説明

コンクリート打設用スペーサ

【課題】コンクリートから剥離しやすいコンクリート打設用スペーサを提供する。
【解決手段】
スペーサ本体1は長尺形状をなし、その外表面には被覆材2が装着され、該被覆材2は、ポリエチレンの薄膜フィルムであって、シュリンク加工によりスペーサ本体1に密着している。被覆材2は、コンクリートとの剥離性が高く、且つスペーサ本体1に剥離可能に装着でき、また切断可能である。スペーサ本体1の適宜の箇所に被覆材2を介して両面テープ10などを張り、対象物に対する装着性を高めることも可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンクリート打設用スペーサに関する。
【背景技術】
【0002】
引き戸フエンスなどにおいて、フエンスに車輪を設け、レール上を走行させて引き戸とする構成のものが普及している。図7にその一例を示す。引き戸フエンス9は、車輪90備えており、レール5上を走行する構成になっている。このコの字状のレール5の周囲にはコンクリート6が打設されるが、車輪90の逃げなどのためにコの字状の内部に空隙15を設ける必要があり、このような空隙15を設けるためにコンクリート打設用スペーサが用いられている。
【0003】
このコンクリート打設用スペーサに関する文献は特にない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このスペーサとしては、従来は通常発泡スチロールが用いられているが、コンクリートから剥離しにくい問題があった。特に上記した、空隙15を形成するためには、狭小部にスペーサを挿入するため、打設後に発泡スチロールを壊して取り除く必要があり、この場合に剥離し難いと、取り除く手間が大変である上、発泡スチロールがこなごなになり、処理や清掃に手間が掛かるなどの問題があった。
そのため、表面にワックスを塗ることなどが行われているが、手間が掛かる上、打設時にワックスが剥がれてしまい、剥離性を向上させる効果は少ない問題があった。
また発泡スチロール以外に、剥離性の高い材料を用いる試みもなされているが、重量が重い、破壊しにくく狭小部には使えない、等の問題があった。
本発明は上記従来技術の問題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明のコンクリート打設用スペーサは、所定の形状のスペーサ本体と、該スペーサ本体の表面に剥離可能に装着された被覆材と、を備えたことを特徴とする。
また、更に本発明のコンクリート打設用スペーサは、所定の形状を有し、破壊可能な材質からなるスペーサ本体と、該スペーサ本体の表面に剥離可能に装着された被覆材と、を備え、前記スペーサ本体は、前記スペーサを用いたコンクリートを打設した後に、破壊されて取り除かれ、その後被覆材が取り除かれる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明のコンクリート打設用スペーサによれば、コンクリートから剥離しやすい効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1及び図2に示すように、スペーサ本体1は長尺形状をなしており、レール5の内側に挿入される形状になっている。スペーサ本体1の外表面には、被覆材2が装着されている。被覆材2は、この実施形態ではポリエチレンの薄膜フィルムを用いており、シュリンク加工により、スペーサ本体1に密着させてある。
【0008】
被覆材2は、コンクリートとの剥離性が高く、且つスペーサ本体1に剥離可能に装着でき、且つ切断可能なものであれば、他の材質も使用可能である。
また、シュリンク加工ではなく、剥離可能であれば接着剤などにより被覆材2をスペーサ本体1表面に装着しても良い。
また、スペーサ本体1の適宜の箇所に両面テープ10などを張り、対象物に対する装着性を高めることも可能である。両面テープ10は被覆材2上に貼着すれば、スペーサ本体1を取り外す時にも、簡単に取り外し可能である。また、スペーサ本体1が発泡スチロールであっても、被覆材2を介すことにより貼着が可能である。
【0009】
図3乃至図6に使用方法を示す。
レール5の内側の空隙15を形成したい位置に、スペーサ本体1を装着する。両面テープ10を設けておけば、レール5に簡単に装着し、固定することができる。
【0010】
次に、レール5の周囲を含めコンクリート6を打設し、リン木19などによりスペーサ本体1を押さえ、型枠(図示せず)などに固定する。
【0011】
コンクリート6の養生後に、図5に示すようにスペーサ本体1をレール5及びコンクリート6から取り外すが、その際には被覆材2が被覆されているため、コンクリート6との剥離性が高く、簡単に取り外しが可能になる。
【0012】
また、図6に示すようにスペーサ本体1を切断して取り外す場合も簡単である。即ち、スペーサ本体1と被覆材2を一体的に切断し(A)、被覆材2を開いてスペーサ本体1の部分スペーサ本体1bを取り出す。スペーサ本体1は、直接コンクリート6に接触しておらず、また被覆材2とも容易に剥離可能であるから、被覆材2から簡単にスペーサ本体1aを取り外すことができる。
次に残りのスペーサ本体1bを取り外すことにより、きわめて容易に取り外しが行える。
残った被覆材2は、コンクリート6との剥離性が高いため、簡単に引きずりだすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態を示す斜視図。
【図2】本発明の一実施形態を示す側面図。
【図3】本発明の一実施形態の動作を示す説明図。
【図4】本発明の一実施形態の動作を示す説明図。
【図5】本発明の一実施形態の動作を示す説明図。
【図6】本発明の一実施形態の動作を示す説明図。
【図7】引き戸フエンスの一例を示す側断面図。
【符号の説明】
【0014】
1:スペーサ本体、2:被覆材、5:レール、6:コンクリート、9:引き戸フエンス、10:両面テープ、15:空隙、19:リン木、90:車輪。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の形状のスペーサ本体と、
該スペーサ本体の表面に剥離可能に装着された被覆材と、
を備えたことを特徴とするコンクリート打設用スペーサ。
【請求項2】
所定の形状を有し、破壊可能な材質からなるスペーサ本体と、
該スペーサ本体の表面に剥離可能に装着された被覆材と、を備え、
前記スペーサ本体は、前記スペーサを用いたコンクリートを打設した後に、破壊されて取り除かれ、その後被覆材が取り除かれる、
ことを特徴とするコンクリート打設用スペーサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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