説明

ケーブル支持線引留め具

【課題】 従来例の支持線の巻付け作業を省略でき、複数本の支持線を引留めるに好適なケーブル支持線引留め具を提供する。
【解決手段】 長手方向の一端に鉤状片301を、他端に、隣接する他の引留め具の前記鉤状片301を掛止するリング片302を備えた掛止杆3と、前記鉤状片301とリング片302が両端から突出するように、該掛止杆3を介して互いに重ね合わせ、挟持ボルト4とこれに螺合する挟持ナット5によって互いに締付ける、一対の本件部片101,101で構成する。各本体部片101の長手方向に沿う一端のそれぞれに、ケーブル支持線aの一半を係合させて挟持させる挟持溝6を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ケーブルや電話線等の通信線を本線から分岐させたり、或いは、電柱周辺等から建物に引込む際に用いるケーブル支持線引留め具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
支持線を巻付けて引留める巻付け部を片面に並設した引留め具本体の長手方向の一端に、分岐金物や建屋壁面などに掛止する掛止杆を突設して構成したものがある(例えば、特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−343834号公報
【特許文献2】実公平3−47399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来構造のものは、巻付け部に支持線を牽引案内させて巻付け固定して支持線を張設し、該支持線に、例えば、通信線を支持させて引留めるものであるが、巻付け部に対する巻付け作業が煩雑なだけでなく、構成上、複数の支持線を組付けられる構成になっていないので、複数の通信線を一方向に引留める場合に適用することが難しく、適用上の制約がある。
【0005】
本発明は、巻付け作業を回避できるだけでなく、光ファイバーケーブルなどの通信線のための、複数本の支持線を不都合なく、一方向に引留められるケーブル支持線引留め具を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
長手方向の一端に鉤状片を、他端に隣接する他の引留め具の前記鉤状片を掛止するリング片を備えた掛止杆と、前記鉤状片とリング片が両端から突出するように、該掛止杆を介して互いに重ね合わせ、挟持ボルトとこれに螺合する挟持ナットによって互いに締付ける、一対の本体部片で構成し、各本体部片の長手方向に沿う一端のそれぞれに、ケーブル支持線の一半を係合させて挟持させる挟持溝を設けた構成とするのである。
【発明の効果】
【0007】
本発明のケーブル引留め具によれば、挟持溝を利用して支持線を挟持でき、該支持線を屈曲変形する必要なく組付けられ、作業性を向上させることができ、鉤状片とリング片の掛止関係によって連結して用いることができるから、複数の支持線を支障なく一方向に引留められ、引留める個所の空間域を単純化し、見栄えの良好な引留め状態を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】使用状態を示す正面図。
【図2】図1の一部拡大図。
【図3】図2の平面図。
【図4】正面図。
【図5】平面図。
【図6】図4のx−x線断面図。
【図7】図5のy−y線断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図面は、本発明に係るケーブル支持線引留め具の一実施形態を示し、実施形態の引留め具Aは、引留め具本体1と、必要に応じて該本体1に組付けて用いる一対の挟持片2,2とで構成する。
【0010】
引留め具本体1は、相対する内側面に設けた係合溝101a,101a内に係合した掛止杆3を介在させて互いに重ね合わせて、挟持ボルト4と挟持ナット5で締付けた、一対の本体部片101,101で構成し、本体部片101,101の、互いに重ね合う前記内側面の長手方向に沿う一端のそれぞれに挟持溝6,6を設け、該挟持溝に一半を係合した光分岐ケーブル(光ドロップケーブル)の支持線aを挟持するようにしたものである。
【0011】
なお、本体部片101の、前記内側面に相対する外側面の長手方向に沿う一端には挟持溝6と同様にして第二挟持溝6Aを設け、この第二挟持溝6Aと前記挟持片2に設けた挟持溝6Bに光分岐ケーブルの支持線aを係合して挟持片2と本体部片101とでケーブルaを挟持するようにしてある。
