。蓋体カムロック機構は、カムレバーが、筐体の側板の内面にそれぞれ移動自在に組み合わされて背面側の端部に蓋体の第1カム部又は第2カム部が係合するカム受け部が設けられるとともに、ガスボンベの巻き締め部に対応位置してボンベ係合部が形成される。蓋体カムロック機構は、弾性部材が、カムレバーにそれぞれカム受け部と蓋体のカム部の係合習性を付与する弾性力を作用させる。
【0019】
ガス供給装置においては、蓋体が蓋体カムロック機構により、ボンベ装填空間部内に規定本数のガスボンベが全てガス供給ユニットに正しく結合されて第1カム部が蓋体カムロック機構のカム受け部に係合して保持される第1ロック状態と、ボンベ装填空間部内にガスボンベが装填されておらず第2カム部がカム受け部に係合して保持される第2ロック状態とに保持される。ガス供給装置においては、蓋体が、第1ロック状態と第2ロック状態において筐体に対する回動位置を異にして保持されることにより、ボンベ装填空間部内における全てのガスボンベの装填状態を視覚的に識別可能とする。
【0020】
ガス供給装置においては、ボンベ装填空間部内に3本以上のガスボンベを装填して使用する場合に、中間位置に装填されるガスボンベの装填状態を検出する取り付け基板と中間カムレバーと中間弾性部材とを有する中間ガスボンベ検出機構を備えてもよい。ガス供給装置においては、蓋体の内面にカムロッドが設けられる。中間ガスボンベ検出機構は、取り付け基板が、中間位置に装填されるガスボンベに沿って筐体の底板に立設される。中間ガスボンベ検出機構は、中間カムレバーが、取り付け基板に沿って移動自在に組み合わされ筐体の前面板側の端部にガスボンベの巻き締め部に対応位置して係合部を形成する。中間ガスボンベ検出機構は、中間カムレバーが、筐体の背面板部の端部に蓋体のカムロッドに対応位置して蓋体カム係止部を形成する。中間ガスボンベ検出機構は、中間弾性部材が、中間カムレバーを筐体の背面板部側に付勢することにより係合部を介して中間位置に装填されるガスボンベのガス供給ユニットからの離脱力とする弾性力を作用させる。
【0021】
ガス供給装置においては、中間ガスボンベ検出機構が、カムロッドを設けた蓋体に対して、第1ロック状態において蓋体係止カム部によるカムロッドの係止状態を解除するとともに、ボンベ装填空間部内に中間位置のガスボンベが装填されていない第2ロック状態では蓋体係止カム部によりカムロッドを係止する。ガス供給装置においては、中間ガスボンベ検出機構により中間位置に装填されるガスボンベの装填状態を検出する。ガス供給装置においては、中間ガスボンベ検出機構により規定本数のガスボンベが全てガス供給ユニットに対して正しく結合されて装填されている状態がより確実に検出されるようにする。
【0022】
ガス供給装置においては、筐体のボンベ装填空間部を構成する底板に、装填されたガスボンベの外周部位をそれぞれ嵌合して移動動作のガイド作用を奏する複数のボンベ嵌合ガイド部を形成してもよい。ガス供給装置においては、蓋体の開閉操作に伴ってガスボンベがガス供給ユニットに向かってボンベ嵌合ガイド部内を円滑に移動する。ガス供給装置においては、ボンベ嵌合ガイド部を介してガスボンベの外周部の一部を外方へと突出させた状態でボンベ装填空間部に装填することにより、筐体の高さが低減される。
【発明の効果】
【0023】
以上のように構成された本発明に係るガス供給装置によれば、筐体内に構成したボンベ装填空間部内に装填した規定本数のガスボンベのガス供給ユニットへの脱着を蓋体の開閉操作により一括して行うとともに、蓋体が蓋体カムロック機構により、ボンベ装填空間部内に全てのガスボンベがガス供給ユニットに正しく結合された状態において保持される第1ロック状態と、ボンベ装填空間部内に規定本数のガスボンベが全て或いは一部が装填されていない状態で保持される第2ロック状態により保持されるように構成する。したがって、本発明に係るガス供給装置によれば、複数本のガスボンベを用いることにより、頻繁に交換する煩わしさが無く長時間に亘って燃料ガスの高出力圧特性を保持することが可能である。
【0024】
本発明に係るガス供給装置によれば、蓋体の第1ロック状態の位置によりボンベ装填空間部内に装填された規定本数のガスボンベがガス供給ユニットに結合されたことを識別可能とするとともに各種の燃焼機器に対して燃料ガスの供給が行われるようにする。本発明に係るガス供給装置によれば、使用後において蓋体の第1ロック状態の位置により、ボンベ装填空間部内にガスボンベが残っていることが確認されるようにする。また、本発明に係るガス供給装置によれば、蓋体の第2ロック状態の位置により蓋体の第1ロック状態の位置によりボンベ装填空間部内に規定本数のガスボンベが装填されていない場合や規定本数のガスボンベが正しく装填されていない状態が確認されるようにする。本発明に係るガス供給装置によれば、比較的大型の部材である蓋体の状態によりボンベ装填空間部内におけるガスボンベの状況を確実に識別することが可能となり、ガス漏れや取り出し忘れによる危険防止が確実に図られる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施の形態として示すガス供給装置の平面図である。
【図2】同ガス供給装置について、ガスボンベを装填した状態で筐体の側板を取り外して蓋体カムロック機構の構成を示した側断面図である。
【図3】同ガス供給装置について、ガスボンベを装填した状態での中間ガスボンベ検出機構の構成を示した側断面図である。
【図4】同ガス供給装置に備えられる蓋体の側断面図である。
【図5】蓋体カムロック機構を説明する要部平面図である。
【図6】同蓋体カムロック機構を構成するカムレバーの側面図である。
【図7】中間ガスボンベ検出機構を説明する要部側面図である。
【図8】同中間ガスボンベ検出機構を説明する要部平面図である。
【図9】ガスボンベの装填操作を示す側面図である。
【図10】ガスボンベが装填されていない状態での蓋体カムロック機構による蓋体の第2ロック状態を示す要部側断面図である。
【図11】同蓋体の第2ロック状態における中間ガスボンベ検出機構を説明する要部側断面図である。
【図12】ガスボンベの一部切り欠き要部正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態として示すガス供給装置1について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明において前後、左右、上下等の用語は、 特にことわりが無い場合には図1を基準として用いるものとし、同図において左側が前(前面)、右側が後(背面)、上側が右(右側面)、下側が(左側面)であり、また図面奥側が下(底面)、図面手前側が上(天井面)である。
【0027】
ガス供給装置1は、上述した標準仕様として提供されている250g容量の3本のガスボンベ100A〜100C(以下、個別に説明する場合を除いてガスボンベ100と総称する。)を筐体2の内部に構成したボンベ装填空間部3内に装填し、図示しない各種の燃焼機器を接続して燃料ガスを長時間に亘って高圧状態で供給する。ガス供給装置1は、詳細を後述するようにボンベ装填空間部3内に3本のガスボンベ100を正しく装填した状態においてのみ燃焼機器へのガス供給を可能とする。ガス供給装置1は、3本のガスボンベ100が正しく装填しく装填された状態を明確に識別することが可能である。
【0028】
ガス供給装置1は、3本のガスボンベ100の容量分を不要とする使用態様でもボンベ装填空間部3に3本のガスボンベ100を装填して使用することを条件とし、この場合に例えば必要分のガスボンベ100とともに空のガスボンベ100(燃料ガスの残量が少なくなったガスボンベを含む。)を装填して使用する。なお、ガスボンベ100は、一般に使用後に孔空け処理を施して内部に残留した燃料ガスが抜かれる。ガス供給装置1は、孔空け処理を施した空のガスボンベ100を使用した場合に、後述するように他のガスボンベ100から供給される燃料ガスがこの空のガスボンベ100を介して外部へと放出されてしまう。したがって、ガス供給装置1には、必ず孔空け処理が施されていない空のガスボンベ100を使用することを条件とする。
【0029】
ガス供給装置1は、図1乃至図3に示すように、筐体2が、底板4と、前面板5と、左右一対の側板6A、6B(以下、個別に説明する場合を除いて側板6と総称する。)と、前梁板7と、前面板5より高さが小さい背面板8とにより天井部を開放した矩形箱状に形成される。ガス供給装置1は、筐体2の開放された天井部をボンベ装填開口部として内部にそれぞれのステム112を前面側に位置させて3本のガスボンベ100を互いに平行の姿勢に並べて装填するボンベ装填空間部3を構成してなる。ガス供給装置1は、側板6の背面部側に位置して支架した支軸10に回動自在に支持され、背面板8と共同してボンベ装填空間部3の前面板5とほぼ同等の高さの背面部を構成するとともにボンベ装填空間部3の一部を開閉する蓋体9が設けられる。
【0030】
ガス供給装置1には、図1乃至図3に示すように、底板4と前面板5と側板6と前梁板7で囲まれたボンベ装填空間部3と隣り合う前方空間部位に詳細を後述するガス供給ユニット11が組み付けられる。ガス供給装置1には、側板6の内面に、詳細を後述する左右一対の蓋体カムロック機構12A、12B(以下、個別に説明する場合を除いて蓋体カムロック機構12と総称する。)がそれぞれ組み付けられる。ガス供給装置1には、側板6の内面に、蓋体カムロック機構12Aに対応位置して詳細を後述するロックピン41が設けられる。ガス供給装置1には、ボンベ装填空間部3の第1ガスボンベ100Aを装填する第1装填領域部3Aと第2ガスボンベ100Bを装填する第2装填領域部3Bとの間に位置して、底板4に中間ガスボンベ検出機構13が組み付けられる。
【0031】
ガス供給装置1は、底板4の四隅に設置脚4A〜4Dが設けられ、水平状態で設置されて使用される。なお、ガス供給装置1は、使用形態の姿勢に限定は無く例えば縦型に設置して用いることも可能ではあるが、ガスボンベ100の仕様から効率よくかつ安定した燃料ガスの供給が行われるようにするために水平状態での使用形態が望ましい。
【0032】
ボンベ装填空間部3は、3本のガスボンベ100を1個ずつ装填する前後方向に長い第1装填領域部3A〜第3装填領域部3Cに区割りされる。底板4には、図1に鎖線で示すように、第1装填領域部3A〜第3装填領域部3Cに第1ボンベ嵌合ガイド部14A〜第3ボンベ嵌合ガイド部14C(以下、個別に説明する場合を除いてボンベ嵌合ガイド部14と総称する。)がそれぞれ形成される。ボンベ嵌合ガイド部14は、ガスボンベ100の缶本体101よりも長い前後方向の開口部であり、ボンベ装填空間部3内にガスボンベ100が装填されると、缶本体101の外周部位を嵌合して一部を外方へと突出させる。
【0033】
ボンベ嵌合ガイド部14は、ボンベ装填空間部3内に装填したガスボンベ100の缶本体101の外周部が嵌合することにより、これらガスボンベ100を第1装填領域部3A〜第3装填領域部3C内において位置決めする。ボンベ嵌合ガイド部14は、後述するように蓋体9の開閉操作によりガスボンベ100がボンベ装填空間部3内を前後方向にスライド動作するが、その際にガスボンベ100を左右方向に揺れ動くこと無く円滑にスライド動作させるガイド作用を奏する。ボンベ嵌合ガイド部14は、ボンベ装填空間部3内に装填したガスボンベ100が缶本体101の外周部を底板4から貫通して外方へと突出させることにより、筐体2の高さを低減して小型化が図られるようにする。
【0034】
なお、ボンベ嵌合ガイド部14は、上述したように底板4に形成した開口部により構成したが、かかる構成に限定されないことは勿論である。ボンベ嵌合ガイド部14は、例えば絞り加工等により缶本体101の曲率に対応した円弧状断面の凹部により構成するようにしてもよい。ボンベ嵌合ガイド部14は、かかる凹部形状とすることにより開口部の構成と比較して底板4の機械的剛性が高められるようにする。また、ボンベ嵌合ガイド部14は、筐体2の小型化が図られないが、缶本体101の両側を保持する一対の凸部により構成してもよい。
【0035】
ガス供給ユニット11は、前面板5の内面に沿って設置され、ボンベ装填空間部3内に装填されたガスボンベ100が装着されるとともに図示しない各種の燃焼機器が接続される。ガス供給ユニット11は、ユニット本体15と、開閉バルブ機構16と、元栓用プラグ部17と、調圧器(ガバナ)18を備える。ガス供給ユニット11は、後述するようにユニット本体15が3本のガスボンベ100を着脱するとともにこれらガスボンベ100から供給される燃料ガスを1本のガス流路を介して燃焼機器へと供給する構造を有しているが、その他の基本的な構成を1本のガスボンベを使用するカセットコンロ等と同様に構成される。
【0036】
ユニット本体15は、ボンベ装填空間部3とほぼ全域に亘って対向する大きさを有する部材であり、図示を省略する外周部に形成した取り付け部を介して筐体2に固定される。ユニット本体15には、ボンベ装填空間部3側に第1装填領域部3A〜第3装填領域部3Cに対向して開口するボンベ嵌合口を有する第1保持バルブ機構19A〜第3保持バルブ機構19C(以下、個別に説明する場合を除いて保持バルブ機構19と総称する。)が設けられる。ユニット本体15には、図示を省略するが内部に保持バルブ機構19と連通してガス流路が形成される。
【0037】
保持バルブ機構19は、周知のようにガスボンベ100のステム112が嵌合されるボンベ嵌合口と、このボンベ嵌合口の閉塞習性を付与されて内部に組み込まれた逆止弁と、ステム112を介してガスボンベ100の弁部材111を開放状態に保持する弁座構造等を有する。保持バルブ機構19は、ボンベ嵌合口にステム112が押し込まれることより逆止弁が開放動作するとともに弁部材111を開放動作して、ガスボンベ100から燃料ガスが内部のガス流路内に流れ込むようにする。
【0038】
開閉バルブ機構16は、詳細を省略するがユニット本体15の中央部に位置して設けられ、ガス流路と元栓用プラグ部17との間を開閉する。開閉バルブ機構16は、前面板5に突出して設けた操作ツマミ20を回転操作することにより、内蔵する弁部材がガス流路を開閉する。開閉バルブ機構16は、操作ツマミ20が開位置に設定操作された状態において、ガス流路を開いて元栓用プラグ部17に燃料ガスが流れるようにする。なお、開閉バルブ機構16は、例えば操作ツマミ20の支軸にカム部材が設けられており、操作ツマミ20の回転操作によりカム部材を介して弁部材が押し込まれてガス流路を開放する構造である。開閉バルブ機構16は、かかる構造に限定されず、燃焼装置に備えられる各種の開閉バルブ機構であってもよい。
【0039】
