コンクリート構造物における孔形成方法及び孔形成具
【課題】コンクリート構造物における孔形成方法及び孔形成具を提供することを目的とする。
【解決手段】コンクリート構造物の孔を形成すべき箇所にある生コンクリート打設用の型枠8にスリーブ6を固定し、型枠8内に流し込んだ生コンクリートの固化後に型枠8及びスリーブ6を順次取り除くことによって、コンクリート構造物に配管,配線用その他の用途に用いられる孔を形成する方法において、円盤状の底面1bと、該底面1bの円周端部近傍に垂直に立設された所定高さの周壁1aと、該周壁1aの外側に形成された縁部1dと、前記底面に穿設された開口部1cと、該開口部1cに装着されたバックヨーク付き永久磁石2とからなる孔形成具の永久磁石の磁力により、前記スリーブ6をコンクリート構造物の孔を形成すべき箇所にある生コンクリート打設用の型枠8に固定する孔形成方法と、孔形成具を基本手段としている。
【解決手段】コンクリート構造物の孔を形成すべき箇所にある生コンクリート打設用の型枠8にスリーブ6を固定し、型枠8内に流し込んだ生コンクリートの固化後に型枠8及びスリーブ6を順次取り除くことによって、コンクリート構造物に配管,配線用その他の用途に用いられる孔を形成する方法において、円盤状の底面1bと、該底面1bの円周端部近傍に垂直に立設された所定高さの周壁1aと、該周壁1aの外側に形成された縁部1dと、前記底面に穿設された開口部1cと、該開口部1cに装着されたバックヨーク付き永久磁石2とからなる孔形成具の永久磁石の磁力により、前記スリーブ6をコンクリート構造物の孔を形成すべき箇所にある生コンクリート打設用の型枠8に固定する孔形成方法と、孔形成具を基本手段としている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は型枠を用いて構築される各種建築物の基礎や梁,床等の構造物に、配線及び配管用の孔を形成するためのコンクリート構造物における孔形成方法及び孔形成具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から鉄筋コンクリート建築物においてガスや電気,水道,空調,スプリンクラー,医療関係等の各種配管を行うために、壁や梁等を貫通する孔が形成されるが、この孔はコンクリートを打設した後では形成することが困難である。そのため、型枠を組んで鉄筋を配筋した後、コンクリートを打設する前に孔を形成したい箇所に孔形成具をあらかじめ取り付けておき、次に型枠内に生コンクリートを流し込み、固化した後で孔形成具を取り除くことにより、壁や梁等に各種配管用の孔を形成し、この孔に各種の配管を挿通する手段が用いられている。
【0003】
上記に関して特許文献1には、一対の支持板間に鉄筋を挟持させた状態でこの一対の支持板をクリップで挟むことによって鉄筋に支持板を固定し、両支持板にそれぞれ穿設した支持孔間にスリーブを通して支持板にスリーブを保持させてなる基礎鉄筋へのスリーブ保持構造が記載されている。更に特許文献2には帯状体を円形に巻いてできるバンドであって、その両端面の重畳部分を可変にしてボイド用スリーブの外周面に締結されるようになされ、前記帯状体外周面に少なくとも4箇所以上の結束線が繋着されているスリーブ固定用バンドが開示されている。
【0004】
また、特許文献3には、鉄筋を組む前に、梁枠や壁枠となる一対の幕板の配管用孔を形成する個所に一対のベースをそれぞれ取り付け、前記鉄筋を組み、弾性を有する薄板を筒状に丸めて固縛したパイプを前記鉄筋を組んだ状態の配管孔形成個所に挿入し、該配管用孔形成個所において該パイプの固縛を解き、その内面に前記一対のベースとスペーサとを収容した後に再び固縛し、その後パイプの周囲に生コンクリートを流し込み、生コンクリートが固化した後に前記パイプと一対のベース及びスペーサを取り除く手段が開示されている。
【0005】
更に特許文献4には、プレキャストコンクリート部材に貫通孔を設けるためのスリーブを型枠内に固く支持するコンクリートプレキャスト用スリーブ固定具を得ることを目的として、磁力を利用してスリーブをプレキャスト用型枠に固く固定するようにしたコンクリートプレキャスト用スリーブ固定具が開示されている。具体的には筒状スリーブをその端部内側から支承するスリーブ支持部材と、このスリーブ支持部材と嵌合して磁力によってスリーブ支持部材を鉄または鋼製の型枠に固定する固定部材とからなり、前記固定部材は、先端側に小径部、基端側に大径部を有し、段部を有する異径筒形体、あるいは先端側から基端側に向かって漸次外径が増加する円錐台形部を有する異径筒形体からなり、少なくとも先端部が磁石からなり、前記スリーブ支持部材は非磁性材または弱磁性材からなる盤状の本体部を有し、その本体部の外周は設置時に型枠に接する端面あるいはその近傍においてスリーブの内径とほぼ一致する外径を有するとともに、型枠に接する端面の反対側の端面に向かって漸減する外径を有し、本体部の盤面は固定部材と嵌合する少なくとも一つの開口部を有し、開口部は前記固定部材の先端部が貫通して型枠に吸着できるように前記固定部材先端部を通す内径を有するとともに固定部材の段部または円錐台形部と係合する肩部あるいは異内径部を有しているコンクリートプレキャスト用スリーブ固定具が記載されている。
【0006】
本願出願人は先に特許文献5により、コンクリート構造物に配管,配線用その他の用途に用いられる配管部材を敷設するに際して、スリーブでなる孔形成具をスリーブ取付具に固定した永久磁石の磁力によってコンクリート構造物内の配管部材を敷設すべき箇所にあるコンクリート打設用型枠に固定し、コンクリートの固化後に型枠を除去してから孔形成具を取り除くことによってコンクリート壁等の構造物に配管用の孔を形成し、その後にこの孔に配管部材を挿通する方法を提案した。かかる方法によれば、孔形成具のスリーブ取付具が磁力によって型枠に密着するため、取り付けるべき位置に孔形成具を精確に取り付けることができるとともに該孔形成具の取り外しも容易であり、スリーブ取付具が型枠に密着しているため、コンクリートに覆われることもなく、孔形成具の取り付け取り外し時間も短縮可能であって工期の短縮をはかることができる。
【特許文献1】実開昭64−53361号公報
【特許文献2】実開平5−84742号公報
【特許文献3】特許第3335336号
【特許文献4】特許第3338399号
【特許文献5】特願2004−124653号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般にコンクリート構造物内に配管を敷設する従来の方法は、型枠内に紙筒等の円筒型枠を鉄筋に直接固定する手段が通常行われているが、円筒型枠が上下左右に動くケースが生じて配管部材を精確に敷設することが困難であるという問題がある。前記特許文献1,2による技術手段はいずれも完成したコンクリート構造物の内部に結束線やバンド等の異物が残存する方法であり、作業時には適当な長さに切断した紙管の両側の穴をガムテープで塞ぎ、結束線や針金で直接鉄筋に縛り付ける方法は、コンクリート自体の強度低下及び建築基準法第79条に規定されている鉄筋へのかぶり不足となり、該鉄筋の露出による腐蝕が原因で起きるコンクリート構造物のひび割れ現象が発生しやすいという課題がある。また、紙管の取り付けと取り外しに大きな労力と時間を費やしてしまうとともに、孔形成用具の再利用ができないことによって材料費その他の面でコストアップを招来してしまうという問題がある。
【0008】
特許文献3に記載された配管用孔の形成方法によれば、鉄筋と鉄筋との隙間が小さくてもその隙間からパイプを挿入し、配管孔形成個所に配置して配管用孔を所望の断面形状を保持して正確な位置に形成することができるとともに1つのパイプで所望の内径の配管用孔を形成することができるが、薄板を筒状に丸めて固縛したパイプを鉄筋を組んだ状態の配管孔形成個所に挿入し、パイプの固縛を解いてからその内面に一対のベースとスペーサとを収容した後に再び固縛するという作業が必要であるため、操作性の面で問題点が残っている。
【0009】
特許文献4に記載されたコンクリートプレキャスト用スリーブ固定具によれば、スリーブを固定するための型枠アンカーを型枠に固定するためにガス切断装置を使って型枠に穴を開けたり、溶融金属を除去して型枠アンカーをボルト・ナットで固定する操作を省略して型枠を傷めることなくスリーブ支持部材を位置合わせし、固定部材を挿入すれば型枠に固定することができるとともにスリーブ固定具の取り外し時にも固定部材の取っ手の端部を回転させることだけで磁力の吸着を解除することができるが、1個の孔を形成するために必要とする部品点数が多い上、作業現場ではその都度スリーブの取付位置が相違しているため、スリーブ支持部材を左右の型枠に取り付けるため精確な位置合わせが必要であり、作業が煩瑣になるという問題がある。
【0010】
更にスリーブ支持部材の外径がスリーブの内径に等しく、設置時に型枠に接する端面あるいはその近傍においてスリーブの内径とほぼ一致する外径を有するとともに型枠に接する端面の反対側の端面に向けて漸減する外径を有しているため、スリーブ支持部材がスリーブの中に入り込んだり抜け落ちる可能性があり、かつ、現場で使用する型枠は軽量な鉄板が用いられているため、生コンクリートの重圧で型枠が左右に広がる可能性があり、その際生コンクリートのノロの侵入を防ぐことができない。また、スリーブ支持部材を前もって組み立てておくという作業ができないという難点もある。
【0011】
そこで本発明は上記従来の孔形成方法が有している課題を解消して、コンクリート構造物の内部に結束線やバンド等の異物が残存することがなく、鉄筋へのかぶりの問題をクリアするとともに鉄筋の露出による腐蝕に起因するコンクリートのひび割れ現象も発生せず、孔形成具に永久磁石を常時取付けておくことにより前もって組み立てておくことができるとともに孔形成具の取り付けと取り外しに余分な労力と時間を必要とせず、工期の短縮と作業者の人員削減をはかることができて、更には孔形成具の再利用を可能とし、材料費,人件費その他の面でのコストダウンをもたらすことができるコンクリート構造物における孔形成方法及び孔形成具を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は上記目的を達成するために、コンクリート構造物における孔形成方法として、コンクリート構造物の孔を形成すべき箇所にある生コンクリート打設用の型枠にスリーブを固定し、型枠内に流し込んだ生コンクリートの固化後に型枠及びスリーブを順次取り除くことによって、コンクリート構造物に配管,配線用その他の用途に用いられる孔を形成するコンクリート構造物における孔形成方法において、円盤状の底面と、該底面の円周端部近傍に垂直に立設された所定高さの周壁と、該周壁の外側に形成された縁部と、前記底面に穿設された開口部と、該開口部に装着されたバックヨーク付き永久磁石とからなる孔形成具の永久磁石の磁力により、前記スリーブをコンクリート構造物の孔を形成すべき箇所にある生コンクリート打設用の型枠に固定する方法を基本として提供する。
