コンバインの操縦装置
【課題】構成の簡易化により、生産コストを改善することができるコンバインの操縦装置を提供する。
【解決手段】コンバインの操縦装置は、操縦席の前部に配置した左右の傾動操作が可能な操舵レバー3と、この操舵レバー3と一体構成でその操作力を昇圧スプール軸14に受けるリリーフバルブ4とを備え、このリリーフバルブ4によって油圧制御されるサイドクラッチ機構を介して左右の走行動力を断接制御可能に構成され、上記操舵レバー3の下方のフロア5には、踏込み操作が可能な掻込ペダル6を設け、この掻込ペダル6の踏込力を伝えるケーブル7を上記昇圧スプール軸14と連結して上記サイドクラッチ機構により左右の走行動力を同時に断接制御可能に構成したものである。
【解決手段】コンバインの操縦装置は、操縦席の前部に配置した左右の傾動操作が可能な操舵レバー3と、この操舵レバー3と一体構成でその操作力を昇圧スプール軸14に受けるリリーフバルブ4とを備え、このリリーフバルブ4によって油圧制御されるサイドクラッチ機構を介して左右の走行動力を断接制御可能に構成され、上記操舵レバー3の下方のフロア5には、踏込み操作が可能な掻込ペダル6を設け、この掻込ペダル6の踏込力を伝えるケーブル7を上記昇圧スプール軸14と連結して上記サイドクラッチ機構により左右の走行動力を同時に断接制御可能に構成したものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインの操縦室に配置され、走行機器および作業機器の運転操作のためのコンバインの操縦装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンバインの操縦室には、走行機器および作業機器の運転操作のための操縦装置として掻込ペダルを含む各種の操作具が配置される。この掻込ペダルは、刈取、脱穀等の作業機を稼動しつつ、走行動力を遮断することにより、畦際等において停車したまま刈取りするための操作具であり、特許文献1に記載のように、操縦席フロアに配置され、ケーブルを介して変速伝動装置のサイドクラッチ機構と連結することにより、ペダルの踏込み操作によって左右の走行動力を遮断することができる。
【特許文献1】特開2006−115740号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記構成の掻込ペダルは、生産コストの点でなお多くの問題が残っており、構成の簡易化が望まれていた。
【0004】
本発明の目的は、構成の簡易化により、生産コストを改善することができるコンバインの操縦装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、操縦席の前部に配置した左右の傾動操作が可能な操舵レバーと、この操舵レバーと一体構成でその操作力を昇圧スプール軸に受けるリリーフバルブとを備え、このリリーフバルブによって油圧制御されるサイドクラッチ機構を介して左右の走行動力を断接制御するコンバインの操縦装置において、上記操舵レバーの下方のフロアには、踏込み操作が可能な掻込ペダルを設け、この掻込ペダルの踏込力を伝えるケーブルを上記昇圧スプール軸と連結して上記サイドクラッチ機構により左右の走行動力を同時に断接制御可能に構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明のコンバインの操縦装置は、操舵レバーの左右の傾動操作を受けると操舵レバーと一体のリリーフバルブによって制御されるサイドクラッチ機構により左右の走行動力を断接制御することによって旋回走行が可能となり、また、ケーブルを介して掻込ペダルの踏込み操作を受けるとサイドクラッチ機構を介してを左右の走行動力が同時に断接制御されて走行停止したまま刈取動作を可能とする。したがって、旋回走行用のリリーフバルブによって掻込み停車することができることから、部材削減によって生産コストを低減することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
上記技術思想に基づいて具体的に構成された実施の形態について以下に図面を参照しつつ説明する。
図1および図2は、操作具構成を示す操縦室部分拡大側面図とその正面図である。
