説明

ケーブル保護管部材

【課題】既設管への挿入時の作業性を向上させる、ケーブル保護管部材およびそれを用いたケーブル保護管路を提供する。
【解決手段】ケーブル保護管部材10は、内部に既設ケーブル202が敷設された既設管200に挿入され、互いに分離可能な第1管部材14および第2管部材16、および第1管部材と第2管部材とが接合した状態で第1管部材と第2管部材との間を止水する第1止水材28から構成される外管部18の外周面に、その周方向に沿って帯状に突出した移動補助部24を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブル保護技術に関し、特に内部にケーブルなどが敷設された既設管に挿入される、ケーブル保護管部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のケーブル布設済み保護管補修方法の一例が、特許文献1に開示されている。この特許文献1のケーブル布設済み保護管補修方法では、円周方向に湾曲した弾性基材の湾曲内部へケーブルを入れた後、弾性基材の湾曲方向への端部同士を結合手段により結合することによって管状補修材(ケーブル保護管部材)が形成される。そして、その内部にケーブルを通した状態の管状補修材が保護管(既設管)内へ挿入される。
【0003】
また、従来のケーブル保護管部材の一例が、特許文献2に開示されている。この特許文献2のケーブル保護管部材では、外壁と一体的に形成される管壁によって第1管路部が形成される。第2管路部は、少なくともその第1管路部を形成する管壁を用いることによって形成され、例えば、既設管に挿入される前には開口可能であり、その開口から既設のケーブルが収容される。そして、ケーブルが収容された後、その開口が接着接合などによって水密的に閉じられたケーブル保護管部材が既設管に挿入される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−124795号公報
【特許文献2】特開2008−118786号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来技術では、既設管への挿入時の作業性が悪いという問題点があった。
すなわち、特許文献1の技術では、接続した管状補修材の間の水密性を保持するためには、先に保護管内へ挿入した管状補修材の開口端部へ次の管状補修材の開口端部を接続手段によって接続してから、さらに、先の管状補修材の開口端部と次の管状補修材の開口端部にシーリング剤を塗布する必要がある。つまり、特許文献1の技術では、施工現場での複雑な作業が必要となり、作業性が悪い。
【0006】
また、特許文献2の技術では、その円周方向の一部分を開口させた1つの部材を強制的に断面真円状に変形させるため、ケーブル保護管部材に残留応力が生じてしまう。このため、特許文献2の技術では、残留応力を低減させるために、ケーブル保護管部材を加熱軟化させる等の処理が必要となり、その作業に手間や時間がかかる。
【0007】
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、既設管への挿入時の作業性を向上させることができる、ケーブル保護管部材およびそれを用いたケーブル保護管路を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような目的を達成するために、本発明にかかるケーブル保護管部材は、内部にケーブルが敷設された既設管に挿入されるケーブル保護管部材であって、互いに分離可能な第1および第2管部材、第1管部材に形成される第1分割管部、第2管部材に形成され、かつ第1分割管部と協働してケーブルを収容する第1管路部を形成する第2分割管路部、第1および第2管部材の少なくともいずれか一方に第1管路とは独立して形成される少なくとも1つの第2管路部、第1および第2管部材のいずれか一方に設けられ、第1管部材と第2管部材とが接合した状態で第1管部材と第2管部材との間を止水する第1止水材、および、第1および第2管部材の管壁から構成される外管部の外周面に、その周方向に沿って帯状に突出して形成されて、既設管の内壁と外管部との接触面積を低減する移動補助部を備えている。
【0009】
この際、移動補助部の断面形状は、既設管の内壁と頂点で接触する三角形状をなすようにしてもよい。
あるいは、移動補助部の断面形状は、既設管の内壁と上辺で接触する台形状をなすようにしてもよい。
この際、上辺の幅は、7mmとしてもよい。
【0010】
また、全体として短管形状を有し、その軸方向端部どうしが水密的に接続されることによってケーブル保護管路を形成するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、第1管部材および第2管部材の管壁から構成される外管部の外周面に、その周方向に沿って帯状に突出した移動補助部を形成したので、既設管の内壁と外管部との接触面積が低減される。これにより、既設管にケーブル保護管部材を挿入する際、既設管の内壁と外管部との接触抵抗が軽減されるため、ケーブル保護管の既設管への挿入時の作業性を大幅に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】ケーブル保護管部材を用いたケーブル保護管路の設置例を示す説明図である。
