コンバイン
【課題】 前方視界を良好なものとすると共に、立ち作業を行ない易くして、刈取脱穀作業の能率を向上させる。
【解決手段】 フロント操作ボックス(7)から上方に突設したアーチ状のハンドル(15)を、高位ハンドル部(15a)と低位ハンドル部(15b)から階段状に段差を設けて構成する。また、高位ハンドル部(15a)の前側に左右方向の操作によって機体の進行方向を調節する操向レバー(13)を設置し、低位ハンドル部(15b)を高位ハンドル部(15a)よりも前方にずらせて配置する。
【解決手段】 フロント操作ボックス(7)から上方に突設したアーチ状のハンドル(15)を、高位ハンドル部(15a)と低位ハンドル部(15b)から階段状に段差を設けて構成する。また、高位ハンドル部(15a)の前側に左右方向の操作によって機体の進行方向を調節する操向レバー(13)を設置し、低位ハンドル部(15b)を高位ハンドル部(15a)よりも前方にずらせて配置する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場の穀稈を刈り取りながら脱穀処理するコンバインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のコンバインにおいて、例えば、特許文献1に示されているように、運転席より前側のフロント操作ボックス上に、アーチ状のハンドルが上方に高く突設され、左右方向に横たわるように設けられている。
【特許文献1】特許第3568447号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来のコンバインのハンドルでは、オペレ−タの運転姿勢状態、或は、体格によって上部の横たわるグリップ部が邪魔になって前方視界を妨げ、また、グリッブ部が操作ボックスより後方の運転席側に変位しているので、操作ボックス上のメータパネル部も見えにくくなり、また、運転席と操作ボックス間の作業スペースを狭め、立ち作業が楽に行なえない問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上述した課題を解決するために、次の如き技術的手段を講じた。すなわち、運転席(8)前方のフロント操作ボックス(7)から上方に突設したアーチ状のハンドル(15)を、該ハンドル(15)の左右方向外端部側を高くして高位ハンドル部(15a)を形成し、該ハンドル(15)の左右方向内端部側を低くして低位ハンドル部(15b)を形成するよう階段状に段差を設けて構成し、前記高位ハンドル部(15a)の前側に左右方向の操作によって機体の進行方向を調節する操向レバー(13)を設置して該操向レバー(13)を高位ハンドル部(15a)の上側から操作できる構成とし、前記低位ハンドル部(15b)を高位ハンドル部(15a)よりも前方にずらせて配置したことを特徴とするコンバインとする。
【0005】
コンバインの運転時には、オペレータはハンドル15の高位ハンドル部15a上に手首を載せた状態で前側の操向レバー13を握って操作し機体の進行方向を制御する。この時、オペレータは通常の楽な運転姿勢で操向レバ−13を左右方向に操作しながら機体の進行方向を操向操作することができる。
【0006】
ハンドル15の内端側が低く構成されているので、低位ハンドル部15b越しの前方視界が良好となり、しかも、低位ハンドル部15bを高位ハンドル部15aより前方にずらせて配置することで、運転席8と操作ボックス9間の作業スペースを拡大でき、運転位置からは操作ボックス上のメータパネル部も良く見えるようになり、メータ表示やモニタ表示等の確認が容易にできる。
【発明の効果】
【0007】
要するに、本発明によれば、アーチ状のハンドル15を、左右外端部側を高くして高位ハンドル部15aとし、左右内端部側を低くして低位ハンドル部15bとするので、高位ハンドル部15aでは、前側の操向レバー13を運転位置から通常の楽な運転姿勢で操作することができ、低位ハンドル部15bでは、運転位置からの前方視界を良好にして作業を能率よく行うことができ、しかも、低位ハンドル部15bを高位ハンドル部15aよりも前方にずらせて配置することで、運転席8とフロント操作ボックス7間の作業スペースを拡大できて立ち作業が楽に行なえ、着座姿勢、立ち姿勢での運転操作も容易となり作業性が向上する。また、フロント操作ボックス7上面のメータパネル部も運転位置から良く見えるようになり、メータ表示等の確認が容易にできることによって、コンバインによる刈取脱穀作業の能率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて具体的に説明する。