本発明のコンバインの操縦装置1は、操縦席の前部に設けた操作台2に操舵レバー3を配置し、この操舵レバー3はリリーフバルブ4を一体的に構成するとともに、その下方のフロア5に掻込ペダル6を設け、この掻込ペダル6とリリーフバルブ4との間をケーブル7で連結して構成する。
【0008】
詳細には、操舵レバー3を左右に傾動可能に支軸11で軸支し、その左右の傾動力を下方に伝える左右のスライドロッド12,12を設け、この左右のスライドロッド12,12の下端に接する受板13をリリーフバルブ4の昇圧スプール軸14の上端に一体に設けるとともに、この受板13にケーブル7の一端を連結する。
【0009】
リリーフバルブ4は、操舵レバー3との関係位置の調節によってもケーブル7に対する位置関係が維持されるように、取付け位置調節用の取付板15を介して操舵レバー3と一体的に構成し、この取付板15にケーブル7のアウタガイド7aを取付ける。
掻込ペダル6は、フロア5の下方に設けた支軸16によって踏み込み操作可能に軸支し、掻込ペダル6と一体のアーム17にケーブル7の他端を連結する。
【0010】
リリーフバルブ4による油圧制御については、図3の油圧回路図を示すように、左右の伝動制御のためのプッシュシリンダ21,21のそれぞれの供給油路に電磁切替弁22,22を介設し、共通の戻り油路にリリーフバルブ4を設ける。また、左右のプッシュシリンダ21,21は、図4の変速伝動装置の伝動系統要部展開図に示すように、ブレーキ付きのサイドクラッチ機構32の左右の伝動系を個別に制御するためのの左右のシフトフォーク33,33と連結して左右の走行軸34,34の伝動を制御する。
【0011】
電磁切替弁22,22の制御は、操舵レバー3の左右の傾動操作および掻込ペダル6の踏込み操作を検出可能に構成した不図示の制御部を設けて行い、操舵レバー3の左右の傾動操作について対応側の走行軸34,34の伝動を切り、また、掻込ペダル6の踏込み操作について左右の走行軸34,34の伝動を同時に切るように制御処理を構成する。
【0012】
上述のように構成したコンバインの操縦装置1は、操舵レバー3の左右の傾動操作を受けるとレバーと一体のリリーフバルブ4によって制御されるサイドクラッチ機構32により左右の走行動力を断接制御することによって旋回走行が可能となり、また、ケーブル7を介して掻込ペダル6の踏込み操作を受けるとサイドクラッチ機構32を介してを左右の走行動力が同時に断接制御されて走行停止したまま刈取動作を可能とする。したがって、旋回走行用のリリーフバルブ4を使用して掻込み停車することができることから、部材削減によって生産コストを低減することが可能となる。
【0013】
(電装品)
電装品40の配置については、図5のエアクリーナボックスの分解斜視図に示すように、操縦席の後方にエアクリーナボックス41を設けてエアクリーナ42を収納するとともに、同エアクリーナボックス41内に電装品40を配置する。電装品40は全てを単一のプレート43に配置することができ、このプレート43はエアクリーナボックス41と別体であり、エアクリーナボックス41をセットする前に機体に固定することができる。したがって、電装品40を先に固定した状態でエアクリーナボックス41をセットできるので、組立作業が容易になる。
【0014】
(パワステレバー)
次に、操舵レバーと刈取昇降レバーを一体化したパワステレバー51について説明する。パワステレバー51は、左右の傾動操作と前後の傾動操作が可能に構成され、その具体的な構成は、要部側面図と正面図をそれぞれ図6,図7に示すように、パイプ部51aと前後方向回動ボス52とをつなぐ補強部材53を有し、その前後傾動の際の中立復帰用のトルクスプリング54のフック部54aを引っ掛けるピン55を補強部材53に設けて一体に構成することにより、中立時のピンの位置の精度が出やすくなるので、レバーの中立復帰の位置精度を向上することができる。
【0015】
また、パワステレバー51を左右方向の傾動支点56に支持するブラッケット材57を設け、このブラッケット材57には、中立復帰用のスプリング58のフック部58aを引っ掛けるピン59をも受けて一体に構成することにより、中立時のピンの位置の精度が出やすくなるので、レバーの中立復帰の位置精度を向上することができる。
【0016】
(掻込ペダル)
