説明

ガス器具監視装置

【課題】ガスメータに器具別保安の機能が無くとも器具別保安を実施可能なガス器具監視装置を提供する。
【解決手段】ガス流量を計測する流量計測手段17と、異常時にガス流路16を遮断するガス遮断弁2cと、複数の相手先と情報の送受信を行う無線モジュール11と、相手先に応じて通信周波数帯を切り替える通信切替手段10cとを備え、無線モジュール11は、流量計測手段17を構成する制御回路基板10と一体的に構成してガスメータ2内に収納し、少なくとも基地局14との通信周波数帯と複数のガス器具との通信周波数帯を有し、特定ガス器具の器具検出手段22で検出される使用時間を計測し、所定の数値を超えたら危険と判定して遮断信号を器具無線モジュール11dを用いてガスメータ2に送信し、ガスメータ2を遮断弁駆動回路48を用いて遮断させる構成としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスメータを経由した後のガス配管に接続される複数のガス器具を特定してガスの使用状況を個別に監視する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のガス監視装置としては、ガス器具の点火時に伴う点火用放電ノイズ、燃焼開始時に伴う温度変化を検出することで、ガス器具制御装置からの信号を受けることなくガス器具の動作開始を判定し、動作開始情報を無線モジュールにてガスメータに送信し、ガスメータで計測した流量情報と動作開始情報を用いて各ガス器具の連続使用時間を求めたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−232991号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献に開示されたガス器具監視装置は、ガスメータが器具情報を含む動作開始情報を無線モジュールを介して受信した後にその器具情報と動作開始情報を用いて器具別に使用時間を監視し、異常かどうかを判定するという器具判別機能を持った制御回路を搭載していないと効果は得られないという課題があった。
【0005】
本発明は上記課題を解決するもので、ガスメータに器具判別機能に関する制御回路を全く搭載していなくても、器具別にガス機器を監視し、異常があればガス流路を遮断するガス器具監視装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記従来の課題を解決するために本発明のガス器具監視装置は、ガス流路に流れるガス流量を計測する流量計測手段と、異常時に前記ガス流路を遮断するガス遮断弁と、異常時に前記ガス遮断弁を遮断駆動する制御回路と、メータ無線通信手段とを備えたガスメータと、前記ガスメータを経由した後の流路に接続されたガス器具の使用に伴う温度変化を検出して前記ガス器具の使用時間を計測し、前記使用時間が所定の時間を超えたとき、遮断信号を送信する器具情報送信器とからなり、前記制御回路は、前記メータ無線通信手段で、前記遮断信号を受信すると前記ガス遮断弁を遮断駆動しガスの供給を停止するもので、ガスメータに器具判別に関する制御回路を搭載しなくとも、ガス器具側に燃焼による温度変化を検出できる場所に器具情報送信器を設置するだけで、器具の使用時間を計測し、異常な時間と比較し、危険と判定されたら遮断信号を出力することで、ガス器具別に保安監視ができるようになる。それにより消費者は、現在使用中のガスメータが無線モジュール機能さえ搭載していれば交換する必要がなく器具別保安を実施することができるようになる。
【0007】
また、ガス流量を計測する流量計測手段と、異常時にガス流路を遮断するガス遮断弁と、異常時に前記ガス遮断弁を遮断駆動する制御回路と、送受信を行うメータ無線通信手段と、相手先に応じて通信周波数帯を切り替える通信切替手段とを備えたガスメータと、前記ガスメータを経由した後の配管に接続される複数のガス器具に備えられ、前記ガス器具の使用に伴う温度変化を検出して使用時間を計測し、その使用時間が予め設定された所定の数値を超えたとき、遮断信号をガスメータに所定の通信周波数帯で送信する器具無線通
