キッチン設備
【課題】夜間等におけるキッチン設備の取っ手の使い勝手を向上すること。
【解決手段】引出し8や扉9等を備えたキッチンカウンター1において、その引出し8や扉9等に備えられる取っ手10に、下向き内面に蓄光材が設けられた指掛け部11と、この指掛け部11にその下方位置で対向配置され上向き内面に上方からの外来光を該指掛け部11に向けて反射する反射面を有する光反射部12とを備えた構成。
【解決手段】引出し8や扉9等を備えたキッチンカウンター1において、その引出し8や扉9等に備えられる取っ手10に、下向き内面に蓄光材が設けられた指掛け部11と、この指掛け部11にその下方位置で対向配置され上向き内面に上方からの外来光を該指掛け部11に向けて反射する反射面を有する光反射部12とを備えた構成。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、システムキッチン用として一体化された各種キッチン設備並びにシステムキッチンとして一体化されていないがこれに付属してその周囲で用いる各種キッチン設備に関する。
【背景技術】
【0002】
キッチン設備の一つであるキッチンカウンターではキッチン空間を、ダイニングルーム、リビングルーム、リビング兼ダイニングルーム等の隣接ルームから仕切って設置される対面式のキッチンカウンターがある(特許文献1)。
【0003】
このようなキッチンカウンターには各種の引出しや扉に取っ手が設けられている。
【0004】
また、近年、多用されつつある対面式キッチンカウンターのクッキングヒータやシンクの前方には、飛散したオイルを受け止めるガードパネルが立設されている。
【0005】
さらに、これらキッチンカウンターの周部の壁面等には布巾掛けが配備されている。
【0006】
このような取っ手、布巾掛けは、キッチンカウンター使用者が日常頻繁に使用するものであり、また、ガードパネルは対面式のキッチンカウンターではオイルの飛散防止には必要である。
【0007】
キッチンカウンター周囲は昼間であれば照明がなくても明るいが、夕方や夜間等ではキッチンカウンター周囲の照明が必須となる。このような照明が使用者の操作や停電等により消灯すると、キッチンカウンターの取っ手あるいはその周囲の布巾掛け等は見えにくくなり、使い勝手が低下する。
【0008】
また、ラインタイプの取っ手の場合、全体に統一感が持たせることができるが、その反面、取っ手の取り付け面が平坦になって変化やアクセントに乏しくなり、夜間等では特にその傾向が強くなる。
【0009】
さらに、ガードパネルも、ガラス板等の平坦で硬質な面が立設しただけであり、キッチンカウンターの意匠性、装飾性の低下をもたらし易く、変化やアクセントに乏しくなる傾向にある。
【0010】
特に、夜間等ではその傾向が強くなる。特にガードパネルが破損したときキッチン周囲に破損片が多数散乱し、夜間等ではその破損片が見えにくくなる。
【0011】
さらに、布巾掛けは数本の布巾掛けアームを基端を中心に水平方向揺動可能に支持され、それら布巾掛けアームの先端部分がキッチン空間で使用者の通路内に突き出ていることが多く、夜間等の暗い場合では、使用者が布巾掛けアームの先端部分に衝突したり接触したりするなどの不具合を生じることもある。
【特許文献1】特開2005−304875号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明により解決すべき課題は、夕方や夜間等のようにキッチン周囲の照明が必要な使用環境において使用者の操作や停電等により照明が消灯した場合でも、使用者のキッチン設備の使用上における使い勝手を向上することに加えて、使用上の興趣を増大可能とした付加価値を増すことである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(1)本発明では、キッチン設備の使用上において必要とされる特定部位に蓄光材を設けたことを特徴とするものである。
【0014】
キッチン設備は、特に限定されない。
【0015】
キッチン設備には、例えば、システムキッチン用として一体化された各種キッチン設備や、システムキッチンとして一体化されていなくても、これに付属してその周囲で用いる各種キッチン設備や、上記付属していなくて単独で用いるキッチン設備も含む広い概念である。
【0016】
上記特定部位は、特に限定せず、キッチン設備の使用上において必要とされる特定部位であればよく、例えば引出しや扉等の取っ手、ガードパネル、布巾掛け等がある。
【0017】
蓄光材は、周囲外来光の蓄光が可能な位置に設けるとよい。
【0018】
本発明では、昼間時の太陽光や夕方や夜間等では蛍光灯等により蓄光材に蓄光しておき、夕方や夜間等あるいは昼間でも暗い使用環境下で使用者の操作や停電やその他の事情により照明が消灯した場合、蓄光材が消灯までに蓄積したエネルギにより発光して特定部位を明るくすることにより使用者のキッチン設備の使用上における使い勝手を向上することができる。
【0019】
特に、特定部位が多数ある場合、その周囲の状況を各特定部位それぞれの蓄光材の発光で明るくなり、周囲の状況を容易に把握することができるようになる。
【0020】
(2)本発明では、上記特定部位がキッチン設備の引出しや扉等に備えられる取っ手であることが好ましい。
【0021】
特に、上記取っ手は、使用者が指を掛けることが可能な下向き内面を有する指掛け部を備え、この指掛け部の下向き内面に蓄光材を設けた態様が好ましい。この態様では、周囲外来光を該指掛け部の下向き内面の蓄光材にエネルギとして蓄積することができる。そして、この場合、指掛け部は下向き内面に蓄光材を設けたから、蓄光材で蓄積した光エネルギは直接、前方に放出されにくく、放出した光はソフトに特定部位を照明することができる結果、使用者にとりその使い勝手が向上するだけでなく、好ましい照明状態を得ることができる。特に、照明範囲としては特定部位あるいはその周囲だけで十分な場合、蓄光材に蓄積した光エネルギを徐々に放出するうえで好ましい。
【0022】
