説明

クライミングレール延長部品を備えたレール案内式のセルフクライミング型枠システム

建物分野におけるレール案内式のセルフクライミング型枠システム10では、クライミングレール18がクライミングシュー24,26,34,36内において案内され、クライミングレールは足場ユニットに一体化される。足場ユニットはまた、やはりクライミングレール18に取り付けられる作業プラットフォーム12及び仕上げプラットフォーム16を含む。クライミングレール延長部品20,22は、クライミングレール18の自由端部に取り付けられ、この自由端部に堅固に取り付けられ得る。クライミングレール延長部品20,22は、クライミングレール18よりも長さが短い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、足場ユニットに一体化されたクライミングシュー(climbing shoe)内において案内されるクライミングレール(climbing rail)を備えた、建築分野におけるレール案内式のセルフクライミング(self−climbing)型枠システムに関し、クライミングシューは、1つの硬化されたコンクリート部分及び複数のコンクリート部分にそれぞれ取り付け可能であり、クライミングレールは、クライミングシュー内において、可動であり、案内され、保持される。
【背景技術】
【0002】
このようなセルフクライミング型枠システムは、国際特許出願WO2007/000139A1、WO2007/00136A1、WO2007/000134A1及びWO2007/000137A1によって知られている。
【0003】
既知のレール案内式のセルフクライミング型枠システムにおいては、既知のセルフクライミング型枠が使用できるようになるまでに、少なくとも2つの床又はコンクリート部分が、既知の型枠システムを用いて構築されなければならない。これが必要であるのは、使用されるクライミングレールが、様々なコンクリート部分に取り付けられたクライミングシュー内において案内、保持、移動されるからである。
【0004】
クライミングシューをあるコンクリート部分から別のコンクリート部分に移動するためには、クライミング手順のために必要な個々の作業工程がクレーンを使用することなく行われ得るように、大面積の足場ユニットがさらに必要となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
たとえば、WO2007/000139Aから知られているように、クライミングレールの長さのために、クライミングレールの下側の自由端部が、第1のコンクリート部分が上に建てられる地面、又は、第1のコンクリート部分の下に造られ得る床天井と衝突しないように、セルフクライミング型枠システムを使用する際には、十分な構造上の高さに達さなければならない。通常、セルフクライミング型枠システムを使用できるようにするためには、2つの床が最初に完成されなければならない。したがって、クライミングレールの長さは、造られる床及びコンクリート部分それぞれの高さ、並びに、より高いコンクリート部分の場合には仕上げプラットフォームの存在の必要性によって決定される。したがって、クライミングレールの長さは、構築されるコンクリート部分の高さよりもかなり大きい。
【0006】
本発明の目的は、幅広い領域の用途において使用できるように、既知のレール案内式のセルフクライミング型枠システムを簡略化することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、特許請求の範囲の主題によって達成される。従属請求項は、本発明の主題の好ましい実施形態を示す。
【0008】
クライミングレールよりも長さの短いクライミングシュー延長部品が、クライミングレールの自由端部に取り付けられ得る。
【0009】
このタイプのクライミングレールの実施の形態では、安全上の危険性を招くことなく、より短いクライミングレールを用いてクライミング手順を行うことが可能である。安全なセルフクライミング手順のためには、互いからある距離をおいて配置された、少なくとも2つの平行なクライミングレールが、それに重ねて配置される少なくとも2つのクライミングシュー内においてそれぞれ常に保持されなければならず、クライミングレールは、クライミング手順それ自体の際に、このレールに取り付けられたクライミングレール延長部品によって、さらなる第3のクライミングシューの対の中へとさらに動かされ、たとえば、この対を第3のクライミングシューよりも上方の第4のクライミングシューとして再び使用するために、互いの上に配置された3対のクライミングシューの最初の対が取り除かれるまで、そこに保持されなければならない。このクライミング手順では、問題のクライミングレールは、コンクリートで固められる床の高さよりかなり大きい最小の長さを有さなければならない。クライミングレール延長部品を使用することにより、その全長が、構築されるコンクリート部分を越えて突出しないように、クライミングレール自体が短縮可能であり、すなわち、クライミングレールは、本質的に、クライミングレールがクライミングシューによって取り付けられる硬化されたコンクリート部分の高さに対応する長さとなる。