信手段を有する器具情報送信器とからなり、前記メータ無線通信手段は、前記制御回路と一体的に構成して前記ガスメータ内に収納し、少なくとも基地局との通信周波数帯と前記器具情報送信器との通信周波数帯を有し、前記器具情報送信器は、任意の場所に設置可能な形態とし、前記制御回路は、前記器具情報送信器から遮断信号を受信したとき、前記ガス遮断弁を遮断駆動してガスの供給を停止すると共に、メータ無線通信手段を用いて器具継続使用異常情報を少なくとも基地局に送信するようにしたもので、電話回線以外の無線通信手段を用いて基地局との通信が可能な無線モジュールと、複数のガス器具からの器具情報を受信可能な無線モジュールとを、ガスメータ内の制御回路基板に一体的に組み込んだ形態としているため、ガスメータを設置するだけで基地局と電話回線を用いることなく通信が可能となり、回線の混雑状況に影響を受けず基地局からの各種指令をスムーズに伝達することができ、ガスメータを経由した後の配管に接続された複数のガス器具のうち特定のガス器具からの遮断を表す信号を含む器具情報を取得することができ、従来のように電話回線の混雑でセンターとの通信ができないという不具合を解消することができる。
【0008】
また、ガスメータに器具判別に関する制御回路を搭載しなくとも、ガス器具側に燃焼による温度変化を検出できる場所に器具無線モジュール搭載の装置を設置するだけで、器具の使用時間を計測し、異常な時間と比較し、危険と判定されたら遮断信号を出力することで、ガス器具別に保安監視ができるようになる。それにより消費者は、現在使用中のガスメータが無線モジュール機能さえ搭載していれば交換する必要がなく器具別保安を実施することができるようになる。
【発明の効果】
【0009】
本発明のガス器具監視装置は、ガスメータに器具判別に関する制御回路を搭載しなくとも、ガス器具側に燃焼による温度変化を検出できる場所に器具無線モジュール搭載の装置を設置するだけで、器具の使用時間を計測し、異常な時間と比較し、危険と判定されたら遮断信号を出力することで、ガス器具別に保安監視ができるようになる。それにより消費者は、現在使用中のガスメータが無線モジュール機能さえ搭載していれば交換する必要がなく器具別保安を実施することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態1におけるガス器具監視装置の通信形態を示す構成図
【図2】同ガス器具監視装置における各種ガス器具との通信形態を示す図
【図3】同ガス器具監視装置における器具無線モジュールの構成図
【図4】同ガス器具監視装置における器具検出手段の制御ブロック図
【図5】同ガス器具監視装置の外観及び構成部品を示す図
【図6】同ガス器具監視装置の内部構成図
【図7】同ガス器具監視装置の制御回路基板の構成ブロック図
【図8】同ガス器具監視装置と特定端末装置の通信形態を示す図
【図9】(a)同特定端末装置における料金情報表示形態を示す図(b)同特定端末装置における復帰情報表示形態を示す図
【図10】同ガス器具監視装置の制御ブロック図
【発明を実施するための形態】
【0011】
第1の発明は、ガス流路に流れるガス流量を計測する流量計測手段と、異常時に前記ガス流路を遮断するガス遮断弁と、異常時に前記ガス遮断弁を遮断駆動する制御回路と、メータ無線通信手段とを備えたガスメータと、前記ガスメータを経由した後の流路に接続されたガス器具の使用に伴う温度変化を検出して前記ガス器具の使用時間を計測し、前記使用時間が所定の時間を超えたとき、遮断信号を送信する器具情報送信器とからなり、前記制御回路は、前記メータ無線通信手段で、前記遮断信号を受信すると前記ガス遮断弁を遮断駆動しガスの供給を停止するもので、ガスメータに器具判別に関する制御回路を搭載し
なくとも、ガス器具側に燃焼による温度変化を検出できる場所に器具情報送信器を設置するだけで、器具の使用時間を計測し、異常な時間と比較し、危険と判定されたら遮断信号を出力することで、ガス器具別に保安監視ができるようになる。それにより消費者は、現在使用中のガスメータが無線モジュール機能さえ搭載していれば交換する必要がなく器具別保安を実施することができるようになる。
【0012】
第2の発明は、ガス流量を計測する流量計測手段と、異常時にガス流路を遮断するガス遮断弁と、異常時に前記ガス遮断弁を遮断駆動する制御回路と、送受信を行うメータ無線通信手段と、相手先に応じて通信周波数帯を切り替える通信切替手段とを備えたガスメータと、前記ガスメータを経由した後の配管に接続される複数のガス器具に備えられ、前記ガス器具の使用に伴う温度変化を検出して使用時間を計測し、その使用時間が予め設定された所定の数値を超えたとき、遮断信号をガスメータに所定の通信周波数帯で送信する器具無線通信手段を有する器具情報送信器とからなり、前記メータ無線通信手段は、前記制御回路と一体的に構成して前記ガスメータ内に収納し、少なくとも基地局との通信周波数帯と前記器具情報送信器との通信周波数帯を有し、前記器具情報送信器は、任意の場所に設置可能な形態とし、前記制御回路は、前記器具情報送信器から遮断信号を受信したとき、前記ガス遮断弁を遮断駆動してガスの供給を停止すると共に、メータ無線通信手段を用いて器具継続使用異常情報を少なくとも基地局に送信するようにしたものである。