掻込ペダル61は、その要部拡大側面図および正面図をそれぞれ図8、図9に示すように、HSTレバー側と連結したカムシャフト62により牽制し、HSTレバーを中立位置に戻して牽制解除するように、カムシャフト62は、ステップの左右で支持され、その右側の支持部材63Rに掻込ペダル61の支点ピン61aを一体に設けることにより、カムシャフト62と掻込ペダル61のガイド溝の位置関係の精度を確実に出すことができるとともに、構成部材を削減することができる。
【0017】
この場合において、掻込ペダル61の踏込み操作を検出するリミットスイッチ64を設け、このリミットスイッチ64は、右側支持部材63Rに一体に取付けることにより、掻込ペダル61とリミットスイッチ64との位置関係の精度を確実に出すことができるとともに、構成部材を削減することができる。
【0018】
また、上記リミットスイッチ64に作用して掻込ペダル61の踏込み操作を検出するためのカム61bは、ペダル61の動きを牽制するガイド溝61cを形成したプレート61dに一体に形成することにより、掻込ペダル61とリミットスイッチ64との位置関係の精度を確実に出すことができるとともに、構成部材を削減することができる。
【0019】
また、支持部材63Rはステップフレームと別体に形成し、フレーム側に設けたステー65にボルト65a,65a等によって位置調節が可能に取付けることにより、左右の支持部材の同心度を容易に調節することができるので、円滑なカムシャフト62の動きが確保されやすくなる。
【0020】
(補助ステップ)
補助ステップ71は、その収納状態を併記した要部側面図、正面図および平面図をそれぞれ図10〜図12に示すように、操作席のフロア5の前部中央に配置され、折りたたみ式に構成するとともに、フロア5上に展開した使用状態において作業者側の端縁には、手や足を引っ掛けることによって容易に収納、取出しの操作が可能となるように、90°の曲げ部71aを形成する。
【0021】
補助ステップ71の前部には、一体形成した支持部材72を介して回動支点ピン73を左右に突出して備え、補助ステップ71を作業者側に倒した時に、支持部材72の前端部が機体固定側に設けたブラケット材74に接触して補助ステップ71の姿勢を維持するように構成することにより、一つの部材で複数の機能を持たせることができるので、構成の簡素化と部材の削減を図ることができる。
【0022】
補助ステップ71の全幅寸法Aは、ブラケット材74の左右幅寸法Bより大きく形成し、このブラケット材74の上端に切欠き74aを形成し、この切欠き74aに補助ステップ71の左右の張出し部71a,71aを載せるように構成することにより、特開2001−69843号公報の如くの複雑な構成を要することなく、簡易な構成で折り畳みが可能となる。また、ブラケット材74には、回動支点ピン73を3段階に選択して引っ掛けることができるガイド溝74b,74bを形成することにより、簡易な構成により高さ調節が可能となる。
【0023】
(駐車ブレーキペダル)
駐車ブレーキペダル81は、その側面図および正面図をそれぞれ図13、図14に示すように、操作席前部の左側に設けられ、この駐車ブレーキペダル81の踏込み時にペダル踏込み板81aの真下になる位置に、操作席前部のカバー部材82をステップフレーム83に締結するボルト84を配置する。
【0024】
このボルト84にサラバネナット84aをセットし、締め付けることによりカバー部材82をステップフレーム5aに締結固定し、そのボルト84の上方への飛び出し量を調節することにより、ペダル81のストップ位置を変更可能に構成する。このように構成することにより、カバー部材82の締結とペダル81のストローク調整を同じ部品で兼ねることができるので、構成部材を削減することができる。
【0025】
また、駐車ブレーキペダル81には、その要部拡大側面図を図15に示すように、踏込んだ位置でロック部材85を引っ掛けるプレート86を設け、このプレート86はペダル81が戻った時にショックを軽減するゴム87に当てる役割を有することから、同一部材でペダル81のロックとショック軽減を兼ねることができるので、構成部材の削減が可能となる。
【0026】