また、蓄光材の発光を直接、前方に放出させず、放出した光によりソフトに特定部位を照明するようにした場合、キッチン設備全体の意匠性がその発光のみで強く印象付けられずに済むと共に、キッチン設備全体の意匠性を保持しつつ、使用者に取っ手の存在を間接的にソフトに認識可能とすることができ、斬新な意匠性を付与することができるようになって好ましい。
【0023】
特に、この態様では、取っ手をアルミ材で押出し成形したり、取っ手内面を白色塗装すると、取っ手の反射部の上向き内面で反射させた周囲外来光を効率よく蓄光材に蓄光することができる。
【0024】
また、周囲環境が暗くなると、蓄光材から出た光がダウンライトのように取っ手周囲を照射し、取っ手の内面がソフト(ほのか)に、光らせることができることになり、意匠的にも斬新となる。
【0025】
また、上記取っ手は、上向き内面が外来光を該指掛け部に向けて反射する反射面となる光反射部を備えた態様とすることが好ましい。
【0026】
また、上記取っ手は、上記指掛け部と光反射部とをそれぞれのキッチン設備側の一端側で中継接続する中継部を備え、上記指掛け部と光反射部それぞれの他端側の対向間に周囲外来光を導入させるための開口を設けた態様とすることが好ましい。
【0027】
特に、上記光反射部は上記中継部との境界領域で立ち上がり傾斜面になっていることが好ましい。
【0028】
また、上記指掛け部の上記開口側一端側が下方に折れ下がって、上記蓄光材がダウンライト光源として取っ手内部で発光可能とした態様とすることが好ましい。
【0029】
以上の取っ手はラインタイプであることが好ましい。
【0030】
上記態様を備えた本発明では、光反射部により周囲外来光を指掛け部に向けて反射することにより指掛け部の下向き内面の蓄光材を照射することができる。これによって指掛け部の蓄光材に光エネルギを蓄光することができる。
【0031】
この場合、周囲外来光である照明装置からの光や自然光が照射される状態では、上方からの光が取っ手における反射部の上向き内面で反射されて、指掛け部の下向き内面に備えた蓄光材に照射されて蓄光が行われるが、この場合、取っ手をアルミ材で押出し成形したり、取っ手内面を白色塗装すると、取っ手における反射部の上向き内面で反射させた外光を効率よく蓄光材に照射して蓄光することができる。
【0032】
以上から本発明では、好ましくは上記キッチン設備が、引出しや扉等を備えたキッチン設備であり、上記特定部位がこれらキッチン設備の引出しや扉等に備えられる取っ手であり、この取っ手は、下向き内面に蓄光材が設けられた指掛け部と、上記指掛け部にその下方位置で対向配置され上向き内面に上方からの外来光を該指掛け部に向けて反射する反射面を有する光反射部と、上記指掛け部と光反射部を一端側で中継接続する中継部と、を備え、上記指掛け部と光反射部の他端側の対向間に周囲外来光を入り込ませる開口を設けた構成とすることができる。
【0033】
(3)本発明では、キッチン設備が、カウンタートップと、このカウンタートップに少なくともIH型クッキングヒータとシンクとが並列に組み込まれてユニット化されていると共にそのクッキングヒータ前方のカウンタートップにガードパネルが立設されたキッチンカウンターであり、上記特定部位が、ガードパネルであり、このガードパネルに蓄光材が設けられていることが好ましい。
【0034】
この場合、蓄光材は模様化されていることがより好ましい。
【0035】
この態様では、幅広く、かつ、高く立設されたガードパネルが蓄光材によって光ることで、離れた位置からでも容易にキッチン設備の配置を把握することができる。
【0036】
また、ガードパネルが破損してその破損片が散乱する状況ではその破損片が発光することにより、破損片の位置が分かり、破損片を踏み付けたりするおそれが減り、また、破損片の片付けにも好適である。
【0037】
特に、ガードパネルは蓄光材が模様化されているのでキッチンカウンターの意匠感を高められるうえ、特に、キッチン側の照明を消してダイニング(あるいはリビング)側から見ると、その蓄光材による模様が浮かび上がるようにして視認され、その視覚的な興趣を高めることになる。
【0038】
(4)本発明では、上記キッチン設備が布巾掛けであり、上記特定部位が当該布巾掛けアームの先端部であり、この先端部に蓄光材が設けられていることが好ましい。
【0039】
この構成によると、夜間等では布巾掛けアームの先端部が蓄光材で発光しているので、使用者が暗闇で布巾掛け近傍を移動中、不用意に布巾掛けアームの先端部に突き当たるようなことを容易に回避することができるようになる。
【発明の効果】
【0040】
本発明によれば、消灯時や停電時においても暗闇の中でキッチン設備における特定部位の存在を目視できるので、キッチン設備の使い勝手が大きく向上するうえ、意匠的にも趣向を凝らすことも可能となり、その商品価値を高める効果も期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下、添付した図面を参照して本発明の実施の形態に係るキッチン設備を詳細に説明する。
【0042】
図1にキッチン設備の一例として対面式のキッチンカウンター1を示している。このキッチンカウンター1は、フルフラットのカウンタートップ2にIH型のクッキングヒータ3とシンク4とを装備するとともに、ビルトイン型のグリル5や食器洗浄器6、等を組み込んでユニット化したものであり、カウンタートップ2のリビング・ダイニング側にはクッキングヒータ3の前方を遮るようにガードパネル7が立設されている。
【0043】
このガードパネル7はクッキングヒータ3上でのクッキングの際のオイルの飛散を防止するパネルであり、左右で対向する一対の支持フレーム7aの間に強化ガラスからなる透明なガラス板7bを嵌め込み支持して構成されている。
【0044】
キッチンカウンター1のキッチン空間側には、収納用の引出し8や収納空間を開閉する扉9が備えられ、これらを操作する取っ手10が設けられている。この取っ手10は、キッチンカウンター1の使用者がキッチンカウンターの使用上において必要とされる特定部位になる。
【0045】