【0013】
そして、電話回線以外の無線通信手段を用いて基地局との通信が可能な無線モジュールと、複数のガス器具からの器具情報を受信可能な無線モジュールとを、ガスメータ内の制御回路基板に一体的に組み込んだ形態としているため、ガスメータを設置するだけで基地局と電話回線を用いることなく通信が可能となり、回線の混雑状況に影響を受けず基地局からの各種指令をスムーズに伝達することができ、ガスメータを経由した後の配管に接続された複数のガス器具のうち特定のガス器具からの器具情報を取得することができ、従来のように電話回線の混雑でセンターとの通信ができないという不具合を解消することができる。
【0014】
また、ガスメータに器具判別に関する制御回路を搭載しなくとも、ガス器具側に燃焼による温度変化を検出できる場所に器具無線モジュール搭載の装置を設置するだけで、器具の使用時間を計測し、異常な時間と比較し、危険と判定されたら遮断信号を出力することで、ガス器具別に保安監視ができるようになる。それにより消費者は、現在使用中のガスメータが無線モジュール機能さえ搭載していれば交換する必要がなく器具別保安を実施することができるようになる。
【0015】
そして、ガス器具の器具情報として、ガス器具制御装置から信号を受けることなく、ガス器具の燃焼動作に伴って発生する温度変化を検出し、この温度変化から所定の処理を行って器具の異常を判定して遮断信号を器具無線モジュールに出力するようにしているため、ガス器具制御装置とは無関係に器具検出手段を構成することができ、既存のガス器具、特に古いタイプのガス器具に対しても何ら変更することなく取り付けが可能となり、温度変化の検出が可能な場所にセットするだけで器具の継続使用の異常を検出することができるものである。
【0016】
第3の発明は、特に第2の発明において、メータ無線通信手段は、基地局との無線通信手段と器具情報送信器との無線通信手段とは異なる通信周波数帯を用いて通信を行い、器具情報送信器との無線通信手段は特定小電力無線通信周波数帯を有するエリア通信無線モジュールとし、基地局との無線通信手段は広域通信周波数帯を有する広域通信無線モジュールとしたものである。
【0017】
そして、基地局とキャリアダイレクトで通信可能な広域通信無線モジュールと、特定小
電力無線通信周波数帯を用いて所定の範囲内で通信可能なエリア通信無線モジュールを制御回路基板と一体的に構成し、基地局と電話回線以外の通信回線で情報の伝達を行い、特定のガス器具と特定小電力無線通信周波数帯で情報の伝達を行うようにしているため、家庭内で使用する特定のガス器具に関する情報をリアルタイムにかつ確実に取得することができ、この取得情報に基づくガス流量の器具別管理を精度よく行うことが可能になると共に、器具別管理結果をメータ無線モジュールを切り替えるだけで基地局に直接送信することができ、合理的な通信手段を構築することも可能となる。
【0018】
第4の発明は、特に3の発明において、エリア通信無線モジュールは、特定のガス器具との通信以外に特定の端末装置との通信も可能とし、器具の異常情報が発信されたとき特定の端末装置にも送信するようにしたものである。
【0019】
そして、ガスメータに内蔵したエリア通信無線モジュールを用いてテレビや携帯電話等の特定端末装置とも通信できるようにすることで、異常情報を送信することが可能となり、テレビや携帯電話の画面上に異常が生じてガス遮断弁が作動したことを表示することができ、需要家への注意の喚起を促すことができる。
【0020】
第5の発明は、特に第2〜4のいずれか1つの発明において、器具無線通信手段は、器具を特定するための固有の識別コードを設定または変更する識別コード変更手段と、温度情報より計測された使用時間が異常と判定された場合に遮断を表す信号と共に識別コードを付与した器具情報をガスメータに送信する器具情報送信手段を備えたものである。
【0021】
そして、家庭内で使用する特定ガス器具の種類別に固有の識別コードを付与し、この識別コードと共に遮断信号を送信することで、どの器具が異常な使用をしたのか確実に知らせることができると共に、器具別の識別コードを任意に変更または設定することが可能な識別コード変更手段を有しているため、買い替え等で器具が変更された場合でも識別コードを変更するだけで対応が可能となり、また、使い回しも可能であり、極めて有効な器具情報送信手段を提供できるものである。