まず、1実施態様としてコンバインの構成例について説明する。
走行車体1は、接地部側に走行クロ−ラ2、2を有し、上部には脱穀装置3を搭載している。そして、走行車体1の前方には、穀稈を引起し刈取って前記脱穀装置3に搬送供給する刈取部4を昇降可能に装備している。この刈取部4は、車体1に対し上下方向に昇降可能に支持され、油圧によって伸縮する刈取昇降シリンダ−によって昇降する構成としている。
【0009】
刈取部4の横側部に配設された運転部5は、フロントフロア6の前端部から立設するフロント操作ボックス7や、ステップフロアの後端部から上方に立設の支持部材上に装置した運転席8、この運転席8の左横側部に設置されたサイド操作ボックス9等からなる。サイド操作ボックス9は、箱型で前後方向に長く構成され、この前端部が前記フロント操作ボックス7の左端部に連結保持されている。
【0010】
運転部5の後方にはグレンタンク10が配置され、このグレンタンク内に収容される穀粒が満杯になると排出オ−ガ11によって機外に取り出すようになっている。
前記運転席8の下方にはエンジンが搭載されるようになっており、該エンジンからHST(油圧無断変速装置)及び走行ミッションケ−ス内のミッション装置を介して前記走行クロ−ラ2、2が駆動される構成である。
【0011】
主変速レバ−(HSTレバ−)12は、前記サイド操作ボックス9側に配置され、前後方向の揺動操作によりHSTを駆動し機体の前進及び後進制御を司どる構成である。
左右方向の揺動操作で機体の進行方向を制御し、前後方向の揺動操作により刈取部4を昇降制御する操向レバ−(パワステ)13が前記フロント操作ボックス7の右横側部に配置されている。
【0012】
前記フロント操作ボックス7上には、該ボックス7の左右両側部から、杆状の部材をアーチ状に形成した固定のハンドル15が突設されている。このハンドル15は、左右方向外端側(右側)を上方に高く突出させる高位ハンドル部15aと、内端側を外端側より低く突出させる低位ハンドル部15bとからなるように正面視で階段状に屈曲形成している。高位ハンドル部15aには、この前側に位置する操向レバー13の操作時に手首あたりを載せた状態で操作することのできる手置台16を設けている。また、高位ハンドル部15aは、この左右方向の横幅を操向レバー13の左右方向の揺動ストローク範囲と同等若しくはそれより若干広くすることによってオペレータの右足太もも部分が操作レバーと干渉しないように構成している。
【0013】
低位ハンドル部15bは、高位ハンドル部15aの位置よりも前方側に変位させてあり、これによって運転席8と操作ボックス7間の作業スペースが拡大でき、オペレータの移動動作が楽に行える。なお、低位ハンドル部15bの前後方向の設定位置は、操作ボックス7の後面、即ちボックス上面に設けられたメータパネル部17の後面鉛直線上Y近くに設定することで、作業スペースが広くなるばかりでなく、メータパネル部を防護でき、メータパネルと足の干渉による破損、キースイッチ等の誤操作を防止することができる。また、低位ハンドル部15bの上下の高さは、オペレータの立ち姿勢での膝より高い位置(運転席8の座面より上位)に設定することで、立ち姿勢での作業でも前方に凭れることができるようになり、急停止時の転落を防止でき、作業を安全に遂行することができる。
【0014】
従来のハンドル形状(図2の仮想線で示す)では、主変速レバー12の前後方向のストロークを大きくすると、ハンドルと干渉するため、ストロークアップが困難であった。本例では、図2に示すように、ハンドル15を高低段差を有するように階段状に形成し、主変速レバー12側を低くして低位ハンドル部15bとし、更に、この低位ハンドル部を前方側に変位させることで、変速レバーとハンドルの干渉がなくなり、変速レバーのストロークアップが可能となる。
【0015】