図2にキッチンカウンターの引出し8や扉9等に備えられるラインタイプの取っ手10の外観を拡大して示し、図3にその正面構成を一部破断して示し、図4にその断面構成を示し、図5に周囲外来光による蓄光状態を示している。
【0046】
図2ないし図4で示すように、取っ手10は、前方に突出するフック形状の指掛け部11と、これに下方から対向する光反射部12と、これら11,12を中継接続する縦壁状の中継部13と、を備えたものであり、アルミ材の押出し成形素材から形成され、成形された素材を所望の長さに切断して横長のラインタイプに構成されている。
【0047】
取っ手10の左右両端には樹脂成形材からなる保護キャップ14が嵌め付け固定されて切断端が隠されるとともに、指掛け部11の下向き内面11aにテープ状の蓄光材15が貼り付けられるか、あるいは、液状の蓄光材15が塗布されている。
【0048】
この蓄光材15は、太陽光や蛍光灯などの光の刺激を受けてエネルギを吸収し、吸収したエネルギを可視光に変換して、刺激停止後も光を徐々に放出しながら、或る時間発光し続ける材料であり、これを永く反復する機能を持つものである。
【0049】
蓄光材15はその組成を特に限定しないが、例えば、硫化亜鉛に銅を加えたものや、アルミン酸ストロンチウム(SrAl2O4)を結晶母体として、ユウロビウム(Eu)やジスプロシウム(Dy)などの希土類元素を添加したものなどが知られる。
【0050】
光反射部12は、図5で示すように、指掛け部11に対し下方位置で対向しその上向き内面12aが上方からの外来光17を該指掛け部11の下向き内面11aに向けて反射する反射面となる。
【0051】
中継部13は、指掛け部11の端部側11bと光反射部12の端部側12bとを上下に対向した状態に中継接続するものであり、キッチンカウンター1の引出し8や扉9側に固着される。
【0052】
指掛け部11と光反射部12それぞれの他端部側11c,12cの対向間は周囲外来光17が入り込む開口16になっている。
【0053】
光反射部12の上向き内面12aは開口16の入口から奥方向にかけて平坦領域が続くと共に中継部13との境界近傍で立ち上がる傾斜領域12dになっている。
【0054】
指掛け部11は、その開口側端部11cは下方に折れ下がり、指掛け部11の下向き内面11aが上方に凹んだ形状になっている。
【0055】
以上の構成において、昼間時の太陽光や蛍光灯等の周囲外来光17は取っ手10の開口16から取っ手10内部に入り込み、光反射部12で反射されて、指掛け部11の蓄光材15で蓄光される。特に、周囲外来光17は光反射部12の上向き内面12aで良好に反射され、指掛け部11の蓄光材15に蓄光される。
【0056】
以上のようにして照明等による光エネルギは蓄光材15に蓄光される。使用者の操作や停電等により照明が消灯した場合、蓄光材15はその蓄光したエネルギにより発光して取っ手10をダウンライト状態でソフトに照明することができることにより使用者のキッチンカウンター1の使用上における使い勝手を向上する。
【0057】
指掛け部11の下向き内面11aの形状は、平坦、湾曲のいずれでもよい。また、湾曲する場合は、半円形、半楕円形、逆V字形、等でもよい。また、光反射部12の上向き内面12aの形状も平坦、湾曲のいずれでもよい。また、湾曲する場合は、半円形、半楕円形、逆V字形、等でもよい。
【0058】
さらに、取っ手10は引出し8や扉9の平坦な前面から前方に突出した形態でなくてもよく、図6、図7で示すように引出し8や扉9の前面8a,9aの凹所を取っ手10とした形態でもよい。
【0059】
図6は引出し8や扉9の前面8a,9aの斜視図、図7は図6の断面図である。引出し8や扉9の前面8a,9aの凹所からなる取っ手10の上側部分が指掛け部11となり、下側部分が光反射部12となる。そして、この指掛け部11の下向き内面11aに蓄光材15が設けられ、光反射部12の上向き内面12aで反射した周囲外来光が上記蓄光材15に蓄光されるようになっている。
【0060】
上記の場合、引出し8や扉9の平坦な前面に設けた凹所から突出していないので、指掛け部11と、光反射部12と、これら11,12を中継接続する縦壁状の中継部13とを適宜の素材で一体化した部材を上記凹所に嵌め込む形態とすることができる。
【0061】
図8は、本発明の他の実施の形態に係るキッチンカウンターの斜視図である。図8のキッチンカウンターは図1のキッチンカウンターとは異なって、キッチン側とは反対側から見た図である。図8において図1と対応する部分には同一の符号を付し、その同一の符号に係る部分の説明はガードパネル7および布巾掛け21を除いて省略する。
【0062】
図9はガードパネル7の拡大正面図、図10はキッチン側の照明が消灯した状態でのガードパネル7の拡大正面図、図11はキッチン側の照明が消灯した状態でのガードパネル7の破損状態を示す斜視図である。
【0063】
図9で示すようにガードパネル7に蓄光材15を設けている。ガードパネル7には、ステンレス鋼などの金属材からなる左右の支持フレーム7aの間に強化ガラスからなる透明なガラス板7bを嵌め込み支持して構成されている。この支持フレーム7aに蓄光材15が設けられている。消灯時や停電時には、支持フレーム7aに設けた蓄光材15の発光により、キッチン設備の配置を把握することができる。
【0064】
また、ガラス板7bの背面(リビング・ダイニング側)の全面に飛散防止フィルム7cが貼り付けられている。飛散防止フィルム7cは、ポリエステル樹脂などからなる数十ミクロンの薄膜であり、ガラス板7bが破損しても周囲に散らばることが防止される。
【0065】
そして、飛散防止フィルム7cには、蓄光材15で模様Fが描かれており、キッチン側の照明を消すと、図10で示すように蓄光材で描かれた模様Fが浮かび上がって見えるようになっている。また、消灯時や停電時には、蓄光材15からなる模様Fが発光することで、キッチン設備の配置を把握することができる。
【0066】
飛散防止フィルム7cが設けられていない場合、ガードパネル7のガラス板7bの全面に蓄光材15を塗布し、消灯時や停電時においても、ガードパネル7の立設位置を容易に目視確認することができるようにすると共に、夜間等においてガラス板7bが破損しその破損片7dが床上に多数散乱しても、図11で示すように暗闇の中で破損片7dが蓄光材15で発光することで、使用者が誤って破損片7dを踏付けてしまうようなことを回避できる。