元栓用プラグ部17は、内部にガス供給ユニット11のガス流路と連通するガス流路が形成された筒状部材と、この筒状部材に内蔵されてスプリングによりガス流路の閉塞習性を付与された逆止弁を有する。元栓用プラグ部17には、燃焼機器と接続された図示しない接続管の先端に設けたコネクタが嵌合されることにより逆止弁の開放動作が行われてガス流路から燃焼機器に燃料ガスの供給が行われるようにする。
【0040】
調圧器18は、ガス供給ユニット11と元栓用プラグ部17との間に設けられ、開閉バルブ機構16の開放操作によりガス流路から流入する燃料ガスを所定の圧力に調整して元栓用プラグ部17へと供給する。調圧器18は、例えば容器内にテコ部材と受け圧板と調整バネ等が組み込まれており、ガス流路から流入した一次側の燃料ガスを所定の圧力に変圧して二次側の元栓用プラグ部17に供給する。
【0041】
ガス供給装置1は、前梁板7に第1位置合わせ部材21A〜第3位置合わせ部材21C(以下、個別に説明する場合を除いて位置合わせ部材21と総称する。)が設けられる。位置合わせ部材21は、前梁板7の上述したガス供給ユニット11を組み付ける前方空間部位とボンベ装填空間部3を区割りする背面側の側縁に沿って、第1装填領域部3A〜第3装填領域部3Cに相対して設けられる。位置合わせ部材21は、ボンベ装填空間部3に装填されたガスボンベ100とガス供給ユニット11の相対する保持バルブ機構19とを位置決めする。
【0042】
ガス供給装置1は、ボンベ装填空間部3内にガスボンベ100を装填し、後述するように蓋体9を回動操作してガスボンベ100を前面側へとスライド動作させてガス供給ユニット11に嵌合させる。ガス供給装置1においては、位置合わせ部材21に対して、ボンベ装填空間部3に装填された全てのガスボンベ100がサイホン管115に相対して形成した位置決め用切り欠き部106Aを嵌合させる。ガス供給装置1においては、ガス供給ユニット11に対してガスボンベ100が正しく結合して、燃料ガスの効率的な供給が行われるようにする。ガス供給装置1においては、ガスボンベ100が、後述するように蓋体9と蓋体カムロック機構12によって、ボンベ装填空間部3内で図5矢印A1、A2で示すように前後方向にスライド動作する。
【0043】
ガス供給装置1は、蓋体9が、図1及び図4に示すように覆板部22と、左右一対の側板部23A、23B(以下、個別に説明する場合を除いて側板部23と総称する。)と、背面板部24とから構成される。蓋体9には、覆板部22の表面側に、長さ方向の中央部に位置して前方縁に沿って把手25が設けられる。蓋体9には、覆板部22の内面側に、後述する中間ガスボンベ検出機構13に相対してカムロッド26が設けられる。蓋体9には、側板部23に、前方端に位置してカム部27A、27B(以下、個別に説明する場合を除いてカム部27と総称する。)が形成される。蓋体9には、背面板部24にボンベ作動部材28が設けられる。
【0044】
蓋体9は、覆板部22が、図1に示すように前梁板7との間においてボンベ装填空間部3を外方に臨ませて内部に装填したガスボンベ100の存在を視認可能とするとともに空気の流通性を確保する開口部位を構成する横幅に形成される。蓋体9は、背面板部24が、図2に示すように覆板部22の背面側の端部に沿って直角に折曲され、筐体2の背面板8と共同して前面板5とほぼ同じ高さの背面部を構成する高さに形成される。
【0045】
蓋体9は、側板部23が、背面板8の左右下端部に形成した腕状部位を平行に対峙するように直角に折曲して形成される。蓋体9は、側板部23に形成した軸孔に筐体2の側板6間に支架した支軸10を貫通させることにより、筐体2に対して回動自在に組み合わされる。蓋体9は、把手25を把持して筐体2に対して図2において時計方向に大きく回動操作されることによりボンベ装填空間部3を大きく開放する。蓋体9は、ボンベ装填空間部3内に3本のガスボンベ100を全て装填した状態で、把手25を把持して図2において反時計方向に回動操作することによりボンベ装填空間部3を閉塞する。
【0046】
蓋体9は、ボンベ作動部材28が、ボンベ装填空間部3に装填した全てのガスボンベ100に対してそれぞれの底板102の中央部を横切るように対向位置して背面板部24に設けられる。ボンベ作動部材28は、ボンベ装填空間部3を閉塞する方向に蓋体9を回動操作することによって、ボンベ装填空間部3に突出して全てのガスボンベ100を一括してガス供給ユニット11側へとスライド動作させる。ボンベ作動部材28は、全てのガスボンベ100を上述したステムと112とガス供給ユニット11との結合が行われるスライド量を以ってスライド動作させる。
【0047】
蓋体9は、図2及び図3に示すように、筐体2の側板6の内側面に沿って延在する側板部23の前方部位が下方に向かって腕状に突出され、その前方部位にカム部27が形成される。カム部27は、上述した蓋体カムロック機構12と対向して形成され、後述するように蓋体9の開閉操作によって前後方向にスライド動作する両側のガスボンベ100A、100Cにより作動される蓋体カムロック機構12との係合、解除が行われる。カム部27は、後述するように蓋体カムロック機構12との係合、解除により、筐体2に対する蓋体9の回動位置を規定する。
【0048】
カム部27には、前方側縁に高さ方向に離間して第1カム部29及び第2カム部30が形成されている。第1カム部29は、図4に示すようにカム部27の上部側に形成されたやや浅い円弧状のカム凹部からなる。第2カム部30は、第1カム部29の下方に位置してカム部27の前方側縁から下端縁に跨って形成されたやや深い円弧状のカム凹部からなる。カム部27は、第1カム部29と第2カム部30が、後述するように蓋体9の回動位置において蓋体カムロック機構12と選択的に係合して蓋体9の図2における反時計方向の回動位置を規定する。
【0049】
カム部27は、第1カム部29と第2カム部30がボンベ装填空間部3内におけるガスボンベ100の装填状態において蓋体カムロック機構12と選択的に係合して蓋体9を第1ロック状態又は第2ロック状態に保持する。カム部27は、蓋体9が筐体2に対して側板6の上縁と略同一面を構成して保持される第1ロック状態において、第1カム部29が蓋体カムロック機構12と係合する。カム部27は、蓋体9が筐体2に対して側板6の上縁からやや突出して保持される第2ロック状態において、第2カム部30が蓋体カムロック機構12と係合する。
【0050】
ガス供給装置1は、上述したようにガス供給ユニット11が保持バルブ機構19によりガスボンベ100の結合状態を保持している。ガス供給装置1は、大きな振動や衝撃等が加えられた際に保持バルブ機構19によるガス供給ユニット11の保持状態が解除され、ガスボンベ100が移動して蓋体カムロック機構12による蓋体9のロック状態が解除されることもある。ガス供給装置1においては、筐体2の側板6にロックピン41を設け、蓋体カムロック機構12により第1ロック状態又は第2ロック状態に保持された蓋体9の動作を規制してロック状態がより確実に保持されるようにする。
【0051】
ロックピン41は、図2に示すように側板6の内面に突出して設けられる。ロックピン41は、蓋体9が後述する蓋体カムロック機構12により第1ロック状態又は第2ロック状態に保持された状態において、カム部27の後方側縁と相対係合する。ロックピン41には、蓋体9が回動操作される際にその後方側縁をカム面として、外周部を回り込むようにしてカム部27が相対係合する。ロックピン41は、蓋体9の後方縁を保持することにより、蓋体9に衝撃等が加えられた場合でも蓋体カムロック機構12と共同してその回動動作を規制する。
【0052】
ガス供給装置1は、筐体2の側板6の内面に沿って設けた左右一対の蓋体カムロック機構12を備える。蓋体カムロック機構12は、第1装填領域部3A及び第3装填領域部3Cに装填された第1ガスボンベ100A及び第3ガスボンベ100Cによりそれぞれ作動されることにより、蓋体9の回動動作を規制するとともに、この蓋体9を第1ロック状態と第2ロック状態に保持する。蓋体カムロック機構12は、ボンベ装填空間部3内に装填された全てのガスボンベ100がガス供給ユニット11に対して正しく結合された状態において、後述する中間ガスボンベ検出機構13と共同してガスボンベ100とガス供給ユニット11の結合状態を保持する。
【0053】
蓋体カムロック機構12は、ボンベ装填空間部3内に装填された全てのガスボンベ100がガス供給ユニット11と正しく結合された状態において、上述したように第1カム部29と係合することにより蓋体9を覆板部22が前梁板7とほぼ同一面を構成する第1ロック状態に保持する。また、蓋体カムロック機構12は、この蓋体9の第1ロック状態において、ガスボンベ100とガス供給ユニット11の結合状態を保持する。蓋体カムロック機構12は、使用後においてボンベ装填空間部3を開放する蓋体9の回動操作が行われると、第1カム部29との係合状態が解除されるとともにガスボンベ100とガス供給ユニット11の結合状態を解除する。
【0054】
蓋体カムロック機構12は、ボンベ装填空間部3内に装填されたいずれか1本のガスボンベ100がガス供給ユニット11に対して正しく結合されていない状態において、上述したように第2カム部30と係合して蓋体9を覆板部22が前梁板7に対して浮き上がった第2ロック状態に保持する。また、蓋体カムロック機構12は、第1装填領域部3Aや第3装填領域部3Cに第1ガスボンベ100Aや第3ガスボンベ100Cが装填されていない状態においても、同様にして蓋体9を第2ロック状態に保持する。
【0055】
蓋体カムロック機構12は、図5及び図6に示すように、それぞれカムレバー31と、カムピン32(カムピン32A、32B)と、コイルスプリング33と、支持軸部34とから構成される。カムレバー31は、前後方向に長い金属板を素材とし、長さ方向の略中央部をクランク状に折曲して段部を形成することによりガスボンベ100の巻き締め部109と相対係合されるボンベ係合部31Aを構成してなる。カムレバー31は、筐体2の側板6に設けた支持軸部34及びガス供給ユニット11の側面に設けた支軸35に支持されて側板6の内面に沿ってスライド自在に組み付けられる。
【0056】
カムレバー31には、先端側にガス供給ユニット11の側面に設けた支軸35が貫通する前後方向の長孔からなるガイド孔31Bと、前方先端部から突出するスプリング掛け合わせ凸部31Cが形成される。カムレバー31は、後方側が幅広とされ高さ方向の中央部に支持軸部34が設けられるとともに、支持軸部34を挟んでカムピン32A、32Bが設けられる。カムピン32は、後述するように蓋体9のカム部と相対係合するカム受け部を構成する部材である。
【0057】
なお、カムレバー31は、側面にカムピン32を設けたが、例えば折曲部位により同等の機能を奏するカム受け部を構成するようにしてもよい。カムレバー31は、カムピン32の取り付け位置を付け替えた同一部材からなり左右反転して用いる共通部品とすることにより上下対称の位置にカムピン32A、32Bを設けたが、それぞれ独立の部材として別個に構成する場合にはそれぞれ適応する位置に1個のカムピンを設ければよい。
【0058】
カムレバー31は、ガイド孔31Bにガス供給ユニット11側に設けた支軸35が貫通するとともに、支持軸部34が筐体2の側板6に形成した前後方向のガイド長孔36に貫通することにより、側板6に組み付けられる。カムレバー31は、ガイド孔31B及びガイド長孔36の長さ範囲で側板6に沿って図5矢印B1、B2で示すように前後方向にスライド自在に組み付けられる。なお、支持軸部34や支軸35は、例えば外周ネジを形成し、相対するガイド孔31Bやガイド長孔36に貫通された状態で飾りナットをねじ込むことにより脱落が防止される。
【0059】
カムレバー31には、図1、図2及び図5に示すように、先端部が筐体2の前面板5の内面と対向するスプリング掛け合わせ凸部31Cの外周部にコイルスプリング33が装着される。コイルスプリング33は、スプリング掛け合わせ凸部31Cと前面板5との間においてやや圧縮された状態で装着されることにより、カムレバー31を背面側へと付勢する。カムレバー31は、コイルスプリング33の弾性力により、支持軸部34や支軸35がガイド孔31Bやガイド長孔36のそれぞれの背面側の孔縁と突き当たる状態で筐体2の側板6に沿って組み付けられる。すなわち、カムレバー31は、コイルスプリング33の弾性力により、背面側への復帰習性を付与される。
【0060】
蓋体カムロック機構12においては、カムレバー31が、ボンベ係合部31Aを内側に向けボンベ装填空間部3に装填されるガスボンベ100の巻き締め部109の前方側に対向位置するようにして側板6に組み付けられる。蓋体カムロック機構12においては、カムレバー31が、ボンベ装填空間部3内にガスボンベ100が装填されていない状態においてコイルスプリング33の弾性力により背面側に押された状態となる。蓋体カムロック機構12においては、この状態においてカムレバー31が、その背面側の上端縁を蓋体9の回動軌跡内に延在するようにして側板6に組み付けられる。
【0061】
蓋体カムロック機構12においては、蓋体9を回動操作してボンベ装填空間部3を閉塞しようとした場合に、カム部27の下端部がカムレバー31の背面側の上端縁に突き当たる。蓋体カムロック機構12においては、カムレバー31がカム部27によりコイルスプリング33の弾性力に抗して前面側へとスライド動作することで、カムレバー31のカムピン32が蓋体9のカム部27に形成した先端側の第2カム部30と相対係合する。
【0062】
蓋体カムロック機構12においては、カムピン32が上述したように大きな深さの第2カム部30と係合することにより、その時点で蓋体9のさらなる回動操作を停止させる。蓋体カムロック機構12においては、蓋体9の回動操作力が解除されても、カムピン32と第2カム部30の係合状態をコイルスプリング33の弾性力によって保持する。蓋体カムロック機構12においては、これにより蓋体9を筐体2に対して浮いた第2ロック状態に保持する。
【0063】
蓋体カムロック機構12においては、持ち運びに際して第2ロック状態に保持した蓋体9の揺れ動きを防止する。蓋体カムロック機構12は、蓋体9を第2ロック状態に保持することにより、ボンベ装填空間部3内にガスボンベ100が装填されていない状態を識別可能とする。蓋体カムロック機構12においては、把手25を把持して蓋体9の引き上げ操作を行うことにより、コイルスプリング33の弾性力に抗してカムピン32と第2カム部30の係合状態を解除して蓋体9の開放が行われる。
【0064】
