説明

ガス開閉器

【課題】ガス容器の外側に減圧ロック機構の構成部品が配置されるガス開閉器において、減圧ロック機構の構成部品が周囲環境の影響を受けて動き難くなるのを防止する。
【解決手段】ガス開閉器のガス容器2内の圧力の変化に応動する作動軸6aを備えて、該作動軸がガス容器の一つの壁部2aの外側に導出された圧力検知機構6と、ガス容器の外側に取り付けられて作動軸6aがガス容器内の圧力の低下に応動したときに回動する出力部7aを有する圧力検知ロック機構部7と、この圧力検知ロック機構部7の出力部7aに機械的に結合されて該出力部とともに回動させられる入力部9aと該入力部が回動したときにガス開閉器1の操作ハンドル4の操作を妨げるロック位置まで回動させられるロックレバー901とを備えた操作ハンドルロック機構部9と、ロック機構部7,9の構成部品を覆うカバー8とにより減圧ロック機構5を構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁ガスが封入されたガス容器内に開閉器の接触子と操作機構とを収容したガス開閉器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ガス開閉器は、特許文献1に示されているように、SFガスなどの絶縁ガスを消孤媒体として封入したガス容器内に、固定接触子及び可動接触子と、可動接触子を操作する操作機構とを収容したもので、装柱されたり、地上設置型変電設備のケース内に収容されたりして使用される。
【0003】
ガス開閉器では、所定の消孤性能を得て操作者の安全を確保するために、ガス容器内の圧力を規定値以上に保つことが必要であり、万一ガス容器内のガス圧が規定値未満に低下した場合には、その操作を禁止する必要がある。そのため、ガス開閉器には、ガス容器内のガス圧が規定値未満に低下したときに操作ハンドルを操作することができないようにロックする減圧ロック機構を設けることが必要である。
【0004】
減圧ロック機構は、特許文献1に示されているように、ガス容器内の圧力の変化に応動する作動軸を備えて、該作動軸がガス容器の外側に導出されたベローズと、ロック位置と非ロック位置との間をスライドし得るように設けられていて、ロック位置にあるときに開閉器の操作ハンドルに係合して該操作ハンドルの操作を阻止するロック棒と、ロック棒をロック位置に向けて付勢するバネと、ガス容器内のガス圧が規定値以上あってベローズの差動棒がガス容器の外側に所定長さ以上突出した状態にあるときに該差動棒の働きによりロック棒を非ロック位置に係止し、ガス容器内のガス圧が規定値未満になって差動棒の突出長が短くなったときにロック棒の係止を外して該ロック棒がバネの付勢力によりロック位置に向けてスライドするのを許容する係止機構とにより構成される。
【0005】
この種のガス開閉器においては、ガス容器が大形になるのを避けるために、減圧ロック機構の構成部品のうち、ロック棒と、該ロック棒をスライド自在に支持する支持部材と、ロック棒の係止機構とをガス容器の外部に配置して、ロック棒をロック位置で直接操作ハンドルに係合させることにより操作ハンドルの操作にロックをかけるようにしている。
【0006】
ガス開閉器としては、大形の容器内をガス室と機構室とに区画してガス室内に接触子を収容し、機構室にその操作機構と減圧ロック機構とを収容して、ガス圧が低下したときに操作機構をロックすることにより操作ハンドルの操作にロックをかけるようにしたものもあるが、このように構成した場合には、容器が大形になってガス開閉器全体が大形になるのを避けられない。
【0007】
容器が大形になるのを防いでガス開閉器全体をコンパクトに構成するためには、ガス容器内に接触子とその操作機構とを収容して、減圧ロック機構のロック棒と、該ロック棒をスライド自在に支持する支持部材と、ロック棒の係止機構とをガス容器の外部に配置する構成をとらざるを得ない。このように、減圧ロック機構の主要な構成部品をガス容器の外部に配置する形式のガス開閉器においては、特許文献1にも示されているように、減圧ロック機構の構成部品を空気中に露呈させた状態で配置していた。
【特許文献1】特開2003−45299号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に示されたように、減圧ロック機構の主要な構成部品をガス容器の外部に配置する形式のガス開閉器においては、該構成部品を空気中に露呈させた状態で配置していたため、周囲環境の影響によりロック棒の外面が汚染されたり、ロック棒と該ロック棒をスライド自在に支持している支持部材との間に浸入した水気が寒冷時に凍結したりした場合に、ロック棒が動くことができなくなったり、動きにくくなったりして、ガス圧の低下時に減圧ロック機構による保護動作が正常に行なわれなくなるという問題があった。
【0009】
このような問題を解決するため、ガス容器外に配置された減圧ロック機構の構成部品を覆うカバーをガス容器の外部に取り付けて、減圧ロック機構の構成部品を周囲の環境から保護することが考えられる。この場合、減圧ロック機構を覆うカバーには、ロック棒をスライド自在に貫通させるガイド孔を設けて、ガス圧の低下時にこのガイド孔を通してロック棒を操作ハンドルに係合させる必要がある。
【0010】
ところが、減圧ロック機構の構成部品を覆うカバーは、ガス容器の外面にパッキンやガスケットなどのシール部材を介して取りつける必要があるため、カバーを取り付ける際のシール部材の圧縮量のばらつきによりロック棒を貫通させるガイド孔の位置にばらつきが生じ、カバーのガイド孔とロック棒との間の位置合わせが難しいという問題が生じる。
【0011】
万一カバーのガイド孔とロック棒との間の位置関係の調整を正確に行なうことができなかった場合には、ロック棒とガイド孔の内面との間の摩擦抵抗が大きくなって、ロック棒を円滑にスライドさせることができなくなり、減圧ロック機構を円滑に動作させることができなくなるおそれがある。またカバーを正しく取り付けることができたとしても、ロック棒とカバーのガイド孔の内周との間の隙間に塵が詰まったり、ロック棒とカバーのガイド孔の内周との間の隙間に雨水などが浸入して、該隙間内で水分が凍結したりした場合にロック棒が動きにくくなるため、ガス圧低下時にロック機構がうまく働かないおそれがあり、減圧ロック機構による保護動作の信頼性が低下するという問題が生じる。
【0012】