また、ペダル81の支軸81b側には、その要部側面図および正面図をそれぞれ図15、図16に示すように、アーム91を一体的に設け、このアーム91に設けたピン91aにケーブル92およびその戻しスプリング92aを連結し、さらに、上記ピン91aと連結するプレート93を介してリンク94と前後のロッド95,95より不図示のHSTレバーと連結することにより、ペダル81の踏込み操作時にHSTレバーを中立位置に戻すリンク機構を構成する。この場合において、ピン91aは、機体の左側からアーム91に差込み、フレームステップC内で抜け止めの割ピン91bを取付ける。このような構成により、部品点数の削減とともに、割ピン装着の際に容易に作業をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】操作具構成を示す操縦室部分拡大側面図
【図2】操作具構成を示す操縦室部分拡大正面図
【図3】油圧回路図
【図4】変速伝動装置の伝動系統要部展開図
【図5】エアクリーナボックスの分解斜視図
【図6】パワステレバーの要部側面図
【図7】図6のパワステレバーの正面図
【図8】掻込ペダルの要部拡大側面図
【図9】図8の掻込ペダルの正面図
【図10】補助ステップの収納状態を併記した要部側面図
【図11】図10の補助ステップの正面図
【図12】図10の補助ステップの平面図
【図13】駐車ブレーキペダルの側面図
【図14】図13の駐車ブレーキペダルの正面図
【図15】駐車ブレーキペダルの要部拡大側面図
【図16】駐車ブレーキペダルの支軸部の要部側面図
【図17】図16のペダル支軸部の正面図
【符号の説明】
【0028】
1 操縦装置
2 操作台
3 操舵レバー
4 リリーフバルブ
5 フロア
6 掻込ペダル
7 ケーブル
7a アウタガイド
11 支軸
13 受板
14 昇圧スプール軸
16 支軸
21 プッシュシリンダ
22 電磁切替弁
32 サイドクラッチ機構
33 シフトフォーク
34 走行軸
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインの操縦室に配置され、走行機器および作業機器の運転操作のためのコンバインの操縦装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンバインの操縦室には、走行機器および作業機器の運転操作のための操縦装置として掻込ペダルを含む各種の操作具が配置される。この掻込ペダルは、刈取、脱穀等の作業機を稼動しつつ、走行動力を遮断することにより、畦際等において停車したまま刈取りするための操作具であり、特許文献1に記載のように、操縦席フロアに配置され、ケーブルを介して変速伝動装置のサイドクラッチ機構と連結することにより、ペダルの踏込み操作によって左右の走行動力を遮断することができる。
【特許文献1】特開2006−115740号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記構成の掻込ペダルは、生産コストの点でなお多くの問題が残っており、構成の簡易化が望まれていた。
【0004】
本発明の目的は、構成の簡易化により、生産コストを改善することができるコンバインの操縦装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、操縦席の前部に配置した左右の傾動操作が可能な操舵レバーと、この操舵レバーと一体構成でその操作力を昇圧スプール軸に受けるリリーフバルブとを備え、このリリーフバルブによって油圧制御されるサイドクラッチ機構を介して左右の走行動力を断接制御するコンバインの操縦装置において、上記操舵レバーの下方のフロアには、踏込み操作が可能な掻込ペダルを設け、この掻込ペダルの踏込力を伝えるケーブルを上記昇圧スプール軸と連結して上記サイドクラッチ機構により左右の走行動力を同時に断接制御可能に構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明のコンバインの操縦装置は、操舵レバーの左右の傾動操作を受けると操舵レバーと一体のリリーフバルブによって制御されるサイドクラッチ機構により左右の走行動力を断接制御することによって旋回走行が可能となり、また、ケーブルを介して掻込ペダルの踏込み操作を受けるとサイドクラッチ機構を介してを左右の走行動力が同時に断接制御されて走行停止したまま刈取動作を可能とする。したがって、旋回走行用のリリーフバルブによって掻込み停車することができることから、部材削減によって生産コストを低減することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