蓋体カムロック機構12においては、カムレバー31が、ボンベ装填空間部3内にガスボンベ100を装填した状態で後述する蓋体9の閉塞操作が行われると、ボンベ作動部材28を介して前面側へとスライド動作するガスボンベ100により側板6に沿って前面側へとスライド動作する。蓋体カムロック機構12においては、カムレバー31が、ボンベ係合部31Aに巻き締め部109が突き当たってスライド動作するガスボンベ100を介して、コイルスプリング33の弾性力に抗して前面側へとスライド動作する。
【0065】
蓋体カムロック機構12においては、蓋体9がボンベ装填空間部3を閉塞した状態で、カムピン32が蓋体9のカム部27に形成した上部側の第1カム部29と相対係合する。蓋体カムロック機構12は、カムピン32と第1カム部29の係合状態をコイルスプリング33の弾性力により保持し、蓋体9を第1ロック状態に保持する。蓋体カムロック機構12においては、カムレバー31により第1ガスボンベ100A及び第3ガスボンベ100Cとガス供給ユニット11の結合状態を保持する。
【0066】
ガス供給装置1においては、上述したように筐体2の側板6A、6Bに沿って一対の蓋体カムロック機構12A、12Bが設けられる。ガス供給装置1においては、側板6A側に設けた蓋体カムロック機構12Aが第1装填領域部3A内に装填した第1ガスボンベ100Aにより作動される。ガス供給装置1においては、側板6B側に設けた蓋体カムロック機構12Bが第3装填領域部3C内に装填した第3ガスボンベ100Cにより作動される。ガス供給装置1においては、第1装填領域部3A或いは第3装填領域部3C内に第1ガスボンベ100A或いは第3ガスボンベ100Cが装填されていない場合に、蓋体9によるガスボンベ100のガス供給ユニット11との結合動作が規制される。
【0067】
ガス供給装置1は、上述したようにボンベ装填空間部3内に3本のガスボンベ100を装填して使用する。ガス供給装置1は、上述したように蓋体カムロック機構12により第1装填領域部3Aと第3装填領域部3Cにおける第1ガスボンベ100Aと第3ガスボンベ100Cの装填状態を検出するとともに、中間ガスボンベ検出機構13により第2装填領域部3Bにおける第2ガスボンベ100Bの装填状態を検出する。中間ガスボンベ検出機構13は、上述したようにボンベ装填空間部3の第1装填領域部3Aと第2装填領域部3Bとの間に位置して設けられる。
【0068】
ガス供給装置1は、図2に示すように、蓋体9が第1ロック状態おいて、カム部27が前方側縁において第1カム部29と相対係合するカムピン32と後方側縁において相対係合するロックピン41との間に挟まれた状態となり、衝撃等が加えられた際の前後方向のスライド動作と回動動作を確実に規制される。また、ガス供給装置1は、蓋体9が第2ロック状態おいても、カム部27が前方側縁において第2カム部30と相対係合するカムピン32と後方側縁において相対係合するロックピン41との間に挟まれた状態となり、衝撃等が加えられた際の前後方向のスライド動作と回動動作を確実に規制される。
【0069】
中間ガスボンベ検出機構13は、図3及び図6、図7に示すように、取り付け基板37と、中間カムレバー38と、中間コイルスプリング39とから構成される。取り付け基板37は、取り付け板部37Aと、この取り付け板部37Aと直交するスライドガイド立壁部37Bとからなり、図1に示すように取り付け板部37Aがボンベ装填空間部3内で第1装填領域部3Aと第2装填領域部3Bに区割りするように筐体2の底板4上に前後方向の向きで固定される。
【0070】
取り付け基板37には、図7に破線で示すようにスライドガイド立壁部37Bに前後方向かつ上下に離間して前後方向を長軸とした一対のガイド長孔37B1、37B2が形成される。スライドガイド立壁部37Bには、後端側に中間コイルスプリング39の一端側を掛け止めするスプリング掛け止め部37B3が形成されている。スライドガイド立壁部37Bには、一方のガイド長孔37B1とスプリング掛け止め部37B3との間に位置して、中間コイルスプリング39を収納して省スペース化を図る切り欠き溝37B4が形成されている。スライドガイド立壁部37Bには、上縁の後端部位に位置して段落ち部37B5が形成されている。
【0071】
中間カムレバー38は、背面側を幅広とし、上縁部が前面側に向かって次第に傾斜することにより幅狭とされた外形が略楔状の板状部材である。中間カムレバー38は、このように楔形状とすることにより後述するスライド動作時にその前方部位が筐体2の前梁板7に突き当たらない逃げの構造となっている。中間カムレバー38は、側面に設けた一対のガイドピン40A、40Bを相対するガイド長孔37B1、37B2に詳細な構造の説明を省略する抜け止め構造を介して貫通させることにより、取り付け基板37のスライドガイド立壁部37Bに重ね合わせた状態で組み付けられる。中間カムレバー38は、ガイドピン40A、40Bがガイド長孔37B1、37B2の長さ範囲で規制されて取り付け基板37に対してスライド自在に組み付けられる。
【0072】
中間カムレバー38は、図7に示すように取り付け基板37に組み付けた状態で背面側の幅広部位がその上縁を蓋体係止カム部38Bとして取り付け基板37から突出させる。中間カムレバー38には、幅狭の前端部を側方に直交して折曲することにより、中間ボンベ係合部38Aが一体に形成される。
【0073】
中間カムレバー38は、図1に示すように中間ボンベ係合部38Aが第2装填領域部3Bに突出するようにして取り付け基板37に組み付けられる。中間ボンベ係合部38Aは、後述するように第2装填領域部3B内に装填された第2ガスボンベ100Bの巻き締め部109の前方側に対向位置する。中間カムレバー38は、ボンベ装填空間部3内にガスボンベ100が装填されていない状態において、蓋体係止カム部38Bが蓋体9に設けたカムロッド26の回動軌跡内に延在する。
【0074】
中間カムレバー38には、取り付け基板37の切り欠き溝37B4と対向する幅広部位の下方部に切り欠き部38Cが形成されている。中間コイルスプリング39は、一端側を中間カムレバー38の切り欠き部38Cの背面側部位に掛け止めされるとともに他端側をスプリング掛け止め部37B3に掛け止めされて、切り欠き溝37B4内に引っ張り状態で収納される。中間コイルスプリング39は、中間カムレバー38に対して背面側へと付勢する弾性力を作用させ、この中間カムレバー38を取り付け基板37の側面にスライド自在に組み付ける。
【0075】
中間ガスボンベ検出機構13は、第2装填領域部3B内において図8矢印C1、C2で示すように前後方向にスライド動作する第2ガスボンベ100Bを介して作動される。中間ガスボンベ検出機構13においては、ボンベ装填空間部3の第2装填領域部3B内に第2ガスボンベ100Bが正しく装填されていない状態で蓋体9を回動操作してボンベ装填空間部3を閉塞しようとした場合には、中間カムレバー38の蓋体係止カム部38Bにカムロッド26が突き当たることにより蓋体9の上述した第1ロック状態までの回動操作を不能とする。中間ガスボンベ検出機構13においては、蓋体9の回動動作を規制するが、上述した蓋体カムロック機構12が有する蓋体9を所定の回動位置において保持する機能を有するものでは無い。
【0076】
中間ガスボンベ検出機構13においては、第2装填領域部3B内に装填された第2ガスボンベ100Bが蓋体9の回動操作によりボンベ作動部材28を介して図8矢印C1で示す前面側へとスライド動作すると、この第2ガスボンベ100Bにより中間カムレバー38が作動される。中間ガスボンベ検出機構13においては、中間カムレバー38が、第2装填領域部3B内に突出した中間ボンベ係合部38Aをスライド動作する第2ガスボンベ100Bの巻き締め部109に押圧されることにより、同図矢印D1で示すように中間コイルスプリング39の弾性力に抗して前面側へとスライド動作する。
【0077】
中間ガスボンベ検出機構13においては、中間カムレバー38のスライド動作により蓋体係止カム部38Bによるカムロッド26の係止状態を解除して蓋体9の回動操作を可能とする。中間ガスボンベ検出機構13においては、使用後において蓋体9の復帰回動操作が行われて開放されたボンベ装填空間部3の第2装填領域部3B内から第2ガスボンベ100Bが取り外されると、中間カムレバー38が中間コイルスプリング39の弾性力により図8矢印D2で示すように初期位置へと復帰する。
【0078】
中間ガスボンベ検出機構13においては、第1装填領域部3A及び第3装填領域部3C内に第1ガスボンベ100A及び第3ガスボンベ100Cが装填されているが第2装填領域部3B内に第2ガスボンベ100Bが装填されていない場合において、蓋体9によるガスボンベ100のガス供給ユニット11との結合動作を規制する。中間ガスボンベ検出機構13においては、第2装填領域部3B内に装填されるべき第2ガスボンベ100Bによる上述した中間カムレバー38のスライド動作が行われないために、蓋体係止カム部38Bが蓋体9のカムロッド26の回動軌跡内に延在したままとなる。
【0079】
中間ガスボンベ検出機構13においては、回動操作が行われる蓋体9に対して、中間カムレバー38が蓋体係止カム部38Bにカムロッド26が突き当たることによりその回動動作を規制する。中間ガスボンベ検出機構13においては、第2装填領域部3B内における第2ガスボンベ100Bの未装填状態を検出して、蓋体9によるガスボンベ100のガス供給ユニット11との結合動作を規制する。
【0080】
中間ガスボンベ検出機構13は、上述したように第1装填領域部3Aと第2装填領域部3Bとの間に設けたが、第2装填領域部3Bと第3装填領域部3C間に設けるようにしてもよい。中間ガスボンベ検出機構13は、取り付け基板37と中間カムレバー38を入れ替えるとともに第2装填領域部3Bに突出する中間ボンベ係合部を有する中間カムレバーが用いられる。中間ガスボンベ検出機構13は、3本以上のガスボンベ100を用いる場合に、中間の各装填領域部間にそれぞれ設けられる。
【0081】
以上のように構成したガス供給装置1について、以下使用の態様における蓋体9の状態を説明する。ガス供給装置1においては、把手25を把持して蓋体9を回動操作することにより、図9に示すように蓋体9を大きく開いてボンベ装填空間部3を開放して3本のガスボンベ100を装填する。ガス供給装置1においては、筐体2の前面側にステム112を向けて、同図矢印で示すようにガスボンベ100を開放したボンベ装填空間部3内に装填する。ガス供給装置1においては、ガスボンベ100が、相対するボンベ嵌合ガイド部14に嵌合されて外周部の一部を底板4を貫通して外方に突出された状態でボンベ装填空間部3内に装填される。
【0082】
ガス供給装置1においては、3本のガスボンベ100を装填した状態で、把手25を把持して蓋体9を図9において反時計方向へと回動操作することによりボンベ装填空間部3を閉塞する。ガス供給装置1においては、この蓋体9の回動操作によりボンベ作動部材28が底板102を押圧してガスボンベ100をボンベ嵌合ガイド部14内で筐体2の前面側へとスライド動作させる。ガス供給装置1においては、ガスボンベ100がそれぞれの巻き締め部109により、相対する蓋体カムロック機構12と中間ガスボンベ検出機構13を作動する。なお、ガス供給装置1においては、ガス供給ユニット11に対してガスボンベ100が位置決め用切り欠き部106Aに位置合わせ部材21を嵌合させることにより、正しい状態で結合が行われるようにする。
【0083】
ガス供給装置1においては、第1ガスボンベ100Aと第3ガスボンベ100Cにより蓋体カムロック機構12のカムレバー31がコイルスプリング33の弾性力に抗して前面側へとスライド動作する。ガス供給装置1においては、カムレバー31のスライド動作によりカムピン32が前面側へと移動し、蓋体9のカム部27の回動軌跡から外れた位置となる。ガス供給装置1においては、第2ガスボンベ100Bにより中間ガスボンベ検出機構13の中間カムレバー38が中間コイルスプリング39の弾性力に抗して前面側へとスライド動作する。ガス供給装置1においては、中間カムレバー38のスライド動作により蓋体係止カム部38Bが前面側へと移動し、蓋体9のカムロッド26の回動軌跡から外れた位置となる。
【0084】
ガス供給装置1においては、蓋体カムロック機構12と中間ガスボンベ検出機構13の作動により、これら機構により回動量を規制されていた蓋体9がその覆板部22を筐体2の前梁板7と略同一面を構成するまで回動操作することが可能となる。ガス供給装置1においては、蓋体9によりガスボンベ100がさらにスライド動作し、ステム112がガス供給ユニット11の相対する保持バルブ機構19に嵌合する。ガス供給装置1においては、ガスボンベ100のバルブ構体103の開放動作が行われてステム112からガス供給ユニット11のガス流路内に燃料ガスの供給が行われる。
【0085】
ガス供給装置1においては、回動操作力が解除された蓋体9が蓋体カムロック機構12により、図2及び図3に示すように筐体2の天井部と略同一面を構成してボンベ装填空間部3を閉塞した第1ロック状態に保持される。ガス供給装置1においては、蓋体9の第1カム部29とカムレバー31のカムピン32が相対係合し、この係合状態がコイルスプリング33の弾性力により保持される。ガス供給装置1においては、カム部27の後方側縁を係止するロックピン41により、蓋体9の後方側への動作も規制される。
【0086】
ガス供給装置1においては、蓋体9の第1ロック状態によりボンベ装填空間部3内において3本のガスボンベ100が装填されるとともに、これらガスボンベ100がガス供給ユニット11に対して正しく結合されている状態が識別される。ガス供給装置1においては、蓋体カムロック機構12により蓋体9を第1ロック状態に保持することにより、ガスボンベ100とガス供給ユニット11の結合状態が保持されるようにする。
【0087】
ガス供給装置1においては、使用後に把手25を把持して蓋体9を時計方向へと回動操作して図9に示す開放状態としたボンベ装填空間部3内から全てのガスボンベ100が取り出される。ガス供給装置1においては、蓋体9が、上述したように浅い第1カム部29にカムピン32が係合して第1ロック状態に保持されているが、把手25を把持してやや強く引き上げ操作することにより第1カム部29とカムピン32の係合状態が解除されて回動操作することが可能である。
【0088】
ガス供給装置1においては、蓋体カムロック機構12が、第1カム部29とカムピン32の係合状態が解除されることにより、カムレバー31がコイルスプリング33の弾性力により図5矢印B2で示す初期位置への復帰動作を行う。ガス供給装置1においては、中間ガスボンベ検出機構13が、第2ガスボンベ100Bによる係止状態を解除されることにより、中間コイルスプリング39の弾性力により図8矢印D2で示す初期位置への復帰動作を行う。