本発明の目的は、ガス容器の外側に減圧ロック機構の構成部品が配置されるタイプのガス開閉器において、減圧ロック機構の構成部品が周囲環境の影響を受けて動きにくくなったり、動かなくなったりするのを防いで、ガス圧低下時の保護動作の信頼性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、接触子とその操作機構とを収容したガス容器と、該ガス容器の一つの壁部を貫通させて設けられた操作機構の操作軸と、該操作軸に取り付けられて回動操作される操作ハンドルと、ガス容器内の圧力が低下したときに操作ハンドルの操作を阻止する減圧ロック機構とを備えたガス開閉器に係わるものである。
【0014】
本発明においては、減圧ロック機構が、ガス容器内の圧力の変化に応動する作動軸を備えて該作動軸がガス容器の前記一つの壁部の外側に導出された圧力検知機構と、ガス容器の外側に取り付けられて圧力検知機構の作動軸がガス容器内の圧力の低下に応動したときに回動する出力部を有する圧力検知ロック機構部と、圧力検知ロック機構部の出力部に機械的に結合されて該出力部とともに回動させられる入力部と該入力部が回動したときに操作ハンドルの操作を妨げるロック位置まで回動させられるロックレバーとを備えた操作ハンドルロック機構部とにより構成される。
【0015】
上記のように構成すると、ガス容器内のガス圧が低下したときに圧力検知ロック機構部の出力部が回動させられ、この圧力検知ロック機構部の出力部の回動に伴って操作ハンドルロック機構部の入力部が回動させられて、ロックレバーがロック位置まで回動させられるため、該ロックレバーにより操作ハンドルの回動が妨げられ、操作ハンドルの操作が禁止される。
【0016】
一般に回動運動を行なう軸は、スライド運動を行なう軸とは異なり、その表面が汚損されたり、付着した水分が凍結したりしても、その運動が妨げられることはほとんどない。そのため、上記のように、ガス圧低下時に出力部が回動運動を行なうように圧力検知ロック機構部を構成すると共に、ロック動作時にスライド運動を行なうロック棒の代りに回動運動を行なうロックレバーを操作ハンドルをロックする部材として用いて、ガス圧が低下したときに生じる圧力検知ロック機構部の出力部の回動運動を操作ハンドルロック機構の入力部を介してロックレバーに伝達する構造にすると、周囲環境により各部の回動軸の表面が汚損されたり、表面に付着した水分が凍結したりした場合でもガス圧低下時にロックレバーを回動させてロック動作を確実に行なわせることができる。従って本発明によれば、周囲環境による汚染や凍結などによりロック動作が妨げられるのを防いで、ガス圧低下時の保護動作の信頼性を高めることができる。
【0017】
本発明の好ましい態様では、圧力検知ロック機構部を内部に収容した袋状のカバーがガス容器にシール部材を介して取り付けられ、操作ハンドルロック機構部の構成部品のうち、ロックレバー以外の構成部品がカバー内に配置される。ロックレバーはカバーの外側に配置されてカバーに軸支される。
【0018】
上記のように圧力検知ロック機構部及び操作とハンドルロック機構部の構成部品の大部分を覆うカバーをシール部材を介してガス容器に取り付けると、減圧ロック機構の構成部品が周囲環境の影響を受けて汚損されたり、構成部品に雨水が付着して凍結したりするおそれを無くすことができるため、減圧ロック機構の動作の信頼性を高めることができる。
【0019】
上記のようにカバーが設けられる場合、本発明の好ましい態様では、圧力検知ロック機構部の出力部及び操作ハンドルロック機構部の入力部の一方及び他方にそれぞれ互いに噛み合うことができる雄形結合部及び雌形結合部が設けられて、雄形結合部と雌形結合部とが相互間にカバーの取り付け方向に沿った相対的な変位が許容された状態で互いに噛み合うことにより出力部と入力部とが機械的に結合される。
【0020】
上記のように、圧力検知ロック機構部の出力部と操作ハンドルロック機構部の入力部とを、カバーの取り付け方向(シール部材の圧縮方向)への相対的な変位が相互間に許容された雄形結合部と雌形結合部との噛み合いにより機械的に結合するようにすると、カバーとガス容器との間に介在させるシール部材の圧縮量の如何に関わりなく、圧力検知ロック機構部の出力部と操作ハンドルロック機構部の入力部とを正しく結合して、減圧ロック機構を組み立てることができるので、減圧ロック機構の組立を困難にすることなく減圧ロック機構の構成部品を覆うカバーを設けることができる。
【0021】
通常、圧力検知機構は、ガス容器内の圧力が規定値以上あるときに圧力検知機構の作動軸がガス容器の一つの壁部から外側に設定長さ以上突出した状態になるように構成される。
【0022】
この場合、本発明の好ましい態様では、圧力検知ロック機構部が、ガス容器の一つの壁部と直交する方向に延びる回動中心軸線を中心にして係止位置と開放位置との間を回動し得るように設けられた第1の結合部材と、ガス容器内の圧力が規定値以上であるときに圧力検知機構の作動軸の働きにより第1の結合部材を係止位置に係止し、ガス容器内の圧力が規定値未満になったときに第1の結合部材の係止を外して該第1の結合部材の開放位置側への回動を許容する係止機構とにより構成され、この圧力検知ロック機構部がガス容器の前記一つの壁部の外側に支持される。カバーは、圧力検知ロック機構部を覆うようにガス容器の前記一つの壁部の外面にシール部材を介して取り付けられる。
【0023】
また操作ハンドルロック機構部は、前記回動中心軸線に軸線を一致させた状態でカバーに回転自在に支持された出力軸と、カバー内に配置されて出力軸に固定されるとともに第1の結合部材に機械的に結合された第2の結合部材と、カバーの外側で出力軸に固定されて第1の結合部材が係止位置にあるとき及び開放位置にあるときにそれぞれ非ロック位置及びロック位置に配置されるロックレバーとにより構成され、第1の結合部材を係止位置から開放位置側に付勢するための付勢手段が、圧力検知ロック機構部及び操作ハンドルロック機構部の少なくとも一方に設けられる。
【0024】
更に第1の結合部材及び第2の結合部材の一方及び他方にそれぞれ互いに噛み合うことができる雄形結合部及び雌形結合部が設けられて、雄形結合部と雌形結合部とが相互間に前記回動中心軸線に沿った相対的な変位が許容された状態で互いに噛み合うことにより第1の結合部材と第2の結合部材とが機械的に結合される。
【0025】