【0013】
具体的には、円筒状のスリーブの両端開口部の一方又は双方に、円盤状の底面と、該底面の円周端部近傍に垂直に立設された所定高さの周壁と、該周壁の外側に形成された縁部と、前記底面に穿設された開口部と、該開口部に装着されたバックヨーク付き永久磁石とからなる孔形成具を嵌合固定し、該孔形成具をコンクリート構造物の孔を形成すべき箇所にある生コンクリート打設用の型枠に磁着固定してから型枠内に流し込んだ生コンクリートの固化後に、該型枠と孔形成具及びスリーブを順次取り除くことにより、コンクリート構造物に配管,配線用その他の用途に用いられる孔を形成する。また、孔形成具の底面に穿設された複数個の開口部に、中空リング状の周壁と該周壁の端部に直交して外方に形成された鍔部とからなる断面鈎型のリング状ヨークの周壁を嵌合固定して、リング状ヨークの周壁内に前記開口部より径大の円盤状バックヨークに固着された永久磁石を嵌合固定し、リング状ヨークの鍔部を孔形成具の底面から厚み分だけ突出させた構成を提供する。
【0014】
更に孔形成具の底面中心部に穿設された開口部に、中空リング状の周壁と該周壁の端部に直交して外方に形成された鍔部とからなる断面鈎型のリング状ヨークの周壁を嵌合固定して、リング状ヨークの周壁内に前記開口部より径大の円盤状バックヨークに固着された永久磁石を嵌合固定し、リング状ヨークの鍔部を孔形成具の底面から厚み分だけ突出させて構成するとともに、該孔形成具の中心部に、上記円盤状バックヨークと永久磁石の中心部を貫通する操作用孔を穿設する。また、孔形成具の底面周縁部近傍に穿設された複数個の開口部に、中空リング状の周壁と該周壁の端部に直交して外方に形成された鍔部とからなる断面鈎型のリング状ヨークの周壁を嵌合固定して、リング状ヨークの周壁内に前記開口部より径大の円盤状バックヨークに固着された永久磁石を嵌合固定し、リング状ヨークの鍔部を孔形成具の底面から厚み分だけ突出させて構成するとともに、該孔形成具の底面中心部に操作用孔を穿設してある。
【0015】
次に、コンクリート構造物における孔形成具として、円盤状の底面と、該底面の円周端部近傍に垂直に立設された所定高さの周壁と、該周壁の外側に形成された縁部とからなる孔形成具であって、前記底面に穿設された開口部に装着されたバックヨーク付き永久磁石の磁力により、コンクリート構造物の孔を形成すべき箇所にある生コンクリート打設用の型枠にスリーブを固定する孔形成具を基本として提供する。また、底面に穿設された複数個の開口部に、中空リング状の周壁と該周壁の端部に直交して外方に形成された鍔部とからなる断面鈎型のリング状ヨークの周壁を嵌合固定して、リング状ヨークの周壁内に前記開口部より径大の円盤状バックヨークに固着された永久磁石を嵌合固定し、リング状ヨークの鍔部を孔形成具の底面から厚み分だけ突出させて構成する。
【0016】
更に、永久磁石を、該永久磁石の裏面に配備した円盤状バックヨークと、孔形成具の外面方向から配備したリング状ヨークによって構成された壺ヨーク内に嵌合固定する構成、永久磁石を、敷設する各種配管の開口部の面積と略同一の面積を有する円盤状の底面と、該底面の円周端部近傍に垂直に立設された所定高さの周壁と、該周壁の外側に突出する縁部とから形成された孔形成具の該底面に穿設された開口部内に嵌合固定した構成、永久磁石を、敷設する各種配管の開口部の面積と略同一の面積を有する円盤状の底面に形成された凹部内に、該永久磁石の一面が底面から外方にやや突出した状態として嵌合固定した構成、永久磁石を、敷設する各種配管の開口部の面積と略同一の面積を有する円盤状の底面に形成された凹部内に嵌合した壺型ヨーク内に嵌合固定するとともに、壺型ヨークはその周壁が底面から外方にやや突出した状態として嵌合されている構成を提供する。また、円筒状に成形した紙管をスリーブとして使用する構成及びスリーブ又は孔形成具の材質として、ポリアミド,PBT,ABS樹脂等の合成樹脂を用いた構成を提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によって得られたコンクリート構造物における孔形成方法及び孔形成具によれば、コンクリートを打設する前に、配線用とか配管用の孔を形成したい箇所の型枠に永久磁石を利用して孔形成具を磁着してから型枠内に生コンクリートを流し込み、コンクリートの固化後に型枠と孔形成具を順次取り除くことによってコンクリート構造物に配管,配線用その他の用途に用いられる孔を形成することができる。特に永久磁石を用いたことによって孔形成具の配置は簡単、かつ、精確に行えるとともに孔形成具に永久磁石を常時取付けておくことによりスリーブに孔形成具を前もって組み立てておくことが可能であり、作業時においても孔形成具の取り付け位置が決まれば鉄筋との距離を計って永久磁石を磁着させるだけでよく、取り付け作業そのものは極めて短時間で行うことができるとともに取り外し作業もほとんど労力を費やすことがないので、作業時間と作業コストを大幅に低減することができる。更に取り出した孔形成具は再利用が可能である。
【0018】
作業時に孔形成具の永久磁石の磁力によって型枠に密着するため、取り付けるべき位置に精確に取り付けることができるとともに、孔形成具の取り外しも容易である。また、該孔形成具が型枠に密着しているため、コンクリートに覆われることもなく孔形成具の取り付け取り外し時間を短縮することができる。更に建築基準法第79条に規定されている鉄筋へのかぶりの問題も難なく解消することができるとともに、かぶり不足又は鉄筋の露出等による腐蝕が原因で起こるコンクリート構造物のひび割れが発生せず、耐久性の高いコンクリート構造物が得られる。
【0019】
孔形成具を構成するに必要とする部品点数は最小限であり、作業現場でのスリーブの取付位置が相違していても該スリーブを左右の型枠に取り付けるため精確な位置合わせが容易であって作業も簡易化されるという効果が得られる。更に孔形成具の外径がスリーブの内径とほぼ等しく、かつ、孔形成具に縁部が形成されているため、スリーブの中に入り込むことがなく、又周壁が垂直に立設されているため抜け落ちることもない。更に、現場で打設する生コンクリートの荷重で型枠が広がっても形成される孔が変形することがない。
【0020】
従って本発明によれば、コンクリート構造物の内部に異物が残存することがなく、鉄筋へのかぶり及び鉄筋の露出による腐蝕に起因するコンクリートのひび割れ現象を防止し、しかも孔形成具の取り付けと取り外しに多大な労力と時間を必要とせずに工期の短縮がはかれ、材料費,人件費その他の面でのコストダウンをもたらすとともに精確に施工できるコンクリート構造物における孔形成方法及び孔形成具を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下図面に基づいて本発明にかかるコンクリート構造物における孔形成方法及び孔形成具の最良の実施形態を説明する。本発明はコンクリート構造物の孔を形成すべき箇所にある生コンクリート打設用の型枠にスリーブを固定し、型枠内に流し込んだ生コンクリートの固化後に型枠及びスリーブを順次取り除くことによって、コンクリート構造物に配管,配線用その他の用途に用いられる孔を形成する孔形成方法において、円盤状の底面と、該底面の円周端部近傍に垂直に立設された所定高さの周壁と、該周壁の外側に形成された縁部と、前記底面に穿設された開口部と、該開口部に装着されたバックヨーク付き永久磁石とからなる孔形成具の永久磁石の磁力により、前記スリーブをコンクリート構造物の孔を形成すべき箇所にある生コンクリート打設用の型枠に固定するコンクリート構造物における孔形成方法と孔形成具を基本とする。
【0022】
図1は本発明の第1実施例のコンクリート構造物における孔形成具1の斜視図、図2はその要部平断面図、図3は該孔形成具1を型枠内に設置した状態を示す要部断面図であり、この孔形成具1は敷設する各種配管の開口部の面積と略同一の面積を有する円盤状の底面1bと、該底面1bの円周端部近傍に垂直に立設された所定高さの周壁1aと、該周壁1aの外側に形成された縁部1dとから構成されている。この孔形成具1を図4に示すようにコンクリート構造物内の配管部材を敷設すべき箇所に挿入するスリーブ6の両端開口部の外方から周壁1aを嵌合させ、縁部1dをスリーブ6の開口端部に係合させることにより装着する。
【0023】
孔形成具1の底面1bには2つの開口部1cが穿設され、この開口部1cに、図2に示すように中空リング状の周壁5aと該周壁5aの端部に直交して外方に形成された鍔部5bとからなる断面鈎型のリング状ヨーク5の周壁5aが嵌合されている。リング状ヨーク5の鍔部5bは孔形成具1の底面1bからその厚み分だけ突出しており、このリング状ヨーク5の周壁5a内に開口部1cより径大の円盤状バックヨーク4に固着された永久磁石2が嵌合されて孔形成具1に装着されている。永久磁石2の厚さは孔形成具1の底面1bと略同一の厚さか、底面1bよりやや薄く形成されており、リング状ヨーク5の鍔部5bよりやや内側に位置している。3は孔形成具1の底面1bに穿設された操作用孔であり、孔形成具1を取り外す際に専用工具を挿入する際に使用される。
【0024】
永久磁石2は裏面に配備した円盤状バックヨーク4と、外面方向から配備したリング状ヨーク5によって壺ヨークと同様の形状となって磁力が高められ、永久磁石2を生コンクリート打設用型枠8の内側に安定して固着することができる。また、円盤状バックヨーク4が固着された永久磁石2とリング状ヨーク5,スリーブ6はそれぞれ別体の部材であって分離可能であり、個別に補充や再利用することができる。
【0025】
