コンバインの排藁集束装置
【課題】排藁放出装置の単位時間当りの排藁処理量が増加した場合であっても所定間隔を保って集束藁が排出され、複雑な電気機器を用いなくても案内杆の回動が行われるコンバインの排藁集束装置を提供する。
【解決手段】脱穀後に排藁搬送装置2によって後方に搬送される排藁を、機体後部で所定量ずつ集束し排出するコンバイン1の排藁集束装置10において、該排藁集束装置10は、排藁を受け止める集束杆11と、該集束杆11の上方に配置されて排藁を集束杆11に向かって案内する案内杆12と、前記案内杆12又は/及び集束杆11を開閉させる開閉駆動手段13とを備え、該開閉駆動手段13は、排藁搬送装置2の側部近傍に配置して、排藁が搬送される力を回転に変換する動力取出部24と、該動力取出部24からの回転を減速する減速機構26と、前記減速機構26からの回転を、前記集束杆11又は/及び前記案内杆12を回転させるカム機構50とを備える。
【解決手段】脱穀後に排藁搬送装置2によって後方に搬送される排藁を、機体後部で所定量ずつ集束し排出するコンバイン1の排藁集束装置10において、該排藁集束装置10は、排藁を受け止める集束杆11と、該集束杆11の上方に配置されて排藁を集束杆11に向かって案内する案内杆12と、前記案内杆12又は/及び集束杆11を開閉させる開閉駆動手段13とを備え、該開閉駆動手段13は、排藁搬送装置2の側部近傍に配置して、排藁が搬送される力を回転に変換する動力取出部24と、該動力取出部24からの回転を減速する減速機構26と、前記減速機構26からの回転を、前記集束杆11又は/及び前記案内杆12を回転させるカム機構50とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排藁搬送装置から搬送されてくる排藁を所定量ごとに集束して放出する排藁集束装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、コンバインの機体後部において、排藁搬送装置によって搬送されてくる排藁を所定量ごとに集束して、前記コンバインの機体外部に排出する排藁集束装置は周知となっている。このような排藁集束装置は、排藁搬送装置から搬送されてくる排藁を受け止める集束杆と、該集束杆の後方に配置されて排藁を集束杆に向けて案内し、集束杆上の排藁の落下を防止する案内杆とを上下方向に回動可能に支持し、該集束杆と案内杆とをバネで付勢して互いに交差する排藁集束位置まで回動することで、その集束杆上に排藁を集束し、排藁の集束重量が所定重量となると、集束杆と案内杆をバネに抗して互いに離れるように機体後方を向く放出位置まで回動させて、集束杆上の排藁を所定量の排藁束として圃場面上に所定間隔ごとに放出するように構成されている。
例えば、特許文献1のように、集束杆と案内杆との回動駆動手段であるバネに代わって電動モータ等により行う。前記電動モータの回動動作に関するタイミングを制御手段によって容易に設定変更することができるため、集束位置まで完全に戻らないうちに集束杆上の排藁の集束重量が前記所定重量に達して、排藁が絶え間なく排出されるようなことがないようにした排藁集束装置の技術が公知となっている。
【特許文献1】特開2006−325412号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、前記特許文献1に示す排藁集束装置においては、集束杆と案内杆の双方を回動させるために、回動駆動手段である電動モータ等を用いることで構造が複雑になり、コストアップとなる。
また、電動モータ等のアクチュエーターを用いない従来の排藁集束装置では、単位時間当りの排藁処理量が増加すると、集束杆上に次々と排藁が載置されて、集束杆の戻る力に抗して下方へ回動し、排藁は斜め後下方へ滑り落ちるようになり、排藁は進行方向に長く連なって落下し、境目がない状態が生じることがあった。
【0004】
本発明は以上の状況に鑑み、排藁放出装置の単位時間当りの排藁処理量が増加した場合であっても所定間隔を保って集束藁が排出され、複雑な電気機器を用いなくても案内杆の回動が行われるコンバインの排藁集束装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0006】
即ち、請求項1においては、脱穀後に排藁搬送装置によって後方に搬送される排藁を、機体後部で所定量ずつ集束し排出するコンバインの排藁集束装置において、該排藁集束装置は、排藁を受け止める集束杆と、該集束杆の上方に配置されて排藁を集束杆に向かって案内する案内杆と、前記案内杆又は/及び集束杆を開閉させる開閉駆動手段とを備え、該開閉駆動手段は、排藁搬送装置の側部近傍に配置して、排藁が搬送される力を回転に変換する動力取出部と、該動力取出部からの回転を減速する減速機構と、前記減速機構からの回転を、前記集束杆又は/及び前記案内杆を回転させるカム機構とを備えるものである。
【0007】
請求項2においては、前記動力取出部は、前記排藁搬送装置によって搬送される排藁と当接して回転する回転体を備えるものである。
【0008】
請求項3においては、前記回転体に長さの異なる突起部を備えたものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0010】
請求項1においては、モータ等の動力源を必要とせず排藁集束装置の開閉を行うことができ、電装品による誤作動がなくなる。また、エンジンからの動力伝達機構を設けずに排藁集束装置の開閉を行うことができて動力損失を低減でき、排藁が搬送されている時にのみ駆動されるため排藁集束装置の無駄な開閉をなくすことができ、排藁集束装置の耐久性を高めることができる。また、減速機構により必要トルクを得ることができ、確実に動力を伝達して開閉駆動できる。
【0011】
請求項2においては、構造が簡単な回転体により排藁集束装置を駆動する動力を得ることができるため、安価に製造できる。また、排藁搬送の邪魔にならない。
【0012】
請求項3においては、回転体の突起の長さが複数あることによって回転速度を複数段階変化させることができ、排藁集束装置上での集束量を複数段階にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の一実施例に係る排藁集束装置の閉状態を示す側面図、図2は同じく排藁集束装置の開状態を示す側面図、図3は同じく排藁集束装置及び駆動手段を示す平面図、図4は回転体の側面図、図5は別実施例に係る回転体の側面図、図6は別実施例に係る排藁集束装置の閉状態を示す側面図、図7は別実施例に係る排藁集束装置の開状態を示す側面図、図8は本発明の一実施例に係る排藁収束装置を装着したコンバインの後方斜視図である。
