説明

コンバインの操縦部構造

【課題】油圧バルブを操向レバーの近くに設置して操向レバーの動きを遊びが少なく油圧バルブの切換動作に伝動して操向感覚を良くしながら前照灯をフロントパネルに取り付け、コンバインをすっきりしたデザインで機体の前方及び刈取装置を明るく照射して夜間の収穫作業を安全に行なえるものとする。
【解決手段】操縦席(F)の前側に立設するフロントパネル(2)の上面に操向レバー(1)を立設し、この操向レバー(1)の左右傾動操作で左右のサイドクラッチを作動させる油圧バルブ(3)を該操向レバー(1)の取付部下側のフロントパネル(2)内に設け、さらに、該油圧バルブ(3)の下側のフロントパネル(2)内に一個の前照灯(4)を配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンバインの操縦部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
コンバインは、夜間に収穫作業を行うために機体前方を明るく照射すると共に機体前部の刈取装置の穀稈刈取状況を確認出来るだけの明るい照明が必要になってくる。
このため、例えば、特許文献1に記載の如く、刈取装置の左右片側に設ける操縦席の前側に立設するフロントパネルに前照灯を上下に二灯設けた構成が有る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−74号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コンバインのフロントパネルの上側には操向レバーが設けられているが、この操向レバーは左右に傾けることでクローラ走行装置のサイドクラッチを作動する油圧バルブを操作して走行方向を変え、前後に傾けることで刈取装置を昇降する刈取昇降シリンダの油圧バルブを操作する。
【0005】
このために、前記特開2007−74号公報に記載の如く、フロントパネルに大型の前照灯を上下二個設けると操向レバーから離れた位置に油圧バルブを設置してワイヤなどで操向レバーと油圧バルブを連結しなければならず、操向レバーの操作がダイレクトに油圧バルブの切換に繋がり難く操向感覚が良くない。
【0006】
そこで、本発明では、油圧バルブを操向レバーの近くに設置して操向レバーの動きを遊びが少なく油圧バルブの切換動作に伝動して操向感覚を良くしながら前照灯をフロントパネルに取り付ける構成にすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記本発明の課題は、次の技術手段により解決される。
即ち、操縦席(F)の前側に立設するフロントパネル(2)の上面に操向レバー(1)を立設し、この操向レバー(1)の左右傾動操作で左右のサイドクラッチを作動させる油圧バルブ(3)を該操向レバー(1)の取付部下側のフロントパネル(2)内に設け、さらに、該油圧バルブ(3)の下側のフロントパネル(2)内に一個の前照灯(4)を配置したことを特徴とするコンバインの操縦部構造とする。
【発明の効果】
【0008】
操向レバー(1)のすぐ下に油圧バルブ(3)を設けて該操向レバー(1)の左右傾動を直接油圧バルブ(3)の切換操作としているので、操向レバー(1)の操作が走行方向の走行方向の切換に直接反応して操縦感覚を良くしながらフロントパネル(2)に前照灯(4)を設けたすっきりしたデザインで機体の前方及び刈取装置を明るく照射して夜間の収穫作業を安全に行える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】コンバインの側面図である。
【図2】コンバインのフロントパネルの正面図である。
【図3】コンバインのフロントパネルの一部破断正面図である。
【図4】コンバインのフロントパネルの側断面図である。
【図5】変速レバーの平面図である。
【図6】別実施例のコンバインのフロントパネルの斜視図である。
【図7】操縦席の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面に示す実施例で説明する。
なお、機体前方とはコンバインの前進方向で、左右とは前進方向に向かって左右のことを言う。
【0011】
図1に示すように、コンバインの機体は、クローラ式の走行装置Aを備えた車台Bの上側に、脱穀装置(図示省略)と穀粒貯留装置Dを左右に並べて設け、穀粒貯留装置Dの前側にエンジンを包囲するエンジンカバーEを設け、該エンジンカバーEの上部に座席(操縦席)Fを設け、該座席Fの前方にフロントパネル2を立設し、該フロントパネル2および脱穀装置の前側に刈取装置Gを昇降自在に設けて構成している。
【0012】
