説明

コンバイン

【課題】刈取装置と脱穀装置のフィードチェンの伝動系の簡素化。
【解決手段】走行装置1を有する車台上の一側に脱穀装置9を設け、該脱穀装置9の他側には該脱穀装置9で脱穀選別した穀粒を一時貯留するグレンタンクを設け、前記車台の前方には植立穀稈を刈り取って後方の脱穀装置9へ向けて搬送する刈取装置6を設け、前記グレンタンクの前方にコンバインの運転操作をする操作部を設けたコンバインにおいて、前記刈取装置6と脱穀装置9のフィードチェン7を駆動する伝動系は、刈取装置6を支持する刈取懸架メタル42内に設けたことを特徴とするコンバインの構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、圃場内の植立穀稈を刈り取る農業機械であるコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
刈取装置と脱穀装置のフィードチェンを駆動する伝動系は、専用のギヤボックスを構成して、このギヤボックス内に設ける構成である。(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2005−237271号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前述のような技術では、刈取装置と脱穀装置のフィードチェンを駆動するための伝動系を内装する専用のギヤボックスが必要となるので、部品点数が増えて廉価に構成できないという欠点がある。また、専用のギヤボックスを設けることで、コンバイン全体の重量が増大してしまうという欠点がある。
【0004】
本発明の課題は、前述のような不具合を解消するコンバインを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の上記課題は次の構成によって達成される。
すなわち、請求項1記載の発明では、走行装置1を有する車台2上の一側に脱穀装置9を設け、該脱穀装置9の他側には該脱穀装置9で脱穀選別した穀粒を一時貯留するグレンタンク10を設け、前記車台2の前方には植立穀稈を刈り取って後方の脱穀装置9へ向けて搬送する刈取装置6を設け、前記グレンタンク10の前方にコンバインの運転操作をする操作部3を設けたコンバインにおいて、前記刈取装置6と脱穀装置9のフィードチェン7を駆動する伝動系の一部を、刈取装置6を支持する刈取懸架メタル42内に設けたことを特徴とするコンバインとしたものである。
【0006】
請求項1の作用は、圃場内に植立している穀稈は、刈取装置6で刈り取られて後方の脱穀装置9へ向けて搬送され、その後、穀稈はフィードチェン7に引き継ぎ搬送される。フィードチェン7に引き継がれた穀稈は、搬送されながら脱穀装置9で脱穀選別され、選別された穀粒はグレンタンク10内に一時貯留される。
【0007】
刈取装置6と脱穀装置9のフィードチェン7を駆動する伝動は、刈取装置6を支持する刈取懸架メタル42内を通過して伝動される。
請求項2記載の発明では、前記刈取懸架メタル42は、コンバインの進行方向に対して左側と右側の両側に設ける構成とし、前記刈取装置6と脱穀装置9のフィードチェン7を駆動する伝動系の一部を、左側の刈取懸架メタル42内に設けたことを特徴とする請求項1に記載のコンバインとしたものである。
【0008】
請求項2の作用は、請求項1の作用に加え、刈取装置6と脱穀装置9のフィードチェン7を駆動する伝動は、刈取装置6を支持する左右の刈取懸架メタル42のうち、左側の刈取懸架メタル42内を通過して伝動される
請求項3記載の発明では、前記刈取装置6と脱穀装置9のフィードチェン7の駆動速度を変速する変速手段41を、前記刈取懸架メタル42に設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のコンバインとしたものである。
【0009】
請求項3の作用は、請求項1又は請求項2の作用に加え、刈取装置6と脱穀装置9のフィードチェン7の駆動速度は、変速手段41で変速され、その後、刈取懸架メタル42内を通過して伝動される。
【発明の効果】
【0010】
本発明は上述のごとく構成したので、請求項1記載の発明においては、刈取装置6と脱穀装置9のフィードチェン7を駆動するための伝動系を内装する専用のギヤボックスが不要となるので、部品点数を少なくすることができて廉価に構成できるようになる。また、専用のギヤボックスを設けないので、コンバイン全体の重量増大を抑制できるようになる。
【0011】
請求項2記載の発明においては、請求項1の効果に加え、刈取装置6と脱穀装置9のフィードチェン7を駆動する伝動は、刈取装置6を支持する左右の刈取懸架メタル42のうち、左側の刈取懸架メタル42内に設ける構成としたので、コンバインの機体左側からのメンテナンス作業が容易となる。
