説明

キノコの収穫方法、キノコの収穫装置及びキノコの収穫用リング

【課題】キノコの収穫における労力を大幅に削減する共に、キノコを傷めずに適切に収穫できるキノコの収穫方法、キノコの収穫装置及びキノコの収穫用リングを提供すること。
【解決手段】キノコの収穫用リング20を利用してキノコの収穫をするキノコの収穫装置であって、キノコ用のコンテナ16に入った複数本の栽培瓶10の列と列との間に挿入される複数のフォークの爪状部33を有し、複数のフォークの爪状部33によって収穫用リング20の張り出し部22の両側に下から当接して押し上げることで、キノコの子実体13とキノコの培地15とを分断させるフォーク状の押し上げ部30と、コンテナ16に入った複数本の栽培瓶10において生長した複数株のキノコ12に対してキノコの収穫箱50を逆さまにして被せた状態で反転させる押し上げ部材30に設けられたフォーク状の反転部35とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、キノコの栽培瓶の瓶口に脱着可能に嵌められ、キノコの生長をガイドするように内周面が斜面に設けられていると共に外周に取り外しのための力を加えることができる鍔状の張り出し部が設けられているキノコの収穫用リングと、そのキノコの収穫用リングを利用したキノコの収穫方法及びキノコの収穫装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、キノコの子実体の生長を適切に案内すると共にキノコの収穫にかかる労力を削減するために、キノコの収穫キャップが考案されてきている。例えば、培養瓶の瓶口の外周壁に嵌合する内周壁を有する嵌合部と、その内周壁の上方に複数の水抜孔を有する水平に連なる水平部と、この水平部の外端から末広がりになり、内周壁にひさし体を突設したキノコの収穫キャップが開示されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】登録実用新案3036699号公報(要約、第1図)
【0003】
また、本願発明者は、先に、培地が充填された広口栽培ビンの頚部に脱着可能なキノコ栽培ビン用キャップにおいて、広口栽培ビンの開口に嵌着されるリング状嵌着部と、前記嵌着部より内側内方へ伸張し、先端が培地上面に近接する細口開口を形成する下降端面と、を備えたことを特徴とするキノコ栽培用キャップを提案してある(特許文献2参照)。
【特許文献2】特開2007−215417号公報(要約、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
キノコの収穫方法、キノコの収穫装置及びキノコの収穫用リングに関して解決しようとする課題は、従来のキノコ栽培用キャップであっても手作業で収穫する際には一定の効果はあったが、より効率的で優れたキノコの収穫方法やキノコの収穫装置については適切なものが実現化されていない点にある。また、キノコの収穫用リングついても、キャップという形態概念ではなく、リングという形態でより効率的で優れたものが実現化されていない点がある。
【0005】
そこで本発明の目的は、キノコの収穫における労力を大幅に削減する共に、キノコを傷めずに適切に収穫できるキノコの収穫方法、キノコの収穫装置及びキノコの収穫用リングを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するために次の構成を備える。
本発明に係るキノコの収穫方法の一形態によれば、キノコの菌床の培養及び菌掻きの後、キノコの栽培瓶の瓶口に、キノコの子実体の生長をガイドする内周面が実質的に斜面に設けられていると共に外周に取り外しのための力を加えることができる鍔状の張り出し部が設けられているキノコの収穫用リングを嵌める収穫用リングの装着工程と、キノコの子実体を生長させた後、該キノコを収穫する際に、キノコ用のコンテナに入った複数本の栽培瓶において生長した複数株のキノコに対して、キノコの収穫箱を逆さまにして被せるようにセットする収穫箱のセット工程と、前記収穫用リングの前記張り出し部の両側にフォーク状の押し上げ部材で下から当接して押し上げることで、キノコの子実体とキノコの培地とを分断させる子実体と培地の分断工程と、前記複数株のキノコが入った前記収穫箱を前記押し上げ部材のフォーク状の反転部と共に反転させて、前記複数株のキノコが前記収穫箱に逆さまに入った収穫形態を得る収穫箱の反転工程とを有する。