永久磁石2の取付けは孔形成具1の底面1bに穿設した開口部1cの外面側からリング状ヨーク5の周壁5aを差し込み、次に内面側から円盤状バックヨーク4を固着した永久磁石2をリング状ヨーク5の周壁5a内に挿入して固定する。図示例では2個の永久磁石2を用いているが、孔形成具1の径長が大きいケースでは3個以上の永久磁石2を固着してもよいし、或いは孔形成具1の径長が小さいケースでは1個の永久磁石2を固着してもよい。
【0026】
永久磁石2のみのものに対して、円盤状バックヨーク4を装着した永久磁石2は大きく磁力が向上する。永久磁石2そのものは脆くて割れやすいものであるが、円盤状バックヨーク4を固着することによって取扱いが容易となり、リング状ヨーク5によって永久磁石2が直接生コンクリート打設用型枠8に触れないようにして該永久磁石2が保護される。
【0027】
孔形成具1の材質は、ポリアミド,PBT,塩化ビニール,ABS樹脂等の合成樹脂を用いることができる。永久磁石2としては減磁のないネオジム磁石を使用することによって半永久的に使用可能である。磁力は生コンクリートの打設時の圧力によっても生コンクリート打設用型枠8への位置がずれることのないものであれば、適宜の範囲のものを状況に応じて選択すればよい。本実施形態では円盤状バックヨーク4を付けた状態で永久磁石2の磁力を3000ガウス程度に設定して所期の目的を達成することができる。
【0028】
スリーブ6は柔軟性を有する薄板状の部材を所定径の円筒状に成形して作成される。スリーブ6の材質としてはポリアミド,PBT,ABS樹脂等の合成樹脂が適当であるが、他の紙その他の素材であってもよい。スリーブ6の径長は使用目的に応じて適宜に設定することが可能であり、上記の材質でなる板状体を筒状にまるめて嵌合する孔形成具1を付け替えることによって径長を調節することができる。また、あらかじめ円筒状に成形されたボイド等の紙管を使用することもできる。紙管を使用する場合はあらかじめ形成する孔の径に応じた複数の径長の紙管を準備しておくとよい。このスリーブ6は厚さ1mm程度のポリアミド,ABS樹脂等の合成樹脂製シートを用いてφ75mm〜135mmのサイズに対応させる。例えば長さ166mmのスリーブ6と厚さ2mmの縁部1dを有する孔形成具1とを合計すると長さ170mmのスリーブが得られる。
【0029】
図5は本第1実施例の孔形成具1を利用した孔形成の施工状態を示す概略図であり、図6は同組付状態を示す側断面図である。図中の11はコンクリートを打設したり、砕石等を敷き詰めた基盤であり、先ず該基盤11上に鉄筋を立設し、ベース型枠12を固定する。13はベース型枠12内に配置されたベース補助筋、14はベース主筋、15は下端筋であり、16はコンクリート構造物内に配置される腹筋、17は肋筋、18は上端筋である。
【0030】
そしてコンクリート構造物内に配置される上記腹筋16,肋筋17,上端筋18等が縦横に交差するように配設してから、配線用とか配管用の孔を形成したい箇所の型枠8aに両端開口部に孔形成具1を嵌合固定したスリーブ6を永久磁石2の磁力によって磁着固定後、スリーブ6の他方側に型枠8bを磁着固定する。
【0031】
次に両型枠8a,8b内に生コンクリートを流し込む。永久磁石2,2を用いたことによって孔形成具1を容易に所望の位置に配置することが可能であり、孔形成具1の取り付け位置が決まれば、鉄筋との距離を計って永久磁石2を磁着させるだけでよく、取り付け作業そのものは1秒程度で行うことができる。
【0032】
そして、コンクリートの固化後に型枠8a,8bを除去してから孔形成具1とスリーブ6を取り除くことにより、コンクリート壁等の構造物に配管,配線用その他の用途に用いられる孔が形成される。図7は孔形成具1を取り除く際に利用する専用工具22の一例を示しており、作業者が取手23を把持して先端の折曲部24を孔形成具1の操作用孔3に挿入して該孔形成具1を引張り出すか、反対側の孔形成具1を押し出す。次に薄板状のスリーブ6を内側に巻き込むように縮径させることにより、該スリーブ6をコンクリート構造物から容易に取り出すことができる。取り出した孔形成具1は再利用が可能である。
【0033】
図6に示したように、本例ではスリーブ6の両端開口部の双方に孔形成具1を嵌合固定しているが、孔形成具1はスリーブ6の一方の開口部にのみ嵌合固定するようにしてもよい。これは左右一体の型枠8a,8bで構築される構造物とともに、ビルのコンクリート床等のように一方にしか型枠を必要としない場合もあり、そのような場合にはスリーブ6の型枠側の開口部にのみ孔形成具1を嵌合固定すればよい。更に一体の型枠を使用する場合においても、磁力を選択することにより一方のみの磁力でもスリーブ6を支持することも可能であり、その場合は一方の開口部に孔形成具1を嵌合固着して使用することも可能である。
【0034】
なお、使用する型枠8a,8bは孔形成具1が磁着できるように鉄製等の材質が好ましいが、木製型枠であってもよい。但し木製型枠を使用する場合は孔形成具1を磁着できるように、例えば該木製型枠に鉄板等の受部材等を固着して使用することとなる。なお、木製型枠の表面に鉄板を取付ける場合には、型枠を取り除いたときにコンクリート構造物の表面に跡が残らないようにスリーブ6の径より小さい方が好ましく、木製型枠に固着するための鉄板はスパイク付きで厚さは1.0mm〜1.5mm程度が適当である。
【0035】
図8は本発明の第2実施例の孔形成具1を示す正面図、図9は同要部平断面図であって、前記スリーブ6の両端開口部に嵌合固定される有底円筒状の孔形成具1には敷設する各種配管の開口部の面積と略同一の面積を有する円盤状の底面1bと、該底面1bの円周端部近傍に垂直に立設された所定高さの周壁1aと、該周壁1aの外側に突出する縁部1dとから形成されている。更に底面1bに2つの開口部1c,1cが穿設され、この開口部1c,1cに永久磁石2,2が嵌合固定されている。4,4は永久磁石2,2の磁力を高めるために該永久磁石2,2の裏面側に配置した円盤状バックヨークであり、この円盤状バックヨーク4,4は永久磁石2,2を孔形成具1に安定して固定するための補強部材としての機能をも有している。3は孔形成具1を取り外す際に前記専用工具22を挿入するための操作用孔である。この第2実施例では永久磁石2,2の端面が孔形成具1の底面1bから外方にやや突出しているのが構造上の特徴となっている。
【0036】
この第2実施例によれば、コンクリート構造物内に孔を形成する際には、第1実施例と同様にコンクリート構造物内に図5に示す腹筋16,肋筋17,上端筋18等を縦横に交差するように配設してから孔を形成したい箇所の型枠8aに両端開口部に孔形成具1を嵌合固定したスリーブ6を永久磁石2の磁力によって磁着固定後、スリーブ6の他方側に型枠8bを磁着し、両型枠8a,8b内に生コンクリートを流し込んでから該コンクリートの固化後に型枠8a,8bを除去し、前記と同様に孔形成具1とスリーブ6を取り除くことによってコンクリート壁等の構造物に配管,配線用その他の用途に用いられる孔を形成することができる。
【0037】
図10は本発明の第3実施例の孔形成具1を示す要部平断面図であり、この孔形成具1は敷設する各種配管の開口部の面積と略同一の面積を有する円盤状の底面1bに穿設された開口部1cに、有底リング状の周壁5aと該周壁5aの基部から外方に形成された鍔部5bとからなる壺型ヨーク5cの周壁5aが嵌合され、この周壁5a内に永久磁石2が嵌合固定されている。この第3実施例では有底リング状の周壁5aの先端面が孔形成具1の底面1bから外方にやや突出しているのが構造上の特徴となっている。この例でもコンクリート構造物内に孔を形成する際の施工形態は前記第1,第2実施例と略同一である。
【0038】
図11は本発明の第4実施例の孔形成具1を示す要部平断面図であり、この孔形成具1は敷設する各種配管の開口部の面積と略同一の面積を有する円盤状の底面1bに形成された凹部5d内に永久磁石2が嵌合固定されている。この第4実施例では永久磁石2の端面が孔形成具1の底面1bから外方にやや突出しているのが構造上の特徴となっている。この第4実施例によるコンクリート構造物内に孔を形成する際の施工形態は前記第1,第2実施例と略同一である。
【0039】
図12は本発明の第5実施例の孔形成具1を示す要部平断面図であり、この孔形成具1は敷設する各種配管の開口部の面積と略同一の面積を有する円盤状の底面1bに穿設された凹部5d内に有底リング状の周壁5aを有する壺型ヨーク5cが嵌合されており、この壺型ヨーク5c内に永久磁石2が嵌合固定されている。この第5実施例では壺型ヨークの5cの周壁5aの端面が孔形成具1の底面1bから外方にやや突出し、永久磁石2が周壁5aの端面の内側に位置しているのが構造上の特徴となっている。この例でもコンクリート構造物内に孔を形成する際の施工形態は前記第1,第2実施例と略同一である。
【0040】
図13は本発明の第6実施例の孔形成具1を示す要部平断面図、図14は該孔形成具1を型枠内に設置した状態を示す要部断面図であり、この孔形成具1は敷設する各種配管の開口部の面積と略同一の面積を有する円盤状の底面1bと、該底面1bの円周端部近傍に垂直に立設された所定高さの周壁1aと、該周壁1aの外側に形成された縁部1dとから構成されており、孔形成具1の底面1bの中心部に1個の開口部1cが穿設され、この開口部1cに中空リング状の周壁5aと該周壁5aの端部に直交して外方に形成された鍔部5bとからなる断面鈎型のリング状ヨーク5の該周壁5aが嵌合されている。このリング状ヨーク5の周壁5a内に永久磁石2が嵌合固定された状態として孔形成具1に装着されている。永久磁石2の厚さは孔形成具1の端面と略同一の厚さとなっており、該永久磁石2の裏面側には開口部1cより径大の円盤状バックヨーク4が固着されている。更にこの孔形成具1の中心部には、上記円盤状バックヨーク4と永久磁石2の中心部を貫通して操作用孔3が穿設されている。
【0041】
この孔形成具1を図14に示すようにコンクリート構造物内の配管部材を敷設すべき箇所に挿入するスリーブ6の両端開口部の外方から周壁1aを嵌合させ、縁部1dをスリーブ6の開口端部に係合させることにより孔形成具1を生コンクリート打設用型枠8に装着する。この操作時に永久磁石2はリング状ヨーク5と裏面に配備した円盤状バックヨーク4とによって壺ヨークと同様の形状となって磁力が高められ、永久磁石2を生コンクリート打設用型枠8の内側に安定して固着することができる。リング状ヨーク5の鍔部5bは孔形成具1の底面1bからその厚み分だけ突出しているので、永久磁石2が直接生コンクリート打設用型枠8に接することがない。
