説明

キャパシタ充電装置

【課題】太陽電池電圧と太陽電池電流とを検出し、これらを乗算して電力を求める必要がない、回路構成が簡単なキャパシタ充電装置を提供する。
【解決手段】本発明の主要な構成は、太陽電池1とコンバータ部2とキャパシタ部3であり、太陽電池1からの出力電力はコンバータ部2で電力変換し、コンバータ部2で電力変換された電力はキャパシタ部3に蓄電する。最大電力点探査部10はコンバータ部2の入力電圧を所定範囲でスイープするように制御し、このスイープに伴い、キャパシタ部3への充電電流を検出する電流検出部6においては、キャパシタ部3への充電電流の変化を検出しておく。最大電力点探査部10は、入力電圧と充電電圧のペアのうち、充電電流を最大とする入力電圧を太陽電池の最大電力点とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池パネルを使って太陽光発電を行い、これによる電力を電気二重層キャパシタなどのキャパシタに蓄電を行うキャパシタ充電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年多方面においてエネルギー源を化石燃料から自然エネルギーへとシフトすることが検討されている。とりわけ太陽電池による太陽光発電は、他の自然エネルギーと異なり、建築物の屋根や壁面に容易に設置することができ、また、騒音その他の公害の発生もないため、将来の発電システムとして期待されるようになってきている。
【0003】
一方、電気二重層キャパシタなどのキャパシタは、電池とは異なり化学反応を使わずに物理現象のみで電気を蓄えることができるノンファラディックなデバイスである。このため、90%以上の充放電効率、100万回のサイクル寿命、寿命10年以上、といった化学電池では不可能であったことが、電気二重層キャパシタでは実現可能となった。そこで、太陽電池を用いて太陽光発電を行い、これによる電力を電気二重層キャパシタなどのキャパシタに蓄電を行うキャパシタ充電装置が提案されている。
【0004】
図4は、太陽電池の出力電流、出力電圧、出力電力の関係を示す図である。図4は、ある所定の日照条件と温度条件での太陽電池の出力特性である。図4において、横軸は太陽電池電流[A]とし、縦軸は太陽電池電圧[V]及び太陽電池出力電力[W]としている。また、実線で示される曲線はI−V特性であり、点線で示される曲線は出力電力特性(I−P特性)である。図4を参照しつつ説明すると、太陽電池電圧を1.7Vから0.5Vまで負荷を変化させて電圧を変化させると太陽電池の出力電流は0Aから約0.3Aへと図示するように増加するが、太陽電池の出力電力は0.23A近辺で最大値約0.3W(最大電力Pmax)をとり、その後は急速に0.1W以下に減少する図示するようなピークを持った特性を示す。このような太陽電池の出力特性は、日照条件や温度条件で変化し、この変化に応じて、最大電力Pmaxが変化する。発電効率を高める方法として常に最大電力Pmaxを取り出すように制御する最大電力点追従制御法(Maximum Power Point Tracking、MPPT制御法)があり、通常この方法が採用される。
【0005】
電気二重層キャパシタなどのキャパシタについては非特許文献1に、また太陽電池のMPPT制御法については特許文献1に開示がある。
【非特許文献1】岡村廸夫著「電気二重層キャパシタと蓄電システム」日刊工業新聞社発行、2005年9月30日第3版第1刷
【特許文献1】特開2006−59126号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記の最大電力点追従制御法のオーソドックスな方法のひとつとしては、太陽電池電圧と太陽電池電流とを検出し、マイクロコンピュータ等により電力値を演算し、さらに太陽電池電圧を上下させた時点でのそれぞれの電力値を演算して、電圧変更前後における電力値の差異から太陽電池の最大電力点を検出するものであり、電圧変更後の電力値が大きければ、更に同じ方向に電圧を変化させ、逆に変更後の電力値が小さければ太陽電池電圧を逆方向に変化させ、この動作を繰り返すことにより最大電力点に近づけていく、といった方法がある。