説明

コンテンツ再生装置およびコンテンツ再生制御方法

【課題】記録媒体から読み出されたプログラムを用いて該記録媒体から読み出されたコンテンツの再生を制御する装置において、所謂レジューム再生機能を提供することを課題とする。
【解決手段】コンテンツ再生装置1において、BD41から、コンテンツと該コンテンツを制御するためのコンテンツ制御プログラムとを読み出す読出部22と、読み出されたコンテンツ制御プログラムを仮想マシン26に実行させることで、BD41から読み出されたコンテンツの再生を制御するコンテンツ制御部23と、を備え、停止指示が受け付けられた場合に、仮想マシン26によるコンテンツ制御プログラムの実行を中断させ、再開指示が受け付けられた場合に、仮想マシン26によるコンテンツ制御プログラムの実行を中断位置から再開させることとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体から読み出されたコンテンツを再生するコンテンツ再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、Java(登録商標)プログラムが本来行うべき機能の一部を組み込みプログラムで実現することで起動時間を短縮し、Java(登録商標)プログラムの起動が完了した時点で組み込みプログラムの動作状況をJava(登録商標)プログラムに引き継ぐ連絡手段を備えるプログラム実行装置がある(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−56416号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)等の記録媒体やFM/AM、TV等複数のソースから選択された信号に基づいて映像や音響のコンテンツを再生する機能を備える装置には、再生を停止した際や、CDやDVD等を再生中に入力ソースを他に変更した際等に、CDやDVDの再生位置(ソース切り替え前の停止位置)を記憶し、次回再生時に前回再生を停止した位置から再生を再開する、所謂レジューム再生機能が備えられていることが一般的である。レジューム再生機能は、CDやDVD等の再生装置の普及を通じて、ユーザにとって一般的な機能となっており、ユーザは、一般的な再生装置においては、この機能が自動的に働くことを期待する。
【0005】
ここで、例えばBlu−ray Disc(登録商標。以下、「BD」と称する)等、同種のコンテンツ(例えば、映像コンテンツ)であっても、再生における制御の方式が異なるコンテンツが提供される媒体がある。より具体的には、BDでは、コンテンツの制御方式として、従来DVDにおいて用いられている方式を拡張したHDMV(High Definition Movie)、またはJava(登録商標)プログラムを使用するBD−J(Blu−ray Disc Java(登録商標))の制御方式が用いられる。そして、HDMVコンテンツに関しては、制御方式が従来のDVDの拡張であるために、再生途中のコンテンツの識別子等を記憶しておくことで、DVDで提供されるものと同様のレジューム再生機能を容易に提供することが可能である。
【0006】
しかし、BD−Jコンテンツに関しては、制御方式が従来のDVDと異なり、BDから読み出されたJava(登録商標)プログラムを実行することで制御する方式であるために、従来DVDで提供される方式と同様の方式でレジューム再生機能を提供することは容易でない。より具体的には、BD−Jでは、よりインタラクティブなユーザ操作性を提供したり、コンテンツの表現の幅を拡張したりするために、Java(登録商標)プログラムを実行する制御方式が採用されており、このようなJava(登録商標)プログラムでは、BD−Jコンテンツの再生中に「停止指示」を受けた場合の動作(再生を停止するか否か)がそのJava(登録商標)アプリケーションに依存する。また、Java(登録商標)プログラムの実行によってコンテンツの再生を制御しているために、一旦プログラムを終了してしまうと、次回再生時にはプログラムを先頭から実行する必要があり、レジューム再生が困難である。具体的には、Java(登録商標)タイトルからモード切替し
て他のソースを再生し、再度モード切替によってJava(登録商標)タイトルを再生しようとすると、再生位置がコンテンツの先頭に戻ってしまう。
【0007】