上記技術思想に基づいて具体的に構成された実施の形態について以下に図面を参照しつつ説明する。
図1および図2は、操作具構成を示す操縦室部分拡大側面図とその正面図である。
本発明のコンバインの操縦装置1は、操縦席の前部に設けた操作台2に操舵レバー3を配置し、この操舵レバー3はリリーフバルブ4を一体的に構成するとともに、その下方のフロア5に掻込ペダル6を設け、この掻込ペダル6とリリーフバルブ4との間をケーブル7で連結して構成する。
【0008】
詳細には、操舵レバー3を左右に傾動可能に支軸11で軸支し、その左右の傾動力を下方に伝える左右のスライドロッド12,12を設け、この左右のスライドロッド12,12の下端に接する受板13をリリーフバルブ4の昇圧スプール軸14の上端に一体に設けるとともに、この受板13にケーブル7の一端を連結する。
【0009】
リリーフバルブ4は、操舵レバー3との関係位置の調節によってもケーブル7に対する位置関係が維持されるように、取付け位置調節用の取付板15を介して操舵レバー3と一体的に構成し、この取付板15にケーブル7のアウタガイド7aを取付ける。
掻込ペダル6は、フロア5の下方に設けた支軸16によって踏み込み操作可能に軸支し、掻込ペダル6と一体のアーム17にケーブル7の他端を連結する。
【0010】
リリーフバルブ4による油圧制御については、図3の油圧回路図を示すように、左右の伝動制御のためのプッシュシリンダ21,21のそれぞれの供給油路に電磁切替弁22,22を介設し、共通の戻り油路にリリーフバルブ4を設ける。また、左右のプッシュシリンダ21,21は、図4の変速伝動装置の伝動系統要部展開図に示すように、ブレーキ付きのサイドクラッチ機構32の左右の伝動系を個別に制御するためのの左右のシフトフォーク33,33と連結して左右の走行軸34,34の伝動を制御する。
【0011】
電磁切替弁22,22の制御は、操舵レバー3の左右の傾動操作および掻込ペダル6の踏込み操作を検出可能に構成した不図示の制御部を設けて行い、操舵レバー3の左右の傾動操作について対応側の走行軸34,34の伝動を切り、また、掻込ペダル6の踏込み操作について左右の走行軸34,34の伝動を同時に切るように制御処理を構成する。
【0012】
上述のように構成したコンバインの操縦装置1は、操舵レバー3の左右の傾動操作を受けるとレバーと一体のリリーフバルブ4によって制御されるサイドクラッチ機構32により左右の走行動力を断接制御することによって旋回走行が可能となり、また、ケーブル7を介して掻込ペダル6の踏込み操作を受けるとサイドクラッチ機構32を介してを左右の走行動力が同時に断接制御されて走行停止したまま刈取動作を可能とする。したがって、旋回走行用のリリーフバルブ4を使用して掻込み停車することができることから、部材削減によって生産コストを低減することが可能となる。
【0013】
(電装品)
電装品40の配置については、図5のエアクリーナボックスの分解斜視図に示すように、操縦席の後方にエアクリーナボックス41を設けてエアクリーナ42を収納するとともに、同エアクリーナボックス41内に電装品40を配置する。電装品40は全てを単一のプレート43に配置することができ、このプレート43はエアクリーナボックス41と別体であり、エアクリーナボックス41をセットする前に機体に固定することができる。したがって、電装品40を先に固定した状態でエアクリーナボックス41をセットできるので、組立作業が容易になる。
【0014】
(パワステレバー)
次に、操舵レバーと刈取昇降レバーを一体化したパワステレバー51について説明する。パワステレバー51は、左右の傾動操作と前後の傾動操作が可能に構成され、その具体的な構成は、要部側面図と正面図をそれぞれ図6,図7に示すように、パイプ部51aと前後方向回動ボス52とをつなぐ補強部材53を有し、その前後傾動の際の中立復帰用のトルクスプリング54のフック部54aを引っ掛けるピン55を補強部材53に設けて一体に構成することにより、中立時のピンの位置の精度が出やすくなるので、レバーの中立復帰の位置精度を向上することができる。
