説明

コンテナ用冷凍装置

【課題】筐体に配置される構成機器のメンテナンス性及び組み立て性を向上させることを目的とする。
【解決手段】筐体10内に、冷媒回路53によって接続されたコンプレッサ51とコンデンサ52とエバポレータ81とを設け、エンジン41に連設された発電機45によって該コンプレッサ51が駆動されるコンテナ用冷凍装置1において、該筐体10に摺動レール100を施設し、該摺動レール100に沿って該エンジン41を外側にスライド可能に配設した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテナ用冷凍装置の技術に関し、より詳細には、筐体内の構成機器のメンテナンスや組み立てを考慮した構成機器の配置構成の改良技術に関する。
【背景技術】
【0002】
陸上及び海上運搬用のコンテナに連設してコンテナ室内を冷却するコンテナ用冷凍装置が公知となっている。従来は、このコンテナ用冷凍装置を構成するエンジン、発電機並びにコンプレッサ、コンデンサ及びバポレータ等からなる冷凍機等の構成機器は、筐体内に区画されて形成された室ごとに、筐体を構成するフレームに着脱可能にボルト等によって固設されていた(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−3705号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、コンテナ用冷凍装置の構成機器をメンテナンスする際には、対象となる構成機器を筐体外に取り出したり、周りの他の機器を取り外したりする必要がある。
しかし、従来のコンテナ用冷凍装置は、各構成機器が筐体にボルト等によって固設されていたため、構成機器を筐体の前後方向に引き出し、再び筐体に載置したりする作業が困難であり、周りの機器をその度に着脱させる作業も煩わしかった。特に、エンジンやコンプレッサ等の構成部材は、ある程度の重量を有するため、かかるメンテナンスのための着脱作業が困難であった。
また、各構成機器が、筐体にそれぞれ単独に取り付けられていたため、例えば、エンジンやコンプレッサ等に接続される周辺部材をあわせてメンテナンスするためには、それぞれを別個に着脱する必要があり煩わしかった。
【0004】
そこで、本発明においては、コンテナ用冷凍装置に関し、前記従来の課題を解決するもので、筐体に配置される構成機器のメンテナンス性及び組み立て性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0006】
すなわち、請求項1においては、筐体内に、冷媒回路によって接続されたコンプレッサとコンデンサとエバポレータとを設け、エンジンに連設された発電機によって該コンプレッサが駆動されるコンテナ用冷凍装置において、該筐体にレールを施設し、該レールに沿って該エンジンを外側にスライド可能に配設したものである。
【0007】
請求項2においては、請求項1において、前記エンジンと発電機とを含むユニット体を一体的に形成し、該ユニット体を前記レール上に載置固定可能に構成したものである。
【0008】
請求項3においては、請求項1又は請求項2において、前記筐体に、前記レールに対して伸縮自在なスライド杆を設け、該スライド杆上に前記エンジンを載置可能としたものである。
【0009】
請求項4においては、請求項1又は請求項2において、前記エンジンを載置するエンジン台と前記筐体との間であって、筐体側にネジ杆を枢支し、該エンジン台側に該ネジ杆に螺装するボス体を設けたものである。
【0010】
請求項5においては、筐体内に、冷媒回路によって接続されたコンプレッサとコンデンサとエバポレータとを設け、エンジンに連設された発電機によって該コンプレッサが駆動されるコンテナ用冷凍装置において、該筐体にレールを施設し、該レールに沿って該コンプレッサを外側にスライド可能に配設したものである。
【0011】
請求項6においては、筐体内に、冷媒回路によって接続されたコンプレッサとコンデンサとエバポレータとを設け、エンジンに連設された発電機によって該コンプレッサが駆動されるコンテナ用冷凍装置において、該筐体にレールを施設し、該レールに沿ってバッテリーを外側にスライド可能に配設したものである。
【0012】
請求項7においては、請求項6において、前記バッテリーは、バッテリー台に載置され、該バッテリー台と商用電源ケーブルの収納台とを一体的に形成したものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0014】
請求項1に示す構成としたので、筐体外でのエンジンのメンテナンス等の作業が可能となり、またエンジンを容易に吊り上げることができるため、メンテナンス性が向上する。
【0015】
