コンバイン
【課題】扱刃に絡みつく排藁等を除去し、刺さり粒除去体と共に脱穀性能の向上を図る。
【解決手段】脱穀装置の扱室に複数の扱刃20aを突出する扱胴20を横設し、該扱胴20の上部を上部カバー182で被装する構成において、前記上部カバー182に沿って、扱室内部に刺さり粒防止板440の上部を固設し、該刺さり粒防止板440は、下端部より上方に複数個の溝440a・440a・・・が穿設されて櫛状に構成し、該溝440a・440a・・・は扱胴20の扱刃20a・20a・・・を回転させたときに当たらないように位置を合わせて配設され、該刺さり粒防止板440の下端部は、扱胴20の外周面の近傍位置まで延出しており、扱刃20a・20a・・・が該溝440a・440a・・・内を通過するようにし、更に、前記刺さり粒防止板440の上方位置に切刃を固設した。
【解決手段】脱穀装置の扱室に複数の扱刃20aを突出する扱胴20を横設し、該扱胴20の上部を上部カバー182で被装する構成において、前記上部カバー182に沿って、扱室内部に刺さり粒防止板440の上部を固設し、該刺さり粒防止板440は、下端部より上方に複数個の溝440a・440a・・・が穿設されて櫛状に構成し、該溝440a・440a・・・は扱胴20の扱刃20a・20a・・・を回転させたときに当たらないように位置を合わせて配設され、該刺さり粒防止板440の下端部は、扱胴20の外周面の近傍位置まで延出しており、扱刃20a・20a・・・が該溝440a・440a・・・内を通過するようにし、更に、前記刺さり粒防止板440の上方位置に切刃を固設した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱穀装置による脱穀時に穀稈に付着している刺さり粒を除去する構成に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から刈取部によって刈り取られた穀稈を、フィードチェーンによって受け継ぎ、穂先側を脱穀装置の扱口内に案内し、扱胴で脱穀し、脱穀された籾や藁屑等が、扱胴下方に配設するクリンプ網より揺動選別装置上に漏下し、更に、扱胴によって処理しきれなかった穀粒が含まれる二番物が扱胴の後側部に配した送塵口処理胴内に搬送され、穀粒と藁屑等に選別していた。
前記揺動選別装置に落下した穀粒は、揺動選別と風選別とによって一番物、二番物、藁屑とに選別され、選別後の一番物をグレンタンク内に貯留し、二番物を再選別し、藁屑を機体後方より排出するように構成していた。
また、前記扱胴上部を被装する上部カバーには、フィードチェーンに沿って開口部が設けられており、この開口部にブラシ状の部材を配設し、選別風と共に藁屑等が吹き出さないようにしていた。このブラシ状の部材は、フィードチェーンによって搬送される穀稈の株元側がブラシ状の部材によって弾かれて、脱穀し残して穀稈に付着している刺さり粒を除去する作用もあった。
【特許文献1】実開平5−46248号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来の上部カバーとフィードチェーンとに間の開口部に配設したブラシ状の部材においては、ある程度の刺さり粒を除去することはできるが、扱胴の扱刃によって切断された切れ藁が絡みついたときには、絡みついた状態で扱胴が駆動され、この扱刃に切れ藁が堆積し、扱刃による脱穀性能が低下し、刺さり粒を有する排藁を処理できずに切断して機体外部に排出していたので、わずかづつであるが穀粒を圃場に放出していたのである。その為に、この扱刃に絡みついた切れ藁を除去する構成を有する扱室が望まれてきていた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明はこのような問題点を解消するために、次の如く構成したものである。
脱穀装置の扱室に複数の扱刃20aを突出する扱胴20を横設し、該扱胴20の上部を上部カバー182で被装する構成において、前記上部カバー182に沿って、扱室内部に刺さり粒防止板440の上部を固設し、該刺さり粒防止板440は、下端部より上方に複数個の溝440a・440a・・・が穿設されて櫛状に構成し、該溝440a・440a・・・は扱胴20の扱刃20a・20a・・・を回転させたときに当たらないように位置を合わせて配設され、該刺さり粒防止板440の下端部は、扱胴20の外周面の近傍位置まで延出しており、扱刃20a・20a・・・が該溝440a・440a・・・内を通過するようにし、更に、前記刺さり粒防止板440の上方位置に切刃432を固設したものである。
【発明の効果】
【0005】
以上のように構成したので、本発明は次のような効果を奏するものである。
脱穀装置の扱室に複数の扱刃20aを突出する扱胴20を横設し、該扱胴20の上部を上部カバー182で被装する構成において、前記上部カバー182に沿って、扱室内部に刺さり粒防止板440の上部を固設し、該刺さり粒防止板440は、下端部より上方に複数個の溝440a・440a・・・が穿設されて櫛状に構成し、該溝440a・440a・・・は扱胴20の扱刃20a・20a・・・を回転させたときに当たらないように位置を合わせて配設され、該刺さり粒防止板440の下端部は、扱胴20の外周面の近傍位置まで延出しており、扱刃20a・20a・・・が該溝440a・440a・・・内を通過するようにし、更に、前記刺さり粒防止板440の上方位置に切刃432を固設したので、次のような効果を奏するものである。
まず、脱穀装置の扱室に複数の扱刃20aを突出する扱胴20を横設し、該扱胴20の上部を上部カバー182で被装する構成において、前記扱刃20aの回転方向に対して、藁屑を切断する切刃432を配置し、該切刃432の次に、複数の溝440aを設けて櫛状に構成した刺さり粒防止板440を配置し、更に刺さり粒防止板440の次に、ブラシ状の刺さり粒除去体431を配置し、該刺さり粒除去体431の外側に挟扼杆410を配置したので、扱刃に藁屑等が絡みついた場合には、先ず切刃によって切断され、切断された藁屑が刺さり粒防止板によって除去されるので、扱刃を穀稈に当接させて脱穀させる際には、扱刃に絡みつく排藁等が除去され、刺さり粒除去体と共に脱穀性能を向上することができたのである。
【0006】
また、上部カバー182の内面の前後方向に、前記刺さり粒防止板440を固設し、該刺さり粒防止板440は下端部より上方に複数個の溝440a・440a・・・を穿設し、該溝440a・440a・・・は扱胴20の扱刃20a・20a・・・と位置を合わせて配設され、刺さり粒防止板440の下端部は扱胴20の外周面の近傍位置まで延出し、扱刃20aが該溝440a内を通過するように構成したので、扱刃に絡みついている藁屑等を除去して、扱胴の扱刃によって穀稈内に取り残される刺さり粒を除去し、扱胴による脱穀性能を向上し、排藁とともに機体外部に排出される籾を減少させることができたのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明が解決しようとする課題及び解決するための手段は以上の如くであり、次に添付の図面に示した実施例の構成を説明する。