【0042】
図15は本発明の第7実施例の孔形成具1を示す背面図、図16は該孔形成具1を型枠内に設置した状態を示す要部断面図であり、この孔形成具1は敷設する各種配管の開口部の面積と略同一の面積を有する円盤状の底面1bと、該底面1bの円周端部から一定距離離間した位置に垂直に立設された所定高さの周壁1aと、該周壁1aの外側に形成された幅広の縁部1dとから構成されており、底面1bの周縁部近傍に複数個の開口部1c,1cが穿設され、この各開口部1c,1cに中空リング状の周壁5aと該周壁5aの端部に直交して外方に形成された鍔部5bとからなる断面鈎型のリング状ヨーク5の該周壁5aが嵌合されている。このリング状ヨーク5の周壁5a内に永久磁石2が嵌合固定された状態として孔形成具1に装着されている。永久磁石2の厚さは孔形成具1の端面と略同一の厚さとなっており、該永久磁石2の裏面側は円盤状バックヨーク4に固着されている。更にこの孔形成具1の中心部には、円盤状の底面1bの中心部を貫通して操作用孔3が穿設されている。この第7実施例は、孔形成具1を片方だけ磁着させる場合や、径長の小さい孔を形成する場合に特に有効である。
【0043】
この孔形成具1を図16に示すようにコンクリート構造物内の配管部材を敷設すべき箇所に挿入するスリーブ6の両端開口部の外方から周壁1aを嵌合させ、縁部1dをスリーブ6の開口端部に係合させることにより孔形成具1を生コンクリート打設用型枠8に装着する。この操作時に底面1bの周縁部近傍に複数個配置された永久磁石2はリング状ヨーク5と裏面に配備した円盤状バックヨーク4とによって壺ヨークと同様の形状となって磁力が高められ、第5実施例と同様に永久磁石2を生コンクリート打設用型枠8の内側に安定して固着することができる。リング状ヨーク5の鍔部5bは孔形成具1の底面1bからその厚み分だけ突出しているので、永久磁石2が直接生コンクリート打設用型枠8に接することがない。
【産業上の利用可能性】
【0044】
以上詳細に説明したように、本発明によって得られたコンクリート構造物における孔形成方法及び孔形成具によれば、コンクリートを打設する前に型枠に永久磁石を利用して孔形成具を磁着してから型枠内に生コンクリートを流し込み、コンクリートの固化後に型枠と孔形成具を順次取り除くことによってコンクリート構造物に配管,配線用その他の用途に用いられる孔を形成することができる。永久磁石を用いたことによって孔形成具の配置は簡単、かつ、精確に行えるとともに孔形成具に永久磁石を常時取付けておくことによりスリーブに孔形成具を前もって組み立てておくことが可能であり、孔形成具の取り付け作業そのものは極めて短時間で行うことができるとともに取り外し作業もほとんど労力を費やすことがなく、作業時間と作業コストを大幅に低減することができるので、土木建築を問わずコンクリート構造物に対して孔を開ける必要がある工事全般に応用可能である。特に口径の大きいケースでは磁石の数を増やしたり強度が高い材料にすることにより対処可能であり、寸法の短いケースや大きな力のかからない表層部に近い部分では磁石は片側だけでも充分な場合もある。建築物の床に本発明を応用する場合には、型枠は片側しかないので一方側にのみ孔形成具を嵌合させればよい。特に永久磁石を使用して型枠に固定することにより、鉄筋に結束線等で固着する必要がなく、位置合わせが容易になるとともに配筋へのコンクリートのかぶりを必要十分にとることが可能であり、孔形成後に孔部から配筋が露出することがなく、コンクリート内に結束線等の残存物がない。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の第1実施例の孔形成具の斜視図。
【図2】図1の要部平断面図。
【図3】孔形成具を型枠内に設置した状態を示す要部断面図。
【図4】孔形成具をスリーブの開口部の外方から嵌合した状態を示す斜視図。
【図5】第1実施例の孔形成具を利用した孔形成施工状態を示す概略図。
【図6】第1実施例の組付状態を示す側断面図。
【図7】専用工具の一例を示す平面図。
【図8】本発明の第2実施例の孔形成具を示す正面図。
【図9】図8の要部平断面図。
【図10】本発明の第3実施例の孔形成具を示す要部平断面図。
【図11】本発明の第4実施例の孔形成具を示す要部平断面図。
【図12】本発明の第5実施例の孔形成具を示す要部平断面図。
【図13】本発明の第6実施例の孔形成具を示す要部平断面図。
【図14】孔形成具を型枠内に設置した状態を示す要部断面図。
【図15】本発明の第7実施例の孔形成具を示す背面図。
【図16】孔形成具を型枠内に設置した状態を示す要部断面図。
【符号の説明】
【0046】
1…孔形成具
1a…周壁
1b…底面
1c…開口部
1d…縁部
2…永久磁石
3…操作用孔
4…円盤状バックヨーク
5…リング状ヨーク
5a…周壁
5b…鍔部
5c…壺型ヨーク
5d…凹部
6…スリーブ
8…生コンクリート打設用型枠
11…基盤
12…ベース型枠
13…ベース補助筋
14…ベース主筋
15…下端筋
16…腹筋
17…肋筋
18…上端筋
22…専用工具
23…取手
24…折曲部
【技術分野】
【0001】
本発明は型枠を用いて構築される各種建築物の基礎や梁,床等の構造物に、配線及び配管用の孔を形成するためのコンクリート構造物における孔形成方法及び孔形成具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から鉄筋コンクリート建築物においてガスや電気,水道,空調,スプリンクラー,医療関係等の各種配管を行うために、壁や梁等を貫通する孔が形成されるが、この孔はコンクリートを打設した後では形成することが困難である。そのため、型枠を組んで鉄筋を配筋した後、コンクリートを打設する前に孔を形成したい箇所に孔形成具をあらかじめ取り付けておき、次に型枠内に生コンクリートを流し込み、固化した後で孔形成具を取り除くことにより、壁や梁等に各種配管用の孔を形成し、この孔に各種の配管を挿通する手段が用いられている。
【0003】
上記に関して特許文献1には、一対の支持板間に鉄筋を挟持させた状態でこの一対の支持板をクリップで挟むことによって鉄筋に支持板を固定し、両支持板にそれぞれ穿設した支持孔間にスリーブを通して支持板にスリーブを保持させてなる基礎鉄筋へのスリーブ保持構造が記載されている。更に特許文献2には帯状体を円形に巻いてできるバンドであって、その両端面の重畳部分を可変にしてボイド用スリーブの外周面に締結されるようになされ、前記帯状体外周面に少なくとも4箇所以上の結束線が繋着されているスリーブ固定用バンドが開示されている。
【0004】
また、特許文献3には、鉄筋を組む前に、梁枠や壁枠となる一対の幕板の配管用孔を形成する個所に一対のベースをそれぞれ取り付け、前記鉄筋を組み、弾性を有する薄板を筒状に丸めて固縛したパイプを前記鉄筋を組んだ状態の配管孔形成個所に挿入し、該配管用孔形成個所において該パイプの固縛を解き、その内面に前記一対のベースとスペーサとを収容した後に再び固縛し、その後パイプの周囲に生コンクリートを流し込み、生コンクリートが固化した後に前記パイプと一対のベース及びスペーサを取り除く手段が開示されている。
【0005】
更に特許文献4には、プレキャストコンクリート部材に貫通孔を設けるためのスリーブを型枠内に固く支持するコンクリートプレキャスト用スリーブ固定具を得ることを目的として、磁力を利用してスリーブをプレキャスト用型枠に固く固定するようにしたコンクリートプレキャスト用スリーブ固定具が開示されている。具体的には筒状スリーブをその端部内側から支承するスリーブ支持部材と、このスリーブ支持部材と嵌合して磁力によってスリーブ支持部材を鉄または鋼製の型枠に固定する固定部材とからなり、前記固定部材は、先端側に小径部、基端側に大径部を有し、段部を有する異径筒形体、あるいは先端側から基端側に向かって漸次外径が増加する円錐台形部を有する異径筒形体からなり、少なくとも先端部が磁石からなり、前記スリーブ支持部材は非磁性材または弱磁性材からなる盤状の本体部を有し、その本体部の外周は設置時に型枠に接する端面あるいはその近傍においてスリーブの内径とほぼ一致する外径を有するとともに、型枠に接する端面の反対側の端面に向かって漸減する外径を有し、本体部の盤面は固定部材と嵌合する少なくとも一つの開口部を有し、開口部は前記固定部材の先端部が貫通して型枠に吸着できるように前記固定部材先端部を通す内径を有するとともに固定部材の段部または円錐台形部と係合する肩部あるいは異内径部を有しているコンクリートプレキャスト用スリーブ固定具が記載されている。
【0006】
本願出願人は先に特許文献5により、コンクリート構造物に配管,配線用その他の用途に用いられる配管部材を敷設するに際して、スリーブでなる孔形成具をスリーブ取付具に固定した永久磁石の磁力によってコンクリート構造物内の配管部材を敷設すべき箇所にあるコンクリート打設用型枠に固定し、コンクリートの固化後に型枠を除去してから孔形成具を取り除くことによってコンクリート壁等の構造物に配管用の孔を形成し、その後にこの孔に配管部材を挿通する方法を提案した。かかる方法によれば、孔形成具のスリーブ取付具が磁力によって型枠に密着するため、取り付けるべき位置に孔形成具を精確に取り付けることができるとともに該孔形成具の取り外しも容易であり、スリーブ取付具が型枠に密着しているため、コンクリートに覆われることもなく、孔形成具の取り付け取り外し時間も短縮可能であって工期の短縮をはかることができる。
【特許文献1】実開昭64−53361号公報
【特許文献2】実開平5−84742号公報
【特許文献3】特許第3335336号
【特許文献4】特許第3338399号