請求項2に示す構成としたので、エンジン等のメンテナンスを一度にでき、また、冷却水や潤滑油等を接続するホース類等の断接を行う必要がなく、作業性が向上する。さらに、エンジン等を一度に取り付けることができ、組み立て作業が容易となる。
【0016】
請求項3に示す構成としたので、筐体の外側に引き出されたエンジンが自重によって筐体から落下するのを防止できる。また、不使用時には筐体内部に収納でき、装置の運搬等の際に邪魔にならない。
【0017】
請求項4に示す構成としたので、ネジ杆を回動させてエンジン台を摺動することによって、エンジンを筐体の外側に引き出したり、筐体内に収納したりすることができ、労力を要せず作業性が向上する。
【0018】
請求項5に示す構成としたので、体外でのコンプレッサへの作業が可能となり、またコンプレッサを容易に吊り上げることができるため、メンテナンス性が向上する。
【0019】
請求項6に示す構成としたので、体外でのバッテリーへの作業が可能となり、メンテナンス性が向上する。また、バッテリーを筐体の奥側に配置でき、バッテリーの前方空間を有効利用できる。
【0020】
請求項7に示す構成としたので、収納台に商用電源ケーブルを載置することで、かかる商用電源ケーブルを引き出したり収納したりする作業が容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
次に、発明を実施するための最良の形態を、図面に基づいて説明する。
図1は本発明に係るコンテナ用冷凍装置の全体的な構成を示した正面図、図2は同じく図1の左側面図、図3はエンジンユニットの正面図、図4は同じくエンジンユニットの平面図、図5は同じくエンジンユニットの底面図、図6はエンジンのスライド機構の正面図、図7は同じくエンジンのスライド機構の平面図、図8はエンジンのスライド機構及びネジ機構の側断面図、図9は冷凍機ユニットの正面図、図10は同じく冷凍機ユニットの平面図、図11はコンプレッサのスライド機構の側断面図、図12は同じくコンプレッサのスライド機構の正面断面図、図13は同じくコンプレッサのスライド機構の平面図、図14はバッテリーのスライド機構の側断面図、図15は同じくバッテリーのスライド機構の平面図である。
【0022】
まず、本実施例に係るコンテナ用冷凍装置の全体構成を、以下に説明する。
図1及び図2に示すように、本実施例に係るコンテナ用冷凍装置1は、直方体の筐体10として形成され、この筐体10は、外枠及び内枠としてのフレーム2に、筐体10の内部を覆うように前面、左右面及び上面にカバー部材(燃料タンク室カバー20等)を被着して構成されている。この筐体10の内部は、複数に区画された室が構成され、各室に構成機器がそれぞれ配置されている。カバー部材は、着脱あるいは開閉自在の蓋体として、各室の区画に合わせてそれぞれの室に対応して取り付けられている。
【0023】
筐体10には、コンテナ用冷凍装置1の構成機器として、冷媒回路53によって接続されたコンプレッサ51、コンデンサ52及びエバポレータ等の冷凍機器が内設されている。この冷凍機器は、エンジン41にて駆動される発電機45によってコンプレッサ51が電動駆動され、このコンプレッサ51によって圧縮されたガス冷媒が、コンデンサ52、エバポレータ81及びコンプレッサ51の順に状態変化を繰り返しながら冷凍回路を循環する際に、熱交換によってコンテナ室内の空気(内気)を冷却して排出する。その他に、筐体10には、これら冷凍機器を駆動させるエンジン41及び発電機45や、該エンジン41の駆動源となる燃料タンク30及びバッテリー31や、コンテナ用冷凍装置1の構成機器を制御するための操作パネル91及び電装品71等がそれぞれ内設されている。
【0024】
筐体10の下部は、左右方向に連続した下部室3が形成され、この下部室3には、燃料タンク30、バッテリー31及び商用電源ケーブル32等が配設される。詳細には、下部室3は、燃料タンク30が配設される燃料タンク室3aと、バッテリー31及び商用電源ケーブル32が配設されるバッテリー室3bとにさらに区画されている。燃料タンク室3aに長手方向に横設される燃料タンク30は、エンジン41の燃料を貯油しており、この下部室3の大半を占めるように形成されている。
【0025】
バッテリー31は、後述するラジエータファン43や操作パネル91やセルモータ等に駆動電源を供給するものであり、燃料タンク30の側方に、下部室3を区画して形成されたバッテリー室3bに配設されている。バッテリー室3bには、バッテリー31の他に商用電源ケーブル32が収納されている。本実施例においては、商用電源ケーブル32は収納台上に束ねて引き出し・収納が容易にできるようにしており、バッテリー台35と収納台が一体的に形成され、バッテリー31及び商用電源ケーブル32が、バッテリー台35上に載置され、バッテリー台35が、筐体10の前後方向に配置された摺動レール34上に前後摺動可能に取り付けられている。ただし、商用電源ケーブル32は軸心を上下方向に向けて配置して回転自在に設けたリールに巻くようにしても良く、バッテリー台35上に収納される構成であれば、リールに巻き付けても束ねて収納する構成であってもよい。