【0010】
これは、本発明による短縮されたクライミングレール及びクライミングレールの対が、それぞれ、第1の床又は第1のコンクリート部分の完成の後にすでに使用可能となることを意味する。第2のコンクリート部分の完成の後のさらなるクライミング手順では、少なくとも2つのクライミングレール延長部品が、クライミングレールの自由な上端部に堅固に連結され、それによって、クライミング手順の際に、最も新しく構築され、硬化されたコンクリート部分に取り付けられたクライミングシューの中にクライミングレールが導入可能となる。同時に、十分な安全がもたらされながらクライミング手順が行われ得るように、クライミングレール(複数可)が、下に配置された2つのクライミングシューの中で依然として保持される。
【0011】
新しいコンクリート固めの手順のためには、次に、クライミングレールが、それに重ねて取り付けられる2対のクライミングシュー内において案内された状態に保持されている場合、クライミングレール延長部品が、再びクライミングレールの上端部から除去される。これらの方策によって、コンクリート固めの手順の際に、そのクライミングレールがコンクリート部分又は完成した床を越える状態で突出しないレール案内式のセルフクライミング型枠システムが使用可能となる。クライミングレールは、本質的に、コンクリート固めされる部分の高さに対応する長さのものであり、構築されるコンクリート部分の高さよりもそれぞれ短い。
【0012】
有利には、クライミングレールの少なくとも下側の自由端部には、クライミングレールよりも長さの短いクライミングレール延長部品が切り離し可能に及び/又は枢動式に取り付け可能である。
【0013】
本発明のセルフクライミング型枠システムは、第1コンクリート部分の完成の後、すでに使用可能となる。このために、クライミングレール延長部品が、まず、クライミングレールの下側の自由端部から切り離されるか、又は枢動式にクライミングレールの下側の自由端部に取り付けられる。クライミングレールは、本質的に、コンクリート部分の高さに対応する長さのものとなるように短くなるべく選択されている。こうして、クライミングレールの下側の自由端部は、第1コンクリート部分が上に構築される地面、又は、第1コンクリート部分の下に構築され得る床天井とはもはや衝突しない。十分な床の高さに到達した後、たとえば、仕上げプラットフォームがこの上に設けられ得るように、クライミングレール延長部品が、着脱可能に且つ/又は枢動可能にクライミングレールの下側の自由端部に取り付けられる。
【0014】
本発明のさらなる実施の形態では、クライミングレール延長部品は、構築されるコンクリート部分の高さよりも短い。このようにして、一方で、所望される扱いやすさが達成され、他方で、クライミングレール延長部品の長さによって、それぞれのクライミングの手順において、このように延在されたクライミングレールが、確実に、次のクライミングシューに安全に到達し、そこで保持可能となる。これに関連して、クライミングレール延長部品の長さは、好ましくは、それに直接重ねて配置される2つのクライミングシューの間の距離の半分以上である。
【0015】
クライミングレール延長部品がロックピンによってクライミングレールの自由端部に連結される場合、単純な構造的手段によって、クライミングレールの自由端部とクライミングレール延長部品の間の堅固な連結がもたらされ得る。同時に、それぞれのクライミング手順が完了した後に、クライミングレール延長部品は、再びクライミングレールから取り外されなければならないので、このタイプの連結は迅速且つ簡単に再び切り離すことが可能であり、これによって、外部型枠及び/又は内部型枠を、新しいコンクリート部分が構築される位置に持っていくことができる。
【0016】
それぞれのクライミングレール延長部品が、クライミングレールの自由端部に、2つのロッキングピンによって連結可能であると有利である。一方で、この方策では、1つのみのロッキングピンが使用される場合、関節式の連結部がもたらされ、互いにある距離をおいた2つのロッキングピンが、クライミングレールをクライミングレール延長部品に連結するために使用される場合、剛性の連結部が、クライミングレールとクライミングレール延長部品との間に達成される。
【0017】