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0023】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1におけるガスメータと基地局及び需要家宅との通信形態の全体構成図、図2は同ガス器具監視装置における家庭内の特定ガス器具との通信形態を示す図、図3は同ガス器具監視装置における器具無線モジュールの構成図、図4は同ガス器具監視装置における制御ブロック図、図5は同ガス器具監視装置の外観及び構成部品を示す図、図6は同ガス器具監視装置の内部構成図、図7は同ガス器具監視装置の制御回路基板の構成ブロック図である。
【0024】
図1において、まずガスメータ2を経由した後の配管に接続される複数のガス器具及びガスメータ2が保有する通信機能について説明する。
【0025】
各家庭のガス供給管1の入口部分にガスメータ2が設置され、このガスメータ2を経由した後のガス配管3から分岐して家庭で使用する種々のガス器具が設置された場所まで配管されガスが供給される。例えば、屋外にはガス給湯器4が設置され、このガス給湯器4で生成される湯が水配管を介して台所の給湯栓5、浴槽やシャワー装置が設置された風呂6、リビング等に設置された床暖房7に供給され、種々の使用形態を形成している。
【0026】
また、屋内にあっては、台所に設置されたガステーブル8、リビングや寝室等に設置さ
れたガスファンヒータ9にガスが供給され、必要に応じて適宜使用される。
【0027】
そして、設置されたガス器具が使用されガスの消費が発生するとガスメータ2でその使用量が計測され、そのデータが所定期間毎に累積記憶されている。このガスメータ2に記憶されたデータはガス事業者15からの定期的なデータ要求指令に基づいて所定の情報処理を行った後、ガス料金やガス使用量あるいはガス事業者15が提供する割引サービス等の情報として需要家宅13及びガス事業者15に送信される。
【0028】
この送信手段としては、図5に示すようにガスメータ2に内蔵された制御装置を構成する制御回路基板10に一体的に組み込まれた無線モジュール11を用いて行い、この無線モジュール11はコネクタ10dで着脱自在に制御回路基板10にオンボードされ、無線モジュール11を搭載せず通信機能を有しないガスメータと無線モジュール11を搭載した通信機能を有するガスメータを任意に選択できる構成とし、ガスメータ2の共通化を図り、通信機能の有無に関係なく使用できるようにしている。
【0029】
また、無線モジュール11を着脱自在な構成とすることで、通信機能を有する場合であっても通信規格を取得した無線モジュールを搭載すれば、ガスメータ本体で通信機としての規格を取得する必要がなく、ガスメータを変更する場合等において規制を受けることなく比較的自由に変更が可能となる。
【0030】
そして、図7に示すように無線モジュール11は、基地局14と通信するために電話回線とは異なる、例えば200MHzの通信周波数帯を有する広域通信無線モジュール11aと、需要家宅13内のテレビ12a、パソコンあるいは携帯電話12b等の特定端末装置12や隣接するガスメータさらには家庭内に設置された特定のガス器具と通信するために、例えば429MHzの特定小電力無線通信周波数帯を有するエリア通信無線モジュール11bで構成し、流量信号やセンサ信号に基づいてガス使用量の算出あるいは地震、ガス漏れ等の異常検知を行う制御回路10aからのデータ、さらには基地局14を介してガス事業者15から送信される各種情報、さらには隣接するガスメータから送信される各種情報、さらには特定のガス器具から送信される器具情報を受信すると、その受信データに応じて、例えばガス料金、ガス使用量あるいは地震、ガス漏れ等の異常発生に伴うガス遮断弁の作動、隣接するガスメータから脈動現象の発生を知らせる情報に対応した計測モードの変更、さらには特定のガス器具のガス供給管理等、需要家に報知すべき内容の場合はエリア通信無線モジュール11bを用いて需要家宅13内のテレビ12aあるいは携帯電話12b等の特定端末装置12にデータを送信し、特定のガス器具から器具情報が送信された場合はその情報を受信し制御回路10aに入力する。
【0031】