このバッテリー31のスライド構造163の詳細は、後述する(図14及び図15参照)。
【0026】
図1及び図2に示すように、下部室3の上部であって筐体10の右方側には、エンジン41、ラジエータ42、ラジエータファン43及び冷却水タンク44等が配設されるエンジン室4が形成されている。エンジン41は、筐体10の左右方向に配置され、該エンジン41の前方には発電機45が連設されている。エンジン41と筐体10の右側面との間にラジエータ42とラジエータファン43とが略平行に配置され、ラジエータファン43は、前記バッテリー31と接続されてバッテリー31を駆動電源とした電動式に構成されている。
【0027】
ラジエータ42とラジエータファン43との前方位置には、エンジン冷却水を貯溜した冷却水タンク44が配設されて、冷却水タンク44は、図示せぬ専用ポンプによって冷却水の給排を行うように構成されている。また、エンジン41の前方であって筐体10の左右方向に、エンジン41の潤滑油を貯油した補助タンク47が横設されている。この補助タンク47は、エンジン室4の左方に形成される冷凍機室5に渡って施設されている。
【0028】
発電機45は、エンジン41の前方位置に該エンジン41と略平行となるように連設され、該エンジン41によって駆動されて、後述するコンプレッサ51やエバポレータファン(図略)等に電源を供給してこれを駆動するように構成されている。特に、発電機45によって、エンジン41の駆動を電力に変換し、この電力によってコンプレッサ51を駆動するような構成(電力型)とすることで、例えば、エンジン41の駆動を、ベルト等を介して伝達してコンプレッサ51を駆動させるような構成(ベルト駆動型)と比べて、騒音を低減することができる。
【0029】
筐体10の上下方向に、下部室3の上部を左右にエンジン室4と冷凍機室5とに区画する遮断壁46が配設され、この遮断壁46の下方部46aが、エンジン41と発電機45との間を遮断するように配置される。すなわち、下方部46aは、エンジン41が前記エンジン室4に、発電機45が冷凍機室5に位置するようにエンジン41と発電機45との間に配置される。このように、エンジン室4内にエンジン41を配置し、さらにエンジン41と発電機45との間に遮断壁46(下方部46a)を配置して防音することで、コンテナ用冷凍装置1の騒音を低減することができる。
【0030】
エンジン室4の上方空間であってエンジン41の上方には、エンジン41の吸気消音器61及びエアクリーナ62が配置され、吸気消音器61はエンジン41の上面に開口された吸気消音器61の取付部41bに接続される。エンジン室4の上部に形成されたマフラー室6には、エンジン41の排気消音器63が配設され、排気消音器63はエンジン41の上面に開口された排気消音器63の取付部41cに接続される。このように、マフラー室6に排気消音器63を配置して、筐体10の上面から排気するように構成することで、排気音を小さくすることができるとともに、排気ガス中に含まれるカーボンが下方に堆積するのを防ぐことができる。また、同エンジン室4の上方空間であって吸気消音器61及びエアクリーナ62の前方側に、操作パネル91を内設した操作パネルユニット90が、フレーム2に対して回動自在に取り付けられている。
【0031】
本実施例においては、該エンジン41、ラジエータ42、ラジエータファン43、冷却水タンク44及び発電機45等が、平面視略平板状のエンジン台49の上にそれぞれ一体的に載置固定されたエンジンユニット40として構成されている。このエンジン台49は、筐体10の前後方向に配置された摺動レール100上に前後摺動可能に取り付けられており、エンジン台49を摺動させることで、エンジン41等をエンジンユニット40として一体的に引き出すことができるように構成されている。
このエンジン41のスライド構造160の詳細は、後述する(図3乃至図8参照)。
【0032】
図1及び図2に示すように、下部室3の上部であって筐体10の左方側には、コンプレッサ51、コンデンサ52及びこれらを接続する冷媒回路53等からなる冷凍機器や、前記発電機45等が配設される冷凍機室5が形成されている。コンプレッサ51は、発電機45の左方に配置され、上述のように発電機45によって発電された電力によりモータが駆動される電動型に構成される。コンプレッサ51、発電機45及びエンジン41は、筐体10の左右方向に略直線上に位置するように構成されている。また、コンプレッサ51の略直上に、コンデンサ52が配置され、コンデンサ52は、略同形のコンデンサ52を側面視略V字状に配置されたコンデンサユニット103として構成されている。
【0033】