【0014】
まず、本発明の一実施例における排藁集束装置10の構成について説明する。尚、図1乃至図3及び図6、図7に示す矢印Dの方向は前方を示し、これに基づいて左右方向を規定する。
【0015】
図1、図2に示すように、コンバイン1の機体後部には脱穀済の排藁をフィードチェンから排藁搬送チェン3及び挟扼杆4に受け継ぎ後方に搬送する排藁搬送装置2と、排藁搬送装置2により搬送されてくる排藁を回転刃6・7にて切断して外部に排出可能とする排藁切断装置5とが備えられている。そして、排藁搬送装置2の後下方で排藁切断装置5の後方に排藁集束装置10が設けられ、排藁搬送装置2の挟扼杆4の伸縮と排藁切断装置5の排藁投入口を覆うカバー8の開閉とによって、排藁搬送装置2からの排藁が排藁切断装置5又は排藁集束装置10のどちらかに択一的に搬送されるように構成されている。
【0016】
本実施例の排藁集束装置10は、主に、案内杆12、集束杆11、開閉駆動手段13から構成されている。
【0017】
前記排藁集束装置10は、排藁搬送装置2で搬送されてくる排藁を所定量ごとに集束してコンバイン1の外部に排出する装置である。排藁切断装置5後部の左右一側または両側に前後方向に延設された支持プレート15を介して取り付けられた集束杆11と、該集束杆11の後方に配置される案内杆12と、案内杆12の前方に配置された開閉駆動手段13などから構成されている。
【0018】
すなわち、図1乃至図3、図8に示すように、前記排藁切断装置5又は機体後部に取り付けられた支持プレート15の下端部に回転軸59が回転可能に機体左右水平方向に支持され、該回転軸59上に回動アーム64が左右方向所定間隔をあけて複数本平行に斜め後下方に突出して固定されて一体回動可能に設けられている。但し、支持プレート15に対して回転軸59を片持ち支持として構成することもできる。そして、各回動アーム64に棒状の集束杆11の基端部がそれぞれ固着されて、集束杆11が回転軸59を中心にして上下方向に回動可能とされている。
【0019】
また、前記支持プレート15の上部には、回転軸62が左右方向回転可能に支持され、該回転軸62上に所定間隔をあけて複数の回動アーム65が一体回動可能に設けられている。そして、該回動アーム65に案内杆12の基端部が固着されて、該案内杆12の先端側が集束杆11の後方で回転軸62を中心にして上下方向に回動可能とされている。なお、集束杆11と案内杆12は同じ本数にしてもよい。また、排藁の長さによって隣り合う案内杆12と案内杆12との間隔を調節することもできる。
【0020】
案内杆12の中途部が後方へ突出するように折り曲げられて側面視略「へ」字状又は円弧状に形成されて、他端の先端部が機体進行方向を向くように配置されている。
つまり、側面視において案内杆12の下部は後方に膨らむように湾曲して形成されて前下端は斜め下前方を向くように構成されて、集束杆11の前後中途部又は後部と側面視で交差するように配設されている。
【0021】
次に、前記集束杆11及び案内杆12を開閉させる開閉駆動手段13について詳説する。
本実施例の開閉駆動手段13は、図1、図2に示すように、排藁搬送チェン3と挟扼杆4から成る排藁搬送装置2によって挟持搬送されている排藁の流れを利用して駆動力を得て前記集束杆11及び案内杆12を開閉させる開閉駆動手段13である。
【0022】
前記開閉駆動手段13は、主に、動力取出部24、減速機構26、カム機構50などから構成され、排藁集束装置10の前上方に配設されている。動力取出部24は排藁搬送装置2の搬送面の側部近傍に配置され、カム機構50は前記回転軸62の一側近傍に配置され、減速機構26は動力取出部24からカム機構50までの動力伝達経路の中途部に配設される。但し、減速機構26の配置位置は限定されるものではなく、また、カム機構50で減速が得られればなくすこともできる。
【0023】
開閉駆動手段13の動力取出部24は、回転体22と伝動ギヤ23を備える。回転体22は図4に示すように、円盤状の本体22aと棒状の複数の突起部22bを備え、突起部22bは本体22aの外周面に所定間隔を開けて放射状に突設されている。但し、突起部22bは棒状に限定するものではなく、プレート状などであっても構わない。また、星型のプレートにより一体的に構成してもよい。
【0024】
該回転体22は排藁搬送装置2の側部(本実施例では右側)近傍で尚且つ排藁搬送装置2の長手方向に略平行になるように、搬送排藁に対し略垂直になるように配設されている。つまり、入力軸23eと排藁搬送装置2の駆動軸が平行となるように配設されている。そして、回転体22の下端は排藁搬送装置2の下側搬送部のチェン先端と略一致させ、搬送される排藁の株元(挟持部)に突起部22bが当接するように配設される。
【0025】
図3に示すように、回転体22の本体22aの中心に入力軸23eが固設され、該入力軸23eの一端がコンバインの機体側より延設した支持体または排藁搬送装置2の搬送フレームに回転自在に支持され、入力軸23eの他端は機体側に支持されたギヤボックス23a内に挿入され、該ギヤボックス23a内の入力軸23e上に第一傘歯車23bが固設されている。該第一傘歯車23bは第二傘歯車23cと噛合され、該第二傘歯車23cは伝達軸25の一端に固設されている。こうして、動力伝達方向を変換している。
【0026】
一方、図1乃至図3に示すように、前記伝達軸25は左右水平方向に配設されて、その他端(右側端)は機体の側板に設けられた軸受26cに回転自在に支持され、側板の内側の伝達軸25上には、後述する減速機構26を構成する小径歯車26aが固着されている。
【0027】
前記減速機構26は主に前記小径歯車26a、大径歯車26b、軸受26c・26e、回転軸26d、伝達軸25より構成されている。
前記小径歯車26aに噛合するように、該小径歯車26aの後方に大径歯車26bが配設されて、所定の回転数に減速され、所定のトルクが得られるようにしている。該大径歯車26bの略中心より機体内側壁に向かって回転軸26dが突出されている。該回転軸26dは機体内側壁に設けられた軸受26eによって回転可能に支持されている。