またロックレバーが非ロック位置にあるときに操作ハンドルの回動操作が許容され、ロックレバーがロック位置にあるときにロックレバーと操作ハンドルとの係合により操作ハンドルの回動操作が妨げられるように、ロックレバーと操作ハンドルとの間の位置関係とロックレバー及び操作ハンドルの形状とが設定される。
【0026】
上記のように構成する場合、第1の結合部材が圧力検知ロック機構部の出力部を構成し、第2の結合部材が操作ハンドルロック機構部の入力部を構成する。
【0027】
本発明の他の好ましい態様では、上記圧力検知ロック機構部が、ガス容器の前記一つの壁部と直交する方向に延びる回動中心軸線を中心にして係止位置と開放位置との間を回動し得るように設けられた第1の結合部材と、ガス容器の一つの壁部から外側に前記設定長さ以上突出した状態にある圧力検知機構の作動軸に係合して係止された状態に保持される作用位置と該作用位置から離れた退避位置との間を直線変位自在に設けられて前記作用位置にあるときに係止位置にある第1の結合部材に係合して該第1の結合部材が前記開放位置側に回動するのを阻止する係止部材と、該係止部材を前記作用位置から退避位置側に変位させるように付勢する第1の付勢手段とを備えて、ガス容器内の圧力が規定値未満に低下して前記作動軸の突出長さが設定長さ未満になることにより前記係止部材の係止が外されたときに該係止部材が第1の付勢手段による付勢力により退避位置側に変位させられて第1の結合部材の開放位置側への回動が許容されるように構成される。
【0028】
またカバーは、底壁部と側壁部とを有する袋状の形に形成されて圧力検知ロック機構部を内側に収容した状態でガス容器の前記一つの壁部の外面にシール部材を介して取り付けられる。
【0029】
操作ハンドルロック機構部は、第1の結合部材の回動中心軸線に軸線を一致させた状態でカバーの底壁部に回転自在に支持された出力軸と、カバー内に配置されて前記出力軸に固定されるとともに第1の結合部材に機械的に結合された第2の結合部材と、カバーの外側で前記出力軸に固定されて前記第1の結合部材が係止位置にあるとき及び開放位置にあるときにそれぞれ非ロック位置及びロック位置に配置されるロックレバーとにより構成され、第1の結合部材を係止位置から開放位置側に付勢するための第2の付勢手段が、圧力検知ロック機構部及び操作ハンドルロック機構部の少なくとも一方に設けられる。
【0030】
また第1の結合部材及び第2の結合部材の一方及び他方にそれぞれ互いに噛み合うことができる雄形結合部及び雌形結合部が設けられて、該雄形結合部と雌形結合部とが相互間に前記回動中心軸線に沿った相対的な変位が許容された状態で互いに噛み合うことにより、前記第1の結合部材と第2の結合部材とが機械的に結合される。
【0031】
そして、圧力検知機構の作動軸による係止部材の係止が外れた際に、第2の付勢手段から第1の結合部材を通して係止部材に与えられている付勢力に抗して係止部材を退避位置側に変位させることができるようにするために、第1の付勢手段から係止部材に与えられる付勢力が第2の付勢手段から第1の結合部材を通して係止部材に与えられる付勢力よりも大きくなるように第1の付勢手段及び第2の付勢手段の付勢力が設定される。
【0032】
またロックレバーが非ロック位置にあるときに操作ハンドルの回動操作が許容され、ロックレバーがロック位置にあるときにロックレバーと操作ハンドルとの係合により操作ハンドルの回動操作が妨げられるように、ロックレバーと操作ハンドルとの間の位置関係とロックレバー及び操作ハンドルの形状とが設定される。
【0033】
上記圧力検知機構としては、ガス容器内に配置されたベローズと、該ベローズに一端が固定され、他端がガス容器の外部に導出された作動軸とを備えたものを用いることができる。
【発明の効果】
【0034】
以上のように、本発明によれば、ガス圧低下時に出力部が回動運動を行なうように圧力検知ロック機構部を構成するとともに、操作ハンドルをロックする部材として回動運動を行なうロックレバーを用いて、ガス圧が低下したときに生じる圧力検知ロック機構部の出力部の回動運動を操作ハンドルロック機構部の入力部を介してロックレバーに伝達する構造にしたので、周囲環境により構成部品の表面が汚損されたり、表面に付着した水分が凍結したりした場合でもガス圧低下時にロックレバーを回動させてロック動作を確実に行なわせることができる。従って本発明によれば、周囲環境による汚染や凍結などによりロック動作が妨げられるのを防いで、ガス圧低下時の保護動作の信頼性を高めることができる。
【0035】
本発明において、圧力検知ロック機構部とロックレバー以外の操作ハンドルロック機構部の構成部品とを覆うカバーをシール部材を介してガス容器に取り付けた場合には、減圧ロック機構の構成部品が周囲環境の影響を受けて汚損されたり、雨水等の水分が構成部品に付着して凍結したりするのを防ぐことができるため、減圧ロック機構の動作の信頼性を高めることができる。
【0036】
また本発明において、圧力検知ロック機構部の出力部及び操作ハンドルロック機構部の入力部の一方及び他方にそれぞれ互いに噛み合うことができる雄形結合部及び雌形結合部を設けて、これらの雄形結合部と雌形結合部とを相互間にカバーの取り付け方向に沿った相対的な変位が生じるのを許容した状態で互いに噛み合せることにより出力部と入力部とを機械的に結合するようにした場合には、カバーとガス容器との間に介在させるシール部材の圧縮量の如何に関わりなく、圧力検知ロック機構部の出力部と操作ハンドルロック機構部の入力部とを正しく結合して、減圧ロック機構を組み立てることができるので、減圧ロック機構の組立を困難にすることなく減圧ロック機構の構成部品を覆うカバーを設けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下図面を参照して本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。