リキッドタンク55、アキュムレータ56及び高圧センサ57等は、コンプレッサ51及びコンデンサユニット103の側方であって冷凍機室5の左側に密集して配置されている。なお、コンデンサ52にリキッドタンク55等を介して接続されるエバポレータ81は、該冷凍機室5の上部に形成されるエバポレータ室8に配置される。コンプレッサ51、コンデンサ52及びエバポレータ81等の冷凍機器は、冷凍回路53によって接続されている。
【0034】
コンデンサユニット103は、一対のコンデンサ52・52を側面視V字状に組み合わせ、具体的には、両側を側面視V字状に形成された支持部材104に固定して組み立てられる。このコンデンサユニット103には、両コンデンサ52が離間した上部側を覆うようにコンデンサファン54が一体として略水平方向に配設されている。コンデンサユニット103は、冷凍機室5の上方に左右方向に橋設されるフレーム2bに、コンデンサ52部分が筐体10の略前後方向に向くように懸架されて取り付けられる。このように、一対のコンデンサ52を一体的に構成することで、コンデンサ52の着脱が容易となり、筐体10内にコンパクトに配置することができる。さらに、コンデンサファン54をコンデンサ52が離間した上部側を覆うように取り付けることで、一対のコンデンサ52を一度に冷却風を送風してこれを冷却することができる。
【0035】
コンプレッサ51、冷凍回路53、リキッドタンク55、アキュムレータ56及び高圧センサ57等は、平面視略平板状の冷凍機台58の上にそれぞれ一体的に載置固定されて、冷凍機ユニット50として構成されている。そして、コンプレッサ51は、冷凍機台58の前後方向に配置された摺動レール105上に前後摺動可能に取り付けられている。
このコンプレッサ51のスライド機構162の詳細は、後述する(図9乃至図13参照)。
【0036】
図1及び図2に示すように、前記冷凍機室5の上部であってマフラー室6の左側に、電装品71を内装したコントロールボックス70が配置される電装品室7が形成されている。電装品71は、本実施例に係るコンテナ用冷凍装置1が連設されるコンテナ内の温度を調節するための温度記録装置等を含むコントローラ、コンタクタ及びリレー等より構成されている。
【0037】
前記エンジン室4及び冷凍機室5の上部であってマフラー室6及び電装品室7の後方に、上述したように冷凍サイクルを構成するエバポレータ81を配置したエバポレータ室8が形成されている。エバポレータ室8は、筐体10の後方に開口しており、開口部にエバポレータ81及びエパポレータファン(図略)が後方、すなわちコンテナ用冷凍装置1が取り付けられるコンテナの内部方向に突出して配置される。コンテナ内の空気は、エバポレータファン(図略)によってエバポレータ81に送入され、エバポレータ81によって熱交換されて、冷気として導風ガイド板84によってコンテナ方向に導かれながらエバポレータ室8から送出される。
【0038】
次に、エンジン41のスライド機構160について、以下に詳述する。
図3乃至図8に示すように、エンジン41は、上述のようにラジエータ42やラジエータファン43・発電機45等と一体的にエンジン台49に載置されてエンジンユニット40として構成される。このエンジン台49の下面には、エンジン台49の前後方向に沿って摺動フレーム130・131がそれぞれ略平行に形成されている。筐体10の前後方向であってフレーム2には、筐体10の前後方向に沿って摺動レール100が配設され、摺動レール100にフレーム130・131が上方から当接するように形成されている。
【0039】
具体的には、摺動フレーム130・131の内、エンジン台49の右方に配設される摺動フレーム130は、図6(a)に示すように、正面視コ字状に形成され、縁部130aがエンジン台49の下面から略垂直に突出するように開口部が下方に向けて開口して配設されている。摺動フレーム130の前端部には、正面視略矩形の止め板132が左右の上隅部を塞ぐようにして取り付けられている。一方、エンジン台49の左方に配設される摺動フレーム131は、図6(b)に示すように、正面視略L字状に形成され、縁部131aがエンジン台49の下面から略垂直に突出するように形成される。この摺動フレーム131の前端部に、前記止め板132が上隅部を塞ぐようにして取り付けられている。なお、摺動フレーム130・131の構成はこれに限定するものではなく、例えば左右の構成を逆にする等してもよく、また、半円状や三角形状や五角形状等、摺動レール100を上方より嵌合して前後摺動できる形状であれば限定するものではない。
【0040】
エンジンユニット40は、摺動フレーム130・131が摺動レール100に上方から当接してこれに載置され、その際摺動レール100の前端部が、摺動フレーム130・131に配設された止め板132に当接して位置決めされる。摺動フレーム130を正面視コ字状に形成することで、これを一方の摺動レール100に上方から嵌合させて、エンジンユニット40を位置決めしながら載置する。このように、左右の摺動フレーム130・131の形状を異なるように形成することで、エンジンユニット40を摺動レール100に容易に載置することができる。
