説明

コンバイン

【課題】穀稈の穂先側を、穂先移送装置と、供給移送装置とにより、後方上部へ移送する穂先移送装置の駆動スターホイルと噛合して、従動回転駆動する供給移送装置の供給スターホイルの歯厚は、駆動スターホイルの歯厚より、厚巾にして、噛合の外れを防止して、穀稈の穂先側を確実に移送しようとするものである。
【解決手段】穀稈の穂先側を、穂先移送装置と、供給移送装置とにより、後方上部へ移送する穂先移送装置の駆動スターホイルと噛合して、従動回転駆動する供給移送装置の供給スターホイルの歯厚は、駆動スターホイルの歯厚より、厚巾に形成して設ける構成としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
圃場内の植立穀稈を刈り取って脱穀選別するコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
コンバインで立毛穀稈の収穫作業は、このコンバインの走行車台の前部へ設けて、穀稈を刈取り、後方上部へ移送する刈取機の前部の複数個設けた各引起装置で穀稈は引起しされて、複数個設けた各掻込装置で掻込されながら刈取りされ、刈取り穀稈は後方上部へ移送される。
【0003】
前述の如く刈取りされた穀稈は、特開平9−168325号公報で示す如く各掻込装置10から右側下部へ設けた補助ラグ式穂先搬送装置の補助ラグ搬送チェンへ所定間隔で設けた補助引継搬送ラグで移送されて、左右側へ設けている。右側の穂先引継搬送装置の駆動掻込体の掻込爪部と、左側の受動掻込体の掻込爪部とにより、引継ぎされて掻込みされ、穂先引継搬送装置のラグ搬送チェンへ所定間隔で装着して設けた引継移送ラグで、穀稈の穂側が引継ぎされ、又、株元引継搬送チェンで、穀稈の株元側が引継ぎされ、この穀稈は後方上部へ移送されて、脱穀処理される。
【特許文献1】特開平9−168325号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
刈取機で刈取りした一方側の条列の移送される穀稈と、他方側の条列を移送される穀稈とは、合流点部でスムーズに合流されず、このために、後方上部へスムーズに移送されず、この合流部で詰り状態になることが発生したり、又、各掻込装置から穂先引継搬送装置と、受動掻込体とへの引継ぎがスムーズに行われないことがあったり、更に刈取機の前後方向の全長が長くて、コンバインの操作性が悪いことがあったが、この発明により、これらの問題点を解決しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述のような課題を解決するために、この発明は、次のような技術手段を講じる。
このために、この発明は、請求項1に記載の発明においては、走行車台(2)前方部の穀稈を刈取り後方上部へ移送する刈取機(4)は、穀稈を引起しする複数の引起装置(6)と、穀稈の一方側の条列及び他方側の条列を掻込みする複数の掻込装置(9a)と、該掻込装置(9a)の後方右側上部には、刈刃装置(5c)で刈取りした刈取り穀稈の株元側を引継ぎ移送する右下根元移送装置(10b)と、一体で上下回動自在な右上根元移送装置(10a)及び穂先側を引継ぎ移送する略三角形状の穂先移送装置(12)とを設けると共に、掻込装置(9a)の後方左側上部には、刈取り穀稈の株元側を引継ぎ移送する左根元移送装置(11)と、穂先側を引継ぎ移送する供給移送装置(14)等とを設けた構成において、前記穂先移送装置(12)へ設けた駆動スターホイル(12d)と噛合して回転駆動される供給移送装置(14)の従動回転駆動する供給スターホイル(14b)の歯厚(T2)は、穂先移送装置(12)の駆動スターホイル(12d)の歯厚(T1)より、厚巾にして設けたことを特徴とするコンバインとしたものである。
【0006】
コンバインで立毛穀稈の収穫作業は、このコンバインの走行車台(2)の前方部へ設けて、穀稈を刈取り移送する刈取機(4)の前部側へ複数個設けた、各引起装置(6)で穀稈は引起しされながら、複数個設けた各掻込装置(9a)で掻込されながら、刈取りされ、左・右両条列の刈取り穀稈は、各根元移送装置(10a),(10b),(11)と、穂先移送装置(12)、及び供給移送装置14等により、引継ぎされて後方上部へ移送される。