【0015】
また、パワステレバー51を左右方向の傾動支点56に支持するブラッケット材57を設け、このブラッケット材57には、中立復帰用のスプリング58のフック部58aを引っ掛けるピン59をも受けて一体に構成することにより、中立時のピンの位置の精度が出やすくなるので、レバーの中立復帰の位置精度を向上することができる。
【0016】
(掻込ペダル)
掻込ペダル61は、その要部拡大側面図および正面図をそれぞれ図8、図9に示すように、HSTレバー側と連結したカムシャフト62により牽制し、HSTレバーを中立位置に戻して牽制解除するように、カムシャフト62は、ステップの左右で支持され、その右側の支持部材63Rに掻込ペダル61の支点ピン61aを一体に設けることにより、カムシャフト62と掻込ペダル61のガイド溝の位置関係の精度を確実に出すことができるとともに、構成部材を削減することができる。
【0017】
この場合において、掻込ペダル61の踏込み操作を検出するリミットスイッチ64を設け、このリミットスイッチ64は、右側支持部材63Rに一体に取付けることにより、掻込ペダル61とリミットスイッチ64との位置関係の精度を確実に出すことができるとともに、構成部材を削減することができる。
【0018】
また、上記リミットスイッチ64に作用して掻込ペダル61の踏込み操作を検出するためのカム61bは、ペダル61の動きを牽制するガイド溝61cを形成したプレート61dに一体に形成することにより、掻込ペダル61とリミットスイッチ64との位置関係の精度を確実に出すことができるとともに、構成部材を削減することができる。
【0019】
また、支持部材63Rはステップフレームと別体に形成し、フレーム側に設けたステー65にボルト65a,65a等によって位置調節が可能に取付けることにより、左右の支持部材の同心度を容易に調節することができるので、円滑なカムシャフト62の動きが確保されやすくなる。
【0020】
(補助ステップ)
補助ステップ71は、その収納状態を併記した要部側面図、正面図および平面図をそれぞれ図10〜図12に示すように、操作席のフロア5の前部中央に配置され、折りたたみ式に構成するとともに、フロア5上に展開した使用状態において作業者側の端縁には、手や足を引っ掛けることによって容易に収納、取出しの操作が可能となるように、90°の曲げ部71aを形成する。
【0021】
補助ステップ71の前部には、一体形成した支持部材72を介して回動支点ピン73を左右に突出して備え、補助ステップ71を作業者側に倒した時に、支持部材72の前端部が機体固定側に設けたブラケット材74に接触して補助ステップ71の姿勢を維持するように構成することにより、一つの部材で複数の機能を持たせることができるので、構成の簡素化と部材の削減を図ることができる。
【0022】
補助ステップ71の全幅寸法Aは、ブラケット材74の左右幅寸法Bより大きく形成し、このブラケット材74の上端に切欠き74aを形成し、この切欠き74aに補助ステップ71の左右の張出し部71a,71aを載せるように構成することにより、特開2001−69843号公報の如くの複雑な構成を要することなく、簡易な構成で折り畳みが可能となる。また、ブラケット材74には、回動支点ピン73を3段階に選択して引っ掛けることができるガイド溝74b,74bを形成することにより、簡易な構成により高さ調節が可能となる。
【0023】
(駐車ブレーキペダル)
駐車ブレーキペダル81は、その側面図および正面図をそれぞれ図13、図14に示すように、操作席前部の左側に設けられ、この駐車ブレーキペダル81の踏込み時にペダル踏込み板81aの真下になる位置に、操作席前部のカバー部材82をステップフレーム83に締結するボルト84を配置する。
【0024】
このボルト84にサラバネナット84aをセットし、締め付けることによりカバー部材82をステップフレーム5aに締結固定し、そのボルト84の上方への飛び出し量を調節することにより、ペダル81のストップ位置を変更可能に構成する。このように構成することにより、カバー部材82の締結とペダル81のストローク調整を同じ部品で兼ねることができるので、構成部材を削減することができる。
【0025】