クライミングレール並びにクライミングレール延長部品が、支持ピン、及び、場合によってはスペーサ、連結ピンによって、互いにある距離をおいてつなぎ合わされる2つのプロファイルレール(profile rail)から組み立てられる場合、本発明によるレール案内式のセルフクライミング型枠システムの簡略化された構造が確実となる。これは、クライミングレール延長部品が、このように設計されたクライミングレールに簡単に連結可能であり、同時に、クライミングレールにおいて考えられる構成が、一連の支持ピンによってクライミングレール延長部品に中断なく連続可能である利点がある。
【0018】
レール案内式のセルフクライミング型枠システムは、作業プラットフォーム及び仕上げプラットフォームが上に形成される足場ユニットを有する。クライミングレールは、足場ユニットに一体化される。本発明による短縮されたクライミングレールに関しては、足場ユニットは、1つの作業プラットフォーム及び1つの仕上げプラットフォームを有するのみで十分である。本発明によるセルフクライミング型枠システムの実施形態においては、従来技術の場合のような中間プラットフォームは、なしで済ませることができる。これによって、レール案内式のシステム全体がかなり単純化される。
【0019】
有利には、可動式の外部又は内部の型枠が、作業プラットフォーム上に考えられる。一方で、クライミングシューが、作業プラットフォーム上で硬化したコンクリート部分に最も容易に取り付け可能であるように、又はこのコンクリート部分から最も容易に取り外し可能であるように、また、他方で、さらなるコンクリート部分が構築可能である作業プラットフォーム上の位置に、外部又は内部の型枠が動かされ得るように、必要に応じて、上述の外部又は内部の型枠が、作業プラットフォーム上で移動され得る。
【0020】
クライミングシリンダの助けで、必要に応じて、足場ユニット全体が、完成されたコンクリート部分上において上方に押され得るように、又は、下方にも押され得るように、クライミングシリンダが、クライミングシューの上に取り付け可能である。クライミング手順が完了した後、クライミングシリンダは、クライミングシューから取り外され、より高い又は低い位置においてクライミングシューに再び取り付け可能である。取り付けられたクライミングシリンダは、クライミングシリンダの自由端部に形成された留め具によって、それぞれ、クライミングレール及びクライミングレール延長部品の支持ピンにそれぞれ係合する。クライミングシリンダが外側に動かされると、クライミングレール延長部品を有するクライミングレールが、足場ユニット全体と共に移動される。
【0021】
本発明によれば、本発明の好ましい実施の形態では、他方の反対側の端部がクライミングレールの下側の自由端部と関節式に連結されるクライミングレール延長部品の下側の自由端部に、仕上げプラットフォームの構成要素が設けられる。これは、仕上げプラットフォームが、第1のコンクリート部分上においても足場ユニットの上へ取り付け可能であるという利点を有する。クライミング手順が第1のコンクリート部分の上で開始される場合、第1コンクリート部分が建てられたベース部の上に、仕上げプラットフォームが依然として懸架されており、クライミング手順が進行するにつれて、クライミングレール延長部品とそれに取り付けられた仕上げプラットフォームの構成要素が完成された第1コンクリート部分に向かって枢動し、仕上げプラットフォームがそれ自体で位置調整を行う。
【0022】
さらなる利点は、添付の図面の説明から推測できよう。同時に、本発明に従って、上述の特徴及びさらに示される特徴は、個々に、又は互いに任意の組み合わせで使用可能である。前述の実施形態は、網羅的な列挙とみなすべきではなく、例とみなすべきである。本発明は、図面に示され、図面の実施形態の例に基づいてさらに詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】レール案内式のセルフクライミング型枠システムの助けで、コンクリート部分と並行して移動できる作業プラットフォーム上に外部型枠を支持するレール案内式のセルフクライミング型枠システムの側面図である。
【図2】図1の構成要素の拡大側面図である。
【図3】クライミングレール及びクライミングレール延長部品の三次元図及びその組み立ての方式を示す図である。
【図4】クライミングレール延長部品の三次元図である。
【図5】本発明によるクライミングレール延長部品の正面図である。
【図6】作業プラットフォーム上に内部型枠を支持する本発明に係るレール案内式のセルフクライミング型枠システムによる連のクライミング手順a)からe)のクライミング順序に分割して示す図である。