本実施例では減速機構26が平歯車の組み合わせによって構成されているが限定するものではなく、遊星歯車やチェンとスプロケットなどの他の構成により回転を減速させても構わない。また、前記第一傘歯車23b、第二傘歯車23cで減速することも可能であり、また、減速機構26の配設位置も限定されることはなく、動力取出部24とカム機構50の間に配設されればよい。
【0028】
次に、集束杆11と案内杆12の開閉駆動部の構成について説明する。前記大径歯車26bの偏心位置には進行方向後方に延設されたロッド56の一端が回動可能に軸支されている。一方、前記案内杆12の上方に位置する回転軸62の前近傍には回転軸53が支持フレーム15に回転可能かつ左右水平方向に支持され、該回転軸53の左右一側端上(本実施例では右側上)にカム54が固設されている。該カム54にはアーム55が延設され、該アーム55の略中央に前記ロッド56の他端が回動可能に軸支されている。つまり、大径歯車26bの回転がロッド56及びアーム55を介してカム54に伝わるように構成されている。
【0029】
また、前記支持プレート15の上部に設けられた回転軸62の左右一側端上(本実施例では右側上)には回転板63の一端が下方に突出するように固定され一体回動可能に設けられている。そして、該回転板63の下方先端の当接部63aは前方のカム54に当接するように構成されている。
【0030】
さらにまた、前記支持プレート15の下部に設けられた回転軸59の左右一側端上(本実施例では右側上)にはアーム60の一端が後方に突出するように固定され一体回動可能に設けられている。そして、該アーム60の他端は上下に延びたロッド61の一端が回動可能に軸支されている。該ロッド61の他端は略三角形の回転板58の一頂点に回動可能に軸支されている。該回転板58は前記カム54の回転軸53の下部に配設され、支持プレート15に回転可能に支持された回転軸57によって回動可能に支持されている。また、回転板58の上部頂点あたりの当接部58aは上方のカム54に当接するように構成されている。
【0031】
そして、前記開閉駆動手段13を支持する、排藁切断装置5の後部に取り付けられた支持プレート15と回転板58に軸支されるロッド61との間にバネ66が設けられている。該バネ66は該ロッド61を介して回転板58がその当接部58aでカム54の外周に当接されるように付勢される。また、支持フレーム15と回転板63との間にもバネ67が設けられ、該バネ67にて回転板63がその当接部63aでカム54の外周に当接されるように付勢される。
【0032】
前記構成における排藁集束装置10の開閉の動きを以下に詳説する。
【0033】
図1乃至図4に示すように、排藁搬送装置2に挟持されて排藁が後方へ搬送されると、回転体22に設けられた突起部22bが排藁に当接してその搬送力により回転体22を回転させる。この回転が排藁集束装置10の駆動源となる。よって、回転体22及びその突起部22bは排藁搬送チェン3の回転速度及び、排藁流量に同調するように開閉駆動される。つまり、排藁が搬送されているときのみ回転体22が回転され、排藁搬送チェン3によって搬送される排藁の搬送速度に比例して回転体22が回転されることになるので、排藁集束装置10も排藁が搬送されている時のみ駆動され、排藁流量に同調して駆動されることになる。
【0034】
そして、排藁との当接により回転された回転体22によって、歯車を介し伝達軸25に伝えられ、伝達軸25上の小径歯車26aの回転が大径歯車26bに逆回転かつ減速されて伝えられる。
【0035】
図1、図2、図8に示すように、大径歯車26bに軸支されたロッド56のクランク運動によりアーム55が前後方向に揺動されてカム54が一方向に回動され、該カム54の回動に伴ってカム54の傾斜部が当接部58a・63aと当接して一方の回転板63がバネ67に抗して回動されて、案内杆12が上方へ回動される。同時に他方の回転板58もバネ66に抗して回動され、ロッド61によりアーム60が下方へ回動され、該アーム60の回動に伴って回転軸59上の集束杆11が下方へ回動される。そして、当接部58a・63aがカム54の大径部に至ると、カム54のアーム55が下前方へ回動された状態となりその間は排藁放出位置で保持されて、排藁集束装置10が開状態とされる。
【0036】
そしてさらに、前記大径歯車26bが更に回転してカム54が回動されると、一方の回転板63がバネ67により付勢された状態で回動され、案内杆12が下方へ回動される。同時に回転板58もバネ66により付勢されて回動されて、ロッド61によりアーム60が上方へ回動され、該アーム60の回動に伴って回転軸59上の集束杆11が上方へ回動される。そして、集束杆11と案内杆12とがカム54のアーム55が下後方へ回動されている間は互いに交差する排藁受止位置で保持されて、排藁集束装置10が閉状態とされる。こうして、開閉駆動手段13によって集束杆11と案内杆12を回動させて、排藁集束装置10の開閉状態を排藁搬送流量に応じて切り換えることが可能となる。
【0037】
こうして、集束杆11と案内杆12は強制駆動されて、集束杆11上に載置された排藁は下方に落下し、案内杆12上に載置された排藁は斜め前方へ落下され、排藁は略塊の状態で落下されることになる。
【0038】
前記構成によって、以下の効果が得られる。
電装を設けずに排藁集束装置10の開閉駆動を行うことができ、電装による誤作動もない。また、開閉駆動源が回転体22と搬送排藁の当接によるため、排藁搬送装置2によって排藁が後方に搬送されている時にのみに、排藁集束装置10が開閉を行うので、排藁集束装置10の無駄な開閉をなくすことができ、排藁集束装置10の耐久性を高めることができる。
電装などに比べて構造が複雑でない回転体22、減速機構26、カム機構50等により構成された開閉駆動手段13を得ることができるため、安価に製造できる。
【0039】
また、別実施例において、動力取出部24の配設位置、及び前記実施例と構成の異なる集束杆11について詳説する。
【0040】
前記開閉駆動手段13の動力取出部24は、排藁搬送装置2の側部下方に配置し、回転体22は小突起部22cと大突起部22dを備える構成として、排藁搬送量に比例して動力を取り出せるように構成することができる。