ところが、このような方法によれば、最大電力Pmaxを計算するために、太陽電池電圧と太陽電池電流とを検出し、これら乗算を実行しなければならず、この電圧・電流双方の検出や乗算といったことを実現するためのハードウエアのコストと誤差の発生、誤動作といった問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記のような課題を解決するものであって、請求項1に係る発明は、太陽電池と電力変換回路とキャパシタとからなり、該太陽電池からの出力電力を該電力変換回路で電力変換し、この電力変換された電力を該キャパシタに蓄電するキャパシタ充電装置において、該電力変換回路の入力電圧を所定範囲でスイープするスイープ部と、該キャパシタへの充電電流を検出する電流検出部と、を備え、該スイープ手段による入力電圧のスイープに伴う該キャパシタへの充電電流の変化を該電流検出部で検出しておき、該充電電流が最大となる入力電圧を該太陽電池の最大電力点とする。
【0008】
また、請求項2に係る発明は、太陽電池と電力変換回路とキャパシタとからなり、該太陽電池からの出力電力を該電力変換回路で電力変換し、この電力変換された電力を該キャパシタに蓄電するキャパシタ充電装置において、該電力変換回路の入力電圧を所定範囲でスイープするスイープ部と、該キャパシタへの充電電圧を検出する電圧検出部と、を備え、該スイープ手段による入力電圧のスイープに伴う該キャパシタへの充電電圧の時間変化を該電圧検出部で検出しておき、該充電電圧の時間変化が最大となる入力電圧を該太陽電池の最大電力点とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、また、太陽電池電圧と太陽電池電流とを検出し、これらを乗算して電力を求める必要がないので、回路構成(ハードウエア)が簡単になるというメリットがある以外に、本発明によれば、電力変換回路等の効率までをも含んだ、つまり実際に蓄電エネルギー量で太陽電池の最大電力点を求めることとなるので太陽電池を用いたキャパシタシステムが極低高温など悪環境下でも効率的な充電を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明の実施の形態に係るキャパシタ充電装置のブロック図である。また、図2は、本発明の実施の形態に係るキャパシタ充電装置の制御モードを説明する図である。図1において、1は太陽電池、2はコンバータ部、3はキャパシタ部、4はコンバータ部2入力側の電圧検出部、5はコンバータ部2出力側の電圧検出部、6はコンバータ部2出力側の電流を検出して電圧として出力する電流検出部、7は入力電圧信号発生回路、8は充電電流信号発生回路、9は充電電圧信号発生回路、10は最大電力点探査部、D1、D2、D3は動作モードを自動移行させるOR回路用のダイオード、Vref(in)は入力電圧基準値設定回路、Vref(out)は充電電圧基準値設定回路、Irefは充電電流基準値設定回路、Icはキャパシタ部3の充電電流、Vcはキャパシタ3の充電電圧、Viはコンバータ部2に対する入力電圧、Iiはコンバータ部2に対する入力電流をそれぞれ示している。なお、コンバータ部2の出力側の電流値、電圧値は、キャパシタ部3からみれば、それぞれ充電電流値、充電電圧値なので、「充電電流信号発生回路8」、「充電電圧信号発生回路9」などと称するものである。
【0011】
図1に示す本実施形態に係るキャパシタ充電装置は、太陽電池1を充電電源とし、太陽電池1からコンバータ部2を通して、例えば、複数の電気二重層キャパシタを直並列接続したキャパシタ部3を充電し蓄電するものである。
【0012】
コンバータ部2は、充電電流Iを検出して充電電流基準値設定回路8の電流基準値Irefと比較し、充電電流Iが一定(定電流充電)になるように、入力電圧Viを入力電圧基準値設定回路の入力電圧基準値Vref(in)と比較し、入力電圧Viを一定になるように制御する。
【0013】
さらに、キャパシタ部3の充電電圧Vcを充電電圧基準値設定回路の充電電圧基準値Vref(out)と比較し、充電電圧Vcが充電電圧基準値Vref(out)より大きくなると充電電流を制限(定電圧充電)するように、コンバータ部2内の不図示のPWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)部にてPWM制御を行う。その具体的な構成として、例えばコンバータ部2、入力電圧信号発生回路7、充電電流信号発生回路8、充電電圧信号発生回路9、これら信号発生回路からの誤差増幅信号を自動的に切り換えるダイオードD1、D2、D3からなる論理和(オア論理)回路等を備える。
【0014】