図1ないし図12は本発明の一実施形態の構成を示したもので、図1(A)は一部を省略して示したガス開閉器の正面図、同図(B)は同ガス開閉器で用いる操作ハンドルの側面図、図2は図1(A)のII−II線に沿って断面して減圧ロック機構の構造を示した断面図、図3は同減圧ロック機構をカバーの正面側から見た正面図、図4は図3に示された減圧ロック機構のカバーの背面図、図5は図1のV−V線断面図、図6は図5からカバーを外して、減圧ロック機構の圧力検知ロック機構部の構成を示した断面図、図7は同減圧ロック機構の圧力検知ロック機構部の要部を図5のVII−VII線に沿って断面して示した断面図、図8は図5に示された減圧ロック機構の操作ハンドルロック機構部の構成を示した断面図、図9は本実施形態のガス開閉器で用いる減圧ロック機構のカバーのガス容器から外された状態での正面図、図10は図5に示された減圧ロック機構の操作ハンドルロック機構部のロック動作時の状態を示した正面図、図11は減圧ロック機構のロック動作時の状態を示す図5と同様の断面図、図12は減圧ロック機構の圧力検知ロック機構部のロック動作時の状態を示した正面図である。
【0038】
図1ないし図12に示されたガス開閉器1は、地上設置型変電設備のケース内に変圧器等の他の構成機器と共に収容されるもので、図1ないし図5において、2は消孤媒体としてのSFガスが所定の圧力で封入される箱形のガス容器である。ガス容器2の一つの壁部2aの下部寄りの部分に段部2aoが形成されていて、該壁部2aの段部2aoよりも下方の部分に、該壁部2aの上部壁2a1よりも奥に後退させられたブッシング取付部2a2が形成され、ブッシング取付部2a2を貫通させて必要個数のブッシングBSが取り付けられている。
【0039】
ガス容器2内には、開閉器を構成する3相分の固定接触子及び該固定接触子に接離する3相分の可動接触子(図示せず。)と、可動接触子を操作する操作機構(図示せず。)とが収容されていて、各接触子と所定のブッシングBSの貫通導体との間が図示しない接続導体を介して接続されている。
【0040】
操作機構は回動操作される操作軸3を備えていて、該操作軸3がガス容器2の他の一つの壁部2bを通して外部に導出されている。操作軸3のガス容器2外に位置する端部に操作ハンドル4が取り付けられている。操作ハンドル4は金属板を折り曲げ加工したものからなっていて、図1(B)に示されたように、一端が操作軸3に固定された基部4Aと、基部4Aの他端から操作軸3と反対側に起立した起立部4Bと、起立部4Bの基部4Aと反対側の端部に後端部が接続されて基部4Aと平行な方向に沿って延びる把持部4Cとを一体に備えており、把持部4Cの先端部にはガス開閉器を操作する際に用いる絶縁操作棒の先端に取り付けられたフックを係合させるための孔401が形成されている。本実施形態では、操作ハンドル4が図1(A)に実線で示した切り位置にあるときに開閉器が開状態にあり、操作ハンドル4が同図に鎖線で示した入り位置まで回動させられたときに開閉器が閉状態にされるようになっている。
【0041】
操作軸3の近傍に位置させて、ガス容器2の壁部2bに、ガス容器2内のガス圧が低下したときに操作ハンドル4の操作を阻止する減圧ロック機構5が取り付けられている。図5に示されているように、本実施形態で用いられている減圧ロック機構5は、ガス容器2内の圧力の変化に応動する作動軸6aを備えて、該作動軸がガス容器2の壁部2bの外側に導出された圧力検知機構6と、ガス容器2の壁部2bの外側に取り付けられて圧力検知機構6の作動軸6aがガス容器2内の圧力の低下に応動したときに回動する出力部7aを有する圧力検知ロック機構部7と、ガス容器の壁部2bに取り付けられたカバー8と、圧力検知ロック機構部7の出力部7aに機械的に結合されて該出力部7aとともに回動させられる入力部9aと該入力部9aが回動したときに操作ハンドル4の操作を妨げるロック位置まで回動させられるロックレバー901とを備えた操作ハンドルロック機構部9とにより構成されている。
【0042】
更に詳細に説明すると、圧力検知機構6は、ガス容器2内に配置されたベローズ601を備えていて、このベローズ内の軸心部に作動軸6aが配置され、該作動軸の後端部がベローズ601の一端(自由端部)に接続されている。ベローズ601の他端は取付け金具602により閉鎖されていて、この取付け金具に設けられたボス部602aの軸心部に設けられた孔を通して作動軸6aの他端が外部に導出されている。取付け金具602のボス部602aは、ガス容器の壁部2bを貫通させて設けられた孔201を気密に貫通してガス容器の外部に導出されている。ボス部602aのガス容器外に導出された部分の外周に形成された雌ネジ部にナット603が螺合され、このナットの締め付けによりベローズ601がガス容器2に固定されている。
【0043】
図示の圧力検知機構6は、ガス容器2内のガス圧が規定値以上あって、ベローズ6bの収縮量が設定値以上あるときに作動軸6aの先端部6a1のガス容器外への突出長が設定長さ以上になり、ガス容器2内のガス圧が規定値未満になってベローズの収縮量が減少したとき(ベローズが伸張したとき)に、作動軸6aの先端部6a1のガス容器外への突出長が設定長さ未満になるように構成されている。
【0044】
図5ないし図7に示されているように、圧力検知ロック機構部7は、ガス容器2の壁部2bに一端が溶接された支持板700にボルト701により固定された支持部材702を備えている。支持部材702は、底壁部702aと該底壁部の幅方向の両端から同じ側に起立した起立壁部702b及び702cとを一体に有するU字形の部材からなっていて、底壁部702aにはベローズをガス容器に固定しているナット603を貫通させるための孔702a1が形成されている。支持部材702に設けられた貫通孔を通して起立壁部702bにボルト701,701がねじ込まれ、これらのボルトにより支持部材702が支持板700に締結されている。ボルト701を貫通させるために支持板700に設けられた貫通孔は長孔になっていて、ボルト701を緩めた状態で、支持部材702とガス容器の壁部2bとの間の距離を微調整することができるようになっている。
【0045】
支持部材702の底壁部702aには、ガス容器2の壁部2bの壁面と直交する方向に延びる軸部材703が固定され、この軸部材703の先端に形成された小径軸部703aに、圧力検知ロック機構部7の出力部7aを構成する第1の結合部材705が回動自在に取り付けられている。第1の結合部材705はレバー状の部材からなっていて、その後端部に設けられた孔に軸部材703の先端の小径軸部703aが嵌合されている。小径軸部703aの先端に設けられた孔にスナップピン706(図7参照)が係入され、このスナップピンにより第1の結合部材705の軸部材703からの抜け止めが図られている。
【0046】