即ち、回転体22は図5に示すように、円盤状の本体22aと棒状の複数の突起部22bを備え、突起部22bは本体22aの外周面に所定間隔を開けて放射状に突設されている。該突起部22bは長さ(入力軸23eからの長さ)の異なる二種の小突起部22c・大突起部22dを交互に配置して構成されている。但し、小突起部22c・大突起部22dは棒状に限定するものではなく、プレート状などであっても構わない。つまり、星型に構成してもよい。また、本実施例では棒状の突起部22bを長短二つの長さとしているが三種類以上の長さの突起部を用いても構わない。
そして、大突起部22dの先端(上端)は挟扼杆4の高さと略同じ高さとし、小突起部22cの先端(上端)は排藁搬送量が増加して挟扼杆4が下がった位置の高さとなるように配設される。
【0041】
このような構成において、排藁搬送装置2に挟持されて排藁が後方へ搬送される。この時、刈取量が少ない場合、つまり、排藁搬送量が少ないときには、回転体22に設けられた大突起部22dのみが排藁に当接して回転体22を回転させる。排藁搬送量が多くなると、搬送される排藁の層の厚さが増加して回転体22に設けられた小突起部22cと大突起部22dが排藁に当接して回転体22を回転させる。よって、回転体22及びその突起部22bは排藁搬送チェン3の回転速度及び、排藁流量に同調するように開閉駆動される。
つまり、排藁集束装置10は排藁搬送速度および搬送排藁量の増減に従った回転体22の回転数の増減に同調して、排藁集束装置10が開状態で停止する時間と閉状態で停止する時間を短くまたは長くするように構成されている。
【0042】
また、前記実施例と同様に、図6、図7に示すように、案内杆12は前記動力取出部24より前記減速機構26及びカム機構50を介して、排藁流量に同調するように開閉駆動される。
【0043】
一方、集束杆11には開閉駆動を伝えずにバネの付勢力および集束藁(排藁量)の重量によって圃場へと放出する集束杆11について図6、図7を用いて説明する。
【0044】
集束杆11の回動を回転軸57より下部の開閉駆動手段13を設けずにバネの付勢による回動規制装置40を設けるものである。
【0045】
集束杆11の回動規制装置40は、回転軸59と、回動軸59の一端に固着されるカム41と、該カム41の上端に係止されてこれを上方に付勢するバネ44とから構成されている。
【0046】
具体的には、カム41は、機体左右一側の前記支持プレート15から側方に突出した回転軸59の一端に相対回転不能に固定されている。また、カム41の機体後側の縁部には、係止孔41aが穿設され、該係止孔41aに、バネ44の一端が係止されている。該バネ44の他端は前記支持プレート15に配設された係合部材42に係合して位置固定されている。カム41は、該バネ44によって、回転軸59を中心に図6、図7において反時計回りに回動するように常時付勢される。
【0047】
前述のように、集束杆11は、カム41やバネ44等によって、回動軸59を介して上方に付勢され、機体後方に略水平もしくはやや下後方に傾斜するように突出して支持される。このように、カム41がバネ44によって付勢されることで、集束杆11が略水平もしくはやや下後方に傾斜するように維持される。そして、バネ44の付勢力によって、集束杆11上に、排藁搬送装置2から排出された排藁を集束させて保持することができ、集束した排藁の重量がバネ44の付勢力を超えると、集束杆11が下方に回動される。
しかし、集束された排藁は、集束杆11の下方に回動されていても、図6に示すように案内杆12の先端が前下方にある場合、集束した排藁は機体外部に排出されず排藁集束装置10に集束されている。図7に示すように案内杆12が上方に回動されると、集束した排藁は機体外部に排出される。つまり、案内杆12の上下回動運動によって、排藁は機体外部に集束し停滞するか排出されるかが決定される。
【0048】
前記構成によって、以下の効果が得られる。つまり、電装を設けずに案内杆12の開閉駆動を行うことができ、電装による誤作動もない。また、開閉駆動源が回転体22と搬送排藁の当接によるため、排藁搬送装置2によって排藁が後方に搬送されている時にのみに、案内杆12が開閉を行うので、排藁集束装置10の無駄な開閉をなくすことができ、排藁集束装置10の耐久性を高めることができる。
排藁流量により回転速度を複数段階変化させることができ、排藁集束装置上での集束量を複数段階にすることができる。つまり、回転体22の突起部22bを複数(実施例では二種類)にし、また駆動源を搬送排藁の流れを回転に変換したことにより、案内杆12の開閉駆動力は排藁が搬送されている時にのみ回転され、排藁流量に応じた回転数となって、集束量が略一定となった塊で落下することができる。そのため、収穫量が増大しても、集束されて落下した排藁とその前に落下した排藁との間に境目ができ、容易に分離することができる。
電気機器により駆動する構成でないため、構造が簡単な回転体22、減速機構26、カム機構50等により構成された開閉駆動手段13と回動規制装置40により排藁集束装置を作動させることができるため、安価に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の一実施例に係る排藁集束装置の閉状態を示す側面図。
【図2】同じく排藁集束装置の開状態を示す側面図。
【図3】同じく排藁集束装置及び駆動手段を示す平面図。
【図4】回転体の側面図。
【図5】別実施例に係る回転体の側面図。
【図6】別実施例に係る排藁集束装置の閉状態を示す側面図。
【図7】別実施例に係る排藁集束装置の開状態を示す側面図。
【図8】本発明の一実施例に係る排藁収束装置を装着したコンバインの後方斜視図。
【符号の説明】
【0050】
1 コンバイン
2 排藁搬送装置
10 排藁集束装置
11 集束杆
12 案内杆
13 開閉駆動手段
24 動力取出部
22 回転体
26 減速機構
50 カム機構
22b 突起部
【技術分野】
【0001】
本発明は、排藁搬送装置から搬送されてくる排藁を所定量ごとに集束して放出する排藁集束装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、コンバインの機体後部において、排藁搬送装置によって搬送されてくる排藁を所定量ごとに集束して、前記コンバインの機体外部に排出する排藁集束装置は周知となっている。このような排藁集束装置は、排藁搬送装置から搬送されてくる排藁を受け止める集束杆と、該集束杆の後方に配置されて排藁を集束杆に向けて案内し、集束杆上の排藁の落下を防止する案内杆とを上下方向に回動可能に支持し、該集束杆と案内杆とをバネで付勢して互いに交差する排藁集束位置まで回動することで、その集束杆上に排藁を集束し、排藁の集束重量が所定重量となると、集束杆と案内杆をバネに抗して互いに離れるように機体後方を向く放出位置まで回動させて、集束杆上の排藁を所定量の排藁束として圃場面上に所定間隔ごとに放出するように構成されている。
