ガス漏出防止装置
【課題】火災時等に異常高温に晒されたときガス流通を制限又は遮断してガスの漏出を防止できるのは勿論、一度動作しても再復帰することができるガス漏出防止装置を提供することを課題とする。
【解決手段】ガス体輸送管が異常な高温に晒されたときガス流通を制限又は遮断する弁体を備えたガス漏出防止装置である。これにおいて、ガス管3の流路4内に弁体5で開閉自在な弁座6を設ける。通常弁座6から弁体5が離間するように配置して形状記憶合金からなる保持部材7で弁体5を保持する。高温に晒されると形状記憶合金の保持部材7の変形で保持が解除されて弁体5にて弁座6を閉じるようにする。
【解決手段】ガス体輸送管が異常な高温に晒されたときガス流通を制限又は遮断する弁体を備えたガス漏出防止装置である。これにおいて、ガス管3の流路4内に弁体5で開閉自在な弁座6を設ける。通常弁座6から弁体5が離間するように配置して形状記憶合金からなる保持部材7で弁体5を保持する。高温に晒されると形状記憶合金の保持部材7の変形で保持が解除されて弁体5にて弁座6を閉じるようにする。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、火災時等にて異常な高温に晒されたときガス管内のガス流通を制限又は遮断してガスの漏出を防止するガス漏出防止装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
一般に、ガスを通じている配管材料は、鉄等の高融点の金属で製造されているために、火災時等にガスを漏出することがないが、配管の端末等に接続されている機器やガスメータ等は配管部材と比較すると融点が低い部品を使用している場合もあるため、火災時等の異常な高温により長時間熱せられると何らかの損傷を起こし、ガスが漏出する可能性がないとも言えない。
【0003】
そこで、ガスメータ等の機器よりガス供給側のガス管に緊急遮断弁を設け、火災等により異常な高温に晒されたとき、それを検知して遮断弁を遮断するようにしたものが近年提供されている。その一例として特開2000−2353に開示されるものがある。これはガス管の流路内にボール状の弁体を配置してあり、通常は弁体を半田、樹脂等の低融点材料で流路内の所定位置に保持してあり、火災等で異常な高温に晒されたとき、低融点材料が溶融して弁体の保持が解除され、ばねの付勢力で弁体が流路内の弁座に移動して弁座を弁体にて閉塞するようになっている。かかるものでは異常な高温に晒されたとき、弁体が弁座を閉塞することでガスの漏出を遮断できるようになっているが、弁体を低融点材料で保持しているため、一度動作してしまうと低融点材料が溶融してしまうので再復帰をすることができないという問題がある。
【0004】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、火災時等に異常高温に晒されたときガス流通を制限又は遮断してガスの漏出を防止できるのは勿論、一度動作しても再復帰することができるガス漏出防止装置を提供することを課題とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明のガス漏出防止装置は、ガス体輸送管が異常な高温に晒されたときガス流通を制限又は遮断する遮断弁を備えたガス漏出防止装置であって、ガス管3の流路4内に弁体5で開閉自在な弁座6を設け、通常弁座6から弁体5が離間するように配置して形状記憶合金からなる保持部材7で弁体5を保持し、高温に晒されると形状記憶合金の保持部材7の変形で保持が解除されて弁体5にて弁座6を閉じるようにしたことを特徴とする。通常は弁座6から弁体5が離間するように保持部材7で保持されており、ガスが流れるようになっているが、火災時等に異常な高温に晒されたとき形状記憶合金の保持部材7が形状変形して弁体5の保持が解除され、弁体5が弁座6を閉じてガス流通が制限又は遮断されてガスの漏出が防止される。また弁体5で弁座6を閉じても、温度が下がると形状記憶合金の保持部材7が元の形状に戻り、保持部材7で弁体5を保持することで弁座6を開放状態にでき、最復帰が容易にできる。
【0006】
またガス管3の流路4内に弁体5で開閉自在な弁座6を設け、通常弁座6から弁体5が離間するように配置して磁石8への磁着にて弁体5を保持し、高温に晒されると磁石8の磁力の低下で保持が解除されて弁体5にて弁座6を閉じるようにしたことを特徴とすることも好ましい。通常は弁座6から弁体5が離間するように弁体5が磁石8に磁着して保持されており、ガスが流れるようになっているが、火災時等に異常な高温に晒されたとき磁石8の磁力が低下して弁体5の磁着が解除され、弁体5が弁座6を閉じてガス流通が制限又は遮断されてガスの漏出が防止される。また弁体5で弁座6を閉じても、温度が下がると磁石8の磁力が元の状態に戻り、磁石8に弁体5が磁着して保持することで弁座6を開放状態にでき、再復帰が容易にできる。
【0007】
またガス管3の流路4内に弁体5で開閉自在な弁座6を設け、通常弁座6から弁体5が離間するように配置してソレノイド9で駆動される保持部材10で弁体5を保持し、高温に晒されるとソレノイド9が動作して弁体5の保持が解除されて弁体5にて弁座6を閉じるようにしたことを特徴とすることも好ましい。通常は弁座6から弁体5が離間するように弁体5が保持部材10で保持されており、ガスが流れるようになっているが、火災等を検出したとき、ソレノイド9で保持部材10が作動して弁体5の保持が解除され、弁体5が弁座6を閉じてガス流通が制限又は遮断されてガスの漏出が防止される。また弁体5で弁座6を閉じても、ソレノイド9にて保持部材10を駆動して保持状態にすることで弁体5を保持して弁座6を開放状態にでき、再復帰が容易にできる。
【0008】
また透孔11を有する弁座板12をガス管3の流路4に配置すると共にこの弁座板12に回転することにより弁座板12の透孔11を開閉する弁板13を重ねて配置し、弁板13をばね22にて回転付勢し、通常は透孔11を開放し、且つ高温に晒されたときに弁板13で透孔11を塞ぐ位置にばね22にて弁板13が移動するように弁板13を形状記憶合金の支持部材14で支持したことを特徴とすることも好ましい。通常は弁座板12の透孔11を開放する回転位置に弁板13が位置するように支持部材14で支持しており、ガスが流れるようになっているが、火災等で高温に晒されたとき、形状記憶合金の支持部材14が変形して支持が解除されてばね22にて弁板13が透孔11を塞ぐ位置に回転してガス流通が制限又は遮断され、ガスの漏出が防止される。このように弁板13で透孔11を塞いでも、温度が下がると、支持部材14が元の形状に戻り、弁板13が透孔11を開放する位置に弁板13を戻して開放状態でき、再復帰が容易にできる。
【0009】