図1はコンバインの全体側面図、図2は脱穀選別装置への動力伝達構成を示すスケルトン図、図3は脱穀選別装置側面断面図、図4は刺さり粒防止板を配設する上部カバーの部分斜視図、図5は同じく上部カバーの部分正面断面図、図6は刺さり粒防止板を配した状態の扱胴の側面図、図7は扱胴に付設した刺さり粒除去体433の別形態を示す側面図、図8は案内板を配置した揺動本体前部を示す斜視図、図9は案内板を有する揺動本体を配設する脱穀選別装置の部分正面断面図、図10はスイッチと連動するロックレバーを有する上部カバーの部分正面断面図、図11はスイッチを有する上部カバーの部分正面断面図、図12はフィードチェーンの挟扼杆の支持構成を示す部分側面図、図13は挟扼杆の支持構成の別形態を示す部分側面図、図14は挟扼杆の支持構成の別形態を示す部分側面図である。
【0008】
図1においてコンバインの全体構成から説明する。
クローラ式走行装置1上に機体フレーム2を載置し、該機体フレーム2前端に引起し・刈取装置Aを昇降可能に配設し、引起し・刈取装置Aは前端に分草板3を突出して穀稈を分草する。その後部に引起しケース4を立設して該引起しケース4より突出したタインの回転により穀稈を引き起こして、分草板3後部に配設した刈刃5にて株元を刈り取り、上部搬送装置、下部搬送装置、縦搬送装置6にて後部へ搬送し、この縦搬送装置6の上端から株元がフィードチェーン7に受け継がれて脱穀装置内に穀稈を搬送する。該フィードチェーン7後端には排藁搬送装置16が配設され、排藁搬送装置16後部下方に配設した排藁カッター装置17にて、搬送されてきた排藁を切断して圃場に放出している。前記脱穀装置の側部には選別後の精粒を貯留するグレンタンク12が配設され、該グレンタンク12前部には運転部19が配設されている。
【0009】
前記脱穀装置Bは図3に示すように、前後方向に軸芯を有する扱胴20と送塵口処理胴21とが扱室に横架され、この扱室の下方に脱穀された籾と籾藁とを選別する選別室が形成されている。前記扱室の扱胴20周囲に扱刃20a・20a・・・が植設され、扱胴20下部周囲にはクリンプ網31を設けて籾や小さな藁くず等のみが漏下し、選別室内で選別されるようにしている。前記送塵口処理胴21は、扱胴20後部のグレンタンク12側に扱胴20と平行に横架されており、扱胴20で処理できなかった枝梗付着粒等を処理して藁屑等を後方に搬送して機外へ排出している。
【0010】
前記選別室には、揺動本体51と唐箕35とプレファン41等が配設れ、脱穀された籾と籾藁とが比重選別と風選別により一番物と二番物と藁くず等に選別が行なわれている。
【0011】
次に、図2に示すスケルトン図を用いて駆動構成を説明する。
前記エンジンEの左右方向に出力軸60を突出し、該出力軸60の一端をギアケース259に入力する。該ギアケース259よりプーリー、ベルトを介してミッションケースに動力を伝えて走行装置を駆動し、また、ギアケース259内の作業クラッチを介して、機体前部に配設した引起し、刈取装置Aに動力を伝達すると同時に、脱穀選別装置や排藁処理装置等を駆動する。前記ギアケース259から後方へ突出した出力軸よりプーリー、ベルトを介して送塵口処理胴21、及び扱胴20を駆動している。
【0012】
また、前記ギアケース259より側方に駆動軸261を突出し、該駆動軸261の端部を機体の左側部に配する動力伝達部に入力して、プーリー、ベルトを介して後方に伝達している唐箕35、一番選別コンベア22に動力を伝達する様にしている。
更に、前記一番コンベア22のコンベア軸273には、プーリー269とは別に第二プーリー274を嵌合しており、該第二プーリー274にベルトを巻回して、二番コンベア23、脱穀選別装置B下部の選別本体51や排出用の排風ファン30や排藁カッター装置17を駆動し、更に後方の機体後部に配設する結束装置に動力を伝達することもできる。また、前記排風ファン30に伝達された駆動力はクラッチ機構400を介してフィードチェーン7に伝達されていた。
【0013】
また、前記一番コンベア22の他側にベベルギアを介して、揚穀コンベア13を駆動しており、該一番コンベア22によって搬送された籾は、揚穀コンベア13を介してグレンタンク12に搬送している。
また、前記二番コンベア23の他端部に、ベベルギアを介して還元コンベア69を駆動し、該還元コンベア69の他端の排出口は扱室のクリンプ網31の前側部に臨ませて配置し、二番物を還元して、再度選別を行うようにしている。
【0014】
一方、前記エンジンEの右側に突出する出力軸60より、プーリーやベルトや連動軸やベベルギアを介して排出コンベア63に動力を伝達し、更に、縦コンベア64、排出オーガ65を駆動できる構成として、グレンタンク12内に貯留した籾を排出可能としている。
【0015】
また、図3に示すように、前記揺動本体51は鉄板等の鋼材を箱型に溶着して剛性を高めたものである。該揺動本体51の前端部を扱胴20の前端下方に配置し、揺動本体51の後端を送塵口処理胴21の後部下方まで延出している。前記揺動本体51の前下部に枢支軸52を設けて、後部をクランク軸53に枢支して、クランク軸53の回動により揺動するように構成されている。
そして、前記揺動本体51は、前部には第一グレンパン58が配され、その後下部を一段下げて第二グレンパン59が配され、第二グレンパン59の前部に選別風導入口51aを開口し、第二グレンパン59の後部より後方を下方に膨出して膨出部51bを成形し、該膨出部51bの後部下面には落下口51cが開口されている。
【0016】
前記第一グレンパン58と第二グレンパン59とは、樹脂によって板体の上面を波状にして揺動によって籾を後方に搬送し易く成形している。
本実施例において、図10に示すように、前記第一グレンパン58に案内板400が配設されている。前記案内板400は、波形に形成した板体であり、前記第一グレンパン58の左右方向の略中央部から進行方向に向かって右側に固設され、案内板400の上部が揺動本体51の右側上方向きに傾斜状に配置され、図11に示すように、案内板400の上部が扱室の右側部壁181前部の還元コンベア69用の投入孔181bの近傍位置まで延出している。
【0017】