【0067】
また、図12、図13で示すように布巾掛け21の布巾掛けアーム21aの先端部に蓄光材15を設けている。図12は布巾掛け21の斜視図、図13はキッチン側の照明が消灯した状態での布巾掛け21の状態を示す斜視図である。
【0068】
布巾掛け21は、壁面に取り付けられた支持部材21aに、ステンレス鋼などのパイプ材からなる複数本の布巾掛けアーム21bが、それぞれ基端21bを中心に横揺動可能に支持されており、各布巾掛けアーム21cの先端21dに保護キャップ21eが嵌め込み固定されている。保護キャップ21eは、樹脂材で半球状に形成されており、この保護キャップ21eに蓄光材15が塗布、あるいは、混入されて、消灯時や停電時においても布巾掛けアーム21cの先端部21dが光って見え、不用意に使用者が布巾掛けアーム21cに衝突したりするようなことを回避することができる。
【0069】
なお、ガードパネル7の支持フレーム7aにテープ状の蓄光材15を貼付けたり、あるいは、液状の蓄光材15を塗布しておくことで、消灯時や停電時にガードパネル7の立設位置を目視確認できるようにして実施するようにしてもよい。
【0070】
また、キッチンカウンター1に立設したガードパネル7としてクッキングヒータ3の前方に立設するオイル飛散防止用のガードパネル7を例示したが、シンク4の前方に水飛散防止用のガードパネルを立設する場合にも上記と同様に構成して実施することもできる。
【0071】
さらに、キッチン設備としてキッチンカウンターを例に挙げたが、図14で示すように、カップボード22の取っ手10に上記取っ手10と同様の蓄光材による照明可能な構造としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】図1は本発明の実施の形態に係るキッチンカウンターの斜視図である。
【図2】図2は図1の引出しや扉の取っ手の部分を拡大して示す斜視図であり、
【図3】図3は取っ手の正面図である。
【図4】図4は取っ手の断面図である。
【図5】図5は取っ手に周囲外来光が入り込み蓄光される状態を示す断面図である。
【図6】図6は取っ手の変形例を示す斜視図である。
【図7】図7は図6の断面図である。
【図8】図8は図1とは反対方向から見たキッチンカウンターの斜視図である。
【図9】図9はガードパネルの拡大正面図である。
【図10】図10はキッチン側の照明が消灯した状態でのガードパネルの拡大正面図である。
【図11】図11はキッチン側の照明が消灯した状態でのガードパネル7の破損状態を示す斜視図である。
【図12】図12は布巾掛けの斜視図である。
【図13】図13はキッチン側の照明が消灯した状態での布巾掛けの状態を示す斜視図である。
【図14】図14はキッチン設備の他の例として示すカップボードの正面図である。
【符号の説明】
【0073】
1 キッチンカウンター
2 カウンタートップ
7 ガードパネル
8 引出し
9 扉
10 取っ手(11は指掛け部、12は光反射部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、システムキッチン用として一体化された各種キッチン設備並びにシステムキッチンとして一体化されていないがこれに付属してその周囲で用いる各種キッチン設備に関する。
【背景技術】
【0002】
キッチン設備の一つであるキッチンカウンターではキッチン空間を、ダイニングルーム、リビングルーム、リビング兼ダイニングルーム等の隣接ルームから仕切って設置される対面式のキッチンカウンターがある(特許文献1)。
【0003】
このようなキッチンカウンターには各種の引出しや扉に取っ手が設けられている。
【0004】
また、近年、多用されつつある対面式キッチンカウンターのクッキングヒータやシンクの前方には、飛散したオイルを受け止めるガードパネルが立設されている。
【0005】
さらに、これらキッチンカウンターの周部の壁面等には布巾掛けが配備されている。
【0006】
このような取っ手、布巾掛けは、キッチンカウンター使用者が日常頻繁に使用するものであり、また、ガードパネルは対面式のキッチンカウンターではオイルの飛散防止には必要である。
【0007】
キッチンカウンター周囲は昼間であれば照明がなくても明るいが、夕方や夜間等ではキッチンカウンター周囲の照明が必須となる。このような照明が使用者の操作や停電等により消灯すると、キッチンカウンターの取っ手あるいはその周囲の布巾掛け等は見えにくくなり、使い勝手が低下する。
【0008】
また、ラインタイプの取っ手の場合、全体に統一感が持たせることができるが、その反面、取っ手の取り付け面が平坦になって変化やアクセントに乏しくなり、夜間等では特にその傾向が強くなる。
【0009】
さらに、ガードパネルも、ガラス板等の平坦で硬質な面が立設しただけであり、キッチンカウンターの意匠性、装飾性の低下をもたらし易く、変化やアクセントに乏しくなる傾向にある。
【0010】
特に、夜間等ではその傾向が強くなる。特にガードパネルが破損したときキッチン周囲に破損片が多数散乱し、夜間等ではその破損片が見えにくくなる。
【0011】
さらに、布巾掛けは数本の布巾掛けアームを基端を中心に水平方向揺動可能に支持され、それら布巾掛けアームの先端部分がキッチン空間で使用者の通路内に突き出ていることが多く、夜間等の暗い場合では、使用者が布巾掛けアームの先端部分に衝突したり接触したりするなどの不具合を生じることもある。
【特許文献1】特開2005−304875号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明により解決すべき課題は、夕方や夜間等のようにキッチン周囲の照明が必要な使用環境において使用者の操作や停電等により照明が消灯した場合でも、使用者のキッチン設備の使用上における使い勝手を向上することに加えて、使用上の興趣を増大可能とした付加価値を増すことである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(1)本発明では、キッチン設備の使用上において必要とされる特定部位に蓄光材を設けたことを特徴とするものである。