【0089】
ガス供給装置1においては、ボンベ装填空間部3内に3本のガスボンベ100が装填されていない状態、或いは装填されたガスボンベ100がガス供給ユニット11に対して正しく結合されていない状態(未装填状態と総称する。)では、蓋体9を回動操作しても上述した第1ロック状態での保持を不能とする。ガス供給装置1においては、第1ガスボンベ100A或いは第3ガスボンベ100Cの未装填状態において蓋体9の回動操作を行っても、蓋体カムロック機構12により蓋体9の回動操作が不能とされる。
【0090】
ガス供給装置1においては、蓋体9を回動操作してもガスボンベ100がボンベ装填空間部3内に未装填状態であるために、蓋体カムロック機構12が不作動状態、すなわちカムレバー31のスライド動作が行われない。ガス供給装置1においては、図10に示すように蓋体9のカム部27の先端側に形成した深い第2カム部30がカムレバー31のカムピン32と相対係合することにより、蓋体9をさらに回動操作させることを不能とする。ガス供給装置1においては、蓋体9が、回動操作力を解除されても第2カム部30とカムピン32の係合状態が保持されることで、筐体2からやや突出した第2ロック状態に保持される。
【0091】
なお、ガス供給装置1においては、この第2ロック状態において、蓋体9に設けたカムロッド26がスライドガイド立壁部37Bに形成した段落ち部37B5に突き当たっている。また、ガス供給装置1においては、この第2ロック状態においても、カム部27の後方側縁を係止するロックピン41により、蓋体9の後方側への動作も規制される。
【0092】
ガス供給装置1においては、第2ガスボンベ100Bの未装填状態において蓋体9の回動操作を行っても、中間ガスボンベ検出機構13が不作動状態、すなわち中間カムレバー38のスライド動作が行われない。ガス供給装置1においては、蓋体9を回動操作させることによりカムロッド26が中間カムレバー38の蓋体係止カム部38Bに突き当たる。ガス供給装置1においては、蓋体9が、上述した蓋体カムロック機構12において第2カム部30とカムピン32が相対係合しており、回動操作力を解除されても筐体2からやや突出した第2ロック状態に保持される。
【0093】
なお、ガス供給装置1においては、上述したようにボンベ装填空間部3内に3本のガスボンベ100を装填してガス供給ユニット11に対して正しく結合した状態においてのみ使用することが可能である。ガス供給装置1においては、3本のガスボンベ100を不要とする使用形態において、空のガスボンベ100をボンベ装填空間部3内に装填する。ガス供給装置1においては、さらに多数本のガスボンベ100を装填する仕様の場合に、中間位置の装填領域部を仕切るようにして中間ガスボンベ検出機構13が設けられる。
【0094】
本発明は、上述した実施の形態として示したガス供給装置1に限定されるものでは無く、特許請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、構成要件について様々な変更、置換が行われることは勿論である。
【符号の説明】
【0095】
1 ガス供給装置、2 筐体、3 ボンベ装填空間部、3A 第1装填領域部、3B 第2装填領域部、3C 第3装填領域部、4 底板、5 前面板、6 側板、9 蓋体、11 ガス供給ユニット、12 蓋体カムロック機構、13 中間ガスボンベ検出機構、17 ボンベ嵌合ガイド部、15 ユニット本体、18 調圧器、21 位置合わせ部材、22 覆板部、23 側板部、24 背面板部、25 把手、26 カムロッド、27 カム部、28 ボンベ作動部材、29 第1カム部、30 第2カム部、31 カムレバー、32 カムピン、33 コイルスプリング、37 取り付け基板、38 中間カムレバー、39 中間コイルスプリング、40 ガイドピン、41 ロックピン、100 ガスボンベ、101 缶本体、109 巻き締め部、112 ステム
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体内に構成したボンベ装填空間部内に複数本の携帯型燃料ガスボンベ(以下、本明細書ではガスボンベと略称する。)を装填して接続したガスコンロ等の燃焼機器に燃料ガスを供給するガス供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスボンベは、例えば携帯型ガスコンロやガス照明装置或いは様々な装置(本明細書においては燃焼装置と総称する。)に装填され、内部に充填した液化ブタンガス等の燃料ガスを供給する。標準品として市販されているガスボンベ100は、図12に示すように、底部を底板102により閉塞された筒状の缶本体101の上部にバルブ構体103を組み付け、密閉された内部空間104に液化燃料ガスを充填してなる。
【0003】
ガスボンベ100は、バルブ構体103が、詳細を省略するが、大径の開口部を有する略円錐形のトップドーム105と、位置決め用切り欠き部106Aを設けてトップドーム105の内周縁に一体化されたトッププレート106と、トップドーム105の開口部に組み付けられたキャップ部材107と、このキャップ部材107に組み付けられたバルブ機構108等により構成される。
【0004】
ガスボンベ100は、缶本体101に対してトップドーム105が、開口縁と外周縁部を重ねて全周に亘って外方に突出する巻き締め部109を形成して一体化される。ガスボンベ100は、バルブ機構108が、キャップ部材107に形成した筒状の取り付け部にかしめ付けた筒状のバルブ本体110と、このバルブ本体110の内部にスライド自在に組み合わされた弁部材111と、この弁部材111から一端側を突出させて組み付けたステム112と、バルブ本体110とキャップ部材107間を密閉するステムガスケット113と、弁部材111を押し上げるコイルスプリング114、バルブ本体110に設けたサイホン管115等の部材により構成される。
【0005】
ガスボンベ100は、ステム112の基端部に側方に開口してガス流路が形成され、通常弁部材111がコイルスプリング114の弾性力により押し上げられた状態においてステムガスケット113により閉塞されている。ガスボンベ100は、ステム112を押圧して弁部材111をコイルスプリング114の弾性力に抗してバルブ本体110の内部を移動させることにより、ステムガスケット113によるステム112のガス流路が開放されるようにする。ガスボンベ100は、トッププレート106の位置決め用切り欠き部106Aとサイホン管115が対応位置して組み合わされる。
【0006】
一方、燃焼機器は、詳細を省略するが、筐体内にガスボンベ100を装填するガスボンベ装填部と、装填したガスボンベ100を移動させるレバー機構と、ガスボンベ100のステム112を着脱する保持バルブ機構と、保持バルブ機構に連通するガス流路と、供給ガス圧を調整して燃焼部へと供給する調圧器等が設けられる。燃焼機器は、レバー機構を操作してガスボンベ100を移動させてステム112を保持バルブ機構に押し込んでバルブ機構108を開放動作させることにより、保持バルブ機構もガス流路との開放動作が行われるとともにガスボンベ100を保持する。燃焼機器は、ガスボンベ100から保持バルブ機構を介してガス流路内に燃料ガスの供給が行われ、調圧器により所定の供給ガス圧に調整した燃料ガスを燃焼部へと供給する。
【0007】
ところで、市販の標準品のガスボンベ100は、一般に250g容量の仕様であって携帯や取り扱いが容易であり、例えば家庭内での卓上ガスコンロ等に好適に用いられる。しかしながら、かかるガスボンベ100は、例えば野外で比較的長時間に亘って連続して使用するような場合には、頻繁に交換が必要であるとともに必要な高ガス圧(高火力)が得られないといった問題がある。ガスボンベ100は、いわゆるパーソナル耕うん機の燃料源としても使用されるが、同様にして長時間の使用に際しての交換頻度の煩わしさや必要な高出力圧特性を得ることが困難であるといった問題がある。
【0008】
特許文献1には、2本のガスボンベを装填して使用する卓上ガスコンロが記載されている。かかる卓上ガスコンロにおいては、2本のガスボンベを使用することにより、上述した交換の煩わしさや高出力圧特性の問題が解消される。卓上ガスコンロにおいては、各ガスボンベに対応してボンベ接続口が設けられ、1つの操作部材の操作により2本のガスボンベを同時に着脱可能として操作性の向上とともに安全性の向上も図っている。しかしながら、かかる卓上ガスコンロは、2本のガスボンベを装填して使用することから全体が大型となり、家庭においてテーブル上に設置して使用するものとして適さないといった問題がある。
【0009】
また、特許文献2には、筐体内に構成したボンベ装填空間部内に複数本のガスボンベを装填するとともに各種の燃焼機器を接続し、当該燃焼機器に対して燃料ガスを供給する携帯用燃料ガス供給装置(ガス供給装置)が記載されている。かかるガス供給装置は、燃焼機器と独立した装置であり、必要に応じて接続されることにより当該燃焼機器に対して高出力圧の燃料ガスを長時間に亘って供給することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】実公昭62−15600号公報
【特許文献2】実開平5−90135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、従来の複数本のガスボンベをボンベ装填空間部内に装填して使用する燃焼機器やガス供給装置(以下、本明細書においてはガス供給装置と総称する。)は、一般にボンベ装填空間部内に規定本数のガスボンベを装填せずに使用することが可能である。ガス供給装置においては、ガスボンベがそれぞれ個別に結合される複数の保持バルブ機構に逆止弁が設けられており、ガスボンベ未結合の保持バルブ機構から燃料ガスが流出しないように構成されている。ガス供給装置においては、長期間の使用により逆止弁の損耗が生じ或いはゴミ等の付着により、ガスボンベ未結合の保持バルブ機構からガス漏れが生じる虞がある。
【0012】
また、ガス供給装置においては、安全のために使用後に全てのガスボンベを取り外して保管する必要がある。ガス供給装置においては、ガスボンベの取り外し状態を検出する何らかの検出構造も必要であるが、従来ではかかる構成が備えられていなかった。
【0013】
本発明は、筐体内に構成したボンベ装填空間部内に複数本のガスボンベを装填して燃料ガスを供給するガス供給装置において、ボンベ装填空間部内に規定本数のガスボンベが全て正しく装填された状態と装填されていない状態とを可視的に識別可能とし、正規の装填状態において燃焼機器へのガス供給を可能として安全性や効率性の向上を図ったガス供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述した目的を達成する本発明に係るガス供給装置は、筐体内に構成したボンベ装填空間部内に複数本のガスボンベを装填し、ガス供給ユニットを介して接続した燃焼機器に対して燃料ガスを供給する。ガス供給装置は、ガスボンベを装填するボンベ装填空間部を開閉するとともに開閉操作によりガスボンベを移動させてガス供給ユニットに着脱させる蓋体と、ガスボンベの移動動作により移動されて蓋体を保持するとともに開蓋操作によりガスボンベをガス供給ユニットとの嵌合状態から解除する蓋体カムロック機構を備える。
【0015】
本発明に係るガス供給装置においては、蓋体が蓋体カムロック機構により、ボンベ装填空間部内に規定本数のガスボンベがガス供給ユニットに全て正しく結合された状態において保持される第1ロック状態と、ボンベ装填空間部内に規定本数のガスボンベが装填されていない状態或いは正しく結合されていない状態において保持される第2ロック状態に保持される。ガス供給装置においては、蓋体が、第1ロック状態と第2ロック状態において筐体に対する回動位置を異にして保持されることにより、ボンベ装填空間部内におけるガスボンベの装填状態の識別が確実に行われるようにする。
【0016】
また、上述した目的を達成する本発明に係るガス供給装置は、ボンベ装填空間部内に所定本数のガスボンベを装填し、装填されたガスボンベの相対するバルブ構体がそれぞれ嵌合されることにより開放動作するとともにガスボンベの嵌合状態を保持する複数の保持バルブ機構と、これら保持バルブ機構に連通するガス流路と、供給ガス圧を調整する調圧器と、元栓用プラグ部を有するガス供給ユニットを介して接続した燃焼機器等に対して燃料ガスの供給を行う。ガス供給装置は、ボンベ装填空間部内に、それぞれの筒状の缶本体の一端側に全周に亘って外方に突出する巻き締め部を介してバルブ機構を内蔵したバルブ構体を組み付けてなる規定本数のガスボンベが装填される。
【0017】
本発明に係るガス供給装置は、筐体と、蓋体と、ボンベ作動部材と、蓋体カムロック機構を備える。ガス供給装置は、筐体が、底板と、前面板と、左右一対の側板と、背面板とにより天井部を開放した箱状を呈し、開放された天井部をボンベ装填開口部として内部に規定本数のガスボンベをそれぞれのバルブ構体を前面板側に向けて互いに隣り合うように並べて装填するボンベ装填空間部を構成してなる。ガス供給装置は、蓋体が、筐体の少なくともボンベ装填空間部の一部を閉塞する覆板部と、筐体の側板と対向する左右一対の側板部と、背面板部とからなる。蓋体は、側板部の背面板側に位置した部位を筐体の側板間に支架した支軸により回動自在に支持されるとともに、側板部にそれぞれ高さ方向に離間して第1カム部と第2カム部からなるカム部が形成される。
【0018】
ガス供給装置は、ボンベ作動部材が、蓋体の背面板部に設けられ、蓋体の閉塞操作に伴ってボンベ装填空間部内に装填したガスボンベを筐体の前面板側へと押圧してバルブ構体をガス供給ユニットの相対する保持バルブ機構にそれぞれ嵌合させる。ガス供給装置は、蓋体カムロック機構が、カムレバーと、弾性部材とを有する。蓋体カムロック機構は、カムレバーが、筐体の側板の内面にそれぞれ移動自在に組み合わされて背面側の端部に蓋体の第1カム部又は第2カム部が係合するカム受け部が設けられるとともに、ガスボンベの巻き締め部に対応位置してボンベ係合部が形成される。蓋体カムロック機構は、弾性部材が、カムレバーにそれぞれカム受け部と蓋体のカム部の係合習性を付与する弾性力を作用させる。
【0019】
ガス供給装置においては、蓋体が蓋体カムロック機構により、ボンベ装填空間部内に規定本数のガスボンベが全てガス供給ユニットに正しく結合されて第1カム部が蓋体カムロック機構のカム受け部に係合して保持される第1ロック状態と、ボンベ装填空間部内にガスボンベが装填されておらず第2カム部がカム受け部に係合して保持される第2ロック状態とに保持される。ガス供給装置においては、蓋体が、第1ロック状態と第2ロック状態において筐体に対する回動位置を異にして保持されることにより、ボンベ装填空間部内における全てのガスボンベの装填状態を視覚的に識別可能とする。