また形状記憶合金の線材を渦巻き状に巻回して形成した弁体15をガス管3の流路4内に配置し、通常弁体15が上下方向に垂れ下がるような渦巻き曲線になって弁体15が開放され且つ高温に晒されたときに平面状に巻回される渦巻き曲線となって弁体15が閉じられるようにしたことを特徴とすることも好ましい。通常、形状記憶合金の弁体15が上下に垂れ下がるような渦巻き曲線になって弁体15が開放されており、ガスが流れるようになっているが、火災等で高温に晒されたとき、形状記憶合金の弁体15が平面状に巻回される渦巻き曲線となって弁体15が閉じてガス流通が制限又は遮断され、ガスの漏出が防止される。このように弁体15を閉じても、温度が下がると形状記憶合金の弁体15は元の状態に戻って上下に垂れ下がる渦巻き曲線となって弁体15の開放状態になり、再復帰が容易にできる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明はガスメータ1等の機器よりガス供給側に火災時等の異常な高温に晒されたときガスの供給を制限または遮断するガス漏出防止装置を備えたものであり、本例の場合、機器としてのガスメータ1よりガス供給側にガス漏出防止装置を備えたものについて述べる。
【0011】
先ず、図1及び図2に示す実施の形態の例から述べる。ガスメータ1にはガス入口2を設けてあるが、図1に示すようにガス供給業者からガスを供給するガス管3をガス入口2に連結してある。またガスメータ1にはガス出口20も設けてあり、ガスメータ1から使用者にガスを供給するガス管21をガス出口20に連結してある。ガス入口2よりガス供給側であるガス管3にガスの漏出を防止するガス漏出防止装置が設けられるが、例えば、図1R>1の符号Aに示す位置に設けてある。この位置は符号Aに示す位置に限定されず、ガスの供給側であればどこでもよく、符号Bに示す位置等でもよい。
【0012】
ガス管3のガス漏出防止装置を設ける位置には図2に示すように中空球状の弁収納部16を設けてあり、弁収納部16内の流路4には球体状の弁体5を収納してある。かかる弁体5は例えば鋼球にて形成されている。弁収納部16の下部には弁座6を設けてあり、弁収納部16内の弁体が弁座6に載ることで弁座6を閉じてガスの流れが制限又は遮断されるようになっている。この弁座6の上には形状記憶合金からなる受け台状の保持部材7を配置してあり、この保持部材7の上に弁体5を載せてある。この保持部材7は常温では弁座6に対して弁体5が浮くように持ち上げて保持する形状になっており、所定の温度以上の高温になると持ち上げ保持が解除される形状に変形するようになっている。
【0013】
通常は図2(a)のように弁体5が弁座6に対して形状記憶合金の保持部材7にて持ち上げて保持されており、ガスが図の矢印のように流れるようになっている。この状態から火災時等で異常な高温に晒されたとき、形状記憶合金の保持部材7が変形して弁体5の持ち上げ保持が解除され、図2(b)に示すように弁体5が下降して弁体5が弁座6に当接されて閉じられてガス流通が制限又は遮断され、ガスの漏出が防止される。このようにガスの漏出を遮断した後、温度が徐々に下がって平温になると、形状記憶合金の保持部材7は元の状態になり、弁体5が持ち上がった図2(a)の状態に戻り、再復帰する。
【0014】
次に図3、図4に示す実施の形態の例について述べる。本例の場合も、例えば図3の符号Aに示す位置に遮断弁が設けられるのでがあるが、図4に示すようにガス管3の流路4の途中には弁体5が載ることで閉じられる弁座6を設けてある。弁体5は本例の場合も鋼球にて形成されている。弁座6より上の位置でガス管3から斜め上方に突出するように連出筒17を突設してあり、連出筒17の上端に蓋体18を着脱可能に装着してある。蓋体18には磁石8を装着してあり、連出筒17に転動自在に配置した弁体5を磁石8に磁着させてある。ところで、強磁性体材料により構成される磁石8は高温になると磁力が低下するようになっており、その材質のキュリー点温度に近付くに従って磁力が低下し、キュリー点温度で磁力がなくなるようになっている。
【0015】
通常は、図4(a)のように弁体5が連出筒17内に位置して磁石8に磁着されており、弁座6が開放されてガスが図の矢印のように流れるようになっている。この状態から火災時等で異常な高温に晒されたとき、磁石8の磁力が低下して弁体5の磁着が解除され、弁体5が自重で連出筒17を転がり落ち、図4(b)に示すように弁体5が弁座6に載って弁座6が閉じられてガス流通が制限又は遮断され、ガスの漏出が防止される。平温に戻ると、蓋体18を開け、弁体5を連出筒17から取り出し、磁石8に弁体5を磁着させて蓋体18を装着することで再復帰される。
【0016】
このように本例では高温に晒されると、磁石8の磁力が低下する特徴を利用して遮断できるようになっているが、この磁石8の磁力低下温度を条件設定できるように磁石の材質及び金属構成割合を可変にし、設定温度を自由に変更できるようにすることが好ましい。また弁体5としての鋼球も形状、材質、金属構成を可変とし、磁石8の磁力とバランスを取ることも好ましい。
【0017】
次に図5に示す実施の形態の例について述べる。本例は上記例と基本的に同じであり、弁体5の形状が異なるだけである。弁体5は球体状になっているが、外面の一部に平坦面とした磁着面19を有しており、広い磁着面19が磁石8に磁着して弁体5が保持されるようになっている。
【0018】
通常は、図5(a)のように弁体5が連出筒17内に位置して磁石8に磁着されており、弁座6が開放されてガスが図の矢印のように流れるようになっている。この状態から火災時等で異常な高温に晒されたとき、磁石8の磁力が低下して弁体5の磁着が解除され、弁体5が自重で連出筒17を転がり落ち、図5(b)のように弁体5が弁座6に載って弁座6が閉じられてガス流通が制限又は遮断され、ガスの漏出が防止される。
【0019】
次に図6に示す実施の形態の例について述べる。図6に示すようにガス管3の流路4の途中には弁体5が載ることで閉じられる弁座6を設けてある。弁座6より上の位置でガス管3から斜め上方に突出するように連出筒17を突設してあり、連出筒17の上端に蓋体18を着脱可能に装着してある。連出筒17の下部には形状記憶合金よりなる保持部材7を設けてあり、連出筒17内に収納した弁体5に係止して弁体5を保持し得るようになっている。この保持部材7は常温では上方に突出して弁体5に係止して保持する形状になっており、所定の温度以上の高温になると係止が解除される形状に変形するようになっている。
【0020】