例えば、特許文献1のように、集束杆と案内杆との回動駆動手段であるバネに代わって電動モータ等により行う。前記電動モータの回動動作に関するタイミングを制御手段によって容易に設定変更することができるため、集束位置まで完全に戻らないうちに集束杆上の排藁の集束重量が前記所定重量に達して、排藁が絶え間なく排出されるようなことがないようにした排藁集束装置の技術が公知となっている。
【特許文献1】特開2006−325412号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、前記特許文献1に示す排藁集束装置においては、集束杆と案内杆の双方を回動させるために、回動駆動手段である電動モータ等を用いることで構造が複雑になり、コストアップとなる。
また、電動モータ等のアクチュエーターを用いない従来の排藁集束装置では、単位時間当りの排藁処理量が増加すると、集束杆上に次々と排藁が載置されて、集束杆の戻る力に抗して下方へ回動し、排藁は斜め後下方へ滑り落ちるようになり、排藁は進行方向に長く連なって落下し、境目がない状態が生じることがあった。
【0004】
本発明は以上の状況に鑑み、排藁放出装置の単位時間当りの排藁処理量が増加した場合であっても所定間隔を保って集束藁が排出され、複雑な電気機器を用いなくても案内杆の回動が行われるコンバインの排藁集束装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0006】
即ち、請求項1においては、脱穀後に排藁搬送装置によって後方に搬送される排藁を、機体後部で所定量ずつ集束し排出するコンバインの排藁集束装置において、該排藁集束装置は、排藁を受け止める集束杆と、該集束杆の上方に配置されて排藁を集束杆に向かって案内する案内杆と、前記案内杆又は/及び集束杆を開閉させる開閉駆動手段とを備え、該開閉駆動手段は、排藁搬送装置の側部近傍に配置して、排藁が搬送される力を回転に変換する動力取出部と、該動力取出部からの回転を減速する減速機構と、前記減速機構からの回転を、前記集束杆又は/及び前記案内杆を回転させるカム機構とを備えるものである。
【0007】
請求項2においては、前記動力取出部は、前記排藁搬送装置によって搬送される排藁と当接して回転する回転体を備えるものである。
【0008】
請求項3においては、前記回転体に長さの異なる突起部を備えたものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0010】
請求項1においては、モータ等の動力源を必要とせず排藁集束装置の開閉を行うことができ、電装品による誤作動がなくなる。また、エンジンからの動力伝達機構を設けずに排藁集束装置の開閉を行うことができて動力損失を低減でき、排藁が搬送されている時にのみ駆動されるため排藁集束装置の無駄な開閉をなくすことができ、排藁集束装置の耐久性を高めることができる。また、減速機構により必要トルクを得ることができ、確実に動力を伝達して開閉駆動できる。
【0011】
請求項2においては、構造が簡単な回転体により排藁集束装置を駆動する動力を得ることができるため、安価に製造できる。また、排藁搬送の邪魔にならない。
【0012】
請求項3においては、回転体の突起の長さが複数あることによって回転速度を複数段階変化させることができ、排藁集束装置上での集束量を複数段階にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の一実施例に係る排藁集束装置の閉状態を示す側面図、図2は同じく排藁集束装置の開状態を示す側面図、図3は同じく排藁集束装置及び駆動手段を示す平面図、図4は回転体の側面図、図5は別実施例に係る回転体の側面図、図6は別実施例に係る排藁集束装置の閉状態を示す側面図、図7は別実施例に係る排藁集束装置の開状態を示す側面図、図8は本発明の一実施例に係る排藁収束装置を装着したコンバインの後方斜視図である。
【0014】
まず、本発明の一実施例における排藁集束装置10の構成について説明する。尚、図1乃至図3及び図6、図7に示す矢印Dの方向は前方を示し、これに基づいて左右方向を規定する。
【0015】
図1、図2に示すように、コンバイン1の機体後部には脱穀済の排藁をフィードチェンから排藁搬送チェン3及び挟扼杆4に受け継ぎ後方に搬送する排藁搬送装置2と、排藁搬送装置2により搬送されてくる排藁を回転刃6・7にて切断して外部に排出可能とする排藁切断装置5とが備えられている。そして、排藁搬送装置2の後下方で排藁切断装置5の後方に排藁集束装置10が設けられ、排藁搬送装置2の挟扼杆4の伸縮と排藁切断装置5の排藁投入口を覆うカバー8の開閉とによって、排藁搬送装置2からの排藁が排藁切断装置5又は排藁集束装置10のどちらかに択一的に搬送されるように構成されている。
【0016】
本実施例の排藁集束装置10は、主に、案内杆12、集束杆11、開閉駆動手段13から構成されている。
【0017】
前記排藁集束装置10は、排藁搬送装置2で搬送されてくる排藁を所定量ごとに集束してコンバイン1の外部に排出する装置である。排藁切断装置5後部の左右一側または両側に前後方向に延設された支持プレート15を介して取り付けられた集束杆11と、該集束杆11の後方に配置される案内杆12と、案内杆12の前方に配置された開閉駆動手段13などから構成されている。
【0018】
すなわち、図1乃至図3、図8に示すように、前記排藁切断装置5又は機体後部に取り付けられた支持プレート15の下端部に回転軸59が回転可能に機体左右水平方向に支持され、該回転軸59上に回動アーム64が左右方向所定間隔をあけて複数本平行に斜め後下方に突出して固定されて一体回動可能に設けられている。但し、支持プレート15に対して回転軸59を片持ち支持として構成することもできる。そして、各回動アーム64に棒状の集束杆11の基端部がそれぞれ固着されて、集束杆11が回転軸59を中心にして上下方向に回動可能とされている。
【0019】