【0007】
前記刈取機(4)は、例えば、四条列を刈取り、後方上部へ移送する構成であると、一方側(右側)の二条列が刈取りされた刈取り穀稈は、掻込装置(9a)の後方の右側上部へ設けた右下根元移送装置(10b)と、一体で上下回動自在な略三角形状の穂先移送装置(12)の駆動スターホイル(12d)、及び右上根元移送装置(10a)とにより、引継ぎされて後方上部へ移送され、又、他方側(左側)の二条列が刈取りされた刈取り穀稈は、掻込装置(9a)の後方の左側上部へ設けた左根元移送装置(11)と、上下回動自在な供給移送装置(14)の供給スターホイル(14b)等とにより、引継ぎされて後方上部へ移送され、合流部で左右両側部を移送された刈取り穀稈は合流されて、合流した刈取り穀稈は、右上根元移送装置(10a)と穂先移送装置(12)の駆動スターホイル(12d)等とにより、更に後方上部へ移送される。
【0008】
前記穂先移送装置(12)へ設けた駆動スターホイル(12d)の回転駆動により、この駆動スターホイル(12d)と供給移送装置(14)の供給スターホイル(14b)とが噛合して、この従動回転駆動する供給スターホイル(14b)が回転駆動される。この供給スターホイル(14b)の歯厚(T2)は、駆動スターホイル(12d)の歯厚(T1)より、所定巾厚巾に設け、この供給スターホイル(14b)が駆動スターホイル(12d)の噛合から外れないように構成して、これら供給スターホイル(14b)と駆動スターホイル(12d)とにより、穀稈は確実に移送される。
【0009】
請求項2に記載の発明においては、前記穂先移送装置(12)の駆動スターホイル(12d)と噛合する供給移送装置(14)の供給スターホイル(14b)の下端部には、切欠部(14d)を設けない構成として、前記歯厚(T2)は円周全て同じ厚みにして設けたことを特徴とする請求項1に記載のコンバインとしたものである。
【0010】
刈取り穀稈の穂先側を引継ぎして移送する穂先移送装置(12)の駆動スターホイル(12d)と噛合して回転駆動される供給移送装置(14)の供給スターホイル(14b)の下端部には、切欠部(14d)を設けない構成として、歯厚(T2)は、円周全て同じ厚みに形成して設け、これら駆動スターホイル(12d)と供給スターホイル(14b)との噛合の外れを防止している。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明においては、刈取り穀稈の穂先側を引継ぎして移送する穂先移送装置(12)の駆動スターホイル(12d)と噛合して、回転駆動される供給移送装置(14)の従動回転駆動する供給スターホイル(14b)の歯厚(T2)は、穂先移送装置(12)の駆動スターホイル(12d)の歯厚(T1)より、所定巾厚巾に設けたことにより、多量の穀稈が移送されて、フレーム等が変形しても、このスターホイル(12d)とスターホイル(14b)との噛合の外れを防止できて、円滑な穀稈移送ができる。又、噛合が安定していることにより、穀稈のこぼれ、稈切れ穀稈の防止、倒伏穀稈に対する適応性の向上を図ることができる。
【0012】
請求項2に記載の発明においては、前記穂先移送装置(12)の駆動スターホイル(12d)と噛合する供給移送装置(14)の供給スターホイル(14b)の下端部には、切欠部(14d)を設けずに、歯厚(T2)は円周全て同じ厚みに形成して設けたことにより、これらスターホイル(12d)とスターホイル(14b)との噛合の外れを防止できて、多量穀稈移送のときでも、円滑な穀稈移送ができる。又、噛合が安定していることにより、穀稈のこぼれ、稈切れ穀稈の防止、倒伏穀稈に対する適応性の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。