また、このような問題を回避するために、モード切替時にJava(登録商標)アプリケーションの実行状態を記憶装置に退避し、モード復帰時に退避した実行状態を復帰させてJava(登録商標)アプリケーションの実行を再開させる方法が考えられるが、記憶装置のリソースが大量に必要となり、また、退避に必要な時間を考慮しても、急なモード切替や再生停止等に対応するのは困難である。
【0008】
本発明は、上記した問題に鑑み、記録媒体から読み出されたプログラムを用いて該記録媒体から読み出されたコンテンツの再生を制御する装置において、所謂レジューム再生機能を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記した課題を解決するために、仮想マシンによるコンテンツ制御プログラムの実行を中断することで、レジューム再生機能を提供することを可能にした。
【0010】
詳細には、本発明は、記録媒体から読み出されたコンテンツを再生するコンテンツ再生装置であって、前記記録媒体から、前記コンテンツと、該コンテンツを制御するための所定の命令およびデータを含むコンテンツ制御プログラムとを読み出す読出手段と、仮想マシン用プログラムが実行されることで実現され、前記所定の命令およびデータを処理可能な仮想マシンに、前記読出手段によって読み出された前記コンテンツ制御プログラムを実行させることで、前記記録媒体から読み出されたコンテンツの再生を制御するコンテンツ制御手段と、前記コンテンツの再生の停止指示および再開指示を受け付ける入力受付手段と、を備え、前記入力受付手段によって前記停止指示が受け付けられた場合に、前記仮想マシンによる前記コンテンツ制御プログラムの実行を中断させ、前記入力受付手段によって前記再開指示が受け付けられた場合に、前記仮想マシンによる前記コンテンツ制御プログラムの実行を中断位置から再開させる、コンテンツ再生装置である。
【0011】
ここで、コンテンツ制御プログラムとは、コンテンツの再生における、再生順序等を制御するためのプログラムであり、コンテンツ制御手段は、このコンテンツ制御プログラムを実行することによってコンテンツの再生を制御する。コンテンツ制御プログラムは、例えばBDに記録されたBD−Jコンテンツを制御するためのBD−Jプログラムであり、仮想マシン(プログラム実行環境)によってプロセス(タスク)として管理され、プログラム内で定義された変数やスタック等を用いて制御される。
【0012】
仮想マシンは、OS上で実行されるアプリケーションプログラムによって実現される、仮想的な情報処理装置であり、仮想マシンによって管理されるメモリ領域に展開された、仮想マシンが実行可能な命令セットを含むプログラムを実行する。仮想マシンは、OSによって管理されるアプリケーションまたはプロセス(タスク)であるため、仮想マシンに実行順が回ってきてもコンテンツ制御プログラムの実行を行わずにOSに処理を返す方法や、仮想マシン自体に実行順序を割り当てない方法、仮想マシン自体の実行を停止する方法等で、仮想マシンによるコンテンツ制御プログラムの実行を容易に中断することが出来る。
【0013】
また、仮想マシンによるコンテンツ制御プログラムの実行を中断することによってコンテンツの制御を中断するため、本発明によれば、コンテンツの制御が中断された場合にも、コンテンツ制御プログラムは実行途中の状態のまま保持されており、中断時の状態からコンテンツの制御を再開することが可能となる。
【0014】
また、本発明に係るコンテンツ再生装置は、前記コンテンツ制御手段によって制御されてコンテンツを再生する再生手段を更に備え、前記再生手段は、前記入力受付手段によって前記停止指示が受け付けられた場合に、コンテンツの再生を中断し、前記入力受付手段によって前記再開指示が受け付けられた場合に、コンテンツの再生を再開してもよい。このような構成を備えることで、本発明によれば、コンテンツ制御プログラムに基づく制御の中断に応じて、コンテンツの再生を停止または再開することが出来る。
【0015】
また、本発明において、前記コンテンツ再生装置は、前記記録媒体を含む複数のソースのうち、選択されたソースからのコンテンツを再生するコンテンツ再生装置であり、前記停止指示は、前記ソースの切り替えに伴う停止指示であってもよい。本発明を、複数のソースから選択再生可能なコンテンツ再生装置に用いることによって、ソースの切替(モード切替)に応じてコンテンツ制御プログラムに基づく制御の中断及び再開をすることが可能となる。
【0016】