また、従来のハンドル形状では、ブレーキ操作時に膝がハンドルと干渉し易く、特にとっさのペダル踏込み操作がやりづらい問題があったが、本例では、低位ハンドル部15b側の位置にブレーキペダル18を配置することで、膝を上げてもハンドルとの干渉がなく、上記問題点を解消することができた。更に、また、従来のハンドル形状では、刈取部を最上げ状態にすると、右側の引起しケース20Rとハンドルとの隙間が少なく手を挟んで傷害を招く危険性があり、刈取部を大きく上昇させることができない問題があった。そこで、右側の引起しケース20Rを低位ハンドル部15aの横幅範囲内に配置することで、引起しケース20Rと低位ハンドル部15bとの隙間に余裕ができ、刈取部の更なる上昇アップが可能となる。
【0016】
図4、図5に示す実施例は、正面視アーチ状の固定ハンドルとは異なり、操作ボックスの外端側(右側)に、正面視で逆L字型の片持ちハンドル21を設けたものである。即ち、この片持ちハンドル21は、操作レバー13の手前側に配置すると共に操作ボックス7の外端部から片持ち状に立設支持し、操作ボックスの内端側(左側)にはアーチ状ハンドルのような固定のハンドル部を有しない構成としている。
【0017】
従って、かかる実施例によると、操作ボックスの内端側にはハンドルによ邪魔物がないため、内側サイドに設けられた変速レバー12の前後方向のストローク範囲が大きくとれることになり、また、ハンドル部を欠如した側にブレーキペダル18を配置することで、膝を大きく上げても従来のようなアーチ状ハンドルとの干渉がなくなる。更に、右側引起しケース20Rをハンドル部の欠如した範囲内に配置することで、刈取部の昇降範囲を大幅にアップすることができる。
【0018】
また、前記片持ちハンドル21は、図6、図7に示すように、その遊端側21aを斜め前方下方に向けて折り曲げることにより、遊端部との干渉がなくなり、乗降性が向上する。また、操作レバー13の誤操作も防止することができる。
【0019】
図8〜図10は、エンジンカバーの支持構造の実施態様を示すもので、図例のエンジンカバー23は、前後のピン軸24,24回りに揺動開閉可能に軸支している。前後のピン軸24,24は前後の支持プレート25f,25bに挿通支架している。前後の支持プレート25f,25bはエンジン支持フレーム26に数個のボルト・ナット27によって締付固定している。前側の支持プレート25fは、図10に示すように、左右方向の横長孔28を介して左右横方向に調整可能とし、後側の支持プレート25bは、図9に示す如く、上下方向の縦長孔29を介して上下方向に調整可能に構成している。このような構成によって、エンジンカバーの左右上下の位置調整が容易にできる。
【0020】
また、図11、図12に示すように、エンジンカバー23前側のピン軸24にネジ部24aと位置決め用肩部24bを設け、左右方向の長孔30を穿設した前支持プレート25fに任意の位置でナット24cを介して締付固定できるように構成している。
【0021】
尚、図13に示す実施例は、前支持プレート25fの他の構成例を示すもので、この前支持プレート25fには、前側ピン軸24を挿通する挿通孔として左右方向に長い長孔30を穿設し、ボルト・ナット27を挿通する挿通孔として上下方向に長い縦長孔29を設けることによってエンジンカバーの位置調整が容易にできる構成としている。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】コンバインの側面図
【図2】コンバインの平面図
【図3】コンバインの正面図
【図4】コンバインの平面図
【図5】コンバインの側面図
【図6】コンバインの正面図
【図7】コンバインの平面図
【図8】エンジンカバーの側面図
【図9】同上背面図
【図10】同上正面図
【図11】同上要部の正面図
【図12】同上要部の斜視図
【図13】同上一部の正面図
【符号の説明】
【0023】
5 運転部 7 フロント操作ボックス
8 運転席 9 サイド操作ボックス
13 操向レバー 15 ハンドル
15a 高位ハンドル部 15b 低位ハンドル部
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場の穀稈を刈り取りながら脱穀処理するコンバインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のコンバインにおいて、例えば、特許文献1に示されているように、運転席より前側のフロント操作ボックス上に、アーチ状のハンドルが上方に高く突設され、左右方向に横たわるように設けられている。