また、駐車ブレーキペダル81には、その要部拡大側面図を図15に示すように、踏込んだ位置でロック部材85を引っ掛けるプレート86を設け、このプレート86はペダル81が戻った時にショックを軽減するゴム87に当てる役割を有することから、同一部材でペダル81のロックとショック軽減を兼ねることができるので、構成部材の削減が可能となる。
【0026】
また、ペダル81の支軸81b側には、その要部側面図および正面図をそれぞれ図15、図16に示すように、アーム91を一体的に設け、このアーム91に設けたピン91aにケーブル92およびその戻しスプリング92aを連結し、さらに、上記ピン91aと連結するプレート93を介してリンク94と前後のロッド95,95より不図示のHSTレバーと連結することにより、ペダル81の踏込み操作時にHSTレバーを中立位置に戻すリンク機構を構成する。この場合において、ピン91aは、機体の左側からアーム91に差込み、フレームステップC内で抜け止めの割ピン91bを取付ける。このような構成により、部品点数の削減とともに、割ピン装着の際に容易に作業をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】操作具構成を示す操縦室部分拡大側面図
【図2】操作具構成を示す操縦室部分拡大正面図
【図3】油圧回路図
【図4】変速伝動装置の伝動系統要部展開図
【図5】エアクリーナボックスの分解斜視図
【図6】パワステレバーの要部側面図
【図7】図6のパワステレバーの正面図
【図8】掻込ペダルの要部拡大側面図
【図9】図8の掻込ペダルの正面図
【図10】補助ステップの収納状態を併記した要部側面図
【図11】図10の補助ステップの正面図
【図12】図10の補助ステップの平面図
【図13】駐車ブレーキペダルの側面図
【図14】図13の駐車ブレーキペダルの正面図
【図15】駐車ブレーキペダルの要部拡大側面図
【図16】駐車ブレーキペダルの支軸部の要部側面図
【図17】図16のペダル支軸部の正面図
【符号の説明】
【0028】
1 操縦装置
2 操作台
3 操舵レバー
4 リリーフバルブ
5 フロア
6 掻込ペダル
7 ケーブル
7a アウタガイド
11 支軸
13 受板
14 昇圧スプール軸
16 支軸
21 プッシュシリンダ
22 電磁切替弁
32 サイドクラッチ機構
33 シフトフォーク
34 走行軸
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操縦席の前部に配置した左右の傾動操作が可能な操舵レバー(3)と、この操舵レバー(3)と一体構成でその操作力を昇圧スプール軸(14)に受けるリリーフバルブ(4)とを備え、このリリーフバルブ(4)によって油圧制御されるサイドクラッチ機構(32)を介して左右の走行動力を断接制御するコンバインの操縦装置において、
上記操舵レバー(3)の下方のフロア(5)には、踏込み操作が可能な掻込ペダル(6)を設け、この掻込ペダル(6)の踏込力を伝えるケーブル(7)を上記昇圧スプール軸(14)と連結して上記サイドクラッチ機構(32)により左右の走行動力を同時に断接制御可能に構成したことを特徴とするコンバインの操縦装置。
【請求項1】
操縦席の前部に配置した左右の傾動操作が可能な操舵レバー(3)と、この操舵レバー(3)と一体構成でその操作力を昇圧スプール軸(14)に受けるリリーフバルブ(4)とを備え、このリリーフバルブ(4)によって油圧制御されるサイドクラッチ機構(32)を介して左右の走行動力を断接制御するコンバインの操縦装置において、
上記操舵レバー(3)の下方のフロア(5)には、踏込み操作が可能な掻込ペダル(6)を設け、この掻込ペダル(6)の踏込力を伝えるケーブル(7)を上記昇圧スプール軸(14)と連結して上記サイドクラッチ機構(32)により左右の走行動力を同時に断接制御可能に構成したことを特徴とするコンバインの操縦装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2010−51253(P2010−51253A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−220393(P2008−220393)
【出願日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]