そして、図8に示すように特定端末装置12にもガスメータ2に内蔵してあるエリア通信無線モジュール11bと同一の通信周波数帯を有する無線モジュール11cを内蔵あるいは一体的に取り付けることで、ガスメータ2から送信されるデータを受信することができ、このデータをテレビ12aあるいは携帯電話12bの画面を通じて表示することで、ガスメータから直接需要家に対して情報の伝達を行うことができ、従来のように、ガスメータ2からガス事業者15にデータを送信し、ガス事業者15でデータ処理を行った情報、例えば料金通知等の葉書を郵送等で需要家に送付するという情報伝達方法を採用する必要がなくなるため、通知作業に要する工数を削減でき、かつ通知用葉書等の郵送費用の発生もなくなり、通知業務の合理化を実現することでガス料金の低減に寄与するものである。
【0032】
また、ガスメータ2から特定端末装置12に各種情報を送信した場合は、エリア通信無線モジュール11bから広域通信無線モジュール11aに報知完了信号を送り、広域通信無線モジュール11aはこの報知完了信号を基地局14に送信し、ガス事業者15に需要
家への情報伝達が完了したことを通知する。なお、この場合、特定端末装置12からの応答信号を受信して報知完了信号を送信することが好ましく、より確実に需要家への情報伝達を行うことができ、合理的な情報伝達システムを構築することができる。
【0033】
次に、制御回路10aに内蔵されたガス流量を計測し所定の処理を行って流量情報として出力する流量計測処理手段について簡単に説明すると、ガスメータ2には図5、図6に示すように、ガス入口2aとガス出口2bを有し、その間のガス流路16内に異常時にガスを遮断する遮断弁2cとガス流量を計測する流量計測部17として一対の超音波センサ17a、17bが設けられ、その下流側にガス圧を検出する圧力センサ2dが配置されている。また、超音波センサ17a、17bからの信号でガス流量を算出する制御回路10aを搭載した制御回路基板10がガスメータ2の表示部2eに液晶表示器10eを臨ますように配置され、さらに、制御回路10aを駆動させるための電池2fが収納されている。また、遮断弁2cが作動した後の復帰動作を手動で行う手段として復帰ボタン2gが配置されている。
【0034】
そして、ガス流量を計測する流量計測部17と制御回路10aは、例えば図10に示すように、ガス流路16に一対の超音波センサを配置しガス流路16を流れる流量に応じて変化する伝播時間を計測することで流量を測定するものがある。以下、その構成を説明すると、超音波を送信または受信する第1送受信器17Aと受信または送信する第2送受信器17Bが流れ方向に配置され、制御回路10aを構成する切換手段を有する計測制御部18によって送受信の切り換えが可能になっており、ガス等の流体の流れ状態を検出している。この第1送受信器17Aと第2送受信器17Bの信号を処理して流量を計測するもので、具体的には、まず計測制御部18により第1送受信器17Aを駆動し、第2送受信器17Bに向け、すなわち上流から下流に超音波を送信する。そして第2送受信器17Bで受信した信号を計測制御部18に設けた増幅手段により増幅し、この増幅された信号は基準信号と比較され、基準信号以上の信号が検出された後、計測制御部18に設けた繰り返し手段により上記の送受信を所定の回数を繰り返し、それぞれの時間値を計測制御部18に設けたタイマカウンタのような計時手段で計測する。
【0035】
次に、切換手段を有する計測制御部18で第1送受信器17Aと第2送受信器17Bの送受信を切換えて、第2送受信器17Bから第1送受信器17A、すなわち下流から上流に向かって超音波信号を送信し、この送信を前述のように繰り返し、それぞれの時間値を計測する。そして、第1送受信器17Aと第2送受信器17Bとの超音波の伝搬時間差からガス流路16の大きさや流体の流れ状態を考慮して信号処理手段19で流量値を求める。求められた流量データは情報記憶手段10bで累積され、所定期間毎の累積データとして記憶される。
【0036】
また、流量計測部17が配置されたガス流路16内には異常時等にガスの流れを遮断する遮断弁2cが設けられ、信号処理手段19で求められる流量値が異常に多い場合や通常考えられる使用時間を超えて流量値が検出されるような場合に異常と判断して遮断弁2cを作動させてガス流路16を遮断する。
【0037】
また、感震装置21から地震や衝撃信号、圧力センサ2dから異常なガス圧の信号が入力されると、制御回路10aを介して遮断弁2cを作動させてガス流路16を遮断すると共に、センターに通報する。
【0038】
次に、ガスメータ2に内蔵した無線モジュール11を用いた情報伝達の一例を説明すると、まずガス事業者15からの検針指示が基地局14を介して広域通信周波数帯(200MHz)で送信された場合、ガスメータ2に内蔵してある広域通信無線モジュール11aが受信し、その検針指示情報が同一基板に搭載してある制御回路10aに送られる。制御