また、前記支持プレート15の上部には、回転軸62が左右方向回転可能に支持され、該回転軸62上に所定間隔をあけて複数の回動アーム65が一体回動可能に設けられている。そして、該回動アーム65に案内杆12の基端部が固着されて、該案内杆12の先端側が集束杆11の後方で回転軸62を中心にして上下方向に回動可能とされている。なお、集束杆11と案内杆12は同じ本数にしてもよい。また、排藁の長さによって隣り合う案内杆12と案内杆12との間隔を調節することもできる。
【0020】
案内杆12の中途部が後方へ突出するように折り曲げられて側面視略「へ」字状又は円弧状に形成されて、他端の先端部が機体進行方向を向くように配置されている。
つまり、側面視において案内杆12の下部は後方に膨らむように湾曲して形成されて前下端は斜め下前方を向くように構成されて、集束杆11の前後中途部又は後部と側面視で交差するように配設されている。
【0021】
次に、前記集束杆11及び案内杆12を開閉させる開閉駆動手段13について詳説する。
本実施例の開閉駆動手段13は、図1、図2に示すように、排藁搬送チェン3と挟扼杆4から成る排藁搬送装置2によって挟持搬送されている排藁の流れを利用して駆動力を得て前記集束杆11及び案内杆12を開閉させる開閉駆動手段13である。
【0022】
前記開閉駆動手段13は、主に、動力取出部24、減速機構26、カム機構50などから構成され、排藁集束装置10の前上方に配設されている。動力取出部24は排藁搬送装置2の搬送面の側部近傍に配置され、カム機構50は前記回転軸62の一側近傍に配置され、減速機構26は動力取出部24からカム機構50までの動力伝達経路の中途部に配設される。但し、減速機構26の配置位置は限定されるものではなく、また、カム機構50で減速が得られればなくすこともできる。
【0023】
開閉駆動手段13の動力取出部24は、回転体22と伝動ギヤ23を備える。回転体22は図4に示すように、円盤状の本体22aと棒状の複数の突起部22bを備え、突起部22bは本体22aの外周面に所定間隔を開けて放射状に突設されている。但し、突起部22bは棒状に限定するものではなく、プレート状などであっても構わない。また、星型のプレートにより一体的に構成してもよい。
【0024】
該回転体22は排藁搬送装置2の側部(本実施例では右側)近傍で尚且つ排藁搬送装置2の長手方向に略平行になるように、搬送排藁に対し略垂直になるように配設されている。つまり、入力軸23eと排藁搬送装置2の駆動軸が平行となるように配設されている。そして、回転体22の下端は排藁搬送装置2の下側搬送部のチェン先端と略一致させ、搬送される排藁の株元(挟持部)に突起部22bが当接するように配設される。
【0025】
図3に示すように、回転体22の本体22aの中心に入力軸23eが固設され、該入力軸23eの一端がコンバインの機体側より延設した支持体または排藁搬送装置2の搬送フレームに回転自在に支持され、入力軸23eの他端は機体側に支持されたギヤボックス23a内に挿入され、該ギヤボックス23a内の入力軸23e上に第一傘歯車23bが固設されている。該第一傘歯車23bは第二傘歯車23cと噛合され、該第二傘歯車23cは伝達軸25の一端に固設されている。こうして、動力伝達方向を変換している。
【0026】
一方、図1乃至図3に示すように、前記伝達軸25は左右水平方向に配設されて、その他端(右側端)は機体の側板に設けられた軸受26cに回転自在に支持され、側板の内側の伝達軸25上には、後述する減速機構26を構成する小径歯車26aが固着されている。
【0027】
前記減速機構26は主に前記小径歯車26a、大径歯車26b、軸受26c・26e、回転軸26d、伝達軸25より構成されている。
前記小径歯車26aに噛合するように、該小径歯車26aの後方に大径歯車26bが配設されて、所定の回転数に減速され、所定のトルクが得られるようにしている。該大径歯車26bの略中心より機体内側壁に向かって回転軸26dが突出されている。該回転軸26dは機体内側壁に設けられた軸受26eによって回転可能に支持されている。
本実施例では減速機構26が平歯車の組み合わせによって構成されているが限定するものではなく、遊星歯車やチェンとスプロケットなどの他の構成により回転を減速させても構わない。また、前記第一傘歯車23b、第二傘歯車23cで減速することも可能であり、また、減速機構26の配設位置も限定されることはなく、動力取出部24とカム機構50の間に配設されればよい。
【0028】
次に、集束杆11と案内杆12の開閉駆動部の構成について説明する。前記大径歯車26bの偏心位置には進行方向後方に延設されたロッド56の一端が回動可能に軸支されている。一方、前記案内杆12の上方に位置する回転軸62の前近傍には回転軸53が支持フレーム15に回転可能かつ左右水平方向に支持され、該回転軸53の左右一側端上(本実施例では右側上)にカム54が固設されている。該カム54にはアーム55が延設され、該アーム55の略中央に前記ロッド56の他端が回動可能に軸支されている。つまり、大径歯車26bの回転がロッド56及びアーム55を介してカム54に伝わるように構成されている。
【0029】
また、前記支持プレート15の上部に設けられた回転軸62の左右一側端上(本実施例では右側上)には回転板63の一端が下方に突出するように固定され一体回動可能に設けられている。そして、該回転板63の下方先端の当接部63aは前方のカム54に当接するように構成されている。
【0030】
さらにまた、前記支持プレート15の下部に設けられた回転軸59の左右一側端上(本実施例では右側上)にはアーム60の一端が後方に突出するように固定され一体回動可能に設けられている。そして、該アーム60の他端は上下に延びたロッド61の一端が回動可能に軸支されている。該ロッド61の他端は略三角形の回転板58の一頂点に回動可能に軸支されている。該回転板58は前記カム54の回転軸53の下部に配設され、支持プレート15に回転可能に支持された回転軸57によって回動可能に支持されている。また、回転板58の上部頂点あたりの当接部58aは上方のカム54に当接するように構成されている。
【0031】
そして、前記開閉駆動手段13を支持する、排藁切断装置5の後部に取り付けられた支持プレート15と回転板58に軸支されるロッド61との間にバネ66が設けられている。該バネ66は該ロッド61を介して回転板58がその当接部58aでカム54の外周に当接されるように付勢される。また、支持フレーム15と回転板63との間にもバネ67が設けられ、該バネ67にて回転板63がその当接部63aでカム54の外周に当接されるように付勢される。