コンバイン1の走行装置3の上側には、走行車台2を設け、この走行車台2の前部には、立毛穀稈を刈取る刈取機4を設けると共に、上側の一方側にこの刈取機4から刈取り穀稈の供給を受けて、脱穀する脱穀機7と、この脱穀機7の横側には、脱穀済み穀粒の供給を受けて、貯留する穀粒貯留タンク7aとを載置した構成である。刈取機4の前部に刈取る穀稈を分離する複数個の分草体5bと、分離、及び引越しする複数個の引起装置6とを設けた構成である。この各引起装置6で引起しされた穀稈は、穀稈掻込移送装置9の各掻込装置9aで掻込されながら、刈刃装置5cで刈取りされ、刈取り穀稈は、詳細は後述するが、穀稈の根本部は、穀稈掻込移送装置9の左・右上・右下根元移送装置11、10a、10bと、穂先部は、右側の穂先移送装置12、及び左側の供給移送装置14等とにより、後方上部へ移送され、脱穀機7へ引継ぎされ、この脱穀機7のフィードチェン8aと、挟持杆8bとで挟持して、脱穀機7内を移送中に脱穀される。脱穀済み穀粒は、穀粒貯留タンク7a内へ供給され一時貯留される。刈取機4の左・右上・右下根元移送装置11、10a、10bと、穂先移送装置12と、供給移送装置14と、これら穂先移送装置12へ設けた駆動スターホイル12dと、供給移送装置14へ設けた供給スターホイル14b等とを主に図示して説明する。
【0014】
前記コンバイン1は、4条列の穀稈を刈取りするこのコンバイン1で説明する。このコンバイン1の走行車台2の下側には、図5、及び図6で示すように、土壌面を走行する左右一対の走行クローラ3aを張設した走行装置3を配設し、走行車台2の上側に脱穀機7を載置した構成である。走行車台2の前方部の刈取機4で立毛穀稈を刈取りして、後方上部へ移送し、脱穀機7のフィードチェン8aと、挟持杆8bとで引継いで挟持移送されながら脱穀する。脱穀済みで選別済み穀粒は、脱穀機7の右横側に配設した穀粒貯留タンク7a内へ供給され、一時貯留される。
【0015】
前記走行車台2の前方部には、図5、及び図6で示すように、前端位置から立毛穀稈を分離するナローガイド5a、及び各分草体5bと、立毛穀稈を引起す引起装置6と、引起された穀稈を掻込みする穀稈掻込移送装置9の各掻込装置9aと、掻込された穀稈を刈取る刈刃装置5cと、刈取りされた穀稈を挟持移送して脱穀機7のフィードチェン8aと挟持杆8bとへ受渡しする穀稈掻込移送装置9の根元側を移送する左・右上・右下根元移送装置11,10a、10bと、穂先側を移送する穂先移送装置12と、供給移送装置14等とからなる刈取機4を設けている。該刈取機4は、油圧駆動による伸縮シリンダ16により、土壌面に対して、昇降する構成である。
【0016】
前記刈取機4の前方下部から後方上部へ傾斜する支持杆17aの上端部に設ける支持パイプ杆17bを走行車台2の上側面に設けた支持装置17cで回動自在に支持させている。伸縮シリンダ16の作動させると、支持杆17aと共に、刈取機4が上下回動する構成である。
【0017】
前記刈取機4の穀稈掻込移送装置9によって形成される穀稈移送経路中には、刈取られて移送する穀稈に接触作用することにより、脱穀機7へ穀稈の供給の有無を検出する穀稈センサ4aを設けた構成である。
【0018】
前記穀粒貯留タンク7a側の前部には、図5、及び図6で示すように、コンバイン1を始動、停止、及び各部を調節等の操作を行う操作装置18aと、操縦席18bとを設け、この操縦席18bの下側にエンジン19を載置している。
【0019】
前記走行車台2の前端部に装架した走行用のミッションケース20内の伝動機構20aの伝動経路中には、その出力に基づいて、走行車速を検出するポテンションメータ方式の車速センサ20bを設けた構成である。
【0020】
前記穀粒貯留タンク7a内へ貯留した穀粒を機外へ排出するこの穀粒貯留タンク7aの後側には、図5、及び図6で示すように、縦移送螺旋21aを内装した排出支持筒21を略垂直姿勢で旋回自在に装着して設け、この排出支持筒21の上端部には、その全長がコンバイン1の前後長に亘る機外へ穀粒を排出する排出螺旋22aを伸縮自在に内装した排出オーガ22を伸縮自在、上下回動自在、及び左右旋回自在に前後方向に配設した構成である。
【0021】
図3で示すように、左外側と、左内側との引起装置6,6と、右外側と、右内側との引起装置6,6との各引起ケース6aへ内装張設した各引起チェン6bへ所定間隔で装着した各引起ラグ6cにより、左側の2条列は、左外側と、左内側との各引起装置6の多数個の引起ラグ6cで引起される。又、右側の2条列は、右外側と、右内側との各引起装置6の多数個の引起ラグ6cで引起される。