【0012】
請求項3記載の発明においては、請求項1又は請求項2の効果に加え、刈取装置6と脱穀装置9のフィードチェン7の駆動速度を変速する変速手段41を、刈取懸架メタル42に設けるように構成したので、変速手段を支持するための専用の部材が不要となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1及び図2には、本発明を具現化した農業機械であるコンバインが示されている。
走行装置1を有する車台2の前方には、刈取装置6が設けられている。この刈取装置6には、植立穀稈を分草する複数の分草具6aと、植立穀稈を引き起こす複数の引起装置6bと、植立穀稈を刈り取る刈刃6cと、該刈刃6cにて刈り取られた穀稈を挟持して後方に搬送する搬送装置6dが設けられている。この搬送装置6dは刈刃6c後方の株元搬送装置6eと該株元搬送装置6eから搬送されてくる穀稈を引き継いで脱穀装置9に供給する供給搬送装置6fとから構成されている。
【0014】
前記刈取装置6は、車台2の前部に立設する懸架メタル42の上方に設ける回転軸42aを支点にして上下動する刈取装置支持フレーム60にて、その略左右中間部で支持されている。そして、刈取装置6は操作部3に設けるレバー4を前後方向に傾動させることによって刈取装置支持フレーム60と共に上下動する構成である。
【0015】
車台2の上方には、前記供給搬送装置6fから搬送されてくる穀稈を引き継いで搬送するフィードチェン7を有する脱穀装置9と、該脱穀装置9の右側方であって、この脱穀装置9で脱穀選別された穀粒を一時貯溜するグレンタンク10と、該グレンタンク10の前方に位置していてコンバインの各種操作を実行する操作部3が載置されている。また、車台2の前部には走行装置1を駆動する走行伝動装置13が設けられている。
【0016】
脱穀装置9の後方には、前記フィードチェン7から搬送されてくる排稈を引き継いで搬送する排稈チェン61と、該排稈チェン61の終端部下方には排稈を切断するカッター装置62が設けられている。また、この実施例のカッター装置62の後方には、排稈を結束するノッター等の他の作業機を装着してもよい。
【0017】
前記グレンタンク10内の穀粒量が満杯となると、縦オーガ11と横オーガ12から穀粒を機外へと排出する。縦オーガ11は電気モータ(図示せず)にて旋回可能に構成され、また、横オーガ12は油圧シリンダ(図示せず)にて昇降可能に構成されている。そして、横オーガ12は縦オーガ11の上部に連結されて一体的に構成され、縦オーガ11が旋回すると、横オーガ12も一緒に旋回する構成となっている。
【0018】
また、コンバインは操作部3に設ける副変速レバーを操作して走行伝動装置13内の副変速の位置を決定し、その後、走行変速レバー63を操作してエンジン39からの動力を油圧無段変速装置16及び走行伝動装置13を介して走行装置1の左右のクローラ37L、37Rに伝動して任意の速度で走行する構成である。このように、前記走行変速レバー63の操作量によって速度が変速されるとともに、走行変速レバー63の前方向と後方向の操作によってコンバインが前後進する構成である。
【0019】
また、コンバインは操作部3に設ける前記レバー4を左右方向に傾倒操作することによって左右方向に旋回する構成であり、さらに、レバー4の左右方向への傾倒操作量によって旋回半径が決定される構成である。
【0020】
このようなコンバインを前進させて刈取作業をすると、圃場面に植立している穀稈は、分草具6aにて分草され、その後、引起装置6bにて引き起こされて刈刃6cにて刈り取られる構成である。その後、刈り取られた穀稈は株元搬送装置6eにて後方へ搬送され、供給搬送装置6fへと引き継ぎ搬送される。この供給搬送装置6fに引き継がれた穀稈は、さらに後方へと搬送されて、脱穀装置9のフィードチェン7へと引継ぎ搬送され、穀稈はフィードチェン7で後方へ搬送されながら脱穀装置9にて脱穀選別される構成である。
【0021】
このように脱穀選別された穀粒は、一番揚穀筒64からグレンタンク10内へと搬送されて一時貯留され、このグレンタンク10内に貯留される穀粒量が満杯になると、操作部3の報知手段(ブザーや表示装置)でオペレータに報知される構成である。その後、刈取作業を中断して、グレンタンク10内の穀粒を機外へと排出する作業を開始する。コンバインを任意の位置(トラック近傍位置)へと移動させ、横オーガ12をオーガ受け65から離脱させて穀粒排出口12aをトラックの荷台等の位置へ移動させる。そして、操作部3に設けている穀粒排出レバーを入り状態として、グレンタンク10内の穀粒を機外へと排出し、グレンタンク10内の穀粒排出が終了すると、横オーガ12は再びオーガ受け65へと収納されていく構成である。
【0022】