【0012】
そして、挟持ボルト4と挟持ナット5で締付けたときの、前記本体部片101,101の長手方向の両端に突出する、前記掛止杆3の両端部の一方を鉤状片301、他方を、隣接して配する、他の引留め具本体1の鉤状片301を掛止するリング片302とし、引留め具本体1(引留め具A)は、鉤状片301とリング片302との掛止関係により順次連結するようにしてある。
【0013】
前記挟持片2は、前記本体部片101に、光分岐ケーブルの支持線aの挟持用として設けた前記第二挟持溝6に相対する前記挟持溝6Bを備え、これら挟持溝6,6Bに支持線aを係合するようにして本体部片101に重ね合わせ、本体部片101に埋設した締付けナット7に挟持片2の外側から該挟持片2に設けた通し孔9を通じて締付けボルト8を螺合して締付けることにより、挟持片2は、引留め具本体1(本体部片101)に組付けられ、光分岐ケーブルの支持線aを挟持する。
【0014】
実施形態の引留め具Aは、電柱d間に架線した光ケーブルの幹線(自己支持型ケーブルで成る)mを電柱d近傍のクロージャーL内で分岐し、クロージャーLから導出した光分岐ケーブルa,…を前記幹線mに沿わせて支持させ、需要家宅に引込み(ドロップ)ケーブルとして用いるときの、前記光分岐ケーブルの支持線aの支持装置に適用したものである。
【0015】
図中、11は、この支持装置を構成する支持材で、支持材11は、金属杆を屈曲して成る掛止材111を相対向面に設けた溝112,112に係合して重ね合わせた一対の構成駒113,113を、ボルト12とナット13で互いに締付け、前記相対向面の長手方向に沿う一端に設けた係合溝114,114に係合させた、自己支持型の幹線ケーブルmの支持線部maを挟持するようにしたものである。
【0016】
そして、ボルト12とナット13で締付けて前記支持線部maを挟持させて、該支持線部maに固定した支持材11の長手方向の一端に突設したリング片111a(前記掛止材111で構成した)に鉤状片301を引っ掛けて引留め具Aを連結し、この引留め具Aのリング片302に鉤状片301を掛止して第二の引留め具Aを連結し、引留め具A(図示Aaで示す)には3本の光分岐ケーブルa,a,aを挟持させ、他の引留め具A(図示Abで示す)には他の3本の光分岐ケーブルaを挟持させ、引留め具A部を基点として牽引した(テンションをかけた)、各分岐ケーブルaを需要家宅に引込むようにして実施形態の支持装置を得ることができる。
【0017】
なお、本発明に係る引留め具Aは、光分岐ケーブルaの配置態様に対応させて引留め具本体1のみを用いたり、該本体1同士を鉤状片301とリング片302を利用して複数個連結したり、引留め具本体1に一対の挟持片2,2の一方又は双方を前記手段によって組付けて用いることができる。つまり、実施形態のものは、1本2本又は3本の、ケーブル支持線を選択的に引留められ、また、1本又は2本のケーブルを引留めた状態で、1本又は2本を追加して2本又は3本のケーブル(支持線)を引留める際にも適用できるようにしたもので、引留めるケーブルの数の選択は、引留め具本体1と掛止杆3のみで構成するか、該引留め具Aの本体1の一対の挟持片2,2の一方又は双方を、締付けボルト8を引留めるようにすることによっても達成できる。
【0018】
本発明に係る引留め具Aは、光ケーブル引込みのための装置に、その適用目的を限定する必要はない。
【符号の説明】
【0019】
3 掛止杆
4 挟持ボルト
5 挟持ナット
6 挟持溝
101 本体部片
301 鉤状片
302 リング片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向の一端に鉤状片を、他端に、隣接する他の引留め具の前記鉤状片を掛止するリング片を備えた掛止杆と、前記鉤状片とリング片が両端から突出するように、該掛止杆を介して互いに重ね合わせ、挟持ボルトとこれに螺合する挟持ナットによって互いに締付ける、一対の本体部片で構成し、各本体部片の長手方向に沿う一端のそれぞれに、ケーブル支持線の一半を係合させて挟持させる挟持溝を設けた、ケーブル支持線引留め具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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