【0022】
前記4個の引起装置6で引起された穀稈は、図4で示すように、左外側と左内側、及び右外側と右内側との4個の各掻込装置9aの各掻込ケース9b内装張設した、各掻込ベルト9cへ所定間隔で一体に装着した複数個の掻込ラグ9dと、この各掻込ベルト9cの下側へ設けた各掻込スターホイル9eとにより、左側の2条列は、左外側と左内側との各掻込装置9aで掻込みされる。又、右側の2条列は、右外側と右内側との各掻込装置9aで掻込みされる。これら4個の掻込装置9aで掻込される穀稈は、刈刃装置5cで刈取りされる構成である。
【0023】
前記刈刃装置5cで刈取りされた刈取り穀稈は、後方上部へ移送される構成である。
前記各掻込装置9aの後方部の右側の下部には、図4、図5、及び図6で示すように、右上根元移送チェン10cを掛け渡した右上根元移送装置10aと、右下根元移送チェン10dを掛け渡した右下根元移送装置10bとを設けた構成であると共に、右側の上部には、略三角形状で平面視移送側面部が略L字形状の穂先ケース12aの下側へ所定間隔で穂先ラグ12cを装着した穂先移送チェン12bを掛け渡した穂先移送装置12を設けた構成である。又、左側の下部には、左根元移送チェン11aを掛け渡した左根元移送装置11を設けた構成であると共に、左側の上部には、従動軸15aへ設けた供給ケース14aの下側へ複数個の供給ラグ14cと、供給スターホイル14bとを、従動軸15aへ軸支した供給移送装置14を設けた構成である。
【0024】
前記穂先移送装置12と、右上根元移送装置10aと、供給移送装置14とは、一体で上下回動自在に設けた構成である。穀稈の稈長により、脱穀機7へ供給する穀稈の供給深さ(扱ぎ深さ)を、これら三部品を一体で自動で上下回動移動させて、脱穀機7へ供給する穀稈の扱ぎ深さ位置を自動調節する構成である。
【0025】
前記穂先移送装置12の略三角形状に形成した穂先ケース12aの上部の移送終端部へ設けた、穂先上部軸13aには、上部スプロケット13dを軸支して設け、略中間の頂上部へ設けた穂先中間軸13cには、中間スプロケット13eと、駆動スターホイル12dとを軸支して設け、下部の移送始端部へ設けた穂先下部軸13bには、下部スプロケット13fを軸支して設けた構成である。
【0026】
前記上部・中間・下部スプロケット13d、13e、13fには、穂先ラグ12cを所定間隔で装着した穂先移送チェン12bを掛け渡した構成である。各穂先ラグ12cは、略三角形状の短辺側の二辺部で平面視移送側面部が略L字形状部では、穂先ケース12aから突出して、穀稈の穂先側を移送する作用側とした構成である。反対側は穀稈を移送しない不作用側である。
【0027】
前記供給移送装置14の従動軸15aへ軸支した、供給スターホイル14bの上側面には、図7で示すように、複数個の供給ラグ14cを回転自在に設け、供給ケース14aより、前方部側と内側部とで突出して、穀稈へ供給スターホイル14bと共に、作用して移送する構成である。又、供給ラグ14cは、前方部側と内側部以外では、逐次供給ケース14a内へ収納状態になる構成である。供給スターホイル14bは、穂先移送装置12の駆動スターホイル12dと噛合して回転駆動する構成である。
【0028】
前記供給移送装置14は、図7で示すように、穂先移送装置12へ設けた支持杆15bの先端部へコ字形状の支持枠15cを設け、この支持枠15cへ受杆15dを設け、この受杆15dへ供給ケース14aを装着して設けると共に、受杆15dの前端部には、従動軸15aを装着して設けた構成である。又、支持枠15cには、スプリング(図示せず)等により、挟持移動自在に挟持用杆15eを設け、この挟持用杆15eの後端部には、受板15fを固着して設け、この受板15fには、後挟持用杆15hを装着した構成である。
【0029】
刈取り穀稈の穂先側を引継ぎして、移送する前記穂先移送装置12の三角形状の頂点部へ設けた穂先中間軸13cへ軸支した、駆動用の駆動スターホイル12dと、供給移送装置14の従動軸15aへ軸支した、従動用の供給スターホイル14bとは、図1〜図3、及び図7で示すように、噛合して、従動用の供給スターホイル14bを、回転駆動する構成である。又、この供給スターホイル14bの歯厚(T2)は、図1、及び図2で示すように、穂先移送装置12の駆動スターホイル12dの歯厚(T1)より、所定厚み厚巾に形成して設けた構成である。