【図7】作業プラットフォームが外部型枠を支持し、足場ユニットが仕上げプラットフォームも有する本発明に係るレール案内式のセルフクライミング型枠システムによる一連のクライミング手順をa)からd)のクライミング順序で示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図においては、レール案内式のセルフクライミング型枠システムは、非常に概略的に示され、個々の特徴の群は、縮尺通りであるものと解釈すべきでない。
【0025】
図1において、10はレール案内式のセルフクライミング型枠システムを示し、このシステムは、外部型枠13が上に建てられる作業プラットフォーム12を足場ユニット上に有する。外部型枠13は、矢印14の方向に作業プラットフォーム12上を移動可能である。仕上げプラットフォーム16が、また、足場ユニットに一体化されており、作業プラットフォーム12と同様に、クライミングレール18に取り付けられる。レール案内式のセルフクライミング型枠システム10の側面図のみが図に示されており、図は、図示のクライミングレール18に平行に、クライミングレール18からある距離をおいて走行するさらなるクライミングレール18を隠している。このようにして、足場ユニットは、両クライミングレール18によってつなぎ合わされている(従来技術)。
【0026】
クライミングレール18の上側の自由端部に取り付けられるのは、第1クライミングレール延長部品20であり、クライミングレール18の下側の自由端部に、第2クライミングレール延長部品22が取り付けられる。クライミングレール18は、クライミングシュー24,26内において案内され、可動式に保持される。クライミングシュー26に取り付けられているのは、第1クライミングレール延長部品20の支持ピン32の下に係合する留め具30を自由端部に有するクライミングシリンダ28である。支持ピン32は、第1クライミングレール延長部品20に沿って、且つ第2クライミングレール延長部品22に沿って、且つクライミングレール18に沿って、所定の間隔で配置される。クライミングシュー24,26はまた、支持ピン32の下に係合する従来の既知の留め具を有し、クライミングレール18及びクライミングレール延長部品20をそれぞれ所定の位置に保持することができる。クライミングレール18又はクライミングレール延長部品20の対応する支持ピン32が懸架される留め具によって、レール案内式のセルフクライミング型枠システム全体がクライミングシュー24,26内に保持される。
【0027】
クライミングシュー34,36は、固定点38によってコンクリート部分に取り付けられる。図には、第1コンクリート部分40、第2コンクリート部分42、及び第3コンクリート部分44が示される。これらのコンクリート部分40,42,44は硬化されており、レール案内式のセルフクライミング型枠システム10の荷重を支持することができる。コンクリート部分40,42,44には、レール案内式のセルフクライミング型枠システム10のためのクライミングシューがこれによって取り付けられ得る固定点38が設けられる。図には、それぞれのコンクリート部分を片側において区切る天井部分45,46,47も示されている。それぞれのコンクリート部分40,42,44を作るために、図に示される外部型枠13に対応する内部型枠が建てられることが理解されよう。天井部分45,46,47は、図に示されない既知の天井型枠システムによって作られる。
【0028】
図2は、図1の第2コンクリート部分42及び第3コンクリート部分44の詳細の拡大側面図を示す。天井部分46が示されている。クライミングシュー26及び34が、第2及び第3のコンクリート部分42,44の固定点38に取り付けられる。クライミングシュー26に既知の方式で取り付けられているのは、留め具30によって第1クライミングレール延長部分20の支持ピン32の下に係合するクライミングシリンダ28である。第1クライミングレール延長部品20に沿って且つクライミングレール18に沿って、支持ピン32が設けられ、これは全て、クライミングシュー26及び38の留め具によって下から配置され得る。
【0029】
連結部品48によって、第1クライミングレール延長部品20が、クライミングレール18の自由端部の中へ押し込まれ、ロッキングピン50によって、第1クライミングレール延長部品20はクライミングレール18に堅固に連結される。
【0030】
クライミングレール18はまた、外部型枠13が可動式に上に取り付けられる作業プラットフォーム12を担持する。
【0031】
図3は、レール案内式のセルフクライミング型枠システム10に使用されるクライミングレール18及び第1クライミングレール延長部品20の三次元図を示す。クライミングレール18は、2つのU形の外形部からなる。支持ピン32がU形の外形部を片側でつなぎ合わせる。支持ピン32の長さは、また、2つのU形の外形部の間の距離を決定する。支持ピン32は、クライミングレール18の全長にわたって所定の間隔でU形の外形部に連結される。
【0032】