【0014】
キッチン設備は、特に限定されない。
【0015】
キッチン設備には、例えば、システムキッチン用として一体化された各種キッチン設備や、システムキッチンとして一体化されていなくても、これに付属してその周囲で用いる各種キッチン設備や、上記付属していなくて単独で用いるキッチン設備も含む広い概念である。
【0016】
上記特定部位は、特に限定せず、キッチン設備の使用上において必要とされる特定部位であればよく、例えば引出しや扉等の取っ手、ガードパネル、布巾掛け等がある。
【0017】
蓄光材は、周囲外来光の蓄光が可能な位置に設けるとよい。
【0018】
本発明では、昼間時の太陽光や夕方や夜間等では蛍光灯等により蓄光材に蓄光しておき、夕方や夜間等あるいは昼間でも暗い使用環境下で使用者の操作や停電やその他の事情により照明が消灯した場合、蓄光材が消灯までに蓄積したエネルギにより発光して特定部位を明るくすることにより使用者のキッチン設備の使用上における使い勝手を向上することができる。
【0019】
特に、特定部位が多数ある場合、その周囲の状況を各特定部位それぞれの蓄光材の発光で明るくなり、周囲の状況を容易に把握することができるようになる。
【0020】
(2)本発明では、上記特定部位がキッチン設備の引出しや扉等に備えられる取っ手であることが好ましい。
【0021】
特に、上記取っ手は、使用者が指を掛けることが可能な下向き内面を有する指掛け部を備え、この指掛け部の下向き内面に蓄光材を設けた態様が好ましい。この態様では、周囲外来光を該指掛け部の下向き内面の蓄光材にエネルギとして蓄積することができる。そして、この場合、指掛け部は下向き内面に蓄光材を設けたから、蓄光材で蓄積した光エネルギは直接、前方に放出されにくく、放出した光はソフトに特定部位を照明することができる結果、使用者にとりその使い勝手が向上するだけでなく、好ましい照明状態を得ることができる。特に、照明範囲としては特定部位あるいはその周囲だけで十分な場合、蓄光材に蓄積した光エネルギを徐々に放出するうえで好ましい。
【0022】
また、蓄光材の発光を直接、前方に放出させず、放出した光によりソフトに特定部位を照明するようにした場合、キッチン設備全体の意匠性がその発光のみで強く印象付けられずに済むと共に、キッチン設備全体の意匠性を保持しつつ、使用者に取っ手の存在を間接的にソフトに認識可能とすることができ、斬新な意匠性を付与することができるようになって好ましい。
【0023】
特に、この態様では、取っ手をアルミ材で押出し成形したり、取っ手内面を白色塗装すると、取っ手の反射部の上向き内面で反射させた周囲外来光を効率よく蓄光材に蓄光することができる。
【0024】
また、周囲環境が暗くなると、蓄光材から出た光がダウンライトのように取っ手周囲を照射し、取っ手の内面がソフト(ほのか)に、光らせることができることになり、意匠的にも斬新となる。
【0025】
また、上記取っ手は、上向き内面が外来光を該指掛け部に向けて反射する反射面となる光反射部を備えた態様とすることが好ましい。
【0026】
また、上記取っ手は、上記指掛け部と光反射部とをそれぞれのキッチン設備側の一端側で中継接続する中継部を備え、上記指掛け部と光反射部それぞれの他端側の対向間に周囲外来光を導入させるための開口を設けた態様とすることが好ましい。
【0027】
特に、上記光反射部は上記中継部との境界領域で立ち上がり傾斜面になっていることが好ましい。
【0028】
また、上記指掛け部の上記開口側一端側が下方に折れ下がって、上記蓄光材がダウンライト光源として取っ手内部で発光可能とした態様とすることが好ましい。
【0029】
以上の取っ手はラインタイプであることが好ましい。
【0030】
上記態様を備えた本発明では、光反射部により周囲外来光を指掛け部に向けて反射することにより指掛け部の下向き内面の蓄光材を照射することができる。これによって指掛け部の蓄光材に光エネルギを蓄光することができる。
【0031】
この場合、周囲外来光である照明装置からの光や自然光が照射される状態では、上方からの光が取っ手における反射部の上向き内面で反射されて、指掛け部の下向き内面に備えた蓄光材に照射されて蓄光が行われるが、この場合、取っ手をアルミ材で押出し成形したり、取っ手内面を白色塗装すると、取っ手における反射部の上向き内面で反射させた外光を効率よく蓄光材に照射して蓄光することができる。
【0032】
以上から本発明では、好ましくは上記キッチン設備が、引出しや扉等を備えたキッチン設備であり、上記特定部位がこれらキッチン設備の引出しや扉等に備えられる取っ手であり、この取っ手は、下向き内面に蓄光材が設けられた指掛け部と、上記指掛け部にその下方位置で対向配置され上向き内面に上方からの外来光を該指掛け部に向けて反射する反射面を有する光反射部と、上記指掛け部と光反射部を一端側で中継接続する中継部と、を備え、上記指掛け部と光反射部の他端側の対向間に周囲外来光を入り込ませる開口を設けた構成とすることができる。
【0033】
(3)本発明では、キッチン設備が、カウンタートップと、このカウンタートップに少なくともIH型クッキングヒータとシンクとが並列に組み込まれてユニット化されていると共にそのクッキングヒータ前方のカウンタートップにガードパネルが立設されたキッチンカウンターであり、上記特定部位が、ガードパネルであり、このガードパネルに蓄光材が設けられていることが好ましい。
【0034】
この場合、蓄光材は模様化されていることがより好ましい。
【0035】
この態様では、幅広く、かつ、高く立設されたガードパネルが蓄光材によって光ることで、離れた位置からでも容易にキッチン設備の配置を把握することができる。
【0036】
また、ガードパネルが破損してその破損片が散乱する状況ではその破損片が発光することにより、破損片の位置が分かり、破損片を踏み付けたりするおそれが減り、また、破損片の片付けにも好適である。
【0037】