通常は、図6(a)のように弁体5が連出筒17内に位置して保持部材7に弁体5が係止して保持されており、弁座6が開放されてガスが図の矢印のように流れるようになっている。この状態から火災時等で異常な高温に晒されたとき、形状記憶合金の保持部材7が変形して弁体5の係止が解除され、弁体5が自重で連出筒17を転がり落ち、図6(b)に示すように弁体5が弁座6に載って弁座6が閉じられてガス流通が制限又は遮断され、ガスの漏出が防止される。平温に戻ると、保持部材7が突出する形状に戻りるため、蓋体18を開け、弁体5を保持部材7に係止するように連出筒17に戻すと、再復帰される。
【0021】
次に図7、図8に示す実施の形態の例について述べる。ガスメータ1にはガス入口2とガス出口20を設けてあるが、図7に示すようにガス供給業者からガスを供給するガス管3をガス入口2に連結してあり、ガスメータ1から使用者にガスを供給するガス管21をガス出口20に連結してある。ガス入口2よりガス供給側であるガス管3にガスの漏出を防止するガス漏出防止装置が設けられるのであるが、例えば、図7の符号Aに示す位置に設けられる。
【0022】
図8に示すようにガス管3の流路4の途中には弁体5が載ることで閉じられる弁座6を設けてある。弁座6より上の位置でガス管3から斜め上方に突出するように連出筒17を突設してあり、連出筒17の上端に蓋体18を着脱可能に装着してある。連出筒17の下部にはピン状の保持部材10を出入り自在に設けてあり、この保持部材10を電磁石よりなるソレノイド9で駆動できるようになっている。この保持部材10は通常突出させてあり、連出筒17内に収納した弁体5に係止して弁体5を保持し得るようになっている。家屋24内には火災報知器25や煙感知器26を配置してあり、これら制御盤28に接続してある。制御盤28は上記ソレノイド9に接続してあり、制御盤2の制御にてソレノイド9が駆動されるようになっている。
【0023】
通常は、図8(a)のように弁体5が連出筒17内に位置して保持部材10に弁体5が係止して保持されており、弁座6が開放されてガスが図の矢印のように流れるようになっている。この状態から火災時等が火災報知器25や煙感知器26で検出されたとき、制御盤28でソレノイド9が駆動されて保持部材10が引っ込み、弁体5の係止が解除され、弁体5が自重で連出筒17を転がり落ち、図8(b)に示すように弁体5が弁座6に載って弁座6が閉じられてガス流通が制限又は遮断され閉塞され、ガスの漏出が防止される。またソレノイド9にて保持部材10を駆動して保持状態にし、蓋体18を開け、弁体5を保持部材10に係止するように連出筒17に戻すと、再復帰される。
【0024】
次に図9、図10に示す実施の形態の例について述べる。ガス管3の流路4内に円盤状の弁座板12を装着してあり、この弁座板12には周方向に複数個の透孔11を穿孔してある。この弁座板12の上には弁板13を重ねて配置してあり、弁板13の中央を弁座板12の中央に回転軸27にて回転自在に連結してある。そして弁板13を回転することにより弁板13で透孔11を塞ぐ回転角度位置や透孔11を開放する回転角度位置に位置させることができるようになっている。回転軸27の回りで弁板13と弁座板12との間にはねじりばねのようなばね22を介装してあり、弁板13をばね22にて所定の回転方向に付勢してあり、フリーな状態では弁板13が透孔11を塞ぐ回転位置に位置するようになっている。弁座板12はストッパーのように係止し得る支持部材14を設けてあり、弁板13に係止して弁板13を所定の角度に保持できるようになっている。つまり、弁板13が透孔11を塞ぐことがない回転角度位置にばね22に抗して回転させ、この状態で支持部材14に弁板13を係止させて保持してある。この支持部材14は形状記憶合金にて形成してあり、常温では図10(a)のように支持部材14が上方に突出する形状になっており、支持部材14に弁板13が係止するようになっているが、所定温度以上になると支持部材14が図10(b)のように平坦になり、弁板13の係止が解除されるようになっている。
【0025】
通常は図9(a)に示すように弁座板12の透孔11を開放する回転位置に弁板13が位置するように支持部材14で支持しており、ガスが流れるようになっているが、火災等で高温に晒されたとき、形状記憶合金の支持部材14が変形して支持が解除されてばね22にて図9(b)に示すように弁板13が透孔11を塞ぐ位置に回転してガス流通が制限又は遮断され、ガスの漏出が防止される。このように弁板13で透孔11を塞いでも、温度が下がると、支持部材14が元の形状に戻り、透孔11を開放する位置に弁板13を戻して開放状態でき、再復帰が容易にできる。
【0026】
次に図11、図12の実施の形態の例について述べる。ガス管3の流路4内に流路4を開閉する弁体15が配置されるが、弁体15が形状記憶合金の線材を渦巻き状に巻回して形成されており、渦巻き状の弁体15の渦巻きの中心の端部を吊り部材29にて吊り保持してある。かかる弁体15は常温では図12(a)に示すように上下に垂れ下がるような渦巻き曲線になり、所定温度以上の高温の温度になると、図12(b)に示すように隙間なく平面状に巻回される渦巻き曲線になるようになっている。
【0027】
通常、図11(a)や図12(a)のように形状記憶合金の弁体15が上下に垂れ下がるような渦巻き曲線になって弁体15が開放されており、ガスが流れるようになっているが、火災等で高温に晒されたとき、形状記憶合金の弁体15が図11(b)や図12(b)のように平面状に巻回される渦巻き曲線となって弁体15が閉じられてガス流通が制限又は遮断され、ガスの漏出が防止される。このように弁体15を閉じても、温度が下がると形状記憶合金の弁体15は元の状態に戻って上下に垂れ下がる渦巻き曲線となって弁体15の開放状態になり、再復帰が容易にできる。
【0028】
【発明の効果】
本発明の請求項1の発明は、ガス管の流路内に弁体で開閉自在な弁座を設け、通常弁座から弁体が離間するように配置して形状記憶合金からなる保持部材で弁体を保持し、高温に晒されると形状記憶合金の保持部材の変形で保持が解除されて弁体にて弁座を閉じるようにしたので、通常は弁座から弁体が離間するように保持部材で保持されており、ガスが流れるようになっているが、火災時等に異常な高温に晒されたとき形状記憶合金の保持部材が形状変形して弁体の保持が解除され、弁体が弁座を閉じてガス流通が制限又は遮断され、ガスの漏出が防止されて安全性を確保できるものであり、また弁体で弁座を閉じても、温度が下がると形状記憶合金の保持部材が元の形状に戻り、保持部材で弁体を保持することで弁座を開放状態にでき、最復帰が容易にできるものである。
【0029】