【特許文献5】特願2004−124653号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般にコンクリート構造物内に配管を敷設する従来の方法は、型枠内に紙筒等の円筒型枠を鉄筋に直接固定する手段が通常行われているが、円筒型枠が上下左右に動くケースが生じて配管部材を精確に敷設することが困難であるという問題がある。前記特許文献1,2による技術手段はいずれも完成したコンクリート構造物の内部に結束線やバンド等の異物が残存する方法であり、作業時には適当な長さに切断した紙管の両側の穴をガムテープで塞ぎ、結束線や針金で直接鉄筋に縛り付ける方法は、コンクリート自体の強度低下及び建築基準法第79条に規定されている鉄筋へのかぶり不足となり、該鉄筋の露出による腐蝕が原因で起きるコンクリート構造物のひび割れ現象が発生しやすいという課題がある。また、紙管の取り付けと取り外しに大きな労力と時間を費やしてしまうとともに、孔形成用具の再利用ができないことによって材料費その他の面でコストアップを招来してしまうという問題がある。
【0008】
特許文献3に記載された配管用孔の形成方法によれば、鉄筋と鉄筋との隙間が小さくてもその隙間からパイプを挿入し、配管孔形成個所に配置して配管用孔を所望の断面形状を保持して正確な位置に形成することができるとともに1つのパイプで所望の内径の配管用孔を形成することができるが、薄板を筒状に丸めて固縛したパイプを鉄筋を組んだ状態の配管孔形成個所に挿入し、パイプの固縛を解いてからその内面に一対のベースとスペーサとを収容した後に再び固縛するという作業が必要であるため、操作性の面で問題点が残っている。
【0009】
特許文献4に記載されたコンクリートプレキャスト用スリーブ固定具によれば、スリーブを固定するための型枠アンカーを型枠に固定するためにガス切断装置を使って型枠に穴を開けたり、溶融金属を除去して型枠アンカーをボルト・ナットで固定する操作を省略して型枠を傷めることなくスリーブ支持部材を位置合わせし、固定部材を挿入すれば型枠に固定することができるとともにスリーブ固定具の取り外し時にも固定部材の取っ手の端部を回転させることだけで磁力の吸着を解除することができるが、1個の孔を形成するために必要とする部品点数が多い上、作業現場ではその都度スリーブの取付位置が相違しているため、スリーブ支持部材を左右の型枠に取り付けるため精確な位置合わせが必要であり、作業が煩瑣になるという問題がある。
【0010】
更にスリーブ支持部材の外径がスリーブの内径に等しく、設置時に型枠に接する端面あるいはその近傍においてスリーブの内径とほぼ一致する外径を有するとともに型枠に接する端面の反対側の端面に向けて漸減する外径を有しているため、スリーブ支持部材がスリーブの中に入り込んだり抜け落ちる可能性があり、かつ、現場で使用する型枠は軽量な鉄板が用いられているため、生コンクリートの重圧で型枠が左右に広がる可能性があり、その際生コンクリートのノロの侵入を防ぐことができない。また、スリーブ支持部材を前もって組み立てておくという作業ができないという難点もある。
【0011】
そこで本発明は上記従来の孔形成方法が有している課題を解消して、コンクリート構造物の内部に結束線やバンド等の異物が残存することがなく、鉄筋へのかぶりの問題をクリアするとともに鉄筋の露出による腐蝕に起因するコンクリートのひび割れ現象も発生せず、孔形成具に永久磁石を常時取付けておくことにより前もって組み立てておくことができるとともに孔形成具の取り付けと取り外しに余分な労力と時間を必要とせず、工期の短縮と作業者の人員削減をはかることができて、更には孔形成具の再利用を可能とし、材料費,人件費その他の面でのコストダウンをもたらすことができるコンクリート構造物における孔形成方法及び孔形成具を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は上記目的を達成するために、コンクリート構造物における孔形成方法として、コンクリート構造物の孔を形成すべき箇所にある生コンクリート打設用の型枠にスリーブを固定し、型枠内に流し込んだ生コンクリートの固化後に型枠及びスリーブを順次取り除くことによって、コンクリート構造物に配管,配線用その他の用途に用いられる孔を形成するコンクリート構造物における孔形成方法において、円盤状の底面と、該底面の円周端部近傍に垂直に立設された所定高さの周壁と、該周壁の外側に形成された縁部と、前記底面に穿設された開口部と、該開口部に装着されたバックヨーク付き永久磁石とからなる孔形成具の永久磁石の磁力により、前記スリーブをコンクリート構造物の孔を形成すべき箇所にある生コンクリート打設用の型枠に固定する方法を基本として提供する。
【0013】
具体的には、円筒状のスリーブの両端開口部の一方又は双方に、円盤状の底面と、該底面の円周端部近傍に垂直に立設された所定高さの周壁と、該周壁の外側に形成された縁部と、前記底面に穿設された開口部と、該開口部に装着されたバックヨーク付き永久磁石とからなる孔形成具を嵌合固定し、該孔形成具をコンクリート構造物の孔を形成すべき箇所にある生コンクリート打設用の型枠に磁着固定してから型枠内に流し込んだ生コンクリートの固化後に、該型枠と孔形成具及びスリーブを順次取り除くことにより、コンクリート構造物に配管,配線用その他の用途に用いられる孔を形成する。また、孔形成具の底面に穿設された複数個の開口部に、中空リング状の周壁と該周壁の端部に直交して外方に形成された鍔部とからなる断面鈎型のリング状ヨークの周壁を嵌合固定して、リング状ヨークの周壁内に前記開口部より径大の円盤状バックヨークに固着された永久磁石を嵌合固定し、リング状ヨークの鍔部を孔形成具の底面から厚み分だけ突出させた構成を提供する。
【0014】
更に孔形成具の底面中心部に穿設された開口部に、中空リング状の周壁と該周壁の端部に直交して外方に形成された鍔部とからなる断面鈎型のリング状ヨークの周壁を嵌合固定して、リング状ヨークの周壁内に前記開口部より径大の円盤状バックヨークに固着された永久磁石を嵌合固定し、リング状ヨークの鍔部を孔形成具の底面から厚み分だけ突出させて構成するとともに、該孔形成具の中心部に、上記円盤状バックヨークと永久磁石の中心部を貫通する操作用孔を穿設する。また、孔形成具の底面周縁部近傍に穿設された複数個の開口部に、中空リング状の周壁と該周壁の端部に直交して外方に形成された鍔部とからなる断面鈎型のリング状ヨークの周壁を嵌合固定して、リング状ヨークの周壁内に前記開口部より径大の円盤状バックヨークに固着された永久磁石を嵌合固定し、リング状ヨークの鍔部を孔形成具の底面から厚み分だけ突出させて構成するとともに、該孔形成具の底面中心部に操作用孔を穿設してある。
【0015】
次に、コンクリート構造物における孔形成具として、円盤状の底面と、該底面の円周端部近傍に垂直に立設された所定高さの周壁と、該周壁の外側に形成された縁部とからなる孔形成具であって、前記底面に穿設された開口部に装着されたバックヨーク付き永久磁石の磁力により、コンクリート構造物の孔を形成すべき箇所にある生コンクリート打設用の型枠にスリーブを固定する孔形成具を基本として提供する。また、底面に穿設された複数個の開口部に、中空リング状の周壁と該周壁の端部に直交して外方に形成された鍔部とからなる断面鈎型のリング状ヨークの周壁を嵌合固定して、リング状ヨークの周壁内に前記開口部より径大の円盤状バックヨークに固着された永久磁石を嵌合固定し、リング状ヨークの鍔部を孔形成具の底面から厚み分だけ突出させて構成する。
【0016】
更に、永久磁石を、該永久磁石の裏面に配備した円盤状バックヨークと、孔形成具の外面方向から配備したリング状ヨークによって構成された壺ヨーク内に嵌合固定する構成、永久磁石を、敷設する各種配管の開口部の面積と略同一の面積を有する円盤状の底面と、該底面の円周端部近傍に垂直に立設された所定高さの周壁と、該周壁の外側に突出する縁部とから形成された孔形成具の該底面に穿設された開口部内に嵌合固定した構成、永久磁石を、敷設する各種配管の開口部の面積と略同一の面積を有する円盤状の底面に形成された凹部内に、該永久磁石の一面が底面から外方にやや突出した状態として嵌合固定した構成、永久磁石を、敷設する各種配管の開口部の面積と略同一の面積を有する円盤状の底面に形成された凹部内に嵌合した壺型ヨーク内に嵌合固定するとともに、壺型ヨークはその周壁が底面から外方にやや突出した状態として嵌合されている構成を提供する。また、円筒状に成形した紙管をスリーブとして使用する構成及びスリーブ又は孔形成具の材質として、ポリアミド,PBT,ABS樹脂等の合成樹脂を用いた構成を提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によって得られたコンクリート構造物における孔形成方法及び孔形成具によれば、コンクリートを打設する前に、配線用とか配管用の孔を形成したい箇所の型枠に永久磁石を利用して孔形成具を磁着してから型枠内に生コンクリートを流し込み、コンクリートの固化後に型枠と孔形成具を順次取り除くことによってコンクリート構造物に配管,配線用その他の用途に用いられる孔を形成することができる。特に永久磁石を用いたことによって孔形成具の配置は簡単、かつ、精確に行えるとともに孔形成具に永久磁石を常時取付けておくことによりスリーブに孔形成具を前もって組み立てておくことが可能であり、作業時においても孔形成具の取り付け位置が決まれば鉄筋との距離を計って永久磁石を磁着させるだけでよく、取り付け作業そのものは極めて短時間で行うことができるとともに取り外し作業もほとんど労力を費やすことがないので、作業時間と作業コストを大幅に低減することができる。更に取り出した孔形成具は再利用が可能である。
【0018】
作業時に孔形成具の永久磁石の磁力によって型枠に密着するため、取り付けるべき位置に精確に取り付けることができるとともに、孔形成具の取り外しも容易である。また、該孔形成具が型枠に密着しているため、コンクリートに覆われることもなく孔形成具の取り付け取り外し時間を短縮することができる。更に建築基準法第79条に規定されている鉄筋へのかぶりの問題も難なく解消することができるとともに、かぶり不足又は鉄筋の露出等による腐蝕が原因で起こるコンクリート構造物のひび割れが発生せず、耐久性の高いコンクリート構造物が得られる。
【0019】
孔形成具を構成するに必要とする部品点数は最小限であり、作業現場でのスリーブの取付位置が相違していても該スリーブを左右の型枠に取り付けるため精確な位置合わせが容易であって作業も簡易化されるという効果が得られる。更に孔形成具の外径がスリーブの内径とほぼ等しく、かつ、孔形成具に縁部が形成されているため、スリーブの中に入り込むことがなく、又周壁が垂直に立設されているため抜け落ちることもない。更に、現場で打設する生コンクリートの荷重で型枠が広がっても形成される孔が変形することがない。