従って、扱室前部で脱穀された大量の籾藁が、扱胴20の回動によってクリンプ網31より漏下し、揺動本体51前部右側に漏下した穀粒等の内の大部分が案内板400によって第一グレンパン58の左右方向の中央部より左側に案内され、還元コンベア69より搬送された二番物は投入孔181bより案内板400下方に投入され、第一グレンパン58右側で揺動搬送される。よって、第一グレンパン58上では均等に漏下され、揺動本体51上の一部に穀粒を堆積させることがなくなり、選別性能が向上される。
【0018】
次に、脱穀装置Bの扱室について説明する。
前記扱室には、図3に示すように、前記扱胴20は、扱室の前後に立設される支持体180上部に扱胴20の駆動軸136が枢支されている。この扱胴20の上部は上部カバー182によって被装されている。該上部カバー182はグレンタンク12側が枢支され、上方に回動可能に支持されている。該上部カバー182の左側(フィードチェーン7側)は、フィードチェーン7の傾斜に合わせて傾斜状に形成され、フィードチェーン7上部との間にフィードチェーン7によって搬送される穀稈を通過させる開口が形成されている。
【0019】
また、前記上部カバー182の内側には、扱胴20の外周形状に合わせた内カバー182aが形成され、図5、図12に示すように、該内カバー182aの左側端部にステーを介して挟扼杆支持体401が固設されている。該挟扼杆支持体401は上部カバー182の左側内を、前後方向に長く形成され、挟扼杆支持体401の外側側面に一定間隔毎に弾性支持部402・402・・・が配設され、該弾性支持部402・402・・・下部に挟扼杆410が弾性支持されている。該挟扼杆410はフィードチェーン7の上面に沿うように左右平行状に二枚の挟扼杆410・410が配設されている。
【0020】
前記弾性支持部402は、筒部403と該筒部403内を、上下方向に摺動する摺動棒404等より成り、該摺動棒404下端部に正面視門型の枢支体405が固設されている。該枢支体405によって、左右平行状に配されている挟扼杆410・410を連結する連結ピン411が枢支されている。
更に、前記筒部403下端部にバネガイド406が固設され、該バネガイド406がと枢支体405との間の摺動棒404外周面に圧縮バネ407が巻回され、挟扼杆410・410を下方(フィードチェーン7側)に付勢している。
【0021】
また、前記弾性支持部402による挟扼杆410・410の付勢力を調整可能にすることもできる。図12に示すように、挟扼杆410・410前部を支持する弾性支持部402’の筒部403’下部の外周面にネジ溝403a’を穿設し、該ネジ溝403a’に調整ナット413とロックナット414とを前後に螺合し、調整ナット413下部にバネガイド404を固設し、調整ナット413の筒部403’上の螺合位置を上下に調整し、ロックナット414で位置固定することで、バネガイド406と枢支体405との間隔が変更され、挟扼杆410・410の付勢力が調整される。この弾性力を調整可能な弾性支持部402’は挟扼杆410・410前部のみでなく、全ての弾性支持部402を弾性支持部402’にすることもできる。
【0022】
また、図13に示すように、挟扼杆410の前端に配置した前挟扼杆410aは、従来フィードチェーン7と挟扼杆410の交わる位置で分割されていたので、大きなかたまりの穀稈が入ってきたときにはフィードチェーン7と挟扼杆410の間に空間ができてしまい、その前後の穀稈の挟持力が弱くなることがあった。
そこで本実施例では、前記フィードチェーン7と挟扼杆410の交わる位置より前方で分割し、前挟扼杆410aを個別に弾性支持する構成としている。即ち、前記挟扼杆支持体401の前部を前方に延出し、前挟扼杆410aの前端部上方まで延出させた挟扼杆支持体401’を形成し、該挟扼杆支持体401’側部に複数個の弾性支持部402・402(本実施例においては二個)によって前部挟扼杆410aを支持している。
よって、前記前挟扼杆410aによってフィードチェーン7と挟扼杆410とによって大きなかたまりの穀稈を案内しても、その前後の穀稈の挟持力を減少することなく確実に挟持して搬送することができる。
【0023】
また、挟扼杆410前部を、上方に回動させる構成について、図14を用いて説明する。
前記挟扼杆410を、挟扼杆410とフィードチェーン7との挟持位置より前側の前挟扼杆410aと、挟持位置より後側の主挟扼杆410bとに分割し、主挟扼杆410b前端部に枢支ピン415を横設し、該枢支ピン415によって前挟扼杆410a後部を枢支し、前挟扼杆410aを上方に回動できるようにしている。
そして、前記挟扼杆支持体401を、角パイプ等の筒体で構成し、この筒体で形成した挟扼杆支持体401”前部に前支持体416後部が挿入されている。該前支持体416後部にはローラ417・417が前後に枢支され、該ローラ417・417が挟扼杆支持体401内に嵌合され、前支持体416が進退可能としている。
前記前支持体416上面の途中位置と、挟扼杆支持体401”上面前部に図示せぬ溝が穿孔されており、側面視門形の固定体418端部が挿入され、前支持体416の摺動をロックできるようにしている。更に、該前支持体421前部には、弾性支持部402の筒部403が回動自在に枢支されている。
【0024】
よって、前記前支持体416を挟扼杆支持体401”内に摺動し、図中の二点鎖線のように前挟扼杆410aを上昇回動してピンにて係止すると、前挟扼杆410aとフィードチェーン7の間の角度が大きくなり、穀稈を挿入し易くなり、手扱作業がやり易くなるのである。
【0025】
次に、前記上部カバー182のロック構成について説明する。
図8に示すように、前記上部カバー182にロックレバー421の一端が枢支され、該ロックレバー421の他端が側方に突出され、ロックレバー421の基部側に係止板422が固設されている。該係止板422は下方に突出され、内側途中部に係止溝422aが形成されている。該係止溝422aには、本体側より突出される係止ピン424を係合することで、上部カバー182がロックされる。
【0026】
そして、前記扱胴20上方を被装する上部カバー182のロックレバー421の操作に連動して、フィードチェーン7の駆動を停止する構成としている。
つまり、前述したようにフィードチェーン7への駆動力は、クラッチ機構420を介して伝達されており、該クラッチ機構420の可動ギアを図示せぬアクチュエータを用いて摺動させて、動力伝達の断接を行っている。
このアクチュエータを作動させる手段として、図8に示すように、扱室の上部カバー182の下方にスイッチ425を配置し、該スイッチ425の当接部の側方に当接板426が配置されている。該当接板426上部に係止板422が当接するように当接板426が延出されている。