なお、コンバータ部2は、太陽電池1の電圧とキャパシタ部3の電圧の相対関係で電力変換回路の方式が各方式をとり得るものである。すなわち、太陽電池1の電圧が、キャパシタ部3の電圧よりも高い場合には降圧型コンバータ方式をとり、太陽電池1の電圧が、キャパシタ部3の電圧よりも低い場合には昇圧型コンバータ方式をとり、太陽電池1の電圧が、キャパシタ部3の電圧よりも高くも低くもなる場合は昇降圧型コンバータ方式をとる。あるいは適宜それらに切換えるものである。また、トランスを入出力間に介在させて絶縁することもできる。本発明はいずれの方式でも出力が電流モード(電流型)の電力変換回路であれば成立する。
【0015】
充電電流信号発生回路8は、例えば、充電回路に直列接続した電流検出用抵抗の端子間の電圧降下を充電電流Icの検出信号として取り出してこれを制御対象として入力し、誤差増幅器の基準値として充電電流基準値設定回路で設定されているIrefと比較して、その誤差増幅信号を出力する誤差増幅回路で構成される。この時、充電電流信号発生回路8から出力される誤差増幅信号は、入力される制御対象の充電電流Iが充電電流基準値Irefより小さければ出力値は大きくなり、充電電流Icが充電電流基準値Irefより大きければ出力値は小さくなる極性である。コンバータ部2では、この誤差増幅信号を入力すると、充電電流Iが充電電流基準値Irefより小さいときは充電電流Icを大きくし、逆に充電電流Iが充電電流基準値Irefより大きいときは充電電流Icを小さくするように入力する誤差増幅信号の大きさに応じてパルス幅(デューティー比)を制御するので、結果として、充電電流基準値Irefに基づき充電電流Iが一定になるように充電電流を制御する定電流充電モード(Constant Current Mode:CCモード)が実行される。コンバータ部2には、PWMだけではなく、PFM(パルス周波数変調)やPAM(パルス振幅変調)を用いても構わない。
【0016】
入力電圧信号発生回路7は、充電電源である太陽電池1の電圧、つまり入力電圧Viを検出し、これを制御対象の入力電圧Viとして入力し入力電圧基準値設定回路で予め設定される電圧基準値Vref(in)と比較して、その誤差増幅信号を出力する誤差増幅回路で構成される。入力電圧信号発生回路7から出力される誤差増幅信号は、入力される制御対象の入力電圧Viが電圧基準値Vref(in)より小さくなると出力値が小さくなり、入力される制御対象の入力電圧Viが電圧基準値Vref(in)より大きくなると出力値が大きくなる。コンバータ部2は、この誤差増幅信号を入力すると、入力電圧Viが入力電圧基準値Vref(in)より小さいときは充電電流Iを小さくし、逆に入力電圧Viが電圧基準値Vref(in)より大きいときは充電電流Iを大きくするように充電電流を制御する、入力定電圧充電の制御モード(正確には「定電圧制御モード」という。)が実行される。
【0017】
充電電圧信号発生回路9は、キャパシタ部3の充電電圧Vcを検出し、これを制御対象の充電電圧Vcとして入力し充電電圧基準値設定回路で予め設定される電圧基準値Vref(out)と比較して、その誤差増幅信号を出力誤差増幅回路で構成される。したがって、充電電圧信号発生回路9から出力される誤差増幅信号は、入力される制御対象の充電電圧Vcが電圧基準値Vref(out)より小さくなれば大きくなり、充電電圧Vcが電圧基準値Vref(out)より大きくなれば出力値は小さくなる。コンバータ部2は、この誤差増幅信号を入力すると、充電電圧Vcが電圧基準値Vref(out)より小さいときは充電電流Iを大きくし、逆に充電電圧Vcが電圧基準値Vref(out)より大きいときは充電電流Iを小さくするように充電電流を制御する定電圧充電の制御モード(Constant Voltage Mode:CVモード)が実行され、主に、キャパシタの過充電を防止する。
【0018】
ダイオードD1、D2、D3は、誤差増幅信号を出力する入力電圧信号発生回路7、充電電流信号発生回路8、充電電圧信号発生回路9のそれぞれから逆方向の極性でコンバータ部2の入力に接続されているので、入力電圧信号発生回路7、充電電流信号発生回路8、充電電圧信号発生回路9の出力するそれぞれの誤差増幅信号のうち最も小さい誤差増幅信号をコンバータ部2の入力とする論理和回路を構成している。
【0019】