【図2】ケーブル保護管路を示す説明図である。
【図3】ケーブル保護管部材を示す平面図である。
【図4】ケーブル保護管部材を示す断面図である。
【図5】移動補助部を示す断面図である。
【図6】移動補助部の台形先端部幅による動摩擦係数と変化を示す特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[ケーブル保護管部材]
まず、図1および図2を参照して、本発明の一実施の形態にかかるケーブル保護管部材10について説明する。図1は、ケーブル保護管部材を用いたケーブル保護管路の設置例を示す説明図である。図2は、ケーブル保護管路を示す説明図である。
【0014】
このケーブル保護管部材10は、その軸方向端部どうしが継手部材12に接続されることによってケーブル保護管路100を形成するものであり、通信線や電力線などの既設ケーブル202が敷設された、鋼管などからなる既設管200の内部に挿入される。
【0015】
ケーブル保護管部材10は、例えば、ポリエチレンやポリ塩化ビニルやABS(アクリロニトリル・ブタジエンゴム・スチレン)などの合成樹脂からなり、射出成形等によって短管形状に形成される。
ただし、ここでいう「短管形状」とは、一般的なパイプのような長尺の管体ではなく、例えば、複数が軸方向に接続されることによって、やっと長尺となる程度の長さを有する管体の形状を意味する。
【0016】
図3は、ケーブル保護管部材を示す平面図である。図4は、ケーブル保護管部材を示す断面図であり、図4(a)は、図3のIVa−IVa線におけるケーブル保護管部材の断面を示す断面図であり、図4(b)は、図3のIVb−IVb線におけるケーブル保護管部材の断面を示す断面図であり、図4(c)は、図3のIVc−IVc線におけるケーブル保護管部材の断面を示す断面図であり、図4(d)は、図3のIVd−IVd線におけるケーブル保護管部材の断面を示す断面図である。
【0017】
これら図3および図4に示すように、ケーブル保護管部材10は、互いに分離可能、すなわち開閉可能な第1管部材14と第2管部材16とによって構成され、この第1管部材14と第2管部材16とを接合した状態において、その断面形状が略真円形となる。また、ケーブル保護管部材10は、管壁として機能する外管部18を有しており、この外管部18は、第1管部材14の管壁(第1管壁26)と第2管部材16の管壁(第2管壁36)とによって構成され、その軸方向の長さは、例えば230mmであり、その外径は、例えば72mmである。
【0018】
外管部18の内面側には、例えば3つの管路部、すなわち第1管路部20と2つの第2管路部22a,22bとが形成されている。図3および図4(a)に示す構成例では、第1管路部20および第2管路部22a,22bは、外管部18内のうち断面三角形の各頂点のそれぞれに配置され、その開口端部は、外管部18の開口端部よりも外側に位置している(図2参照)。
【0019】
第1管路部20は、詳細は後述する、第1管部材14の第1分割管部32と第2管部材16の第2分割管部40とを組み合わせることによって構成され、その断面は略真円形状である。第1管路部20は、第1管部材14と第2管部材16とを分離させることによって、例えばその中央部付近で開口可能となっており、既設管200にケーブル保護管部材10を挿入するときに、既設ケーブル202の収容スペースとして用いられる。換言すると、第1管部材14の第1分割管部32および第2管部材16の第2分割管部40を協働させることによって、既設ケーブル202を収容する第1管路部20を形成することができる。第1管路部20の内径は、例えば35mmである。
【0020】
また、図3および図4(b)に示すように、第1管路部20と第1管壁26との間には、2つの第2管路部22a,22bが形成される。この2つの第2管路部22a,22bは、それぞれ第1管路部20とは独立して形成され、その断面は略真円形状である。第2管路部22a,22bは、ケーブル202以外の新たなケーブルを挿入することができる新たな管路として用いられる。例えば、第2管路部22a,22bの内径は、それぞれ28mmである。
【0021】
さらに、図3および図4(c)に示すように、外管部18の外周面には、移動補助部24が形成される。図4(d)に示すように、移動補助部24は、外管部18の軸方向の両端部にそれぞれ形成される。移動補助部24は、外管部18の外周面からその全周に亘って外側に向けて突出しており、図1に示すように、ケーブル保護管部材10を既設管200に挿入したときには、移動補助部24の外面が既設管200の内面に面して沿うこととなる。つまり、移動補助部24の外径は、既設管200の内径、例えば79〜81mmとほぼ同じ、あるいはそれより小さく設定される。