第1の結合部材705は、軸部材703の軸線を回動中心軸線として、図7に示されたように係止部材710により係止された状態になる係止位置と、図12に示されたように支持部材の起立壁部702cに当接した状態になる開放位置との間を回動させられる。第1の結合部材705の後端部は、相対する側面705a,705aが回動軸の軸線と直交する方向に沿って互いに平行に延びるように帯板状に形成されていて、この帯板状に形成された第1の結合部材705の後端部が圧力検知ロック機構部7の雄形結合部となっている。第1の結合部材705の先端部寄りの部分は先細りとなる形状に形成されていて、該結合部材705の先端部には丸みが付けられている。
【0047】
支持部材702の底壁部702aの幅方向の両端から起立した相対する側壁部702b及び702cにはそれぞれ大径のガイド孔702b1及び小径のガイド孔702c1が形成され、これらのガイド孔をスライド自在に貫通させてスライド棒711が支持されている。図示の例では、スライド棒711の一端寄りの部分及び他端寄りの部分がそれぞれ大径部711a及び小径部711bとなっていて、これら大径部711aと小径部711bとの間に中径部711cが形成され、大径部711a及び小径部711bがそれぞれガイド孔702b1及び702c1にスライド自在に嵌合されている。
【0048】
係止部材710は円板状の部材からなっていて、該係止部材の中心部を軸線方向に貫通させた孔にスライド棒711の中径部711cが嵌合されている。係止部材710は、スライド棒の大径部711aと中径部711cとの間に形成された段部に当接されて位置決めされている。図7に示されているように、スライド棒711の小径部711bに嵌合された座金712が係止部材710に当接され、この座金712と支持部材702の起立壁部702cとの間に圧縮コイルバネ713が配設されている。この例では、ガス容器2内のガス圧が規定値以上あって圧力検知機構6の作動軸6aの先端部の突出長が設定長さ以上あるときに作動軸6aの先端部6a1が係止部材の側面に係合して係止部材710を係止し、ガス容器内のガス圧が規定値未満になって作動軸6aの先端部の突出長が設定長さ未満になったときに作動軸6aの先端部6a1が係止部材710から外れて係止部材710の係止を外すように、係止部材710の直径が設定されている。
【0049】
係止部材710は、図7に示したように第1の結合部材705の先端部に係合して該第1の結合部材705を係止位置に係止した状態になる作用位置と、図12に示したように第1の結合部材の係止を解除して支持部材702の起立壁部702bに当接した状態になる退避位置との間を自在に直線変位するように設けられていて、ガス容器2内のガス圧が規定値以上あるときに、圧力検知機構の作動軸6aにより係止されて図7に示す作用位置に保持され、ガス圧が規定値未満になって作動軸6aによる係止が外されたときにバネ713の付勢力により図12に示す退避位置まで変位させられる。
【0050】
本実施形態では、コイルバネ713により、係止部材710を作用位置から退避位置側に変位させるように付勢する第1の付勢手段が構成されている。そして、この第1の付勢手段と、係止部材710と、ガイド棒711とにより、ガス容器内の圧力が規定値以上であるときに作動軸6aの働きにより第1の結合部材705を係止位置に係止し、ガス容器内の圧力が規定値未満になったときに第1の結合部材705の係止を外して該第1の結合部材の開放位置側への回動を許容する係止機構が構成され、この係止機構と第1の結合部材705とにより圧力検知ロック機構部7が構成されている。
【0051】
カバー8は、矩形状の底壁部801と該底壁部の周縁部から立ち上がった側壁部802とを有する袋状の形に形成されて、圧力検知ロック機構部7を内側に収容した状態でガス容器2の壁部2bの外面にシール部材を介して取り付けられる。図示の例では、側壁部802の開口端に外側に張り出したつば部803が形成され、つば部803に取付孔804が形成されている。ガス容器2の壁部2bの外面には、カバー8の側壁部802の内面に嵌合してカバー8を位置決めする枠体10が固定され、該枠体10を取り囲むようにシール部材であるガスケット11が配置されている。カバー8は、つば部803をガスケット11を介してガス容器の壁部2bに当接させるとともに、ガス容器2の壁部2bに固定されたスタッドボルト12を取付孔804に嵌合させ、かつ枠体10を側壁部802の内側に嵌合させた状態で配置されて、各スタッドボルト12に螺合されたナット13によりガス容器2に締結されている。ガスケット11はつば部803とガス容器の壁部2bとの間に圧縮された状態で配置されてカバー8の取付部を液密にシールする。
【0052】
カバー8の底壁部801には、支持部材702に固定された軸部材703と軸線を共有するボス部材902が取り付けられている。ボス部材902はカバーの底壁部801に形成された取付孔を貫通させた状態で配置されて、その外周部がカバーの底壁部801に溶接されている。ボス部材902には、ロックレバー901の後端部に一端が固定された出力軸903が回転自在に嵌合され、カバー8内に導入された出力軸903の他端に操作ハンドルロック機構9の入力部9aを構成する第2の結合部材904が取り付けられている。
【0053】
第2の結合部材904は、基部904aと該基部904aの両端から起立した1対の起立壁部904b,904bとを有する断面コの字形の部材からなっている。第2の結合部材904の基部904aの中央部を貫通した状態で角孔904a1(図4参照)が形成され、出力軸903の他端に形成された断面矩形状の部分が角孔904a1に嵌合されて出力軸903と第2の結合部材904との間の回り止めが図られている。基部904aの角孔を貫通してカバー8内に突出した出力軸903の他端にスナップピン905が取り付けられ、このスナップピン905により第2の結合部材904の出力軸903からの抜け止めが図られている。
【0054】