また本発明の請求項2の発明は、ガス管の流路内に弁体で開閉自在な弁座を設け、通常弁座から弁体が離間するように配置して磁石への磁着にて弁体を保持し、高温に晒されると磁石の磁力の低下で保持が解除されて弁体にて弁座を閉じるようにしたので、通常は弁座から弁体が離間するように弁体が磁石に磁着して保持されており、ガスが流れるようになっているが、火災時等に異常な高温に晒されたとき磁石の磁力が低下して弁体の磁着が解除され、弁体が弁座を閉じてガス流通が制限又は遮断され、ガスの漏出が防止されて安全性が確保されるものであり、また弁体で弁座を閉じても、温度が下がると磁石の磁力が元の状態に戻り、磁石に弁体が磁着して保持することで弁座を開放状態にでき、再復帰が容易にできるものである。
【0030】
また本発明の請求項3の発明は、ガス管の流路内に弁体で開閉自在な弁座を設け、通常弁座から弁体が離間するように配置してソレノイドで駆動される保持部材で弁体を保持し、高温に晒されるとソレノイドが動作して弁体の保持が解除されて弁体にて弁座を閉じるようにしたので、通常は弁座から弁体が離間するように弁体が保持部材で保持されており、ガスが流れるようになっているが、火災等を検出したとき、ソレノイドで保持部材が作動して弁体の保持が解除され、弁体が弁座を閉じてガス流通が制限又は遮断され、ガスの漏出が防止されて安全性を確保できるものであり、また弁体で弁座を閉じても、ソレノイドにて保持部材を駆動して保持状態にすることで弁体を保持して弁座を開放状態にでき、再復帰が容易にできるものである。
【0031】
また本発明の請求項4の発明は、透孔を有する弁座板をガス管の流路に配置すると共にこの弁座板に回転することにより弁座板の透孔を開閉する弁板を重ねて配置し、弁板をばねにて回転付勢し、通常は透孔を開放し、且つ高温に晒されたときに弁板で透孔を塞ぐ位置にばねにて弁板が移動するように弁板を形状記憶合金の支持部材で支持したので、通常は弁座板の透孔を開放する回転位置に弁板が位置するように支持部材で支持しており、ガスが流れるようになっているが、火災等で高温に晒されたとき、形状記憶合金の支持部材が変形して支持が解除されてばねにて弁板が透孔を塞ぐ位置に回転してガス流通が制限又は遮断され、ガスの流出が防止されて安全性を確保できるものであり、また弁板で透孔を塞いでも、温度が下がると、支持部材が元の形状に戻り、弁板が透孔を開放する位置に弁板を戻して開放状態でき、再復帰が容易にできるものである。
【0032】
また本発明の請求項5の発明は、形状記憶合金の線材を渦巻き状に巻回して形成した弁体をガス管の流路内に配置し、通常弁体が上下方向に垂れ下がるような渦巻き曲線になって弁体が開放され且つ高温に晒されたときに平面状に巻回される渦巻き曲線となって弁体が閉じられるようにしたので、通常、形状記憶合金の弁体が上下に垂れ下がるような渦巻き曲線になって弁体が開放されており、ガスが流れるようになっているが、火災等で高温に晒されたとき、形状記憶合金の弁体が平面状に巻回される渦巻き曲線となって弁体が閉じてガス流通が制限又は遮断され、ガスの漏出が防止されて安全性を確保できるものであり、また弁体を閉じても、温度が下がると形状記憶合金の弁体は元の状態に戻って上下に垂れ下がる渦巻き曲線となって弁体の開放状態になり、再復帰が容易にできるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例のガスメータへの配管を示す正面図である。
【図2】同上の要部を示し、(a)は弁の開放状態の断面図、(b)は弁の閉塞状態の断面図である。
【図3】同上の他例のガスメータへの配管を示す正面図である。
【図4】同上の要部を示し、(a)は弁の開放状態の断面図、(b)は弁の閉塞状態の断面図である。
【図5】同上の他の例の要部を示し、(a)は弁の開放状態の断面図、(b)は弁の閉塞状態の断面図である。
【図6】同上の他の例の要部を示し、(a)は弁の開放状態の断面図、(b)は弁の閉塞状態の断面図である。
【図7】同上の他の例の配管や配線を示す正面図である。
【図8】同上の要部を示し、(a)は弁の開放状態の断面図、(b)は弁の閉塞状態の断面図である。
【図9】同上の他の例の要部を示し、(a)は弁が開いた状態の斜視図、(b)は弁が閉じた状態の斜視図、(c)は内部の構造を示す斜視図である。
【図10】(a)(b)は同上の支持部材の動作を説明する説明図である。
【図11】同上の他の例の要部を示し、(a)は弁の開放状態の断面図、(b)は弁の閉塞状態の断面図である。
【図12】(a)は同上の弁の開放状態の斜視図、(b)は同上の弁の閉塞状態の斜視図である。
【符号の説明】
1 ガスメータ
2 ガス入口
3 ガス管
4 流路
5 弁体
6 弁座
7 保持部材
8 磁石
9 ソレノイド
10 保持部材
11 透孔
12 弁座板
13 弁板
14 支持部材
15 弁体
22 ばね
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、火災時等にて異常な高温に晒されたときガス管内のガス流通を制限又は遮断してガスの漏出を防止するガス漏出防止装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
一般に、ガスを通じている配管材料は、鉄等の高融点の金属で製造されているために、火災時等にガスを漏出することがないが、配管の端末等に接続されている機器やガスメータ等は配管部材と比較すると融点が低い部品を使用している場合もあるため、火災時等の異常な高温により長時間熱せられると何らかの損傷を起こし、ガスが漏出する可能性がないとも言えない。
【0003】
そこで、ガスメータ等の機器よりガス供給側のガス管に緊急遮断弁を設け、火災等により異常な高温に晒されたとき、それを検知して遮断弁を遮断するようにしたものが近年提供されている。その一例として特開2000−2353に開示されるものがある。これはガス管の流路内にボール状の弁体を配置してあり、通常は弁体を半田、樹脂等の低融点材料で流路内の所定位置に保持してあり、火災等で異常な高温に晒されたとき、低融点材料が溶融して弁体の保持が解除され、ばねの付勢力で弁体が流路内の弁座に移動して弁座を弁体にて閉塞するようになっている。かかるものでは異常な高温に晒されたとき、弁体が弁座を閉塞することでガスの漏出を遮断できるようになっているが、弁体を低融点材料で保持しているため、一度動作してしまうと低融点材料が溶融してしまうので再復帰をすることができないという問題がある。