【0020】
ガス供給装置においては、ボンベ装填空間部内に3本以上のガスボンベを装填して使用する場合に、中間位置に装填されるガスボンベの装填状態を検出する取り付け基板と中間カムレバーと中間弾性部材とを有する中間ガスボンベ検出機構を備えてもよい。ガス供給装置においては、蓋体の内面にカムロッドが設けられる。中間ガスボンベ検出機構は、取り付け基板が、中間位置に装填されるガスボンベに沿って筐体の底板に立設される。中間ガスボンベ検出機構は、中間カムレバーが、取り付け基板に沿って移動自在に組み合わされ筐体の前面板側の端部にガスボンベの巻き締め部に対応位置して係合部を形成する。中間ガスボンベ検出機構は、中間カムレバーが、筐体の背面板部の端部に蓋体のカムロッドに対応位置して蓋体カム係止部を形成する。中間ガスボンベ検出機構は、中間弾性部材が、中間カムレバーを筐体の背面板部側に付勢することにより係合部を介して中間位置に装填されるガスボンベのガス供給ユニットからの離脱力とする弾性力を作用させる。
【0021】
ガス供給装置においては、中間ガスボンベ検出機構が、カムロッドを設けた蓋体に対して、第1ロック状態において蓋体係止カム部によるカムロッドの係止状態を解除するとともに、ボンベ装填空間部内に中間位置のガスボンベが装填されていない第2ロック状態では蓋体係止カム部によりカムロッドを係止する。ガス供給装置においては、中間ガスボンベ検出機構により中間位置に装填されるガスボンベの装填状態を検出する。ガス供給装置においては、中間ガスボンベ検出機構により規定本数のガスボンベが全てガス供給ユニットに対して正しく結合されて装填されている状態がより確実に検出されるようにする。
【0022】
ガス供給装置においては、筐体のボンベ装填空間部を構成する底板に、装填されたガスボンベの外周部位をそれぞれ嵌合して移動動作のガイド作用を奏する複数のボンベ嵌合ガイド部を形成してもよい。ガス供給装置においては、蓋体の開閉操作に伴ってガスボンベがガス供給ユニットに向かってボンベ嵌合ガイド部内を円滑に移動する。ガス供給装置においては、ボンベ嵌合ガイド部を介してガスボンベの外周部の一部を外方へと突出させた状態でボンベ装填空間部に装填することにより、筐体の高さが低減される。
【発明の効果】
【0023】
以上のように構成された本発明に係るガス供給装置によれば、筐体内に構成したボンベ装填空間部内に装填した規定本数のガスボンベのガス供給ユニットへの脱着を蓋体の開閉操作により一括して行うとともに、蓋体が蓋体カムロック機構により、ボンベ装填空間部内に全てのガスボンベがガス供給ユニットに正しく結合された状態において保持される第1ロック状態と、ボンベ装填空間部内に規定本数のガスボンベが全て或いは一部が装填されていない状態で保持される第2ロック状態により保持されるように構成する。したがって、本発明に係るガス供給装置によれば、複数本のガスボンベを用いることにより、頻繁に交換する煩わしさが無く長時間に亘って燃料ガスの高出力圧特性を保持することが可能である。
【0024】
本発明に係るガス供給装置によれば、蓋体の第1ロック状態の位置によりボンベ装填空間部内に装填された規定本数のガスボンベがガス供給ユニットに結合されたことを識別可能とするとともに各種の燃焼機器に対して燃料ガスの供給が行われるようにする。本発明に係るガス供給装置によれば、使用後において蓋体の第1ロック状態の位置により、ボンベ装填空間部内にガスボンベが残っていることが確認されるようにする。また、本発明に係るガス供給装置によれば、蓋体の第2ロック状態の位置により蓋体の第1ロック状態の位置によりボンベ装填空間部内に規定本数のガスボンベが装填されていない場合や規定本数のガスボンベが正しく装填されていない状態が確認されるようにする。本発明に係るガス供給装置によれば、比較的大型の部材である蓋体の状態によりボンベ装填空間部内におけるガスボンベの状況を確実に識別することが可能となり、ガス漏れや取り出し忘れによる危険防止が確実に図られる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施の形態として示すガス供給装置の平面図である。
【図2】同ガス供給装置について、ガスボンベを装填した状態で筐体の側板を取り外して蓋体カムロック機構の構成を示した側断面図である。
【図3】同ガス供給装置について、ガスボンベを装填した状態での中間ガスボンベ検出機構の構成を示した側断面図である。
【図4】同ガス供給装置に備えられる蓋体の側断面図である。
【図5】蓋体カムロック機構を説明する要部平面図である。
【図6】同蓋体カムロック機構を構成するカムレバーの側面図である。
【図7】中間ガスボンベ検出機構を説明する要部側面図である。
【図8】同中間ガスボンベ検出機構を説明する要部平面図である。
【図9】ガスボンベの装填操作を示す側面図である。
【図10】ガスボンベが装填されていない状態での蓋体カムロック機構による蓋体の第2ロック状態を示す要部側断面図である。
【図11】同蓋体の第2ロック状態における中間ガスボンベ検出機構を説明する要部側断面図である。
【図12】ガスボンベの一部切り欠き要部正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態として示すガス供給装置1について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明において前後、左右、上下等の用語は、 特にことわりが無い場合には図1を基準として用いるものとし、同図において左側が前(前面)、右側が後(背面)、上側が右(右側面)、下側が(左側面)であり、また図面奥側が下(底面)、図面手前側が上(天井面)である。
【0027】
ガス供給装置1は、上述した標準仕様として提供されている250g容量の3本のガスボンベ100A〜100C(以下、個別に説明する場合を除いてガスボンベ100と総称する。)を筐体2の内部に構成したボンベ装填空間部3内に装填し、図示しない各種の燃焼機器を接続して燃料ガスを長時間に亘って高圧状態で供給する。ガス供給装置1は、詳細を後述するようにボンベ装填空間部3内に3本のガスボンベ100を正しく装填した状態においてのみ燃焼機器へのガス供給を可能とする。ガス供給装置1は、3本のガスボンベ100が正しく装填しく装填された状態を明確に識別することが可能である。
【0028】
ガス供給装置1は、3本のガスボンベ100の容量分を不要とする使用態様でもボンベ装填空間部3に3本のガスボンベ100を装填して使用することを条件とし、この場合に例えば必要分のガスボンベ100とともに空のガスボンベ100(燃料ガスの残量が少なくなったガスボンベを含む。)を装填して使用する。なお、ガスボンベ100は、一般に使用後に孔空け処理を施して内部に残留した燃料ガスが抜かれる。ガス供給装置1は、孔空け処理を施した空のガスボンベ100を使用した場合に、後述するように他のガスボンベ100から供給される燃料ガスがこの空のガスボンベ100を介して外部へと放出されてしまう。したがって、ガス供給装置1には、必ず孔空け処理が施されていない空のガスボンベ100を使用することを条件とする。
【0029】
ガス供給装置1は、図1乃至図3に示すように、筐体2が、底板4と、前面板5と、左右一対の側板6A、6B(以下、個別に説明する場合を除いて側板6と総称する。)と、前梁板7と、前面板5より高さが小さい背面板8とにより天井部を開放した矩形箱状に形成される。ガス供給装置1は、筐体2の開放された天井部をボンベ装填開口部として内部にそれぞれのステム112を前面側に位置させて3本のガスボンベ100を互いに平行の姿勢に並べて装填するボンベ装填空間部3を構成してなる。ガス供給装置1は、側板6の背面部側に位置して支架した支軸10に回動自在に支持され、背面板8と共同してボンベ装填空間部3の前面板5とほぼ同等の高さの背面部を構成するとともにボンベ装填空間部3の一部を開閉する蓋体9が設けられる。
【0030】
ガス供給装置1には、図1乃至図3に示すように、底板4と前面板5と側板6と前梁板7で囲まれたボンベ装填空間部3と隣り合う前方空間部位に詳細を後述するガス供給ユニット11が組み付けられる。ガス供給装置1には、側板6の内面に、詳細を後述する左右一対の蓋体カムロック機構12A、12B(以下、個別に説明する場合を除いて蓋体カムロック機構12と総称する。)がそれぞれ組み付けられる。ガス供給装置1には、側板6の内面に、蓋体カムロック機構12Aに対応位置して詳細を後述するロックピン41が設けられる。ガス供給装置1には、ボンベ装填空間部3の第1ガスボンベ100Aを装填する第1装填領域部3Aと第2ガスボンベ100Bを装填する第2装填領域部3Bとの間に位置して、底板4に中間ガスボンベ検出機構13が組み付けられる。
【0031】
ガス供給装置1は、底板4の四隅に設置脚4A〜4Dが設けられ、水平状態で設置されて使用される。なお、ガス供給装置1は、使用形態の姿勢に限定は無く例えば縦型に設置して用いることも可能ではあるが、ガスボンベ100の仕様から効率よくかつ安定した燃料ガスの供給が行われるようにするために水平状態での使用形態が望ましい。
【0032】
ボンベ装填空間部3は、3本のガスボンベ100を1個ずつ装填する前後方向に長い第1装填領域部3A〜第3装填領域部3Cに区割りされる。底板4には、図1に鎖線で示すように、第1装填領域部3A〜第3装填領域部3Cに第1ボンベ嵌合ガイド部14A〜第3ボンベ嵌合ガイド部14C(以下、個別に説明する場合を除いてボンベ嵌合ガイド部14と総称する。)がそれぞれ形成される。ボンベ嵌合ガイド部14は、ガスボンベ100の缶本体101よりも長い前後方向の開口部であり、ボンベ装填空間部3内にガスボンベ100が装填されると、缶本体101の外周部位を嵌合して一部を外方へと突出させる。
【0033】
ボンベ嵌合ガイド部14は、ボンベ装填空間部3内に装填したガスボンベ100の缶本体101の外周部が嵌合することにより、これらガスボンベ100を第1装填領域部3A〜第3装填領域部3C内において位置決めする。ボンベ嵌合ガイド部14は、後述するように蓋体9の開閉操作によりガスボンベ100がボンベ装填空間部3内を前後方向にスライド動作するが、その際にガスボンベ100を左右方向に揺れ動くこと無く円滑にスライド動作させるガイド作用を奏する。ボンベ嵌合ガイド部14は、ボンベ装填空間部3内に装填したガスボンベ100が缶本体101の外周部を底板4から貫通して外方へと突出させることにより、筐体2の高さを低減して小型化が図られるようにする。
【0034】
なお、ボンベ嵌合ガイド部14は、上述したように底板4に形成した開口部により構成したが、かかる構成に限定されないことは勿論である。ボンベ嵌合ガイド部14は、例えば絞り加工等により缶本体101の曲率に対応した円弧状断面の凹部により構成するようにしてもよい。ボンベ嵌合ガイド部14は、かかる凹部形状とすることにより開口部の構成と比較して底板4の機械的剛性が高められるようにする。また、ボンベ嵌合ガイド部14は、筐体2の小型化が図られないが、缶本体101の両側を保持する一対の凸部により構成してもよい。
【0035】
ガス供給ユニット11は、前面板5の内面に沿って設置され、ボンベ装填空間部3内に装填されたガスボンベ100が装着されるとともに図示しない各種の燃焼機器が接続される。ガス供給ユニット11は、ユニット本体15と、開閉バルブ機構16と、元栓用プラグ部17と、調圧器(ガバナ)18を備える。ガス供給ユニット11は、後述するようにユニット本体15が3本のガスボンベ100を着脱するとともにこれらガスボンベ100から供給される燃料ガスを1本のガス流路を介して燃焼機器へと供給する構造を有しているが、その他の基本的な構成を1本のガスボンベを使用するカセットコンロ等と同様に構成される。
【0036】
ユニット本体15は、ボンベ装填空間部3とほぼ全域に亘って対向する大きさを有する部材であり、図示を省略する外周部に形成した取り付け部を介して筐体2に固定される。ユニット本体15には、ボンベ装填空間部3側に第1装填領域部3A〜第3装填領域部3Cに対向して開口するボンベ嵌合口を有する第1保持バルブ機構19A〜第3保持バルブ機構19C(以下、個別に説明する場合を除いて保持バルブ機構19と総称する。)が設けられる。ユニット本体15には、図示を省略するが内部に保持バルブ機構19と連通してガス流路が形成される。
【0037】
保持バルブ機構19は、周知のようにガスボンベ100のステム112が嵌合されるボンベ嵌合口と、このボンベ嵌合口の閉塞習性を付与されて内部に組み込まれた逆止弁と、ステム112を介してガスボンベ100の弁部材111を開放状態に保持する弁座構造等を有する。保持バルブ機構19は、ボンベ嵌合口にステム112が押し込まれることより逆止弁が開放動作するとともに弁部材111を開放動作して、ガスボンベ100から燃料ガスが内部のガス流路内に流れ込むようにする。
【0038】
開閉バルブ機構16は、詳細を省略するがユニット本体15の中央部に位置して設けられ、ガス流路と元栓用プラグ部17との間を開閉する。開閉バルブ機構16は、前面板5に突出して設けた操作ツマミ20を回転操作することにより、内蔵する弁部材がガス流路を開閉する。開閉バルブ機構16は、操作ツマミ20が開位置に設定操作された状態において、ガス流路を開いて元栓用プラグ部17に燃料ガスが流れるようにする。なお、開閉バルブ機構16は、例えば操作ツマミ20の支軸にカム部材が設けられており、操作ツマミ20の回転操作によりカム部材を介して弁部材が押し込まれてガス流路を開放する構造である。開閉バルブ機構16は、かかる構造に限定されず、燃焼装置に備えられる各種の開閉バルブ機構であってもよい。
【0039】
元栓用プラグ部17は、内部にガス供給ユニット11のガス流路と連通するガス流路が形成された筒状部材と、この筒状部材に内蔵されてスプリングによりガス流路の閉塞習性を付与された逆止弁を有する。元栓用プラグ部17には、燃焼機器と接続された図示しない接続管の先端に設けたコネクタが嵌合されることにより逆止弁の開放動作が行われてガス流路から燃焼機器に燃料ガスの供給が行われるようにする。
【0040】
調圧器18は、ガス供給ユニット11と元栓用プラグ部17との間に設けられ、開閉バルブ機構16の開放操作によりガス流路から流入する燃料ガスを所定の圧力に調整して元栓用プラグ部17へと供給する。調圧器18は、例えば容器内にテコ部材と受け圧板と調整バネ等が組み込まれており、ガス流路から流入した一次側の燃料ガスを所定の圧力に変圧して二次側の元栓用プラグ部17に供給する。