【特許文献1】特許第3568447号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来のコンバインのハンドルでは、オペレ−タの運転姿勢状態、或は、体格によって上部の横たわるグリップ部が邪魔になって前方視界を妨げ、また、グリッブ部が操作ボックスより後方の運転席側に変位しているので、操作ボックス上のメータパネル部も見えにくくなり、また、運転席と操作ボックス間の作業スペースを狭め、立ち作業が楽に行なえない問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上述した課題を解決するために、次の如き技術的手段を講じた。すなわち、運転席(8)前方のフロント操作ボックス(7)から上方に突設したアーチ状のハンドル(15)を、該ハンドル(15)の左右方向外端部側を高くして高位ハンドル部(15a)を形成し、該ハンドル(15)の左右方向内端部側を低くして低位ハンドル部(15b)を形成するよう階段状に段差を設けて構成し、前記高位ハンドル部(15a)の前側に左右方向の操作によって機体の進行方向を調節する操向レバー(13)を設置して該操向レバー(13)を高位ハンドル部(15a)の上側から操作できる構成とし、前記低位ハンドル部(15b)を高位ハンドル部(15a)よりも前方にずらせて配置したことを特徴とするコンバインとする。
【0005】
コンバインの運転時には、オペレータはハンドル15の高位ハンドル部15a上に手首を載せた状態で前側の操向レバー13を握って操作し機体の進行方向を制御する。この時、オペレータは通常の楽な運転姿勢で操向レバ−13を左右方向に操作しながら機体の進行方向を操向操作することができる。
【0006】
ハンドル15の内端側が低く構成されているので、低位ハンドル部15b越しの前方視界が良好となり、しかも、低位ハンドル部15bを高位ハンドル部15aより前方にずらせて配置することで、運転席8と操作ボックス9間の作業スペースを拡大でき、運転位置からは操作ボックス上のメータパネル部も良く見えるようになり、メータ表示やモニタ表示等の確認が容易にできる。
【発明の効果】
【0007】
要するに、本発明によれば、アーチ状のハンドル15を、左右外端部側を高くして高位ハンドル部15aとし、左右内端部側を低くして低位ハンドル部15bとするので、高位ハンドル部15aでは、前側の操向レバー13を運転位置から通常の楽な運転姿勢で操作することができ、低位ハンドル部15bでは、運転位置からの前方視界を良好にして作業を能率よく行うことができ、しかも、低位ハンドル部15bを高位ハンドル部15aよりも前方にずらせて配置することで、運転席8とフロント操作ボックス7間の作業スペースを拡大できて立ち作業が楽に行なえ、着座姿勢、立ち姿勢での運転操作も容易となり作業性が向上する。また、フロント操作ボックス7上面のメータパネル部も運転位置から良く見えるようになり、メータ表示等の確認が容易にできることによって、コンバインによる刈取脱穀作業の能率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて具体的に説明する。
まず、1実施態様としてコンバインの構成例について説明する。
走行車体1は、接地部側に走行クロ−ラ2、2を有し、上部には脱穀装置3を搭載している。そして、走行車体1の前方には、穀稈を引起し刈取って前記脱穀装置3に搬送供給する刈取部4を昇降可能に装備している。この刈取部4は、車体1に対し上下方向に昇降可能に支持され、油圧によって伸縮する刈取昇降シリンダ−によって昇降する構成としている。
【0009】
刈取部4の横側部に配設された運転部5は、フロントフロア6の前端部から立設するフロント操作ボックス7や、ステップフロアの後端部から上方に立設の支持部材上に装置した運転席8、この運転席8の左横側部に設置されたサイド操作ボックス9等からなる。サイド操作ボックス9は、箱型で前後方向に長く構成され、この前端部が前記フロント操作ボックス7の左端部に連結保持されている。
【0010】
運転部5の後方にはグレンタンク10が配置され、このグレンタンク内に収容される穀粒が満杯になると排出オ−ガ11によって機外に取り出すようになっている。
前記運転席8の下方にはエンジンが搭載されるようになっており、該エンジンからHST(油圧無断変速装置)及び走行ミッションケ−ス内のミッション装置を介して前記走行クロ−ラ2、2が駆動される構成である。
【0011】