最大電力点探査部10は、マイクロコンピュータ、当該マイクロコンピュータを動作させるための不揮発性の記憶手段、一時的にデータを格納しておくための書き換え可能な記憶手段などを有して成り、後述するような動作にしたがって、充電電流基準値Irefをスイープさせるスイープ信号Sの発生、充電電流信号発生回路8の機能を一時的に停止させる機能停止信号FIの発生、充電電圧信号発生回路9の機能を一時的に停止させる機能停止信号FVの発生、及び電流検出部6からの検出電流の読み込み、及び読み込まれた検出電流に基づいて太陽電池1の最大電力点の決定を行う。入力電圧基準値設定回路Vref(in)はスイープ信号Sを受けて、Viが0から所定の電圧値までとなるようなViをスイープさせる。このスイープの間、最大電力点探査部10は、機能停止信号FI、FVを出力する。機能停止信号FIが入力された充電電流信号発生回路8、及び、機能停止信号FVが入力された充電電圧信号発生回路9は、ともに、入力電圧信号発生回路7の出力するそれぞれの誤差増幅信号に比べて十分大きい信号であり、しかも負荷となるキャパシタ3を保護できる出力で入力電圧信号発生回路7のみを動作させる。
【0020】
次に、以上のように構成された本発明の実施の形態に係るキャパシタ充電装置の原理について説明する。コンバータ部2における電力変換効率ηは、
太陽電池出力電力: Ppv=Vi×Ii
と、キャパシタ部2に充電された電力: Pca=Vc×Ic
との関係は、
Ppv×η=Pca
から、
Vi×Ii×η=Vc×Ic ・・・(1)
となる。
ところで、キャパシタ部の電圧Vcは急峻に変化することがないため短時間ではほぼ一定とみなすことができる。このように仮定すると、(1)式から、太陽電池1の最大電力点は、太陽電池1の最大電力点は、Icが最大値をとる太陽電池出力電圧Viである。
【0021】
次に、以上のような原理に基づいて、本発明の実施の形態に係るキャパシタ充電装置がどのように動作するかについて説明する。なお、以下のような動作は、例えば、最大電力点探査部10内のマイクロコンピュータが、不揮発性の記憶手段に書き込まれた動作指令命令に基づいて、書き換え可能な記憶手段と協働することによって実現するものである。また、以下のような動作を最大電力点探査部10に実行させる手段は必ずしもマイクロコンピュータである必要はなく、当該動作を実現する代替手段であれば、他の構成でも良い。 太陽電池の最大電力点をもとめるルーチンは、最大電力点探査部10によって、例えば一定時間間隔に一度行うようにする。最大電力点探査部10は、充電電流信号発生回路8の機能を一時的に停止させる機能停止信号FIの発生、充電電圧信号発生回路9の機能を一時的に停止させる機能停止信号FVを発生させる。これらの信号を受けた入力電圧信号発生回路7の出力するそれぞれの誤差増幅信号に比べて十分大きい信号を出力して、充電電流信号発生回路8、充電電圧信号発生回路9の機能を見かけ上停止させて、入力電圧信号発生回路7のみを動作させる。このとき、最大電力点探査部10は、スイープ信号Sを発生させて、例えばViが0から所定の電圧値VoまでとなるようなViをスイープさせるように、入力電圧基準値設定回路Vref(in)を調整する。これと同時に、最大電力点探査部10は、電流検出部6から検出電流を読み込み記憶する。すなわち、Viを0から所定の電圧値Voまでスイープさせる中で、一定間隔のポイント毎に、(Vi―Ic)のデータのペアを取得する。この中で、Icの最大値を与えるViを、太陽電池1の最大電力点を与える電圧とする。最大電力点探査部10は、ここで求めたViを与えるVref(in)を入力電圧基準値設定回路に設定する。太陽電池1の最大電力点がかわっている可能性があるので、最大電力点探査部10は、一定期間が経過した後、上記のスイープ動作を再び行わせたり、充電電流Icがあらかじめ設定された値をこえて変化した場合に再スイープさせる。
【0022】
次に、このように本発明の実施の形態に係るキャパシタ充電装置を動作させることの効果について説明する。(1)式からもわかるとおり、本発明においては、太陽電池の出力と電力変換装置の効率ηの積で最大電力点を検出している。このような本発明のような最大電力点の求め方を行うと、コンバータ部2の電力変換効率ηをも考慮した太陽電池1の最大電力点を求めることができる。太陽電池1は、日照が低下する曇りや雨の天候では、太陽電池出力が晴れの場合に比べて一桁以上減少する。そのような動作点では、コンバータなどの電力変換回路の効率は小出力動作時に相当悪化するため、電力変換回路を介した、キャパシタ部2を充電する側での最大電力点の検出を行う本発明のキャパシタ充電装置は、太陽電池の出力点での計算だけに頼る方式に比較して電力変換回路の効率を反映しており非常にメリットが大きい。なお、出力が一桁以上少ない場合においては、一般の電力変換回路ではアイドリング電流以下となり、入力された電力が出力側に変換されないことすらあることを付記しておく。また、VcとIcとの乗算を用いて電力を検出する必要がないので演算等が簡単になり、回路構成(ハードウエア)が簡単になるというメリットがある。