連結部品48によって、第1クライミングレール延長部品20が、クライミングレール18の自由端部の中へ押し込まれ、そこでロッキングピン50を用いてクライミングレール18に堅固に連結され得る。ロッキングピン50は、ばねピン51によって固定され得る。支持ピン32の反対側では、連結ピン52がU形の外形部を互いに連結する。連結ピン52は、支持ピン32に対応し、支持ピン32によって形成されるのと同じU形の外形部の互いの間隔を確保することができる。
【0033】
図4は、第1クライミングレール延長部品20のさらなる三次元図を示す。第1クライミングレール延長部品20は、連結部品48によってクライミングレールに連結され、ロッキングピン50によって、クライミングレールに堅固に連結される。ロッキングピン50は、ばねピン51を用いて固定される。図に示される支持ピン32は、クライミングシュー及びクライミングシリンダの留め具によってそれぞれ下から係合され得る。
【0034】
図5は、第1クライミングレール延長部品20の正面図を示す。支持ボルト32が見えており、ロッキングボルト50が連結部品48上に挿入され、ばねピン51を用いて固定される。
【0035】
図6は、レール案内式のセルフクライミング型枠システムを用いたクライミング手順の順序の非常に概略的な図を示す。図の部分a)において、2つのコンクリート部分40及び42が示される。第1コンクリート部分40は、既知の壁型枠を用いて作られており、第1コンクリート部分40が硬化した後、クライミングシュー24及び26が、第1コンクリート部分40の上に取り付けられる。次に、クライミングレール18が、クライミングシュー24及び26に挿入される。この工程において、クライミングシュー24、26は、クライミングレール18及びそれに連結される足場ユニットを保持し、足場ユニットは、作業プラットフォーム12の上に、可動式に内部型枠13’を保持する。この内部型枠13’を用いて、コンクリート部分42がコンクリートで固められ、コンクリート部分42の硬化の後に、内部型枠13’が図示の位置に移動され、クライミングシュー34、36が取り付けられる。第1クライミングレール延長部品20が、また、クライミングレール18上に取り付けられ、クライミングレール18に堅固に連結されている。クライミングシリンダ28が、クライミングシュー26上に取り付けられており、このシリンダ28が、内側に動いた状態で、その留め具を用いて第1クライミングレール延長部品20の支持ピンと係合する。
【0036】
ここで、レール案内式のセルフクライミング型枠システムにおいてクライミング手順が始まり(図の部分b)、クライミングシリンダ28が外側に動かされると、いくつかのシリンダ行程の後、クライミングシュー34の留め具が、第1クライミングレール延長部品20の支持ピンを支持且つ係合できるまで、第1クライミングレール延長部品20の自由端部がクライミングシュー34の中へと動く。代替として、クライミングシュー24、26は、クライミングシリンダ28が新しいクライミングシューに対して内側に動かされている間、クライミング手順の際に足場ユニット全体を支持することができる。概ね、セルフクライミング型枠システム全体の重量は、クライミングシューの対24又は26又は34の留め具のみによって安全に支持可能である。クライミングレール18の安全な案内が、互いの垂直上方に配置された2つのクライミングシューの対によって常に起こる。次に、クライミングシリンダ28が内側に動かされ、クライミングシリンダ28の留め具が、第1クライミングレール延長部品20又はクライミングレール18の支持ピンを再び係合することができるように、新しい位置に再びされ得る。次に、クライミングシリンダ28が再び外側に動かされると、レール案内式のセルフクライミング型枠システム全体がさらに上方へと登る。さらなるクライミングレール延長部品20’がクライミングレール18の下側の自由端部に取り付け可能になるまで、クライミングレール18が上に登るとすぐに、たとえば、固定ピンによってクライミングレール18に取り付けられることによって、クライミングレール延長部品20’がクライミングレール18に堅固に連結される。
【0037】
図の部分c)のクライミング位置においては、レール案内式のセルフクライミング型枠システムが、クライミングレール18によってクライミングシュー26及び34内に保持され、クライミングレール延長部品20,20’の端部は、依然としてクライミングシュー24及び36の中にある。
【0038】