また、本発明は、コンテンツ再生装置の制御方法、制御プログラム、およびこの制御プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体の発明としても把握することが可能である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によって、記録媒体から読み出されたプログラムを用いて該記録媒体から読み出されたコンテンツの再生を制御する装置において、所謂レジューム再生機能を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施形態に係るコンテンツ再生システムのハードウェア構成の概略を示す図である。
【図2】実施形態に係るコンテンツ再生システムの機能構成の概略を示す図である。
【図3】実施形態に係るBlu−ray Discのデータ構成を示す図である。
【図4】実施形態に係るBD−Jコンテンツ再生停止処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】実施形態に係るBD−Jコンテンツ再生再開処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係るコンテンツ再生装置を備えたコンテンツ再生システムの実施の形態について、図面に基づいて説明する。本実施形態に係るコンテンツ再生システムは、屋内、屋外に設置されて使用されるコンテンツ再生システムの他、車載機、携帯機、携帯電話等、様々な用途に用いられてよい。
【0020】
図1は、本実施形態に係るコンテンツ再生システム1のハードウェア構成の概略を示す図である。本実施形態に係るコンテンツ再生システム1は、RAM(Random Access Memory)12、ROM(Read Only Memory)14、RAM12等に展開された命令及びデータを処理することでシステム全体を制御するCPU(Central Processing Unit)11、RAM12にロードされる各種プログラム等システムによって使用される各種データが記憶されるHDD(Hard
Disk Drive)13、デコーダ(Digital Signal Processor)15、デコーダ15から渡されたデジタル信号をアナログ信号へ変換するD/A変換器16、増幅器17、タッチパネルディスプレイ2、スピーカ3、マルチドライブ4、TVチューナ5、AM/FMチューナ6等を有し、これらはバス等を介して電気的に接続されている。
【0021】
マルチドライブ4は、CD、DVD、BD等の複数の規格のディスク(記録媒体)を装填および読み取り可能な光学ディスクドライブである。本実施形態に係るシステムでは、マルチドライブ4に装填されたBD41等のディスクから読み出された情報はデコーダ15へ送られる。デコーダ15は、読み出された情報に基づいて映像信号および音響信号を生成する。そして、デコーダ15によって生成された映像信号および音響信号をタッチパネルディスプレイ2およびスピーカ3へ出力することで、コンテンツ再生システム1は、映像および音響の再生を行う。
【0022】
なお、本実施形態では、ディスクから読み出された情報に基づく映像信号および音響信号は、所謂DSP(Digital Signal Processor)等であるデコーダ15によって生成されるが、デコード処理は、RAM12等に展開されたデコードプログラムを実行するCPU11によって行われてもよい。また、ディスクから読み出された情報に基づく映像信号の処理および音響信号の処理は、一のプロセッサによって処理されてもよいし、夫々異なる専用のプロセッサによって処理されてもよい。
【0023】
タッチパネルディスプレイ2は、本システムにおける、ユーザに対する入出力装置(ユーザインターフェース)であり、CPU11によって制御されることで、ユーザに何らかの情報を通知する画像を表示し、またユーザによる画像表示部分への接触操作を検出することで、ユーザ操作を受け付ける。なお、コンテンツ再生システム1は、タッチパネルディスプレイ2への接触操作の他に、システム1に設けられた各種ボタン等(図示は省略する)によっても、ユーザによる操作を受け付ける。タッチパネルディスプレイ2やボタン等を介して入力された内容はRAM12に記録され、CPU11によって処理される。また、本システムによるユーザへの通知等は、スピーカ3を介して音響出力されてもよい。
【0024】
図2は、本実施形態に係るコンテンツ再生システム1の機能構成の概略を示す図である。本実施形態に係るシステムは、RAM12又はROM14に展開されたコンテンツ再生プログラムをCPU11が解釈及び実行することで、再生部21、読出部22、コンテンツ制御部23および入力受付部24を備えるコンテンツ再生システム1として機能する。
【0025】