特に、ガードパネルは蓄光材が模様化されているのでキッチンカウンターの意匠感を高められるうえ、特に、キッチン側の照明を消してダイニング(あるいはリビング)側から見ると、その蓄光材による模様が浮かび上がるようにして視認され、その視覚的な興趣を高めることになる。
【0038】
(4)本発明では、上記キッチン設備が布巾掛けであり、上記特定部位が当該布巾掛けアームの先端部であり、この先端部に蓄光材が設けられていることが好ましい。
【0039】
この構成によると、夜間等では布巾掛けアームの先端部が蓄光材で発光しているので、使用者が暗闇で布巾掛け近傍を移動中、不用意に布巾掛けアームの先端部に突き当たるようなことを容易に回避することができるようになる。
【発明の効果】
【0040】
本発明によれば、消灯時や停電時においても暗闇の中でキッチン設備における特定部位の存在を目視できるので、キッチン設備の使い勝手が大きく向上するうえ、意匠的にも趣向を凝らすことも可能となり、その商品価値を高める効果も期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下、添付した図面を参照して本発明の実施の形態に係るキッチン設備を詳細に説明する。
【0042】
図1にキッチン設備の一例として対面式のキッチンカウンター1を示している。このキッチンカウンター1は、フルフラットのカウンタートップ2にIH型のクッキングヒータ3とシンク4とを装備するとともに、ビルトイン型のグリル5や食器洗浄器6、等を組み込んでユニット化したものであり、カウンタートップ2のリビング・ダイニング側にはクッキングヒータ3の前方を遮るようにガードパネル7が立設されている。
【0043】
このガードパネル7はクッキングヒータ3上でのクッキングの際のオイルの飛散を防止するパネルであり、左右で対向する一対の支持フレーム7aの間に強化ガラスからなる透明なガラス板7bを嵌め込み支持して構成されている。
【0044】
キッチンカウンター1のキッチン空間側には、収納用の引出し8や収納空間を開閉する扉9が備えられ、これらを操作する取っ手10が設けられている。この取っ手10は、キッチンカウンター1の使用者がキッチンカウンターの使用上において必要とされる特定部位になる。
【0045】
図2にキッチンカウンターの引出し8や扉9等に備えられるラインタイプの取っ手10の外観を拡大して示し、図3にその正面構成を一部破断して示し、図4にその断面構成を示し、図5に周囲外来光による蓄光状態を示している。
【0046】
図2ないし図4で示すように、取っ手10は、前方に突出するフック形状の指掛け部11と、これに下方から対向する光反射部12と、これら11,12を中継接続する縦壁状の中継部13と、を備えたものであり、アルミ材の押出し成形素材から形成され、成形された素材を所望の長さに切断して横長のラインタイプに構成されている。
【0047】
取っ手10の左右両端には樹脂成形材からなる保護キャップ14が嵌め付け固定されて切断端が隠されるとともに、指掛け部11の下向き内面11aにテープ状の蓄光材15が貼り付けられるか、あるいは、液状の蓄光材15が塗布されている。
【0048】
この蓄光材15は、太陽光や蛍光灯などの光の刺激を受けてエネルギを吸収し、吸収したエネルギを可視光に変換して、刺激停止後も光を徐々に放出しながら、或る時間発光し続ける材料であり、これを永く反復する機能を持つものである。
【0049】
蓄光材15はその組成を特に限定しないが、例えば、硫化亜鉛に銅を加えたものや、アルミン酸ストロンチウム(SrAl2O4)を結晶母体として、ユウロビウム(Eu)やジスプロシウム(Dy)などの希土類元素を添加したものなどが知られる。
【0050】
光反射部12は、図5で示すように、指掛け部11に対し下方位置で対向しその上向き内面12aが上方からの外来光17を該指掛け部11の下向き内面11aに向けて反射する反射面となる。
【0051】
中継部13は、指掛け部11の端部側11bと光反射部12の端部側12bとを上下に対向した状態に中継接続するものであり、キッチンカウンター1の引出し8や扉9側に固着される。
【0052】
指掛け部11と光反射部12それぞれの他端部側11c,12cの対向間は周囲外来光17が入り込む開口16になっている。
【0053】
光反射部12の上向き内面12aは開口16の入口から奥方向にかけて平坦領域が続くと共に中継部13との境界近傍で立ち上がる傾斜領域12dになっている。
【0054】
指掛け部11は、その開口側端部11cは下方に折れ下がり、指掛け部11の下向き内面11aが上方に凹んだ形状になっている。
【0055】
以上の構成において、昼間時の太陽光や蛍光灯等の周囲外来光17は取っ手10の開口16から取っ手10内部に入り込み、光反射部12で反射されて、指掛け部11の蓄光材15で蓄光される。特に、周囲外来光17は光反射部12の上向き内面12aで良好に反射され、指掛け部11の蓄光材15に蓄光される。
【0056】
以上のようにして照明等による光エネルギは蓄光材15に蓄光される。使用者の操作や停電等により照明が消灯した場合、蓄光材15はその蓄光したエネルギにより発光して取っ手10をダウンライト状態でソフトに照明することができることにより使用者のキッチンカウンター1の使用上における使い勝手を向上する。
【0057】
指掛け部11の下向き内面11aの形状は、平坦、湾曲のいずれでもよい。また、湾曲する場合は、半円形、半楕円形、逆V字形、等でもよい。また、光反射部12の上向き内面12aの形状も平坦、湾曲のいずれでもよい。また、湾曲する場合は、半円形、半楕円形、逆V字形、等でもよい。
【0058】
さらに、取っ手10は引出し8や扉9の平坦な前面から前方に突出した形態でなくてもよく、図6、図7で示すように引出し8や扉9の前面8a,9aの凹所を取っ手10とした形態でもよい。
【0059】
図6は引出し8や扉9の前面8a,9aの斜視図、図7は図6の断面図である。引出し8や扉9の前面8a,9aの凹所からなる取っ手10の上側部分が指掛け部11となり、下側部分が光反射部12となる。そして、この指掛け部11の下向き内面11aに蓄光材15が設けられ、光反射部12の上向き内面12aで反射した周囲外来光が上記蓄光材15に蓄光されるようになっている。