回路10aには流量計測手段で計測された流量データが所定期間毎に累積され、その累積データ、あるいは料金データに変換した情報が情報記憶手段10bに記憶されており、ガス事業者15からの検針指示情報が入力されると制御回路10aは情報記憶手段10bの流量累積データ、あるいは料金データに変換した情報を通信切替手段10cを介してエリア通信無線モジュール11b及び広域通信無線モジュール11aに送り、広域通信無線モジュール11aは広域通信周波数帯(200MHz)で基地局14に送信し、基地局14から専用回線を用いてガス事業者15に検針情報が伝達される。また、エリア通信無線モジュール11bは特定小電力無線通信周波数帯(429MHz)でテレビ12a等の特定端末装置12に一体的に取り付けた無線モジュール11cに送信し、画面上に例えば、図9(a)に示すような料金情報や使用量を表示する。そして、特定端末装置12への送信が完了すると、上記した如く、報知完了信号をガス事業者15に送信し、需要家への情報伝達が完了したことを通知する。
【0039】
また、地震や衝撃等で遮断弁2cが作動した場合において原因究明がなされ、ガス事業者15からの復帰指示が基地局14を介して広域通信周波数帯(200MHz)で送信された場合、ガスメータ2に内蔵してある広域通信無線モジュール11aが受信し、その復帰指示情報が同一基板に搭載してある制御回路10aに送られる。制御回路10aは復帰指示情報が入力されると、情報記憶手段10bに記憶されている復帰作業に関する情報を通信切替手段10cを介してエリア通信無線モジュール11bに送り、エリア通信無線モジュール11bは特定小電力無線通信周波数帯(429MHz)でテレビ12a等の表示端末装置12に一体的に取り付けた無線モジュール11cに送信し、画面上に例えば、図9(b)に示すような復帰作業の手順を表示する。そして、表示端末装置12への送信が完了すると、上記した如く、報知完了信号をガス事業者15に送信し、需要家への情報伝達が完了したことを通知する。
【0040】
以上のように、制御回路10aには伝達する情報に応じて通信する相手先に対応して通信周波数帯の異なる無線モジュールを選択すべく通信切替手段10cを有しており、例えば、ガス事業者15からの検針指令の場合は、広域通信無線モジュール11aで受信した情報によりガス事業者15と特定端末装置12に情報記憶手段10bの記憶情報を伝達する必要があり、この場合は、例えば200MHzの通信周波数帯を有する広域通信無線モジュール11aと、例えば429MHzの特定小電力無線通信周波数帯を有するエリア通信無線モジュール11bを選択し、ガス事業者15からの復帰指示の場合は、表示端末装置12に情報記憶手段10bの記憶情報を伝達するだけでよく、この場合は、例えば429MHzの特定小電力無線通信周波数帯を有するエリア通信無線モジュール11bを選択すればよい。
【0041】
なお、広域通信無線モジュール11aとエリア通信無線モジュール11bはそれぞれ別々に設けてもよく、共通の無線モジュールとし通信周波数帯を広域通信周波数帯と特定小電力無線通信周波数帯で切替えるようにしてもよいもので、前者の場合、通信切替手段10cは広域通信無線モジュール11aとエリア通信無線モジュール11bを選択する必要があり、同時通信が可能というメリットがある反面、設置スペース大やコスト高というデメリットを有している。後者の場合、通信切替手段10cは通信相手先に応じて通信周波数帯を切替える必要があり、設置スペース小やコスト安というメリットがある反面、同時通信ができず交互通信になるというデメリットを有している。
【0042】
次に、以上のような通信機能を有するガスメータにおけるガス器具の保安監視について説明する。一般的には、ガス器具の消し忘れなどに起因する事故を防止するために連続使用時間を制限するものとして、流量に応じて連続使用時間を設定しその連続使用時間が経過するとガスを遮断するようにしたものが知られている。
【0043】
しかし、上記一般的な器具保安監視は、ガス器具の種類に関係なく、ガス流量に応じて一律に連続使用時間を設定するようにしたもので、ガス器具それぞれ独自の用途に対応した使用時間を設定したものではないため、例えば、同じガス器具であっても安全機能が充実した最新のガス器具と、安全機能がそれほど充実していない20年前のガス器具と流量範囲が同じの場合、同じ使用時間で制限をかけることになり、最新のガス器具を基準に使用時間を制限した場合は20年前のガス器具の消し忘れ防止時間が長くなり危険度が高くなる。反対に、20年前のガス器具を基準に使用時間を制限した場合は最新のガス器具の早切れ現象が発生する、というような問題を有していた。