【0023】
次に、以上のように構成された本発明の他の実施の形態に係るキャパシタ充電装置の原理について説明する。図3は、本発明の他の実施の形態に係るキャパシタ充電装置のブロック図である。本実施形態が先の実施形態と異なる点は、最大電力点が電流検出部6の検出値を読み込むのはなく、電圧検出部5の検出値を読み込む点であり、その他の構成については先の実施形態とかわらない。
【0024】
次に、以上のように構成された本発明の他の実施の形態に係るキャパシタ充電装置の原理について説明する。キャパシタ部2の静電容量をCとして、キャパシタ部2の電圧の変化は、測定開始の時刻t1のキャパシタ電圧Vc1と、測定終了時刻t2のキャパシタ電圧Vc2の差分である。ここで、測定時間Δt=t2―t1、キャパシタ部2の充電効率をηcaとする。
【0025】
太陽電池の電圧Viを変化させて、測定時間Δtだけ充電した時のキャパシタ電圧は、
Ppv×Δt×η×ηca=0.5×C×{(Vc2)2−(Vc1)2
を満たす。すなわち、
Vi×Ii×(t2−t1)×η×ηca=0.5×C×{(Vc2)2−(Vc1)2}・・・(2)
となる。(2)式は(1)式のコンバータ部2における電力変換回路ηに加え、キャパシタ充電効率ηcaを含んでいるため、キャパシタ部2に充電されたエネルギー量で太陽電池1の最大電力点を決定することができる。本実施形態においては、ΔVcが最大となる太陽電池電圧Viを求めて最大電力点とする。本実施形態では、(1)式の電流検出ではなくキャパシタ電圧の測定で済むため、用途により本実施形態の方がより正確な充電制御がかのとなる場合もある。本実施形態は、比較的に小容量のキャパシタを充電するためのキャパシタ充電装置である。
【0026】
次に、以上のように原理に基づいて、本実施形態に係るキャパシタ充電装置がどのように動作するかについて説明する。なお、以下のような動作は、例えば、最大電力点探査部10内のマイクロコンピュータが、不揮発性の記憶手段に書き込まれた動作指令命令に基づいて、書き換え可能な記憶手段と協働することによって実現するものである。また、以下のような動作を最大電力点探査部10に実行させる手段は必ずしもマイクロコンピュータである必要はなく、当該動作を実現する代替手段であれば、他の構成でも良い。
【0027】
太陽電池の最大電力点をもとめるルーチンは、最大電力点探査部10によって、例えば一定時間間隔に一度行うようにする。最大電力点探査部10は、充電電流信号発生回路8の機能を一時的に停止させる機能停止信号FIの発生、充電電圧信号発生回路9の機能を一時的に停止させる機能停止信号FVを発生させる。これらの信号を受けた入力電圧信号発生回路7の出力するそれぞれの誤差増幅信号に比べてキャパシタを保護できる十分大きい信号を出力して、充電電流信号発生回路8、充電電圧信号発生回路9の機能を見かけ上停止させて、入力電圧信号発生回路7のみを動作させる。このとき、最大電力点探査部10は、スイープ信号Sを発生させて、Viが0から所定の電圧値VoまでとなるようなViをスイープさせるように、入力電圧基準値設定回路Vref(in)を調整する。ここで、Viが0から所定の電圧値Voまでのスイープは、時間tと一次比例関係となるように行う。
【0028】
このスイープと同時に、最大電力点探査部10は、電圧検出部5から検出電圧を読み込み記憶する。すなわち、Viを0から所定の電圧値Voまでスイープさせる中で、一定時間間隔のポイント毎に、(Vi―ΔVc)のデータのペアを取得する。この中で、ΔVcの最大値を与えるViを、太陽電池1の最大電力点を与える電圧とする。最大電力点探査部10は、ここで求めたViを与えるVref(in)を入力電圧基準値設定回路に設定する。太陽電池1の最大電力点がかわっている可能性があるので、最大電力点探査部10は、一定期間が経過した後、上記のスイープ動作を再び行わせる。
【0029】
以上、本発明による効果をまとめると以下のようになる。
・キャパシタ側の電流検出、或いは、電圧検出だけで太陽電池の最大電力点を検出することができる。
・コンバータ部などの電力変換回路(最大電力点追従制御付き)の効率を含んだ最大電力点を検出することができる。