【0030】
刈取り穀稈の穂先側を引継ぎして、移送する前記穂先移送装置12の駆動スターホイル12dと噛合して、回転駆動される供給移送装置14の従動回転駆動する供給スターホイル14bの歯厚(T2)は、穂先移送装置12の駆動スターホイル12dの歯厚(T1)より、所定巾厚巾に形成して設けたことにより、多量の穀稈が移送されて、フレームである受杆15dが変形しても、これらスターホイル12dとスターホイル14bとの噛合の外れを防止できて、円滑な穀稈移送ができる。又、噛合が安定していることにより、穀稈のこぼれ、稈切れ穀稈の防止、倒伏穀稈に対する適応性の向上を図ることができる。
【0031】
前記穂先移送装置12の駆動スターホイル12dと噛合する供給移送装置14の供給スターホイル14bの下端部には、図1、及び図2で示すように、切欠部14dを設けない構成として、歯厚(T2)は、円周全て同じ厚みの巾広に形成して設けた構成である。
【0032】
前記穂先移送装置12の駆動スターホイル12dと噛合する供給移送装置14の供給スターホイル14bの下端部には、切欠部14dを設けずに、歯厚(T2)は、円周全て同じ厚みに形成して設けたことにより、これらスターホイル12dとスターホイル14bとの噛合の外れを防止できて、多量穀稈移送のときでも、円滑な穀稈移送ができる。又、噛合が安定していることにより、穀稈のこぼれ、稈切れ穀稈の防止、倒伏穀稈に対する適応性の向上を図ることができる。
【0033】
前記穀稈掻込移送装置9は、図8で示すように、支持杆17aの上端部の支持パイプ杆17b部へ設けた支持メタル17dに支持フランヂ17eを設けている。又、穂先移送装置12の後端の下端部に伝動ケース23を設け、この伝動ケース23を、支持杆17aの支持フランヂ17eへ着脱自在な構成である。
【0034】
前記伝動ケース23を支持フランヂ17eから着脱することにより、穂先移送装置12と、供給移送装置14と、右上根元移送装置10a等とを一体の部分組立状態で着脱できる構成である。
【0035】
これにより、前記穀稈掻込移送装置9の一部である穂先移送装置12、供給移送装置14、及び右上根元移送装置10a等を一体で伝動ケース23部より、着脱できることにより、メンテナンス性の向上、組立性の向上等を図ることができる。
【0036】
前記穂先移送装置12の移送終端部に設けたチェンレール装置24と、受板15fへ設けた後挟持用杆15hとは、穀稈が標準稈長以上で浅扱ぎのときは、図9で示すように、チェンレール装置24を左外側へ回動移動操作すると共に、後挟持用杆15hを受板15fの前側孔へ装着する構成である。又、穀稈が短稈のときには、図10で示すように、チェンレール装置24を右内側へ回動移動操作すると共に、後挟持用杆15hを受板15fの後側孔へ装着する。これらを深扱ぎ側へ移動させる構成である。
【0037】
これにより、短稈の適応性の向上を図ることができる。
前挟持用杆15jは、図8で示すように、前端部をV字状に形成し、このV字状部を受杆15dへ固着した構成であったが、図11、及び図12で示すように、前挟持用杆15jの前端部を下部へ接曲し、この接曲部を従動軸15aの前側外周部へ固着して設けている。
【0038】
これにより、前記挟持用杆15jの前部へ塵埃が溜ることがあったが、これを防止できる。供給スターホイル14b側へ穀稈の穂先が倒れることを防止できる。又、傾斜がゆるく脱粒の防止ができる。
【0039】
前記穂先移送装置12と供給移送装置14との前側へ設ける。左・右センタガイド25a,25bの後端部の位置は、図13で示すように、左右両側の各二条列の穀稈が、合流部(リ)へ移送されて合流する。この合流部(リ)位置で、駆動スターホイル12dと供給スターホイル14bとが噛合して回転する回転軌跡内へラップさせて設けている。又、穀稈の移送終端部へ向けて、穀稈の移送巾を狭くして設けた構成である。
【0040】