図2に示す図面は、コンバインの機体前側の右側に設ける操縦部のフロントパネル2で、このフロントパネル2の上面の操作表示パネル6上に操向レバー1を立設し、操作表示パネル6の上側を覆うように取手杆8を設けている。
【0013】
フロントパネル2は前側を覆う板状体で、その内側のパネルフレーム18に操向レバー1を取り付けさらにその下側に油圧バルブ3を該操向レバー1で切換動作するように設けている。この油圧バルブ3の前側から下側にかけて、フロントパネル2から前方へ膨出するライトカバー10をフロントパネル2に取り付け、ライトカバー10の内部上側に小さなデイマーカーライト5を設け、その下側に一個の前照灯4を設けている。ライトカバー10が前方へ膨出しているので、油圧バルブ3の前にデイマーカーライト5を設けられ、前照灯4を大きく出来る。デイマーカーライト5は、日中に路上走行する場合に点灯し安全を図るのである。
【0014】
なお、ライトカバー10の前照灯4の前側部分は透明にするが、デイマーカーライト5の前側部分は青色にしたり形状を変えたりしている。
デイマーカーライト5は、図5で示す変速レバー11を中立位置Nから走行位置Aにしたりバック位置Cにしたりすると点灯するようにすると機体の周りに居る作業者に走行中であることを知らせることが出来て安全である。なお、変速レバー11を駐車位置Bにすると走行装置にブレーキが作用し、バック位置Cにするとバック走行しながらブザーが鳴る。
【0015】
フロントパネル2の側面上部に機体後方を見るサイドミラー7を設け、その上部に機体の前左側の刈取装置を見るフロントミラー9を設けている。
図6に示す実施例には、フロントパネル2の上端右側にキーボックス15を設け、このキーボックス15から前方へパラソル支持杆12を突設している。このパラソル支持杆12の先端にパラソルの柄を差し込むパラソル挿入環13を固着し、パラソル支持杆12の中間部にカップホルダ14を固着している。
【0016】
キーボックス15とパラソル支持杆12の取り付けを補強する補強杆16を操作表示パネル6の前に接近してフロントパネル2左側のクラッチ支持フレーム17に連結している。クラッチ支持フレーム17は、パネルフレーム18を機体後部と連結して補強するものである。
【0017】
なお、補強杆16には、機体の前方を照らす補助作業灯を取り付けても良い。
図7は、操縦席20の平面図で、右側前部のキーボックス15に通常ホーンスイッチ18を設け、左側側部のサイドパネル21に緊急ホーンスイッチ19を設けている。通常ホーンスイッチ18で鳴らす通常ホーンと緊急ホーンスイッチ19で鳴らす緊急ホーンはフロントパネル2の下部に左右別々に設け、緊急ホーンの方が大音量としている。
【0018】
また、緊急ホーンスイッチ19は、押すと緊急ホーンが鳴り、鳴っている状態で押すと鳴動を停止するように、さらに、記憶メモリーの記憶設定変更時に押すとメモリーが書き換えられるようにする。
【0019】
通常ホーンスイッチ18は、通常の圃場内作業走行中に使用し、緊急ホーンスイッチ19は路上走行中に使用するが、特にコンバインに異常が発生して遠くの作業者に知らせる場合には緊急ホーンスイッチ19を使用する。また、通常ホーンと緊急ホーンを別々に設けているので、どちらかが故障しても作業や路上走行には支障が無い。
【0020】
コンバインの機体を走行装置に対してローリング可能にした構成において、スイッチの代わりにショートカプラを設け、このショートカプラを差し込んで、作業モードにし、ショートカプラを外して、センサチェックモードになるようにし、センサチェックモードで記憶メモリーの記憶設定変更が出来るようにし、さらに、水平自動スイッチの入・切の切換で水平センサと左右ポジションの記憶設定変更が出来るようにすることが可能である。
【符号の説明】
【0021】
1 操向レバー
2 フロントパネル
3 油圧バルブ
4 前照灯
F 座席(操縦席)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操縦席(F)の前側に立設するフロントパネル(2)の上面に操向レバー(1)を立設し、この操向レバー(1)の左右傾動操作で左右のサイドクラッチを作動させる油圧バルブ(3)を該操向レバー(1)の取付部下側のフロントパネル(2)内に設け、さらに、該油圧バルブ(3)の下側のフロントパネル(2)内に一個の前照灯(4)を配置したことを特徴とするコンバインの操縦部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−19454(P2011−19454A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−167763(P2009−167763)
【出願日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】