本実施形態では、第2の結合部材904が、第1の結合部材705の後端部(雄形結合部)と噛み合う雌形結合部を構成しており、図1、図2及び図6に示されているように、カバー8をガス容器に取り付けた状態で、第2の結合部材904の起立壁部904b,904bの間に圧力検知ロック機構部7の第1の結合部材705の後端部が嵌合されることにより、第1の結合部材705の後端部(雄形結合部)と第2の結合部材904(雌形結合部)とが噛み合わされて、第2の結合部材904と第1の結合部材705とが(圧力検知ロック機構部7の出力部7aと操作ハンドルロック機構部9の入力部9aとが)、相互間に第1の結合部材705の回動中心軸線に沿った(カバー8の取付方向に沿った)相対的な変位が許容された状態で機械的に結合されている。ロックレバー901は、帯板状の金属板の先端に該金属板の板面に対して直角に立ち上がったストッパ部901aを形成した部材からなっていて、その帯板状の部分をカバー8の底壁部801に対向させた状態で配置されている。
【0055】
ボス部材902をカバー8内で取り囲むように巻バネ906が配置されている。この巻バネ906の一端は第2の結合部材904に固定され、他端906aはカバー8の側壁部802の内面に当接されている。この巻バネ906の付勢力は、第2の結合部材904から第1の結合部材705を通して第1の結合部材705に伝達される。また第1の結合部材705の先端が係止部材710の外周に当接して係止されている状態では、巻バネ906の付勢力が第1の結合部材705から係止部材710に伝達される。この例では、巻バネ906により、第1の結合部材705を係止位置から開放位置側に付勢するための第2の付勢手段が構成されている。
【0056】
本実施形態では、ロックレバー901と、該ロックレバーに固定されてカバー8に回転自在に支持された出力軸903と、第2の結合部材904とにより操作ハンドルロック機構部9が構成されている。ロックレバー901は、図7に示すように係止部材710が第1の結合部材705を係止しているときに図2及び図3に実線で示した非ロック位置に配置され、図11及び図12に示されているように係止部材710が退避位置に変位して第1の結合部材705の係止を外したときに、バネ906の付勢力により、図1に細線で示され、図10に実線で示されたロック位置まで回動させられる。
【0057】
なお図9は、カバー8を取り外してロックレバー901に外力を付与しない状態にしたときのロックレバー901の位置を示している。カバー8をガス容器に取り付ける際には、図9に示された位置にあるロックレバー901を図10に示した位置(非ロック位置)まで時計方向に回動させてから第2の結合部材904を第1の結合部材705に結合する。
【0058】
図示の例では、圧力検知機構の作動軸6aによる係止部材710の係止が外れた際に、バネ906(第2の付勢手段)から第1の結合部材705を通して係止部材710に与えられている付勢力に抗して係止部材710を退避位置側に変位させることができるようにするために、バネ713(第1の付勢手段)から係止部材710に与えられる付勢力がバネ906(第2の付勢手段)から第1の結合部材705を通して係止部材710に与えられる付勢力よりも大きくなるように、圧縮コイルバネ713及び巻バネ906の付勢力が設定されている。
【0059】
またロックレバー901が図1に実線で示した非ロック位置にあるときに操作ハンドル4の回動操作が許容され、ロックレバー901が図1に細線で示したロック位置にあるときにロックレバー901の先端のストッパ部と操作ハンドルとの係合により操作ハンドルの回動操作が妨げられるように、ロックレバー901と操作ハンドル4との間の位置関係とロックレバー901及び操作ハンドル4の形状とが設定されている。
【0060】
図示の例では、ロックレバー901が非ロック位置にあるときに、操作ハンドル4の起立部4Bがロックレバー901のストッパ部901aに触れることなく切り位置と入り位置との間を回動することができ、ロックレバー901がロック位置にあるときに操作ハンドル4が切り位置から入り位置に向けて回動する過程、及び入り位置から切り位置に向けて回動する過程で操作ハンドル4の起立部4Bがロックレバー901のストッパ部901aに当接して、操作ハンドル4の回動が妨げられる(操作ハンドルの操作が禁止される)ようになっている。
【0061】
上記の実施形態において、ガス容器2内のガス圧が規定値以上であるときには、図2、図5及び図7に示すように圧力検知機構6の作動軸6aの先端6a1が係止部材710の側面に当接して該係止部材710を作用位置に係止している。この状態では第1の結合部材705の先端が係止部材710の外周に当接して該第1の結合部材705が係止位置に係止され、ロックレバー901は図3に示す非ロック位置にある。このとき操作ハンドル4はロックレバー901に妨げられることなく、入り位置から切り位置まで、及び切り位置から入り位置まで回動することができる。従って開閉器の操作は支障なく行なわれる。
【0062】
これに対し、ガス容器2内のガス圧が規定値未満に低下したときには、圧力検知機構6の作動軸6aが係止部材710から外れるため、バネ713の付勢力により係止部材710が図11及び図12に示した退避位置まで変位し、第1の結合部材705の係止を外す。これにより第1の結合部材705が図11に示す開放位置まで回動するため、ロックレバー901が図10に示すようにロック位置まで回動する。この状態では、操作ハンドル4が入り位置から切り位置まで回動する過程及び切り位置から入り位置まで回動する過程で、操作ハンドル4の起立部4Bがロックレバー901のストッパ部901aに当接してその回動が妨げられるため、開閉器の投入操作及び開放操作が禁止される。
【0063】
上記のように、ガス容器2内のガス圧低下時に出力部が回動運動を行なうように圧力検知ロック機構部7を構成するとともに、操作ハンドル4をロックする部材として回動運動を行なうロックレバー901を用いて、ガス圧が低下したときに生じる圧力検知ロック機構部7の出力部の回動運動を操作ハンドルロック機構9の入力部を介してロックレバー901に伝達するようにすると、周囲環境により構成部品の表面が汚損されたり、表面に付着した水分が凍結したりした場合でもガス圧低下時にロックレバーを回動させてロック動作を確実に行なわせることができる。
【0064】
また上記のように、圧力検知ロック機構部7とロックレバー901以外の操作ハンドルロック機構部9の構成部品を覆うカバー8をシール部材11を介してガス容器2に取り付けるようにすると、減圧ロック機構の構成部品が周囲環境の影響を受けて汚損されたり、雨水等の水分が構成部品に付着して凍結したりするのを防ぐことができるため、減圧ロック機構の動作の信頼性を高めることができる。