【0022】
また、図3および図4に示すように、第1管部材14は、断面が略半円弧状の第1管壁26を含み、第1管壁26の周方向両側縁には、合成ゴムまたはエラストマ等からなる第1止水材28が設けられている。第1止水材28は、第1管部材14の管軸方向に沿ってその全長に亘って連続して設けられており、詳細は後述する、第1嵌合部30と第2嵌合部38とを嵌め合わせたときに、第1管壁26の周方向側縁と第2管壁36の周方向側縁とに接触して、これらの間を止水する。
【0023】
また、第1管壁26の周方向両側縁には、第1止水材28よりも内側の位置に、第1嵌合部30がそれぞれ形成され、2つの第1嵌合部30を結ぶように、断面が半円筒形の第1分割管部32が形成される。
【0024】
第1嵌合部30は、後述する第2管部材16の第2嵌合部38と嵌合するための部位であり、第1管部材14の長手方向に沿ってその全体に亘って連続して形成される。第1嵌合部30は、例えば突起状の第2嵌合部38と略等しい大きさを有する窪み状に形成され、その窪みの底面には、合成ゴムまたはエラストマ等からなる第2止水材34が設けられている。第2止水材34は、薄い板状または円筒状に形成され、第1管部材14の長手方向に沿ってその全体に亘って連続して設けられて、第1嵌合部30と第2嵌合部38とを嵌め合わせたときに、第1嵌合部30と第2嵌合部38とに接触して、これらの間を止水する。
【0025】
第2管部材16は、断面が略半円弧状の第2管壁36を含み、第2管壁36の円周方向両側縁には、第2嵌合部38がそれぞれ形成され、2つの第2嵌合部38を結ぶように、断面が半円筒形の第2分割管部40が形成される。
【0026】
第2嵌合部38は、第1管部材14の第1嵌合部30と嵌合する部位であり、第2管部材16の長手方向に沿ってその全体に亘って連続して形成される。第2嵌合部38は、第1嵌合部30と略等しい大きさを有する突起状に形成され、第1嵌合部30の内部に嵌め込まれる。
【0027】
また、図1および図2に示したように、継手部材12は、弾性部材42と当該弾性部材42の外周面を覆う短管44とを備えており、ケーブル保護管部材10の軸方向端部どうしを接続する。
弾性部材42は、全体として、例えば水膨張ゴムやSBR(スチレン・ブタジエン・ゴム)のような合成ゴムまたはエラストマ等によって筒状に形成され、その軸方向の長さは、例えば40mmである。
【0028】
弾性部材42には、図2に示すように、ケーブル保護管部材10の管路部の全体、すなわち第1管路部20および2つの第2管路部22a,22bの全体の外形と略同形状を有する空間である貫通部46が形成されている。貫通部46は、弾性部材42の軸方向の全長に亘って形成され、ケーブル保護管部材10の軸方向端部どうしを継手部材14によって接続した状態では、この貫通部46に、ケーブル保護管部材10の第1管路部20および2つの第2管路部22a,22bの開口端部が包含されることとなる。
【0029】
弾性部材42の軸方向の両端部48は、外管部18の外径と略等しい内径を有する円筒状に形成されており、この弾性部材42の軸方向の両端部48のそれぞれが、互いに隣接するケーブル保護管部材10の軸方向端部の外周面をその全周に亘って被覆する。これによって、ケーブル保護管部材10と弾性部材42との間が止水される。さらに、ケーブル保護管部材10の第1止水部材28と弾性部材42とが互いに接触することで、これらの間も止水される。
【0030】
また、弾性部材42の周方向の一部には、軸方向に延びるスリット50が形成されており、このスリット50において弾性部材42が開閉されてケーブル保護管部材10に着脱可能となる。
【0031】
短管44は、ポリエチレンやポリ塩化ビニルやABS(アクリロニトリル・ブタジエンゴム・スチレン)などの合成樹脂からなり、その軸方向の長さは、例えば40mmである。短管44は、互いに分離可能、すなわち開閉可能な、略半割り短円筒状の第1片部52および第2片部54を含み、この第1片部52と第2片部54とを接合した状態において、弾性部材42をスリット50が閉じた状態に保持する。つまり、この実施例では、短管44は、弾性部材42をスリット50が閉じた状態に保持するための締め付け部材として機能している。
【0032】
[移動補助部]
次に、本実施の形態にかかるケーブル保護管部材10の移動補助部24について説明する。
図1および図2に示すように、ケーブル保護管部材10の外周面に、周方向に沿ってリング状に移動補助部24が形成されている。この移動補助部24は、ケーブル保護管部材10の径方向の外側に向けて、外周面から突出して形成されている。この際、ケーブル保護管部材10の外管部18と移動補助部24とは、製造時において一体に形成してもよいし、個別に形成したものを現場において接合してもよい。
【0033】
この移動補助部24により、ケーブル保護管路100を既設管200内に挿入するときに、既設管路100の内面と接触面積を小さくすることができ、ケーブル保護管路100の移動時に発生する動摩擦力を小さくすることができる。しかしながら、接触面積を小さくすると一方で応力集中効果が大きくなり逆に摩擦力を増加してしまう傾向もある。