【0020】
従って本発明によれば、コンクリート構造物の内部に異物が残存することがなく、鉄筋へのかぶり及び鉄筋の露出による腐蝕に起因するコンクリートのひび割れ現象を防止し、しかも孔形成具の取り付けと取り外しに多大な労力と時間を必要とせずに工期の短縮がはかれ、材料費,人件費その他の面でのコストダウンをもたらすとともに精確に施工できるコンクリート構造物における孔形成方法及び孔形成具を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下図面に基づいて本発明にかかるコンクリート構造物における孔形成方法及び孔形成具の最良の実施形態を説明する。本発明はコンクリート構造物の孔を形成すべき箇所にある生コンクリート打設用の型枠にスリーブを固定し、型枠内に流し込んだ生コンクリートの固化後に型枠及びスリーブを順次取り除くことによって、コンクリート構造物に配管,配線用その他の用途に用いられる孔を形成する孔形成方法において、円盤状の底面と、該底面の円周端部近傍に垂直に立設された所定高さの周壁と、該周壁の外側に形成された縁部と、前記底面に穿設された開口部と、該開口部に装着されたバックヨーク付き永久磁石とからなる孔形成具の永久磁石の磁力により、前記スリーブをコンクリート構造物の孔を形成すべき箇所にある生コンクリート打設用の型枠に固定するコンクリート構造物における孔形成方法と孔形成具を基本とする。
【0022】
図1は本発明の第1実施例のコンクリート構造物における孔形成具1の斜視図、図2はその要部平断面図、図3は該孔形成具1を型枠内に設置した状態を示す要部断面図であり、この孔形成具1は敷設する各種配管の開口部の面積と略同一の面積を有する円盤状の底面1bと、該底面1bの円周端部近傍に垂直に立設された所定高さの周壁1aと、該周壁1aの外側に形成された縁部1dとから構成されている。この孔形成具1を図4に示すようにコンクリート構造物内の配管部材を敷設すべき箇所に挿入するスリーブ6の両端開口部の外方から周壁1aを嵌合させ、縁部1dをスリーブ6の開口端部に係合させることにより装着する。
【0023】
孔形成具1の底面1bには2つの開口部1cが穿設され、この開口部1cに、図2に示すように中空リング状の周壁5aと該周壁5aの端部に直交して外方に形成された鍔部5bとからなる断面鈎型のリング状ヨーク5の周壁5aが嵌合されている。リング状ヨーク5の鍔部5bは孔形成具1の底面1bからその厚み分だけ突出しており、このリング状ヨーク5の周壁5a内に開口部1cより径大の円盤状バックヨーク4に固着された永久磁石2が嵌合されて孔形成具1に装着されている。永久磁石2の厚さは孔形成具1の底面1bと略同一の厚さか、底面1bよりやや薄く形成されており、リング状ヨーク5の鍔部5bよりやや内側に位置している。3は孔形成具1の底面1bに穿設された操作用孔であり、孔形成具1を取り外す際に専用工具を挿入する際に使用される。
【0024】
永久磁石2は裏面に配備した円盤状バックヨーク4と、外面方向から配備したリング状ヨーク5によって壺ヨークと同様の形状となって磁力が高められ、永久磁石2を生コンクリート打設用型枠8の内側に安定して固着することができる。また、円盤状バックヨーク4が固着された永久磁石2とリング状ヨーク5,スリーブ6はそれぞれ別体の部材であって分離可能であり、個別に補充や再利用することができる。
【0025】
永久磁石2の取付けは孔形成具1の底面1bに穿設した開口部1cの外面側からリング状ヨーク5の周壁5aを差し込み、次に内面側から円盤状バックヨーク4を固着した永久磁石2をリング状ヨーク5の周壁5a内に挿入して固定する。図示例では2個の永久磁石2を用いているが、孔形成具1の径長が大きいケースでは3個以上の永久磁石2を固着してもよいし、或いは孔形成具1の径長が小さいケースでは1個の永久磁石2を固着してもよい。
【0026】
永久磁石2のみのものに対して、円盤状バックヨーク4を装着した永久磁石2は大きく磁力が向上する。永久磁石2そのものは脆くて割れやすいものであるが、円盤状バックヨーク4を固着することによって取扱いが容易となり、リング状ヨーク5によって永久磁石2が直接生コンクリート打設用型枠8に触れないようにして該永久磁石2が保護される。
【0027】
孔形成具1の材質は、ポリアミド,PBT,塩化ビニール,ABS樹脂等の合成樹脂を用いることができる。永久磁石2としては減磁のないネオジム磁石を使用することによって半永久的に使用可能である。磁力は生コンクリートの打設時の圧力によっても生コンクリート打設用型枠8への位置がずれることのないものであれば、適宜の範囲のものを状況に応じて選択すればよい。本実施形態では円盤状バックヨーク4を付けた状態で永久磁石2の磁力を3000ガウス程度に設定して所期の目的を達成することができる。
【0028】
スリーブ6は柔軟性を有する薄板状の部材を所定径の円筒状に成形して作成される。スリーブ6の材質としてはポリアミド,PBT,ABS樹脂等の合成樹脂が適当であるが、他の紙その他の素材であってもよい。スリーブ6の径長は使用目的に応じて適宜に設定することが可能であり、上記の材質でなる板状体を筒状にまるめて嵌合する孔形成具1を付け替えることによって径長を調節することができる。また、あらかじめ円筒状に成形されたボイド等の紙管を使用することもできる。紙管を使用する場合はあらかじめ形成する孔の径に応じた複数の径長の紙管を準備しておくとよい。このスリーブ6は厚さ1mm程度のポリアミド,ABS樹脂等の合成樹脂製シートを用いてφ75mm〜135mmのサイズに対応させる。例えば長さ166mmのスリーブ6と厚さ2mmの縁部1dを有する孔形成具1とを合計すると長さ170mmのスリーブが得られる。
【0029】
図5は本第1実施例の孔形成具1を利用した孔形成の施工状態を示す概略図であり、図6は同組付状態を示す側断面図である。図中の11はコンクリートを打設したり、砕石等を敷き詰めた基盤であり、先ず該基盤11上に鉄筋を立設し、ベース型枠12を固定する。13はベース型枠12内に配置されたベース補助筋、14はベース主筋、15は下端筋であり、16はコンクリート構造物内に配置される腹筋、17は肋筋、18は上端筋である。
【0030】
そしてコンクリート構造物内に配置される上記腹筋16,肋筋17,上端筋18等が縦横に交差するように配設してから、配線用とか配管用の孔を形成したい箇所の型枠8aに両端開口部に孔形成具1を嵌合固定したスリーブ6を永久磁石2の磁力によって磁着固定後、スリーブ6の他方側に型枠8bを磁着固定する。
【0031】
次に両型枠8a,8b内に生コンクリートを流し込む。永久磁石2,2を用いたことによって孔形成具1を容易に所望の位置に配置することが可能であり、孔形成具1の取り付け位置が決まれば、鉄筋との距離を計って永久磁石2を磁着させるだけでよく、取り付け作業そのものは1秒程度で行うことができる。
【0032】
そして、コンクリートの固化後に型枠8a,8bを除去してから孔形成具1とスリーブ6を取り除くことにより、コンクリート壁等の構造物に配管,配線用その他の用途に用いられる孔が形成される。図7は孔形成具1を取り除く際に利用する専用工具22の一例を示しており、作業者が取手23を把持して先端の折曲部24を孔形成具1の操作用孔3に挿入して該孔形成具1を引張り出すか、反対側の孔形成具1を押し出す。次に薄板状のスリーブ6を内側に巻き込むように縮径させることにより、該スリーブ6をコンクリート構造物から容易に取り出すことができる。取り出した孔形成具1は再利用が可能である。
【0033】
図6に示したように、本例ではスリーブ6の両端開口部の双方に孔形成具1を嵌合固定しているが、孔形成具1はスリーブ6の一方の開口部にのみ嵌合固定するようにしてもよい。これは左右一体の型枠8a,8bで構築される構造物とともに、ビルのコンクリート床等のように一方にしか型枠を必要としない場合もあり、そのような場合にはスリーブ6の型枠側の開口部にのみ孔形成具1を嵌合固定すればよい。更に一体の型枠を使用する場合においても、磁力を選択することにより一方のみの磁力でもスリーブ6を支持することも可能であり、その場合は一方の開口部に孔形成具1を嵌合固着して使用することも可能である。
【0034】
なお、使用する型枠8a,8bは孔形成具1が磁着できるように鉄製等の材質が好ましいが、木製型枠であってもよい。但し木製型枠を使用する場合は孔形成具1を磁着できるように、例えば該木製型枠に鉄板等の受部材等を固着して使用することとなる。なお、木製型枠の表面に鉄板を取付ける場合には、型枠を取り除いたときにコンクリート構造物の表面に跡が残らないようにスリーブ6の径より小さい方が好ましく、木製型枠に固着するための鉄板はスパイク付きで厚さは1.0mm〜1.5mm程度が適当である。
【0035】
図8は本発明の第2実施例の孔形成具1を示す正面図、図9は同要部平断面図であって、前記スリーブ6の両端開口部に嵌合固定される有底円筒状の孔形成具1には敷設する各種配管の開口部の面積と略同一の面積を有する円盤状の底面1bと、該底面1bの円周端部近傍に垂直に立設された所定高さの周壁1aと、該周壁1aの外側に突出する縁部1dとから形成されている。更に底面1bに2つの開口部1c,1cが穿設され、この開口部1c,1cに永久磁石2,2が嵌合固定されている。4,4は永久磁石2,2の磁力を高めるために該永久磁石2,2の裏面側に配置した円盤状バックヨークであり、この円盤状バックヨーク4,4は永久磁石2,2を孔形成具1に安定して固定するための補強部材としての機能をも有している。3は孔形成具1を取り外す際に前記専用工具22を挿入するための操作用孔である。この第2実施例では永久磁石2,2の端面が孔形成具1の底面1bから外方にやや突出しているのが構造上の特徴となっている。
【0036】
この第2実施例によれば、コンクリート構造物内に孔を形成する際には、第1実施例と同様にコンクリート構造物内に図5に示す腹筋16,肋筋17,上端筋18等を縦横に交差するように配設してから孔を形成したい箇所の型枠8aに両端開口部に孔形成具1を嵌合固定したスリーブ6を永久磁石2の磁力によって磁着固定後、スリーブ6の他方側に型枠8bを磁着し、両型枠8a,8b内に生コンクリートを流し込んでから該コンクリートの固化後に型枠8a,8bを除去し、前記と同様に孔形成具1とスリーブ6を取り除くことによってコンクリート壁等の構造物に配管,配線用その他の用途に用いられる孔を形成することができる。