【0041】
ガス供給装置1は、前梁板7に第1位置合わせ部材21A〜第3位置合わせ部材21C(以下、個別に説明する場合を除いて位置合わせ部材21と総称する。)が設けられる。位置合わせ部材21は、前梁板7の上述したガス供給ユニット11を組み付ける前方空間部位とボンベ装填空間部3を区割りする背面側の側縁に沿って、第1装填領域部3A〜第3装填領域部3Cに相対して設けられる。位置合わせ部材21は、ボンベ装填空間部3に装填されたガスボンベ100とガス供給ユニット11の相対する保持バルブ機構19とを位置決めする。
【0042】
ガス供給装置1は、ボンベ装填空間部3内にガスボンベ100を装填し、後述するように蓋体9を回動操作してガスボンベ100を前面側へとスライド動作させてガス供給ユニット11に嵌合させる。ガス供給装置1においては、位置合わせ部材21に対して、ボンベ装填空間部3に装填された全てのガスボンベ100がサイホン管115に相対して形成した位置決め用切り欠き部106Aを嵌合させる。ガス供給装置1においては、ガス供給ユニット11に対してガスボンベ100が正しく結合して、燃料ガスの効率的な供給が行われるようにする。ガス供給装置1においては、ガスボンベ100が、後述するように蓋体9と蓋体カムロック機構12によって、ボンベ装填空間部3内で図5矢印A1、A2で示すように前後方向にスライド動作する。
【0043】
ガス供給装置1は、蓋体9が、図1及び図4に示すように覆板部22と、左右一対の側板部23A、23B(以下、個別に説明する場合を除いて側板部23と総称する。)と、背面板部24とから構成される。蓋体9には、覆板部22の表面側に、長さ方向の中央部に位置して前方縁に沿って把手25が設けられる。蓋体9には、覆板部22の内面側に、後述する中間ガスボンベ検出機構13に相対してカムロッド26が設けられる。蓋体9には、側板部23に、前方端に位置してカム部27A、27B(以下、個別に説明する場合を除いてカム部27と総称する。)が形成される。蓋体9には、背面板部24にボンベ作動部材28が設けられる。
【0044】
蓋体9は、覆板部22が、図1に示すように前梁板7との間においてボンベ装填空間部3を外方に臨ませて内部に装填したガスボンベ100の存在を視認可能とするとともに空気の流通性を確保する開口部位を構成する横幅に形成される。蓋体9は、背面板部24が、図2に示すように覆板部22の背面側の端部に沿って直角に折曲され、筐体2の背面板8と共同して前面板5とほぼ同じ高さの背面部を構成する高さに形成される。
【0045】
蓋体9は、側板部23が、背面板8の左右下端部に形成した腕状部位を平行に対峙するように直角に折曲して形成される。蓋体9は、側板部23に形成した軸孔に筐体2の側板6間に支架した支軸10を貫通させることにより、筐体2に対して回動自在に組み合わされる。蓋体9は、把手25を把持して筐体2に対して図2において時計方向に大きく回動操作されることによりボンベ装填空間部3を大きく開放する。蓋体9は、ボンベ装填空間部3内に3本のガスボンベ100を全て装填した状態で、把手25を把持して図2において反時計方向に回動操作することによりボンベ装填空間部3を閉塞する。
【0046】
蓋体9は、ボンベ作動部材28が、ボンベ装填空間部3に装填した全てのガスボンベ100に対してそれぞれの底板102の中央部を横切るように対向位置して背面板部24に設けられる。ボンベ作動部材28は、ボンベ装填空間部3を閉塞する方向に蓋体9を回動操作することによって、ボンベ装填空間部3に突出して全てのガスボンベ100を一括してガス供給ユニット11側へとスライド動作させる。ボンベ作動部材28は、全てのガスボンベ100を上述したステムと112とガス供給ユニット11との結合が行われるスライド量を以ってスライド動作させる。
【0047】
蓋体9は、図2及び図3に示すように、筐体2の側板6の内側面に沿って延在する側板部23の前方部位が下方に向かって腕状に突出され、その前方部位にカム部27が形成される。カム部27は、上述した蓋体カムロック機構12と対向して形成され、後述するように蓋体9の開閉操作によって前後方向にスライド動作する両側のガスボンベ100A、100Cにより作動される蓋体カムロック機構12との係合、解除が行われる。カム部27は、後述するように蓋体カムロック機構12との係合、解除により、筐体2に対する蓋体9の回動位置を規定する。
【0048】
カム部27には、前方側縁に高さ方向に離間して第1カム部29及び第2カム部30が形成されている。第1カム部29は、図4に示すようにカム部27の上部側に形成されたやや浅い円弧状のカム凹部からなる。第2カム部30は、第1カム部29の下方に位置してカム部27の前方側縁から下端縁に跨って形成されたやや深い円弧状のカム凹部からなる。カム部27は、第1カム部29と第2カム部30が、後述するように蓋体9の回動位置において蓋体カムロック機構12と選択的に係合して蓋体9の図2における反時計方向の回動位置を規定する。
【0049】
カム部27は、第1カム部29と第2カム部30がボンベ装填空間部3内におけるガスボンベ100の装填状態において蓋体カムロック機構12と選択的に係合して蓋体9を第1ロック状態又は第2ロック状態に保持する。カム部27は、蓋体9が筐体2に対して側板6の上縁と略同一面を構成して保持される第1ロック状態において、第1カム部29が蓋体カムロック機構12と係合する。カム部27は、蓋体9が筐体2に対して側板6の上縁からやや突出して保持される第2ロック状態において、第2カム部30が蓋体カムロック機構12と係合する。
【0050】
ガス供給装置1は、上述したようにガス供給ユニット11が保持バルブ機構19によりガスボンベ100の結合状態を保持している。ガス供給装置1は、大きな振動や衝撃等が加えられた際に保持バルブ機構19によるガス供給ユニット11の保持状態が解除され、ガスボンベ100が移動して蓋体カムロック機構12による蓋体9のロック状態が解除されることもある。ガス供給装置1においては、筐体2の側板6にロックピン41を設け、蓋体カムロック機構12により第1ロック状態又は第2ロック状態に保持された蓋体9の動作を規制してロック状態がより確実に保持されるようにする。
【0051】
ロックピン41は、図2に示すように側板6の内面に突出して設けられる。ロックピン41は、蓋体9が後述する蓋体カムロック機構12により第1ロック状態又は第2ロック状態に保持された状態において、カム部27の後方側縁と相対係合する。ロックピン41には、蓋体9が回動操作される際にその後方側縁をカム面として、外周部を回り込むようにしてカム部27が相対係合する。ロックピン41は、蓋体9の後方縁を保持することにより、蓋体9に衝撃等が加えられた場合でも蓋体カムロック機構12と共同してその回動動作を規制する。
【0052】
ガス供給装置1は、筐体2の側板6の内面に沿って設けた左右一対の蓋体カムロック機構12を備える。蓋体カムロック機構12は、第1装填領域部3A及び第3装填領域部3Cに装填された第1ガスボンベ100A及び第3ガスボンベ100Cによりそれぞれ作動されることにより、蓋体9の回動動作を規制するとともに、この蓋体9を第1ロック状態と第2ロック状態に保持する。蓋体カムロック機構12は、ボンベ装填空間部3内に装填された全てのガスボンベ100がガス供給ユニット11に対して正しく結合された状態において、後述する中間ガスボンベ検出機構13と共同してガスボンベ100とガス供給ユニット11の結合状態を保持する。
【0053】
蓋体カムロック機構12は、ボンベ装填空間部3内に装填された全てのガスボンベ100がガス供給ユニット11と正しく結合された状態において、上述したように第1カム部29と係合することにより蓋体9を覆板部22が前梁板7とほぼ同一面を構成する第1ロック状態に保持する。また、蓋体カムロック機構12は、この蓋体9の第1ロック状態において、ガスボンベ100とガス供給ユニット11の結合状態を保持する。蓋体カムロック機構12は、使用後においてボンベ装填空間部3を開放する蓋体9の回動操作が行われると、第1カム部29との係合状態が解除されるとともにガスボンベ100とガス供給ユニット11の結合状態を解除する。
【0054】
蓋体カムロック機構12は、ボンベ装填空間部3内に装填されたいずれか1本のガスボンベ100がガス供給ユニット11に対して正しく結合されていない状態において、上述したように第2カム部30と係合して蓋体9を覆板部22が前梁板7に対して浮き上がった第2ロック状態に保持する。また、蓋体カムロック機構12は、第1装填領域部3Aや第3装填領域部3Cに第1ガスボンベ100Aや第3ガスボンベ100Cが装填されていない状態においても、同様にして蓋体9を第2ロック状態に保持する。
【0055】
蓋体カムロック機構12は、図5及び図6に示すように、それぞれカムレバー31と、カムピン32(カムピン32A、32B)と、コイルスプリング33と、支持軸部34とから構成される。カムレバー31は、前後方向に長い金属板を素材とし、長さ方向の略中央部をクランク状に折曲して段部を形成することによりガスボンベ100の巻き締め部109と相対係合されるボンベ係合部31Aを構成してなる。カムレバー31は、筐体2の側板6に設けた支持軸部34及びガス供給ユニット11の側面に設けた支軸35に支持されて側板6の内面に沿ってスライド自在に組み付けられる。
【0056】
カムレバー31には、先端側にガス供給ユニット11の側面に設けた支軸35が貫通する前後方向の長孔からなるガイド孔31Bと、前方先端部から突出するスプリング掛け合わせ凸部31Cが形成される。カムレバー31は、後方側が幅広とされ高さ方向の中央部に支持軸部34が設けられるとともに、支持軸部34を挟んでカムピン32A、32Bが設けられる。カムピン32は、後述するように蓋体9のカム部と相対係合するカム受け部を構成する部材である。
【0057】
なお、カムレバー31は、側面にカムピン32を設けたが、例えば折曲部位により同等の機能を奏するカム受け部を構成するようにしてもよい。カムレバー31は、カムピン32の取り付け位置を付け替えた同一部材からなり左右反転して用いる共通部品とすることにより上下対称の位置にカムピン32A、32Bを設けたが、それぞれ独立の部材として別個に構成する場合にはそれぞれ適応する位置に1個のカムピンを設ければよい。
【0058】
カムレバー31は、ガイド孔31Bにガス供給ユニット11側に設けた支軸35が貫通するとともに、支持軸部34が筐体2の側板6に形成した前後方向のガイド長孔36に貫通することにより、側板6に組み付けられる。カムレバー31は、ガイド孔31B及びガイド長孔36の長さ範囲で側板6に沿って図5矢印B1、B2で示すように前後方向にスライド自在に組み付けられる。なお、支持軸部34や支軸35は、例えば外周ネジを形成し、相対するガイド孔31Bやガイド長孔36に貫通された状態で飾りナットをねじ込むことにより脱落が防止される。
【0059】
カムレバー31には、図1、図2及び図5に示すように、先端部が筐体2の前面板5の内面と対向するスプリング掛け合わせ凸部31Cの外周部にコイルスプリング33が装着される。コイルスプリング33は、スプリング掛け合わせ凸部31Cと前面板5との間においてやや圧縮された状態で装着されることにより、カムレバー31を背面側へと付勢する。カムレバー31は、コイルスプリング33の弾性力により、支持軸部34や支軸35がガイド孔31Bやガイド長孔36のそれぞれの背面側の孔縁と突き当たる状態で筐体2の側板6に沿って組み付けられる。すなわち、カムレバー31は、コイルスプリング33の弾性力により、背面側への復帰習性を付与される。
【0060】
蓋体カムロック機構12においては、カムレバー31が、ボンベ係合部31Aを内側に向けボンベ装填空間部3に装填されるガスボンベ100の巻き締め部109の前方側に対向位置するようにして側板6に組み付けられる。蓋体カムロック機構12においては、カムレバー31が、ボンベ装填空間部3内にガスボンベ100が装填されていない状態においてコイルスプリング33の弾性力により背面側に押された状態となる。蓋体カムロック機構12においては、この状態においてカムレバー31が、その背面側の上端縁を蓋体9の回動軌跡内に延在するようにして側板6に組み付けられる。
【0061】
蓋体カムロック機構12においては、蓋体9を回動操作してボンベ装填空間部3を閉塞しようとした場合に、カム部27の下端部がカムレバー31の背面側の上端縁に突き当たる。蓋体カムロック機構12においては、カムレバー31がカム部27によりコイルスプリング33の弾性力に抗して前面側へとスライド動作することで、カムレバー31のカムピン32が蓋体9のカム部27に形成した先端側の第2カム部30と相対係合する。
【0062】
蓋体カムロック機構12においては、カムピン32が上述したように大きな深さの第2カム部30と係合することにより、その時点で蓋体9のさらなる回動操作を停止させる。蓋体カムロック機構12においては、蓋体9の回動操作力が解除されても、カムピン32と第2カム部30の係合状態をコイルスプリング33の弾性力によって保持する。蓋体カムロック機構12においては、これにより蓋体9を筐体2に対して浮いた第2ロック状態に保持する。
【0063】
蓋体カムロック機構12においては、持ち運びに際して第2ロック状態に保持した蓋体9の揺れ動きを防止する。蓋体カムロック機構12は、蓋体9を第2ロック状態に保持することにより、ボンベ装填空間部3内にガスボンベ100が装填されていない状態を識別可能とする。蓋体カムロック機構12においては、把手25を把持して蓋体9の引き上げ操作を行うことにより、コイルスプリング33の弾性力に抗してカムピン32と第2カム部30の係合状態を解除して蓋体9の開放が行われる。
【0064】
蓋体カムロック機構12においては、カムレバー31が、ボンベ装填空間部3内にガスボンベ100を装填した状態で後述する蓋体9の閉塞操作が行われると、ボンベ作動部材28を介して前面側へとスライド動作するガスボンベ100により側板6に沿って前面側へとスライド動作する。蓋体カムロック機構12においては、カムレバー31が、ボンベ係合部31Aに巻き締め部109が突き当たってスライド動作するガスボンベ100を介して、コイルスプリング33の弾性力に抗して前面側へとスライド動作する。
【0065】
蓋体カムロック機構12においては、蓋体9がボンベ装填空間部3を閉塞した状態で、カムピン32が蓋体9のカム部27に形成した上部側の第1カム部29と相対係合する。蓋体カムロック機構12は、カムピン32と第1カム部29の係合状態をコイルスプリング33の弾性力により保持し、蓋体9を第1ロック状態に保持する。蓋体カムロック機構12においては、カムレバー31により第1ガスボンベ100A及び第3ガスボンベ100Cとガス供給ユニット11の結合状態を保持する。