【0034】
図5は、移動補助部を示す断面図であり、図5(a)は三角形状の断面を有する移動補助部を示し、図5(b)は台形状の断面を有する移動補助部を示している。
本発明は、移動補助部24の断面形状を三角形状または台形状とすることで、良好な動摩擦力と応力集中効果とを得るようにしたものである。ここでいう、移動補助部24の断面とは、ケーブル保護管部材10の軸心を通る平面、あるいはケーブル保護管部材10の外周面の周方向に直交する平面で、移動補助部24を切断した断面をいう。
【0035】
図5(a)に示すように、移動補助部24の断面形状を三角形状とした場合、その頂点で既設管路100の内面と接触する。この場合、三角形の底辺がケーブル保護管部材10の外周面に配置され、当該底辺と対向する頂点がケーブル保護管部材10の径方向の外側に向けて突出している。
【0036】
一方、図5(b)に示すように、移動補助部24の断面形状を台形状とした場合、台形の上辺(短辺)である先端部(平坦部)で既設管路100の内面と接触する。この場合、台形の底辺(長辺)がケーブル保護管部材10の外周面に配置され、当該底辺と対向する上辺がケーブル保護管部材10の径方向の外側に向けて突出している。したがって、台形状の場合、既設管路100の内面と接触する先端部の幅Wを変化させることにより、接触面積が変化するため、動摩擦力を調整することができる。なお、図5(a)の三角形状は、図5(b)の台形形状のうち、先端部の幅がW=0の場合と見なすことができる。
【0037】
図6は、移動補助部の台形先端部幅による動摩擦係数と変化を示す特性図である。ここでは、移動補助部24の台形先端部幅Wを0mmから7mmまで変化させて、既設管路100の内面と移動補助部24との接触により発生する動摩擦力を計測し、動摩擦係数を求めたものである。
【0038】
図6に示すように、移動補助部24の台形先端部幅Wが0mmおよび7mmのとき、最も動摩擦係数が小さく約0.16であった。一方、台形先端部幅Wが0mmから7mmの間では動摩擦係数が大きくなり、W=3.5mmで最大約0.19となった。
【0039】
したがって、移動補助部24の台形先端部幅Wを、0mmもしくは7mm程度に尖鋭化することで、管路内壁と第1および第2部材との間の動摩擦係数は最も小さく約0.16となる。また、ケーブル保護管路100を既設管200内に挿入するときの挿入抵抗も最も小さくなり、1mあたりのケーブル保護管挿入時の牽引張力は0.715kgfとなった。このように、ケーブル保護管を既設管路内に最もスムーズに挿入することができる。
【0040】
また、以上の実施例では、いずれもケーブル保護管部材10の外周面の全周に亘ってリング状に移動補助部24を形成した場合を例として説明したが、これに限定されるものではなく、移動補助部24を、周方向において間欠的に形成してもよい。これにより、移動補助部24の周方向に沿った長さや形成間隔を調整することにより、既設管路100の内面との接触面積を調整でき、台形先端部幅Wを変化させた場合と同様に、動摩擦係数を変化させることができる。
【0041】
[実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、第1管部材14および第2管部材16の管壁から構成される外管部18の外周面に、その周方向に沿って帯状に突出した移動補助部24を形成したので、既設管200の内壁と外管部18との接触面積が低減される。これにより、既設管200にケーブル保護管部材10を挿入する際、既設管200の内壁と外管部18との接触抵抗が軽減されるため、ケーブル保護管の既設管への挿入時の作業性を大幅に向上させることができる。
【0042】
また、本実施の形態では、移動補助部24の断面形状を、既設管200の内壁と頂点で接触する三角形状としたので、簡素な形状で、既設管200の内壁と外管部18との接触面積を低減できる。これにより、実測によれば、動摩擦係数を約0.16まで低減できることが確認された。また、ケーブル保護管路100を既設管200内に挿入するときの挿入抵抗も最も小さくなり、1mあたりのケーブル保護管挿入時の牽引張力は0.715kgfとなった。このように、ケーブル保護管を既設管路内に最もスムーズに挿入することができる。
【0043】
また、本実施の形態では、移動補助部24の断面形状を、既設管200の内壁と上辺で接触する台形状としたので、簡素な形状で、既設管200の内壁と外管部18との接触面積を低減できる。この際、上辺の幅を7mmとしてもよく、これにより、実測によれば、動摩擦係数を約0.16まで低減できることが確認された。また、ケーブル保護管路100を既設管200内に挿入するときの挿入抵抗も最も小さくなり、1mあたりのケーブル保護管挿入時の牽引張力は0.715kgfとなった。このように、ケーブル保護管を既設管路内に最もスムーズに挿入することができる。
【0044】