【0044】
そこで、流量域別に連続使用時間を監視する方法に加えて、ガス器具毎に器具情報を取得しその器具情報に基づいて個別に監視する器具別保安機能の重要性が高まりつつある。
【0045】
そこでまず、ガスメータに器具判別機能を搭載し、器具別に保安監視を実施する方法が考えられたが、本実施の形態ではガスメータに器具判別に関する機能を一切搭載しないでガス器具別に保管監視を実施する方法について説明する。
【0046】
具体的には、図3に示すように、ガスメータ2に内蔵のエリア通信無線モジュール11bと、同一の通信周波数帯を有する器具無線モジュール11dと、ガス器具の燃焼時に
燃焼部や廃棄筒および出力口に必ず伴われる温度変化を検出し器具の温度信号に変換して器具無線モジュール11dに出力する器具検出手段22と、器具を検出してからガス器具の使用時間を計測する器具使用時間計測手段と、予め設定された閾値と比較して異常を判定する器具使用異常判定手段と、駆動用電池電源23を備え、器具無線モジュール11dと器具検出手段22と器具使用時間計測手段と器具使用異常判定手段を器具無線モジュール基板24上に一体化して構成し、ケース25に収納して器具情報送信器26として構成する。
【0047】
そして、この器具情報送信器26をガス器具の内部に収納するか、または外装の適所に取り付ける。このとき、燃焼に伴う温度を検出できる位置にセットすることが必要となる。例えば、図2に示すように、ガスファンヒータ9の場合であれば燃焼部あるいは温風出力口に器具情報送信器26を取り付けるだけで、燃焼に伴い変化する温度を検出することができ、ガスファンヒータ9の制御装置に接続して信号を受け取らなくてもガスファンヒータ9の使用状態を検出することができる。つまり、器具情報送信器26を燃焼に伴い変化する温度を検出できる場所に置くだけで器具の使用状態を検出できるものである。よって、任意の場所にセットすることができ、かつ着脱自在に収納することができるため、器具情報の送信が必要でないガス器具に対しては取り外すことができ、買い替え等の場合も容易にセットすることができるものである。
【0048】
また、ガス器具のほとんどが燃焼させ熱を発するため、器具検出手段22でガスファンヒータ9以外に瞬間湯沸し器やガスコンロ等、様々なタイプのガス器具の使用状況を検出することができる。
【0049】
本実施の形態では、図4の制御ブロック図を用いてガスメータに器具判別に関する制御回路を搭載していなくても器具別保安を実施する方法について詳細に説明する。なお、本実施の形態ではガスファンヒータ9を例にとって説明するが、その他のガス器具においても同様の検出が可能なことは言うまでもない。
【0050】
ガスファンヒータ9が着火動作を開始すると点火器が作動し高電圧出力側に接続された電極間で放電が開始し、供給されたガスに点火して燃焼が開始する。このとき、燃焼部は燃焼の際に発生する熱の影響を受け温められ周囲の温度が急激に上昇する。また、温風出力口は燃焼部にて温められた空気が送られて来て常温時よりも温度が上昇する。この燃焼
に伴う温度変化を温度変化検出手段22aで検出する。温度変化の検出は、常温を測る温度センサを別に設置し、常温と燃焼により変化した温度とを比較してある閾値以上の温度差が生じたときを検出とする方法や、温度センサ1つで定期的に温度を測り、前回の温度と今回の温度とを比較して差がある閾値を越えたときを検出とする方法などが考えられる。
【0051】
温度変化を検出した場合、ガス器具の運転を開始したとみなし器具使用時間計測手段@にて器具の使用時間を計測する。計測は温度変化検出手段22aにて運転停止を表す温度変化を得られた場合にストップする。一度、運転開始信号を得られると運転停止信号を得られるまで計測を継続し、計測時間は運転停止信号受信後にゼロクリアされるまたは、次の運転開始信号受信後に再スタートする。
【0052】
器具使用時間計測手段22bにて使用時間を計測すると、その計測値が異常かどうかを器具異常使用時間判定手段22cにて判定する。具体的には予め定められた所定の数値と計測値を比較し、計測値が所定の数値を超えた場合に異常と判定する。予め定められた所定の数値は通信電文にて設定を変更できるようにすると汎用性が増し使い勝手が向上する。器具異常使用時間判定手段22cにて異常と判定されると遮断信号を
器具情報送信手段11fに送り、識別コード変更手段27で設定されたガスファンヒータ9の固有の識別コードを付与し器具情報としてガスメータ2のエリア通信無線モジュール11bに送信する。