【0004】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、火災時等に異常高温に晒されたときガス流通を制限又は遮断してガスの漏出を防止できるのは勿論、一度動作しても再復帰することができるガス漏出防止装置を提供することを課題とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明のガス漏出防止装置は、ガス体輸送管が異常な高温に晒されたときガス流通を制限又は遮断する遮断弁を備えたガス漏出防止装置であって、ガス管3の流路4内に弁体5で開閉自在な弁座6を設け、通常弁座6から弁体5が離間するように配置して形状記憶合金からなる保持部材7で弁体5を保持し、高温に晒されると形状記憶合金の保持部材7の変形で保持が解除されて弁体5にて弁座6を閉じるようにしたことを特徴とする。通常は弁座6から弁体5が離間するように保持部材7で保持されており、ガスが流れるようになっているが、火災時等に異常な高温に晒されたとき形状記憶合金の保持部材7が形状変形して弁体5の保持が解除され、弁体5が弁座6を閉じてガス流通が制限又は遮断されてガスの漏出が防止される。また弁体5で弁座6を閉じても、温度が下がると形状記憶合金の保持部材7が元の形状に戻り、保持部材7で弁体5を保持することで弁座6を開放状態にでき、最復帰が容易にできる。
【0006】
またガス管3の流路4内に弁体5で開閉自在な弁座6を設け、通常弁座6から弁体5が離間するように配置して磁石8への磁着にて弁体5を保持し、高温に晒されると磁石8の磁力の低下で保持が解除されて弁体5にて弁座6を閉じるようにしたことを特徴とすることも好ましい。通常は弁座6から弁体5が離間するように弁体5が磁石8に磁着して保持されており、ガスが流れるようになっているが、火災時等に異常な高温に晒されたとき磁石8の磁力が低下して弁体5の磁着が解除され、弁体5が弁座6を閉じてガス流通が制限又は遮断されてガスの漏出が防止される。また弁体5で弁座6を閉じても、温度が下がると磁石8の磁力が元の状態に戻り、磁石8に弁体5が磁着して保持することで弁座6を開放状態にでき、再復帰が容易にできる。
【0007】
またガス管3の流路4内に弁体5で開閉自在な弁座6を設け、通常弁座6から弁体5が離間するように配置してソレノイド9で駆動される保持部材10で弁体5を保持し、高温に晒されるとソレノイド9が動作して弁体5の保持が解除されて弁体5にて弁座6を閉じるようにしたことを特徴とすることも好ましい。通常は弁座6から弁体5が離間するように弁体5が保持部材10で保持されており、ガスが流れるようになっているが、火災等を検出したとき、ソレノイド9で保持部材10が作動して弁体5の保持が解除され、弁体5が弁座6を閉じてガス流通が制限又は遮断されてガスの漏出が防止される。また弁体5で弁座6を閉じても、ソレノイド9にて保持部材10を駆動して保持状態にすることで弁体5を保持して弁座6を開放状態にでき、再復帰が容易にできる。
【0008】
また透孔11を有する弁座板12をガス管3の流路4に配置すると共にこの弁座板12に回転することにより弁座板12の透孔11を開閉する弁板13を重ねて配置し、弁板13をばね22にて回転付勢し、通常は透孔11を開放し、且つ高温に晒されたときに弁板13で透孔11を塞ぐ位置にばね22にて弁板13が移動するように弁板13を形状記憶合金の支持部材14で支持したことを特徴とすることも好ましい。通常は弁座板12の透孔11を開放する回転位置に弁板13が位置するように支持部材14で支持しており、ガスが流れるようになっているが、火災等で高温に晒されたとき、形状記憶合金の支持部材14が変形して支持が解除されてばね22にて弁板13が透孔11を塞ぐ位置に回転してガス流通が制限又は遮断され、ガスの漏出が防止される。このように弁板13で透孔11を塞いでも、温度が下がると、支持部材14が元の形状に戻り、弁板13が透孔11を開放する位置に弁板13を戻して開放状態でき、再復帰が容易にできる。
【0009】
また形状記憶合金の線材を渦巻き状に巻回して形成した弁体15をガス管3の流路4内に配置し、通常弁体15が上下方向に垂れ下がるような渦巻き曲線になって弁体15が開放され且つ高温に晒されたときに平面状に巻回される渦巻き曲線となって弁体15が閉じられるようにしたことを特徴とすることも好ましい。通常、形状記憶合金の弁体15が上下に垂れ下がるような渦巻き曲線になって弁体15が開放されており、ガスが流れるようになっているが、火災等で高温に晒されたとき、形状記憶合金の弁体15が平面状に巻回される渦巻き曲線となって弁体15が閉じてガス流通が制限又は遮断され、ガスの漏出が防止される。このように弁体15を閉じても、温度が下がると形状記憶合金の弁体15は元の状態に戻って上下に垂れ下がる渦巻き曲線となって弁体15の開放状態になり、再復帰が容易にできる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明はガスメータ1等の機器よりガス供給側に火災時等の異常な高温に晒されたときガスの供給を制限または遮断するガス漏出防止装置を備えたものであり、本例の場合、機器としてのガスメータ1よりガス供給側にガス漏出防止装置を備えたものについて述べる。
【0011】
先ず、図1及び図2に示す実施の形態の例から述べる。ガスメータ1にはガス入口2を設けてあるが、図1に示すようにガス供給業者からガスを供給するガス管3をガス入口2に連結してある。またガスメータ1にはガス出口20も設けてあり、ガスメータ1から使用者にガスを供給するガス管21をガス出口20に連結してある。ガス入口2よりガス供給側であるガス管3にガスの漏出を防止するガス漏出防止装置が設けられるが、例えば、図1R>1の符号Aに示す位置に設けてある。この位置は符号Aに示す位置に限定されず、ガスの供給側であればどこでもよく、符号Bに示す位置等でもよい。
【0012】
ガス管3のガス漏出防止装置を設ける位置には図2に示すように中空球状の弁収納部16を設けてあり、弁収納部16内の流路4には球体状の弁体5を収納してある。かかる弁体5は例えば鋼球にて形成されている。弁収納部16の下部には弁座6を設けてあり、弁収納部16内の弁体が弁座6に載ることで弁座6を閉じてガスの流れが制限又は遮断されるようになっている。この弁座6の上には形状記憶合金からなる受け台状の保持部材7を配置してあり、この保持部材7の上に弁体5を載せてある。この保持部材7は常温では弁座6に対して弁体5が浮くように持ち上げて保持する形状になっており、所定の温度以上の高温になると持ち上げ保持が解除される形状に変形するようになっている。
【0013】
通常は図2(a)のように弁体5が弁座6に対して形状記憶合金の保持部材7にて持ち上げて保持されており、ガスが図の矢印のように流れるようになっている。この状態から火災時等で異常な高温に晒されたとき、形状記憶合金の保持部材7が変形して弁体5の持ち上げ保持が解除され、図2(b)に示すように弁体5が下降して弁体5が弁座6に当接されて閉じられてガス流通が制限又は遮断され、ガスの漏出が防止される。このようにガスの漏出を遮断した後、温度が徐々に下がって平温になると、形状記憶合金の保持部材7は元の状態になり、弁体5が持ち上がった図2(a)の状態に戻り、再復帰する。
【0014】