入力受付部24は、タッチパネルディスプレイ2やボタン等を用いてユーザインターフェースを提供し、ユーザ操作に基づく入力を受け付ける。また、入力受付部24は、受け付けられたユーザ操作等に応じて、コンテンツ制御部23が提供するAPI(Application Programming Interface)を呼び出すことで、コンテンツ制御部23に対する指示を発行する。
【0026】
読出部22は、マルチドライブ4によって、BD41から、HDMVコンテンツ、BD−JコンテンツおよびBD−Jコンテンツを制御するためのBD−Jプログラム等を読み出す。
【0027】
再生部21およびコンテンツ制御部23は、BD41等のディスクから読み出されたコンテンツに対応する制御方式を用いてコンテンツを再生する。即ち、BD41から読み出されたコンテンツがHDMVコンテンツである場合、HDMVのコマンドに従ってコンテンツの再生が制御され、BD41から読み出されたコンテンツがBD−Jコンテンツである場合、同一のBD41から読み出されたBD−Jプログラムを実行することによってコンテンツの再生が制御される。
【0028】
再生部21は、コンテンツ制御部23による制御に従ってコンテンツをデコーダ15へ送り、コンテンツの再生、停止、早送り、巻き戻し等の再生基本動作を提供する。なお、コンテンツを再生する際、再生部21は、HDMVコンテンツとBD−Jコンテンツとを
連続して再生することが出来るものとする。
【0029】
コンテンツ制御部23は、コンテンツ制御プログラムを実行する仮想マシン26を含んでいる。仮想マシン26は、OS上で実行されるアプリケーションの一つであるが、所定の命令を含むプログラムを実行する仮想的な情報処理装置(プログラム実行環境)として振舞う点で、通常のアプリケーションと異なる。本実施形態に係る仮想マシン26は、Java(登録商標) VM(Java(登録商標) Virtual Machine)であり、仮想マシン26によって管理されるRAM12上の所定の領域に展開された実行プログラム(本実施形態では、Java(登録商標)の実行プログラム)をプロセス(タスク)として管理し、実行する。ここで、仮想マシン26は、OSによって管理されるアプリケーションまたはプロセス(タスク)である。このため、仮想マシン26は、停止指示を受け付けると、以降再開指示が受け付けられるまで実行プログラムの実行を行わないようにすることで、実行プログラムが展開された領域を解放したり、CPU11を停止したりすることなく、実行プログラムの実行を中断することが出来る。
【0030】
図3は、本実施形態に係るBlu−ray Discのデータ構成を示す図である。Blu−ray Discには、ディスクに収録されたコンテンツの一覧であるIndex
table、HDMVコンテンツの再生内容を制御するためのMovieObject、BD−Jコンテンツの再生内容を制御するためのBD−J Object、これらのObjectから操作されるPlayList、PlayList内に再生順に並ぶPlayItem、PlayItemより参照されるストリームファイルの情報を格納したClipInfo、および実際の映像や音響データ等を含むストリームファイルであるAV Stream、が記録されている。
【0031】
ここで、Index tableは、First Playback、Top Menu、Title1、Title2、等の形式でコンテンツの一覧を有し、夫々のコンテンツがHDMVコンテンツであるかBD−Jコンテンツであるかを示す情報(以下、この情報を「コンテンツ制御方式識別フラグ」と称する)を含む。再生部21は、このコンテンツ制御方式識別フラグを参照することで、再生に係るコンテンツがHDMVコンテンツであるかBD−Jコンテンツであるかを判定する。
【0032】
そして、再生に係るコンテンツがHDMVコンテンツである場合には、MovieObjectが選択され、従来のDVDビデオと同様、NavigationCommandを用いてPlayListやTopMenu、Title等が制御される。また、再生に係るコンテンツがBD−Jコンテンツである場合には、BD−J Objectが選択され、Java(登録商標)プログラムが実行されることによって、PlayListやTopMenu、Title等が制御される。なお、これらのObjectは、PlayList等に割り振られたIDを指定することで、再生内容の制御を行う。
【0033】