【0032】
前記構成における排藁集束装置10の開閉の動きを以下に詳説する。
【0033】
図1乃至図4に示すように、排藁搬送装置2に挟持されて排藁が後方へ搬送されると、回転体22に設けられた突起部22bが排藁に当接してその搬送力により回転体22を回転させる。この回転が排藁集束装置10の駆動源となる。よって、回転体22及びその突起部22bは排藁搬送チェン3の回転速度及び、排藁流量に同調するように開閉駆動される。つまり、排藁が搬送されているときのみ回転体22が回転され、排藁搬送チェン3によって搬送される排藁の搬送速度に比例して回転体22が回転されることになるので、排藁集束装置10も排藁が搬送されている時のみ駆動され、排藁流量に同調して駆動されることになる。
【0034】
そして、排藁との当接により回転された回転体22によって、歯車を介し伝達軸25に伝えられ、伝達軸25上の小径歯車26aの回転が大径歯車26bに逆回転かつ減速されて伝えられる。
【0035】
図1、図2、図8に示すように、大径歯車26bに軸支されたロッド56のクランク運動によりアーム55が前後方向に揺動されてカム54が一方向に回動され、該カム54の回動に伴ってカム54の傾斜部が当接部58a・63aと当接して一方の回転板63がバネ67に抗して回動されて、案内杆12が上方へ回動される。同時に他方の回転板58もバネ66に抗して回動され、ロッド61によりアーム60が下方へ回動され、該アーム60の回動に伴って回転軸59上の集束杆11が下方へ回動される。そして、当接部58a・63aがカム54の大径部に至ると、カム54のアーム55が下前方へ回動された状態となりその間は排藁放出位置で保持されて、排藁集束装置10が開状態とされる。
【0036】
そしてさらに、前記大径歯車26bが更に回転してカム54が回動されると、一方の回転板63がバネ67により付勢された状態で回動され、案内杆12が下方へ回動される。同時に回転板58もバネ66により付勢されて回動されて、ロッド61によりアーム60が上方へ回動され、該アーム60の回動に伴って回転軸59上の集束杆11が上方へ回動される。そして、集束杆11と案内杆12とがカム54のアーム55が下後方へ回動されている間は互いに交差する排藁受止位置で保持されて、排藁集束装置10が閉状態とされる。こうして、開閉駆動手段13によって集束杆11と案内杆12を回動させて、排藁集束装置10の開閉状態を排藁搬送流量に応じて切り換えることが可能となる。
【0037】
こうして、集束杆11と案内杆12は強制駆動されて、集束杆11上に載置された排藁は下方に落下し、案内杆12上に載置された排藁は斜め前方へ落下され、排藁は略塊の状態で落下されることになる。
【0038】
前記構成によって、以下の効果が得られる。
電装を設けずに排藁集束装置10の開閉駆動を行うことができ、電装による誤作動もない。また、開閉駆動源が回転体22と搬送排藁の当接によるため、排藁搬送装置2によって排藁が後方に搬送されている時にのみに、排藁集束装置10が開閉を行うので、排藁集束装置10の無駄な開閉をなくすことができ、排藁集束装置10の耐久性を高めることができる。
電装などに比べて構造が複雑でない回転体22、減速機構26、カム機構50等により構成された開閉駆動手段13を得ることができるため、安価に製造できる。
【0039】
また、別実施例において、動力取出部24の配設位置、及び前記実施例と構成の異なる集束杆11について詳説する。
【0040】
前記開閉駆動手段13の動力取出部24は、排藁搬送装置2の側部下方に配置し、回転体22は小突起部22cと大突起部22dを備える構成として、排藁搬送量に比例して動力を取り出せるように構成することができる。
即ち、回転体22は図5に示すように、円盤状の本体22aと棒状の複数の突起部22bを備え、突起部22bは本体22aの外周面に所定間隔を開けて放射状に突設されている。該突起部22bは長さ(入力軸23eからの長さ)の異なる二種の小突起部22c・大突起部22dを交互に配置して構成されている。但し、小突起部22c・大突起部22dは棒状に限定するものではなく、プレート状などであっても構わない。つまり、星型に構成してもよい。また、本実施例では棒状の突起部22bを長短二つの長さとしているが三種類以上の長さの突起部を用いても構わない。
そして、大突起部22dの先端(上端)は挟扼杆4の高さと略同じ高さとし、小突起部22cの先端(上端)は排藁搬送量が増加して挟扼杆4が下がった位置の高さとなるように配設される。
【0041】
このような構成において、排藁搬送装置2に挟持されて排藁が後方へ搬送される。この時、刈取量が少ない場合、つまり、排藁搬送量が少ないときには、回転体22に設けられた大突起部22dのみが排藁に当接して回転体22を回転させる。排藁搬送量が多くなると、搬送される排藁の層の厚さが増加して回転体22に設けられた小突起部22cと大突起部22dが排藁に当接して回転体22を回転させる。よって、回転体22及びその突起部22bは排藁搬送チェン3の回転速度及び、排藁流量に同調するように開閉駆動される。
つまり、排藁集束装置10は排藁搬送速度および搬送排藁量の増減に従った回転体22の回転数の増減に同調して、排藁集束装置10が開状態で停止する時間と閉状態で停止する時間を短くまたは長くするように構成されている。
【0042】
また、前記実施例と同様に、図6、図7に示すように、案内杆12は前記動力取出部24より前記減速機構26及びカム機構50を介して、排藁流量に同調するように開閉駆動される。
【0043】
一方、集束杆11には開閉駆動を伝えずにバネの付勢力および集束藁(排藁量)の重量によって圃場へと放出する集束杆11について図6、図7を用いて説明する。
【0044】
集束杆11の回動を回転軸57より下部の開閉駆動手段13を設けずにバネの付勢による回動規制装置40を設けるものである。
【0045】
集束杆11の回動規制装置40は、回転軸59と、回動軸59の一端に固着されるカム41と、該カム41の上端に係止されてこれを上方に付勢するバネ44とから構成されている。
【0046】