また、本発明に係るキノコの収穫方法の一形態によれば、前記キノコがシメジであることを特徴とすることができる。
【0007】
本発明に係るキノコの収穫装置の一形態によれば、キノコの栽培瓶の瓶口に脱着可能に嵌められ、キノコの子実体の生長をガイドする内周面が実質的に斜面に設けられていると共に外周に取り外しのための力を加えることができる鍔状の張り出し部が設けられているキノコの収穫用リングを利用してキノコの収穫をするキノコの収穫装置であって、キノコ用のコンテナに入った複数本の栽培瓶の列と列との間に挿入される複数のフォークの爪状部を有し、該複数のフォークの爪状部によって前記収穫用リングの前記張り出し部の両側に下から当接して押し上げることで、キノコの子実体とキノコの培地とを分断させるフォーク状の押し上げ部材と、前記押し上げ部材を作動させる梃子機構等の押し上げ駆動機構と、前記コンテナに入った複数本の栽培瓶において生長した複数株のキノコに対してキノコの収穫箱を逆さまにして被せた状態で反転することによって、該収穫箱に前記複数株のキノコが逆さまに入った収穫形態となるべく、前記押し上げ部材に設けられたフォーク状の反転部とを具備する。
【0008】
また、本発明に係るキノコの収穫装置の一形態によれば、前記反転部が前記押し上げ部材の本体に対して蝶番によって構成される支点を介して反転するように設けられていることを特徴とすることができる。
また、本発明に係るキノコの収穫装置の一形態によれば、前記反転部が作業者に対して前後方向に反転するように前記支点が作業者の前側に位置し、該反転部の自由端側には作業者が把持して操作するためのハンドルが設けられていることを特徴とすることができる。
【0009】
また、本発明に係るキノコの収穫装置の一形態によれば、前記押し上げ駆動機構は、装置の基体に設けられて鉛直方向に延びるガイド部と、そのガイド部に案内されて上下方向に移動可能であると共に前記押し上げ部材が固定されたな移動部材と、該移動部材を上方へ持ち上げるようにセットされた梃子機構とを備えることを特徴とすることができる。
また、本発明に係るキノコの収穫装置の一形態によれば、前記梃子機構は、梃子の原理を複数段階に利用するように複数の支点を備えると共に、梃子の第一段階の力点に相当する部分に足踏み式のペダルを備えることを特徴とすることができる。
また、本発明に係るキノコの収穫装置の一形態によれば、前記キノコがシメジであることを特徴とすることができる。
【0010】
また、本発明に係るキノコの収穫用リングの一形態によれば、前記のいずれかに記載のキノコの収穫方法又はキノコの収穫装置に用いられるキノコの収穫用リングであって、前記内周面の斜面が、前記キノコの栽培瓶の瓶口における内周側の角から実質的に延設されているように設けられている。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るキノコの収穫方法、キノコの収穫装置及びキノコの収穫用リングによれば、キノコの収穫における労力を大幅に削減する共に、キノコを傷めずに適切に収穫できるという特別有利な効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係るキノコの収穫方法、キノコの収穫装置及びキノコの収穫用リングの形態例を図面(図1〜12)に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明に係るキノコの収穫方法の工程の流れを説明する工程図である。
また、図2〜6は、キノコの栽培瓶の瓶口に脱着自在に嵌着されるキノコの収穫用リングの形態例を説明する図面である。図2はキノコの収穫用リングをキノコの栽培瓶の瓶口に外嵌めした状態の断面を含む正面図である。図3〜6は、キノコの収穫用リングの断面図、正面図、平面図及び底面図である。
さらに、図7〜12は、本発明に係るキノコの収穫装置の形態例を説明する図面であり、その装置を利用した作業工程を順に説明している。
【0013】
本発明にかかるキノコの収穫方法では図1に示すように、先ず、収穫用リングの装着工程では、キノコの菌床の培養及び菌掻きの後、キノコの栽培瓶10の瓶口11に、キノコの子実体13の生長をガイドする内周面が実質的に斜面21に設けられていると共に外周に取り外しのための力を加えることができる鍔状の張り出し部22が設けられているキノコの収穫用リング20(図2〜6参照)を嵌める。このキノコの収穫用リング20の詳細については後述する。