【0041】
摺動フレーム130・131及び摺動レール100の前後端部近傍には、固定ボルト133が上方から螺装されて、これらが相対位置変動不能に固定される。固定ボルト133を取り外すことで、摺動レール100に沿って筐体10の前後方向に摺動自在となる。エンジンユニット40をスライドさせる際には、エンジンユニット40が左右方向にずれないように摺動フレーム130・131の縁部130a・131aが摺動レール100に摺接して、摺動レール100に沿って筐体10の前後方向にスライドできる。
【0042】
エンジン41及び発電機45の上方であってこれらの前後略中央部に、エンジンユニット40の吊下げ金具40aが上方に突出して複数個配設されており、エンジンユニット40が前方に引き出された状態で、吊下げ金具40aにクレーンフック等を係合することによって、エンジンユニット40を吊り上げることができる。なお、前記下方部46aは、エンジンユニット40を駆動する際には、下方部46aを遮断壁46本体から取り外すか、エンジンユニット40と一体的にスライドするように構成される。
【0043】
このように、本実施例に係るコンテナ用冷凍装置1は、エンジン室4のフレーム2の前後方向に摺動レール100を施設し、これに沿ってエンジン室4の外側方向にエンジン41をスライド可能に構成したスライド機構160を形成することで、エンジン41のメンテナンスが容易となるように構成されている。すなわち、エンジン41をメンテナンスする際には、エンジン室4内に載置した状態では、直接エンジン41を吊り上げることは困難であるが、エンジン41を外側にスライドさせることで、かかる吊り上げ作業が容易となる。また、このスライド機構160によれば、固定ボルト133を取り外して、エンジン41を載置したエンジン台49をエンジン室4の前方に摺動させるだけでよいため、作業性が向上する。
【0044】
上述のように、エンジン41の他に、ラジエータ42、ラジエータファン43、冷却水タンク44及び発電機45等をエンジン台49に一体として載置したエンジンユニット40を構成して、このエンジンユニット40を、前記摺動レール100に載置して前後方向に摺動自在に構成することで、エンジン41等の構成機器を、一度にエンジン室4の外側方向にスライドさせることができる。そのため、一度に各構成機器のメンテナンスができ、メンテナンスが容易となる。特に、エンジン41と発電機45とを一体に配置することで、エンジン41のメンテナンスを行う際に、エンジン41と発電機45との接続を解消する作業が不要となり、作業性が向上する。また、前記各消音器61・63を取付部41b・41cから取り外し、その他ワイヤハーネス(図略)等を外すだけで、冷却水や潤滑油等を接続するホース類等の断接を行う必要がないため、メンテナンスの作業性が向上される。さらに、コンテナ用冷凍装置1の組み立ての際に、エンジン41等を一度にフレーム2へ取り付けることができ、かかる組み立て作業が容易となる。
【0045】
本実施例に係るコンテナ用冷凍装置1は、エンジンユニット40の支持部材としてのスライド杆135がフレーム2に嵌装され、該スライド杆135は、筐体10の前後方向に摺動可能に構成され、かつ筐体10内に収納可能となるように構成されている(図7参照)。このスライド杆135は、フレーム2からエンジン室4の下方であって筐体10の前方に突出するようにして引き出すことができ、該スライド杆135上にエンジンユニット40を載置することができる。このように構成することによって、エンジン室4の外側に引き出されたエンジンユニット40が自重によってエンジン室4から落下するのを防止できる。また、該スライド杆135を伸縮自在とすることによって、エンジンユニット40を引き出す際にフレーム2から引き出せばよく、不使用時にフレーム2内に収納すれば、装置の運搬等の際に邪魔にならない。
【0046】
なお、このスライド杆135は、フレーム2に嵌装されるように構成するだけでなく、エンジンユニット40の引き出し位置よりも下方位置であれば、例えば、摺動レール100から筐体10の前後方向に伸縮自在となるように構成してもよい。また、スライド杆135を筐体10に着脱可能に構成して、エンジンユニット40をスライドさせる際には、筐体10(フレーム2)の前方向に突出するように取り付けてもよい。さらに、摺動フレーム130・131下部にローラを配置してスライド杆135上を転動させて引き出し・収納を容易にすることもできる。
【0047】