【0027】
従って、上部カバー182を下方に回動させた閉じた状態では、ロックレバー421は下方のロック位置まで回動し、係止体422下部が当接板426上部に当接し、当接板426が内側に湾曲されて、当接板426がスイッチ425の当接部に当接し、スイッチ425はOFFとなっており、アクチュエータは作動しフィードチェーン7を駆動する側にクラッチ機構420を切り換えている。
そして、図中の二点鎖線421’のように、ロックレバー421を上方回動させると、係止板422が側方に回動し、当接板426から離れ、スイッチ425はONとなり、クラッチ機構420が断となってフィードチェーン7への駆動が断たれる。よって、脱穀選別装置Bのメンテナンス作業をする際に、上部カバー182を開けるだけでフィードチェーン7の駆動を停止させることができる。
【0028】
また、前記脱穀装置Bのメンテナンス作業をする際や手扱作業を行なっているときに、フィードチェーン7の駆動を断接するクラッチ機構420のアクチュエータを作動させる手段として、図9に示すように、上部カバー182側面にスイッチ429を配設して、オペレーターが手動で操作できるように構成することもできる。尚、メンテナンス作業をする為に、前記スイッチ425やスイッチ429をエンジンを停止させる手段に接続させることもできる。
【0029】
図7は扱胴に刺さり粒除去体433を付設した別の構成を示している。図7の構成においては、扱胴20の後部にブラシ状の刺さり粒除去体433・433が固設され、脱穀時に取り残される刺さり粒を除去するようにしている。該刺さり粒除去体433は、ブラシ状体を植設したものである。該刺さり粒除去体433を扱胴20の後部の外周面に軸芯方向に平行またはリード角を持たせて複数個を突出したものであり、該刺さり粒除去体433の長さ及び個数は、フィードチェーンの搬送速度と扱胴20の回転数を考慮し、穀稈が搬送される間に少なくとも数回は刺さり粒除去体433に当接されて刺さり粒が払い落とされるようにしている。
但し、扱刃も配置してもよい。よって、扱胴20後部に穀稈が案内されると、穀稈内に入り込んだ刺さり粒が、刺さり粒除去体433によって払い落とされ、排藁のみ排出されるようにしている。
【0030】
次に、本発明の刺さり粒を除去する構成について説明する。
図4、図5に示すように、前記上部カバー182の内カバー182aの内周面には、板状の送塵弁430・430・・・が固設され、扱胴20に回動にともなわれて誘導される藁屑に抵抗を与えて、送塵口処理胴21に誘導される藁屑の量を調整している。
また、前記扱室カバー182の左端部(フィードチェーン7側)に刺さり粒を除去するブラシ状体を植設した刺さり粒除去体431を配設している。該刺さり粒除去体431は、内カバー182aより突出されて上部カバー182とフィードチェーン7との間の開口部に配設され、風選別による送風とともに開口部より藁屑等が吹き出すことを防止している。
更に、前記刺さり粒除去体431より内側の内カバー182aには複数個の切刃432・432・・・が固設され、扱胴20の扱刃20a・20a・・・に絡まった藁屑等を切断するようにしている。
【0031】
そして、本発明において、図4〜図6に示すように、前記上部カバー182の内カバー182aの側面に沿って刺さり粒防止板440上部が固設されている。該刺さり粒防止板440は、刺さり粒除去体431と平行状に内カバー182aの外側端部に前後方向に固設され、図6に示すように扱胴20に対し前低後高に傾斜状に配置されている。
また、前記刺さり粒防止板440は、下端部より上方に複数個の溝440a・440a・・・が穿設されて櫛状に構成し、該溝440a・440a・・・は扱胴20の扱刃20a・20a・・・を回転させたときに当たらないように位置を合わせて配設されており、刺さり粒防止板440の下端部は扱胴20の外周面の近傍位置まで延出しており、扱刃20a・20a・・・が該溝440a・440a・・・内を通過するようにしている。
【0032】
更に、前記刺さり粒防止板440は、内カバー182a外側端部の内側面に固設され、内カバー182a外側端部の外側面に刺さり粒除去体431が固設され、刺さり粒防止板440が固設される内カバー182a外側端部の上方位置に切刃432が固設されている。
よって、扱胴20を回転させると、扱刃20aが切刃432、刺さり粒防止板440、刺さり粒除去体431の順に通過して行き、扱刃20aに藁屑等が絡みついた場合には、先ず切刃432によって切断され、切断された藁屑が刺さり粒防止板440の除去溝440aよって除去されるので、扱刃20aを穀稈に当接させて脱穀させる際には、扱刃20aに絡みつく排藁等が除去され、更に、前記刺さり粒除去体431によってフィードチェーン7によって搬送される穀稈が弾かれており、脱穀性能が向上されている。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】コンバインの全体側面図である。
【図2】脱穀選別装置への動力伝達構成を示すスケルトン図である。
【図3】脱穀選別装置側面断面図である。
【図4】刺さり粒防止板を配設する上部カバーの部分斜視図である。
【図5】同じく上部カバーの部分正面断面図である。
【図6】刺さり粒防止板を配した状態の扱胴の側面図である。
【図7】扱胴に付設した刺さり粒除去体433の別形態を示す側面図である。
【図8】案内板を配置した揺動本体前部を示す斜視図である。
【図9】案内板を有する揺動本体を配設する脱穀選別装置の部分正面断面図である。
【図10】スイッチと連動するロックレバーを有する上部カバーの部分正面断面図である。
【図11】スイッチを有する上部カバーの部分正面断面図である。
【図12】フィードチェーンの挟扼杆の支持構成を示す部分側面図である。
【図13】挟扼杆の支持構成の別形態を示す部分側面図である。
【図14】挟扼杆の支持構成の別形態を示す部分側面図である。
【符号の説明】
【0034】
B 脱穀選別装置
20 扱胴
20a 扱刃
182 上部カバー
431 刺さり粒除去体
432 切刃
440 刺さり粒防止板
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱穀装置による脱穀時に穀稈に付着している刺さり粒を除去する構成に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から刈取部によって刈り取られた穀稈を、フィードチェーンによって受け継ぎ、穂先側を脱穀装置の扱口内に案内し、扱胴で脱穀し、脱穀された籾や藁屑等が、扱胴下方に配設するクリンプ網より揺動選別装置上に漏下し、更に、扱胴によって処理しきれなかった穀粒が含まれる二番物が扱胴の後側部に配した送塵口処理胴内に搬送され、穀粒と藁屑等に選別していた。