【0014】
次に、収穫箱のセット工程においては、キノコの子実体を生長させた後、そのキノコを収穫する際に、キノコ用のコンテナに入った複数本の栽培瓶10において生長した複数株のキノコ12に対して、キノコの収穫箱50を逆さまにして被せるようにセットする(図10参照)。
【0015】
次に、子実体と培地の分断工程では、キノコの収穫用リング20の張り出し部22の両側にフォーク状の押し上げ部材30で下から当接して押し上げることで、キノコの子実体13とキノコの培地15とを分断させる(図11参照)。つまり、キノコの収穫用リング20を介してキノコの子実体13が持ち上げられるのに対して、キノコの栽培瓶10に入った培地は水分を多く含みその自重が大きいことから、その栽培瓶10と共に浮き上がらないでその位置に留まろうとする。これによって両者間が破断され、分離される。
なお、この分断工程では、フォーク状の押し上げ部材30によってキノコの収穫用リング20を衝撃的に押し上げることで、キノコの子実体13とキノコの培地15の分断が効果的になされる。
【0016】
そして、収穫箱50の反転工程で、複数株のキノコ12が入った収穫箱50を押し上げ部材30のフォーク状の反転部35と共に反転させて、複数株のキノコ12が収穫箱50に逆さまに入った収穫形態を得る(図12参照)。つまり、複数株のキノコ12を、収穫箱50と反転部35で挟んだ状態で反転させることで、収穫箱50の中に裏返した状態で収納できる。
これによれば、次の作業である包装工程において、石突きとそれに近い子実体の根元をだけに手を触れて包装をすることができる。傷みやすいキノコの笠に極力いじらないで、包装ができ、商品価値と鮮度を保つことができる。
【0017】
このキノコの収穫方法は、シメジのように多くのキノコの子実体が全方向について張り出すように均一性をもって伸びて全体形状として見た形態で玉状の塊りに生長する種類のキノコを、株取りする際に適している。これは、シメジのようなキノコは、その子実体がキノコ栽培瓶の瓶口全周に亘って外側にはみ出し部(図2参照)をつくるため、そのはみ出し部をキノコの収穫用リング20を介して適切に利用し、機械による収穫が好適に可能になるためである。
【0018】
次に、本発明に係るキノコの収穫用リング20の形態例について詳細に説明する。
図3に示すように、本形態例のキノコの収穫用リング20は、その内周面の斜面21が、キノコの栽培瓶10の瓶口11における内周側の角11aから実質的に延設されているように設けられている。また、瓶口11の内径とキノコの収穫用リング20の内径が実質的に同一であることで瓶口の内周側の角11aから斜面21が延設された形状になっている。(このため、キノコの収穫用リング20の瓶口11の端面上にストッパ部として接触する部分であって内周部分を形成する部分の形状は断面が鋭角な角になっている。)この斜面21は、キノコの子実体13の生長をガイドすると共に、キノコを収穫する際にキノコの子実体に面で接触して力を分散できる。このため、キノコの生長形状をきれいに仕上げることができると共に、収穫時にはキノコに傷を付けないで適切に栽培瓶から抜き取ることができる。このように本形態例のキノコの収穫用リングは、シンプルであるが、最も合理的な形態であることが確認されている。
【0019】
なお、斜面21は、実質的に形成されていれば良く、一般的には平坦面に形成されていればよい。しかしながら、例えば、凸曲面であっても鋭角な突出部がない限り、全体的には実質的に本発明に係る斜面21を形成できる。また、凹曲面であっても、全体的に傾斜した形態であれば、実質的に本発明に係る斜面21を形成できる。つまり、全体的に見てキノコの子実体を生長できる傾斜面ができていればよい。
【0020】
また、22は鍔状の張り出し部であり、外周に全周に亘ってリング状に設けられ、このキノコの収穫用リング20を取り外すために力を加えることができる部分になっている。すなわち、この部分が、キノコの収穫用リング20を利用してキノコを収穫する際の手掛かりになっている。
【0021】
なお、本形態例のキノコの収穫用リング20に係る鍔状の張り出し部22の外形は、培地に菌糸を蔓延させる培養工程の際にキノコ栽培瓶10の瓶口11に嵌める培養キャップの形状と同一に形成されている。