【0066】
ガス供給装置1においては、上述したように筐体2の側板6A、6Bに沿って一対の蓋体カムロック機構12A、12Bが設けられる。ガス供給装置1においては、側板6A側に設けた蓋体カムロック機構12Aが第1装填領域部3A内に装填した第1ガスボンベ100Aにより作動される。ガス供給装置1においては、側板6B側に設けた蓋体カムロック機構12Bが第3装填領域部3C内に装填した第3ガスボンベ100Cにより作動される。ガス供給装置1においては、第1装填領域部3A或いは第3装填領域部3C内に第1ガスボンベ100A或いは第3ガスボンベ100Cが装填されていない場合に、蓋体9によるガスボンベ100のガス供給ユニット11との結合動作が規制される。
【0067】
ガス供給装置1は、上述したようにボンベ装填空間部3内に3本のガスボンベ100を装填して使用する。ガス供給装置1は、上述したように蓋体カムロック機構12により第1装填領域部3Aと第3装填領域部3Cにおける第1ガスボンベ100Aと第3ガスボンベ100Cの装填状態を検出するとともに、中間ガスボンベ検出機構13により第2装填領域部3Bにおける第2ガスボンベ100Bの装填状態を検出する。中間ガスボンベ検出機構13は、上述したようにボンベ装填空間部3の第1装填領域部3Aと第2装填領域部3Bとの間に位置して設けられる。
【0068】
ガス供給装置1は、図2に示すように、蓋体9が第1ロック状態おいて、カム部27が前方側縁において第1カム部29と相対係合するカムピン32と後方側縁において相対係合するロックピン41との間に挟まれた状態となり、衝撃等が加えられた際の前後方向のスライド動作と回動動作を確実に規制される。また、ガス供給装置1は、蓋体9が第2ロック状態おいても、カム部27が前方側縁において第2カム部30と相対係合するカムピン32と後方側縁において相対係合するロックピン41との間に挟まれた状態となり、衝撃等が加えられた際の前後方向のスライド動作と回動動作を確実に規制される。
【0069】
中間ガスボンベ検出機構13は、図3及び図6、図7に示すように、取り付け基板37と、中間カムレバー38と、中間コイルスプリング39とから構成される。取り付け基板37は、取り付け板部37Aと、この取り付け板部37Aと直交するスライドガイド立壁部37Bとからなり、図1に示すように取り付け板部37Aがボンベ装填空間部3内で第1装填領域部3Aと第2装填領域部3Bに区割りするように筐体2の底板4上に前後方向の向きで固定される。
【0070】
取り付け基板37には、図7に破線で示すようにスライドガイド立壁部37Bに前後方向かつ上下に離間して前後方向を長軸とした一対のガイド長孔37B1、37B2が形成される。スライドガイド立壁部37Bには、後端側に中間コイルスプリング39の一端側を掛け止めするスプリング掛け止め部37B3が形成されている。スライドガイド立壁部37Bには、一方のガイド長孔37B1とスプリング掛け止め部37B3との間に位置して、中間コイルスプリング39を収納して省スペース化を図る切り欠き溝37B4が形成されている。スライドガイド立壁部37Bには、上縁の後端部位に位置して段落ち部37B5が形成されている。
【0071】
中間カムレバー38は、背面側を幅広とし、上縁部が前面側に向かって次第に傾斜することにより幅狭とされた外形が略楔状の板状部材である。中間カムレバー38は、このように楔形状とすることにより後述するスライド動作時にその前方部位が筐体2の前梁板7に突き当たらない逃げの構造となっている。中間カムレバー38は、側面に設けた一対のガイドピン40A、40Bを相対するガイド長孔37B1、37B2に詳細な構造の説明を省略する抜け止め構造を介して貫通させることにより、取り付け基板37のスライドガイド立壁部37Bに重ね合わせた状態で組み付けられる。中間カムレバー38は、ガイドピン40A、40Bがガイド長孔37B1、37B2の長さ範囲で規制されて取り付け基板37に対してスライド自在に組み付けられる。
【0072】
中間カムレバー38は、図7に示すように取り付け基板37に組み付けた状態で背面側の幅広部位がその上縁を蓋体係止カム部38Bとして取り付け基板37から突出させる。中間カムレバー38には、幅狭の前端部を側方に直交して折曲することにより、中間ボンベ係合部38Aが一体に形成される。
【0073】
中間カムレバー38は、図1に示すように中間ボンベ係合部38Aが第2装填領域部3Bに突出するようにして取り付け基板37に組み付けられる。中間ボンベ係合部38Aは、後述するように第2装填領域部3B内に装填された第2ガスボンベ100Bの巻き締め部109の前方側に対向位置する。中間カムレバー38は、ボンベ装填空間部3内にガスボンベ100が装填されていない状態において、蓋体係止カム部38Bが蓋体9に設けたカムロッド26の回動軌跡内に延在する。
【0074】
中間カムレバー38には、取り付け基板37の切り欠き溝37B4と対向する幅広部位の下方部に切り欠き部38Cが形成されている。中間コイルスプリング39は、一端側を中間カムレバー38の切り欠き部38Cの背面側部位に掛け止めされるとともに他端側をスプリング掛け止め部37B3に掛け止めされて、切り欠き溝37B4内に引っ張り状態で収納される。中間コイルスプリング39は、中間カムレバー38に対して背面側へと付勢する弾性力を作用させ、この中間カムレバー38を取り付け基板37の側面にスライド自在に組み付ける。
【0075】
中間ガスボンベ検出機構13は、第2装填領域部3B内において図8矢印C1、C2で示すように前後方向にスライド動作する第2ガスボンベ100Bを介して作動される。中間ガスボンベ検出機構13においては、ボンベ装填空間部3の第2装填領域部3B内に第2ガスボンベ100Bが正しく装填されていない状態で蓋体9を回動操作してボンベ装填空間部3を閉塞しようとした場合には、中間カムレバー38の蓋体係止カム部38Bにカムロッド26が突き当たることにより蓋体9の上述した第1ロック状態までの回動操作を不能とする。中間ガスボンベ検出機構13においては、蓋体9の回動動作を規制するが、上述した蓋体カムロック機構12が有する蓋体9を所定の回動位置において保持する機能を有するものでは無い。
【0076】
中間ガスボンベ検出機構13においては、第2装填領域部3B内に装填された第2ガスボンベ100Bが蓋体9の回動操作によりボンベ作動部材28を介して図8矢印C1で示す前面側へとスライド動作すると、この第2ガスボンベ100Bにより中間カムレバー38が作動される。中間ガスボンベ検出機構13においては、中間カムレバー38が、第2装填領域部3B内に突出した中間ボンベ係合部38Aをスライド動作する第2ガスボンベ100Bの巻き締め部109に押圧されることにより、同図矢印D1で示すように中間コイルスプリング39の弾性力に抗して前面側へとスライド動作する。
【0077】
中間ガスボンベ検出機構13においては、中間カムレバー38のスライド動作により蓋体係止カム部38Bによるカムロッド26の係止状態を解除して蓋体9の回動操作を可能とする。中間ガスボンベ検出機構13においては、使用後において蓋体9の復帰回動操作が行われて開放されたボンベ装填空間部3の第2装填領域部3B内から第2ガスボンベ100Bが取り外されると、中間カムレバー38が中間コイルスプリング39の弾性力により図8矢印D2で示すように初期位置へと復帰する。
【0078】
中間ガスボンベ検出機構13においては、第1装填領域部3A及び第3装填領域部3C内に第1ガスボンベ100A及び第3ガスボンベ100Cが装填されているが第2装填領域部3B内に第2ガスボンベ100Bが装填されていない場合において、蓋体9によるガスボンベ100のガス供給ユニット11との結合動作を規制する。中間ガスボンベ検出機構13においては、第2装填領域部3B内に装填されるべき第2ガスボンベ100Bによる上述した中間カムレバー38のスライド動作が行われないために、蓋体係止カム部38Bが蓋体9のカムロッド26の回動軌跡内に延在したままとなる。
【0079】
中間ガスボンベ検出機構13においては、回動操作が行われる蓋体9に対して、中間カムレバー38が蓋体係止カム部38Bにカムロッド26が突き当たることによりその回動動作を規制する。中間ガスボンベ検出機構13においては、第2装填領域部3B内における第2ガスボンベ100Bの未装填状態を検出して、蓋体9によるガスボンベ100のガス供給ユニット11との結合動作を規制する。
【0080】
中間ガスボンベ検出機構13は、上述したように第1装填領域部3Aと第2装填領域部3Bとの間に設けたが、第2装填領域部3Bと第3装填領域部3C間に設けるようにしてもよい。中間ガスボンベ検出機構13は、取り付け基板37と中間カムレバー38を入れ替えるとともに第2装填領域部3Bに突出する中間ボンベ係合部を有する中間カムレバーが用いられる。中間ガスボンベ検出機構13は、3本以上のガスボンベ100を用いる場合に、中間の各装填領域部間にそれぞれ設けられる。
【0081】
以上のように構成したガス供給装置1について、以下使用の態様における蓋体9の状態を説明する。ガス供給装置1においては、把手25を把持して蓋体9を回動操作することにより、図9に示すように蓋体9を大きく開いてボンベ装填空間部3を開放して3本のガスボンベ100を装填する。ガス供給装置1においては、筐体2の前面側にステム112を向けて、同図矢印で示すようにガスボンベ100を開放したボンベ装填空間部3内に装填する。ガス供給装置1においては、ガスボンベ100が、相対するボンベ嵌合ガイド部14に嵌合されて外周部の一部を底板4を貫通して外方に突出された状態でボンベ装填空間部3内に装填される。
【0082】
ガス供給装置1においては、3本のガスボンベ100を装填した状態で、把手25を把持して蓋体9を図9において反時計方向へと回動操作することによりボンベ装填空間部3を閉塞する。ガス供給装置1においては、この蓋体9の回動操作によりボンベ作動部材28が底板102を押圧してガスボンベ100をボンベ嵌合ガイド部14内で筐体2の前面側へとスライド動作させる。ガス供給装置1においては、ガスボンベ100がそれぞれの巻き締め部109により、相対する蓋体カムロック機構12と中間ガスボンベ検出機構13を作動する。なお、ガス供給装置1においては、ガス供給ユニット11に対してガスボンベ100が位置決め用切り欠き部106Aに位置合わせ部材21を嵌合させることにより、正しい状態で結合が行われるようにする。
【0083】
ガス供給装置1においては、第1ガスボンベ100Aと第3ガスボンベ100Cにより蓋体カムロック機構12のカムレバー31がコイルスプリング33の弾性力に抗して前面側へとスライド動作する。ガス供給装置1においては、カムレバー31のスライド動作によりカムピン32が前面側へと移動し、蓋体9のカム部27の回動軌跡から外れた位置となる。ガス供給装置1においては、第2ガスボンベ100Bにより中間ガスボンベ検出機構13の中間カムレバー38が中間コイルスプリング39の弾性力に抗して前面側へとスライド動作する。ガス供給装置1においては、中間カムレバー38のスライド動作により蓋体係止カム部38Bが前面側へと移動し、蓋体9のカムロッド26の回動軌跡から外れた位置となる。
【0084】
ガス供給装置1においては、蓋体カムロック機構12と中間ガスボンベ検出機構13の作動により、これら機構により回動量を規制されていた蓋体9がその覆板部22を筐体2の前梁板7と略同一面を構成するまで回動操作することが可能となる。ガス供給装置1においては、蓋体9によりガスボンベ100がさらにスライド動作し、ステム112がガス供給ユニット11の相対する保持バルブ機構19に嵌合する。ガス供給装置1においては、ガスボンベ100のバルブ構体103の開放動作が行われてステム112からガス供給ユニット11のガス流路内に燃料ガスの供給が行われる。
【0085】
ガス供給装置1においては、回動操作力が解除された蓋体9が蓋体カムロック機構12により、図2及び図3に示すように筐体2の天井部と略同一面を構成してボンベ装填空間部3を閉塞した第1ロック状態に保持される。ガス供給装置1においては、蓋体9の第1カム部29とカムレバー31のカムピン32が相対係合し、この係合状態がコイルスプリング33の弾性力により保持される。ガス供給装置1においては、カム部27の後方側縁を係止するロックピン41により、蓋体9の後方側への動作も規制される。
【0086】
ガス供給装置1においては、蓋体9の第1ロック状態によりボンベ装填空間部3内において3本のガスボンベ100が装填されるとともに、これらガスボンベ100がガス供給ユニット11に対して正しく結合されている状態が識別される。ガス供給装置1においては、蓋体カムロック機構12により蓋体9を第1ロック状態に保持することにより、ガスボンベ100とガス供給ユニット11の結合状態が保持されるようにする。
【0087】
ガス供給装置1においては、使用後に把手25を把持して蓋体9を時計方向へと回動操作して図9に示す開放状態としたボンベ装填空間部3内から全てのガスボンベ100が取り出される。ガス供給装置1においては、蓋体9が、上述したように浅い第1カム部29にカムピン32が係合して第1ロック状態に保持されているが、把手25を把持してやや強く引き上げ操作することにより第1カム部29とカムピン32の係合状態が解除されて回動操作することが可能である。
【0088】
ガス供給装置1においては、蓋体カムロック機構12が、第1カム部29とカムピン32の係合状態が解除されることにより、カムレバー31がコイルスプリング33の弾性力により図5矢印B2で示す初期位置への復帰動作を行う。ガス供給装置1においては、中間ガスボンベ検出機構13が、第2ガスボンベ100Bによる係止状態を解除されることにより、中間コイルスプリング39の弾性力により図8矢印D2で示す初期位置への復帰動作を行う。
【0089】
ガス供給装置1においては、ボンベ装填空間部3内に3本のガスボンベ100が装填されていない状態、或いは装填されたガスボンベ100がガス供給ユニット11に対して正しく結合されていない状態(未装填状態と総称する。)では、蓋体9を回動操作しても上述した第1ロック状態での保持を不能とする。ガス供給装置1においては、第1ガスボンベ100A或いは第3ガスボンベ100Cの未装填状態において蓋体9の回動操作を行っても、蓋体カムロック機構12により蓋体9の回動操作が不能とされる。
【0090】