これにより、穀稈のこぼれを防止できる。又、各2条列が合流時の角度のずれを防止できる。更に、株揃えを良好にすることができる。
図14、及び図15で示すように、前記右上根元移送装置10aの右上根元移送チェン10cへ注油する注油ホース26bの先端部へ設けた注油ノズル26aの噴出口部は、右上根元移送チェン10cの下部側の下駆動スプロケット10eの後側部へ設け、この右上根元移送チェン10cへ注油すると、下側前方部へ設けた右下根元移送装置10bの右下根元移送チェン10dにも、右下根元移送チェン10dへ注油して落下する油が注油される構成である。
【0041】
これにより、前記右上・右下根元移送チェン10c,10dへ同時に注油することができる。又、注油ノズル26aの個数、及び配策の削減を図ることができる。
前記右上根元移送装置10aの右上根元移送チェン10cへ注油する注油ホース26bの先端部へ設けた注油ノズル26aは、図16、及び図17で示すように、右上根元移送チェン10cと、駆動スターホイル12dとの間に設けた支持杆27にノズルステー27aを装着し、このノズルステー27aへ噴出口部が下方向きの注油ノズル26aを、下駆動スプロケット10eの外周端部へ位置させて装着し、右上根元移送チェン10cと、右下根元移送チェン10dとの両者へ注油する構成である。
【0042】
これにより、前記右上・右下根元移送チェン10c,10dへ同時に注油することができる。又、注油ノズル26aの個数、及び配策の削減を図ることができる。更に、ノズルステー27aにより、藁屑等の溜り等を防止した。
【0043】
中央部左右両側の掻込装置9aへ設けた各掻込スターホイル9eの回転外周前側部は、図19で示すように、外側部左右両側の掻込装置9aへ設けた各掻込スターホイル9eの回転外周前側部より、所定距離前方部へ位置させて設けている。
【0044】
これにより、右側二条列の根元側を移送するためのスペースを前方へ寄せて設けることができ、このために、刈取機4の全長を短くできると共に、コンバイン1の全長を短くすることができる。
【0045】
図18〜図20で示すように、左外側と左内側とへ設けた、前記引起装置6,6間には、左根元移送装置11の左根元移送チェン11aと、右上根元移送装置10aの右上根元移送チェン11cと、脱穀機7のフィードチェン8a等とを、略直線的に配設している。このために、左側二条列の穀稈の株元側を挟持させて、移送させる左根元挟持ガイド28aは、弾性材である。例えば、ピアノ線材等により、一本で平面視略S字形状に形成して設けた構成である。
【0046】
又、左外側と左内側と右外側と右内側とへ設けた、前記各引起装置6の後側で、掻込装置9a,9a間で左外側から二番目の分草体5bの分草パイプ5dに左大・左小分草ガイド29a,29cを設けると共に、右外側から二番目の分草パイプ5dに右大・右小分草ガイド29b,29dを設けている。
【0047】
これにより、穀稈の移送が直線的になり、左右への移動が少なく、このために、ピアノ線材の左根元挟持ガイド28で穀稈の挟持が可能である。又、コスト低減、軽量化、メンテナンス性の向上、穀稈の詰り防止、多量穀稈の移送適応性が向上する。
【0048】
図21で示すように、右下根元移送装置10bの右下根元移送チェン10dを支持する右根元挟持ガイド28bは、略U字形状に形成し、後端部に支持板30aを装着し、この支持板30aに後右挟持ガイド30bを装着した構成である。この右根元挟持ガイド28bの右側部の湾曲部と、右センタガイド25b右側部の湾曲部とは、略同じ湾曲に形成すると共に、略平行位置へ設けている。この右センタガイド25bを上側へ設け、上下に二重ガイド構成である。
【0049】
これにより、前記右下根元移送チェン10dに対して、穀稈が略垂直に入ることにより、穀稈の移送ずれ、穀稈のこぼれ等が防止できる。又、多量穀稈の移送、倒伏穀稈の移送性能の向上を図ることができる。
【0050】
内右側の前記掻込装置9aの掻込ケース9bの上側へ前端部を装着する右センタガイド25bの右側湾曲部を、図21で示すように、掻込ケース9bの外形形状部より、外側へ突出させて設け、この掻込ケース9bへ内装した、所定間隔で掻込ラグ9dを装着して一体に形成した掻込ベルト9cへ穀稈の巻込みを防止した構成である。