次に図3、図4に示す実施の形態の例について述べる。本例の場合も、例えば図3の符号Aに示す位置に遮断弁が設けられるのでがあるが、図4に示すようにガス管3の流路4の途中には弁体5が載ることで閉じられる弁座6を設けてある。弁体5は本例の場合も鋼球にて形成されている。弁座6より上の位置でガス管3から斜め上方に突出するように連出筒17を突設してあり、連出筒17の上端に蓋体18を着脱可能に装着してある。蓋体18には磁石8を装着してあり、連出筒17に転動自在に配置した弁体5を磁石8に磁着させてある。ところで、強磁性体材料により構成される磁石8は高温になると磁力が低下するようになっており、その材質のキュリー点温度に近付くに従って磁力が低下し、キュリー点温度で磁力がなくなるようになっている。
【0015】
通常は、図4(a)のように弁体5が連出筒17内に位置して磁石8に磁着されており、弁座6が開放されてガスが図の矢印のように流れるようになっている。この状態から火災時等で異常な高温に晒されたとき、磁石8の磁力が低下して弁体5の磁着が解除され、弁体5が自重で連出筒17を転がり落ち、図4(b)に示すように弁体5が弁座6に載って弁座6が閉じられてガス流通が制限又は遮断され、ガスの漏出が防止される。平温に戻ると、蓋体18を開け、弁体5を連出筒17から取り出し、磁石8に弁体5を磁着させて蓋体18を装着することで再復帰される。
【0016】
このように本例では高温に晒されると、磁石8の磁力が低下する特徴を利用して遮断できるようになっているが、この磁石8の磁力低下温度を条件設定できるように磁石の材質及び金属構成割合を可変にし、設定温度を自由に変更できるようにすることが好ましい。また弁体5としての鋼球も形状、材質、金属構成を可変とし、磁石8の磁力とバランスを取ることも好ましい。
【0017】
次に図5に示す実施の形態の例について述べる。本例は上記例と基本的に同じであり、弁体5の形状が異なるだけである。弁体5は球体状になっているが、外面の一部に平坦面とした磁着面19を有しており、広い磁着面19が磁石8に磁着して弁体5が保持されるようになっている。
【0018】
通常は、図5(a)のように弁体5が連出筒17内に位置して磁石8に磁着されており、弁座6が開放されてガスが図の矢印のように流れるようになっている。この状態から火災時等で異常な高温に晒されたとき、磁石8の磁力が低下して弁体5の磁着が解除され、弁体5が自重で連出筒17を転がり落ち、図5(b)のように弁体5が弁座6に載って弁座6が閉じられてガス流通が制限又は遮断され、ガスの漏出が防止される。
【0019】
次に図6に示す実施の形態の例について述べる。図6に示すようにガス管3の流路4の途中には弁体5が載ることで閉じられる弁座6を設けてある。弁座6より上の位置でガス管3から斜め上方に突出するように連出筒17を突設してあり、連出筒17の上端に蓋体18を着脱可能に装着してある。連出筒17の下部には形状記憶合金よりなる保持部材7を設けてあり、連出筒17内に収納した弁体5に係止して弁体5を保持し得るようになっている。この保持部材7は常温では上方に突出して弁体5に係止して保持する形状になっており、所定の温度以上の高温になると係止が解除される形状に変形するようになっている。
【0020】
通常は、図6(a)のように弁体5が連出筒17内に位置して保持部材7に弁体5が係止して保持されており、弁座6が開放されてガスが図の矢印のように流れるようになっている。この状態から火災時等で異常な高温に晒されたとき、形状記憶合金の保持部材7が変形して弁体5の係止が解除され、弁体5が自重で連出筒17を転がり落ち、図6(b)に示すように弁体5が弁座6に載って弁座6が閉じられてガス流通が制限又は遮断され、ガスの漏出が防止される。平温に戻ると、保持部材7が突出する形状に戻りるため、蓋体18を開け、弁体5を保持部材7に係止するように連出筒17に戻すと、再復帰される。
【0021】
次に図7、図8に示す実施の形態の例について述べる。ガスメータ1にはガス入口2とガス出口20を設けてあるが、図7に示すようにガス供給業者からガスを供給するガス管3をガス入口2に連結してあり、ガスメータ1から使用者にガスを供給するガス管21をガス出口20に連結してある。ガス入口2よりガス供給側であるガス管3にガスの漏出を防止するガス漏出防止装置が設けられるのであるが、例えば、図7の符号Aに示す位置に設けられる。
【0022】
図8に示すようにガス管3の流路4の途中には弁体5が載ることで閉じられる弁座6を設けてある。弁座6より上の位置でガス管3から斜め上方に突出するように連出筒17を突設してあり、連出筒17の上端に蓋体18を着脱可能に装着してある。連出筒17の下部にはピン状の保持部材10を出入り自在に設けてあり、この保持部材10を電磁石よりなるソレノイド9で駆動できるようになっている。この保持部材10は通常突出させてあり、連出筒17内に収納した弁体5に係止して弁体5を保持し得るようになっている。家屋24内には火災報知器25や煙感知器26を配置してあり、これら制御盤28に接続してある。制御盤28は上記ソレノイド9に接続してあり、制御盤2の制御にてソレノイド9が駆動されるようになっている。
【0023】
通常は、図8(a)のように弁体5が連出筒17内に位置して保持部材10に弁体5が係止して保持されており、弁座6が開放されてガスが図の矢印のように流れるようになっている。この状態から火災時等が火災報知器25や煙感知器26で検出されたとき、制御盤28でソレノイド9が駆動されて保持部材10が引っ込み、弁体5の係止が解除され、弁体5が自重で連出筒17を転がり落ち、図8(b)に示すように弁体5が弁座6に載って弁座6が閉じられてガス流通が制限又は遮断され閉塞され、ガスの漏出が防止される。またソレノイド9にて保持部材10を駆動して保持状態にし、蓋体18を開け、弁体5を保持部材10に係止するように連出筒17に戻すと、再復帰される。
【0024】
次に図9、図10に示す実施の形態の例について述べる。ガス管3の流路4内に円盤状の弁座板12を装着してあり、この弁座板12には周方向に複数個の透孔11を穿孔してある。この弁座板12の上には弁板13を重ねて配置してあり、弁板13の中央を弁座板12の中央に回転軸27にて回転自在に連結してある。そして弁板13を回転することにより弁板13で透孔11を塞ぐ回転角度位置や透孔11を開放する回転角度位置に位置させることができるようになっている。回転軸27の回りで弁板13と弁座板12との間にはねじりばねのようなばね22を介装してあり、弁板13をばね22にて所定の回転方向に付勢してあり、フリーな状態では弁板13が透孔11を塞ぐ回転位置に位置するようになっている。弁座板12はストッパーのように係止し得る支持部材14を設けてあり、弁板13に係止して弁板13を所定の角度に保持できるようになっている。つまり、弁板13が透孔11を塞ぐことがない回転角度位置にばね22に抗して回転させ、この状態で支持部材14に弁板13を係止させて保持してある。この支持部材14は形状記憶合金にて形成してあり、常温では図10(a)のように支持部材14が上方に突出する形状になっており、支持部材14に弁板13が係止するようになっているが、所定温度以上になると支持部材14が図10(b)のように平坦になり、弁板13の係止が解除されるようになっている。