図中d)では、クライミング手順は進んでおり、レール案内式のセルフクライミング型枠システムは、第3コンクリート部分が構築される位置にある。クライミングシュー34、36の留め具が、クライミングレール18の支持ピンの下に係合すると、クライミングレール18は、クライミングシュー34及び36によって保持される。第1クライミングレール延長部品20は、ここで、クライミングレール18から取り外し可能になり、クライミングレール延長部品20’も、レール案内式のセルフクライミング型枠システムの案内又は固定にもはや必要なくなる。クライミングシリンダ28も、クライミングシュー26から取り外し可能になる。クライミングシュー26も、第1コンクリート部分40から外される。
【0039】
部分e)では、第3コンクリート部分が第2コンクリート部分42の上方に構築可能であるように、内部型枠13’が、コンクリート部分42まで動かされたのが示される。同時に、これに使用される天井型枠53及び天井支え54によって、天井部分45をコンクリートで固めることが可能となる。図6に示されるクライミング手順には、レール案内式のセルフクライミング型枠システムが、また、外部型枠のために同時に使用されることが理解されよう。これは、明快にするために示されない。
【0040】
図7は、作業プラットフォーム12及び外部型枠によって行われる4つの手順a)からd)でのクライミング手順の側面図を示す。図7に示されるレール案内式のセルフクライミング型枠システムは、図6に示すように、コンクリート部分を構築する外部型枠として使用され得る。
【0041】
図中a)において第1コンクリート部分40が既知の壁型枠要素を用いてコンクリートで固められた後、レール案内式のセルフクライミング型枠システムが、クライミングシュー24及び26によって、硬化された第1コンクリート部分40に固定される。第2コンクリート部分42が、また、外部型枠13を用いて作られている。図7の図a)において、外部型枠13は、硬化された第2コンクリート部分42からすでに外されており、クライミングシュー34及び36が、硬化された第2コンクリート部分にすでに取り付けられている。第1クライミングレール延長部品20が、クライミングレール18の上側の自由端部に堅固に連結されており、クライミングレール18の下側の自由端部に、第2クライミングレール延長部品22が、クライミングレール18の上に関節式に依然として保持されている。第2クライミングレール延長部品22は、仕上げプラットフォームの構成要素を担持する。ここでクライミングシリンダ28がクライミングシュー26に取り付けられ、クライミング手順がクライミングシリンダ28によって開始されると、レール案内式のセルフクライミング型枠システム全体がコンクリート部分40、42に沿って上方に動き、仕上げプラットフォームが、重力によって自動的に据えられる。作業プラットフォーム12及び仕上げプラットフォーム16によって、レール案内式のセルフクライミング型枠システムの領域における全ての作業が行われ得る。図c)及びd)において、レール案内式のセルフクライミング型枠システムは、外部型枠13を、第3コンクリート部分の位置に持っていくことができるまで、さらに上方へ動かされる。作業プラットフォーム12によって、第1クライミングレール延長部品20が取り外し可能になり、クライミングシュー24及びクライミングシュー26は切り離し可能なシューであるので、それぞれ、仕上げプラットフォーム16によって、その限りにおいて必要に応じて取り外し可能である。
【0042】
建物分野のレール案内式のセルフクライミング型枠システム10において、クライミングレール18は、クライミングシュー24,26,34,36内において案内され、クライミングレールは足場ユニットに一体化される。足場ユニットは、また、クライミングレール18にやはり取り付けられる作業プラットフォーム12及び仕上げプラットフォーム16を備える。クライミングレール延長部品20、22は、クライミングレール18の自由端部に装着され、そこに堅固に取り付け可能である。クライミングレール延長部品20,22は、クライミングレール18よりも長さが短い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物分野におけるレール案内式のセルフクライミング型枠システム(10)を備えたコンクリート部分(40,42,44)であって、足場ユニットに一体化され、クライミングシュー(24,26,34,36)内において案内されるクライミングレール(18)を備え、前記クライミングシュー(24,26,34,36)が、硬化されたコンクリート部分(40,42,44)に取り付けられ、前記クライミングレール(18)が、クライミングシュー(24,26,34,36)内において、可動であり、案内され、保持されており、クライミングレール(18)の自由端部に、前記クライミングレール(18)よりも長さの短いクライミングレール延長部品(20,20’,22)が取り付け可能であるコンクリート部分において、前記クライミングレール(18)が、本質的に前記コンクリート部分(40,42,44)の高さに対応する長さであることを特徴とする、レール案内式のセルフクライミング型枠システムを備えたコンクリート部分(40,42,44)。