図8に示すように、上述したエンジン41のスライド機構160は、筐体10とエンジン台49との間に配設されるネジ杆136を回動操作して、エンジンユニット40を前後方向に摺動させるような構成としてもよい。このようなネジ機構161は、前記エンジン台49とエンジン室4の下辺側のフレーム2との間であって、該フレーム2後側に配置される枢支部材137と、フレーム2前側に配置される枢支部材138と、該枢支部材137・138とによって両端部を回動自在に枢支されるネジ杆136と、エンジン台49の下面に固設されボス体139等とで構成される。
【0048】
ネジ杆136は、両端部を除いてネジ切りされて、一端が枢支部材137に回動自在に嵌挿し、他端が枢支部材138から筐体10の前方に突出するようにこれに貫通して回動自在に枢支される。ボス体139は、エンジン台の下面に固設されて、このネジ杆136のネジ切りした部分に螺装され、エンジンユニット40がエンジン室4内に載置された状態で、枢支部材137の近傍に位置するように構成される。
【0049】
ネジ杆136は、前記枢支部材138において他端が筐体10前方に突出し、このネジ杆136の他端が、連結軸140を介してハンドル141と連動するように構成されている。そして、このハンドル141を回動操作することによって、連結軸140を介してネジ杆136が連動して回動される。ネジ杆136が回動することによって、ネジ杆136に螺装した前記ボス体139が該ネジ杆136に沿って筐体10の前後方向に移動し、エンジン台49が前後方向にスライドする。すなわち、ネジ機構161は、ハンドル141によってネジ杆136を回動操作することによって、エンジン台49をスライドさせるように構成されている。なお、エンジンユニット40をスライド操作する際に、連結軸140及びハンドル141が枢支部材138(ネジ杆136)に取り付けられ、また、スライドされたエンジンユニット40はエンジン室4の下方であって筐体10の前方に突出する前記スライド杆135によって、下方から支持される。
【0050】
このように、エンジン台9とフレーム2との間に、枢支部材137・138によって枢支されたネジ杆136を配置し、エンジン台49に固設されるボス体139をこのネジ杆136に螺装したネジ機構161を構成することで、ネジ杆136をハンドル141等によって回動させることで、エンジンユニット40(エンジン台49)を、筐体10の前後方向にスライドさせて、エンジン41等をエンジン室4から容易に引き出したり、収納したりすることができる。このように、ネジ機構161を構成することで、上述した実施例と比べて、少ない労力でエンジンユニット40をスライドさせることができる。
【0051】
次に、コンプレッサ51のスライド機構162について、以下に詳述する。
図9乃至図13に示すように、上述したように、コンプレッサ51、冷凍回路53、リキッドタンク55、アキュムレータ56及び高圧センサ57等は、平面視略平板状の冷凍機台58の上にそれぞれ一体的に載置固定されて、冷凍機ユニット50として構成されている。そして、本実施例における冷凍機ユニット50において、コンプレッサ51は、冷凍機台58の前方よりの位置に載置され、詳細には、冷凍機台58の前後方向に配置された摺動レール105上に前後スライド可能に取り付けられている。
【0052】
このスライド機構162は、冷凍機台58に前後方向に施設された摺動レール105上に、下フレーム142が摺動可能に配設され、下フレーム142に上フレーム143が固定ボス144を介して一体的に取り付けられ、上フレーム143にコンプレッサ51が載置されている(図11参照)。下フレーム142は、摺動レール105の後端部よりもさらに後方に延出して形成され、上部平面の略中央部に長手方向に沿って長孔142aが穿設される。位置決めボルト145が、下フレーム142の上方からこの長孔142aを介して挿通され、摺動レール105に植設される。コンプレッサ51と連動して下フレーム142が摺動されると、やがて位置決めボルト145が下フレーム142の長孔142aの後方縁部に当接して、摺動操作が規制される(図13参照)。また、位置決めボルト145の植設位置を長孔142aに沿って筐体10の後方側に移動させると、コンプレッサ51の前方へのスライド距離が短くなるように調整できる。
【0053】
下フレーム142と上フレーム143との間に介設される固定ボス144は、上フレーム143の前後端部近傍に位置するように下フレーム142の上面に固設される。固定ボス144は上下方向に貫通孔144aが穿設され、上フレーム143の上方から、該貫通孔144aに固定ボルト146が螺挿される。固定ボルト146の内、上フレーム143の前端の固定ボス144に螺挿される固定ボルト146aは、上フレーム143から固定ボス144を挿通して前記摺動レール105に至り、上フレーム143・下フレーム142及び摺動レール105を一体として螺着する(図12(a)参照)。上フレーム143の後端の固定ボス144に螺挿される固定ボルト146bは、該固定ボス144に螺挿されて上フレーム143と下フレーム142とを螺着する(図12(b)参照)。なお、固定ボス144は、防振ゴム等により形成してもよい。