【0037】
図10は本発明の第3実施例の孔形成具1を示す要部平断面図であり、この孔形成具1は敷設する各種配管の開口部の面積と略同一の面積を有する円盤状の底面1bに穿設された開口部1cに、有底リング状の周壁5aと該周壁5aの基部から外方に形成された鍔部5bとからなる壺型ヨーク5cの周壁5aが嵌合され、この周壁5a内に永久磁石2が嵌合固定されている。この第3実施例では有底リング状の周壁5aの先端面が孔形成具1の底面1bから外方にやや突出しているのが構造上の特徴となっている。この例でもコンクリート構造物内に孔を形成する際の施工形態は前記第1,第2実施例と略同一である。
【0038】
図11は本発明の第4実施例の孔形成具1を示す要部平断面図であり、この孔形成具1は敷設する各種配管の開口部の面積と略同一の面積を有する円盤状の底面1bに形成された凹部5d内に永久磁石2が嵌合固定されている。この第4実施例では永久磁石2の端面が孔形成具1の底面1bから外方にやや突出しているのが構造上の特徴となっている。この第4実施例によるコンクリート構造物内に孔を形成する際の施工形態は前記第1,第2実施例と略同一である。
【0039】
図12は本発明の第5実施例の孔形成具1を示す要部平断面図であり、この孔形成具1は敷設する各種配管の開口部の面積と略同一の面積を有する円盤状の底面1bに穿設された凹部5d内に有底リング状の周壁5aを有する壺型ヨーク5cが嵌合されており、この壺型ヨーク5c内に永久磁石2が嵌合固定されている。この第5実施例では壺型ヨークの5cの周壁5aの端面が孔形成具1の底面1bから外方にやや突出し、永久磁石2が周壁5aの端面の内側に位置しているのが構造上の特徴となっている。この例でもコンクリート構造物内に孔を形成する際の施工形態は前記第1,第2実施例と略同一である。
【0040】
図13は本発明の第6実施例の孔形成具1を示す要部平断面図、図14は該孔形成具1を型枠内に設置した状態を示す要部断面図であり、この孔形成具1は敷設する各種配管の開口部の面積と略同一の面積を有する円盤状の底面1bと、該底面1bの円周端部近傍に垂直に立設された所定高さの周壁1aと、該周壁1aの外側に形成された縁部1dとから構成されており、孔形成具1の底面1bの中心部に1個の開口部1cが穿設され、この開口部1cに中空リング状の周壁5aと該周壁5aの端部に直交して外方に形成された鍔部5bとからなる断面鈎型のリング状ヨーク5の該周壁5aが嵌合されている。このリング状ヨーク5の周壁5a内に永久磁石2が嵌合固定された状態として孔形成具1に装着されている。永久磁石2の厚さは孔形成具1の端面と略同一の厚さとなっており、該永久磁石2の裏面側には開口部1cより径大の円盤状バックヨーク4が固着されている。更にこの孔形成具1の中心部には、上記円盤状バックヨーク4と永久磁石2の中心部を貫通して操作用孔3が穿設されている。
【0041】
この孔形成具1を図14に示すようにコンクリート構造物内の配管部材を敷設すべき箇所に挿入するスリーブ6の両端開口部の外方から周壁1aを嵌合させ、縁部1dをスリーブ6の開口端部に係合させることにより孔形成具1を生コンクリート打設用型枠8に装着する。この操作時に永久磁石2はリング状ヨーク5と裏面に配備した円盤状バックヨーク4とによって壺ヨークと同様の形状となって磁力が高められ、永久磁石2を生コンクリート打設用型枠8の内側に安定して固着することができる。リング状ヨーク5の鍔部5bは孔形成具1の底面1bからその厚み分だけ突出しているので、永久磁石2が直接生コンクリート打設用型枠8に接することがない。
【0042】
図15は本発明の第7実施例の孔形成具1を示す背面図、図16は該孔形成具1を型枠内に設置した状態を示す要部断面図であり、この孔形成具1は敷設する各種配管の開口部の面積と略同一の面積を有する円盤状の底面1bと、該底面1bの円周端部から一定距離離間した位置に垂直に立設された所定高さの周壁1aと、該周壁1aの外側に形成された幅広の縁部1dとから構成されており、底面1bの周縁部近傍に複数個の開口部1c,1cが穿設され、この各開口部1c,1cに中空リング状の周壁5aと該周壁5aの端部に直交して外方に形成された鍔部5bとからなる断面鈎型のリング状ヨーク5の該周壁5aが嵌合されている。このリング状ヨーク5の周壁5a内に永久磁石2が嵌合固定された状態として孔形成具1に装着されている。永久磁石2の厚さは孔形成具1の端面と略同一の厚さとなっており、該永久磁石2の裏面側は円盤状バックヨーク4に固着されている。更にこの孔形成具1の中心部には、円盤状の底面1bの中心部を貫通して操作用孔3が穿設されている。この第7実施例は、孔形成具1を片方だけ磁着させる場合や、径長の小さい孔を形成する場合に特に有効である。
【0043】
この孔形成具1を図16に示すようにコンクリート構造物内の配管部材を敷設すべき箇所に挿入するスリーブ6の両端開口部の外方から周壁1aを嵌合させ、縁部1dをスリーブ6の開口端部に係合させることにより孔形成具1を生コンクリート打設用型枠8に装着する。この操作時に底面1bの周縁部近傍に複数個配置された永久磁石2はリング状ヨーク5と裏面に配備した円盤状バックヨーク4とによって壺ヨークと同様の形状となって磁力が高められ、第5実施例と同様に永久磁石2を生コンクリート打設用型枠8の内側に安定して固着することができる。リング状ヨーク5の鍔部5bは孔形成具1の底面1bからその厚み分だけ突出しているので、永久磁石2が直接生コンクリート打設用型枠8に接することがない。
【産業上の利用可能性】
【0044】
以上詳細に説明したように、本発明によって得られたコンクリート構造物における孔形成方法及び孔形成具によれば、コンクリートを打設する前に型枠に永久磁石を利用して孔形成具を磁着してから型枠内に生コンクリートを流し込み、コンクリートの固化後に型枠と孔形成具を順次取り除くことによってコンクリート構造物に配管,配線用その他の用途に用いられる孔を形成することができる。永久磁石を用いたことによって孔形成具の配置は簡単、かつ、精確に行えるとともに孔形成具に永久磁石を常時取付けておくことによりスリーブに孔形成具を前もって組み立てておくことが可能であり、孔形成具の取り付け作業そのものは極めて短時間で行うことができるとともに取り外し作業もほとんど労力を費やすことがなく、作業時間と作業コストを大幅に低減することができるので、土木建築を問わずコンクリート構造物に対して孔を開ける必要がある工事全般に応用可能である。特に口径の大きいケースでは磁石の数を増やしたり強度が高い材料にすることにより対処可能であり、寸法の短いケースや大きな力のかからない表層部に近い部分では磁石は片側だけでも充分な場合もある。建築物の床に本発明を応用する場合には、型枠は片側しかないので一方側にのみ孔形成具を嵌合させればよい。特に永久磁石を使用して型枠に固定することにより、鉄筋に結束線等で固着する必要がなく、位置合わせが容易になるとともに配筋へのコンクリートのかぶりを必要十分にとることが可能であり、孔形成後に孔部から配筋が露出することがなく、コンクリート内に結束線等の残存物がない。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の第1実施例の孔形成具の斜視図。
【図2】図1の要部平断面図。
【図3】孔形成具を型枠内に設置した状態を示す要部断面図。
【図4】孔形成具をスリーブの開口部の外方から嵌合した状態を示す斜視図。
【図5】第1実施例の孔形成具を利用した孔形成施工状態を示す概略図。
【図6】第1実施例の組付状態を示す側断面図。
【図7】専用工具の一例を示す平面図。
【図8】本発明の第2実施例の孔形成具を示す正面図。
【図9】図8の要部平断面図。
【図10】本発明の第3実施例の孔形成具を示す要部平断面図。
【図11】本発明の第4実施例の孔形成具を示す要部平断面図。
【図12】本発明の第5実施例の孔形成具を示す要部平断面図。
【図13】本発明の第6実施例の孔形成具を示す要部平断面図。
【図14】孔形成具を型枠内に設置した状態を示す要部断面図。
【図15】本発明の第7実施例の孔形成具を示す背面図。
【図16】孔形成具を型枠内に設置した状態を示す要部断面図。
【符号の説明】
【0046】
1…孔形成具
1a…周壁
1b…底面
1c…開口部
1d…縁部
2…永久磁石
3…操作用孔
4…円盤状バックヨーク
5…リング状ヨーク
5a…周壁
5b…鍔部
5c…壺型ヨーク
5d…凹部
6…スリーブ
8…生コンクリート打設用型枠
11…基盤
12…ベース型枠
13…ベース補助筋
14…ベース主筋
15…下端筋
16…腹筋
17…肋筋
18…上端筋
22…専用工具
23…取手
24…折曲部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート構造物の孔を形成すべき箇所にある生コンクリート打設用の型枠にスリーブを固定し、型枠内に流し込んだ生コンクリートの固化後に型枠及びスリーブを順次取り除くことによって、コンクリート構造物に配管,配線用その他の用途に用いられる孔を形成するコンクリート構造物における孔形成方法において、
円盤状の底面と、該底面の円周端部近傍に垂直に立設された所定高さの周壁と、該周壁の外側に形成された縁部と、前記底面に穿設された開口部と、該開口部に装着されたバックヨーク付き永久磁石とからなる孔形成具の永久磁石の磁力により、前記スリーブをコンクリート構造物の孔を形成すべき箇所にある生コンクリート打設用の型枠に固定することを特徴とするコンクリート構造物における孔形成方法。
【請求項2】
円筒状のスリーブの両端開口部の一方又は双方に、円盤状の底面と、該底面の円周端部近傍に垂直に立設された所定高さの周壁と、該周壁の外側に形成された縁部と、前記底面に穿設された開口部と、該開口部に装着されたバックヨーク付き永久磁石とからなる孔形成具を嵌合固定し、該孔形成具をコンクリート構造物の孔を形成すべき箇所にある生コンクリート打設用の型枠に磁着固定してから型枠内に流し込んだ生コンクリートの固化後に、該型枠と孔形成具及びスリーブを順次取り除くことにより、コンクリート構造物に配管,配線用その他の用途に用いられる孔を形成することを特徴とするコンクリート構造物における孔形成方法。