【0065】
また上記のように、圧力検知ロック機構部7の出力部及び操作ハンドルロック機構部9の入力部の一方及び他方にそれぞれ互いに噛み合うことができる雄形結合部及び雌形結合部を設けて、これらの雄形結合部と雌形結合部とを相互間にカバーの取り付け方向に沿った相対的な変位が生じるのを許容した状態で互いに噛み合せることにより出力部と入力部とを機械的に結合するようにしておくと、カバー8とガス容器2との間に介在させるシール部材11の圧縮量の如何に関わりなく、圧力検知ロック機構部7の出力部と操作ハンドルロック機構部9の入力部とを正しく結合して、減圧ロック機構を組み立てることができる。従って、減圧ロック機構の組立を困難にすることなく減圧ロック機構の構成部品を覆うカバー8を設けることができる。
【0066】
上記の例では、圧力検知ロック機構部7の出力部7aに雄形結合部を設け、操作ハンドルロック機構部9の入力部9aに雌形結合部を設けて両者を噛み合わせることにより圧力検知ロック機構部7の出力部7aと操作ハンドルロック機構部9の入力部9aとを機械的に結合するようにしたが、圧力検知ロック機構部7の出力部7aに雌形結合部を設け、操作ハンドルロック機構部9の入力部9aに雄形結合部を設けて両者を噛み合わせることにより圧力検知ロック機構部7の出力部7aと操作ハンドルロック機構部9の入力部9aとを機械的に結合するようにしてもよい。
【0067】
上記の実施形態では、係止部材710とバネ713とにより第1の結合部材705を係止する係止機構を構成したが、図13に示したように、圧力検知機構の作動軸6aの先端を直接第1の結合部材705の側面に係合させることにより第1の係合部材705を係止位置に係止するようにしてもよい。この場合は、圧力検知機構の作動軸6aにより第1の結合部材705を係止する係止機構が構成される。
【0068】
上記の実施形態では、第1の結合部材を係止位置から開放位置側に付勢する付勢手段として、巻バネ906を操作ハンドルロック機構部9側に設けたが、この付勢手段は圧力検知ロック機構部7側に設けても良く、圧力検知ロック機構部及び操作ハンドルロック機構部の双方に設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】(A)は本発明に係わるガス開閉器を一部省略して示した正面図、(B)は同ガス開閉器で用いられている操作ハンドルの側面図である。
【図2】図1(A)のII−II線に沿って断面して本実施形態のガス開閉器で用いられている減圧ロック機構の構造を示した断面図である。
【図3】同減圧ロック機構をカバーの正面側から見た正面図である。
【図4】図3に示された減圧ロック機構のカバーの背面図である。
【図5】図1のV−V線断面図である。
【図6】図5からカバーを外して、減圧ロック機構の圧力検知ロック機構部の構成を示した断面図である。
【図7】同減圧ロック機構の圧力検知ロック機構部の要部を図5のVII−VII線に沿って断面して示した断面図である。
【図8】図5に示された減圧ロック機構の操作ハンドルロック機構部の構成を示した断面図である。
【図9】本実施形態の減圧ロック機構において用いるカバーのガス容器から外された状態での正面図である。
【図10】図5に示された減圧ロック機構の操作ハンドルロック機構部のロック動作時の状態を示した正面図である。
【図11】本発明の実施形態で用いる減圧ロック機構のロック動作時の状態を示した図5と同様の断面図である。
【図12】本発明の実施形態で用いる減圧ロック機構の圧力検知ロック機構部のロック動作時の状態を示した正面図である。
【図13】本発明に係わる減圧ロック機構の圧力検知ロック機構部の変形例を示した図8と同様の断面図である。
【符号の説明】
【0070】
1 ガス開閉器
4 操作ハンドル
5 減圧ロック機構
6 圧力検知機構
6a 作動軸
7 圧力検知ロック機構部
7a 出力部
705 第1の結合部材
710 係止部材
713 圧縮コイルバネ
8 カバー
9 操作ハンドルロック機構部
9a 入力部
901 ロックレバー
904 第2の結合部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接触子とその操作機構とを収容したガス容器と、該ガス容器の一つの壁部を貫通させて設けられた前記操作機構の操作軸と、該操作軸に取り付けられて回動操作される操作ハンドルと、前記ガス容器内の圧力が低下したときに前記操作ハンドルの操作を阻止する減圧ロック機構とを備えたガス開閉器において、
前記減圧ロック機構は、前記ガス容器内の圧力の変化に応動する作動軸を備えて、該作動軸が前記ガス容器の前記一つの壁部の外側に導出された圧力検知機構と、前記ガス容器の外側に取り付けられて前記作動軸が前記ガス容器内の圧力の低下に応動したときに回動する出力部を有する圧力検知ロック機構部と、前記圧力検知ロック機構部の出力部に機械的に結合されて該出力部とともに回動させられる入力部と該入力部が回動したときに前記操作ハンドルの操作を妨げるロック位置まで回動させられるロックレバーとを備えた操作ハンドルロック機構部とを具備しているガス開閉器。
【請求項2】
前記圧力検知ロック機構部を内部に収容した袋状のカバーが前記ガス容器にシール部材を介して取り付けられ、前記操作ハンドルロック機構部の構成部品のうち、前記ロックレバー以外の構成部品が前記カバー内に配置され、前記ロックレバーは前記カバーの外側に配置されて前記カバーに軸支されている請求項1に記載のガス開閉器。
【請求項3】
前記圧力検知ロック機構部の出力部及び操作ハンドルロック機構部の入力部の一方及び他方にそれぞれ互いに噛み合うことができる雄形結合部及び雌形結合部が設けられていて、前記雄形結合部と雌形結合部とが相互間に前記カバーの取り付け方向に沿った相対的な変位が許容された状態で互いに噛み合って前記出力部と入力部とが機械的に結合されている請求項2に記載のガス開閉器。
【請求項4】
接触子とその操作機構とを収容したガス容器と、該ガス容器の一つの壁部を貫通させて設けられた前記操作機構の操作軸と、該操作軸に取り付けられて回動操作される操作ハンドルと、前記ガス容器内の圧力が低下したときに前記操作ハンドルの操作を阻止する減圧ロック機構とを備えたガス開閉器において、
前記減圧ロック機構は、