【0025】
通常は図9(a)に示すように弁座板12の透孔11を開放する回転位置に弁板13が位置するように支持部材14で支持しており、ガスが流れるようになっているが、火災等で高温に晒されたとき、形状記憶合金の支持部材14が変形して支持が解除されてばね22にて図9(b)に示すように弁板13が透孔11を塞ぐ位置に回転してガス流通が制限又は遮断され、ガスの漏出が防止される。このように弁板13で透孔11を塞いでも、温度が下がると、支持部材14が元の形状に戻り、透孔11を開放する位置に弁板13を戻して開放状態でき、再復帰が容易にできる。
【0026】
次に図11、図12の実施の形態の例について述べる。ガス管3の流路4内に流路4を開閉する弁体15が配置されるが、弁体15が形状記憶合金の線材を渦巻き状に巻回して形成されており、渦巻き状の弁体15の渦巻きの中心の端部を吊り部材29にて吊り保持してある。かかる弁体15は常温では図12(a)に示すように上下に垂れ下がるような渦巻き曲線になり、所定温度以上の高温の温度になると、図12(b)に示すように隙間なく平面状に巻回される渦巻き曲線になるようになっている。
【0027】
通常、図11(a)や図12(a)のように形状記憶合金の弁体15が上下に垂れ下がるような渦巻き曲線になって弁体15が開放されており、ガスが流れるようになっているが、火災等で高温に晒されたとき、形状記憶合金の弁体15が図11(b)や図12(b)のように平面状に巻回される渦巻き曲線となって弁体15が閉じられてガス流通が制限又は遮断され、ガスの漏出が防止される。このように弁体15を閉じても、温度が下がると形状記憶合金の弁体15は元の状態に戻って上下に垂れ下がる渦巻き曲線となって弁体15の開放状態になり、再復帰が容易にできる。
【0028】
【発明の効果】
本発明の請求項1の発明は、ガス管の流路内に弁体で開閉自在な弁座を設け、通常弁座から弁体が離間するように配置して形状記憶合金からなる保持部材で弁体を保持し、高温に晒されると形状記憶合金の保持部材の変形で保持が解除されて弁体にて弁座を閉じるようにしたので、通常は弁座から弁体が離間するように保持部材で保持されており、ガスが流れるようになっているが、火災時等に異常な高温に晒されたとき形状記憶合金の保持部材が形状変形して弁体の保持が解除され、弁体が弁座を閉じてガス流通が制限又は遮断され、ガスの漏出が防止されて安全性を確保できるものであり、また弁体で弁座を閉じても、温度が下がると形状記憶合金の保持部材が元の形状に戻り、保持部材で弁体を保持することで弁座を開放状態にでき、最復帰が容易にできるものである。
【0029】
また本発明の請求項2の発明は、ガス管の流路内に弁体で開閉自在な弁座を設け、通常弁座から弁体が離間するように配置して磁石への磁着にて弁体を保持し、高温に晒されると磁石の磁力の低下で保持が解除されて弁体にて弁座を閉じるようにしたので、通常は弁座から弁体が離間するように弁体が磁石に磁着して保持されており、ガスが流れるようになっているが、火災時等に異常な高温に晒されたとき磁石の磁力が低下して弁体の磁着が解除され、弁体が弁座を閉じてガス流通が制限又は遮断され、ガスの漏出が防止されて安全性が確保されるものであり、また弁体で弁座を閉じても、温度が下がると磁石の磁力が元の状態に戻り、磁石に弁体が磁着して保持することで弁座を開放状態にでき、再復帰が容易にできるものである。
【0030】
また本発明の請求項3の発明は、ガス管の流路内に弁体で開閉自在な弁座を設け、通常弁座から弁体が離間するように配置してソレノイドで駆動される保持部材で弁体を保持し、高温に晒されるとソレノイドが動作して弁体の保持が解除されて弁体にて弁座を閉じるようにしたので、通常は弁座から弁体が離間するように弁体が保持部材で保持されており、ガスが流れるようになっているが、火災等を検出したとき、ソレノイドで保持部材が作動して弁体の保持が解除され、弁体が弁座を閉じてガス流通が制限又は遮断され、ガスの漏出が防止されて安全性を確保できるものであり、また弁体で弁座を閉じても、ソレノイドにて保持部材を駆動して保持状態にすることで弁体を保持して弁座を開放状態にでき、再復帰が容易にできるものである。
【0031】
また本発明の請求項4の発明は、透孔を有する弁座板をガス管の流路に配置すると共にこの弁座板に回転することにより弁座板の透孔を開閉する弁板を重ねて配置し、弁板をばねにて回転付勢し、通常は透孔を開放し、且つ高温に晒されたときに弁板で透孔を塞ぐ位置にばねにて弁板が移動するように弁板を形状記憶合金の支持部材で支持したので、通常は弁座板の透孔を開放する回転位置に弁板が位置するように支持部材で支持しており、ガスが流れるようになっているが、火災等で高温に晒されたとき、形状記憶合金の支持部材が変形して支持が解除されてばねにて弁板が透孔を塞ぐ位置に回転してガス流通が制限又は遮断され、ガスの流出が防止されて安全性を確保できるものであり、また弁板で透孔を塞いでも、温度が下がると、支持部材が元の形状に戻り、弁板が透孔を開放する位置に弁板を戻して開放状態でき、再復帰が容易にできるものである。
【0032】
また本発明の請求項5の発明は、形状記憶合金の線材を渦巻き状に巻回して形成した弁体をガス管の流路内に配置し、通常弁体が上下方向に垂れ下がるような渦巻き曲線になって弁体が開放され且つ高温に晒されたときに平面状に巻回される渦巻き曲線となって弁体が閉じられるようにしたので、通常、形状記憶合金の弁体が上下に垂れ下がるような渦巻き曲線になって弁体が開放されており、ガスが流れるようになっているが、火災等で高温に晒されたとき、形状記憶合金の弁体が平面状に巻回される渦巻き曲線となって弁体が閉じてガス流通が制限又は遮断され、ガスの漏出が防止されて安全性を確保できるものであり、また弁体を閉じても、温度が下がると形状記憶合金の弁体は元の状態に戻って上下に垂れ下がる渦巻き曲線となって弁体の開放状態になり、再復帰が容易にできるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例のガスメータへの配管を示す正面図である。
【図2】同上の要部を示し、(a)は弁の開放状態の断面図、(b)は弁の閉塞状態の断面図である。