ガス供給装置1においては、蓋体9を回動操作してもガスボンベ100がボンベ装填空間部3内に未装填状態であるために、蓋体カムロック機構12が不作動状態、すなわちカムレバー31のスライド動作が行われない。ガス供給装置1においては、図10に示すように蓋体9のカム部27の先端側に形成した深い第2カム部30がカムレバー31のカムピン32と相対係合することにより、蓋体9をさらに回動操作させることを不能とする。ガス供給装置1においては、蓋体9が、回動操作力を解除されても第2カム部30とカムピン32の係合状態が保持されることで、筐体2からやや突出した第2ロック状態に保持される。
【0091】
なお、ガス供給装置1においては、この第2ロック状態において、蓋体9に設けたカムロッド26がスライドガイド立壁部37Bに形成した段落ち部37B5に突き当たっている。また、ガス供給装置1においては、この第2ロック状態においても、カム部27の後方側縁を係止するロックピン41により、蓋体9の後方側への動作も規制される。
【0092】
ガス供給装置1においては、第2ガスボンベ100Bの未装填状態において蓋体9の回動操作を行っても、中間ガスボンベ検出機構13が不作動状態、すなわち中間カムレバー38のスライド動作が行われない。ガス供給装置1においては、蓋体9を回動操作させることによりカムロッド26が中間カムレバー38の蓋体係止カム部38Bに突き当たる。ガス供給装置1においては、蓋体9が、上述した蓋体カムロック機構12において第2カム部30とカムピン32が相対係合しており、回動操作力を解除されても筐体2からやや突出した第2ロック状態に保持される。
【0093】
なお、ガス供給装置1においては、上述したようにボンベ装填空間部3内に3本のガスボンベ100を装填してガス供給ユニット11に対して正しく結合した状態においてのみ使用することが可能である。ガス供給装置1においては、3本のガスボンベ100を不要とする使用形態において、空のガスボンベ100をボンベ装填空間部3内に装填する。ガス供給装置1においては、さらに多数本のガスボンベ100を装填する仕様の場合に、中間位置の装填領域部を仕切るようにして中間ガスボンベ検出機構13が設けられる。
【0094】
本発明は、上述した実施の形態として示したガス供給装置1に限定されるものでは無く、特許請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、構成要件について様々な変更、置換が行われることは勿論である。
【符号の説明】
【0095】
1 ガス供給装置、2 筐体、3 ボンベ装填空間部、3A 第1装填領域部、3B 第2装填領域部、3C 第3装填領域部、4 底板、5 前面板、6 側板、9 蓋体、11 ガス供給ユニット、12 蓋体カムロック機構、13 中間ガスボンベ検出機構、17 ボンベ嵌合ガイド部、15 ユニット本体、18 調圧器、21 位置合わせ部材、22 覆板部、23 側板部、24 背面板部、25 把手、26 カムロッド、27 カム部、28 ボンベ作動部材、29 第1カム部、30 第2カム部、31 カムレバー、32 カムピン、33 コイルスプリング、37 取り付け基板、38 中間カムレバー、39 中間コイルスプリング、40 ガイドピン、41 ロックピン、100 ガスボンベ、101 缶本体、109 巻き締め部、112 ステム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内のボンベ装填空間部内に規定本数の携帯型ガスボンベを装填し、ガス供給ユニットを介して接続した燃焼機器に燃料ガスを供給するガス供給装置において、
上記ボンベ装填空間部を開閉するとともに、閉塞操作により上記携帯型ガスボンベを移動させて上記ガス供給ユニットと結合させる蓋体と、
上記携帯型ガスボンベの移動動作により移動されて上記蓋体を保持するとともに、開蓋操作により上記携帯型ガスボンベを上記ガス供給ユニットとの嵌合状態から解除する蓋体カムロック機構を備え、
上記蓋体が、上記蓋体カムロック機構により、上記ボンベ装填空間部内に全ての上記携帯型ガスボンベが上記ガス供給ユニットに結合された状態で保持される第1ロック状態と、上記ボンベ装填空間部内に上記携帯型ガスボンベが装填されていない状態で保持される第2ロック状態とに保持され、これら第1ロック状態と第2ロック状態において上記筐体に対する回動位置を異にして保持されることにより上記ボンベ装填空間部内における上記携帯型ガスボンベの装填状態の識別が行われるガス供給装置。
【請求項2】
ボンベ装填空間部内に、筒状の缶本体の一端側に、全周に亘って外方に突出する巻き締め部を介してバルブ機構を内蔵したバルブ構体を組み付けてなる複数本の携帯型ガスボンベを装填し、
装填された上記携帯型ガスボンベの相対する上記バルブ構体がそれぞれ嵌合されることにより開放動作するとともに上記携帯型ガスボンベの嵌合状態を保持する複数の保持バルブ機構と、これら保持バルブ機構に連通するガス流路と、供給ガス圧を調整する調圧器と、元栓用プラグ部を有するガス供給ユニットを介して接続した燃焼機器に燃料ガスを供給するガス供給装置であり、
底板と、前面板と、左右一対の側板と、背面板とにより天井部を開放した箱状を呈し、開放された天井部をボンベ装填開口部として内部に規定本数の上記携帯型ガスボンベをそれぞれ上記バルブ構体側を上記前面板側に向け互いに隣り合うように並べて装填する上記ボンベ装填空間部を構成してなる上記筐体と、
上記筐体の少なくとも上記ボンベ装填空間部の一部を閉塞する覆板部と、上記筐体の上記側板と対向する左右一対の側板部と、背面板部とからなり、上記側板部の上記背面板側に位置した部位を上記筐体の上記側板間に支架した支軸により回動自在に支持されるとともに、上記側板部にそれぞれ高さ方向に離間して第1カム部と第2カム部からなるカム部を形成した上記蓋体と、
上記蓋体の上記背面板部に取り付けられ、上記蓋体の閉塞操作に伴って上記ボンベ装填空間部内に装填された上記携帯型ガスボンベを上記筐体の上記前面板側に押圧して上記バルブ構体を上記ガス供給ユニットの相対する上記保持バルブ機構にそれぞれ嵌合させるボンベ作動部材と、
上記筐体の上記側板の内面にそれぞれ移動自在に組み合わされて背面側の端部に上記蓋体の上記第1カム部又は上記第2カム部が係合するカム受け部が設けられるとともに上記携帯型ガスボンベの上記巻き締め部に対応位置してボンベ係合部が形成されたカムレバーと、これらカムレバーにそれぞれ上記カム受け部と上記蓋体の上記カム部の係合習性を付与する弾性力を作用させる弾性部材とを有する蓋体カムロック機構とを備え、
上記蓋体が、上記蓋体ロックカム機構により、上記ボンベ装填空間部内に全ての上記携帯型ガスボンベが上記ガス供給ユニットに結合された状態で保持される第1ロック状態と、上記ボンベ装填空間部内に上記携帯型ガスボンベが装填されていない状態で保持される第2ロック状態とにおいて保持され、これら第1ロック状態と第2ロック状態において上記筐体に対する回動位置を異にして保持されることにより上記ボンベ装填空間部内における上記携帯型ガスボンベの装填状態の識別が行われるガス供給装置。
【請求項3】
上記筐体の上記ボンベ装填空間部内に3本以上の上記携帯型ガスボンベを装填するガス供給装置であり、
上記蓋体には、内面にカムロッドが設けられ、
中間位置に装填される上記携帯型ガスボンベに沿って上記筐体の上記底板に立設した取り付け基板と、この取り付け基板に沿って移動自在に組み合わされ上記筐体の前面板側の端部に上記携帯型ガスボンベの上記巻き締め部に対応位置して係合部が形成されるとともに上記蓋体の上記カムロッドに対応して蓋体係止カム部が形成された中間カムレバーと、この中間カムレバーを背面板部側に付勢することにより上記係合部を介して中間位置に装填される上記携帯型ガスボンベの上記ガス供給ユニットからの離脱力とする弾性力を作用させる中間弾性部材とを有する中間ガスボンベ検出機構を備え、
上記中間ガスボンベ検出機構が、上記蓋体に対して、上記第1ロック状態において上記蓋体係止部による上記カムロッドの係止状態を解除するとともに、上記ボンベ装填空間部内に上記中間の携帯型ガスボンベが装填されていない上記第2ロック状態では上記蓋体係止カム部により上記カムロッドを係止することにより、中間位置に装填される上記携帯型ガスボンベの装填状態を検出する請求項1又は請求項2に記載のガス供給装置。
【請求項4】
上記筐体には、上記ボンベ装填空間部を構成する上記底板に、装填された上記携帯型ガスボンベの外周部位をそれぞれ嵌合して移動動作のガイド作用を奏するとともに上記ボンベ装填空間部の高さを低減する複数のボンベ嵌合ガイド部が形成される請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のガス供給装置。
【請求項1】
筐体内のボンベ装填空間部内に規定本数の携帯型ガスボンベを装填し、ガス供給ユニットを介して接続した燃焼機器に燃料ガスを供給するガス供給装置において、
上記ボンベ装填空間部を開閉するとともに、閉塞操作により上記携帯型ガスボンベを移動させて上記ガス供給ユニットと結合させる蓋体と、
上記携帯型ガスボンベの移動動作により移動されて上記蓋体を保持するとともに、開蓋操作により上記携帯型ガスボンベを上記ガス供給ユニットとの嵌合状態から解除する蓋体カムロック機構を備え、
上記蓋体が、上記蓋体カムロック機構により、上記ボンベ装填空間部内に全ての上記携帯型ガスボンベが上記ガス供給ユニットに結合された状態で保持される第1ロック状態と、上記ボンベ装填空間部内に上記携帯型ガスボンベが装填されていない状態で保持される第2ロック状態とに保持され、これら第1ロック状態と第2ロック状態において上記筐体に対する回動位置を異にして保持されることにより上記ボンベ装填空間部内における上記携帯型ガスボンベの装填状態の識別が行われるガス供給装置。
【請求項2】
ボンベ装填空間部内に、筒状の缶本体の一端側に、全周に亘って外方に突出する巻き締め部を介してバルブ機構を内蔵したバルブ構体を組み付けてなる複数本の携帯型ガスボンベを装填し、
装填された上記携帯型ガスボンベの相対する上記バルブ構体がそれぞれ嵌合されることにより開放動作するとともに上記携帯型ガスボンベの嵌合状態を保持する複数の保持バルブ機構と、これら保持バルブ機構に連通するガス流路と、供給ガス圧を調整する調圧器と、元栓用プラグ部を有するガス供給ユニットを介して接続した燃焼機器に燃料ガスを供給するガス供給装置であり、
底板と、前面板と、左右一対の側板と、背面板とにより天井部を開放した箱状を呈し、開放された天井部をボンベ装填開口部として内部に規定本数の上記携帯型ガスボンベをそれぞれ上記バルブ構体側を上記前面板側に向け互いに隣り合うように並べて装填する上記ボンベ装填空間部を構成してなる上記筐体と、
上記筐体の少なくとも上記ボンベ装填空間部の一部を閉塞する覆板部と、上記筐体の上記側板と対向する左右一対の側板部と、背面板部とからなり、上記側板部の上記背面板側に位置した部位を上記筐体の上記側板間に支架した支軸により回動自在に支持されるとともに、上記側板部にそれぞれ高さ方向に離間して第1カム部と第2カム部からなるカム部を形成した上記蓋体と、
上記蓋体の上記背面板部に取り付けられ、上記蓋体の閉塞操作に伴って上記ボンベ装填空間部内に装填された上記携帯型ガスボンベを上記筐体の上記前面板側に押圧して上記バルブ構体を上記ガス供給ユニットの相対する上記保持バルブ機構にそれぞれ嵌合させるボンベ作動部材と、
上記筐体の上記側板の内面にそれぞれ移動自在に組み合わされて背面側の端部に上記蓋体の上記第1カム部又は上記第2カム部が係合するカム受け部が設けられるとともに上記携帯型ガスボンベの上記巻き締め部に対応位置してボンベ係合部が形成されたカムレバーと、これらカムレバーにそれぞれ上記カム受け部と上記蓋体の上記カム部の係合習性を付与する弾性力を作用させる弾性部材とを有する蓋体カムロック機構とを備え、
上記蓋体が、上記蓋体ロックカム機構により、上記ボンベ装填空間部内に全ての上記携帯型ガスボンベが上記ガス供給ユニットに結合された状態で保持される第1ロック状態と、上記ボンベ装填空間部内に上記携帯型ガスボンベが装填されていない状態で保持される第2ロック状態とにおいて保持され、これら第1ロック状態と第2ロック状態において上記筐体に対する回動位置を異にして保持されることにより上記ボンベ装填空間部内における上記携帯型ガスボンベの装填状態の識別が行われるガス供給装置。
【請求項3】
上記筐体の上記ボンベ装填空間部内に3本以上の上記携帯型ガスボンベを装填するガス供給装置であり、
上記蓋体には、内面にカムロッドが設けられ、
中間位置に装填される上記携帯型ガスボンベに沿って上記筐体の上記底板に立設した取り付け基板と、この取り付け基板に沿って移動自在に組み合わされ上記筐体の前面板側の端部に上記携帯型ガスボンベの上記巻き締め部に対応位置して係合部が形成されるとともに上記蓋体の上記カムロッドに対応して蓋体係止カム部が形成された中間カムレバーと、この中間カムレバーを背面板部側に付勢することにより上記係合部を介して中間位置に装填される上記携帯型ガスボンベの上記ガス供給ユニットからの離脱力とする弾性力を作用させる中間弾性部材とを有する中間ガスボンベ検出機構を備え、
上記中間ガスボンベ検出機構が、上記蓋体に対して、上記第1ロック状態において上記蓋体係止部による上記カムロッドの係止状態を解除するとともに、上記ボンベ装填空間部内に上記中間の携帯型ガスボンベが装填されていない上記第2ロック状態では上記蓋体係止カム部により上記カムロッドを係止することにより、中間位置に装填される上記携帯型ガスボンベの装填状態を検出する請求項1又は請求項2に記載のガス供給装置。
【請求項4】
上記筐体には、上記ボンベ装填空間部を構成する上記底板に、装填された上記携帯型ガスボンベの外周部位をそれぞれ嵌合して移動動作のガイド作用を奏するとともに上記ボンベ装填空間部の高さを低減する複数のボンベ嵌合ガイド部が形成される請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のガス供給装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−226580(P2011−226580A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−97700(P2010−97700)
【出願日】平成22年4月21日(2010.4.21)
【出願人】(591156009)東邦金属工業株式会社 (5)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月21日(2010.4.21)
【出願人】(591156009)東邦金属工業株式会社 (5)
【Fターム(参考)】
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