【0051】
これにより、前記掻込ベルト9cへ小量で軟弱穀稈、及び短稈の穀稈の巻込みを防止、詰り防止ができる。又、移送角度の乱れ防止、小外径の掻込スターホイル9eへの巻込み防止ができる。
【0052】
前記刈取機4を支持する支持杆17aの下端部へ設けた刈取下ギャーケース31の中央部へ設けた引起伝動パイプ31aの下部を保持する略コ字形状の支持パイプ32aは、図22〜図24で示すように、この引起伝動パイプ31aの下端側部の右横外径部へ装着して設け、又、支持パイプ32aに支持板32bを設けた構成である。更に、支持パイプ32aの立上げ位置点(A)を、刈刃ベス5eから刈刃5fの刃元間へ位置させて設けた構成である。
【0053】
前記支持パイプ32aは、図24で示すように、中右側の掻込装置9aの小径の掻込スターホイル9e側へ配設した構成である。
これにより、右側二条列の穀稈の株元側の移送抵抗の緩和、穀稈のこぼれ、穀稈のクロス防止、及び泥、藁屑の堆積防止、左右方向の振動防止と、支持パイプ32aにより穀稈の押倒し、未刈稈の防止を図っている。
【0054】
前記各引起装置6の引起ケース6aに内装した複数の引起ラグ6cを装着した引起チェン6bを支持すると共に、引起ラグ6cを作用、又は不作用にする。図25〜図27で示すように、上下に分割した上・下ラグガイド6d,6eを設け、支持ピン6fで上ラグガイド6dを回動自在に設け、この上ラグガイド6dには、支持ピン6fで軸支した、トルクスプリング6hを設けている。
【0055】
又、前記上ラグガイド6dの上端部へスプリング6mを介してワイヤ6jを設け、このワイヤ6jの先端部は、引起装置6、又は操作装置18aへ設けたレバー18dへ接続させている。このレバー18dの回動操作により、上ラグガイド6dが回動移動して、引起ラグ6cが穀稈引起し作用、又は不作用になる構成である。
【0056】
これにより、穀稈の長・短稈の適応性拡大と、穀切れ、及び飛散粒の防止を図っている。
外側の左右両側の前記引起装置6の下伝動パイプ33a,33bの上側と、内側の左右両側の引起装置6の内下伝動パイプ33cの上側とには、図28で示すように、同じ高さ位置に左・右・内ギャーケース34a,34b,34cを設け、これら左・右ギャーケース34a,34bの上側に上伝動パイプ35a,35aを設けると共に、内ギャーケース34cの上側に内伝動パイプ36aと、内チェンケース36bとを設けた構成である。又、上伝動パイプ35a,35aと、内伝動パイプ36aとは、同じ部品を共用使用できる構成である。
【0057】
これにより、部品の共用化、及びコストダウン、組立の容易化を図っている。
図29、及び図30で示すように、前記ナローガイド5aは、前ナローガイド37aと後ナローガイド37bとは、回動自在に設けると共に、接合部には、伸縮自在な支持杆37cを設け、この支持杆37cの伸縮移動により、前・後ナローガイド37a,37bは、左外側へ伸縮自在に設けている。このナローガイド5aが左外側の最伸張位置へ移動し、この最伸張位置への移動に連動して、左外端部の分草体5bの左右方向中心位置は、回動移動して、前後方向に略直線状態に位置すべく設けた構成である。又、このナローガイド5aの右内側(収納位置)の最収縮位置へ移動し、この最収縮位置への移動に連動して、左外端部の分草体5bは、回動移動して、前端部が外端部で後端部が内側へ移動する構成である。畦ぎわ等の刈取りのときには、これら左側部の分草体5b、引起装置6、ナローガイド5a、脱穀機7等の左側端部を略直線状に位置させて設けた構成である。
【0058】
これにより、畦ぎわ、変形圃場等の刈取り時、及び逆刈取り時の作業性能の向上を図ることができる。
前記操作装置18aの前部と横側とに亘って設けられた操作パネル18cには、図31〜図34で示すように、上下摺動自在に防塵カバー38を設けている。防塵カバー38に上下方向に複数個の長孔38aを設けると共に、上下調節用の把持具38bを設けている。防塵カバー38の各長孔38aを操作パネル18cへ設けた締付用の各ボルトへ挿入し、各ナットで任意位置へ締付けする構成である。