【図3】同上の他例のガスメータへの配管を示す正面図である。
【図4】同上の要部を示し、(a)は弁の開放状態の断面図、(b)は弁の閉塞状態の断面図である。
【図5】同上の他の例の要部を示し、(a)は弁の開放状態の断面図、(b)は弁の閉塞状態の断面図である。
【図6】同上の他の例の要部を示し、(a)は弁の開放状態の断面図、(b)は弁の閉塞状態の断面図である。
【図7】同上の他の例の配管や配線を示す正面図である。
【図8】同上の要部を示し、(a)は弁の開放状態の断面図、(b)は弁の閉塞状態の断面図である。
【図9】同上の他の例の要部を示し、(a)は弁が開いた状態の斜視図、(b)は弁が閉じた状態の斜視図、(c)は内部の構造を示す斜視図である。
【図10】(a)(b)は同上の支持部材の動作を説明する説明図である。
【図11】同上の他の例の要部を示し、(a)は弁の開放状態の断面図、(b)は弁の閉塞状態の断面図である。
【図12】(a)は同上の弁の開放状態の斜視図、(b)は同上の弁の閉塞状態の斜視図である。
【符号の説明】
1 ガスメータ
2 ガス入口
3 ガス管
4 流路
5 弁体
6 弁座
7 保持部材
8 磁石
9 ソレノイド
10 保持部材
11 透孔
12 弁座板
13 弁板
14 支持部材
15 弁体
22 ばね
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス体輸送管が異常な高温に晒されたときガス流通を制限又は遮断する弁体を備えたガス漏出防止装置であって、ガス管の流路内に弁体で開閉自在な弁座を設け、通常弁座から弁体が離間するように配置して形状記憶合金からなる保持部材で弁体を保持し、高温に晒されると形状記憶合金の保持部材の変形で保持が解除されて弁体にて弁座を閉じるようにしたことを特徴とするガス漏出防止装置。
【請求項2】
ガス体輸送管が異常な高温に晒されたときガス流通を制限又は遮断する弁体を備えたガス漏出防止装置であって、ガス管の流路内に弁体で開閉自在な弁座を設け、通常弁座から弁体が離間するように配置して磁石への磁着にて弁体を保持し、高温に晒されると磁石の磁力の低下で保持が解除されて弁体にて弁座を閉じるようにしたことを特徴とするガス漏出防止装置。
【請求項3】
ガス体輸送管が異常な高温に晒されたときガス流通を制限又は遮断する弁体を備えたガス漏出防止装置であって、ガス管の流路内に弁体で開閉自在な弁座を設け、通常弁座から弁体が離間するように配置してソレノイドで駆動される保持部材で弁体を保持し、高温に晒されるとソレノイドが動作して弁体の保持が解除されて弁体にて弁座を閉じるようにしたことを特徴とするガス漏出防止装置。
【請求項4】
ガス体輸送管が異常な高温に晒されたときガス流通を制限又は遮断する弁板を備えたガス漏出防止装置であって、透孔を有する弁座板をガス管の流路に配置すると共にこの弁座板に回転することにより弁座板の透孔を開閉する弁板を重ねて配置し、弁体をばねにて回転付勢し、通常は透孔を開放し、且つ高温に晒されたときに弁板で透孔を塞ぐ位置にばねにて弁板が移動するように弁体を形状記憶合金の支持部材で支持したことを特徴とするガス漏出防止装置。
【請求項5】
ガス体輸送管が異常な高温に晒されたときガス流通を制限又は遮断する弁体を備えたガス漏出防止装置であって、形状記憶合金の線材を渦巻き状に巻回して形成した弁体をガス管の流路内に配置し、通常弁体が上下方向に垂れ下がるような渦巻き曲線になって弁体が開放され且つ高温に晒されたときに平面状に巻回される渦巻き曲線となって弁体が閉じられるようにしたことを特徴とするガス漏出防止装置。
【請求項1】
ガス体輸送管が異常な高温に晒されたときガス流通を制限又は遮断する弁体を備えたガス漏出防止装置であって、ガス管の流路内に弁体で開閉自在な弁座を設け、通常弁座から弁体が離間するように配置して形状記憶合金からなる保持部材で弁体を保持し、高温に晒されると形状記憶合金の保持部材の変形で保持が解除されて弁体にて弁座を閉じるようにしたことを特徴とするガス漏出防止装置。
【請求項2】
ガス体輸送管が異常な高温に晒されたときガス流通を制限又は遮断する弁体を備えたガス漏出防止装置であって、ガス管の流路内に弁体で開閉自在な弁座を設け、通常弁座から弁体が離間するように配置して磁石への磁着にて弁体を保持し、高温に晒されると磁石の磁力の低下で保持が解除されて弁体にて弁座を閉じるようにしたことを特徴とするガス漏出防止装置。
【請求項3】
ガス体輸送管が異常な高温に晒されたときガス流通を制限又は遮断する弁体を備えたガス漏出防止装置であって、ガス管の流路内に弁体で開閉自在な弁座を設け、通常弁座から弁体が離間するように配置してソレノイドで駆動される保持部材で弁体を保持し、高温に晒されるとソレノイドが動作して弁体の保持が解除されて弁体にて弁座を閉じるようにしたことを特徴とするガス漏出防止装置。
【請求項4】
ガス体輸送管が異常な高温に晒されたときガス流通を制限又は遮断する弁板を備えたガス漏出防止装置であって、透孔を有する弁座板をガス管の流路に配置すると共にこの弁座板に回転することにより弁座板の透孔を開閉する弁板を重ねて配置し、弁体をばねにて回転付勢し、通常は透孔を開放し、且つ高温に晒されたときに弁板で透孔を塞ぐ位置にばねにて弁板が移動するように弁体を形状記憶合金の支持部材で支持したことを特徴とするガス漏出防止装置。
【請求項5】
ガス体輸送管が異常な高温に晒されたときガス流通を制限又は遮断する弁体を備えたガス漏出防止装置であって、形状記憶合金の線材を渦巻き状に巻回して形成した弁体をガス管の流路内に配置し、通常弁体が上下方向に垂れ下がるような渦巻き曲線になって弁体が開放され且つ高温に晒されたときに平面状に巻回される渦巻き曲線となって弁体が閉じられるようにしたことを特徴とするガス漏出防止装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2004−19690(P2004−19690A)
【公開日】平成16年1月22日(2004.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−171788(P2002−171788)
【出願日】平成14年6月12日(2002.6.12)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成16年1月22日(2004.1.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成14年6月12日(2002.6.12)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】
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