前記揺動選別装置に落下した穀粒は、揺動選別と風選別とによって一番物、二番物、藁屑とに選別され、選別後の一番物をグレンタンク内に貯留し、二番物を再選別し、藁屑を機体後方より排出するように構成していた。
また、前記扱胴上部を被装する上部カバーには、フィードチェーンに沿って開口部が設けられており、この開口部にブラシ状の部材を配設し、選別風と共に藁屑等が吹き出さないようにしていた。このブラシ状の部材は、フィードチェーンによって搬送される穀稈の株元側がブラシ状の部材によって弾かれて、脱穀し残して穀稈に付着している刺さり粒を除去する作用もあった。
【特許文献1】実開平5−46248号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来の上部カバーとフィードチェーンとに間の開口部に配設したブラシ状の部材においては、ある程度の刺さり粒を除去することはできるが、扱胴の扱刃によって切断された切れ藁が絡みついたときには、絡みついた状態で扱胴が駆動され、この扱刃に切れ藁が堆積し、扱刃による脱穀性能が低下し、刺さり粒を有する排藁を処理できずに切断して機体外部に排出していたので、わずかづつであるが穀粒を圃場に放出していたのである。その為に、この扱刃に絡みついた切れ藁を除去する構成を有する扱室が望まれてきていた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明はこのような問題点を解消するために、次の如く構成したものである。
脱穀装置の扱室に複数の扱刃20aを突出する扱胴20を横設し、該扱胴20の上部を上部カバー182で被装する構成において、前記上部カバー182に沿って、扱室内部に刺さり粒防止板440の上部を固設し、該刺さり粒防止板440は、下端部より上方に複数個の溝440a・440a・・・が穿設されて櫛状に構成し、該溝440a・440a・・・は扱胴20の扱刃20a・20a・・・を回転させたときに当たらないように位置を合わせて配設され、該刺さり粒防止板440の下端部は、扱胴20の外周面の近傍位置まで延出しており、扱刃20a・20a・・・が該溝440a・440a・・・内を通過するようにし、更に、前記刺さり粒防止板440の上方位置に切刃432を固設したものである。
【発明の効果】
【0005】
以上のように構成したので、本発明は次のような効果を奏するものである。
脱穀装置の扱室に複数の扱刃20aを突出する扱胴20を横設し、該扱胴20の上部を上部カバー182で被装する構成において、前記上部カバー182に沿って、扱室内部に刺さり粒防止板440の上部を固設し、該刺さり粒防止板440は、下端部より上方に複数個の溝440a・440a・・・が穿設されて櫛状に構成し、該溝440a・440a・・・は扱胴20の扱刃20a・20a・・・を回転させたときに当たらないように位置を合わせて配設され、該刺さり粒防止板440の下端部は、扱胴20の外周面の近傍位置まで延出しており、扱刃20a・20a・・・が該溝440a・440a・・・内を通過するようにし、更に、前記刺さり粒防止板440の上方位置に切刃432を固設したので、次のような効果を奏するものである。
まず、脱穀装置の扱室に複数の扱刃20aを突出する扱胴20を横設し、該扱胴20の上部を上部カバー182で被装する構成において、前記扱刃20aの回転方向に対して、藁屑を切断する切刃432を配置し、該切刃432の次に、複数の溝440aを設けて櫛状に構成した刺さり粒防止板440を配置し、更に刺さり粒防止板440の次に、ブラシ状の刺さり粒除去体431を配置し、該刺さり粒除去体431の外側に挟扼杆410を配置したので、扱刃に藁屑等が絡みついた場合には、先ず切刃によって切断され、切断された藁屑が刺さり粒防止板によって除去されるので、扱刃を穀稈に当接させて脱穀させる際には、扱刃に絡みつく排藁等が除去され、刺さり粒除去体と共に脱穀性能を向上することができたのである。
【0006】
また、上部カバー182の内面の前後方向に、前記刺さり粒防止板440を固設し、該刺さり粒防止板440は下端部より上方に複数個の溝440a・440a・・・を穿設し、該溝440a・440a・・・は扱胴20の扱刃20a・20a・・・と位置を合わせて配設され、刺さり粒防止板440の下端部は扱胴20の外周面の近傍位置まで延出し、扱刃20aが該溝440a内を通過するように構成したので、扱刃に絡みついている藁屑等を除去して、扱胴の扱刃によって穀稈内に取り残される刺さり粒を除去し、扱胴による脱穀性能を向上し、排藁とともに機体外部に排出される籾を減少させることができたのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明が解決しようとする課題及び解決するための手段は以上の如くであり、次に添付の図面に示した実施例の構成を説明する。
図1はコンバインの全体側面図、図2は脱穀選別装置への動力伝達構成を示すスケルトン図、図3は脱穀選別装置側面断面図、図4は刺さり粒防止板を配設する上部カバーの部分斜視図、図5は同じく上部カバーの部分正面断面図、図6は刺さり粒防止板を配した状態の扱胴の側面図、図7は扱胴に付設した刺さり粒除去体433の別形態を示す側面図、図8は案内板を配置した揺動本体前部を示す斜視図、図9は案内板を有する揺動本体を配設する脱穀選別装置の部分正面断面図、図10はスイッチと連動するロックレバーを有する上部カバーの部分正面断面図、図11はスイッチを有する上部カバーの部分正面断面図、図12はフィードチェーンの挟扼杆の支持構成を示す部分側面図、図13は挟扼杆の支持構成の別形態を示す部分側面図、図14は挟扼杆の支持構成の別形態を示す部分側面図である。
【0008】
図1においてコンバインの全体構成から説明する。
クローラ式走行装置1上に機体フレーム2を載置し、該機体フレーム2前端に引起し・刈取装置Aを昇降可能に配設し、引起し・刈取装置Aは前端に分草板3を突出して穀稈を分草する。その後部に引起しケース4を立設して該引起しケース4より突出したタインの回転により穀稈を引き起こして、分草板3後部に配設した刈刃5にて株元を刈り取り、上部搬送装置、下部搬送装置、縦搬送装置6にて後部へ搬送し、この縦搬送装置6の上端から株元がフィードチェーン7に受け継がれて脱穀装置内に穀稈を搬送する。該フィードチェーン7後端には排藁搬送装置16が配設され、排藁搬送装置16後部下方に配設した排藁カッター装置17にて、搬送されてきた排藁を切断して圃場に放出している。前記脱穀装置の側部には選別後の精粒を貯留するグレンタンク12が配設され、該グレンタンク12前部には運転部19が配設されている。