前記レバー4を左方向に傾動すると、走行伝動装置13の左クラッチが切れて、さらに、左方向へ傾動すると左側ブレーキが作動してコンバインは左旋回し、右方向に傾動させると右クラッチが切れて、さらに、右方向へ傾動すると右側ブレーキが作動してコンバインは右旋回する構成である。
【0023】
前記走行伝動装置13について、図3に基づいて説明する。
走行伝動装置13には、エンジン39からの動力を入力するプーリ15が設けられている。また、該プーリ15からの動力を受けて変速する油圧無段変速装置16が設置されている。
【0024】
走行伝動装置13の上部には、軸17が設けられ、カウンタギヤケ−ス5を介して前記油圧無段変速装置16と接続している。カウンタギヤケ−ス5内には歯車5a、5b、5cが設けられていて、歯車5aは歯車5bと噛み合い、歯車5bは歯車5cと噛み合っていて、動力を減速している構成である。38は油圧無段変速装置16を冷却するファンである。
【0025】
軸17には移動体18が左右方向移動自在に遊嵌されている。また、軸17には歯車19が遊嵌している。前記移動体18には、歯車22と歯車21が形成されていて、さらに、移動体18には、前記歯車19に接続する爪部20が形成されている。
【0026】
軸17の下手側には、軸23が設けられ、該軸23には、歯車22と噛み合う歯車26、歯車21と噛み合う歯車25、歯車19と噛み合う歯車24がそれぞれ固定されている。この構成は副変速機構であり、操作部3に設けている副変速レバー(図示せず)にて、オペレータが圃場の状況等を確認して任意に設定する構成である。さらに、軸23には、歯車27が固定されている。
【0027】
前記軸23の下手側には、サイドクラッチ軸28が設けられている。該サイドクラッチ軸28の中間部には、前記歯車27と常時噛み合う歯車29が固定していて、その両端部には、ブレーキ30L,30Rが設けられている。さらに、サイドクラッチ軸28には、サイドクラッチ31L,31Rが設けられ、長手方向に移動可能に構成されている。該サイドクラッチ31L,31Rには歯車32L,32Rが構成されていて、圧縮バネ33L,33Rの付勢力にて、共に歯車29方向へ付勢されていて、歯車29の爪部29L,29Rを介して歯車29と噛み合っている構成である。
【0028】
サイドクラッチ軸28の下手側には、走行軸34L,34Rが設けられている。走行軸34L,34Rの一端には歯車35L,35Rが固定していて、歯車32L,32Rと常時噛み合っている。走行軸34L,34Rの他端には、スプロケット36L,36Rが固定していて、該スプロケット36L,36Rにはクローラ37L,37Rが巻き回している構成である。
【0029】
前述のごとく構成されたコンバインを走行させて刈取作業を実行する作用について説明する。
レバー4を前方へ傾動させて、刈取装置6を下降させ、操作部3の刈取装置6を駆動する刈取レバー(図示せず)と、脱穀装置9を駆動する脱穀レバー(図示せず)を入り状態とする。
【0030】
次に、前述の走行伝動装置13内の副変速機構を任意に設定する。そして、操作部3に設けているHSTレバー40を前進側に傾動させる。すると、油圧無段変速装置16の可変油圧ポンプ16aの斜板が傾斜して、内部の油が定量油圧モータ16bへと送油される。これにより、エンジンからの動力は、カウンタギヤケ−ス5を経由して走行伝動装置13内の軸17が回転し、移動体18が回転する。前記走行用の油圧無段変速装置16の定量油圧モータ16bについては、可変油圧モ−タとすることで、前述した副変速機構が不要となる。
【0031】
前記移動体18の歯車22,21と、軸17に遊嵌している歯車19は副変速部であり、軸23に固着されている歯車26,25,24とそれぞれ噛み合わせて、低速,中速,高速を決定する。これにより、軸23と共に、該軸23に固着している歯車27が回転する。該歯車27の回転力は、歯車29に伝達され、その後、左爪部29L,歯車32L,歯車35Lを介して、左スプロケット36Lを駆動する。右側の伝動系は、その対称であり、歯車29に伝達されている動力は、右爪部29R,歯車32R,歯車35Rを介して、右スプロケット36Rを駆動する。
【0032】
従って、左右のスプロケット36L,36Rが同じ速度で回転するので、コンバインは前進する。
このように前進走行することにより、圃場の植立穀稈は刈取装置6にて刈り取られ、供給搬送装置8で搬送されながら扱ぎ深さが調節され、さらに後方のフィードチェン7へと引継ぎ搬送されていく。該フィードチェン7にて搬送されながら、脱穀装置9にて脱穀選別されて、穀粒はグレンタンク10内へ一時貯留される。グレンタンク10内の穀粒が所定量(満杯)となると、縦オーガ11,横オーガ12からトラック等の荷台の機外へと排出する。
【0033】
コンバインが圃場の端まで来て、旋回を行なう時は、次のようにする。