主変速レバ−(HSTレバ−)12は、前記サイド操作ボックス9側に配置され、前後方向の揺動操作によりHSTを駆動し機体の前進及び後進制御を司どる構成である。
左右方向の揺動操作で機体の進行方向を制御し、前後方向の揺動操作により刈取部4を昇降制御する操向レバ−(パワステ)13が前記フロント操作ボックス7の右横側部に配置されている。
【0012】
前記フロント操作ボックス7上には、該ボックス7の左右両側部から、杆状の部材をアーチ状に形成した固定のハンドル15が突設されている。このハンドル15は、左右方向外端側(右側)を上方に高く突出させる高位ハンドル部15aと、内端側を外端側より低く突出させる低位ハンドル部15bとからなるように正面視で階段状に屈曲形成している。高位ハンドル部15aには、この前側に位置する操向レバー13の操作時に手首あたりを載せた状態で操作することのできる手置台16を設けている。また、高位ハンドル部15aは、この左右方向の横幅を操向レバー13の左右方向の揺動ストローク範囲と同等若しくはそれより若干広くすることによってオペレータの右足太もも部分が操作レバーと干渉しないように構成している。
【0013】
低位ハンドル部15bは、高位ハンドル部15aの位置よりも前方側に変位させてあり、これによって運転席8と操作ボックス7間の作業スペースが拡大でき、オペレータの移動動作が楽に行える。なお、低位ハンドル部15bの前後方向の設定位置は、操作ボックス7の後面、即ちボックス上面に設けられたメータパネル部17の後面鉛直線上Y近くに設定することで、作業スペースが広くなるばかりでなく、メータパネル部を防護でき、メータパネルと足の干渉による破損、キースイッチ等の誤操作を防止することができる。また、低位ハンドル部15bの上下の高さは、オペレータの立ち姿勢での膝より高い位置(運転席8の座面より上位)に設定することで、立ち姿勢での作業でも前方に凭れることができるようになり、急停止時の転落を防止でき、作業を安全に遂行することができる。
【0014】
従来のハンドル形状(図2の仮想線で示す)では、主変速レバー12の前後方向のストロークを大きくすると、ハンドルと干渉するため、ストロークアップが困難であった。本例では、図2に示すように、ハンドル15を高低段差を有するように階段状に形成し、主変速レバー12側を低くして低位ハンドル部15bとし、更に、この低位ハンドル部を前方側に変位させることで、変速レバーとハンドルの干渉がなくなり、変速レバーのストロークアップが可能となる。
【0015】
また、従来のハンドル形状では、ブレーキ操作時に膝がハンドルと干渉し易く、特にとっさのペダル踏込み操作がやりづらい問題があったが、本例では、低位ハンドル部15b側の位置にブレーキペダル18を配置することで、膝を上げてもハンドルとの干渉がなく、上記問題点を解消することができた。更に、また、従来のハンドル形状では、刈取部を最上げ状態にすると、右側の引起しケース20Rとハンドルとの隙間が少なく手を挟んで傷害を招く危険性があり、刈取部を大きく上昇させることができない問題があった。そこで、右側の引起しケース20Rを低位ハンドル部15aの横幅範囲内に配置することで、引起しケース20Rと低位ハンドル部15bとの隙間に余裕ができ、刈取部の更なる上昇アップが可能となる。
【0016】
図4、図5に示す実施例は、正面視アーチ状の固定ハンドルとは異なり、操作ボックスの外端側(右側)に、正面視で逆L字型の片持ちハンドル21を設けたものである。即ち、この片持ちハンドル21は、操作レバー13の手前側に配置すると共に操作ボックス7の外端部から片持ち状に立設支持し、操作ボックスの内端側(左側)にはアーチ状ハンドルのような固定のハンドル部を有しない構成としている。
【0017】
従って、かかる実施例によると、操作ボックスの内端側にはハンドルによ邪魔物がないため、内側サイドに設けられた変速レバー12の前後方向のストローク範囲が大きくとれることになり、また、ハンドル部を欠如した側にブレーキペダル18を配置することで、膝を大きく上げても従来のようなアーチ状ハンドルとの干渉がなくなる。更に、右側引起しケース20Rをハンドル部の欠如した範囲内に配置することで、刈取部の昇降範囲を大幅にアップすることができる。
【0018】
また、前記片持ちハンドル21は、図6、図7に示すように、その遊端側21aを斜め前方下方に向けて折り曲げることにより、遊端部との干渉がなくなり、乗降性が向上する。また、操作レバー13の誤操作も防止することができる。