具体的には、カム41は、機体左右一側の前記支持プレート15から側方に突出した回転軸59の一端に相対回転不能に固定されている。また、カム41の機体後側の縁部には、係止孔41aが穿設され、該係止孔41aに、バネ44の一端が係止されている。該バネ44の他端は前記支持プレート15に配設された係合部材42に係合して位置固定されている。カム41は、該バネ44によって、回転軸59を中心に図6、図7において反時計回りに回動するように常時付勢される。
【0047】
前述のように、集束杆11は、カム41やバネ44等によって、回動軸59を介して上方に付勢され、機体後方に略水平もしくはやや下後方に傾斜するように突出して支持される。このように、カム41がバネ44によって付勢されることで、集束杆11が略水平もしくはやや下後方に傾斜するように維持される。そして、バネ44の付勢力によって、集束杆11上に、排藁搬送装置2から排出された排藁を集束させて保持することができ、集束した排藁の重量がバネ44の付勢力を超えると、集束杆11が下方に回動される。
しかし、集束された排藁は、集束杆11の下方に回動されていても、図6に示すように案内杆12の先端が前下方にある場合、集束した排藁は機体外部に排出されず排藁集束装置10に集束されている。図7に示すように案内杆12が上方に回動されると、集束した排藁は機体外部に排出される。つまり、案内杆12の上下回動運動によって、排藁は機体外部に集束し停滞するか排出されるかが決定される。
【0048】
前記構成によって、以下の効果が得られる。つまり、電装を設けずに案内杆12の開閉駆動を行うことができ、電装による誤作動もない。また、開閉駆動源が回転体22と搬送排藁の当接によるため、排藁搬送装置2によって排藁が後方に搬送されている時にのみに、案内杆12が開閉を行うので、排藁集束装置10の無駄な開閉をなくすことができ、排藁集束装置10の耐久性を高めることができる。
排藁流量により回転速度を複数段階変化させることができ、排藁集束装置上での集束量を複数段階にすることができる。つまり、回転体22の突起部22bを複数(実施例では二種類)にし、また駆動源を搬送排藁の流れを回転に変換したことにより、案内杆12の開閉駆動力は排藁が搬送されている時にのみ回転され、排藁流量に応じた回転数となって、集束量が略一定となった塊で落下することができる。そのため、収穫量が増大しても、集束されて落下した排藁とその前に落下した排藁との間に境目ができ、容易に分離することができる。
電気機器により駆動する構成でないため、構造が簡単な回転体22、減速機構26、カム機構50等により構成された開閉駆動手段13と回動規制装置40により排藁集束装置を作動させることができるため、安価に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の一実施例に係る排藁集束装置の閉状態を示す側面図。
【図2】同じく排藁集束装置の開状態を示す側面図。
【図3】同じく排藁集束装置及び駆動手段を示す平面図。
【図4】回転体の側面図。
【図5】別実施例に係る回転体の側面図。
【図6】別実施例に係る排藁集束装置の閉状態を示す側面図。
【図7】別実施例に係る排藁集束装置の開状態を示す側面図。
【図8】本発明の一実施例に係る排藁収束装置を装着したコンバインの後方斜視図。
【符号の説明】
【0050】
1 コンバイン
2 排藁搬送装置
10 排藁集束装置
11 集束杆
12 案内杆
13 開閉駆動手段
24 動力取出部
22 回転体
26 減速機構
50 カム機構
22b 突起部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱穀後に排藁搬送装置によって後方に搬送される排藁を、機体後部で所定量ずつ集束し排出するコンバインの排藁集束装置において、
該排藁集束装置は、排藁を受け止める集束杆と、
該集束杆の上方に配置されて排藁を集束杆に向かって案内する案内杆と、
前記案内杆又は/及び集束杆を開閉させる開閉駆動手段とを備え、
該開閉駆動手段は、排藁搬送装置の側部近傍に配置して、排藁が搬送される力を回転に変換する動力取出部と、
該動力取出部からの回転を減速する減速機構と、
前記減速機構からの回転を、前記集束杆又は/及び前記案内杆を回転させるカム機構とを備える
ことを特徴とするコンバインの排藁集束装置。
【請求項2】
前記動力取出部は、前記排藁搬送装置によって搬送される排藁と当接して回転する回転体を備える
ことを特徴とする請求項1に記載のコンバインの排藁集束装置。
【請求項3】
前記回転体に長さの異なる突起部を備えたことを特徴とする請求項2に記載のコンバインの排藁集束装置。
【請求項1】
脱穀後に排藁搬送装置によって後方に搬送される排藁を、機体後部で所定量ずつ集束し排出するコンバインの排藁集束装置において、
該排藁集束装置は、排藁を受け止める集束杆と、
該集束杆の上方に配置されて排藁を集束杆に向かって案内する案内杆と、
前記案内杆又は/及び集束杆を開閉させる開閉駆動手段とを備え、
該開閉駆動手段は、排藁搬送装置の側部近傍に配置して、排藁が搬送される力を回転に変換する動力取出部と、
該動力取出部からの回転を減速する減速機構と、
前記減速機構からの回転を、前記集束杆又は/及び前記案内杆を回転させるカム機構とを備える
ことを特徴とするコンバインの排藁集束装置。
【請求項2】
前記動力取出部は、前記排藁搬送装置によって搬送される排藁と当接して回転する回転体を備える
ことを特徴とする請求項1に記載のコンバインの排藁集束装置。
【請求項3】
前記回転体に長さの異なる突起部を備えたことを特徴とする請求項2に記載のコンバインの排藁集束装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2009−296916(P2009−296916A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−153459(P2008−153459)
【出願日】平成20年6月11日(2008.6.11)
【出願人】(391025914)八鹿鉄工株式会社 (131)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月11日(2008.6.11)
【出願人】(391025914)八鹿鉄工株式会社 (131)
【Fターム(参考)】
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