【0009】
前記脱穀装置Bは図3に示すように、前後方向に軸芯を有する扱胴20と送塵口処理胴21とが扱室に横架され、この扱室の下方に脱穀された籾と籾藁とを選別する選別室が形成されている。前記扱室の扱胴20周囲に扱刃20a・20a・・・が植設され、扱胴20下部周囲にはクリンプ網31を設けて籾や小さな藁くず等のみが漏下し、選別室内で選別されるようにしている。前記送塵口処理胴21は、扱胴20後部のグレンタンク12側に扱胴20と平行に横架されており、扱胴20で処理できなかった枝梗付着粒等を処理して藁屑等を後方に搬送して機外へ排出している。
【0010】
前記選別室には、揺動本体51と唐箕35とプレファン41等が配設れ、脱穀された籾と籾藁とが比重選別と風選別により一番物と二番物と藁くず等に選別が行なわれている。
【0011】
次に、図2に示すスケルトン図を用いて駆動構成を説明する。
前記エンジンEの左右方向に出力軸60を突出し、該出力軸60の一端をギアケース259に入力する。該ギアケース259よりプーリー、ベルトを介してミッションケースに動力を伝えて走行装置を駆動し、また、ギアケース259内の作業クラッチを介して、機体前部に配設した引起し、刈取装置Aに動力を伝達すると同時に、脱穀選別装置や排藁処理装置等を駆動する。前記ギアケース259から後方へ突出した出力軸よりプーリー、ベルトを介して送塵口処理胴21、及び扱胴20を駆動している。
【0012】
また、前記ギアケース259より側方に駆動軸261を突出し、該駆動軸261の端部を機体の左側部に配する動力伝達部に入力して、プーリー、ベルトを介して後方に伝達している唐箕35、一番選別コンベア22に動力を伝達する様にしている。
更に、前記一番コンベア22のコンベア軸273には、プーリー269とは別に第二プーリー274を嵌合しており、該第二プーリー274にベルトを巻回して、二番コンベア23、脱穀選別装置B下部の選別本体51や排出用の排風ファン30や排藁カッター装置17を駆動し、更に後方の機体後部に配設する結束装置に動力を伝達することもできる。また、前記排風ファン30に伝達された駆動力はクラッチ機構400を介してフィードチェーン7に伝達されていた。
【0013】
また、前記一番コンベア22の他側にベベルギアを介して、揚穀コンベア13を駆動しており、該一番コンベア22によって搬送された籾は、揚穀コンベア13を介してグレンタンク12に搬送している。
また、前記二番コンベア23の他端部に、ベベルギアを介して還元コンベア69を駆動し、該還元コンベア69の他端の排出口は扱室のクリンプ網31の前側部に臨ませて配置し、二番物を還元して、再度選別を行うようにしている。
【0014】
一方、前記エンジンEの右側に突出する出力軸60より、プーリーやベルトや連動軸やベベルギアを介して排出コンベア63に動力を伝達し、更に、縦コンベア64、排出オーガ65を駆動できる構成として、グレンタンク12内に貯留した籾を排出可能としている。
【0015】
また、図3に示すように、前記揺動本体51は鉄板等の鋼材を箱型に溶着して剛性を高めたものである。該揺動本体51の前端部を扱胴20の前端下方に配置し、揺動本体51の後端を送塵口処理胴21の後部下方まで延出している。前記揺動本体51の前下部に枢支軸52を設けて、後部をクランク軸53に枢支して、クランク軸53の回動により揺動するように構成されている。
そして、前記揺動本体51は、前部には第一グレンパン58が配され、その後下部を一段下げて第二グレンパン59が配され、第二グレンパン59の前部に選別風導入口51aを開口し、第二グレンパン59の後部より後方を下方に膨出して膨出部51bを成形し、該膨出部51bの後部下面には落下口51cが開口されている。
【0016】
前記第一グレンパン58と第二グレンパン59とは、樹脂によって板体の上面を波状にして揺動によって籾を後方に搬送し易く成形している。
本実施例において、図10に示すように、前記第一グレンパン58に案内板400が配設されている。前記案内板400は、波形に形成した板体であり、前記第一グレンパン58の左右方向の略中央部から進行方向に向かって右側に固設され、案内板400の上部が揺動本体51の右側上方向きに傾斜状に配置され、図11に示すように、案内板400の上部が扱室の右側部壁181前部の還元コンベア69用の投入孔181bの近傍位置まで延出している。
【0017】
従って、扱室前部で脱穀された大量の籾藁が、扱胴20の回動によってクリンプ網31より漏下し、揺動本体51前部右側に漏下した穀粒等の内の大部分が案内板400によって第一グレンパン58の左右方向の中央部より左側に案内され、還元コンベア69より搬送された二番物は投入孔181bより案内板400下方に投入され、第一グレンパン58右側で揺動搬送される。よって、第一グレンパン58上では均等に漏下され、揺動本体51上の一部に穀粒を堆積させることがなくなり、選別性能が向上される。
【0018】
次に、脱穀装置Bの扱室について説明する。
前記扱室には、図3に示すように、前記扱胴20は、扱室の前後に立設される支持体180上部に扱胴20の駆動軸136が枢支されている。この扱胴20の上部は上部カバー182によって被装されている。該上部カバー182はグレンタンク12側が枢支され、上方に回動可能に支持されている。該上部カバー182の左側(フィードチェーン7側)は、フィードチェーン7の傾斜に合わせて傾斜状に形成され、フィードチェーン7上部との間にフィードチェーン7によって搬送される穀稈を通過させる開口が形成されている。
【0019】
また、前記上部カバー182の内側には、扱胴20の外周形状に合わせた内カバー182aが形成され、図5、図12に示すように、該内カバー182aの左側端部にステーを介して挟扼杆支持体401が固設されている。該挟扼杆支持体401は上部カバー182の左側内を、前後方向に長く形成され、挟扼杆支持体401の外側側面に一定間隔毎に弾性支持部402・402・・・が配設され、該弾性支持部402・402・・・下部に挟扼杆410が弾性支持されている。該挟扼杆410はフィードチェーン7の上面に沿うように左右平行状に二枚の挟扼杆410・410が配設されている。
【0020】
前記弾性支持部402は、筒部403と該筒部403内を、上下方向に摺動する摺動棒404等より成り、該摺動棒404下端部に正面視門型の枢支体405が固設されている。該枢支体405によって、左右平行状に配されている挟扼杆410・410を連結する連結ピン411が枢支されている。
更に、前記筒部403下端部にバネガイド406が固設され、該バネガイド406がと枢支体405との間の摺動棒404外周面に圧縮バネ407が巻回され、挟扼杆410・410を下方(フィードチェーン7側)に付勢している。