【0019】
図8〜図10は、エンジンカバーの支持構造の実施態様を示すもので、図例のエンジンカバー23は、前後のピン軸24,24回りに揺動開閉可能に軸支している。前後のピン軸24,24は前後の支持プレート25f,25bに挿通支架している。前後の支持プレート25f,25bはエンジン支持フレーム26に数個のボルト・ナット27によって締付固定している。前側の支持プレート25fは、図10に示すように、左右方向の横長孔28を介して左右横方向に調整可能とし、後側の支持プレート25bは、図9に示す如く、上下方向の縦長孔29を介して上下方向に調整可能に構成している。このような構成によって、エンジンカバーの左右上下の位置調整が容易にできる。
【0020】
また、図11、図12に示すように、エンジンカバー23前側のピン軸24にネジ部24aと位置決め用肩部24bを設け、左右方向の長孔30を穿設した前支持プレート25fに任意の位置でナット24cを介して締付固定できるように構成している。
【0021】
尚、図13に示す実施例は、前支持プレート25fの他の構成例を示すもので、この前支持プレート25fには、前側ピン軸24を挿通する挿通孔として左右方向に長い長孔30を穿設し、ボルト・ナット27を挿通する挿通孔として上下方向に長い縦長孔29を設けることによってエンジンカバーの位置調整が容易にできる構成としている。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】コンバインの側面図
【図2】コンバインの平面図
【図3】コンバインの正面図
【図4】コンバインの平面図
【図5】コンバインの側面図
【図6】コンバインの正面図
【図7】コンバインの平面図
【図8】エンジンカバーの側面図
【図9】同上背面図
【図10】同上正面図
【図11】同上要部の正面図
【図12】同上要部の斜視図
【図13】同上一部の正面図
【符号の説明】
【0023】
5 運転部 7 フロント操作ボックス
8 運転席 9 サイド操作ボックス
13 操向レバー 15 ハンドル
15a 高位ハンドル部 15b 低位ハンドル部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転席(8)前方のフロント操作ボックス(7)から上方に突設したアーチ状のハンドル(15)を、該ハンドル(15)の左右方向外端部側を高くして高位ハンドル部(15a)を形成し、該ハンドル(15)の左右方向内端部側を低くして低位ハンドル部(15b)を形成するよう階段状に段差を設けて構成し、前記高位ハンドル部(15a)の前側に左右方向の操作によって機体の進行方向を調節する操向レバー(13)を設置して該操向レバー(13)を高位ハンドル部(15a)の上側から操作できる構成とし、前記低位ハンドル部(15b)を高位ハンドル部(15a)よりも前方にずらせて配置したことを特徴とするコンバイン。
【請求項1】
運転席(8)前方のフロント操作ボックス(7)から上方に突設したアーチ状のハンドル(15)を、該ハンドル(15)の左右方向外端部側を高くして高位ハンドル部(15a)を形成し、該ハンドル(15)の左右方向内端部側を低くして低位ハンドル部(15b)を形成するよう階段状に段差を設けて構成し、前記高位ハンドル部(15a)の前側に左右方向の操作によって機体の進行方向を調節する操向レバー(13)を設置して該操向レバー(13)を高位ハンドル部(15a)の上側から操作できる構成とし、前記低位ハンドル部(15b)を高位ハンドル部(15a)よりも前方にずらせて配置したことを特徴とするコンバイン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2008−182946(P2008−182946A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−18620(P2007−18620)
【出願日】平成19年1月30日(2007.1.30)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年1月30日(2007.1.30)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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