ここで、本実施形態に係るコンテンツ再生システム1は、DVD等の再生に際して、再生停止時に再生位置を記憶して次回再生時に記憶された再生位置から再生を開始する、所謂レジューム再生機能を提供する。レジューム再生機能は、BD41のHDMVコンテンツに関しても、従来のDVDと同様の方法で提供される。これは、HDMVコンテンツのコンテンツ制御方式が、従来のDVDビデオのコンテンツ制御方式を拡張したものであるために、同様の手法でレジューム再生機能を提供できるためである。
【0034】
しかし、BD41に収録されたBD−Jコンテンツに関しては、コンテンツ制御方式が従来方式の拡張ではなく、Java(登録商標)プログラムを読み出して実行することでコンテンツを制御する方式であるために、従来のDVDと同様の方法でレジューム再生機能を提供することは容易でない。このため、本実施形態に係るコンテンツ再生システム1
は、仮想マシン26によるコンテンツ制御プログラムの実行を中断する方法で、レジューム再生機能を提供する。以下、フローチャートを用いて、処理の詳細を説明する。
【0035】
図4は、本実施形態に係るBD−Jコンテンツ再生停止処理の流れを示すフローチャートである。本フローチャートに示された処理は、再生部21がBD−Jプログラムを実行するコンテンツ制御部23に従ってBD−Jコンテンツを再生しているときに、ユーザによる一時停止操作または機能モード切替操作が行われたことを契機として開始される。なお、本フローチャートに示された具体的なBD−Jコンテンツ再生停止処理の流れは、本発明を実施するための一例であり、本フローチャートに示された処理の内容および処理の順序等に限定されない。具体的な処理の内容および順序は、実施の形態に応じて適宜最適なものが採用されることが好ましい。
【0036】
本実施形態に係るコンテンツ再生システム1は、BD41やTV放送波、AM/FM放送波を含む複数のソースのうち、選択されたソースからのコンテンツを再生することが可能なシステムであり、機能モード切替操作とは、入力ソースを、BD41が装填されているマルチドライブ4からTVチューナ5やAM/FMチューナ6等の他の入力ソースへ切り替える操作をいう。
【0037】
本フローチャートに示された処理が行われるときに再生されているコンテンツはBD−Jコンテンツである。即ち、コンテンツ制御プログラムは、Java(登録商標)実行環境等の仮想マシン26によってプロセス(タスク)として管理され、また実行領域を割り当てられ、スタックや変数等を用いて処理が進められる。このため、従来のDVDと同様の方法でコンテンツの制御を停止すると、コンテンツ制御プログラムを実行するためのRAM12上の実行領域が解放されてしまい、次回実行時にはプログラムを先頭から実行する必要が生じ、前回停止箇所から再生を再開することができない。
【0038】
ステップS101およびステップS102では、ユーザ操作、およびこのユーザ操作に伴う停止指示が受け付けられる。入力受付部24は、タッチパネルディスプレイ2やその他システムに設けられたボタン類を用いて行われた、ユーザによる一時停止操作や機能モード切替操作等の操作を受け付ける(ステップS101)。そして、入力受付部24は、受け付けられた操作に伴って、コンテンツ制御部23に対して、一時停止指示や機能モード切替指示等の停止指示を行う(ステップS102)。その後、処理はステップS103へ進む。
【0039】
ステップS103では、仮想マシン26によるコンテンツ制御プログラムの実行が中断される。コンテンツ制御部23は、仮想マシン26に対して、実行中のコンテンツ制御プログラムの実行を中断するように指示し、コンテンツ制御プログラムの実行を中断させる。なお、仮想マシン26によるプログラムの実行が中断されるため、この際、仮想マシン26におけるコンテンツ制御プログラムの実行領域(RAM12の一部領域)は、実行途中の状態のまま保持される。即ち、仮想マシン26は、実行途中のコンテンツ制御プログラムの内容を、変数、スタック等の状態を含めてそのまま保持する。これによって、プログラムの途中箇所からの実行再開が可能となっている。その後、処理はステップS104へ進む。
【0040】
ステップS104およびステップS105では、再生部21によるコンテンツの再生が停止される。コンテンツ制御部23は、再生部21に対して、コンテンツの再生停止を指示する。コンテンツの再生停止の指示を受けた再生部21は、コンテンツのデコード処理およびタッチパネルディスプレイ2およびスピーカ3への出力を停止する(ステップS104)。再生部21は、再生が停止された時点の再生位置(停止位置)を、コンテンツを識別するための情報や、コンテンツの先頭からの時間等の形式で、記録する。再生部21