【0060】
上記の場合、引出し8や扉9の平坦な前面に設けた凹所から突出していないので、指掛け部11と、光反射部12と、これら11,12を中継接続する縦壁状の中継部13とを適宜の素材で一体化した部材を上記凹所に嵌め込む形態とすることができる。
【0061】
図8は、本発明の他の実施の形態に係るキッチンカウンターの斜視図である。図8のキッチンカウンターは図1のキッチンカウンターとは異なって、キッチン側とは反対側から見た図である。図8において図1と対応する部分には同一の符号を付し、その同一の符号に係る部分の説明はガードパネル7および布巾掛け21を除いて省略する。
【0062】
図9はガードパネル7の拡大正面図、図10はキッチン側の照明が消灯した状態でのガードパネル7の拡大正面図、図11はキッチン側の照明が消灯した状態でのガードパネル7の破損状態を示す斜視図である。
【0063】
図9で示すようにガードパネル7に蓄光材15を設けている。ガードパネル7には、ステンレス鋼などの金属材からなる左右の支持フレーム7aの間に強化ガラスからなる透明なガラス板7bを嵌め込み支持して構成されている。この支持フレーム7aに蓄光材15が設けられている。消灯時や停電時には、支持フレーム7aに設けた蓄光材15の発光により、キッチン設備の配置を把握することができる。
【0064】
また、ガラス板7bの背面(リビング・ダイニング側)の全面に飛散防止フィルム7cが貼り付けられている。飛散防止フィルム7cは、ポリエステル樹脂などからなる数十ミクロンの薄膜であり、ガラス板7bが破損しても周囲に散らばることが防止される。
【0065】
そして、飛散防止フィルム7cには、蓄光材15で模様Fが描かれており、キッチン側の照明を消すと、図10で示すように蓄光材で描かれた模様Fが浮かび上がって見えるようになっている。また、消灯時や停電時には、蓄光材15からなる模様Fが発光することで、キッチン設備の配置を把握することができる。
【0066】
飛散防止フィルム7cが設けられていない場合、ガードパネル7のガラス板7bの全面に蓄光材15を塗布し、消灯時や停電時においても、ガードパネル7の立設位置を容易に目視確認することができるようにすると共に、夜間等においてガラス板7bが破損しその破損片7dが床上に多数散乱しても、図11で示すように暗闇の中で破損片7dが蓄光材15で発光することで、使用者が誤って破損片7dを踏付けてしまうようなことを回避できる。
【0067】
また、図12、図13で示すように布巾掛け21の布巾掛けアーム21aの先端部に蓄光材15を設けている。図12は布巾掛け21の斜視図、図13はキッチン側の照明が消灯した状態での布巾掛け21の状態を示す斜視図である。
【0068】
布巾掛け21は、壁面に取り付けられた支持部材21aに、ステンレス鋼などのパイプ材からなる複数本の布巾掛けアーム21bが、それぞれ基端21bを中心に横揺動可能に支持されており、各布巾掛けアーム21cの先端21dに保護キャップ21eが嵌め込み固定されている。保護キャップ21eは、樹脂材で半球状に形成されており、この保護キャップ21eに蓄光材15が塗布、あるいは、混入されて、消灯時や停電時においても布巾掛けアーム21cの先端部21dが光って見え、不用意に使用者が布巾掛けアーム21cに衝突したりするようなことを回避することができる。
【0069】
なお、ガードパネル7の支持フレーム7aにテープ状の蓄光材15を貼付けたり、あるいは、液状の蓄光材15を塗布しておくことで、消灯時や停電時にガードパネル7の立設位置を目視確認できるようにして実施するようにしてもよい。
【0070】
また、キッチンカウンター1に立設したガードパネル7としてクッキングヒータ3の前方に立設するオイル飛散防止用のガードパネル7を例示したが、シンク4の前方に水飛散防止用のガードパネルを立設する場合にも上記と同様に構成して実施することもできる。
【0071】
さらに、キッチン設備としてキッチンカウンターを例に挙げたが、図14で示すように、カップボード22の取っ手10に上記取っ手10と同様の蓄光材による照明可能な構造としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】図1は本発明の実施の形態に係るキッチンカウンターの斜視図である。
【図2】図2は図1の引出しや扉の取っ手の部分を拡大して示す斜視図であり、
【図3】図3は取っ手の正面図である。
【図4】図4は取っ手の断面図である。
【図5】図5は取っ手に周囲外来光が入り込み蓄光される状態を示す断面図である。
【図6】図6は取っ手の変形例を示す斜視図である。
【図7】図7は図6の断面図である。
【図8】図8は図1とは反対方向から見たキッチンカウンターの斜視図である。
【図9】図9はガードパネルの拡大正面図である。
【図10】図10はキッチン側の照明が消灯した状態でのガードパネルの拡大正面図である。
【図11】図11はキッチン側の照明が消灯した状態でのガードパネル7の破損状態を示す斜視図である。
【図12】図12は布巾掛けの斜視図である。
【図13】図13はキッチン側の照明が消灯した状態での布巾掛けの状態を示す斜視図である。
【図14】図14はキッチン設備の他の例として示すカップボードの正面図である。
【符号の説明】
【0073】
1 キッチンカウンター
2 カウンタートップ
7 ガードパネル
8 引出し
9 扉
10 取っ手(11は指掛け部、12は光反射部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キッチン設備の使用上において必要とされる特定部位に蓄光材を設けた、ことを特徴とするキッチン設備。
【請求項2】
上記特定部位がキッチン設備の引出しや扉等に備えられる取っ手である、ことを特徴とする請求項1に記載のキッチン設備。
【請求項3】
上記取っ手は、使用者が指を掛けることが可能な下向き内面を有する指掛け部を備え、この指掛け部の下向き内面に蓄光材を設けた、ことを特徴とする請求項2に記載のキッチン設備。