【請求項3】
孔形成具の底面に穿設された複数個の開口部に、中空リング状の周壁と該周壁の端部に直交して外方に形成された鍔部とからなる断面鈎型のリング状ヨークの周壁を嵌合固定して、リング状ヨークの周壁内に前記開口部より径大の円盤状バックヨークに固着された永久磁石を嵌合固定し、リング状ヨークの鍔部を孔形成具の底面から厚み分だけ突出させて構成した請求項1又は2に記載のコンクリート構造物における孔形成方法。
【請求項4】
孔形成具の底面中心部に穿設された開口部に、中空リング状の周壁と該周壁の端部に直交して外方に形成された鍔部とからなる断面鈎型のリング状ヨークの周壁を嵌合固定して、リング状ヨークの周壁内に前記開口部より径大の円盤状バックヨークに固着された永久磁石を嵌合固定し、リング状ヨークの鍔部を孔形成具の底面から厚み分だけ突出させて構成するとともに、該孔形成具の中心部に、上記円盤状バックヨークと永久磁石の中心部を貫通する操作用孔を穿設したことを特徴とするコンクリート構造物における孔形成方法。
【請求項5】
孔形成具の底面周縁部近傍に穿設された複数個の開口部に、中空リング状の周壁と該周壁の端部に直交して外方に形成された鍔部とからなる断面鈎型のリング状ヨークの周壁を嵌合固定して、リング状ヨークの周壁内に前記開口部より径大の円盤状バックヨークに固着された永久磁石を嵌合固定し、リング状ヨークの鍔部を孔形成具の底面から厚み分だけ突出させて構成するとともに、該孔形成具の底面中心部に操作用孔を穿設したことを特徴とするコンクリート構造物における孔形成方法。
【請求項6】
円盤状の底面と、該底面の円周端部近傍に垂直に立設された所定高さの周壁と、該周壁の外側に形成された縁部とからなる孔形成具であって、前記底面に穿設された開口部に装着されたバックヨーク付き永久磁石の磁力により、コンクリート構造物の孔を形成すべき箇所にある生コンクリート打設用の型枠にスリーブを固定することを特徴とするコンクリート構造物における孔形成具。
【請求項7】
底面に穿設された複数個の開口部に、中空リング状の周壁と該周壁の端部に直交して外方に形成された鍔部とからなる断面鈎型のリング状ヨークの周壁を嵌合固定して、リング状ヨークの周壁内に前記開口部より径大の円盤状バックヨークに固着された永久磁石を嵌合固定し、リング状ヨークの鍔部を孔形成具の底面から厚み分だけ突出させて構成したことを特徴とするコンクリート構造物における孔形成具。
【請求項8】
永久磁石を、該永久磁石の裏面に配備した円盤状バックヨークと、孔形成具の外面方向から配備したリング状ヨークによって構成された壺ヨーク内に嵌合固定した請求項6又は7に記載のコンクリート構造物における孔形成具。
【請求項9】
永久磁石を、敷設する各種配管の開口部の面積と略同一の面積を有する円盤状の底面と、該底面の円周端部近傍に垂直に立設された所定高さの周壁と、該周壁の外側に突出する縁部とから形成された孔形成具の該底面に穿設された開口部内に嵌合固定した請求項6又は7に記載のコンクリート構造物における孔形成具。
【請求項10】
永久磁石を、敷設する各種配管の開口部の面積と略同一の面積を有する円盤状の底面に形成された凹部内に、該永久磁石の一面が底面から外方にやや突出した状態として嵌合固定した請求項6又は7に記載のコンクリート構造物における孔形成具。
【請求項11】
永久磁石を、敷設する各種配管の開口部の面積と略同一の面積を有する円盤状の底面に形成された凹部内に嵌合した壺型ヨーク内に嵌合固定するとともに、壺型ヨークはその周壁が底面から外方にやや突出した状態として嵌合されている請求項6又は7に記載のコンクリート構造物における孔形成具。
【請求項12】
円筒状に成形した紙管をスリーブとして使用する請求項6,7,8,9,10又は11に記載のコンクリート構造物における孔形成具。
【請求項13】
スリーブ又は孔形成具の材質として、ポリアミド,PBT,ABS樹脂等の合成樹脂を用いた請求項6,7,8,9,10又は11に記載のコンクリート構造物における孔形成具。
【請求項1】
コンクリート構造物の孔を形成すべき箇所にある生コンクリート打設用の型枠にスリーブを固定し、型枠内に流し込んだ生コンクリートの固化後に型枠及びスリーブを順次取り除くことによって、コンクリート構造物に配管,配線用その他の用途に用いられる孔を形成するコンクリート構造物における孔形成方法において、
円盤状の底面と、該底面の円周端部近傍に垂直に立設された所定高さの周壁と、該周壁の外側に形成された縁部と、前記底面に穿設された開口部と、該開口部に装着されたバックヨーク付き永久磁石とからなる孔形成具の永久磁石の磁力により、前記スリーブをコンクリート構造物の孔を形成すべき箇所にある生コンクリート打設用の型枠に固定することを特徴とするコンクリート構造物における孔形成方法。
【請求項2】
円筒状のスリーブの両端開口部の一方又は双方に、円盤状の底面と、該底面の円周端部近傍に垂直に立設された所定高さの周壁と、該周壁の外側に形成された縁部と、前記底面に穿設された開口部と、該開口部に装着されたバックヨーク付き永久磁石とからなる孔形成具を嵌合固定し、該孔形成具をコンクリート構造物の孔を形成すべき箇所にある生コンクリート打設用の型枠に磁着固定してから型枠内に流し込んだ生コンクリートの固化後に、該型枠と孔形成具及びスリーブを順次取り除くことにより、コンクリート構造物に配管,配線用その他の用途に用いられる孔を形成することを特徴とするコンクリート構造物における孔形成方法。
【請求項3】
孔形成具の底面に穿設された複数個の開口部に、中空リング状の周壁と該周壁の端部に直交して外方に形成された鍔部とからなる断面鈎型のリング状ヨークの周壁を嵌合固定して、リング状ヨークの周壁内に前記開口部より径大の円盤状バックヨークに固着された永久磁石を嵌合固定し、リング状ヨークの鍔部を孔形成具の底面から厚み分だけ突出させて構成した請求項1又は2に記載のコンクリート構造物における孔形成方法。
【請求項4】
孔形成具の底面中心部に穿設された開口部に、中空リング状の周壁と該周壁の端部に直交して外方に形成された鍔部とからなる断面鈎型のリング状ヨークの周壁を嵌合固定して、リング状ヨークの周壁内に前記開口部より径大の円盤状バックヨークに固着された永久磁石を嵌合固定し、リング状ヨークの鍔部を孔形成具の底面から厚み分だけ突出させて構成するとともに、該孔形成具の中心部に、上記円盤状バックヨークと永久磁石の中心部を貫通する操作用孔を穿設したことを特徴とするコンクリート構造物における孔形成方法。
【請求項5】
孔形成具の底面周縁部近傍に穿設された複数個の開口部に、中空リング状の周壁と該周壁の端部に直交して外方に形成された鍔部とからなる断面鈎型のリング状ヨークの周壁を嵌合固定して、リング状ヨークの周壁内に前記開口部より径大の円盤状バックヨークに固着された永久磁石を嵌合固定し、リング状ヨークの鍔部を孔形成具の底面から厚み分だけ突出させて構成するとともに、該孔形成具の底面中心部に操作用孔を穿設したことを特徴とするコンクリート構造物における孔形成方法。
【請求項6】
円盤状の底面と、該底面の円周端部近傍に垂直に立設された所定高さの周壁と、該周壁の外側に形成された縁部とからなる孔形成具であって、前記底面に穿設された開口部に装着されたバックヨーク付き永久磁石の磁力により、コンクリート構造物の孔を形成すべき箇所にある生コンクリート打設用の型枠にスリーブを固定することを特徴とするコンクリート構造物における孔形成具。
【請求項7】
底面に穿設された複数個の開口部に、中空リング状の周壁と該周壁の端部に直交して外方に形成された鍔部とからなる断面鈎型のリング状ヨークの周壁を嵌合固定して、リング状ヨークの周壁内に前記開口部より径大の円盤状バックヨークに固着された永久磁石を嵌合固定し、リング状ヨークの鍔部を孔形成具の底面から厚み分だけ突出させて構成したことを特徴とするコンクリート構造物における孔形成具。
【請求項8】
永久磁石を、該永久磁石の裏面に配備した円盤状バックヨークと、孔形成具の外面方向から配備したリング状ヨークによって構成された壺ヨーク内に嵌合固定した請求項6又は7に記載のコンクリート構造物における孔形成具。
【請求項9】
永久磁石を、敷設する各種配管の開口部の面積と略同一の面積を有する円盤状の底面と、該底面の円周端部近傍に垂直に立設された所定高さの周壁と、該周壁の外側に突出する縁部とから形成された孔形成具の該底面に穿設された開口部内に嵌合固定した請求項6又は7に記載のコンクリート構造物における孔形成具。
【請求項10】
永久磁石を、敷設する各種配管の開口部の面積と略同一の面積を有する円盤状の底面に形成された凹部内に、該永久磁石の一面が底面から外方にやや突出した状態として嵌合固定した請求項6又は7に記載のコンクリート構造物における孔形成具。
【請求項11】
永久磁石を、敷設する各種配管の開口部の面積と略同一の面積を有する円盤状の底面に形成された凹部内に嵌合した壺型ヨーク内に嵌合固定するとともに、壺型ヨークはその周壁が底面から外方にやや突出した状態として嵌合されている請求項6又は7に記載のコンクリート構造物における孔形成具。
【請求項12】
円筒状に成形した紙管をスリーブとして使用する請求項6,7,8,9,10又は11に記載のコンクリート構造物における孔形成具。
【請求項13】
スリーブ又は孔形成具の材質として、ポリアミド,PBT,ABS樹脂等の合成樹脂を用いた請求項6,7,8,9,10又は11に記載のコンクリート構造物における孔形成具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2006−307447(P2006−307447A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−128113(P2005−128113)
【出願日】平成17年4月26日(2005.4.26)
【出願人】(504157873)旭環境スポーツ施設株式会社 (5)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年4月26日(2005.4.26)
【出願人】(504157873)旭環境スポーツ施設株式会社 (5)
【Fターム(参考)】
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