【請求項2】
前記クライミングレール(18)の少なくとも下側の自由端部に、前記クライミングレール(18)よりも長さの短いクライミングレール延長部品(20’,22)が、切り離し可能に且つ/又は枢動式に取り付けられることを特徴とする請求項1に記載のレール案内式のセルフクライミング型枠システム(10)を備えたコンクリート部分(40,42,44)。
【請求項3】
前記クライミングレール延長部品(20,20’,22)が、構築されるコンクリート部分(40,42,44)の高さよりも短いことを特徴とする請求項1又は2に記載のレール案内式のセルフクライミング型枠システムを備えたコンクリート部分(40,42,44)。
【請求項4】
前記クライミングレール延長部品(20,20’,22)の長さが、それに直接重ねて配置される2つのクライミングシュー(24,26,34,36)の間の距離の半分以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のレール案内式のセルフクライミング型枠システムを備えたコンクリート部分(40,42,44)。
【請求項5】
前記クライミングレール延長部品(20,20’,22)は、ロッキングピン(50)によって前記クライミングレール(18)の自由端部に連結されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のレール案内式のセルフクライミング型枠システムを備えたコンクリート部分(40,42,44)。
【請求項6】
前記クライミングレール延長部品(20,20’,22)の各々は、2つのロッキングピン(50)によってクライミングレール(18)の自由端部と連結され得ることを特徴とする請求項5に記載のレール案内式のセルフクライミング型枠システムを備えたコンクリート部分(40,42,44)。
【請求項7】
前記クライミングレール(18)並びに前記クライミングレール延長部品(20,20’,22)が、支持ピン(32)、及び、場合によってはスペーサ、連結ピン(52)によって互いにある距離をおいてつなぎ合わされる2つのプロファイルレールから組み立てられることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のレール案内式のセルフクライミング型枠システムを備えたコンクリート部分(40,42,44)。
【請求項8】
前記足場ユニットは、作業プラットフォーム(12)及び仕上げプラットフォーム(16)を有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のレール案内式のセルフクライミング型枠システムを備えたコンクリート部分(40,42,44)。
【請求項9】
前記作業プラットフォーム(12)に、前記作業プラットフォーム(12)上で可動である外部及び内部の型枠(13,13’)が設けられることを特徴とする請求項8に記載のレール案内式のセルフクライミング型枠システムを備えたコンクリート部分(40,42,44)。
【請求項10】
前記クライミングシュー(24,26,34,36)上にクライミングシリンダ(28)が、取り付けられ得ることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載のレール案内式のセルフクライミング型枠システムを備えたコンクリート部分(40,42,44)。
【請求項11】
前記クライミングレール(18)の下側の端部と関節式に連結された前記クライミングレール延長部品(22)の下側の自由端部に、仕上げプラットフォーム(16)の構成要素が設けられることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載のレール案内式のセルフクライミング型枠システムを備えたコンクリート部分(40,42,44)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2011−515602(P2011−515602A)
【公表日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−501100(P2011−501100)
【出願日】平成21年3月21日(2009.3.21)
【国際出願番号】PCT/DE2009/000380
【国際公開番号】WO2009/117986
【国際公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【出願人】(502104262)ペリ ゲー・エム・ベー・ハー (10)
【氏名又は名称原語表記】Peri GmbH
【Fターム(参考)】