は、デコード処理および出力処理の停止が完了すると、コンテンツ制御部23に対して再生停止の完了報告を送信する。コンテンツの再生停止がコンテンツ制御部23によって受信されると、本フローチャートに示された処理は終了する(ステップS105)。
【0041】
図5は、本実施形態に係るBD−Jコンテンツ再生再開処理の流れを示すフローチャートである。本フローチャートに示された処理は、BD−Jコンテンツの再生が行われていないときに、ユーザによる再生開始操作またはBD41を入力ソースとする機能モードへの機能モード切替操作が行われたことを契機として開始される。なお、本フローチャートに示された具体的なBD−Jコンテンツ再生再開処理の流れは、本発明を実施するための一例であり、本フローチャートに示された処理の内容および処理の順序等に限定されない。具体的な処理の内容および順序は、実施の形態に応じて適宜最適なものが採用されることが好ましい。
【0042】
ステップS201およびステップS202では、ユーザ操作、およびこのユーザ操作に伴う再開指示が受け付けられる。入力受付部24は、タッチパネルディスプレイ2やその他システムに設けられたボタン類を用いて行われた、ユーザによる再生開始操作または機能モード切替操作を受け付ける(ステップS201)。そして、入力受付部24は、受け付けられた操作に伴って、コンテンツ制御部23に対して、再生開始指示や機能モード切替指示等の再開指示を行う(ステップS202)。その後、処理はステップS203へ進む。
【0043】
ステップS203およびステップS204では、再生部21によるコンテンツの再生が再開される。コンテンツ制御部23は、再生部21に対して、コンテンツの再生再開を指示する。コンテンツの再生再開の指示を受けた再生部21は、ステップS104に示した処理において記録された再生位置(停止位置)から、コンテンツのデコード処理およびタッチパネルディスプレイ2およびスピーカ3への出力を再開する(ステップS203)。再生部21は、デコード処理および出力処理の再開が完了すると、コンテンツ制御部23に対して再生再開の完了報告を送信する。コンテンツの再生再開がコンテンツ制御部23によって受信されると(ステップS204)、処理はステップS205へ進む。
【0044】
ステップS205では、仮想マシン26によるコンテンツ制御プログラムの実行が再開される。コンテンツ制御部23は、仮想マシン26に対して、中断されていたコンテンツ制御プログラムの実行を再開するように指示し、コンテンツ制御プログラムの実行を再開させる。なお、ステップS103におけるプログラム実行の中断において、仮想マシン26におけるコンテンツ制御プログラムの実行領域(RAM12の一部領域)は、実行途中の状態のまま保持されており、仮想マシン26は、実行途中のコンテンツ制御プログラムの内容を、変数、スタック等の状態を含めてそのまま保持している。このため、プログラムの途中箇所からの実行再開が可能となっている。その後、本フローチャートに示された処理は終了する。
【0045】
仮想マシン26は、OSによって管理され、実行順序が割り当てられるアプリケーションまたはプロセス(タスク)である。このため、上記説明したステップS103およびステップS205のコンテンツ制御プログラムの実行中断および再開は、仮想マシン26に実行順が回ってきた際にコンテンツ制御プログラムの実行を行わずにOSに処理を返す方法や、仮想マシン26自体に実行順序を割り当てない方法、仮想マシン26の実行を停止する方法、等で実現することが出来る。
【0046】
このようなコンテンツ制御プログラムの実行中断および再開は、例えば、Xletと呼ばれるJava(登録商標)アプリケーションに提供される、Paused機能を用いることで実現されてもよい。コンテンツ制御プログラムとしてXletが用いられる場合、
コンテンツ制御部23は、仮想マシン26に対して、実行中のXletの実行を中断するように指示することでコンテンツ制御を中断し(ステップS103)、また、中断されていたXletの実行を再開するように指示することで、コンテンツ制御を再開させる。
【0047】
本実施形態に係るコンテンツ再生システム1によれば、BD−Jコンテンツの再生中に再生停止やモード切替の操作が行われた場合においても、RAM12上の実行領域を開放することなく、中断箇所からコンテンツの再生を再開することができる。
【符号の説明】
【0048】
1 コンテンツ再生システム
2 タッチパネルディスプレイ
3 スピーカ
4 マルチドライブ