左方向へ進路変更する時は、レバー4を左方向へ傾動させる。すると、図示しないシフタにより、左サイドクラッチ31Lは圧縮バネ33Lの付勢力に抗して左方向へ移動して、左爪部29Lが歯車29から離脱する。これにより、左スプロケット36Lへの直進動力は断たれるが、コンバインは少し左方向へ進路変更するだけである。そこで、さらにシフタを左方向へ移動することにより、左サイドクラッチ31Lを左へ移動させて、ディスク形式の左ブレーキ30Lを作動させる。これにより、左スプロケット36Lはロックされるので、コンバインは左方向へ旋回していく。
【0034】
右方向への進路変更する時は、レバー4を右方向へ傾動させるが、その作用は前記左方向と対称なので説明は省略する。
一方、刈取装置6と脱穀装置9のフィ−ドチェン7については、脱穀装置9の唐箕(図示せず、又その他どこでもよい)から駆動するように構成する。特に、唐箕から駆動することで、高速回転が必要な油圧無段変速装置41の入力には適している。脱穀装置9の一部の動力は、変速手段41(以下、油圧無段変速装置という)へと入力され、可変ポンプ41aの斜板の角度が変更されて定量油圧モ−タ41bへと送油される。この送油量によって定量油圧モ−タ41bから出力される回転数が変更される。即ち、油圧無段変速装置41は、左側の刈取懸架メタル42に固定して設ける構成としているので、油圧無段変速装置41を取り付けるための専用の部材が不要となる。
【0035】
定量油圧モ−タ41bから出力された動力は、刈取装置6を支持する左右の刈取懸架メタル42のうち左側の刈取懸架メタル42の中を通過するように構成している。そして、左側の刈取懸架メタル42の適宜位置から出力されて、刈取装置6とフィ−ドチェン7を駆動するように構成している。
【0036】
このように、刈取装置6とフィ−ドチェン7への伝動系を、左側の刈取懸架メタル42内に設ける構成としているので、専用の伝動ケ−スが不要となり廉価に構成可能となる。
具体的には、定量油圧モ−タ41bから出力された動力は、左側の刈取懸架メタル42内の歯車43,44,45で減速され、その後、軸46から出力される。軸46の動力は、ベルトプ−リ47を介して刈取装置6に伝達される。また、このベルトプ−リ47には、刈取装置6のベルトテンションクラッチ48が設けられている。
【0037】
また、軸46の動力は、ベルトプ−リ49と変速部50を介してフィ−ドチェン7に伝達される。前記ベルトプ−リ49には、フィ−ドチェン7のベルトテンションクラッチ51が設けられている。また、変速部50には、有段変速部(図示せず)が設けられている。この有段変速部については、シフタによる2〜3段の変速である。
【0038】
54は脱穀装置9全体の伝動を入り切りする脱穀のベルトテンションクラッチである。このベルトテンションクラッチ54が入りでないと、前記フィ−ドチェン7のベルトテンションクラッチ51を入りとしてもフィ−ドチェン7が駆動されないので安全である。
【0039】
図5は左側の刈取懸架メタル42の拡大図を示している。左側の刈取懸架メタル42内には、前述のごとく、歯車43,44,45が内装されているが、蓋52で閉塞している。そして、該蓋52には、油圧無段変速装置41と軸46が一体的に構成されている。蓋52を外すと、蓋52と共に油圧無段変速装置41と軸46が一緒に外れる構成である。これにより、機体左側からのメンテナンスが容易となる。特に、コンバインにおいては、機体左側は刈取穀稈の搬送部であり、比較的空間部が多いので、メンテナンスが容易となる。また、前記左側の刈取懸架メタル42は、歯車43,44,45を内装する部分を一体的に鋳物で構成しているので、左側の刈取懸架メタル42自体の撓みが少なくなり、歯車43,44,45の伝動系が安定する。
【0040】
前記歯車43,44,45を内装するための別のケ−ス52aを設け、このケ−ス52aを左側の刈取懸架メタル42に対して取り付けるように構成してもよい(図6)。そして、このケ−ス52に油圧無段変速装置41を取り付けるように構成してもよい。左側の刈取懸架メタル42は強度が強いので、この強度の強い左側の刈取懸架メタル42に対して、ケ−ス52aと油圧無段変速装置41を設ける構成としたので、撓み等を防止できて安定して取り付けられるようになる。
【0041】
また、車台2に対して支持台53を設け、この支持台53に前記刈取懸架メタル42を取り付けるように構成する。これにより、さらに、刈取懸架メタル42が安定して支持あれるようになる。
【0042】
前記走行用の油圧無段変速装置16と刈取装置6及びフィ−ドチェン7駆動用の油圧無段変速装置41において、走行用の油圧無段変速装置16の方が容量が大きい構成である。このように、駆動対称に適した容量とすることで、廉価に構成可能となる。
【0043】