従って、このキノコの収穫用リング20は、培養キャップを嵌める自動化装置をそのまま利用できるという利点もある。
【0022】
また、23は係合突起であり、キノコの収穫用リング20の瓶口11に嵌る周壁の内周面であって円周等分4箇所に設けられている(図3参照)。この係合突起23によれば、キノコの収穫用リング20が瓶口から容易に離脱しないように、瓶口11の周縁に小さく設けられた瓶の鍔部11bに外嵌状態で係合できる。なお、本形態例の係合突起23は小さな球凸面状に4個が形成されているが、その形態や数は特に限定されるものではなく、瓶口の大きさ等の条件によって、適宜選択的に設定すればよい。
【0023】
次に、図7〜12に基づいて、本発明に係るキノコの収穫装置の形態例について説明する。このキノコの収穫装置は、キノコの栽培瓶10の瓶口11に脱着可能に嵌められる前述のキノコの収穫用リング20を利用してキノコの収穫をする装置である。
図7はキノコの収穫装置の形態例を示す斜視図であり、収穫作業が開始される前の装置の状態を示している。図8は図7のキノコの収穫装置の台部55に複数のキノコの栽培瓶10が入ったキノコのコンテナ16が載置され、水平・手前方向へ延びたフォーク状の押し上げ部材30が後述するように差し入れられた状態を示している。
【0024】
フォーク状の押し上げ部材30は、キノコ用のコンテナ16(図8等参照)に入った複数本の栽培瓶10の列と列との間に挿入される複数のフォークの爪状部33(図9参照)を有し、その複数のフォークの爪状部33によって収穫用リング20の張り出し部22の両側に下から当接して押し上げることで、キノコの子実体13とキノコの培地15とを分断させることができる(図11参照)。なお、このフォークの爪状部33は、後述する押し上げ部材の本体31の側の爪状部33aと反転部35の側の爪状部33bが重なった状態で構成されている。
【0025】
本形態例では、4×4(16)本の栽培瓶10がコンテナ16に収容されており、その4列の栽培瓶10に対して、それらの列の間と両脇に5本のフォークの爪状部33が差し込まれる形態となっている。作業者を基準として、5本のフォークの爪状部33が手前に水平に延びた形状であり、各爪状部33は瓶口11同士の間に入り込める幅と厚さに設定されたヘラ状に形成されている。また、作業者を基準として、各列の栽培瓶10の各々については、その瓶口11の左右の両側にフォークの爪状部33が位置し、張り出し部22の左右の両側で下から当接できる形態になっている(図9及び11参照)。
【0026】
40は押し上げ駆動機構であり、押し上げ部材30を作動させる梃子機構等によって設けられている(図7等参照)。
本形態例の押し上げ駆動機構40は、装置の基体41に設けられて鉛直方向に延びるガイド部42と、そのガイド部42に案内されて上下方向に移動可能であると共に押し上げ部材30の本体31が固定された移動部材43と、その移動部材43を上方へ持ち上げるようにセットされた梃子機構45とを備えている。
【0027】
さらに、本形態例の梃子機構45は、梃子の原理を複数段階に利用するように複数の支点47a、47bを備えると共に、梃子の第一段階の力点46aに相当する部分に足踏み式のペダル49を備えている。本形態例では梃子機構が二段階に設けられており、第1の力点46a、第1の支点47b、第1の作用点48cによって第一段階の梃子機構が構成されており、第2の力点46b、第2の支点47b、第2の作用点48cによって第二段階の梃子機構が構成されている。そして、第2の作用点48cと移動部材43との間に連結リンク44が連結されて介在されていることで、足踏み式のペダル49を踏み込むことで、小さい力で移動部材43を衝撃的に持ち上げることができる。
【0028】
これによれば、足踏みによる人力で、移動部材43を介して押し上げ部材30を突き上げてキノコの子実体13とキノコの培地15とを分断させることができる構成になっている。従って、シリンダ装置やモータ装置等の動力を必要とせず、簡易な装置構成とすることができる。電源を必要としないため、配線や漏電等の心配がなく、キャスタ56(図7参照)を付けることで自由に移動することができる。
なお、押し上げ駆動機構40としては、これに限定されるものではなく、人力に限らず動力を用いた既知の駆動手段を採用してもよいことは勿論である。