【0059】
これにより、前記刈取機4で発生する塵埃、及び穀粒を、操縦席18bへ着座し、運転操作する作業者への飛散を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】穂先移送装置と、供給移送装置との噛合部の拡大側断面図
【図2】穂先移送装置と、供給移送装置との噛合部の拡大側断面図
【図3】穂先移送装置と、供給移送装置との噛合部の正面図
【図4】穀稈移送装置部の拡大平面図
【図5】コンバインの左側全体側面図
【図6】コンバインの全体平面図
【図7】穂先移送装置部と、供給移送装置部との拡大平面図
【図8】穂先移送装置部と、供給移送装置部との着脱時の拡大平面図
【図9】浅扱ぎ時の挟持杆部の拡大平面図
【図10】深扱ぎ時の挟持杆部の拡大平面図
【図11】供給移送装置部の拡大平面図
【図12】供給移送装置部の拡大側面図
【図13】穂先移送装置部と、供給移送装置部との拡大平面図
【図14】穀稈移送装置部の拡大平面図
【図15】穀稈移送装置部の拡大側面図
【図16】下駆動スプロケット部の拡大平面図
【図17】下駆動スプロケット部の拡大側面図
【図18】穀稈移送装置部の拡大平面図
【図19】穀稈移送装置部の拡大平面図
【図20】穀稈移送装置部の側面図
【図21】穀稈移送装置部の拡大平面図
【図22】引起伝動パイプ部の平面図
【図23】引起伝動パイプ部の正面図
【図24】引起伝動パイプ部の側面図
【図25】引起装置部の側断面図
【図26】引起装置部の側断面図
【図27】引起装置部の正面図
【図28】引起装置部の拡大背面図
【図29】ナローガイド部の平面図
【図30】ナローガイド部の平面図
【図31】防塵カバー部の側面図
【図32】防塵カバー部の正面図
【図33】防塵カバーの側面図
【図34】防塵カバーの拡大平面図
【符号の説明】
【0061】
2 走行車台
4 刈取機
5c 刈刃装置
6 引起装置
9a 掻込装置
10a 右上根元移送装置
10b 右下根元移送装置
11 左根元移送装置
12 穂先移送装置
12d 駆動スターホイル
14 供給移送装置
14b 供給スターホイル
14d 切欠部
T1 歯厚
T2 歯厚

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車台(2)前方部の穀稈を刈取り後方上部へ移送する刈取機(4)は、穀稈を引起しする複数の引起装置(6)と、穀稈の一方側の条列及び他方側の条列を掻込みする複数の掻込装置(9a)と、該掻込装置(9a)の後方右側上部には、刈刃装置(5c)で刈取りした刈取り穀稈の株元側を引継ぎ移送する右下根元移送装置(10b)と、一体で上下回動自在な右上根元移送装置(10a)及び穂先側を引継ぎ移送する略三角形状の穂先移送装置(12)とを設けると共に、掻込装置(9a)の後方左側上部には、刈取り穀稈の株元側を引継ぎ移送する左根元移送装置(11)と、穂先側を引継ぎ移送する供給移送装置(14)等とを設けた構成において、前記穂先移送装置(12)へ設けた駆動スターホイル(12d)と噛合して回転駆動される供給移送装置(14)の従動回転駆動する供給スターホイル(14b)の歯厚(T2)は、穂先移送装置(12)の駆動スターホイル(12d)の歯厚(T1)より、厚巾にして設けたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記穂先移送装置(12)の駆動スターホイル(12d)と噛合する供給移送装置(14)の供給スターホイル(14b)の下端部には、切欠部(14d)を設けない構成として、前記歯厚(T2)は円周全て同じ厚みにして設けたことを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【公開番号】特開2007−60955(P2007−60955A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−249676(P2005−249676)
【出願日】平成17年8月30日(2005.8.30)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】