・さらに、本発明の他の実施形態によれば、電力変換回路の効率とキャパシタの充電効率の両方を含んだ最大電力点を検出することができる。
・電力変換回路は入力がほとんどない場合に、大幅な効率低下が起こる問題があるが、本発明によれば、電力変換回路の効率を含んだ最大電力点を検出することができるので、太陽電池が低出力の場合でも効率がよい。
【0030】
ほとんどの電池は、電池への充電電力が表示可能であっても、実際に充電された電力の確認はできない。例えば、0°C前後の環境で鉛蓄電池を充電する場合、充電電流が流れていても化学変化が行われる速度が著しく低下し(活性を失っていると表現する)ているため流れる電流の時間積が蓄電エネルギーにはならない。つまり充電効率が著しく低下する。これに対して、キャパシタを蓄電素子として用いる場合には、化学反応が関与しない蓄電素子のために損失の少ない充電と蓄電量の正確な計測が可能となる。このような正確な蓄電量表示特性に加え、さらに、本発明のようなキャパシタ充電装置を用いることによって、上述の効果を期待することができる自然エネルギー源を構築することができる。
【0031】
なお、本実施形態においてスイープ動作等は、マイクロコンピュータが制御を行うものとて例示したが、前述したようなスイープ動作等を実現するものであれば、必ずしもマイクロコンピュータを用いる必要はない。
【0032】
なお、本発明においては、最大電力点探査部10はViをスイープすることによって最大電力点を探査するが、Iiをスイープさせることで最大電力点を見つけるような構成としても良い。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施の形態に係るキャパシタ充電装置のブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るキャパシタ充電装置の制御モードを説明する図である。
【図3】本発明の他の実施の形態に係るキャパシタ充電装置のブロック図である。
【図4】太陽電池の出力電流、出力電圧、出力電力の関係を示す図である。
【符号の説明】
【0034】
1・・・太陽電池、2・・・コンバータ部、3・・・キャパシタ部、4・・・電圧検出部、5・・・電圧検出部、6・・・電流検出部、7・・・入力電圧信号発生回路、8・・・充電電流信号発生回路、9・・・充電電圧信号発生回路、10・・・最大電力点探査部、D1、D2、D3・・・ダイオード、Vref(in)・・・入力電圧基準値設定回路、Vref(out)・・・充電電圧基準値設定回路、Iref・・・充電電流基準値設定回路、I・・・充電電流、Vc・・・充電電圧、Vi・・・入力電圧

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池と電力変換回路とキャパシタとからなり、該太陽電池からの出力電力を該電力変換回路で電力変換し、この電力変換された電力を該キャパシタに蓄電するキャパシタ充電装置において、
該電力変換回路の入力電圧を所定範囲でスイープするスイープ部と、該キャパシタへの充電電流を検出する電流検出部と、を備え、該スイープ手段による入力電圧のスイープに伴う該キャパシタへの充電電流の変化を該電流検出部で検出しておき、該充電電流が最大となる入力電圧を該太陽電池の最大電力点とすることをキャパシタ充電装置。
【請求項2】
太陽電池と電力変換回路とキャパシタとからなり、該太陽電池からの出力電力を該電力変換回路で電力変換し、この電力変換された電力を該キャパシタに蓄電するキャパシタ充電装置において、
該電力変換回路の入力電圧を所定範囲でスイープするスイープ部と、該キャパシタへの充電電圧を検出する電圧検出部と、を備え、該スイープ手段による入力電圧のスイープに伴う該キャパシタへの充電電圧の時間変化を該電圧検出部で検出しておき、該充電電圧の時間変化が最大となる入力電圧を該太陽電池の最大電力点とすることをキャパシタ充電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−61283(P2008−61283A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−231485(P2006−231485)
【出願日】平成18年8月29日(2006.8.29)
【特許番号】特許第3919125号(P3919125)
【特許公報発行日】平成19年5月23日(2007.5.23)
【出願人】(393013560)株式会社パワーシステム (127)
【Fターム(参考)】