【0029】
また、35はフォーク状の反転部であり、コンテナ16に入った複数本の栽培瓶10において生長した複数株のキノコ12に対してキノコの収穫箱50を逆さまにして被せた状態(図10参照)で、そのセットされた状態から反転することによって、その収穫箱50に複数株のキノコ12が逆さまに入った収穫形態となるべく、押し上げ部材30に設けられている。なお、本形態例の収穫箱50はコンテナ16対応して方形に形成されている。また、収穫箱50の内底には、キノコの笠の傷みを防止するように、ウレタンスポンジ等のクッション材を敷いておくとよい。
【0030】
本形態例では、押し上げ部材の本体31の上に反転部35が重なって配設されており、その反転部35が押し上げ部材の本体31に対して蝶番36によって構成される支点36aを介して反転するように設けられている。押し上げ部材の本体31と反転部35は、図12で明確に示されているように、平面的には実質的に重なり合う、全体としては矩形の形状となっている。なお、この反転部35は、軽量化して操作がし易いように棒材や薄い材料で形成されている。
【0031】
また、本形態例の反転部35が、基準となる作業者に対して前後方向に反転するように、支点36aが、水平・左右方向に延びる回転軸(矩形形状の手前の一辺)として作業者の前側に位置している。そして、その反転部35の自由端側には作業者が把持して操作するためのハンドル38が設けられている。図7に示すハンドル38は、右利きの人用として、向かって右側へ水平方向に延設されて設けられている。これにより、手動で操作できる合理的な形態になっている。
【0032】
これによれば、その反転部35によって、キノコを落とさないように収穫箱50と挟持・保持しつつ、その収穫箱50と、複数株のキノコ12と、そのキノコの株(石突き)に残っているキノコの収穫用リング20とを全部一体的に反転することができる。そして、図12に示したように、収穫箱の中に、複数株のキノコ12を逆さまの状態で収納した形態で好適に収穫することができる。また、簡易な構造によって構成されて人力で操作でき、電気動力を使う際のような配線や漏電の心配もない。
このキノコの収穫装置によれば、特にシメジのような株取りキノコの収穫作業に適しており、キノコのコンテナに入っている複数株のキノコ12を一気に収穫でき、その収穫効率を格段に向上できる。また、キノコの収穫後におけるキノコの収穫用リング20の回収も、キノコが裏返しになっているため簡単にでき、作業効率を向上できる。
【0033】
以上、本発明につき好適な形態例を挙げて種々説明してきたが、本発明はこの形態例に限定されるものではなく、発明の精神を逸脱しない範囲内で多くの改変を施し得るのは勿論のことである。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係るキノコの収穫方法の形態例を示す工程図である。
【図2】キノコの収穫用リングの一例を栽培瓶の瓶口に嵌めた状態の説明図である。
【図3】本発明に係るキノコの収穫用リングの形態例を示す断面図である。
【図4】図3の形態例の正面図である。
【図5】図3の形態例の平面図である。
【図6】図3の形態例の底面図である。
【図7】本発明に係るキノコの収穫装置の形態例を示す斜視図である。
【図8】図7の形態例に収穫瓶が入ったコンテナを入れた状態を示す斜視図である。
【図9】図8の状態をキノコの栽培瓶に注目して示す説明図である。
【図10】図7の形態例に収穫箱を逆さまにして被せた状態を示す斜視図である。
【図11】図10の状態をキノコの栽培瓶に注目して示す説明図である。
【図12】図7の形態例で収穫箱の中にキノコを逆さまの状態で収穫した状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0035】
10 栽培瓶
11 瓶口
11a 内周側の角
12 複数株のキノコ
13 子実体
15 培地
20 収穫リング
21 斜面
22 張り出し部
30 押し上げ部材
31 押し上げ部材の本体
33 爪状部
35 反転部
36 蝶番
36a 支点
38 ハンドル
40 押し上げ駆動機構
41 装置の本体
42 ガイド部
43 移動部材
45 梃子機構
46a、46b 力点
47a、47b 支点
49 ペダル
50 収穫箱