【請求項4】
上記取っ手は、外来光を該指掛け部に向けて反射する反射面となる光反射部を備えた、ことを特徴とする請求項3に記載のキッチン設備。
【請求項5】
上記取っ手は、上記指掛け部と上記光反射部との対向間に周囲外来光を導入させるための開口を備えた、ことを特徴とする請求項4に記載のキッチン設備。
【請求項6】
上記取っ手は、
下向き内面に蓄光材が設けられた指掛け部と、
上記指掛け部にその下方位置で対向配置され上向き内面に上方からの外来光を該指掛け部に向けて反射する反射面を有する光反射部と、
上記指掛け部と光反射部を一端側で中継接続する中継部と、
を備え、
上記指掛け部と光反射部の他端側対向間に周囲外来光を入り込ませる開口を備えた、ことを特徴とする請求項2に記載のキッチン設備。
【請求項7】
上記光反射部は上記中継部との境界領域で立ち上がり傾斜面になっている、ことを特徴とする請求項6に記載のキッチン設備。
【請求項8】
上記指掛け部の上記開口側一端側が下方に折れ下がって、上記蓄光材がダウンライト光源として取っ手内部で発光可能とした、ことを特徴とする請求項2ないし7のいずれかに記載のキッチン設備。
【請求項9】
上記指掛け部の上向き内面が上向きに凹んでいる、ことを特徴とする請求項2ないし8のいずれかに記載のキッチン設備。
【請求項10】
上記取っ手がラインタイプである、ことを特徴とする請求項2ないし9のいずれかに記載のキッチン設備。
【請求項11】
上記キッチン設備が、カウンタートップと、このカウンタートップに少なくともIH型クッキングヒータとシンクとが並列に組み込まれてユニット化されていると共にそのクッキングヒータ前方のカウンタートップにガードパネルが立設されたキッチンカウンターであり、
上記特定部位が、ガードパネルであり、このガードパネルに蓄光材が設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載のキッチン設備。
【請求項12】
上記ガードパネルの蓄光材は、模様化されて設けられている、ことを特徴とする請求項10に記載のキッチン設備。
【請求項13】
上記キッチン設備が布巾掛けであり、上記特定部位が当該布巾掛けアームの先端部であり、この先端部に蓄光材が設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載のキッチン設備。
【請求項1】
キッチン設備の使用上において必要とされる特定部位に蓄光材を設けた、ことを特徴とするキッチン設備。
【請求項2】
上記特定部位がキッチン設備の引出しや扉等に備えられる取っ手である、ことを特徴とする請求項1に記載のキッチン設備。
【請求項3】
上記取っ手は、使用者が指を掛けることが可能な下向き内面を有する指掛け部を備え、この指掛け部の下向き内面に蓄光材を設けた、ことを特徴とする請求項2に記載のキッチン設備。
【請求項4】
上記取っ手は、外来光を該指掛け部に向けて反射する反射面となる光反射部を備えた、ことを特徴とする請求項3に記載のキッチン設備。
【請求項5】
上記取っ手は、上記指掛け部と上記光反射部との対向間に周囲外来光を導入させるための開口を備えた、ことを特徴とする請求項4に記載のキッチン設備。
【請求項6】
上記取っ手は、
下向き内面に蓄光材が設けられた指掛け部と、
上記指掛け部にその下方位置で対向配置され上向き内面に上方からの外来光を該指掛け部に向けて反射する反射面を有する光反射部と、
上記指掛け部と光反射部を一端側で中継接続する中継部と、
を備え、
上記指掛け部と光反射部の他端側対向間に周囲外来光を入り込ませる開口を備えた、ことを特徴とする請求項2に記載のキッチン設備。
【請求項7】
上記光反射部は上記中継部との境界領域で立ち上がり傾斜面になっている、ことを特徴とする請求項6に記載のキッチン設備。
【請求項8】
上記指掛け部の上記開口側一端側が下方に折れ下がって、上記蓄光材がダウンライト光源として取っ手内部で発光可能とした、ことを特徴とする請求項2ないし7のいずれかに記載のキッチン設備。
【請求項9】
上記指掛け部の上向き内面が上向きに凹んでいる、ことを特徴とする請求項2ないし8のいずれかに記載のキッチン設備。
【請求項10】
上記取っ手がラインタイプである、ことを特徴とする請求項2ないし9のいずれかに記載のキッチン設備。
【請求項11】
上記キッチン設備が、カウンタートップと、このカウンタートップに少なくともIH型クッキングヒータとシンクとが並列に組み込まれてユニット化されていると共にそのクッキングヒータ前方のカウンタートップにガードパネルが立設されたキッチンカウンターであり、
上記特定部位が、ガードパネルであり、このガードパネルに蓄光材が設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載のキッチン設備。
【請求項12】
上記ガードパネルの蓄光材は、模様化されて設けられている、ことを特徴とする請求項10に記載のキッチン設備。
【請求項13】
上記キッチン設備が布巾掛けであり、上記特定部位が当該布巾掛けアームの先端部であり、この先端部に蓄光材が設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載のキッチン設備。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2008−104554(P2008−104554A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−288537(P2006−288537)
【出願日】平成18年10月24日(2006.10.24)
【出願人】(000000413)永大産業株式会社 (243)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年10月24日(2006.10.24)
【出願人】(000000413)永大産業株式会社 (243)
【Fターム(参考)】
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