【0021】
また、前記弾性支持部402による挟扼杆410・410の付勢力を調整可能にすることもできる。図12に示すように、挟扼杆410・410前部を支持する弾性支持部402’の筒部403’下部の外周面にネジ溝403a’を穿設し、該ネジ溝403a’に調整ナット413とロックナット414とを前後に螺合し、調整ナット413下部にバネガイド404を固設し、調整ナット413の筒部403’上の螺合位置を上下に調整し、ロックナット414で位置固定することで、バネガイド406と枢支体405との間隔が変更され、挟扼杆410・410の付勢力が調整される。この弾性力を調整可能な弾性支持部402’は挟扼杆410・410前部のみでなく、全ての弾性支持部402を弾性支持部402’にすることもできる。
【0022】
また、図13に示すように、挟扼杆410の前端に配置した前挟扼杆410aは、従来フィードチェーン7と挟扼杆410の交わる位置で分割されていたので、大きなかたまりの穀稈が入ってきたときにはフィードチェーン7と挟扼杆410の間に空間ができてしまい、その前後の穀稈の挟持力が弱くなることがあった。
そこで本実施例では、前記フィードチェーン7と挟扼杆410の交わる位置より前方で分割し、前挟扼杆410aを個別に弾性支持する構成としている。即ち、前記挟扼杆支持体401の前部を前方に延出し、前挟扼杆410aの前端部上方まで延出させた挟扼杆支持体401’を形成し、該挟扼杆支持体401’側部に複数個の弾性支持部402・402(本実施例においては二個)によって前部挟扼杆410aを支持している。
よって、前記前挟扼杆410aによってフィードチェーン7と挟扼杆410とによって大きなかたまりの穀稈を案内しても、その前後の穀稈の挟持力を減少することなく確実に挟持して搬送することができる。
【0023】
また、挟扼杆410前部を、上方に回動させる構成について、図14を用いて説明する。
前記挟扼杆410を、挟扼杆410とフィードチェーン7との挟持位置より前側の前挟扼杆410aと、挟持位置より後側の主挟扼杆410bとに分割し、主挟扼杆410b前端部に枢支ピン415を横設し、該枢支ピン415によって前挟扼杆410a後部を枢支し、前挟扼杆410aを上方に回動できるようにしている。
そして、前記挟扼杆支持体401を、角パイプ等の筒体で構成し、この筒体で形成した挟扼杆支持体401”前部に前支持体416後部が挿入されている。該前支持体416後部にはローラ417・417が前後に枢支され、該ローラ417・417が挟扼杆支持体401内に嵌合され、前支持体416が進退可能としている。
前記前支持体416上面の途中位置と、挟扼杆支持体401”上面前部に図示せぬ溝が穿孔されており、側面視門形の固定体418端部が挿入され、前支持体416の摺動をロックできるようにしている。更に、該前支持体421前部には、弾性支持部402の筒部403が回動自在に枢支されている。
【0024】
よって、前記前支持体416を挟扼杆支持体401”内に摺動し、図中の二点鎖線のように前挟扼杆410aを上昇回動してピンにて係止すると、前挟扼杆410aとフィードチェーン7の間の角度が大きくなり、穀稈を挿入し易くなり、手扱作業がやり易くなるのである。
【0025】
次に、前記上部カバー182のロック構成について説明する。
図8に示すように、前記上部カバー182にロックレバー421の一端が枢支され、該ロックレバー421の他端が側方に突出され、ロックレバー421の基部側に係止板422が固設されている。該係止板422は下方に突出され、内側途中部に係止溝422aが形成されている。該係止溝422aには、本体側より突出される係止ピン424を係合することで、上部カバー182がロックされる。
【0026】
そして、前記扱胴20上方を被装する上部カバー182のロックレバー421の操作に連動して、フィードチェーン7の駆動を停止する構成としている。
つまり、前述したようにフィードチェーン7への駆動力は、クラッチ機構420を介して伝達されており、該クラッチ機構420の可動ギアを図示せぬアクチュエータを用いて摺動させて、動力伝達の断接を行っている。
このアクチュエータを作動させる手段として、図8に示すように、扱室の上部カバー182の下方にスイッチ425を配置し、該スイッチ425の当接部の側方に当接板426が配置されている。該当接板426上部に係止板422が当接するように当接板426が延出されている。
【0027】
従って、上部カバー182を下方に回動させた閉じた状態では、ロックレバー421は下方のロック位置まで回動し、係止体422下部が当接板426上部に当接し、当接板426が内側に湾曲されて、当接板426がスイッチ425の当接部に当接し、スイッチ425はOFFとなっており、アクチュエータは作動しフィードチェーン7を駆動する側にクラッチ機構420を切り換えている。
そして、図中の二点鎖線421’のように、ロックレバー421を上方回動させると、係止板422が側方に回動し、当接板426から離れ、スイッチ425はONとなり、クラッチ機構420が断となってフィードチェーン7への駆動が断たれる。よって、脱穀選別装置Bのメンテナンス作業をする際に、上部カバー182を開けるだけでフィードチェーン7の駆動を停止させることができる。
【0028】
また、前記脱穀装置Bのメンテナンス作業をする際や手扱作業を行なっているときに、フィードチェーン7の駆動を断接するクラッチ機構420のアクチュエータを作動させる手段として、図9に示すように、上部カバー182側面にスイッチ429を配設して、オペレーターが手動で操作できるように構成することもできる。尚、メンテナンス作業をする為に、前記スイッチ425やスイッチ429をエンジンを停止させる手段に接続させることもできる。
【0029】
図7は扱胴に刺さり粒除去体433を付設した別の構成を示している。図7の構成においては、扱胴20の後部にブラシ状の刺さり粒除去体433・433が固設され、脱穀時に取り残される刺さり粒を除去するようにしている。該刺さり粒除去体433は、ブラシ状体を植設したものである。該刺さり粒除去体433を扱胴20の後部の外周面に軸芯方向に平行またはリード角を持たせて複数個を突出したものであり、該刺さり粒除去体433の長さ及び個数は、フィードチェーンの搬送速度と扱胴20の回転数を考慮し、穀稈が搬送される間に少なくとも数回は刺さり粒除去体433に当接されて刺さり粒が払い落とされるようにしている。
但し、扱刃も配置してもよい。よって、扱胴20後部に穀稈が案内されると、穀稈内に入り込んだ刺さり粒が、刺さり粒除去体433によって払い落とされ、排藁のみ排出されるようにしている。