【0053】
器具情報送信器26の器具情報送信手段11fから送信される遮断信号を含む器具情報をエリア通信無線モジュール11bが受信すると、制御回路10aは、遮断弁駆動回路48に遮断信号を送ってガス遮断弁2cの遮断動作を実行すると共に、広域通信無線モジュール11aおよびエリア通信無線モジュール11bに信号を送って基地局14および特定端末装置12に器具使用時間遮断情報を送信するようにしている。これにより基地局および特定の端末装置に異常情報が報知されるので、ユーザまたはガス事業者はどのガス器具が異常使用したかをすぐに気づくことができるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明のガス器具監視装置によれば、ガスメータに器具別保安の制御回路を搭載していなくても、器具別保安の実施を可能とする。
【符号の説明】
【0055】
2 ガスメータ
2c ガス遮断弁
10a 制御回路
10b 情報記憶手段
10c 通信切替手段
11 無線モジュール
11a 広域通信無線モジュール
11b エリア通信無線モジュール
11d 器具無線モジュール
12 特定端末装置
14 基地局
16 ガス流路
17 流量計測手段
22 器具検出手段
26 器具情報送信器
27 識別コード変更手段
48 遮断駆動回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス流路に流れるガス流量を計測する流量計測手段と、異常時に前記ガス流路を遮断するガス遮断弁と、異常時に前記ガス遮断弁を遮断駆動する制御回路と、メータ無線通信手段とを備えたガスメータと、前記ガスメータを経由した後の流路に接続されたガス器具の使用に伴う温度変化を検出して前記ガス器具の使用時間を計測し、前記使用時間が所定の時間を超えたとき、遮断信号を送信する器具情報送信器とからなり、前記制御回路は、前記メータ無線通信手段で、前記遮断信号を受信すると前記ガス遮断弁を遮断駆動しガスの供給を停止するガス器具監視装置。
【請求項2】
ガス流量を計測する流量計測手段と、異常時にガス流路を遮断するガス遮断弁と、異常時に前記ガス遮断弁を遮断駆動する制御回路と、送受信を行うメータ無線通信手段と、相手先に応じて通信周波数帯を切り替える通信切替手段とを備えたガスメータと、前記ガスメータを経由した後の配管に接続される複数のガス器具に備えられ、前記ガス器具の使用に伴う温度変化を検出して使用時間を計測し、その使用時間が予め設定された所定の数値を超えたとき、遮断信号をガスメータに所定の通信周波数帯で送信する器具無線通信手段を有する器具情報送信器とからなり、前記メータ無線通信手段は、前記制御回路と一体的に構成して前記ガスメータ内に収納し、少なくとも基地局との通信周波数帯と前記器具情報送信器との通信周波数帯を有し、前記器具情報送信器は、任意の場所に設置可能な形態とし、前記制御回路は、前記器具情報送信器から遮断信号を受信したとき、前記ガス遮断弁を遮断駆動してガスの供給を停止すると共に、メータ無線通信手段を用いて器具継続使用異常情報を少なくとも基地局に送信するようにしたガス器具監視装置。
【請求項3】
メータ無線通信手段は、基地局との無線通信手段と器具情報送信器との無線通信手段とは異なる通信周波数帯を用いて通信を行い、器具情報送信器との無線通信手段は特定小電力無線通信周波数帯を有するエリア通信無線モジュールとし、基地局との無線通信手段は広域通信周波数帯を有する広域通信無線モジュールとした請求項2記載のガス器具監視装置。
【請求項4】
エリア通信無線モジュールは、特定のガス器具との通信以外に特定の端末装置との通信も可能とし、器具の異常情報が発信されたとき特定の端末装置にも送信するようにした請求項3記載のガス器具監視装置。
【請求項5】
器具無線通信手段は、器具を特定するための固有の識別コードを設定または変更する識別コード変更手段と、温度情報より計測された使用時間が異常と判定された場合に遮断を表す信号と共に識別コードを付与した器具情報をガスメータに送信する器具情報送信手段を備えた請求項2〜4のいずれか1項記載のガス器具監視装置。

【図7】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−249423(P2010−249423A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−99820(P2009−99820)
【出願日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】