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キノコの菌床の培養及び菌掻きの後、キノコの栽培瓶の瓶口に、キノコの子実体の生長をガイドする内周面が実質的に斜面に設けられていると共に外周に取り外しのための力を加えることができる鍔状の張り出し部が設けられているキノコの収穫用リングを嵌める収穫用リングの装着工程と、
キノコの子実体を生長させた後、該キノコを収穫する際に、キノコ用のコンテナに入った複数本の栽培瓶において生長した複数株のキノコに対して、キノコの収穫箱を逆さまにして被せるようにセットする収穫箱のセット工程と、
前記収穫用リングの前記張り出し部の両側にフォーク状の押し上げ部材で下から当接して押し上げることで、キノコの子実体とキノコの培地とを分断させる子実体と培地の分断工程と、
前記複数株のキノコが入った前記収穫箱を前記押し上げ部材のフォーク状の反転部と共に反転させて、前記複数株のキノコが前記収穫箱に逆さまに入った収穫形態を得る収穫箱の反転工程とを有することを特徴とするキノコの収穫方法。
【請求項2】
前記キノコがシメジであることを特徴とする請求項1記載のキノコの収穫方法。
【請求項3】
キノコの栽培瓶の瓶口に脱着可能に嵌められ、キノコの子実体の生長をガイドする内周面が実質的に斜面に設けられていると共に外周に取り外しのための力を加えることができる鍔状の張り出し部が設けられているキノコの収穫用リングを利用してキノコの収穫をするキノコの収穫装置であって、
キノコ用のコンテナに入った複数本の栽培瓶の列と列との間に挿入される複数のフォークの爪状部を有し、該複数のフォークの爪状部によって前記収穫用リングの前記張り出し部の両側に下から当接して押し上げることで、キノコの子実体とキノコの培地とを分断させるフォーク状の押し上げ部材と、
前記押し上げ部材を作動させる梃子機構等の押し上げ駆動機構と、
前記コンテナに入った複数本の栽培瓶において生長した複数株のキノコに対してキノコの収穫箱を逆さまにして被せた状態で反転することによって、該収穫箱に前記複数株のキノコが逆さまに入った収穫形態となるべく、前記押し上げ部材に設けられたフォーク状の反転部とを具備することを特徴とするキノコの収穫装置。
【請求項4】
前記反転部が前記押し上げ部材の本体に対して蝶番によって構成される支点を介して反転するように設けられていることを特徴とする請求項3記載のキノコの収穫装置。
【請求項5】
前記反転部が作業者に対して前後方向に反転するように前記支点が作業者の前側に位置し、該反転部の自由端側には作業者が把持して操作するためのハンドルが設けられていることを特徴とする請求項4記載のキノコの収穫装置。
【請求項6】
前記押し上げ駆動機構は、装置の基体に設けられて鉛直方向に延びるガイド部と、そのガイド部に案内されて上下方向に移動可能であると共に前記押し上げ部材が固定された移動部材と、該移動部材を上方へ持ち上げるようにセットされた梃子機構とを備えることを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載のキノコの収穫装置。
【請求項7】
前記梃子機構は、梃子の原理を複数段階に利用するように複数の支点を備えると共に、梃子の第一段階の力点に相当する部分に足踏み式のペダルを備えることを特徴とする請求項6記載のキノコの収穫装置。
【請求項8】
前記キノコがシメジであることを特徴とする請求項3〜7のいずれかに記載のキノコの収穫装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載のキノコの収穫方法又はキノコの収穫装置に用いられるキノコの収穫用リングであって、
前記内周面の斜面が、前記キノコの栽培瓶の瓶口における内周側の角から実質的に延設されているように設けられていることを特徴とするキノコの収穫用リング。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−35439(P2010−35439A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−198804(P2008−198804)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(592003371)有限会社柄澤産業 (5)
【Fターム(参考)】