【0030】
次に、本発明の刺さり粒を除去する構成について説明する。
図4、図5に示すように、前記上部カバー182の内カバー182aの内周面には、板状の送塵弁430・430・・・が固設され、扱胴20に回動にともなわれて誘導される藁屑に抵抗を与えて、送塵口処理胴21に誘導される藁屑の量を調整している。
また、前記扱室カバー182の左端部(フィードチェーン7側)に刺さり粒を除去するブラシ状体を植設した刺さり粒除去体431を配設している。該刺さり粒除去体431は、内カバー182aより突出されて上部カバー182とフィードチェーン7との間の開口部に配設され、風選別による送風とともに開口部より藁屑等が吹き出すことを防止している。
更に、前記刺さり粒除去体431より内側の内カバー182aには複数個の切刃432・432・・・が固設され、扱胴20の扱刃20a・20a・・・に絡まった藁屑等を切断するようにしている。
【0031】
そして、本発明において、図4〜図6に示すように、前記上部カバー182の内カバー182aの側面に沿って刺さり粒防止板440上部が固設されている。該刺さり粒防止板440は、刺さり粒除去体431と平行状に内カバー182aの外側端部に前後方向に固設され、図6に示すように扱胴20に対し前低後高に傾斜状に配置されている。
また、前記刺さり粒防止板440は、下端部より上方に複数個の溝440a・440a・・・が穿設されて櫛状に構成し、該溝440a・440a・・・は扱胴20の扱刃20a・20a・・・を回転させたときに当たらないように位置を合わせて配設されており、刺さり粒防止板440の下端部は扱胴20の外周面の近傍位置まで延出しており、扱刃20a・20a・・・が該溝440a・440a・・・内を通過するようにしている。
【0032】
更に、前記刺さり粒防止板440は、内カバー182a外側端部の内側面に固設され、内カバー182a外側端部の外側面に刺さり粒除去体431が固設され、刺さり粒防止板440が固設される内カバー182a外側端部の上方位置に切刃432が固設されている。
よって、扱胴20を回転させると、扱刃20aが切刃432、刺さり粒防止板440、刺さり粒除去体431の順に通過して行き、扱刃20aに藁屑等が絡みついた場合には、先ず切刃432によって切断され、切断された藁屑が刺さり粒防止板440の除去溝440aよって除去されるので、扱刃20aを穀稈に当接させて脱穀させる際には、扱刃20aに絡みつく排藁等が除去され、更に、前記刺さり粒除去体431によってフィードチェーン7によって搬送される穀稈が弾かれており、脱穀性能が向上されている。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】コンバインの全体側面図である。
【図2】脱穀選別装置への動力伝達構成を示すスケルトン図である。
【図3】脱穀選別装置側面断面図である。
【図4】刺さり粒防止板を配設する上部カバーの部分斜視図である。
【図5】同じく上部カバーの部分正面断面図である。
【図6】刺さり粒防止板を配した状態の扱胴の側面図である。
【図7】扱胴に付設した刺さり粒除去体433の別形態を示す側面図である。
【図8】案内板を配置した揺動本体前部を示す斜視図である。
【図9】案内板を有する揺動本体を配設する脱穀選別装置の部分正面断面図である。
【図10】スイッチと連動するロックレバーを有する上部カバーの部分正面断面図である。
【図11】スイッチを有する上部カバーの部分正面断面図である。
【図12】フィードチェーンの挟扼杆の支持構成を示す部分側面図である。
【図13】挟扼杆の支持構成の別形態を示す部分側面図である。
【図14】挟扼杆の支持構成の別形態を示す部分側面図である。
【符号の説明】
【0034】
B 脱穀選別装置
20 扱胴
20a 扱刃
182 上部カバー
431 刺さり粒除去体
432 切刃
440 刺さり粒防止板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱穀装置の扱室に複数の扱刃20aを突出する扱胴20を横設し、該扱胴20の上部を上部カバー182で被装する構成において、前記上部カバー182に沿って、扱室内部に刺さり粒防止板440の上部を固設し、該刺さり粒防止板440は、下端部より上方に複数個の溝440a・440a・・・が穿設されて櫛状に構成し、該溝440a・440a・・・は扱胴20の扱刃20a・20a・・・を回転させたときに当たらないように位置を合わせて配設され、該刺さり粒防止板440の下端部は、扱胴20の外周面の近傍位置まで延出しており、扱刃20a・20a・・・が該溝440a・440a・・・内を通過するようにし、更に、前記刺さり粒防止板440の上方位置に切刃432を固設したことを特徴とするコンバイン。
【請求項1】
脱穀装置の扱室に複数の扱刃20aを突出する扱胴20を横設し、該扱胴20の上部を上部カバー182で被装する構成において、前記上部カバー182に沿って、扱室内部に刺さり粒防止板440の上部を固設し、該刺さり粒防止板440は、下端部より上方に複数個の溝440a・440a・・・が穿設されて櫛状に構成し、該溝440a・440a・・・は扱胴20の扱刃20a・20a・・・を回転させたときに当たらないように位置を合わせて配設され、該刺さり粒防止板440の下端部は、扱胴20の外周面の近傍位置まで延出しており、扱刃20a・20a・・・が該溝440a・440a・・・内を通過するようにし、更に、前記刺さり粒防止板440の上方位置に切刃432を固設したことを特徴とするコンバイン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2006−136335(P2006−136335A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−376635(P2005−376635)
【出願日】平成17年12月27日(2005.12.27)
【分割の表示】特願平9−112962の分割
【原出願日】平成9年4月30日(1997.4.30)
【出願人】(000006851)ヤンマー農機株式会社 (132)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月27日(2005.12.27)
【分割の表示】特願平9−112962の分割
【原出願日】平成9年4月30日(1997.4.30)
【出願人】(000006851)ヤンマー農機株式会社 (132)
【Fターム(参考)】
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