刈取装置6及びフィ−ドチェン7駆動用の油圧無段変速装置41に動力入力は、走行用の油圧無段変速装置16の可変ポンプ16aの軸16bから、軸54を経由して入力するように構成してもよい(図7)。これにより、伝動系が簡素になる。しかも、軸54は直線状に構成することで、製造工程が少なくなり廉価となる。軸54については、カップリングとすることで、分解組立て等での着脱が容易となる。
【0044】
また、エンジン39のラジエ−タファン55による送風と、走行用の油圧無段変速装置16の冷却ファン38による起風については、刈取装置6及びフィ−ドチェン7駆動用の油圧無段変速装置41方向に向かう構成としているので、油圧無段変速装置41専用の冷却ファンが不要となり、冷却風を有効的に利用可能となる。
【0045】
刈取装置6及びフィ−ドチェン7駆動用の油圧無段変速装置41の上方には入口ジョ−ゴ56が配置され、後方には脱穀装置9の前側板57が配置され、前方には刈取懸架メタル42が配置されている(図9)。即ち、これらで囲まれる空間部を有効的に利用して、前記油圧無段変速装置41を配置しているので、コンパクトな構成となる。
【0046】
前記支持台53と左側の刈取懸架メタル42の左側に、ケ−ス52aを設ける構成としてもよい(図9)。これにより、機体左側からのメンテナンスが容易となる。
前記刈取装置6及びフィ−ドチェン7駆動用の油圧無段変速装置41においては、この油圧無段変速装置41に直接取り付けたオイルタンク内の油を油圧オイルとして用いるように構成している。また、走行用の油圧無段変速装置16については、前記走行伝動装置13内の油を油圧オイルとして用いるように構成している。これにより、走行用の油圧無段変速装置16については、重負荷が作用するので、作動油を循環させることで、油の劣化が防止できるようになる。また、刈取装置6及びフィ−ドチェン7駆動用の油圧無段変速装置41については、負荷が少ないので、オイルタンクを一体型とすることで、コンパクトな構成が可能となる。また、刈取装置6及びフィ−ドチェン7駆動用の油圧無段変速装置41においても、走行伝動装置13内の油を油圧オイルとして用いてもよい。この場合、油圧補充用のチュ−ジポンプについては、前記刈取装置6及びフィ−ドチェン7駆動用の油圧無段変速装置41と走行用の油圧無段変速装置16で共用することで、廉価でコンパクトな構成が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】コンバインの左側面図
【図2】コンバインの平面図
【図3】正面の一部の断面図
【図4】伝動線図
【図5】正面の一部の断面図
【図6】正面の一部の断面図
【図7】正面の一部の断面図
【図8】伝動線図
【図9】正面の一部の断面図
【符号の説明】
【0048】
1 走行装置
2 車台
3 操作部
6 刈取装置
7 フィードチェン
9 脱穀装置
10 グレンタンク
41 変速手段
42 刈取懸架メタル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行装置(1)を有する車台(2)上の一側に脱穀装置(9)を設け、該脱穀装置(9)の他側には該脱穀装置(9)で脱穀選別した穀粒を一時貯留するグレンタンク(10)を設け、前記車台(2)の前方には植立穀稈を刈り取って後方の脱穀装置(9)へ向けて搬送する刈取装置(6)を設け、前記グレンタンク(10)の前方にコンバインの運転操作をする操作部(3)を設けたコンバインにおいて、前記刈取装置(6)と脱穀装置(9)のフィードチェン(7)を駆動する伝動系の一部を、刈取装置(6)を支持する刈取懸架メタル(42)内に設けたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記刈取懸架メタル(42)は、コンバインの進行方向に対して左側と右側の両側に設ける構成とし、前記刈取装置(6)と脱穀装置(9)のフィードチェン(7)を駆動する伝動系の一部を、左側の刈取懸架メタル(42)内に設けたことを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記刈取装置(6)と脱穀装置(9)のフィードチェン(7)の駆動速度を変速する変速手段(41)を、前記刈取懸架メタル(42)に設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−143522(P2007−143522A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−345441(P2005−345441)
【出願日】平成17年11月30日(2005.11.30)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】