また、移動補助部24の先端には、既設管200の内壁に向かって押しつけられる力が働くため、移動補助部24が変形する可能性もある。本実施の形態では、移動補助部24の断面形状を三角形状や台形としたので、外管部18の外周面においてある程度の幅を有することができる。これにより、移動補助部24の強度を増すことができ、移動補助部24の先端の変形を防ぐことができる。
【0045】
また、以上の説明では、移動補助部24をケーブル保護管路100の端部に形成した場合を例として説明したが、これに限定されるものではなく、任意の位置に形成してもよい。なお、既設管200の曲がりに沿ってケーブル保護管路100も曲がる必要があるため、このような場合には、継手部材12で曲がるため、継手部材12近傍に移動補助部24を形成したほうが、継手部材12を既設管200内壁に安定して支持することができる。
【0046】
また、ケーブル保護管路100の両端部と中央部の両方に移動補助部24を形成した場合、既設管200の曲線部において中央部の移動補助部24に対して、当該曲線部の内側のみに強い力がかかるため、抵抗摩擦の増大やケーブル保護管路100の変形などが発生する。このため、ケーブル保護管路100の両端部に移動補助部24を形成することにより、ケーブル保護管路100を既設管200内へ円滑に挿入することができる。
【0047】
また、本実施の形態では、全体として短管形状を有し、その軸方向端部どうしが水密的に接続されることによってケーブル保護管路100を形成するようにしてもよい。
また、本実施の形態では、これらケーブル保護管部材10のいずれかを継手部材12を用いて軸方向に接続してケーブル保護管路100を形成するようにしてもよい。
【0048】
図1に示すように、ケーブル保護管部材10は、短管形状を有しており、このケーブル保護管部材10の軸方向端部どうしを継手部材12によって水密的に接続することで、ケーブル保護管路100が形成される。このため、例えば継手部材12の内部で突き合わせているケーブル保護管部材10をそれぞれ傾ければ、ケーブル保護管路100を曲げることが可能となる。つまり、既設管200に曲線部分があっても、その曲線部分に応じてケーブル保護管路100を曲げることで、ケーブル保護管路100を既設管200内へ円滑に挿入することができる。
【0049】
[実施の形態の拡張]
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0050】
10…ケーブル保護管部材、12…継手部材、14…第1管部材、16…第2管部材、20…第1管路部、24…移動補助部、26…第1管壁、28…第1止水材、30…第1嵌合部、32…第1分割部、34…第2止水材、36…第2管壁、38…第2嵌合、40…第2分割管部、42…弾性部材、44…短管、46…貫通部、48…両端部、50…スリット、52…第1片部、54…第2片部、100…ケーブル保護管路、200…既設管、202…既設ケーブル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部にケーブルが敷設された既設管に挿入されるケーブル保護管部材であって、
互いに分離可能な第1および第2管部材、
前記第1管部材に形成される第1分割管部、
前記第2管部材に形成され、かつ前記第1分割管部と協働して前記ケーブルを収容する第1管路部を形成する第2分割管路部、
前記第1および第2管部材の少なくともいずれか一方に前記第1管路とは独立して形成される少なくとも1つの第2管路部、
前記第1および第2管部材のいずれか一方に設けられ、前記第1管部材と前記第2管部材とが接合した状態で前記第1管部材と前記第2管部材との間を止水する第1止水材、および、
前記第1および第2管部材の管壁から構成される外管部の外周面に、その周方向に沿って帯状に突出して形成されて、前記既設管の内壁と前記外管部との接触面積を低減する移動補助部
を備えることを特徴とするケーブル保護管部材。
【請求項2】
請求項1に記載のケーブル保護管部材において、
前記移動補助部の断面形状は、前記既設管の内壁と頂点で接触する三角形状をなすことを特徴とするケーブル保護管部材。
【請求項3】
請求項1に記載のケーブル保護管部材において、
前記移動補助部の断面形状は、前記既設管の内壁と上辺で接触する台形状をなすことを特徴とするケーブル保護管部材。
【請求項4】
請求項3に記載のケーブル保護管部材において、
前記上辺の幅は、7mmであることを特徴とするケーブル保護管部材。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか1つに記載のケーブル保護管部材において、
全体として短管形状を有し、その軸方向端部どうしが水密的に接続されることによってケーブル保護管路を形成することを特徴とするケーブル保護管部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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