前記ガス容器内の圧力の変化に応動する作動軸を備えて、前記ガス容器内の圧力が規定値以上あるときに前記作動軸が前記ガス容器の一つの壁部から外側に設定長さ以上突出した状態になる圧力検知機構と、
前記ガス容器の前記一つの壁部と直交する方向に延びる回動中心軸線を中心にして係止位置と開放位置との間を回動し得るように設けられた第1の結合部材と、前記ガス容器内の圧力が規定値以上であるときに前記作動軸の働きにより前記第1の結合部材を係止位置に係止し、前記ガス容器内の圧力が規定値未満になったときに前記第1の結合部材の係止を外して該第1の結合部材の前記開放位置側への回動を許容する係止機構とを備えて、前記ガス容器の前記一つの壁部の外側に支持された圧力検知ロック機構部と、
前記圧力検知ロック機構部を覆うように前記ガス容器の前記一つの壁部の外面にシール部材を介して取り付けられたカバーと、
前記回動中心軸線に中心軸線を一致させた状態で前記カバーに回転自在に支持された出力軸と、前記カバー内に配置されて前記出力軸に固定されるとともに前記第1の結合部材に機械的に結合された第2の結合部材と、前記カバーの外側で前記出力軸に固定されて前記第1の結合部材が係止位置にあるとき及び開放位置にあるときにそれぞれ非ロック位置及びロック位置に配置されるロックレバーとを備えた操作ハンドルロック機構部と、
前記第1の結合部材を係止位置から開放位置側に付勢するために前記圧力検知ロック機構部及び操作ハンドルロック機構部の少なくとも一方に設けられた付勢手段とを具備し、 前記第1の結合部材及び第2の結合部材の一方及び他方にそれぞれ互いに噛み合うことができる雄形結合部及び雌形結合部が設けられていて、前記雄形結合部と雌形結合部とが相互間に前記回動中心軸線に沿った相対的な変位が許容された状態で互いに噛み合うことにより前記第1の結合部材と第2の結合部材とが機械的に結合され、
前記ロックレバーが非ロック位置にあるときに前記操作ハンドルの回動操作が許容され、前記ロックレバーがロック位置にあるときに前記ロックレバーと操作ハンドルとの係合により前記操作ハンドルの回動操作が妨げられるように、前記ロックレバーと操作ハンドルとの間の位置関係と前記ロックレバー及び操作ハンドルの形状とが設定されているガス開閉器。
【請求項5】
接触子とその操作機構とを収容したガス容器と、該ガス容器の一つの壁部を貫通させて設けられた前記操作機構の操作軸と、該操作軸に取り付けられて前記開閉装置を開閉させるために回動操作される操作ハンドルと、前記ガス容器内の圧力が低下したときに前記操作ハンドルの操作を阻止する減圧ロック機構とを備えたガス開閉器において、
前記減圧ロック機構は、
前記ガス容器内の圧力の変化に応動する作動軸を備えて、前記ガス容器内の圧力が規定値以上あるときに前記作動軸が前記ガス容器の一つの壁部から外側に設定長さ以上突出した状態になる圧力検知機構と、
前記ガス容器の前記一つの壁部と直交する方向に延びる回動中心軸線を中心にして係止位置と開放位置との間を回動し得るように設けられた第1の結合部材と、前記ガス容器の一つの壁部から外側に前記設定長さ以上突出した状態にある前記圧力検知機構の作動軸に係合して係止された状態に保持される作用位置と該作用位置から離れた退避位置との間を直線変位自在に設けられて前記作用位置にあるときに前記係止位置にある第1の結合部材に係合して該第1の結合部材が前記開放位置側に回動するのを阻止する係止部材と、前記係止部材を前記作用位置から退避位置側に変位させるように付勢する第1の付勢手段とを備えて、前記ガス容器内の圧力が規定値未満に低下して前記作動軸の突出長さが前記設定長さ未満になることにより前記係止部材の係止が外されたときに前記係止部材が前記第1の付勢手段による付勢力により前記退避位置側に変位させられて前記第1の結合部材の前記開放位置側への回動が許容されるように構成された圧力検知ロック機構部と、
底壁部と側壁部とを有する袋状の形に形成されて前記圧力検知ロック機構部を内側に収容した状態で前記ガス容器の前記一つの壁部の外面にシール部材を介して取り付けられたカバーと、
前記回動中心軸線に軸線を一致させた状態で前記カバーの底壁部に回転自在に支持された出力軸と、前記カバー内に配置されて前記出力軸に固定されるとともに前記第1の結合部材に機械的に結合された第2の結合部材と、前記カバーの外側で前記出力軸に固定されて前記第1の結合部材が係止位置にあるとき及び開放位置にあるときにそれぞれ非ロック位置及びロック位置に配置されるロックレバーとを備えた操作ハンドルロック機構部と、
前記第1の結合部材を係止位置から開放位置側に付勢するために前記圧力検知ロック機構部及び操作ハンドルロック機構部の少なくとも一方に設けられた第2の付勢手段とを具備し、
前記第1の結合部材及び第2の結合部材の一方及び他方にそれぞれ互いに噛み合うことができる雄形結合部及び雌形結合部が設けられていて、前記雄形結合部と雌形結合部とが相互間に前記回動中心軸線に沿った相対的な変位が許容された状態で互いに噛み合うことにより前記第1の結合部材と第2の結合部材とが機械的に結合され、
前記圧力検知機構の作動軸による前記係止部材の係止が外れた際に、前記第2の付勢手段から前記第1の結合部材を通して前記係止部材に与えられている付勢力に抗して前記係止部材を前記退避位置側に変位させることができるようにするために、前記第1の付勢手段から前記係止部材に与えられる付勢力が前記第2の付勢手段から前記第1の結合部材を通して前記係止部材に与えられる付勢力よりも大きくなるように前記第1の付勢手段及び第2の付勢手段の付勢力が設定され、
前記ロックレバーが非ロック位置にあるときに前記操作ハンドルの回動操作が許容され、前記ロックレバーがロック位置にあるときに前記ロックレバーと前記操作ハンドルとの係合により前記操作ハンドルの回動操作が妨げられるように、前記ロックレバーと操作ハンドルとの間の位置関係と前記ロックレバー及び操作ハンドルの形状とが設定されているガス開閉器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−185809(P2006−185809A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−379788(P2004−379788)
【出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(000000262)株式会社ダイヘン (990)
【Fターム(参考)】