【0054】
コンプレッサ51が冷凍機台59に固定された状態から、固定ボルト146aのみを取り外すことによって、上フレーム143及び下フレーム142とが、摺動レール105上を一体として筐体10の前方に摺動可能となり、すなわち、上フレーム143に固設されるコンプレッサ51を摺動レール105に沿ってスライドさせることができる。固定ボルト146b及び位置決めボルト145は、コンプレッサ51の後方に位置するため、冷凍機室5に配設された状態で筐体10の前方からこれらのボルトを取り外す作業は困難であり、本実施例のように、筐体10の前面側の固定ボルト146aのみを取り外すだけでコンプレッサ51を摺動可能に構成することで、かかる作業性が向上する。
【0055】
コンプレッサ51の上部には、吊下げ金具51aが上方に突出して複数個配設されており、コンプレッサ51が前方に引き出された状態で、吊下げ金具51aにクレーンフック等を係合することによって、冷凍機ユニット50からコンプレッサ51を切り離して吊り上げることができる。なお、固定ボルト146a・146bを取り外すことによって、コンプレッサ51と上フレーム143とを一体として冷凍機ユニット50から切り離すことができる。
【0056】
このように、筐体10(冷凍機台58)に施設された摺動レール105に沿ってコンプレッサ51を冷凍機室5の外側にスライド可能に、すなわち、冷凍機ユニット50からコンプレッサ51を摺動可能に構成することで、コンプレッサ51を冷凍機室5に容易に引き出すことができ、冷凍機室5外でのコンプレッサ51への作業が可能となり、また、上述したように容易に吊り上げることができるため、メンテナンス性が向上する。特に本実施例においては、位置決めボルト145によってコンプレッサ51の前方へのスライド距離を調節できるため、コンプレッサ51の自重によって冷凍機室5から落下するのを防止できる。さらに、位置決めボルト145によって、コンプレッサ51の重心位置が冷凍機台59より前方へ出ないようにスライド距離を調整することで、摺動レール105等の強度を下げることができ、ひいては製造コストを低減できる。
【0057】
次に、バッテリー31のスライド機構163について、以下に詳述する。
図14乃至図15に示すように、バッテリー31は、前記バッテリー室3bにおいて商用電源ケーブル32と一体的にバッテリー台35に配設され、このバッテリー台35が筐体10の前後方向に施設された摺動レール34に載置されて、バッテリー室3bの外側にスライド可能に構成されている。バッテリー台35は、平面部35aと垂直部35bとで構成され、バッテリー31は平面部35aに載置されて、背面が垂直部35bに当接している。バッテリー31の前上辺には保持金具147が左右方向に当接され、該保持金具147の左右両端には、ロッド148の一端部が突出している。
【0058】
ロッド148は、他端部に正面視略J字状に形成されたフック部148aが形成され、このフック部148aがバッテリー台35の水平部35aの左右縁部であって、前記垂直部35b近傍に貫設された係合孔149に挿通して係合される。ロッド148は、他端部が係合孔149に係合し、一端部が保持金具147から突出し、かかる突出端部に固定ナット150が螺合されている。そして、この固定ナット150をネジ締めることによって、バッテリー31が垂直面35bと保持金具147によって前後及び上下方向から挟持されるようにして位置固定される。
【0059】
このスライド機構163は、バッテリー台35の下面に摺動フレーム151が前後方向にそれぞれが略平行となるように取り付けられ、この摺動フレーム151が摺動レール34に上方から当接している。摺動フレーム151の上部平面の略中央部には、長手方向に沿って長孔151aが穿設され、固定ボルト152が、摺動フレーム151の上方から長孔151aを介して挿通され、摺動レール34に植設される。バッテリー台35をスライドさせる場合には、この固定ボルト152を緩めることで、摺動フレーム151が摺動レール34上を前後方向にスライド可能となる。そして、バッテリー31をバッテリー室3b内に収納した状態で、固定ボルト152を締めることで、摺動フレーム151(バッテリー台35)を位置変動不能に固定することができる。
【0060】
また、摺動フレーム151には、商用電源ケーブル32を載置可能な収納台154が配設され、バッテリー台35と一体的に構成されている。さらに、収納台154の前側に、バッテリー台35をスライド操作するための把持プレート153が配設され、オペレータがこの把持プレート153を把持して、バッテリー台35を引き出す等できるように構成されている。
【0061】