11 CPU(Central Processing Unit)
12 RAM(Random Access Memory)
13 HDD(Hard Disk Drive)
15 デコーダ
21 再生部
22 読出部
23 コンテンツ制御部
24 入力受付部
26 仮想マシン
41 Blu−ray Disc

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体から読み出されたコンテンツを再生するコンテンツ再生装置であって、
前記記録媒体から、前記コンテンツと、該コンテンツを制御するための所定の命令およびデータを含むコンテンツ制御プログラムとを読み出す読出手段と、
仮想マシン用プログラムが実行されることで実現され、前記所定の命令およびデータを処理可能な仮想マシンに、前記読出手段によって読み出された前記コンテンツ制御プログラムを実行させることで、前記記録媒体から読み出されたコンテンツの再生を制御するコンテンツ制御手段と、
前記コンテンツの再生の停止指示および再開指示を受け付ける入力受付手段と、
を備え、
前記入力受付手段によって前記停止指示が受け付けられた場合に、前記仮想マシンによる前記コンテンツ制御プログラムの実行を中断させ、前記入力受付手段によって前記再開指示が受け付けられた場合に、前記仮想マシンによる前記コンテンツ制御プログラムの実行を中断位置から再開させる、
コンテンツ再生装置。
【請求項2】
前記コンテンツ制御手段によって制御されてコンテンツを再生する再生手段を更に備え、
前記再生手段は、前記入力受付手段によって前記停止指示が受け付けられた場合に、コンテンツの再生を中断し、前記入力受付手段によって前記再開指示が受け付けられた場合に、コンテンツの再生を再開する、
請求項1に記載のコンテンツ再生装置。
【請求項3】
前記コンテンツ再生装置は、前記記録媒体を含む複数のソースのうち、選択されたソースからのコンテンツを再生するコンテンツ再生装置であり、
前記停止指示は、前記ソースの切り替えに伴う停止指示である、
請求項1または2に記載のコンテンツ再生装置。
【請求項4】
記録媒体から読み出されたコンテンツを再生するコンテンツ再生装置が、
前記記録媒体から、前記コンテンツと、該コンテンツを制御するための所定の命令およびデータを含むコンテンツ制御プログラムとを読み出す読出ステップと、
仮想マシン用プログラムが実行されることで実現され、前記所定の命令およびデータを処理可能な仮想マシンに、前記読出ステップにおいて読み出された前記コンテンツ制御プログラムを実行させることで、前記記録媒体から読み出されたコンテンツの再生を制御するコンテンツ制御ステップと、
前記コンテンツの再生の停止指示および再開指示を受け付ける入力受付ステップと、
を実行し、
前記入力受付ステップにおいて前記停止指示が受け付けられた場合に、前記仮想マシンによる前記コンテンツ制御プログラムの実行を中断させ、前記入力受付ステップによって前記再開指示が受け付けられた場合に、前記仮想マシンによる前記コンテンツ制御プログラムの実行を中断位置から再開させる、
コンテンツ再生制御方法。
【請求項5】
記録媒体に接続される情報処理装置を、
前記記録媒体から、前記コンテンツと、該コンテンツを制御するための所定の命令およびデータを含むコンテンツ制御プログラムとを読み出す読出手段と、
仮想マシン用プログラムが実行されることで実現され、前記所定の命令およびデータを処理可能な仮想マシンに、前記読出手段によって読み出された前記コンテンツ制御プログラムを実行させることで、前記記録媒体から読み出されたコンテンツの再生を制御するコ
ンテンツ制御手段と、
前記コンテンツの再生の停止指示および再開指示を受け付ける入力受付手段と、
として機能させ、
前記入力受付手段によって前記停止指示が受け付けられた場合に、前記仮想マシンによる前記コンテンツ制御プログラムの実行を中断させ、前記入力受付手段によって前記再開指示が受け付けられた場合に、前記仮想マシンによる前記コンテンツ制御プログラムの実行を中断位置から再開させる、
コンテンツ再生制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−100402(P2011−100402A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−256223(P2009−256223)
【出願日】平成21年11月9日(2009.11.9)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】