このように、筐体10に施設された摺動レール34に沿って、バッテリー31をバッテリー室3bの外側にスライド可能に、すなわち本実施例では、バッテリー31を載置したバッテリー台35を前後方向に摺動可能に構成することで、バッテリー31をバッテリー室3bから容易に引き出すことができ、バッテリー室3b外でのバッテリー31への作業が可能となり、メンテナンス性が向上する。また、バッテリー室3b外に引き出すことで、バッテリー31の交換作業が容易となる。特に、バッテリー31(バッテリー台35)をスライド可能に構成することで、バッテリー31を筐体10(バッテリー室3b)の奥側へ配置することが可能となり、バッテリー31の前方空間を有効利用できる。
【0062】
また、本実施例においては、バッテリー31をバッテリー台35に載置して、このバッテリー台35に商用電源ケーブル32の収納台154を一体的に形成することで収納台154に商用電源ケーブル32を配設でき、商用電源ケーブル32を引き出したり収納したりする作業が容易となる。商用電源ケーブル32を筐体10の最下部(バッテリー室3b)に配置することで、オペレータや周辺器材等に引っ掛かりにくい。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明に係るコンテナ用冷凍装置の全体的な構成を示した正面図。
【図2】同じく図1の左側面図。
【図3】エンジンユニットの正面図。
【図4】同じくエンジンユニットの平面図。
【図5】同じくエンジンユニットの底面図。
【図6】エンジンのスライド機構の正面図。
【図7】同じくエンジンのスライド機構の平面図。
【図8】エンジンのスライド機構及びネジ機構の側断面図。
【図9】冷凍機ユニットの正面図。
【図10】同じく冷凍機ユニットの平面図。
【図11】コンプレッサのスライド機構の側断面図。
【図12】同じくコンプレッサのスライド機構の正面断面図。
【図13】同じくコンプレッサのスライド機構の平面図。
【図14】バッテリーのスライド機構の側断面図。
【図15】同じくバッテリーのスライド機構の平面図。
【符号の説明】
【0064】
1 コンテナ用冷凍装置
3b バッテリー室
4 エンジン室
5 冷凍機室
10 筐体
31 バッテリー
32 商用電源ケーブル
34、100、105 摺動レール
35 バッテリー台
40 エンジンユニット
41 エンジン
45 発電機
49 エンジン台
50 冷凍機ユニット
51 コンプレッサ
58 冷凍機台
130、151 摺動フレーム
142 下フレーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に、冷媒回路によって接続されたコンプレッサとコンデンサとエバポレータとを設け、エンジンに連設された発電機によって該コンプレッサが駆動されるコンテナ用冷凍装置において、
該筐体にレールを施設し、該レールに沿って該エンジンを外側にスライド可能に配設した、
ことを特徴とするコンテナ用冷凍装置。
【請求項2】
前記エンジンと発電機とを含むユニット体を一体的に形成し、該ユニット体を前記レール上に載置固定可能に構成した、
ことを特徴とする請求項1に記載のコンテナ用冷凍装置。
【請求項3】
前記筐体に、前記レールに対して伸縮自在なスライド杆を設け、該スライド杆上に前記エンジンを載置可能とした、
ことを特徴する請求項1又は請求項2に記載のコンテナ用冷凍装置。
【請求項4】
前記エンジンを載置するエンジン台と前記筐体との間であって、筐体側にネジ杆を枢支し、該エンジン台側に該ネジ杆に螺装するボス体を設けた、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のコンテナ用冷凍装置。
【請求項5】
筐体内に、冷媒回路によって接続されたコンプレッサとコンデンサとエバポレータとを設け、エンジンに連設された発電機によって該コンプレッサが駆動されるコンテナ用冷凍装置において、
該筐体にレールを施設し、該レールに沿って該コンプレッサを外側にスライド可能に配設した、
ことを特徴とするコンテナ用冷凍装置。
【請求項6】
筐体内に、冷媒回路によって接続されたコンプレッサとコンデンサとエバポレータとを設け、エンジンに連設された発電機によって該コンプレッサが駆動されるコンテナ用冷凍装置において、
該筐体にレールを施設し、該レールに沿ってバッテリーを外側にスライド可能に配設した、
ことを特徴とするコンテナ用冷凍装置。
【請求項7】
前記バッテリーは、バッテリー台に載置され、該バッテリー台と商用電源ケーブルの収納台とを一体的に形成した、
ことを特徴とする請求項6に記載のコンテナ用冷凍装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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